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2011年3月11日 (金)

家伝法改悪 前世紀型殺処分一本槍路線の補強

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家伝法が改正になります。家伝法改正案は、2月23日に開かれた民主党の農林水産部門会議で了承され、3月初旬に閣議決定して国会に提出される運びとなります。

現在の進捗状況は、下の資料欄にあるとおり、パブリック・コメントを掲示して、「国民の声も聞きましたからね」という形式(いいわけ)を整える段取りに入っています。

このようなパブリック・コメントの募集は、最期の最期に与野党の根回しも終了し、閣議決定を通じて、国会提出後に静々と出されてきます。ほとんどの国民や生産者は農水省のサイトをウオッチし続けないと存在自体を発見することすら出来ません。

締め切りは4月2日までです。私も出してみます。

家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案

http://www.maff.go.jp/j/law/bill/177/pdf/kaden1.pdf

さて、内容的は新味はありません。従来通りの殺処分をいかに素早く出来るか、いかに予防的殺処分の網をかけられるか、届け出などで生産者を縛り上げるか、ということに重点が置かれた内容です。

このような改正案はかねてから報じられていたもので、農水省は検証委員会のお墨付きを待って、形にしたことになります。

ただし、筒井副大臣は国会答弁で家伝法の枠外で、「ワクチン接種のタイミングを明示する」という発言をしていますから、半歩の前進はあったと評すべきなのかもしれません。

なお、下の「鶏鳴新聞」にもありますように、かねてから患畜、疑似患畜の予防的殺処分に猛烈に反対してきた日本養鶏協会に押されて、鶏の高病原性鳥インフルにおいては回避されたようです。当然ですが、まぁよかったと言うべきでしょう。

23日まとまった改正案では、おおむね以下です。

①感染した家畜や感染が疑われる家畜を処分した場合、補償として国が支払う手当金を評価額の5分の4から全額に引き上げる。

②農家などが発生の通報やまん延防止対策を怠った場合には、手当金の全額または一部を交付しないか、返還させる。

このような家伝法の改正、いや改悪は、いっそう口蹄疫や鳥インフルがアンダーグラウンドになる傾向を強めるでしょう。

なぜなら、口蹄疫においては、マーカーワクチン(NSPフリーワクチン)接種した後、NSP抗体検査を行い、清浄性確認から6カ月後の清浄国申請という道筋をあらかじめまったく塞いで、現行の殺処分一本槍路線を強化する内容だからです。

届け出ても地域ごと全殺処分、出なくとも致死率が低いので隠匿も可能ならば、いっそう「見逃した」ということで隠匿というケースが陰で進行することでしょう。厳罰化するというのは、そのような反作用も生むのですよ。農水のお役人さん、あんたら畜産の現場を知らないね。

ところで昨年の宮崎口蹄疫事件では、NSPフリーワクチンは使用されながらも、現行法との兼ね合いからワクチン接種-殺処分が同時に行われました。

この日本での最初のワクチン接種によるウイルス抑制は見事に成功し、感染拡大を大きく遅らせました。このことは、埋却地の決定的不足で混乱の極みにあった殺処分作業に貴重な「時間」を稼ぎだしました。

農水省は山田前大臣の退任と共にまた歴史の振り子を元に戻そうとしています。新家伝法にあるのは、「ただひたすら殺すことこそが口蹄疫や鳥インフルの防疫の王道なのだ」とする旧弊な思想です。

EUで先行しているNSPフリーワクチン接種による新しい防疫思想は髪の毛一本も反映されていません。自らの旧式な前世紀的防疫方法を罰則強化することで補強するだけです。

この家伝法改悪で、ワクチンを使った防疫はいっそう遠のきました。国は口蹄疫や鳥インフルの直接的損害よりはるかに多い殺処分-予防殺処分に法的根拠を与えることで、破壊消防のような発生地域畜産を丸ごと磨り潰す方針に舵を切ったのです。

このような方針は、やがてやって来るTPP時代にいっそう畜産を弱体化させるでしょう。なぜなら、口蹄疫や鳥インフルは毎年のように襲来し、その都度巨大な爪痕を残していくからです。

