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もし離島で口蹄疫が発生したら 家伝法では対応不可能だ

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「南の島の黒毛和牛繁殖農家」様から下のようなコメントとワクチン開発についての情報を提供いただきました。ありがとうございます。頂戴しました情報はどこかで役立てたいと思っております。

さていただきましたコメントを読んで、私も沖縄で農業をしていた人間として思わずうなってしまいました。

>水質汚染に関してです。
私の地区では、サトウキビに適さない旧水田地帯で草を植えています。山の谷間の田んぼです。1mも掘れば水が湧いてきます。
そんな所でしか、私の地区は営農していませんから、果たして万が一のときに埋める場所が確保できるのかなと危惧しています。
また、南西諸島の喜界、沖永良部、与論、伊江、宮古、多良間等の隆起石灰岩の島々では、貴重な地下水が、埋却処分によって汚染されるでしょう。

日本でも、私のように埋却処分に向かない所で牛を飼っている農家は沢山いるのではないでしょうか?

■私が秘かに恐れている事態は、トリインフル.においては、季節性インフルエンザが流行している都市部近郊で発生して交差感染を引き起こすこと、そして口蹄疫では離島で起きることです。

私はもう20年も前になりますが、沖縄の名護(あの基地移転問題で揺れている街ですが)の山の中の廃村で牛と豚、サトウキビ、野菜などをしょぼしょぼと作っていました。その経験はブログで書いていますので、よろしかったらカテゴリーの「沖縄での暮らし」からお暇でしたらご覧ください。

沖縄やその離島そして南西諸島の島々の多くは、隆起珊瑚礁でできています。このような島々では土地がそもそも狭い上に、水不足が恒常的です。

一方、たとえば石垣島では県の特産品となるような石垣牛などを生産しており、県全体でも畜産は盛んです。私自身も、受精師さんがぶったまげるような痩せ牛を作っておりました。(^-^;お恥ずかしい

もし、私が暮らしていたあのシマ(沖縄では村のこと)で口蹄疫が発生した場合はと考えると絶望的な気分に襲われます。そこは源河の水源地にあり、地誌を読むとかつて大きな湿地帯があったそうです。島米を作っていた跡も残っていました。

ですから、豊かな水を求めて人が住み着いたわけですが、もしそこで口蹄疫が起きるとなると・・・「南の島」様がおっしゃるようにどうしようもありません。仮に殺処分はなんとかなったとしても、それを埋める場所がないのです。

すぐに水が湧きだしてくるような場所か、あるいはすぐに岩盤につきあたるような所です。宮崎県児湯郡の場合もそうでしたが、すぐに地下水が湧きだしてくる場所に埋却することはできません。

そのような場所で埋却を強行すれば、すぐに大量の水が湧きだし、穴も崩落してしまいます。

その上、敷いた青シートが時間とともに劣化破損して、そこからアンモニア態窒素や硫化硫黄、リンなどが大量に水系に流入していくことでしょう。私が住んでいた村は大きな川の最上流でしたから、そのような場所で水系汚染をしてしまったら、同じ水系で生きる多くの人を巻き込んだ汚染に発展してしまうでしょう。

もしどうしてもやるなら、何重にもシートを敷いた上に生コンを注入して、穴の底と側面を完全に固めてしまい、埋却後にまたコンクリートで覆うようなチェリノブイリ型石棺方式しか考えつきません。もっとも、生コン石棺方式も、乾燥するまでの数日を考えるとやはりダメか。

農水省は移動レンダリング装置を考えているようですが、そのようなものが沖縄や南西諸島の離島に到着するのはいつのことでしょうか。自衛隊の大型ヘリで吊って運ぶしかないかもしれません。

このような地域は沖縄や南西諸島、北海道、九州、瀬戸内海などに無数にあります。宮古島のように島全体がひとつの地下水系で結ばれている島さえあります。

また、島は四面が海ですので、感染伝播がされにくい代わりに、いったん侵入を許すと蔓延します。人間の医者さえいない離島に獣医師はいない場合がほとんどなので、本島からヘリで来てもらっての診療となります。たぶん初動は極めて遅れるでしょう。

その上、トリインフルなら家保の簡易検査キットで即時に検査が可能ですが、口蹄疫の場合は遺伝子検査による確定のためになんと東京小平の動衛研まで空輸せねばなりません。ほとんど日本列島を半分縦断する長距離です。自衛隊にでも頼むしかありません。

島からなるわが国には、同様の条件を抱える地方が北から南まで無数にあり、またそのような場所では山間地を活かした畜産が盛んなのです。

このように考えると、日本列島という地形で初動殺処分-埋却措置のみで対応するのは限りなく困難であることが分かります。

現在の家伝法や防疫指針は理想的な環境で、理想的な初動が行われることを前提としてできています。しかし、現実にはそれが可能な条件をもつ地域こそが限定されていおり、困難な地域のほうが圧倒的なのです。

口蹄疫とトリインフルを経て私たちは、今の日本の防疫体制と法制がもはや時代遅れであり、非現実的であることを認識しつつあります。

        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

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             上図 産経新聞 2月17日より転載

