国は責任をもって野菜、土壌の放射性物質調査をしろ!それがいちばんの風評対策だ!
暫定基準値の緩和を求めていた5県知事の要求は、政府により却下されたようです。なんとも複雑な心境です。
参考 厚労省 食品中の放射性物質に関する暫定規制値の取扱い等についてhttp://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017tmu.html
たしかに暫定基準値を下げれば、出荷できる量は一時的に増えるのはたしかです。暫定基準値自体の作られ方のうさんくささもむかっ腹が立つところです。
しかし今ここで農業者が引き下げを要求し、それが通ってしまったなら、消費者はどのように思うでしょうか。たぶん農業団体の圧力に押されて政府が統一地方選がらみで下げたと思うでしょうね。
そしてそれでなくても、大いに不信感をもたれて風評被害のまっただ中にある私たちの農産品は更に売れなくなります。
いったん野菜類の基準を放射性ヨウ素2000ベクレル/㎏、放射性セシウムを500ベクレル/㎏と決めたのなら、それで行くしかありません。
有機農業者には更に厳しい基準を設けよと言う方もありますが、まだ今後なにが待ち受けているかも分からない状況の中で、数値基準をこれ以上厳しくすることも、緩める事も控えるべきです。
状況は終了していません。いやそれどころか混迷を深めていると言ってもいいでしょう。
一昨日、細野剛志補佐官が「3カ月間くらい」というめどを示しました。これはおそらくは冷温停止までの期間を指していると思います。
冷温停止までは、原発は圧力容器の内部圧力を放出するためにひんぱんにベント(排気)を行うと見られます。その都度、放射性物質が空中に放散されて、風に乗り飛散します。
このような放射性物質の飛散状況があと3カ月は続くというのが政府の見方のようです。私はそのような見方は楽観に過ぎると思いますが、とりあえずはひとつのめどです。
3カ月間というとおそらくは8月頃までは、放射性物質の被曝下で私たちは生産し、生活をする覚悟をしましょう。
そしてもうひとつは風評被害の原因ともなり、私たちを苦しめ続けている放射性物質がどのていど作物や土壌にあるのかという調査が、事実上手がつけられていない状態です。
この暫定基準値を出した当の厚労省が放射性物質の検査などしたことがないのです。ですから、地方自治体に調査を丸投げしてしまいました。
茨城県が特出して基準値をオーバーした作物を出したのは、原発の風下であるだけではなく、JCO臨界事故以来茨城県が全国一の放射線被害対策を持つ県だったからです。
検体数が福島県と茨城県で計356件、栃木、群馬、千葉ので計160件です。2県で他の県の2倍もの検体をとれば検出数も増えあたりまえです。そして茨城県はそれをそのまま公開しました。多くの農業者からの批判はありますが、それは県民の健康をあずかる地方自治体として正しい処置だったと私は思います。(資料1参照)
結果は福島県と茨城県のみが特出した風評被害にあっています。3個90円のブロッコリー、一袋50円のピーマン。まったくしゅっかできないほうれんそう、牛乳、パセリ、水菜。つまりは検査をしっかりしたから馬鹿を見たのです。
誰のせいでしょうか。本来は国がなすべき放射性物質調査をせずに県に丸投げした厚労省のせいです。
そもそも厚労省は12年前の東海村のJCC(原子力燃料会社)の臨界事故の時ですら、600人から700人と言われた被爆者に対して晩発性の障害を認めず、なんの補償もしなかったではありませんか。
東電と一体化したような経産省といい厚労省といい、本気で被曝の恐怖におののいている福島、茨城の人たちのことを考えた事があるのでしょうか!
あるというのなら、直ちに国が地方自治体に丸投げせずに、国の責任において福島、茨城の野菜、土壌を徹底的に調査し、その数値を直ちに公開すべきです。
これが真の風評被害対策です。暫定基準値を超えても食べて大丈夫だ、被曝してもただちに人体に影響はありません、などと訳の分からないことを百回くりかえすのなら、今すぐにこども手当てなどという信じられない無駄金をこの調査にあてることです。
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資料1
安全、安全とオウム返しに言うだけの政府は信用できません。
デマにまどわされず、自分で自分と家族の身を守りましょう!
