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農水省の移動制限区域の事実上の5キロ圏内までの縮小は、吉と出るか、凶と出るか?

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鹿児島のトリインフルエンザによる移動制限区域内での鶏肉の加工処理について、情報が寄せられましたのでアップいたします。

結論から先に言えば、鹿児島では移動制限区域内の食鳥は、発生点から5㌔以上離れていれば、今までどおりに処理加工できるようです。

法的根拠は今年の1月22日に開かれた農水省疾病小委員会によります。
全文はこちらからどうぞ。http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/eisei/pdf/kakin_37_gaiyo.pdf

[以下引用]

食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会
第37回家きん疾病小委員会概要
(平成23年1月22日開催)

6 移動制限区域内の発生状況検査結果をふまえ、以下のようにして差し支えないこと。
(1)移動制限区域内の採卵鶏農家の検査結果がすべて陰性であれば、鶏卵を出荷すること
(2)(1)に加えて、移動制限区域内のブロイラー農家の検査結果がすべて陰性であれば、移動制限区域を縮小し、半径5kmから10kmの範囲を搬出制限区域とし、搬出制限区域内のブロイラーを移動制限区域外(「搬出制限区域」及び「搬出制限区域の外の区域」)の食鳥処理場に出荷すること。
[引用終了]

また農水省の2月7日のプレスリリースにもこうあります。記事欄外をご覧ください。http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/110207.html

この農水省疾病小委員会の答申を踏まえて、鹿児島はややっこしことをやっています。
まず、移動制限区域(半径10㌔)のうち、発生点から5キロと5㌔~10㌔の外縁部をわけて扱います。半径5㌔範囲までに事実上移動制限区域を縮小したわけです。そしてこれを「搬出制限区域」とし、5㌔から10㌔までを検査が陰性であることを条件として移動制限を解除したということになります。

ただし、5㌔~10キロ範囲を移動制限解除したといっても縛りがあるようで、制限区域「外」の食肉処理場に持っていけと言っています。、

結果、鹿児島県、大分県、そして本日のプレスリリースでは宮崎県においてもこういうことをしています。
5㌔内はいかなる移動も禁止し、外縁部は一回移動制限区域の外の食肉処理場に持ち出してと畜し、中抜き(内蔵と肉を仕分ける作業のこと)した後に、再度移動制限区域内の食肉処理場に戻します。

そしてこの制限区域内食肉処理場で肉の製品化をしているようです。

解りにくかったと思いますので、もう一回流れを書きますね。移動制限区域の外縁部5㌔~10㌔の鶏を制限区域外の食肉処理場に持ち込みと畜⇒制限区域内の食肉処理場に戻して製品化。

なぜ、全部の工程を制限内の加工場でしないのかと言えば、と畜ラインが止まってしまっているためです。また5㌔以内のブロイラー農家も出荷はできません。

う~ん、なんか判断に迷いますね・・・。口蹄疫の時の移動制限区域の取り扱いとはえらい違いです。

メリットとしては、正直に言って私たち養鶏農家には経営的には朗報です。従来の移動制限3㌔から、一気に今回から10㌔と3倍以上移動制限の幅を増やしたわけです。

半径10㌔といえば、私の住む地域から旧小川町の養鶏団地がすっぽりと入ってしまいます。あそこでなにかあったら覚悟を決めねばなりません。

しかし、「移動制限の例外」ということで、検査結果で陰性さえ確認できれば、事実上半径5㌔まで縮小して運用してやろうというありがたい農水省のお言葉ですが、なぜか心から喜べないワタクシ。

デメリットはと言えば、やはりやはりなんと言っても、移動制限区域というグレイゾーンから生体を清浄区へ移動することのリスクです。

口蹄疫の時も似たことを農水省はやっています。移動制限区域内の食肉処理場に外周部の家畜を持ち込んで処理させようとしました。少しでも殺処分を少なくしたい、そして無家畜ベルトを作りたいという意図だったようです。

