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2011年5月

土壌放射線量調査をするのが、農家と消費者の共通の利害です ●付録 茨城県市町村放射線量率マップと私の農場の検査結果

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私が記事でたまに使用する「放射能」という言葉が正しい用語の使い方ではないのでは、というご指摘を頂戴しました。そのとおりです。
私は当初、かなり神経質に「放射性物質」、「放射線」、「放射線量」、「放射能」を使いわけていたのですが、このところ総称といいますか、一般名称として使う場合、大方のマスコミも「放射能」として使用しているようなので、煩雑さを避けるために「放射能」と書く場合もあります。
まぁ、正直迷っているのも事実で、なんでただの市民の私がこんなことを悩まねばならんのだぁと憤ってもおります。あ~放射能になんかに詳しくなりたかぁねぇやって気分です(笑)。
ただ、その消費者の方が不安に思うのは、「放射能」という言葉だけの問題だけではなく、わが茨城県が放射性物質が降ったことは事実であり、未だその量や分布状況が明確に調査されていないことにあると思います。
おそらくは県西を除いて県北、県南、鹿行には降下していることは間違いありません。ただ詳細はダウンロードファイル 県内市町村における放射線量率測定結果地図(下図参照  茨城県HP)と、モニタリング・ボストの空中放射線量測定値を使うしかありません。
 (クリックすると大きくなりまくす。)
この茨城県の制作した放射線量測定結果地図はかなり実態を表しています。この飛散図からわかるのはとりあえず3点です。
① もっとも高い0.2以上0.3マイクロシーベルト/時未満を記録しているのは、県北の北茨城市と、正反対の県南の取手市であり、、福島第1原発に近いか否かは必ずしも法則性がない。
②内陸部の県西部はおおむね飛散状況は薄い。
③鹿行地域は鉾田市、稲敷市を除いて飛散が少ない0.1マイクロシーベルト/時未満だった。
さて、私は風評被害が起きる原因は、この「東日本のどこにどれだけ降っているか分からない」という恐怖心だと思っています。特に妊婦の女性や、お子さんをお持ちの方には切実でしょう。
これをしっかりと払拭するには福島、茨城を中心として、千葉、を栃木の一部、神奈川の一部まで含んだ土壌放射線量の調査が必要です。
なぜ土壌放射線量かというと、現時点ではおそらくはヨウ素はほぼ完全に農産物から流出しているはずですし、セシウムも降った野菜自体が既にそうとう数出荷されてしまっているか廃棄されており、お茶や果実などの3月中に被って5、6月移行に遅れて収穫される農産物の残留に移っているからです。
すべての農産物で計る意味があったのは4月までで、せいぜいが5月中旬までです。
3月の放射性物質の降下による影響は既に終わりつつあり、今は土壌の汚染を考える次の段階に入っているのです。
もちろんお茶や果実のように遅れて検出される場合もありますが、基本は農産物汚染から土壌汚染へとシフトしていると言ってもいいでしょう。
では汚染土壌から植物にどれだけ移行するのかといえば、非常に微々たる数字なのです。
日本原子力研究開発機構(JAEA)と農水省の出した数値によれば、例えばホウレンソウの移行係数は0.0011にすぎません。つまりは1000分の1.1しか土壌からはセシウムは移行しないと言い換えてもいいでしょう。
野菜の放射性セシウムの暫定規制値は500ベクレル/kgすが、それを超える可能性がある土壌の放射性セシウム濃度は45万ベクレル/kgとなります。

日本にこんなに汚染された畑地はありえませんから、あくまでも理論上はですが、土壌からの農産物移行は心配いらないといえます。
コメントですべての農産物を放射能計測しろということを言っている方がいましたが、それをやる意味が真にあったのは、3月、4月であって、6月以降はいかがなものでしょうか。もちろん安心のための薬としては有効ですが。
ちなみに私はしました。検出されずです。
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土壌中の放射線量を調べて汚染マップをつくらねばなりません。ようやく微々たる予算がついて福島県で始まりましたが、補正予算でつかない限り茨城や千葉の調査はなおざりにされてしまいます。
これではいつまでたっても福島、茨城のみならず東日本全体の農産物、海産物は危ないという風評は続くことになります。風評被害を断ち切るには、しっかりとした検査が必要です。
それが農家と消費者共通の利益だと思っている次第です。

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農業者は自分のために放射能測定をしよう

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昨日は台風くずれの大雨でした。今日もダダ降りです。朝からご丁寧にも雷までなっています。

私たちの仕事は傘をさしてオツにすましていては仕事にならないので、カッパに野球帽という格好でやることになります。

実際には、ある程度以上の強さの雨ですともうずぶ濡れですね。3月か4月でしたら、さすがの私もいやーな気分だったと思います。

ご近所の観測点で0.21マイクロシーベルトとか計測されていては、やはりノンシャランではいられなかったでしょう。雨は放射能対策の鬼門ですからね。

一般の方にはあまりわかって頂けていないようですが、農家はおそらくはすべての市民の中で真っ先に被曝します。(←この被曝っていう字なんとかならんか。まるで原爆を被爆したみたいじゃないか)

放射性物質が降下した作物をじかに触る、表土に触る、トラクターでうねって粉塵を吸い込むなどと、放射性物質と接触しまくっています。

しかも悪いことには、ふつうの市民より野外にいる時間がはるかに長いために放射線に暴露したり、放射性雨に打たれたりする機会が多いのです。

だから私は農家こそが放射能に敏感にならなければならないと思っています。不必要に怖がる必要はありませんが、正しい放射能知識を身につけないと自分だけではなく家族まで危険にさらす可能性があります。