そしてそれに対して毎年のように巨額な税金を投じて殺処分し、補償金が支払われることになります。政府や地方自治体の財政が火を吹いている時になんという贅沢な方針であることよ。

こんな馬鹿げたことをいつまでも国民が許すと思っているのでしょうか。国民は毎年のように続くこの愚行に怒りを向ける日が必ずきます。

その時にはもはや国民の多くは、去年のように「がんばろう、宮崎」と応援の声を上げず、「勝手にしろ。ただし、おれたちの税金は使わないでくれ」と言うことでしょう。

その兆しは既に、今年の宮崎鳥インフルでの冷やかな世論にも見られており、金融機関は畜産業を貸し付け要注意リストに入れました。

今、日本畜産は輸入自由化や飼料高で苦しんでいます。その背にまたもうひとつの重石を置いたのがこの家伝法改悪なのです。

               ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■ 予防的殺処分」は口蹄疫に限定 手当金は評価額の全額交付 家伝法改正案


「鶏鳴新聞」 2011.03.05発行

 農林水産省は、今国会に提出予定の家畜伝染病予防法(家伝法)改正案をまとめた。日本鶏卵生産者協会が中心になって反対していた『家畜の予防的殺処分』は、口蹄疫に限定し、高病原性鳥インフルエンザは対象外となった。口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザの患畜や擬似患畜の補償は、通常手当金と特別手当金で、評価額の全額を補償する一方、家畜伝染病の発生やまん延防止に必要な措置を講じなかった場合には、手当金の全部または一部を交付しないことや、返還を求めるペナルティーなどを新たに盛り込んだ。

 家伝法改正案は、2月23日に開かれた民主党の農林水産部門会議で了承され、3月初旬に閣議決定して国会に提出される。
 改正案では、口諦疫、高病原性鳥インフルエンザの患畜や擬似患畜の補償は、通常手当金と特別手当金で、評価額の全額を補償する一方、家畜伝染病の発生やまん延防止のため、農家の通報義務や飼養衛生管理基準の順守を盛り込み、怠った場合には、手当金の全部または一部を交付しないなどのペナルティーを新設している。

 飼養衛生管理基準は、飼養規模の区分に応じて決め、都道府県知事は、衛生管理が適正に行なわれるよう、家畜の所有者に指導・助言、勧告、命令を行なえるようにしている。

 急速かつ広範なまん延を防止するためにやむを得ない時に、患畜や擬似患畜以外の家畜を殺処分する、いわゆる『予防的殺処分』については、当初は高病原性鳥インフルエンザなども対象であったが、日本鶏卵生産者協会が強く反対し、与党の民主党や国民新党だけでなく、野党の自民党も反対の立場を示したため、口蹄疫に限定する内容となった。

 高病原性鳥インフルエンザの定義については、これまでは強毒タイプ、弱毒タイプに分けていたが、国際的な定義に従い、高病原性鳥インフルエンザと低病原性鳥インフルエンザに分けた。

 また、豚コレラ、高病原性鳥インフルエンザなどについては、命令を待って患畜や擬似患畜の殺処分を行なう疾病から、直ちに殺処分を行なう疾病に変更する。
 防疫指針は、最新の科学的知見や国際的な動向を踏まえ、少なくとも3年ごとに再検討するほか、わが国へのウイルス侵入防止のために、動物検疫の強化や、家畜以外の動物が家畜伝染病にかかっていたり、その恐れが高いときは、消毒や通行の制限・遮断を行なえるようにする。
 患畜や擬似患畜の評価額の全額補償や、手当金の全部または一部を交付しないなどのペナルティーは、昨年11月に発生した高病原性鳥インフルエンザから適用することにしている。

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■ 三谷克之輔氏の緊急提言を転載いたします。
   
http://sato-usi.blog.ocn.ne.jp/blog/

緊急提言! 家畜伝染病予防法改正に反対を

政府は3月4日、家畜伝染病予防法改正案を閣議決定し、今国会に提出した。 感染していない畜産農家の家畜の予防的な殺処分と、感染の通報が遅れた農家への罰則を新設したのが柱。野党も賛成しており、成立する見通しだ。

