放射性物質の土壌検査ルールをさっさと決めろ! 地震速報付き(涙)
村の友人と昨夜電話をしたのですが、この大震災以降なんかいいことあったかい、と聞いてみました。
「ありありだよ。米と野菜を届けている消費者から数えきれないくらいの励ましをもらったよ。その都度ふしぎなくらいに涙が出るんだよな」。
私も昨日また大きな励ましの手で肩を叩かれました。いまや当地では貴重品となっているヨーグルトに牛乳などの品々と、その方のお人柄を忍ばせる温かさがぎっしりと詰まったお手紙まで添えてありました。
もう声もありません。夫婦で北の方角を向いて頭を下げました。
このような時に頂く励ましは、常日頃の百倍も心の隅々まで染み渡るものです。生涯わすれることはないでしょう。ほんとうに、ほんとうにありがとうございました。
さて、もう少しその米作りの友人との会話に戻ることにします。彼は隣町に住んでいるのですが、その街だけで田んぼ約80町歩が使用不能だそうです。
私の村でも同じ程度の被害を出しており、土地改良区ごと作付け不可能という決定をする地域も出始めています。パイプラインも地中で寸断されており、もはや新たに敷設するしかないようです。
ポンプアップしているため池にもかなりのひびが見つかったりしているようです。
修繕するにも、工事業者も他の復興工事で出払っているうえに、先立つものがありません。友人は冗談ぽく、「今度大震災が来るなら、年度末はやめてほしいなぁ」などと言っていました(苦笑)。
行政がらみの新たな復興予算や補償などは、村の農水課に問い合わせてもまったく見通しが立たない状況だそうです。
私たちの村などまだましなほうで、海岸に近い稲敷郡の被害はすさまじいそうです。液状化現象で、多くの田んぼに砂や泥が出ており、もう手が着けられないません。
そんなこんなで、わが県の今わかっている範囲での作付け不能水田は360町歩に登るようです。ただし、こんな数字では収まらないと思います。おそらくは500町歩を超えることでしょう。
ところで、私が放射性セシウムの土壌検査のことを聞くと、その米作り農家の彼によれば、未だわが地域には本格調査は入っていないとの話でした。
これまた村の農水課に聞いても、とんと埒があきません。まぁ考えてみれば当然で、何をどのようにして調べるのかまったく国から県に方針が降りていないのです。
そうですね、たとえば国は出荷自粛(といっても実際はガチガチに強制ですがね)の地域範囲を県単位から地方自治体単位にまで縮めました。
本来は家畜伝染病予防法(家伝法)のように、検出された農場から半径5㌔までを出荷自粛とするべきでした。そしてそれ以内の範囲をサーベイランスすればいいのです。いきなり1県丸ごと出荷自粛なんて正気の沙汰ではありません。
と書いていたところで、おっと地震だ。午前6時42分。震度3だそうです。なんか地震実況中継付きですなぁ。もはや震度3ていどでは驚かない茨城県人の私。これを喜ぶべきか、嘆くべきか(笑)。
そして放射性物質の検査の単位がよくわかりません。たとえばそうですね、ひとつの畑にキャベツがあってホウレンソウが植わっていたとしましょう。ホウレンソウは出荷自粛になりましたと、しかし同じ畑で隣合わせのキャベツはいいわけです。おいおいじゃないですか。
放射性物質うんぬんで言うのならその畑丸ごとダメでしょう。条件はまったく同一なんですから。これは食品衛生法を根拠とする厚労省的な品目主義が根っこにあるからです。
農業では基本的に畑(ほ場)主義が用いられます。有機JAS認証もそうですが、一枚一枚のほ場に番号をふってそこからトレサビリティ(生産履歴)を始めます。
ところが、今回の暫定基準値による出荷自粛は厚労省がイニシャチブを握ったために、無理やり品目主義的な仕切りをしてしまいました。これが無用の混乱の始まりでした。
政府は計画的避難区域(←この名をきくだけで腹がたつ)の川俣町では、米の作付けに待ったをかけています。福島県は農民に「土壌は作付けできる基準にあるが、国の発表があるまでできない」という苦しい説明をしているようです。(日本農業新聞4月14日)
ちなみに、水田土壌の放射性物質の基準値は下の図です。川俣町では1㌔乾土あたりで2573ベクレル/㎏でした。これはほぼ政府基準の半分です。
政府は今頃になって川俣町や飯館村を計画的(なにが計画的だつうの)避難区域に指定したために、避難のスケジュールが水稲の成長段階と重なってしまうことを恐れているのでしょう。
ならばもっと早い段階でこれらの自治体を避難対象にすべきであって、5月中旬に控えた田植えに向けての種籾の芽出し作業を始める4月中旬まで引っ張るべきではありませんでした。
昨日にも書きましたが、政府は既に1カ月前にこれらの福島原発の30㎞避難範囲の北西の市町村に放射性物質が降ったことを知っていたはずだからです。
政府が今回の大震災復興と原発事故処理で度々みせる極度の判断の遅さと情報隠匿体質が、かえって問題をこじらせたのです。
これからするという水田や畑の放射性物質の土壌検査も、暫定基準値のルールである市の中で一カ所でも検出された瞬間、ひとつの市が丸ごとアウトなのでしょうか。そうならば薄氷の思いで米作り農家は検査結果をまたねばならなくなります。
私は農政的常識として、仮に検出されても作付け自粛や出荷自粛はその田畑のみに限定すべきだと思っています。
とまれ、政府はいっかな放射性物質検査のルールを出してきません。時間が経てばたつほど風評被害は大きくなります。農家も早く検査をしてもらってすっきりしたいのです。これでは対策の立てようがありません。
農水省はさっさと仕事をしてほしいものです。決まらなければもう見切り発車しますよ、というのが被災地農民の声です。
あ、そうそう。その米農家の友人の話では減反は今年もやるそうです!わ、はは!もう笑うきゃない!
