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2011年3月 8日 (火)

この閉塞状況を打破できるのは政治主導しかないのかもしれない

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私は、去年の4月から宮崎口蹄疫から始まり、踵を接するように始まった鳥インフル事件を追いかけてこう思うようになりました。

そもそも「清浄国」という幻想自体がとうに破綻しており、それを取り繕いながら強権的に進めているだけではないか、と。

まず、口蹄疫では家伝法に定められたとおりの殺処分-埋却措置で初動対応しました。しかし、たちまち埋却は行き詰まり、待機患畜が列をなすようになると、もはやウイルスの拡散は防ぎようがない状況になりました。

特に第10例の県試の豚の発生は、一挙に狭い畜産農家が密集する地域の火薬庫に火を点けてしまう結果になりました。

では第10例の感染原因は何かといえば、シャワーイン・シャワーアウト((*農場の出入り口で消毒液を散布するシステム)を職員が励行していなかったということです。消毒施設はあったが、かんじんの身内が守っていなかったということになります。

他ならぬ指導機関がこれですから、シャレにもなりません。しかし、これが実態なのです。人間はミスを犯す、いくら報液指針を作っても、罰則強化してもヒューマン・エラーは不可避なのです。

むしろ、人は間違いを犯すものであるということを前提にして対象を考えるべきなのです。仮にヒトがミフっても、大丈夫なフェール・セーフ(*失敗しても大丈夫なセーフティシステムのこと)があって、初めて安心して生きていけるのです。これが、基本的なクライシス・コントロール(危機管理)の発想方法です。

ひとつのミスですべてが瓦解してしまうようなシステムは絶対に長続きしません。

ところで、ウイルスには壁はありません。国境すらないのです。ましておや、ヒト様が密集して畜産施設を建てている畜産団地など格好の標的でしょう。おしいごちそうの宿主様が大挙しておいでになる。

もはやすべてが感染の原因です。川南街ではシャワー・イン、シャ'ワー・アウト施設をフル稼働していた養豚農家も感染しました。空気感染です。空気に戸が立てられますか。農場をひとつひとつドームで覆いますか?

ある農場の侵入経路は、畜産関係の工事をする業者の工具だった節があります。業者はタイヤは消毒したが、工具に消毒液をかけるはずもない。電気工具など一発で壊れますからね。では、農場に出入りするたびに新しく買い換えろとでも?

2005年の茨城県水海道市の畜産団地での鳥インフル感染拡大の経路は、下水道でした。畜産団地は下水道網を共有していたのです。では、一軒一軒の農場が排水を自己完結型処理をしろとでも言いますか?

口蹄疫では、処分した家畜にたかる蠅や鳥までもが感染拡大の原因と疑われました。畜産農家につきものの蠅にもおびえるというわけです。

そしてとどのつまりは、今回の鳥インフルです。空飛ぶ野鳥が危ないと。こうなるともはや脱力感さえ襲います。

ヒト、車、靴、服、所持品、排水、野鳥、蠅、そして空気,、水。なんのことはない、人間界を取り巻くすべてじゃないですか!

これを防ぐことは不可能です。

このような不可能なことを私たちに命じておいて、いったん出よう者なら重箱の隅をつつくように社会的な糾弾をする。いわく「ネットに穴がひとつ開いていた」、「ネズミ穴があった」、「消毒槽が不備だった」、はいはいもう何でも言っとくれ。

農業者を犯人に仕立て上げて、ヒト感染するかもしれないと国民を不安に陥れ、しかし大丈夫、感染した肉や卵は食べても安全、とわけのわからない錯乱したことを平気で言っています。

そもそも不可能なことを命じておきながら、悪しき偶然の累積によりいったん発生すれば、その農場はもちろん近隣すべては殺処分で壊滅、そして半径10㌔(!)もの距離を移動禁止にしてしまい、事実上経営をさせなくさせる。

当然、こんな無理無体な防疫手段は現実に裏切られます。ワクチン接種国のメキシコの防疫は低病原性が常在するから失敗例だとあざ笑いながら、自分の国はと言えば、毎年のように高病原性鳥インフルエンザを出しています。

研究予算獲得で農水省に頭が上がらない研究者は、その都度わけのわからないリクツのためのリクツをひねり出します。

いわく「ワクチンにはアジュバントが入っているからダメ」、「野外株と識別できないからダメ」、「症状が抑制されてしまうから知らないで移動してしまうからダメ」・・・まだまだいくらでもダメな理由をひねり出してきます。

