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« 韓国紙による韓国口蹄疫批判記事 | トップページ | 2005年茨城トリインフル事件においてはトリインフルエンザがヒト感染していた! »

2011年2月 1日 (火)

トリインフルの怖さは豚を経由してヒト感染する可能性があることだ

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トリインフルエンザというのはある意味、口蹄疫よりやっかいな悪性海外伝染病です。

その理由の第1は、感染を持ち込むのが日本の場合渡り鳥だということです。相手が野鳥なんですよ・・・日本防疫陣が得意の水際作戦ができないじゃないですか。

昨年10月半ばに北海道稚内市で、野生のカモの糞の中からH5N1ウイルスが見つかりました。今年はこのことが発端でした。

シベリア方面で営巣し、樺太を経て北海道に渡ってきた渡り鳥には、毎年そうとうな確率でトリインフル感染鳥が混ざっています。

そして日本海側を通って南下する際に立ち寄った中継地で、たまたま居合わせたハクチョウなどに感染を移しました。これが富山、鳥取などでの発生例です。

もともと、渡り鳥は弱毒型のウイルスを持っています。夏場に北極圏の営巣地で感染します。しかし、そのウイルス・タイプは弱毒型なので死にません。そして糞の中に大量にウイルスを排出し湖などの水場を汚し、それを他の鳥が飲んで感染が広がるというわけです。

島根県安来市や宮崎県の養鶏場は、野鳥の集まる水辺の近くにあったため、渡り鳥がウイルスが持ち込んだと言われています。

と、ここまでは去年までのパターンです。今年は大きく様相を異にしていました。どこか?
シベリアからの渡り鳥がいきなり強毒型のH5N1ウイルスを持ち込んだのです

従来の定説は、強毒型ウイルスに感染した鳥は死んでしまうので、ウイルスは宿主ごと死んでしまう、従ってシベリアへ帰る渡り鳥が強毒型ウイルスを運ぶことはない、だからシベリアなどの北極圏の湖は弱毒型であると言われてきました。

しかし、そうではなかったのです。今年のシベリアから来た渡り鳥に強毒型トリインフルが見つかって、それが日本全国にバラ撒かれたとすれば、既にバイカル湖などのシベリア北極圏の湖ではウイルスは強毒タイプに変異したと思われます。

ということは、今後日本や韓国に毎年飛来する渡り鳥には、かならず強毒性トリインフルエンザ感染鳥が多数混ざっていることを覚悟せねばならなくなったということになります

また渡り鳥相手となると、空港の消毒などの水際作戦の効果は半減します。トリインフルはヒトをも媒介にしますから空港などの消毒は有効でのですが、大空には国境はありません。

第2に、これがもっともやっかいなことなのですが、非常に少ない可能性ですがヒトに感染しいわゆる「新型インフルエンザ」二変異する可能性があります。

特に東南アジアでは感染例が多く、死者さえ出しているためにWHOがベトナム、インドネシアなどに常駐しています。

強毒型H5N1型ウイルスの鳥からヒトへ感染した数は、2009年は60~70人と、08年の2倍ぐらいに増えました。2010年も既に50人弱の患者が出ており、うち約半数は亡くなっています。

これはもちろん、発生国の衛生環境が劣悪であった場合や、鶏肉の売買が生体で売り買いされたり、家の土間で鶏を飼っていたりするケースに、感染した人が虚弱だったりすることが重なって起きた、ある意味偶発的で不幸な出来事と言われています。

しかし、これを偶発的不幸な事例、劣悪な衛生環境の国でしかありえないと切り捨てることはできません。

というのは近年の事例では、たとえばインドネシアのケースにおいては感染した鶏から豚に感染する事例が出たのです。

ウイルスは特定の種を自然宿主とすることは知られています。トリならトリの呼吸器の中にのみしか生存できないと言われてきました。原則としては鳥類のインフルエンザは人類に感染できるはずがないと思われてきたのです。これがウイルスが「ひとつの鍵穴にひとつの鍵」といわれる存在のゆえんです。

しかし、このトリインフルエンザにおいては、そのありえないはずの「種の壁」を飛び越えて感染する事例が出始めました。

その橋渡しをしたのが、ヒトと同じ哺乳類の豚です。感染した豚は豚に感染を移します。ところが豚はカモといっしょで感染しても症状が出ないのです。もちろん死亡もしないし、食下量も異常がみとめられないから困ります。

豚の管理者は自分の豚が罹ったことに気がつかずに、群れの中でそのまま飼って、市場に出してしまいます。ここからトリインフルの豚感染がいっきに拡がります。

となると、後はご想像どおりです。豚はヒトと共通のウイルスの宿主である場合がありますから、ごく稀ですが豚経由のトリインフルに感染してしまう場合が出るのです。

インフルエンザウイルスを構成するアミノ酸は5000個ぐらいあり、トリ型とヒト型では30個ぐらいのアミノ酸に違いがあります。

ブタ型は30個の半分が鳥型、半分が人型です。このようにウイルスのアミノ酸組成の半分ずつをトリ型とヒト型で併せ持っているためにブタ型はヒトインフルエンザに変異する可能性が高いのです。

インフルエンザ・ウイルスはウイルスの特性として非常に変異しやすく、30のアミノ酸全部がヒト型にならないとヒト感染しないわけではなく、半分の15個変われば十分だそうです。いわば30桁のスロットマシーンを回し続けて、15の桁がいつ出るのかを待つ、ということだと研究者の間では言われているそうです。
(以上の知見は、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター・田代真人センター長による)