以上の報道は農水省の報道発表資料には公表されていませんが、法令、告示・通知等 で改正案を確認できました。この家畜伝染病予防法改正案の問題点の詳細については別に論じたいと思いますが、健康な家畜を守るために健康な家畜を防火帯的に殺処分する予防的殺処分に法的根拠を与えている点は大きな問題です。この予防的殺処分は、英国や韓国の大災害の原因となり、口蹄疫の被害はウイルスが原因ではなく、国の防疫政策によるものと非難されています。

英国では予防的殺処分に対する法的根拠を求められ法を改正しましたが、その実行の前にワクチン接種を必要とし、ワクチンを使わない場合はその理由を説明する義務が課せられました。韓国は感染拡大阻止のために、家畜を生かすためのワクチン接種に踏み切りました。しかし、日本では家畜を生かすための方法であるリングワクチンと称して、予防的殺処分を伴うワクチン接種を実施しました。しかも、この10年間に著しく進歩した海外の防疫対策を隠蔽し、ワクチンに対する正しい情報を提供していません。

EUでは家畜を生かすためのワクチン接種を中心に防疫政策を大幅に変更し、口蹄疫発生を確認したら5日以内にワクチンを準備することになっています。

日本のワクチンを使わない防疫政策は間違いだと海外からも指摘されながら、このことを無視し、第三者委員会と称した口蹄疫対策検証委員会も行政側の専門家で固めて、防疫方針の問題点を批判することはなく、非科学的な説明でワクチン接種と口蹄疫ウイルスを早く見つけるための簡易遺伝子検査(PCR検査)の導入を否定しています。

国の家畜衛生行政に関係する獣医学専門家は、科学的でない防疫政策をなぜ強引に推進するのでしょうか。家畜衛生行政の権威と権限を守るために、多くは自然治癒する口蹄疫の感染拡大を阻止するという名目で、健康な家畜の大量虐殺を正当化する暴挙は許されません。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■ パブリックコメント:意見募集中案件詳細
農業 /肥料、農薬、防疫
家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案についての意見・情報の募集について

案件番号 550001332
定めようとする命令等の題名 家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令

根拠法令項 家畜伝染病予防法施行規則第9条、第37条及び別表第1

行政手続法に基づく手続であるか否か 行政手続法に基づく手続 
所管府省・部局名等(問合せ先) 農林水産省消費・安全局動物衛生課
電話:03-3502-8111(内線4582)

案の公示日 2011年03月03日  意見・情報受付開始日 2011年03月03日  意見・情報受付締切日 2011年04月02日 
意見提出が30日未満の場合その理由

関連情報
意見公募要領(提出先を含む)、命令等の案
意見公募要領   関連資料、その他
家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案新旧対照条文   家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令について   資料の入手方法
農林水産省消費・安全局動物衛生課において配布



■写真 白い菊です。少しいじってみました。

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コメント

通報の遅れには罰則…
これは前進だと思いますが、だれがいつどうやって判定するんでしょう?

結局利権のからむ大企業や政治判断で歪められるのではないでしょうか?

通報遅れに罰則というのは、現在、台湾でやっていることで、いわゆる行政は、きちんとやってますよ。と言うアピール作戦ですね。

パブリックコメントで、聞いてもらう方法は、はがきでよいので、印刷ではなく、できるだけ自筆で、特定の投函日を決めて、全国の畜産、養鶏農家さんが、一斉に「家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令改悪法案反対」とか、「ワクチン接種プログラムなき、改正は、反対」とか、キャッチフレーズを、5つくらいに絞って、数千、数万通を、出すことです。これ、記録に統計上載りますし、政治的判断が、必ず動きます(どう、動くかは未定ですが、組織票は無視しにくいです)

過去、成功したことは、あります。
ネット上に、親切、丁寧な、記入例とか、自筆でお願いしたい(本当にたくさんの人が不満に思っていること)差出人名を書いてほしい。消印を、全国各地にしてほしいなど。。書き方を具体的に説明してね。

今から、意のある農家さんが、1農家、家族別々の名前で、10枚はがきを出せば、ある日に、ダンボール箱で、郵便局から、担当者に到着するので、1人のいたずらか、本当の意見かは、判断するでしょう。