長崎県でハヤブサが陽性

産経新聞 2011.2.13 22:49

 長崎県は13日、同県諫早市有喜町の路上で衰弱した野生のハヤブサ1羽が発見され、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性反応が出たと発表した。県が14日に遺伝子検査をするほか、鳥取大が詳細検査を実施する。

 長崎県によると、ハヤブサは12日、路上にいるところを発見され、県に搬送された後、同日夕方に死んだ。県は13日、発見場所から半径10キロ圏にある16戸の養鶏農家に聞き取り調査するなどしたが、異常はなかったという。

愛知・新城の防疫措置完了

産経新聞2011.2.16 20:16

 14日確認された愛知県新城市の養鶏農場の高病原性鳥インフルエンザ感染で、県は16日、同農場の消毒作業を終え、鶏の殺処分や焼却を含む全ての防疫措置を完了した。新たにウイルスが検出されなければ3月上旬に制限区域が解除される。

 10キロ圏内の農場で飼育している鶏やウズラを目視で調べ、異常がないのを確認。さらに血液検査などを続ける。

 県は、農場を運営する業者の孵化(ふか)施設(同県豊川市)にある名古屋コーチンなどの有精卵約30万個の処分を検討。ふ化施設は制限区域外だが、発生農場が出荷した卵が含まれているという。

野鳥1羽の感染確認 大分

産経新聞2011.2.12 16:23

 大分県は12日、同県豊後大野市千歳町の県道沿いで衰弱していた野鳥のオシドリ1羽が見つかり、遺伝子検査をした結果、高病原性鳥インフルエンザ感染が確認されたと発表した。

 県は感染確認後、オシドリを安楽死処分にした。今後、鳥取大で検体を詳細検査し、強毒性かを調べる。発見場所から半径10キロ圏内にある養鶏農場9カ所に異常はないという。

飼育のハクチョウ340羽を殺処分 山口県宇部市の公園で

産経新聞2011.2.11 21:56

 山口県と同県宇部市は11日、コクチョウ1羽から高病原性鳥インフルエンザ感染が確認された同市の常盤公園で、飼育しているハクチョウなど約340羽の殺処分を終えた。県はコクチョウが見つかった湖の周辺を消毒し、防疫措置を完了したと発表した。

 県は11日、対策連絡会議を開き、同公園での監視を強化するなど対応を確認。半径10キロ以内の養鶏場などから異常は報告されていない。二井関成知事は殺処分について「放置しておけば被害が拡大するおそれがあり、やむを得ない措置だった」と話した。

 市は殺処分を決めた9日、約400羽を殺処分すると発表したが、飼育台帳と実数に差があったとしている。

宮崎県延岡市の養鶏場で鳥インフル陽性

宮崎県は16日、同県延岡市北浦町の養鶏場で鶏が死に、鳥インフルエンザの簡易検査で陽性反応が出たと発表した。

 県は遺伝子検査(PCR検査)で詳しく調べている。感染が確認されれば、今冬の養鶏場では、国内19例目となる。

 県によると、16日午後4時頃、肉用鶏約7500羽を飼育している同市北浦町

三川内みかわうちの養鶏場から「鶏が死んでいる」と連絡があった。10羽を簡易検査したところ5羽が陽性となった。この養鶏場は1月28日に発生した同市北川町の養鶏場の東約18キロにある。

(2011年2月16日19時26分  読売新聞)

■写真 わが村の簡易郵便局。ガタピシいうガラス戸を開けて切手を買いに行きます。

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口蹄疫問題」カテゴリの記事

コメント

目からウロコというか、離島のならではの問題ってありますね。
なんとか埋却できそうな地形の場所には人が住んでるものだし…。

工場跡地の重金属含有残土処理みたいに厳重にするにしても、時間がかかりすぎます。

投稿: 山形 | 2011年2月17日 (木) 07時37分

批判覚悟で素人意見を書きますね。
埋却できないなら「焼却してしまう」←宮崎口蹄疫の時に、現地の実情では無理だと叩かれました。

あとは、それこそ素人の暴論ですが…『海洋投棄』くらいしか無いのではないでしょうか?

投稿: 山形 | 2011年2月17日 (木) 09時05分

口蹄疫は、くじら類も移りますので、海は、どうかな?

投稿: りぼん。 | 2011年2月17日 (木) 09時24分

あちゃー、口蹄疫って鯨類もやられるんですか?
私の勉強不足でした。鯨マニアなんですが恥ずかしい。

となると、離島で発生したら現行の処理方法ではますます対処不能ですね…。


ブログ主様、コメント連発すいませんです。

投稿: 山形 | 2011年2月17日 (木) 09時51分

鯨に感染するのは、口蹄疫ではなく鳥インフルかと。

投稿: コンタン | 2011年2月17日 (木) 10時49分

コンタンさま。

訂正ありがとうございました。(ごめんなさい)

野生アザラシなどで、鳥インフルエンザが見つかったそうですね。

しかし、行政は、非常に、保身ばかりで、前向きでないのが、正直、腹が立ちます。防疫のため、ウインドレス鶏舎を薦めておいて、いざ、病気が発生すれば、事業者が、悪いの1点張り。