とまぁ、こんな風にトリインフルほど扱いにくい人類の敵は自然界にいません。口蹄疫は牛と豚、野生偶蹄類にのみ照準を絞って対策をたてればよかったのですが、トリインフルは無数にいる野鳥と豚までも防疫の対象にせねばならないのです。

私は先日の宮崎県の大規模ブロイラー業者を反社会的だと批判しました。その理由のひとつには、食肉処理場ほどトリとの濃厚接触が起きやすい場所は世の中にないからです。

処理するトリを一羽ずつ出荷コンテナに詰める、それを一羽ずつ出す、そしてまた一羽ずつラインのコンベアーのフックに吊るす、一羽ずつ頸動脈を切る、そして一羽ずつ包丁で解体して食肉加工する・・・このような一連の作業は近代的食肉加工場といえどすべて手作業です。

この過程にヒト感染がありえる感染鶏を大量に持ち込んだら・・・。実は、2005年の茨城トリインフル事件においても、弱毒タイプでしたが食肉加工場の作業員40名が感染したことがわかっています。

今回、かろうじて処理以前にストップがかかってよかったと思います。あのラインを回していたらと思うとゾッとします。

トリインフルをむやみと恐れる必要はありませんが、非常に怖いウイルスであることを頭に入れて闘わねばなりません。

■ 写真 わが家の小犬。名前はミルク♂です。趣味は食べることと小犬レスリングです。ただし強くありません。実にシャイな可愛い子です。

■ 大分の検査結果が修正されたようです。最初にアップした記事の当該部分を削除し、修正しました。

 大分県は29日、同県宇佐市の養鶏場から出荷された鶏が熊本県内の食鳥処理場で死んでいるのが見つかり、鳥インフルエンザの簡易検査でいったんは陽性反応が出たが、再検査の結果、陰性だったと発表した。大分県が出荷元の養鶏場でも簡易検査をしたが、陰性だったという。

 県によると29日午前10時、熊本県の保健所職員から、簡易検査の結果、5羽中5羽から陽性反応があったと連絡があった。このため、大分県の家畜保健衛生所が出荷元の養鶏場で25羽を簡易検査したところ、いずれも陰性だった。

 熊本県も別の保健所の職員と、同県の家畜保健衛生所の職員が再度、簡易検査したがいずれも陰性だったという。熊本県から大分県に対し、「ご迷惑をかけた」と謝罪があったという。 (朝日新聞 1月29日)

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コメント

ほんの2年前、テレビではパニックともいえるほど「新型インフルエンザの脅威」を煽り、ドキュメントタッチのドラマや映画にもなりました。
ワクチン足りない騒動も国会で糾弾されてました。

そして咋シーズンから実際に人インフルエンザが新型にシフトしてみると、たまたま弱毒性で拍子抜けしたせいか、今現在は「鳥→豚→人」ルートの怖さはどこも報じません。

何ら危険性は変わりないのに、とにかくマスコミ報道は極端すぎます。

せっかくのネット社会ですから、こちらのような「注意喚起」をするブログは有益だと考えます!

大分の件は、結局、再検査で陰性となったと思います。
http://www.asahi.com/national/update/0129/SEB201101290011.html

ありがとうございます。追記で修正をかけました。

渡鳥相手ですから厄介です。
それも絶滅危惧種とか保護鳥、天然記念物のレベルになると、駆除したり飛来を防止する事も出来ません。
越冬地に辿り着く前に立ち寄る湖沼はある程度固定しているとは言え、防御の方法が見当たりません。
濱田様が仰る通り、ある意味口蹄疫より厄介であると思います。
私の住む十勝でも、春先には湖沼は勿論ですが、雪解け水が溜まった畑に沢山の鳥が羽を休めています。
(地表の雪は融けても、土壌凍結が解けないと畑が乾燥しません)
何とも悩ましい状況です。
ウインドレス鶏舎でも発生する訳ですから、防鳥ネット云々レベルではないかも知れませんが、それでも出来得る限りの防疫対策を講じるしか手はない様に感じています。
リスク低減には一番可能性の高い「人間」が持ち込まない様にする事が、どんな病気に対しても必要な事なのでしょう。
家族経営では難しいでしょうが、場内担当職員と外部担当職員の完全分離、事務所も別々なんて事も必要かも知れないですね。(大規模経営ではすでに実行していますよね)

簡易検査の精度が低すぎるんですかね?
まるでオセロのようなひっくり返り方です。
仕事ちゃんとしてて謝る職員も大変だし、以後簡易検査の結果が軽んじられるケースが生じないかと心配にもなります。

他県と宮崎県の3例目以降の伝染経路が異なっているのかもしれませんが、簡易検査の精度が低くても、複数検体の大部分が陽性を示しています。そこが否定されたら、初動は結局動けません。オセロのような大逆転は、過去にもあるんですよね。何を信じて良いのか解らなくなりますよ。偏屈者の自分には、真実は別にあると思っています。

私も大分の逆転結果は納得いきません。非常に不透明なものを感じます。

宮崎で7例目、宮崎市高岡町ですから都城、小林に制限区域がかかります。

人に移る用件として、鳥インフルと豚インフルのレセプター因子を人間が持っていることが、用件になるとか、どこかに、書いてありましたけど。。

インドネシアやベトナムでの、人間の死亡者は、どうやら、両方のレセプターを持っていたらしいとか?

鶏の糞を、素足で、踏んで生活していない日本では、危険性が、少ないのでしょうか?

もっと、詳しいメカニズムが、解ってくると、安心するのですが。。

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