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ワクチンを使えないとする動衛研の理由に反論する

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動物衛生研究所のHPにトリインフルQ&Aというコーナーがあります。ここにトリインフル用ワクチンの項があって、農水省がなにを「使わない」理由にしているのかがわかります。

4ツばかりその理由を上げているので、一つずつ私のコメントをつけていきます。

●動物衛生研究所 トリインフルエンザQ&A

Q10.鳥用のワクチンはありますか?

●A.海外では鳥用のワクチンが生産されていますが、日本を含め世界の多くの国ではワクチンを使用せずに、殺処分による防疫措置が採られています。

■私のコメント・・・この動衛研の言う「世界の多くの国」の防疫方法は大きく変化し始めています。特に先年の欧米では大流行を経験したために、殺処分だけで防疫できないという反省が生まれてきています。

今回の韓国の口蹄疫とトリインフルのダブル大発生をみると、ワクチン接種の遅れにより国内畜産業そのものが壊滅に瀕するケースすら出てきました。

また韓国では、国内畜産が壊滅状態になったために豚肉価格がモノ不足による高騰を引き起し、結局政府が緊急輸入のために豚肉の無関税枠を急遽設定するという悲喜劇が生まれました。

アジアでもっとも防疫体制画整っているといわれ、殺処分方針の権化のようだった韓国はこうしてワクチン接種国となりました。

防疫は完了しました、しかし国内畜産は滅びました、輸入畜産物に制圧されましたでは、防疫官僚の皆さんは税金で喰っているから痛くもかゆくもないでしょうが、農家はそれでは困るのです。

防疫はあくまでも畜産という経済分野を防衛するためのものです。

●動衛研・・・(ワクチンを使わない)理由は、ワクチンは発病を防ぐことはできますが、ウイルスの感染および排泄を防ぎきれないためで、以下のような問題点があります。

1) 発症及び死亡の軽減により感染の発見が遅れてその間に他の鶏群に蔓延する危険がある、

■私のコメント・・・2006年11月の農水省動物用医薬品等部会の審議において、メキシコ製輸入ワクチンは、神奈川と埼玉の農場実験において山口株に対して100%の感染防御をした実験結果が報告されています。

一方、対照区の無接種区域では100%が死亡しました。これを見ても、トリインフル・ワクチンが非常に有効な感染防疫方法であることは明白です。

感染鶏の「発見が遅れる」ことを理由に上げていますが、高病原性トリインフルH5N1型は劇症を呈します。数日間で死亡鶏が激増し、それに気がつかないとしたら農家はとんだマヌケか、あるいは意図的な隠蔽を考えているかのどちらかです。

また、接種に使われるワクチンは同じトリインフルでもN2型と呼ばれる弱毒タイプのものを使います。これはまったくと言っていいほど死亡鶏を出さないタイプの株です。

それは当たり前で、家畜にワクチンを打ったら死んじゃったではシャレになりません。ですから、死亡鶏の急増、産卵の激減、食下量の激減、トサカのチアノーゼ現象など、感染鶏を区別する指標は沢山あるわけで、これを農家は見逃すだろうと言われれば、はいオラたちオメー様たち学者先生と違って愚民ですから、と答えるしかありません。

このあたりを読むだけでムカムカしてきます。たぶんこの「見逃すだろう」という理由が最大のものなのでしょうが、動衛研あたりの防疫官僚たちの本心が漉けてみえて実に不愉快です。( ゚д゚)、ペッ

●2) 接種群は定期的にウイルス侵入の有無を検査する必要があり、侵入が確認された場合には接種群も淘汰となる。

■ 私のコメント・・・な~に言ってんだか、です。茨城県で500万羽超える殺処分対象が生じた2005年の時は、抗体検査で陽性が出たにもかかわらずウインドレス養鶏場のみを「安全性が高い」というわけのわからない理由で殺処分対象からはずし、おとり鳥を置くことで「監視下」にするという仰天の方針転換をしたのは農水省じゃないですか。

陽性がでても殺処分を回避できるという前例があるのですよ。2005年の茨城トリインフルの疫学報告書を読んでから言って下さい。

感染拡大が接近したら、接種区域におとり鳥を置けばいいだけです。平時には、家保が定期的に抗体検査すりゃいいだけでしょう。なにをご大層に言っているのか。

「淘汰をせねばならない」って、あなた、それはワクチンを打っていないので感染が発生してしまったからです。そもそも、感染がでなければ摘発淘汰などする必要そのものがありません。ニワトリが先か、卵が先かをやってるんじゃないですよ。

要するに、殺処分は家伝法第十六条と十七条に規定されているからという理由だけではないですか。

法律がありきだというのなら、私はその法律自体が時代遅れで現状に合わないと主張しているのです。そして今私か打てと言っているのは、平時の農家使用ではなく、緊急ワクチンです。

緊急ワクチンについては家伝法第31条に、「都道府県知事は、原則として同一の移動制限区域内の複数の農場で本病が続発し、発生農場の飼養家禽の迅速な淘汰が困難となり、又は困難になると判断される場合」に都道府県知事の命令で使用できるとあります。