大体、県の施設で、ウイルス伝染病が発生していることは、棚に上げてしまっている。行政運営施設で、防疫の完全見本を見せるべきと思います。

口蹄疫、新燃岳、鳥インフル、韓国口蹄疫、台湾口蹄疫。。。どれも、現在進行形なので、頭が混線してきています。

投稿: りぼん。 | 2011年2月17日 (木) 11時15分

宮崎県延岡市は17日に、北浦町の養鶏場で陽性反応が出たと発表しました。今朝から殺処分中です。

投稿: katouhisasi | 2011年2月17日 (木) 11時35分

本当に彼方此方での発生・・・・・段々手に負えなくなってきていますね。

チョット本題と離れますが、濱田様が「カロリーベースの自給率」の計算方法について、先般の記事で???と書いていましたので、参考になれば・・・と思い情報提供です。

・題名=「食糧自給率」の罠
 サブタイトル=輸出が日本農業を強くする
・著者:川島博之(東京大学大学院農学生命科学研究 科 准教授)
・発行所:朝日新聞出版社
・価格:?

上記の本に自給率(カロリーベース)の計算方法が記載されています。

参考までに・・・・・

投稿: 北海道 | 2011年2月17日 (木) 11時48分

トリインフルエンザが緊迫した状況の中、コメントを取り上げていただき、ありがとうございます。私の言いたいことを100%理解して、更に皆様により分かり易く伝えていただき、感謝しています。
私は南の島で牛だけで生計を立てている農家です。昔はサトウキビとの複合経営でしたが、キビでは家族を養っていけず、和牛繁殖専業となっています。鳥の事は全く知らないので、濱田様のブログをさかのぼって読みながら勉強しています。
見当違いな事をコメントしてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。

投稿: 南の島の黒毛和牛繁殖農家 | 2011年2月17日 (木) 13時34分

離島のみならず、広い土地があり埋却地には困らない様に見える北海道十勝でも町村によっては、埋却地確保に苦慮するところが多々あります。
我町でも、口蹄疫発生を想定した埋却地シミュレーションしてみた所、3分の一の農家分が隣接する土地に埋却出来ない事が分かりました。
最大の理由は、5メートルも掘ると水が湧き出ます。
(水源地ではありませんが)これを克服しないと埋却出来ず、2~3キロメートル運搬して「町有地」に埋める事で、処理しようと行政と打ち合わせしている所です。
全国各地でシュミレートしたら、同じ様な所が多いと思います。
発生してから慌てる事の無い様、事前準備が必要だと
思っています。

投稿: 北海道 | 2011年2月17日 (木) 14時53分

もしも、南西諸島の島々で口蹄疫が蔓延してしまったら、
笑い話ではなく真面目に考えて、牛汁にして親戚一同で食べてしまうのが一番いいです。超法規的措置です。
考えたくも無いのですが、もし、南の島々に口蹄疫が襲ってきた場合、私たち畜産農家以上に被害を受けるのは観光産業です。
この事を考えただけで、殺処分一本槍の方針は破綻しています。
県は国に異議を唱えなければならないのですが、この様な危機感を全くイメージできていないのが現状です。

投稿: 南の島の黒毛和牛繁殖農家 | 2011年2月17日 (木) 18時52分

川島 博之 さんの本はいくつか目を通しましたが、
食料の安全保障ということについて、「輸入ができなくて食糧不足になるような事態はほぼ起こらない」
という川島さんの主張には説得力があります。

むろん、過去に大丈夫だったから、将来も大丈夫とは限りませんが、食料安全保障論を振りかざす
国内農業の保護論については、ちょっと違うのではないかと感じています。

投稿: コンタン | 2011年2月17日 (木) 20時22分

北海道様の仰る通り、
山形でも肉牛生産や酪農は山間部が圧倒的に多くて、隣接地に埋却できる農場はかなり限られるようです。
平らな場所は村落や貯水池が多いですし。
昨年の宮崎での発生を受けて、県の方でも検討はしているはずなのですが…実際大規模に処分するとなると極めて困難になることが予想されます。

まだまだ広いと思ってたのに、日本全体が「山の多い島国」であることを改めて感じました。

投稿: 山形 | 2011年2月17日 (木) 21時52分

濱田さんお久しぶりです 映画七人の侍改めて観たのですが襲ってくる野武士は紛れもない伝染病ですね。助っ人のお侍さんに国の役人の姿を重ねる事は無理がありますね(笑)蔑まされた農民 百姓は本来叩きこまれた境遇の中でも生き抜く術を学んだと察します。どんな状況下でも跳ね返す知恵と勇気を派生させる事こそ共同帯としての我ら農民の凄みとしての知恵であり それに対しての映画でのエンディング志村さんの 勝ったのは農民だと言わしめたセリフにつながるのかもしれませぬ。場違いなコメントお許しください。ただどんな状況下でも負けぬ我が職業的先達の知恵の重ねた歴史こそ何がしかの勇気になると考えています。

投稿: doll24 | 2011年2月18日 (金) 05時38分

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