それらがことごとく現場の農業者に否定されると、感染が燃え盛っていようと最期に出すカードは決まっています。「清浄国だからダメだ」。

わが国の海外悪性伝染病の公式見解は、こんな結論が初めからあったシナリオだったわけです。なんのことはない、「わが国は清浄国だから、清浄国を守るためにワクチンは絶対に遣わせない」。これでは循環論法というものでしょう。

なにも知らない池上パパはダマせても、私たち現場は騙されませんよ。しかしここまで喜田教授や大槻教授が頑迷固陋だと、クライアントの農水省も困るのではないでしょうか。

実際、農水省は生産局を中心として、ここまで破壊型防疫をやられると後始末にかかる金のほうが補償やら、再建資金やらなんやらで、直接の被害額の数百倍かかるので頭を抱えているといいます。と言っても生産局には防疫の指揮権限はありませんが。

生産局ならずとも、どこの世界に直接の被害額より、防疫による被害額のほうがはるかに大きいなんて倒錯したこととが当たり前だなどということがあるでしょうか。この国はアリスの不思議の国のようです。

「青空」さんが現役の金融マンとしてシビアなことを仰せでした。金融機関はこのような大きな経営リスクがあるような畜産業には融資をしなくなるだろう。

まさにそうなのです。事態はそこまで来ています。金融機関は、年中火を吹いているような畜産業には融資をしなくなりつつあります。

自分が発生農場ならあきらめもつきますが、「もらい」で伝染したり、半径10㌔という途方もなく広範な距離で移動制限をかけられれでもしたらそれでアウト、なんていう産業に、誰がお金を貸しますか。

口蹄疫においては、幸い山田前大臣の勇断でワクチン接種を断行しました。あの決断がなければ、まちがいなく九州全域、いや全国化したかもしれません。山田氏はこの決断をするに当たって、養豚協会と密談をしています。

農水省内で面談せずに別な場所で官僚ぬきで陳情を受けています。山田氏がなにを恐れたのかは自明です。官僚と、いまやそのコントロールもきかなくなって独走する一部防疫学界の「権威」たちからです。

彼らに相談しようものなら、結論は決まっていました。「清浄国ですからワクチンは使えません」。だから彼らの頭越しで、秘密で決定し、強引とも思える政治主導をしたのです。

民主党政権は終末を迎えようとしています。私たち国民が民主党に期待したのは、この閉塞した状況を打破してほしいという願望だったはずです。この問題でいえば、官僚や学界主流のしがらみから自由になった現実に則した政治決断でした。

その片鱗を山田前大臣は見せました。あの決断を思い出してほしいと思います。鹿野大臣と、当時現地対策本部長だった篠原孝副大臣に勇気ある決断を期待します。これを打破できる力は、あなた方政治家しかもっていないからです。

■写真 もう春です。この雪がなごり雪となるのでしょうか。

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コメント

期待はしたい!
しかし、残念ながら民主政権は死に体です。菅首相はどこまでも延命に必死のようですが…
もう、「政治主導」とは何なのかと。

政権交代時から危惧されていた、「野党ボケ」した現政権政党と「与党ボケした自民党」の構図では、児童会や生徒会より無様な国会運営しか出来ない様です。
言葉尻と荒探しばかりで、真に必要な議論が出来ないばかりか最高議決機関であり、行政・司法・立法の内二つを司る議員の義務を果たさない状態では期待は出来ないでしょう。
世論調査でも、既成政党に対する諦め?か支持する政党が無い国民が急増している・・・と報道されています。
かと言って、官僚に期待しようにも省益や利権がらみばかりで頭がいっぱい状態ではこれも期待ゼロ!!
国内対策も重要ですが、国際的な日本という国の位置付け(日本に対する見方?)も限りなく低下して行くでしょう。
TPPの行方も混沌としてきました。

金融機関はこのような大きな経営リスクがあるような畜産業には融資をしなくなるだろう。

>>>>>現実に、保育子育て関係は、自治体運営から、民間社会福祉法人運営に変更され、その担保は、理事長の個人資産です。介護関係も同様で、行政は、責任もちません。

もちろん、決算上、余剰金がない法人には、銀行融資は、ゼロです。役所は、福祉事業はもうけていけないというが、もうけが決算上残ってなければ、運転資金すら銀行融資が受けられないという矛盾。

どんな事業も、苦しくて、借り入れしたいときは、借りれず、軌道に乗って、余剰金がでたころに、借りてくれという。

うちでは、借りたい法人に、別法人からお金集めて、短期定期担保で借りたりして、中間期は、しのいでいた。法人が複数あれば、貸し借りが出来るけど。。

銀行は、金があるときしか貸してくれないので、そのような試算表を作って、借りているけど。。

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