宮崎県の第1例、、第2例は同一の移動制限区域にありました。ここでどうしてワクチン接種に踏み切らなかったのか理解に苦しみます。たぶん「迅速な淘汰が困難」ではないと判断したのでしょう。結果、続々と飛び火していくことになり、殺処分に追われることになりました。

あるいは感染伝播が渡り鳥だから、そもそも感染拡大をハナから防疫をあきらめているのでしょうか。まさかとは思いますが。

養鶏協会も要望書で言っているように、発生を見たら、移動制限区域にワクチンを打つことがもっとも安全かつ安価な方法です。

そしてかつて2005年に農水省が使った手段のように、ワクチン接種区域にはひと棟ごとにおとり鳥を置くことで監視下に入れ、定期的にモニタリングすることでてほんもの感染かどうかを判別すればいいのです。

このように言うと必ず、「ワクチン接種すれば殺処分」とオウム返しの答えが返ってきますが、殺処分に要する膨大な費用、人員、経済ロスを考えれば、緊急ワクチンをして2005年茨城おとり鳥方式を取ることが安全、安価、確実な方法です。

3) 清浄化までに長期間を有し、海外発生国からの生きた家きんおよび家きん肉の輸入禁止措置がとれなくなることにより養鶏業の国際的競争力が低下する可能性がある。

■私のコメント・・・そんな心配は防疫当局がすることではありませんが、いちおうコメントしておきましょう。。

2003年の0IE総会でワクチン接種して清浄性が確認されれば6カ月間で清浄国ステータスに復帰できます。殺処分のみした場合は3カ月間ですから、わずか3カ月間の差でしかありません。

また清浄国スナータスから転落しても、現実の輸入は2国間交渉で決せられるのであり、充分にブロックできる期間です。

それに鶏肉や鶏卵は充分な国際価格競争力を持つ分野です。むしろ壊滅したことにより需給関係が狂って、緊急輸入しなければならない韓国のような事態のほうが問題です。

4) ウイルスが長期残存し、ヒトに感染する新型ウイルスの出現につながるおそれがある。

■私のコメント・・・ヒト感染して新型ウイルスになる可能性が高まっているからこそ、ニワトリで納まっているうちに制圧しろと言っているのです。都市近郊に近づかないうちに制圧しないと大変なことになります。

 ●なお、農林水産省は、万一発生が拡大し、摘発淘汰だけでは防疫不能となった場合に備え、輸入ワクチンを備蓄しており、更に国産ワクチンの開発を進めています。
 万が一の場合の鳥インフルエンザワクチン使用は国の監視下で行うことになっており、それ以外での使用は違法行為となります。

■私のコメント・・・はい、私も備蓄していることはよ~く存じていますよ。国産もあることも知っていますよ。そして今が「万が一」の時です。

緊急ワクチンはほんとうに大流行して手がつけられなくなってからするものではありません。決断の鈍さが大災害につながったのは、宮崎口蹄疫を学習すればわかるはずです。

■写真 原っぱが朝霜に輝いています。

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コメント

人間にはワクチン接種が強く推奨されてますよね。
私も毎年打ってますが、なぜ淘汰されないのでしょう。
というのは暴論のヨタ話ですが、

残念ながら人間でも副作用で裁判になったケースもありますから「役人さんはまず保身優先で臆病になってる」と考えるのは穿ち過ぎでしょうか?

あとは、単価の安いブロイラーに対してコストが見合うか懐疑的なのかも…などと考えてます。

しかし、世界の流れや現在の日本の発生状況を思うと、方針は大きく転換してワクチン防御に切り替えるべきとの考えを支持します。

投稿: 山形 | 2011年2月18日 (金) 09時05分

都市近郊に近づかないうちに制圧しないと大変なことになります。
>>>>
今回、愛知は、豊橋、新城での発生で、うずらのときのH7でなく、H5N1の強毒性です。

豊橋は、中核市です。政令市の次に大きい都市です。

つまり、都市近郊で、2年毎に、発生したという事実。今回は、H5N1の強毒性である。

人間にレセプターが出来ないうちに、制圧しないと、人、人感染の可能性がある。

また、豊橋地区は、養豚場もあるってことで、ワクチン接種の時期に来ていることは、動物衛生研究所、県中央家畜保健衛生所、農林水産省には、お願いしましたが、聞く耳は、まったくなしですね。

つまり、現在、悪法でも、家畜伝染病予防法がある以上、それを守るのだと。。。農家より官僚が大事なのです。

農家さんが、政治的に、改正家畜伝染病予防法(案)を作り、具体的に、要望しない限り、無理でしょうね。

投稿: りぼん。 | 2011年2月18日 (金) 09時20分

素人の疑問です。
農水省や日本の学者さんの主張は、AIワクチンでは感染を抑えきれずに延命してだらだらとウイルスを撒き散らすというものですよね?それなら、万が一の時でもワクチンを使うべきじゃないはずです。口蹄疫と違って感染したらあっという間に数日で全て死んでしまい、死んだらウイルスの増殖は止まりますよね。現在の農水省の方針では、ひたすら殺処分に突き進むしか道がないと思います。
それなのになぜワクチンを備蓄しているのだろうか・・・・
矛盾していませんか?