ここが、放射能問題を簡単に風評被害一般で語れない理由です。

私たちもつい目先の経済的打撃のほうに目がいってしまって、補償問題 や売れる売れないの問題に限定しがちですが、自らの健康にはねかえる事として捉えないと危ない。

農業者は、風評被害に拘泥するあまりつい放射能被害を低く見る側につきたがります。すべての低レベル放射線も危ないなどと言うと、経済的自殺行為だからです。

セシウムもすぐに体外排出されますから大丈夫ですよ、などと消費者に言いたくなるのも気分としては分かります。

しかし、ほんとうにそうなのかどうなのかは私にも分かりません。しかし、いずれにせよ真っ先にやられるのは私たち農業者だと心しましょう。

もうかなりの団体で始まっていることですが、まずは農業団体で簡易計測器を共同購入して作物や表土の数値を知ることです。

これには土壌分析の手法が役に立つでしょう。畑の四方と中央から表土下5センチ程度をすくい取って検査器にかけます。

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野菜は洗わずに外葉をはずさずに計測します。洗ったり外葉をはずしたい気持ちは重々理解できますが、目的は「正しい現実を知る」ことで、消費者向けアピールではないのです。

トラクターはロータリーの刃にこびりついた土を調べてみます。

また天候によっても左右されますから、晴天と降雨の後も図ってみます。数値が安定しているのなら安心です。

後は近くの観測点の数値を照らし合わせてみます。空中放射線量と土壌放射線量はかならずしも一致しないのがわかるでしょう。観測点データはあくまでも指標のひとつにすぎません。

またできるのなら、自宅の周辺も計測してみるといいかもしれません。

飯館村に入ったNPOの人の話によると、庭も中央部より水が溜まりやすい端の方や、家屋も雨樋の下などが放射性物質の溜まりやすい場所のようです。

まずは怖がるより客観的な数値を知ることです。いたずらに「安全だ」と言い張るよりそのほうが前向きなのではないでしょうか。

 

■写真 選択竿の上のアマガエル様。神妙な顔がおかしいですね。

■私のひいきのサッカー鹿島がズンドコです。試合数がひとつ少ないのですが、なんとケツから3番です(号泣)。ああ、神はここでも茨城を見放したのかぁ!

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複雑で巨大な原発風評被害を切り分けてみました

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活発なご意見をありがとうございます。

今回の福島第1原発事故をめぐる風評被害は、まちがいなく過去に類例を見ない巨大さでした。

それはたんなる規模だけの問題ではなく、農畜産物の大半が買い控えの対象となり、被害を被った地域も当初の福島、茨城、千葉から、いまや神奈川、栃木までを含むまでとなってきました。

また事件が起きた時期が、未曾有の大震災の被災県を中心としていたために、被災県は二度死ぬ思いを味あわされたことになります。

現在は東関東ではようやく落ち着きを取り戻しつつあります。しかし、放射能の影響を直接受けなかった中部、関西地方ではいまだ根強く東日本の農産物を恐怖する「空気」は止んでいないようです。

私はこの問題をいくつかに切り分けて考えたいと思っています。

①客観的なデータで3月15日の水素爆発以降4月にかけて放射性物質、なかでもセシウムの降下がどれだけ、どこまでの地域に降ったのか。

②そしてそれは地表の作物や土壌にどのうような影響を与えたのか。どのていど残留しているのか、いないのか。(資料1参照)

③低レベル放射性物質が植物に残留していた場合、摂取することによる体内被爆はどのていどの健康に対するリスクを考えるべきなのか。

④政府の情報の出し方は適切であったのか。正しく危険を告知するリスク・コミュニケーションが取られていたのか。

⑤風評被害が拡大するにあたって、政府はその対策を的確にとったのか。

⑥補償にあたって、風評被害をどこで線引きし、格付けするのか、あるいはしないのか。

⑦原賠審は風評被害を「食用に限る」としたが(資料2参照)、農業は観光まですそ野を広げた地域基幹産業であり、そのような切り捨てはおかしくはないか。

⑧風評被害補償はおそらくは数百億円に登り、観光などまで入れた場合さらに巨額となるが、東電はどのようにこの支払い義務を果たすのか。

と、まぁ今考えられることを上げてみました。実はこれらを明確に答えられる人は少ないはずです。

たとえば、①の降下した放射線量や、地域は各地のモニタリング・ポストから類推するしかないわけです。しかしそれはあくまでも瞬間的な空中放射線量でしかなく、気象の動きでいかようにも変化します。

たとえば当時の気象条件て300㌔の彼方まで飛散したことか分かってきています。

脱線しますが、昨日「報道特集」を見ていましたら、北朝鮮のピョンヤンでも放射性物質が検出されたそうで、政府高官が「日本が流した放射能のおかげで咳が止まらない、ゲホゲホ」と苦しんでおられました。心から同情いたします。東電、補償しなくていいぞ(笑)。

②の土壌から植物への移行係数は徐々にわかってきました。これについてはできるだけ詳述してご報告したいと思います。

ただやっかいなのは、今はセシウムだけを注目すればいいのですが、福島県の一部で計測された半減期が非常に長いストロンチウム90などの場合、また対処方法に差がでてくると思われます。

③の低レベル被爆ですが、これははっきりと放射線医学界でも意見か相違しているようです。いかなる低レベル被爆でもリスクはあるとする説と、早い時期に身体の外に排出されてしまうのでないとする説があります。

また、一度に高い放射線量を浴びた場合は見解が一致しますが、低レベルの摂取が晩発性障害の直接の原因となるかどうかを巡っては、線型に脅威は増すという確定論的説と、いや、そうではなく一定以下の量では確率論だとする説があります。

私には正直言ってどちらが正しいのか判断がつきねます。今後もこの問題については両論併記になると思います。

④、⑤はこの問題をリスクマネージメントの一環として考えた場合です。口蹄疫もそうでしたが、日本ではこのリスク管理がなっていません。

目先のリスクコントロールにのみ忙殺されて、それをどのように「伝える」のかという情報の出し方の問題として真剣に考えられていません。

原発事故に対して、国民が「正しく怖がる」ために、どのような情報をどのように政府が責任をもって出していくのかが、これほどまでにダメだったとはかえって意外だったくらいです。

⑥~⑧は風評被害の補償がらみの件です。風評被害はすそ野が広く、どこまでをそうと呼べるのか非常にあいまいな部分があります。

たとえば村の農産品が風評打撃を受けた場合、単純に農産品だけではなく、その地域もまた「汚染地域」と思われて観光に来る人は激減しました。

今の福島、茨城がまさにそうです。観光業も壊滅的打撃を受けました。それも放射性物質が降下していない内陸部まで含めてです。

観光業と一口で言っても、旅館業だけではなく地元の農産物を使ったお酒、菓子などの食品や工芸品まであるわけです。それらは地場の第1次産業としっかりと結びついています。

これらが根こそぎやられたのが今回の風評被害事件でした。私はこれら総体を被害として見なすべきだと思っています。

このように、今回の風評被害事件は複雑で巨大です。私もどこから手をつけたらいいのか迷うほどですが、ひとつひとつみなさまと考えていきたいと思っております。

             。゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

資料1 農水省HP農産物に対するセシウム移行係数http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/pdf/110527-01.pdf

資料2 日本農業新聞5月29日1面

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原発風評被害はなぜ起きたのか?