ついでもTPPも検討再開だそうです!(ソース 日本農業新聞4月14日)今、TPPをしたら大震災で大打撃を食らった日本農業はご臨終です。分かりきった話でしょう。菅首相の脳味噌は大丈夫ですか?脳味噌が炉心融解おこしているんじゃないのでしょうか。
いやすごいよ、こんな千年に一度の非常時でも、福島では避難区域の牛が餓死している時に、宮城県では想像を絶する規模の津波による冠水があったというのに、福島や茨城の農民は日々放射能に怯えていると言う時に、淡々と今年も減反をやるっていう官僚の感覚がすごい。
農水のお役人様。今は農業復興の時じゃありませんか。たぶん東北、北関東で積算すれば1県まるごとていどの規模が作付け不可能になるんですよ。なにが、減反ですか。増産の間違いじゃありませんか。
最期にコメントの茨城の中国人研修生が虐待されているという話ですが、ほんとうにご覧になったのでしょうか。
中国人研修生は不法入国者ならいざしらずごく普通の外国人労働者にすぎませんよ。県最低賃金は補償されており(それは彼らの故郷で家が建つくらいの高給ですが)、日本人農業労働者にすらない場合がある社会保障も用意されています。
住居にしてもごく普通のアパートです。そうでないと農家側に受け入れる資格がないからです。入管の監視はパンパではないですよ。
外国人労働者の是非とは別に、中国人研修生はひと頃のジャパユキさんとはまったく違った外国人労働者なのです。混同されていますね。
と書いたところでまた地震。今度は大きい!7時36分。これでまた液状化やパイプラインの修復が遅れますね。
゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。
【首都圏放射線量マップ】(4月13日13時)
http://www.j-cast.com/2011/03/18090608.html
がんばろう、福島!
がんばろう、宮城!
がんばろう、岩手!
がんばろう、青森!
がんばろう、山形!
がんばろう、千葉!
がんばるぞ、茨城!
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コメント
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減反…だと!?
私も引っくり返りましたよ。
国はいったい何考えてんでしょう。
宮城県なんか広大な平野部が海水被って壊滅したので、被害の少ない山間部をフル生産させて利益を分配しようとか必死に調整をやってるのに…。
んで、今TPP?
狂ってるでしょう。そりゃ「売国民主党政権」とか呼ぶ連中の言葉が真実味を帯びてきます。
いやあ、こちらは遥かにマシですが、こう連日余震が続くと堪えますね。
ただの強風にもドキッとします。
投稿: 山形 | 2011年4月14日 (木) 08時25分
政府の対応はよく理解できませんね
投稿: かりん | 2011年4月14日 (木) 11時30分
TPPに関して「閣僚から中止の指示が無い限り粛々と検討を進める(外務省幹部)」(4月14日農業新聞)とあります。
TPPについては、それぞれの産業によって考え方も違い、積極的派・消極的派・絶対阻止派と様々です。
我々の産業から見れば、今どき何を考えているの?と呆れています。
素朴な考えですが・・・・・
国家公務員は、日本国と言う企業(会社?)に就職し、日本国や日本国民の為に働いているのですよね?
日本の国民は、いわゆる株主であり、お得意さん・お客さんです。株主が被災した非常時には、最低の人員は残したとして、大部分は被災地に入り救援や支援、復興の役に立つのが使命ではないでしょうか?
全国の公務員全員を被災地に投入し、瓦礫の一本でも片付けさせるのが本当ではないかと思っています。
何も自衛隊員及び一部の消防署員、警察官だけでは無いでしょう。
当然、会社の役員(国なら議員)も一緒になって、片付けするのが本当ではないでしょうか?
大したことも表明できずに、大名行列で首相が被災地に行く事が、どれだけ周りに迷惑をかけるのか分かっているのでしょうか?
私はどの政党が・・とは言いませんが、現議員の資質のレベルの低さを実感させられました。
統一選挙などとうつつを抜かしている状況ではありませんが、現議員は総辞職させる事が必要だと思っています。小沢・鳩山が内閣不信任案?刑事事件の被告と、ハトぽっぽが、何をいまさら言っても始まりません。「辞職してから言え!!」ですね。
投稿: 北海道 | 2011年4月14日 (木) 13時30分