海外の例を見て、実はうすうすワクチンの有効性を認識してるとしか思えません。
それとも、ワクチン備蓄が何らかの利権に結びついるんですかね。

投稿: 南の島の黒毛和牛繁殖農家 | 2011年2月18日 (金) 12時38分

ワクチン備蓄が何らかの利権に結びついるんですかね>>>>可能性は、あると思います。ワクチン開発をさせた以上、ある程度、買い取るってことだと思います。しかし、私の知る限り、最低、4種類のワクチンが認可されているはず。。

少なくとも、意識の高い、このブログの読者でさえ、理解できない、ワクチン政策ですから、きちんと、ワクチンについて、説明することが、最低限の公僕の仕事です。

投稿: りぼん。 | 2011年2月18日 (金) 14時21分

(追伸)
H5N2不活化ワクチンを接種した鶏が、H5N1に感染しても、すぐ死亡しないから、感染拡大に気がつかない可能性があるってことでしょうか?

投稿: りぼん。 | 2011年2月18日 (金) 14時24分

家畜伝染病感染の原因にパチンコ店は可能性としてはないのでしょうか?失礼ながら農家の娯楽はパチンコです。パチンコ店でヒトとヒトとの感染は可能性としては有り得ると思います。特に離島等は要注意だと思います。農家の意識が変わらなければ家畜伝染病はなくなりません。畜産農家はパチンコをやめるべきです。

投稿: | 2011年2月18日 (金) 15時08分

連投で失礼します。またスーパー、コンビニに買い物に行く際にも徹底した消毒の意識を畜産農家には持って頂きたいです。パチンコをやるような畜産農家の肉は私は食べたくありません。モラルの問題です。これが一般人としての要望です。

投稿: | 2011年2月18日 (金) 15時39分

>H5N2不活化ワクチンを接種した鶏が、H5N1に感染しても、すぐ死亡しないから、感染拡大に気がつかない可能性があるってことでしょうか?

りぼんさん、実際どうなのか、私はわかりません。
私が少し調べただけでも、相反する様々なデータが見つかります。
動衛研が根拠にしているSwayneらの発表論文
http://www.niah.affrc.go.jp/disease/poultry/infl_vaccine.html
これ以外に農水の論理を裏付けるデータがあるのでしょうか?自分に都合の良い試験データしか利用しないってことは、世の中よくあることです。
様々な試験データを時系列で並べられないでしょうか?
ワクチンも進歩しているはずですから、ワクチンの有効性を見出せるかもしれません。

投稿: 南の島の黒毛和牛繁殖農家 | 2011年2月18日 (金) 18時49分

結局、動衛研のレポートだけで、農家全員が理解出来なければ、行政は、きちんと、ワクチンについて、納得できるように、やさしく説明すべきでしょう。
今回も、1日30羽の死亡で、すぐ届ける農家から、3日で、300羽死亡で、ようやく届ける農家まで、防疫に使う神経は、各農家で、バラバラでした。
全部の農家で、努力しないと、ウイルス感染は、止められないと思います。それには、まず、意識の向上からでしょう。(農家さんも、行政も、すべてですけど)

投稿: りぼん。 | 2011年2月18日 (金) 19時34分

りぼん様。結局、養鶏協会を動かしてまともな交渉をさせないとダメです。今、ご報告できませんがいろいろと動いているところです。

ただ、これは農水大臣が動かないとそうとうに扉は厚そうです。口蹄疫の山田大臣の位置にいる人が今回不在なのです。

宮崎口蹄疫事件で、養豚協会も山田大臣もいない展開とお考えください。

ワクチン接種して症状が出ないことが感染に気がつかないという件に関しては明日にでも記事化いたしますのでお待ちください。

「南の島」様、情報をいつもありがとうございます。頂いた文書は、輸入ワクチンの薬事審議の1年前ですが、内容的には符号しています。

あれから5年たっていますが、動衛研は認識をまったく変化させていないはずです。口蹄疫でも殺処分のみから欧州は違った方向へ行こうとしているという報告は5年前に疾病小委でされていますが、されたきりで進展はありません。

ある種のバリヤーが彼らの周りには張りめぐらされているようです。

投稿: 管理人 | 2011年2月18日 (金) 19時55分

「2006年11月の農水省動物用医薬品等部会の審議において・・・」
平成16年11月(2004年)の勘違いではないでしょうか。

投稿: メンドリまま | 2011年2月18日 (金) 23時22分

めんどりママ様。すいません。誤記です。2004年です。

投稿: 管理人 | 2011年2月19日 (土) 05時36分

http://www.keimei.ne.jp/article/20110215t1.html

鶏鳴新聞の記事(2011.02.15発行)「産業基盤の崩壊が心配されるAI被害 予防に主眼を置いた対策を」
は、理解しやすいのですが、、、

何回も、コメントして、すみません。

投稿: りぼん。 | 2011年2月19日 (土) 17時12分

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