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昨日のコメントにお答えしておきます。たぶん「風評被害」と「実害」の違いを言われているのかと思います。

そうですね、今、日本製の工業製品すら輸出に際して放射能測定を要求されています。外国人にとって福岡と福島の違いも分かりませんから、ひとくくりで「日本製」=「放射能汚染」と決めつけるわけです。

私たち日本人にとってはナンセンスですが、「風評」、つまり誰が言い出したのかわからない流言蜚語のたぐいはえてしてそんなものです。

では笑い飛ばせるかと言えば、それが誰が言い出したのかわからないが、それが故に口コミで広がっていることにはそれなりの大きな力をもってしまいるからタチか悪い。

まぁ煽った主犯格は、「不安産業」の週刊誌業界ですがね。しかし週刊誌は商売なので腹も立ちません。

現在は回復基調にあるものの、農産物の場合は福島、茨城、千葉を中心として3月、4月の2カ月間は壊滅的な打撃を受けました。

私の住む茨城県では農産物だけでおそらくは50億円ちかくの被害が出ており、汚染水の流出に伴う海産物の被害4億円まで入れれば一県で7、80億円におよぶであろう(未集計)未曾有の損害を出しています。

痛ましいことに、福島県ではある農家の方が悲嘆のあまり自殺の道を選ばれてしまいました。

私の村でも離農に追い込まれた方が出ています。各農業団体は平均して2千~4千万円程度の営業損を出しています。スタッフの解雇も多く出ました。

では、どうしてこんな風評被害が出たのでしょうか?

私は、政府の危機管理における情報の出し方(リスク・コニュニケーション)の失敗だと思っています。3月中旬、政府は菅首相の指示により食品の放射能規制値を発表しました。

出した官庁は農水省ではなく、厚労省です。実はこの2省は菅首相の指示の前に放射能の飛散対策を練っていたところでした。

それがいきなり官邸の直接指示で、早急に規制値を作れということで一晩でできたのが、今の暫定規制値です。

「暫定」という言葉が被っているようにあくまでも緊急に作ったものなのですが、いったん数値が出てしまえば、いかに一夜漬けであろうとなかろうと政府規制となって一人歩きしていくことになります。

この政府規制は、政府が自ら農産物や海産物を計測するのではなく、あくまでも地方自治体(この場合県)が検査して公表するたてまえになっていました。

すると、原発立地県である福島県や茨城県はしっかりとした放射能対策がありますから、両県で百数十件の検体を検査して、その中からいくつかの暫定規制値をオーバーしたものが見つかって大騒ぎになったわけです。

一方、他の県はというとそもそも放射能測定機材がなかったりしたためにひとつの県で5検体ていどといった県もざらにあったのです。

じゃあ、300キロ離れた神奈川や栃木が「安全」かと言えば、今回のお茶のようにかならずしも距離が離れていれば安全とは限らないということも分かってきました。

そして検出の分母が10倍以上違ったのですからひんばんに福島、茨城の両県で検出が相つぎました。いわばこの両県は東日本地域の被害担当県となったわけです。

それでなくとも原発事故当該県の福島や、その風下にあたる茨城の農産物に不安をもっていた消費者はこれで一斉に福島、茨城(一部千葉)の農産物は危ないとなって買い控えに入ったのでした。

これが風評被害の発端です。大震災は天災でしたが、この風評被害はもはや人災と言っていいでしょう。

ここで「実害」と「風評」の差について説明しておきましょう。実害は、測定結果が暫定規制値である放射性ヨウ素2000ベクレル/㌔、放射性セシウム500ベクレル/㌔を上回っていた場合です。

しかし風評被害は規制値を超えようと超えまいと、いやそれどころか測定すらしていないのにベタで汚染しているとみられてしまったのです。

これには理由があります。当初の出荷自粛段階では、規制対象はなんと県単位でした。まさに無茶苦茶です。

だって茨城県など東北に近い県北から、千葉に近い県南まで優に150キロ以上ありますよ。これをひとくくりにして一括出荷自粛ですから、やられたほうは目も当てられません。

消費者はそんな事情はわかるはずもないのですから、一斉に「福島、茨城は危ない」となり、さらにそれを面白おかしく囃し立てる一部週刊誌のために、検出されたホウレンソウだけではなく全部の農産物が危ないと発展していったわけです。

茨城県産の野菜が、ブロッコリー3個90円などで投げ売らされたのはこの時期です。流通も被災県を助けようと仕入れましたが、まったく売れないので返品した所もたくさんありました。

あ、先ほど「出荷自粛」と言いましたが、これは法的裏付けのない「お願い」なのです。ただし、内閣総理大臣名で各地の農業団体に来ましたから、実態は「命令」です。

このお願いと言いますか要請で、法的裏付けがないままに為政者の一存で命令を出すという方法は、浜岡原発停止でもやった菅首相得意のパターンですね。わが国はいつのまにか民主国家から人治国家になってしまったようですね。

菅直人という御仁は、今回の注水事件でも発覚しましたが、原子炉や放射線防護の専門家でもないのに、専門家づらをして頭越しの指示を出すのが趣味だと思われます。困った趣味です。

いつまでもお願いでは済まないので、一歩進めて今の出荷規制になりました。当時に多少改善されて、県単位の規制から市町村単位になりました。

今でも検査は継続されており、各県のHPに農産物検査結果が掲載されています。また農水省にもリンクが貼ってあります。

農水省はリンクを貼っているだけですが、本来は国策の原発が事故を起こしたのですから、検査や被害対策を地方自治体に丸投げするのではなく、政府が責任をもって検査体制と検査ルールを作るべきでしょう。