毎日自分の住む地域の放射線量をチェックしましょう!
■2011年04月05日 05時40分現在の空間放射線測定値状況状況
毎日更新しています!
●放射線テレメータ・インターネット表示局
http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html
*単位は空間放射線量を計る単位のナノグレイ/時ですので、人体に対する放射線量を測定するマイクロシーベルトにするには1000分の1にしてください。
ですから、たとえば「東海村石神 266」とあれば、0.266マイクロシーベルトということになります。
*ちなみに避難指示がでている50㌔圏の福島県浪江町では3日午前10時に32.7マイクロシーベルトです。事故の影響のない山梨県では同じく0.044マイクロシーベルトです。
浪江町について。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110405-00000005-maip-soci
*茨城県は全国一放射線測定に力を入れています。モニタリングポストの数も全国一です。自分の住む地域を下の地図で確認して直近のモニタリングポストの数値を見てください。
*「カーム」は風速、風向きが「静穏な状態」を指します。
*茨城県は福島第1原発の北方にあるために、北からの風に警戒してください。また西風は内陸部に、東風は海へと吹く風となります。放射性物質の飛散は、そのときの風量や風向きで微妙に変化するので、必ずしも県北が危険ということにはなりません。県南が高く出る場合もあります。
*降雨により空中に浮遊する放射性物質は降下してきます。
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(出典Wikipedia)
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コメント
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全くおっしゃる通りです。
この大変な中、連日の更新お疲れさまです。
昨日の枝野長官の会見も「2週間遅いよ!」と思いつつ、「県単位から市町村単位の規制へ」は一歩前進だと思います。
むしろテレビの番組コメンテーターやネットの知ったかぶりが、何故そんな所にホテルや老人ホームや温泉施設があるんだ!「危機感無さすぎだろ」などと、現地の地理や経済や防災体制などを知らずに好き勝手なことをベラベラと喋ってるのには、怒りが止まりませんです。
今は被災した沿岸地域への支援と原発対策に集中するしかないです。
昨日のヤフーヘッドラインの毎日の記事。
鹿島港の被災は人災だと。
頭ごなしに否定はしませんが、典型的な後だしジャンケンです。。
こちらは日に日に物流が回復しつつあります。
投稿: 山形 | 2011年4月 5日 (火) 08時11分
フジテレビの番組でやってましたが、
米国スリーマイル島の事故当時には、原子力規制委員会(日本でいうところの保安院)代表が、原発のそばのモーテルに詰めて連日記者会見を開きデータ開示と安全性アピールを続けたために、風評被害は1日で収まったそうです。
冷戦時のことであり今回のケースとは違いますが、あのようなリーダーシップこそが何より求められることだと思います。
神栖市から出港した底引き網漁船が銚子港に陸揚げ拒否されたとか、漁業被害も続いてます。
また、茨城沖の小女子から4000ベクレルのヨウ素検出なども。(小女子なんか干して佃煮にするころには、ヨウ素なんかかなり減ってるでしょうし、大量には食べないでしょう)
詳しい調査と正しいデータ開示こそが、なにより重要な典型例ですね。
投稿: 山形 | 2011年4月 5日 (火) 12時15分
濱田様の所は、まだまだ余震(本震?)が収まっておらず、心労はいかばかりかと推察いたします。また、相方様の気苦労も大変なものとお察し申し上げます。
口蹄疫の時もそうでしたが、何でも結果論で物を言います。
原発の津波対応は4~5年前に言われていたようですが、東電が相手にしなかった・・とか、今更に言われても?と思います。
本気で危機感を持って対策を促すのであれば、マスコミでも何でも使って、東電に揺さぶりをかけ、放送されていたとすれば、番組を見た人たちは記憶に残るとは思いますが、関係者だけの限られた人達の間で、「言った・言わない」を今聞かされても、収束に向けて何の役にも立ちません。
有識者と言われているなら、現場に乗り込んで的確な指示でも監督でもして欲しいと思います。
(勿論それなりの手続きはあるのかも知れませんが、時間的猶予はゼロに等しい状況です)
コメンテーターなんて所詮なんも責任はありませんから、好きな事を喋るでしょう・・・
投稿: 北海道 | 2011年4月 5日 (火) 16時06分