任意団体名をつければ、その代表者に、電話してくる可能性もありますし。。。

そのとき、特に頼んで無くても、お付き合いの有力国会議員、複数の名をちらつかせるとか、(選挙区関係なら効果あるかも)

口蹄疫被害者同盟?さんとかも、独自で、やってほしいとは、思うのですが。。

追加

できれば、同じものを農水大臣あてとかにも、同量だしてほしいですが、官僚は、大臣にはがきは見せません、エクセルの統計表、ぺらだけです。

ただ、大臣は、箱を見るだけで、中身は、みないでしょうが、ダンボール1杯、はがきが着てますと秘書が言うと思います。数が来た=選挙が心配。って言う真理的圧力はあるはずです。官僚は、そういう事実を隠したがりますが、郵便物は、ファックスのように、隠せません。親書扱いのものは、存在自体、消しにくいです。

りぼん様、ありがとうございます。
パブリックコメントには「手書きはがき」を呼びかけ、酪農、肉牛、和牛の関係団体にも問題点を連絡し、動いてもらうように働きかけます。

予防的殺処分は被害を拡大し、生産者・農家を救うことのない膨大な税金の無駄遣いになるだけでなく、地域の生活や環境も破壊します。
http://www.satousi.com/kanemaru.pdf
命をいただいて生きている私たちの倫理的責任も問われるでしょう。

また、ワクチン接種については「やむをえない時期」ではなく、口蹄疫が発生したら直ちに準備する具体的なプロトコル(手順)を公表し、別の防疫方針に明記する必要があります。

時間がありません。家畜衛生行政の暴走に歯止めをかけましょう。

私も口蹄疫を当初から見てきました。
自分なりの意見を添え早期に送ろうと思います。

今回の改正案は未だよく読み込めていませんが全く不十分と思っています。農家の負担が大きい上、再建スキームへの配慮もなく、埋設地手配も農家にぶん投げただけです。種牛や地鶏、貴重種への規定もない。ワクチン接種も殺処分前提です、防疫主体も財源も曖昧ではと見えてしまいます。
この改正案の下で安定して事業継続可能とはまるで言えない。韓国の惨状やアジアの感染リスク高騰を研究してもこれが限界なのでしょうか。時代錯誤なのでは。

これでは最新鋭の機動艦隊がミサイルフル装備で近づいているのに高価な日本刀と足軽を増強しろといっているようなものではないでしょうか。

地震、大丈夫ですか?

地震、津波、大丈夫でしたか?
余震も続いているみたいですが、どうかお気をつけて下さい。

濱田様、皆様、地震大丈夫ですか? 心配しています。

みなさん無事ですか?

東北はほぼ全域停電中です。寒い。

続く余震の震源域が広くて怖い。

地震のほうは大丈夫ですか?

津波の被害も凄いようですが

昨日は札幌出張中で、会議時に大きな揺れを感じました。テレビも無く情報が無かったのですが夜自宅に帰りテレビを見たら惨憺たる光景に我目を疑いました。
濱田様の所も震源に近い所なので心配しています。

濱田さん無事でいますか?

直後に停電してなかなか情報取れなかったので、唖然としてました。茨城県があんなに酷いことになってるとは…。
絶対無事でいてください!
またブログで叫んで下さい!


山形は昨夜までに電力復旧して、夜中にはケータイの回線もようやく繋がり安くなりました。

災害掲示板的なコメントですいません。

皆様も是非ご無事で!
未曾有の大災害・国難ですが、乗りきりましょう。

必ず明日はやってきます!

ご無事であると思いますが、おそらく、住居、鶏舎のライフラインがストップして対応におわれているのだと・・・
鶏たちのエサも心配です。

心配するだけで何もできない自分がもどかしいです。


こんな、大災害の中、トリインフルエンザが千葉でも発生しました。どうか、東日本に広がらない事を願います。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011031201000910.html


濱田様、ご無事ですか。こちらは無事です。
ライフラインはガス以外中心部は復旧しましたが殆どの地域は水すら復旧していません。皆疲労困憊になってます。
沿岸の街は壊滅し救助活動も不能です。
余震が広範囲、大きすぎるため手が出せない。

茨城も被害甚大と聞きます、どうかご無事で

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