そしてなにより消費者に放射能汚染がどのような拡がり方をしているのか、そしてそれがどのような人体に対して影響が出るのかを誠実に説明すべきです。

かんじんな政府の情報のアナウンスがないところで、枝野官房長官のように「直ちに影響はない」などというかえって不安心理に火を点けるようなあいまいな表現で糊塗すべきではありません。

「ガンバレ日本」とか「日本はひとつ」とか言いながら、被災県に巨大な二次災害を与え、消費者と生産者を分断したのは他ならぬ政府自身です。

このようにして風評被害は大きな爪痕を残したのでした。

■写真 初夏の風物詩の夕顔が咲き始めました。ニホンミツバチもうれしそうです。ただし、昨日に梅雨入り。しばらくは晴れ間を見つけての採蜜飛行となります。

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セシウムQ&A第2回   もし放射性物質が畑に降ってしまったら   

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注水中断事件ではファルスが続けられていますが、とりあえずこちらは無視して、 昨日からのQ&Aの続きです。

農水省は5月17日の記者会見では、近日中に放射性物質の移行係数を出すそうですが、未だ見ていません。毎度のことで驚きもしませんが、霞が関界隈はゆったりとした悠久の時が流れているのですなぁ。

下々の農民が震災以来2カ月にわたって苦しめられ続けている風評被害に対して、的確なデータを6月になろうとしているのに出さないとは、仕事をしないのにもほどがあろうというものです。

「百年兵を養うはこの時のため」という言葉がありますが、農水官僚は百年養っているうちにただのノータリンになってしまったようです。

さて、私は風評被害は私たち農業者からすればとんでもないとばっちりで非科学的だと決めつけてしまいがちですが、国からの必要な情報がないところで乳幼児をもったお母さんや、妊婦の方々の立場になればあたりまえすぎるほどあたりまえの反応です。

お国がまったく頼りにならない以上、こちらはきちんとした検査データや移行係数などの科学的根拠を示して粘り強く消費者や流通を説得していかなければなりません。

Q1 セシウム降下の特徴はなんですか?

●放射性セシウムは揮発性なので、空気の流れや気象の変化、地形などに大きな影響を受けます。大気の流れに乗って運ばれるので、高い山があればそれが壁になります。
また、雨によって地表に降ります。

Q2 ではどうやって防いだらいいのでしょうか?

●残念ながら完全に農作物を防ぐことは不可能ですから、極力低減させることしかできません。水素爆発などが報じられた場合は、福島第1原発からの風向きをチェックしましょう。地方自治体のモニタリングポスト速報値や、文科省の速報数値は状況をつかむ上で役に立ちます。

●セシウム降下が予想される場合は、ほこりを払って、外葉を取る、水で洗うことなどでかなりの除染を期待できます。

●降雨があった場合、セシウムは核種となって降下しますので、特に警戒を強めましょう。

Q3 賠償を請求したいのですが。何を準備したらいいのでしょうか?

●賠償責任はあげてこの派ような悲惨な事故を引き起こした東京電力にあります。法的には原子力賠償に関する法律が適用されますが、風評被害の範囲の決定や、小国家の国家予算ほどの巨額にのぼると予想される賠償金ために現在は枠組みが完全に決まっていません。

●現在は原子力賠償紛争審査会に持ち込まれて審議されています。私たちはなんの非もなく大きな被害を被ったのですから、主張すべきはしっかりと主張すべきです。

●今後予想される補償金の提訴に必要な書類は以下です。
(ソース農水省HP
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/syukka_kisei.html

[1]当該期間に生じた売上減少額や実損額①当該期間に生じた売り上げ減少額や実損害。
[2]当該期間に商品が返品され、再販売できない場合の実損額
[3]当該期間に販売できなかった生産物や在庫商品を廃棄した場合の処分補償額及び処分費用
[4]運転資金等を借り入れざるを得ない場合の金利相当額

などが明らかになるような証拠書類を保管しておきましょう。

●具体的に必要な記帳類は以下です。
[1]各種資材等の購入に係る領収書や購入伝票
[2]収穫や給与に至らなかった農作物・飼料の数量等を明らかにできる作業日誌
[3]出荷停止となった農畜産物に係る過去の生産量の記録、納品台帳、出荷伝票及び回収・処分した場合の領収書
[4]家畜の能力を示す証明書や飼養管理に係る記録
[5]納税関係書類(損益計算書等)
[6]現況を示す写真
などを保管しておきましょう。

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Q4 出荷制限になりました。作物の処分はどうしたらいいのでしょうか?

●すきこむことは現実に多くの農家がしてしまったことでが、本来は望ましくありません。万が一セシウムやヨウ素が付着していた場合、それをロータリーの幅で地下深くすきこんでしまうからです。

●焼却することは農水省は勧めていません。不要な拡散があるからだとされています。

●私の個人的見解では、地方自治体のフイルター付き焼却炉で焼くか、東電の火力発電所で焼くのがいいと思いますが、現実には難しいようです。六ヶ所村や福島第1原発内で処分するとかの案も同じく、現時点では困難です。

●収穫が終わってしまったものは、そのままにして「一定箇所に一定期間保管」しろと農水省は言っています。これは必ずしも一カ所に集積するのではなくて、保管場所が明らかになっていることという意味だそうです。

●「一定期間」というのは、「原則として、原子力発電所からの放射性物質の放出が終息し、放射性物質の飛散状況が明らかになるまでの間」だそうです。
となると、工程表で7月に設定してある放射性物質の排出の停止までを指すと考えられます。となると、それまで保管してある農産物は腐敗してしまうと思いますので、なんらかの対策が必要となるでしょう。

●収穫していないものはそのまま放置します。農水省によれば、後にされる「放射性物質の放出が終息した後に行うモニタリングにより得られた濃度により、改めて対応について情報提供が行われることとなる」そうです。要するに「待て」ということのようです。

●既にすきこんでしまったものや、なんらかの処分をしてしまったものについては対処する必要がないそうです。

今回は農水省の公的見解を基にご説明しました。現実の風評被害と闘うには各個人がバラバラでは闘えません。地域がひとつになって「地域の農産物」を守る必要があります。

そのためには地域でトレサビリティの仕組みを考えたり、情報発信をしたりする必要があります。

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セシウム除去Q&A

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セシウムの農産物にあたえる影響も少しずつですが、知られてきました。土壌肥料学会、環境科学技術研究所、IAEA、農業環境技術研究所などの研究を要約するとどうやらこのようなことのようです。

Q1 セシウムが降った土はどうしたら除染できるのでしょうか?