結果はたいした規模の処理も出来ず立ち消えになりましたが、本来いったん移動制限区域としたら、清浄性確認までは内外の移動は厳に慎むべきなのです。

生体のみならず、家畜移動車両、作業員などにウイルスが付着している場合があり、それが食肉処理場をハブとして拡散してしまう可能性があるからです。

私は家保のする簡易検査が絶対であるとは思っていません。なにせサンプリングですから分母が圧倒的に少ない。ですから大分のように一回陽性が出て、その後にあろうことか陰性に逆転するという椿事が起きたりします。

だとすれば、検査結果で陰性確認したと称する移動制限区域内5㌔~10㌔の鶏や、その移動車両にウイルス付着がなしとはいえないでしょう。

この移動制限区域の事実上の縮小措置を見て、農水省がワクチン接種を考えていない理由がわかったような気がします。

既に5㌔以上は出荷を認めているのに、今更ワクチンもないだろう、ということです。たぶんそんなところです。

この農水省のうすら甘い認識が吉と出ますか、凶と出ますか・・・。

   

 

■農水省プレスリリース 2月7日

1. 大分県の高病原性鳥インフルエンザ発生農場を中心とする移動制限区域内の10農場(採卵鶏農場6戸、肉用鶏農場2戸、その他2戸)については、本日までに、感染確認検査(臨床検査、抗体検査及びウイルス分離検査)ですべて陰性を確認しました。

2. このため、

(1)出荷まで毎日死亡鶏の数を家畜保健衛生所に報告すること

(2)出荷開始日又はその前日に、家畜保健衛生所の臨床検査を受けて異常がないことを確認すること

を条件として、卵の出荷を認めることとします。

3.  また、現在10kmに設定されている家きんの移動制限区域の範囲についても、防疫指針において、感染確認検査等の結果を踏まえ、半径5kmまで縮小できることとしています(縮小される範囲については、搬出制限区域に設定)。

4. このため、移動制限区域を5kmに縮小し、5km~10kmの範囲を搬出制限区域に設定することとします。

■農水省プレスリリース 2月8日

1. 宮崎県における8例目の高病原性鳥インフルエンザ発生農場を中心とする移動制限区域内の32農場(採卵鶏農場1戸、肉用鶏農場30戸、その他1戸)については、本日までに、感染確認検査(臨床検査及びウイルス分離検査)ですべて陰性を確認しました。

2. このため、

(1)出荷まで毎日死亡鶏の数を家畜保健衛生所に報告すること

(2)出荷開始日又はその前日に、家畜保健衛生所の臨床検査を受けて異常がない

ことを確認すること

を条件として、卵の出荷を認めることとします。

3. また、現在10kmに設定されている家きんの移動制限区域の範囲についても、防疫指針において、感染確認検査等の結果を踏まえ、半径5kmまで縮小できることとしています(縮小される範囲については、搬出制限区域に設定)。

4. このため、8例目の移動制限区域を5kmに縮小し、5km~10kmの範囲を搬出制限区域に設定することとします。

■写真 三バカ大将の一匹。モカ太郎。兄弟でいちばん人なつっこく、さびしがり屋です。趣味、食う寝る遊ぶ。特技は食い物を瞬時で呑み込むこと。小犬レスリングで相手のシッポに噛みつくという反則ワザ。

■フォントカラーを黒に変えました。多少読みやすくなったでしょうか。

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コメント

と畜は制限区域外で、加工は制限区域内と言う事ですよね。
(生体を一旦10㎞以上外に出し、と畜してから制限区域内に戻して加工)

仮にウイルスを持った鶏がいたとしたら、当然ウイルスを飛散させ、感染拡大は免れませんね。
(検査をしたとしても数千羽から数万羽の中から十数羽の検査ですから、移動する鶏全てが陰性である保証は無いです)

業界からの要請なのか、移動制限に係る補償問題なのか?現地の当事者でないと分かりませんが、更なる感染拡大が無い事を祈るだけですね。

投稿: 北海道 | 2011年2月 9日 (水) 15時15分

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