●大気中の放射性物質は、植物へストレートに吸着される葉面吸収と、土壌にいったん降下した後に植物の根によって吸着されていく経根吸収の二種類あります。

●セシウムは水溶性のために土壌の性質によって異なります。砂地のような水はけのいい土地では比較的早く農業用灌水、雨水などで沈降していき、土壌中から減少していきます。ただし、水系汚染に移行するわけなので、別の問題を引き起します。

●一方セシウムは土壌の粘土質の団粒構造と結合しやすいので、関東ローム層のような粘土質の土壌のほうがセシウムの減少はやや少ないようです。

Q2 セシウムの降った土地になにを作付けするのがいいのでしょうか?

●作付け時期としては遅ければ遅いほど、土中から流出したり、作物以外の植物が吸着していきます。

●セシウムは土壌中のミネラルと結合しやすいので、もし可能ならばいったん作物以外の植物を植えるといいでしょう。たとえば、牧草とか、菜種、ヒマワリなどです。

●ただし、ひまわりや菜種などは畑から持ち出して穴に投棄するなどの処分方法しか今のところありません。焼却すると煙にセシウムが混ざるからです。最終処分の方法まで考えてから実施してください。

●菜種は意外とセシウム吸収が悪いとされています。

●外国の文献には、チェルノブイリの時のマツやニガヨモギや一部のキノコにセシウムが集積しやすいとの報告があるそうです。イギリスの研究では、ヒユ科のアマランサス属がセシウム吸収能力が最も高いと報告されています。日本に自生するヒユ科アマランサス属としてはイヌビユなども有効だとされています。

●スウェーデンではベンナイト粘土をすきこんだりして有効な除去をしました。ベンナイトは日本でも多く産出され入手可能です。

●堆肥も通常より木質分やゼオライトを多くして投入すると有効な吸着作用を得られます。

●施肥肥料分によってもセシウムの吸収は違います。カリはセシウムの同族元素なためにカリ肥料を多めに配合するとセシウム吸収率は高まります。

●もし今畑に作付けられたままだった場合は、あえて収穫せずに徒長させてできるだけ吸収させてしまうほうがセシウム吸収には有効だと思われます。

●土壌検査で規制値を上回った場合は、今期の作付けはあきらめて菜種やヒマワリ、牧草などを植えるのも有効です。

●客土は現実的ではありませんが、もしするなら剥いだ土は他の場所に移動することは出来ないと思ったほうがいいでしょう。

●自分の畑の一角に深い穴を堀り、汚染土壌を埋めた後に、表面を鉄板やセメントなどで覆うといいでしょう。

●ハウスに汚染土壌を入れると、放射線は窓やビニールを透過してしまいますので気をつけて下さい。

Q3 作物によってセシウムの移行係数は違いますか?

●違います。IAEAによれば穀類の葉茎、豆科飼料作物、牧草などには高い移行係数がでます。ただし土質によって差がでます。

●米でも糠部分に多くセシウムがたまると言われています。ですから、白米のほうがセシウム濃度は玄米に比べて2~3割低いようです。

●青森県六ケ所村での研究では、白米のセシウム濃度は土壌の1000分の1という結果になっています。

●稲藁、麦藁などの非可食部分の家畜への飼料化、あるいは堆肥化は、茎部分のほうが吸収率が高いためにセシウムの食物連鎖を引き起こす可能性があります。実測してから与えるほうがいいと思われます。

*情報ソース http://jssspn.jp/http://www.aomori-hb.jp/http://www.iaea.org/

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福島の危機は深まっている

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菅首相とその取り巻きの言った、言わない、聞いていない、言ってあるという「大論争」があいもかわらず続いているようです。

東電は12日午前3時20分に海水注入を経済産業省に通告したとか。これでこの低次元な論争にチェックメイトですね。

そもそも最高責任者が「聞いていない」ということを逃げ口上に使うようになっては、危機管理もクソもありゃしませんて。

この人は、都合の悪いことは知らぬ存ぜぬ、失敗はすべて他人のせいということにしてどこまでも政権にしがみつくのだろうな。すごいよ、この権力欲だけは。

まぁこれで来年あたりの週刊誌「持ちたくない上司ワーストワン」となること決定ですな(笑)。

政治家としてどうこうという次元を超えて、人として見苦しいの極みですが、こんな男のことは放っておきましょう。カミさんが言ってました。「バカはうつるから、相手にしてはいけない」って。

さてスチャラカ首相(←古いね)を尻目にして、東電が福島第1原発の危機の詳細を明らかにしました。ま、これもどこまてほんとうかは大いに疑っておく必要がありますが、とりあえずこんな状況です。

下の資料1に毎日新聞の作成した1、2、3号機の状況の一覧がありますので、ご覧下さい。なんじゃこれは、と思わず往年の松田優作のような声を出したくなります(笑←笑っている場合か)。

●1号機・・・地震発生から15時間後の13日6時頃に圧力容器が破損。炉心ほぼ完全にメルトダウン。水素爆発は12日15時36分。圧力容器は破損、格納容器は破損の疑い。

●2号機・・・地震発生から101時間後の3月15日20時に完全にメルトダウン。水素爆発はそれ以前の15日6時10分。圧力容器破損、格納容器破損。

●3号機・・・地震発生から60時間後の3月14日3時に完全にメルトダウン。水素爆発は14日9時。圧力容器破損。格納容器破損の疑い。

いったい3月の中旬頃に、盛んにテレビで「メルトダウンしているなどというデマを信じるな」といっていたのはどこの誰でしたかね。斑目委員長などハーシャル・メルトダウン(部分的炉心融解)すらとんでもないとばかりに怒ってみせておられました。

いままで東電は炉心について、1号機は完全に露出していない、「燃料棒の先端からマイナス1700㎜の位置にある」と発表してきたはずです。

ところが一転、今度は「水位計が間違っていました。ほんとうに炉心全融解していました」ですと・・・。アキサミヨー。

となると、東電が意図的にデータ改竄をしたかどうかということは後の検証に任せるとして(東電はデータ改竄のプロですが)、計測データそのものが信憑性がないということになります。

原子炉内部は目で見ることは出来ませんから、水位計、温度計、圧力計というローテクな測定機器で検査するしかないわけです。これがたぶん震災の影響で狂っていることもありえます。

となると、こちらはその先を考えておかなければならないことになります。

ジルコニウムの燃料容器を溶かして流れだしたウラン燃料は、現在どこにあるかといえば、第2のバリアーである圧力容器の底を突き抜け、さらにその下にある第3のバリアーの格納容器の底にベチャっというかんじでへばりついているものと思われます。

そしてその一部は、さらに格納容器の底を突き抜けて圧力抑制室(サプレッションルーム)にまで達し、さらに2号機ではそれすら突き抜けて外部に漏れだしていると考えられます。(資料3参照)

この格納容器は厚さ4センチの鋼鉄製でできており、1400度~1500℃に耐えられるとされていますが、これを突き抜けたウラン燃料は2800℃に達していると考えられています。

もはやこの外というか下は、いきなり建屋の底のコンクリート床です。そうとうな厚さがあると思われますが、注水で冷やし続けていてもどこまで持つかです。

つまりはもはやメルトダウンではなく、その上のレベルの非常事態であるメルトスルーです。

メルトスルーという、かつて私が高校生の時に映画「チャイナシンドローム」で観たことが私の国の、それもわが家から160㌔先で起きているとは思いたくない現実です。

ところでこの先はどのようなことになるのでしょうか。
最悪のケースは、この建屋コンクリート床を貫通して地下水とぶつかり巨大水蒸気爆発をおこす可能性です。その場合は・・・あまり考えたくありません。近くに住む人間のことも考えずに面白半分に書かれている記事もまんざら煽りではなくなります。

次にもう少し現実的な可能性ですが、溶けた高温のウラン燃料の外側は冷却水で冷やされ表面だけ冷えて固まった状態となっていると推測されています。この内部は高温のマグマ状になっていて、非常にもろいと考えられます。

これがしつこく続く余震にあってひび割れた状態となり、その亀裂から冷水が進入すると、これも水蒸気爆発となります。結果は前者と同じです。

もうひとつは、それらの爆発がない場合でも、格納容器までアウトなわけですから、もはや工程表にあった水棺は不可能です。いくら上から入れても下から漏るのではどうしようもありません。別な方法を考えるしかないでしょう。

また既に注水がウラン燃料に当たって通過しているわけですから、高濃度の汚染水を常に大量に排出しつづけることになります。東電は循環器を外付けして循環させて濾過して再循環させることを考えていますが、うまくいくかです。

おそらくはどこかで行き詰まり、巨大タンカーなどに汲み上げることになるのではないでしょうか。

いずれにせよ、現在なんとなく状況が停滞しているので喉元過ぎてしまった人も多いでしょうが、実は危機は深まっているのだと思ったほうがいいようです。

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

資料1

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資料2

東京電力は、福島第一原子力発電所の炉心溶融(メルトダウン)について詳しいデータ解析を行い、1~3号機では、圧力容器だけではなく、その外側を覆う鋼鉄製の格納容器も、地震後24時間以内に損傷していた可能性があることが分かった。

 解析結果の報告書は23日に経済産業省原子力安全・保安院に提出された。

 報告書によると、東電が原子炉の運転データに基づいて地震後の圧力などの状況を詳しく計算したところ、1号機では、緊急冷却用の「非常用復水器」が十分に働かず、炉心溶融の進行によって、地震後15時間で圧力容器の底部が破損。炉心溶融に伴って格納容器の温度も上がり、同18時間で設計温度の138度を大幅に上回る約300度に達した。温度はその後も上がり続けたと推定される。

 格納容器は、運転時に300度近い高温と70気圧もの高圧にさらされる圧力容器と異なり、設計上の温度・圧力条件が低く設定されている。300度を超す高温では、格納容器で配管や機器の貫通部を密閉しているゴムや金属が耐えられずに劣化してしまい、放射性物質を含んだ蒸気が漏れ出したとみられる。

資料2

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国内に放射能が降ったのは初めてではない

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神奈川、茨城に次いで栃木の茶でもセシウムが検出されました。実は、日本に放射性物質が降下したことはこれが初めてではありません。

米ソ中の大気圏内核実験やチェリノブイリでも放射性物質は大量に放出されています。ですから、わが国への放射性物質の降下は今に始まったことではないとも言えます。

では、核実験と原発事故とを比較した場合、どちらが多くの放射性物質を放出したのかといえば、広島型原爆でまき散らされたセシウム137は3000キュリーに対してチェリノブイリでは770万キュリーだと言われています。

チェリノブイリ原発は広島型原爆の2600倍以上のセシウム137を蓄えており、それが爆発によってかなりの量が環境中に放出されました。

当時のソ連当局は炉内の蓄積量の13%だと発表していましたが、それがソ連国内だけの量であって、放射性物質は国境などおかまいなしにどんどんと気流に乗って各国に拡散していくことになります。

比較的データが揃っているーロッパだけで100万キュリーにもおよび、それは炉内蓄積量の30%にあたります。58%という評価もあります。

広島型原爆の700~1500発に相当の放射能がまき散らされたわけです。米ソの核実験は1945年から1985年まで計423回行われてきており、その結果セシウム137だけで2600万キュリーが放出されたことになります。(小出裕章「放射能汚染の現実を超えて」による)

そして今もなお、燐国では大圏内核実験を世界で唯一続行しています。

1986年4月に起きたチェリノブイリ原発事故によって北欧を中心として広大なヨーロッパ地域が汚染されました。

そしてわが国でも、その影響は出ていました。当時わが国ではヨーロッパからの輸入食品についてのセシウム規制値が話題になっていましたが、数値は370ベクレル/㎏です。

現行の暫定規制値が500ベクレル/㎏ですら、いつのまにか緩やかになったとみえます。

それはさておき、1988年当時国内でも高濃度のセシウム137が検出されていました。下の表をご覧下さい。(出典同上)

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表の右Cs137がセシウム137のことです。セシウムはカリウムの同族元素であり、土中や植物内部での挙動も似ているところから、植物はセシウムをカリウムと同じようににして吸収しています。

このカリ肥料は、天然由来の場合草木灰やカリウム岩塩などが原料です。ですから植物は、カリ肥料分と錯覚して放射性セシウムまで取り込んでしまったことになります。

下に日本全国のチェエノブイリ事故によるセシウム汚染の分布図を載せます。(出典同上)

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日本海側でやや濃いいなどの濃淡はあるものの全国ほぼ均一に汚染されています。これはチェリノブイリから日本が8千㌔離れており、到達するまでに拡散していたことが原因だとみられます。

私は農業に原子力はいらないと考えています。それが仮に核実験によるものであろうと、原子力発電所の事故によるものであろうと、私たち農業者の敵です。

ひとたび空気や土、水を汚染すれば、それは植物に残留し、土中に残留し、水系を汚染し続けます。それも30年以上の長きにわたって。

低レベルで長期間放射線を浴びたり、あるいは体内に摂取し続けた場合、いかなる健康への被害が出るのかを世界各国は真剣に考えてみようとはしてきませんでした。それは各国の原子力推進政策にとって邪魔者だったからです。

実態としていかなる人体への健康被害が出るのかはわからないのです。それは実証検証例が不足しているからであり、今わが国で求められているのはこれなのです。

ようやく7月にも原発周辺12市町村で約15万人を対象に健康調査が開始されます。これには独立行政法人 放射線医学総合研究所などが中心となって、白血球数やガンの発生率を30年以上にわたり追跡調査するそうです。

ヒロシマ、チェリノブイリ、フクシマと人間は愚行を繰り返してきました。この愚行はここで、今この時点で止めねばなりません。

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今日から4年目に突入しました

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私のこの拙いブログが始まったのが、2008年5月22日ですから、今日で4年目に入ります。実は今日気がつきました。たはは。

長年おつきあい頂いたみなさまには感謝の言葉もありません。

ひさしぶりに1年目の記事を読んでみると就農した当時のこととか、狭い意味での農業のことばかり書いているようです。やはり「農業からの発信」というかんじだったようです。

当時、自分が設立に関わった農業団体の代表というポストからはずれて、もっと自由にしゃべりたいという意識が強かったようです。

ポストについているとどうしてもその利害関係に縛られしまって、言いたいことも言えないという気分でした。そんな時にある方の勧めでブログの世界に入ったのですが、当初は匿名でした。

半年たらずで匿名とはおさらばします。知り合いの方からは「勇気あるねぇ」と呆れられましたが、勇気というより性に合っていなかったんでしょうね。自分の言ったことに自分で責任をもたせたかったというとカッコよすぎるかな。

実際、昨年の宮崎口蹄疫のシリーズ(なんと140回もやりましたが)の時は、東国原知事を批判して初めての炎上というやつに遭遇しました。

私は私的メルアドも公開していますから(なんて甘いセキュリティだ!)、メールまで含めて十数通の非難のお言葉を頂戴しました。

そのとき思ったのは、批判内容の正当性とは別の位置で批判を受けていることでした。当時の東国原氏の立場は90%を超える支持率という驚異的な支持を背景にして、宮崎県民の団結の結び目にいました。

当時の氏は、国の方針と対抗して県の畜産農家の利害を守るというある種のカリスマ性すらありました。

と同時に、前知事対して特に養豚農家を中心にして手厳しい批判があったのも事実です。要するに、宮崎県内は決して一枚岩ではなく、置かれた地域や、牛、豚の違い、系統か商系出荷か、果ては畜産農家なのか一般県民なのかの違いなど、よその地域の人間にはわからないことがたくさんあったのです。

結局、1週間の更新停止処分を自分に下しました。この自主処分については、後にほら見たことかというような揶揄を幾人かの人から受けることになりますが(苦笑)。

私はこれでよかったと思います。農業というのが地域から離れることができない職業である以上、しょせん私はよそ者のおせっかいな人間でしかありません。地元の人の感情を逆撫でしてまでする「支援」などどこにもないのですから。

このことは、今の東日本大震災に対しても言えます。私はある時期から「がんばれ日本、がんばれ、東北」の応援バーを掲載するのは止めています。お気づきになりましたか。

それは私が支援する気持ちを失ったというとでは全くありません。むしろ逆に、具体的な支援を考え始めているからです。

それはある東北の地域の再興と、私の農業者としてのあり方を結びつけていこうという息の長い取り組みを準備しているからです。

まだ海のものとも山のものともといった段階なので具体的には書けないのですが、単なる「ガンバレ」から、その被災地域の復興の小さなかけらの一つになっていければいいなと思っています。

それとやはり当分は原発問題を中心に据えるしかないでしょう。これは単なる事故問題だけではなく、エネルギー問題という国家の根幹を通じて将来の日本のあり方を大きく左右する事件となることでしょう。

10年後に振り返れば去年から今年は、口蹄疫、トリインフルという感染症と、TPPに代表されるグローバリズムの到来、そして大震災と原発事故までもが同時に押し寄せたエポックな時代に生きているのかもしれません。

この時代に間違った舵取りひとつでわが国は、農業のみならず国民生活そのものが破壊されかねないでしょう。それに対してはっきりとした視点を固めておく必要があります。

といっても根がグータラですから、能力が及ぶ限りでということでお許し下さい。さて4年目のありんくりん、どうなっていきますことやら。

ご支援のほどを平にお願い致します。

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事故直後にフクシマでなにがあったのか

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今までわかってこなかった原発事故の当初の状況も分単位で明らかになってきつつあります。

原発事故対応が初動に尽きるのはすべての危機管理と一緒ですが、特に災害の大きさと深刻さから、すべては24時間以内に対処を完了すべきでした。

問題は2点です。

①格納容器内の高圧を逃がして、注水をしやすくするためのベントがなぜ事故発生当日の11日中に行われなかったのか。
②12日早朝から行われている消防車での冷却水注入がなぜ少なすぎたのか。

ベントするための電源は、11日当時8時間もつ非常用バッテリーがまだ生きており、バッテリーが弱くならないうちの4時間以内にベントをすれば、後の注水が入りやすくなると言われています。(大阪大学原子炉工学 宮崎慶次名誉教授)

現実には事故後4時間どころか、ベント実施は翌日12日10時17分でした。

この遅れの理由を東電側はこう発表しています。(4月18日参院予算委員会 清水正孝東電社長)
・電源が切れていた。
・主導でやろうにも放射線量が高くて現場に入れない。
・電源が切れて暗闇となり通信機能も失われていた。
・何より周辺の影響があるので、(住民の)避難をしっかりと確認する必要があった。

このベント遅れが、絡まりあうようにして後者の注水の妨げになっていきます。というのは、炉心冷却の機能が失われており、炉心の水位は事故直後から循環が停止したために炉心水位が急激に落ちてきていたからです。

いや、この言い方も正確ではありません。正確には原子炉が「どうなっているのかわからなくなっていた」からです。

そのために11日16時36分に「原子炉の水位が確認できない」ことを示す原子力災害対策特別措置法第15条を通告しています。(その後いったん解除しまた通告)

そして同日19時03分、史上初の原子力緊急事態宣言発令。
20時50分、半径20㌔の避難指示発令。

11日22時頃には保安院の内部資料では、「プラント状況の評価」、「予測」としてこのように記されています。(AERA5・9による)

・22時50分炉心露出
・23時50分炉心被覆管破損
・24時50分炉心融解
・27時20分原子炉格納容器設計最高圧(527.6キロパスカル)到達

実は1号機への注水作業は12日朝から行われていました。これは全電源喪失のために消防車を使って行われ、10時17分のベントをはさんだ14時53分までに約80トンを注水しています。

消防車を使ったのは、前日22時に非常用電源車が到着したのですが、なんと原子炉がGE製の400Vで、規格違いのため接続できないという大マヌケをやらかしていたからです。

またこの注水量ではまったく不足でした。宮崎名誉教授によれば「1号機には毎時25トンの水をいれなければならないにもかかわらず、実際は10トン/時しか入っていない」状況でした。

この原因は格納容器内部が設計最高圧を超えてしまっており、高圧のために注水が跳ね返されるという事態が1号炉では起きていたからです。

ところがこの格納容器がベントをしていない12に5時14分に低下し始めます。(東電内部資料による)

これは決して安心できる事態ではなく、真逆な格納容器の密閉性が失われつつあることを示していました。つまり、原子炉炉心は融解を開始、それを閉じ込めておくべき格納容器が破損しているのがわかったのです。

そして15時36分、充分な注水がなされないままに炉心融解をおこしていた1号炉は水素爆発。

このベントの遅れがいかなる理由なのかには諸説紛々飛び交っていますが、ここでは置くことにします。

とまれ、ベントの遅れがあまりにも少ない注水を招いたようです。そしてその注水作業も真水から海水に換えるにあたって、12日19時25分から20時20分まで中断されるという「謎の55分間の断水」のために完全なメルトダウンへとなっていったのです。

この「謎の55分間の断水」は武藤東電副社長が塩害を恐れてためらったという従来の説と、一昨日に菅首相がイラチで中断させたという説が浮上していっそう混沌としてきましたが、ここでは触れません。

 

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土壌放射能汚染マップづくりが始まった! ただし問題も

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私がかねてから唱えていた土壌放射線量マップを政府が着手するそうです。(資料1参照)

これは文科省、農水省、経済産業省の3省連結の共同プロジェクトで、内閣府総合科学技術会議が主導するとのことです。

また他に日本原子力研究開発機構や大学、自治体などの25研究機関が連携するとされています。

おお、やっとやる気になったか!ミニ・オールジャパンの陣容じゃないですか。ひさしぶりに期待していますよ。いままで裏切られっぱなしだったので、今度は信じましょうゾ。

プロジェクトではこんなことをするそうです。
①大気、土壌、農地の3種類の放射能濃度マップを、福島県を中心に作成する。
②放射性物質の濃度が高い農地を浄化する技術を開発する。

●予算としては放射性物質の分布調査に7.1億円。
①予算内容としては、大気や農地の放射能調査マップの作成。
②大気や土、川の詳しい調査。
③放射性物質の移動ルートの把握。

●次に、農地の浄化技術の開発に4.9億円。各種技術を組み合わせた最適な浄化法の確立。
①代かき後の強制落水などによる土壌表面の除去。
②カリウムの施肥による作物の移行防止。
③ゼオライトなど吸着剤を使った除去。
④ヒマワリや牧草栽培による除去。

とまぁこんな内容です。

いままで、土壌放射線量の測定は、文科省が中心となって行われてきていたのですが、当然のこととしてこれだけ福島、茨城、千葉を中心とした農地に放射性物質が降って巨大な風評被害を出したわけですから、農水省が乗り出すのは遅すぎたくらいです。土壌といえば農水省でしょうが。

問題は経済産業省ですね。なんで隠れもしない原発推進の司令塔がかんでくるのでしょうか。どうせ東電の巨額補償金がらみのためのデータ取りなんでしょうが、なんかイヤダ。

篠原孝さん(農水副大臣)のブログをみると、氏はチェリノブイリにも行き、すっかり脱原発派になっておられました。

わかりますよ。農業や水産業からしてみれば、原発なんてなにひとついいことはありません。今回の福島第1原発の事故では、産業部門としては最大の被害者なのではないでしょうか。

文科省にしてもそうです。校庭の放射線量規制値をいきなり20倍にしてしまうという唖然とする暴挙を仕出かしましたが、あの決定の裏には親元から離して学童疎開を出したくないという悶々の葛藤があったことと思われます。

ただし愚行は愚行で、きわめつけの愚行です。放射線に対して感受性が高い生育期の子供を、20ミリシーベルトの環境中に置いて大丈夫だとする科学的な根拠はありません。

「子供と妊婦を守る」というのが原子力災害避難の原則中の原則のはずです。この文科省の決定は児童と親、そして自治体を恐怖させたのみならず、5年後、10年後に晩発性障害となって呪われることでしょう。

遅くはありません。文科省は直ちにこの通達を撤回して元の規制値に戻し、校庭や公園の除染を即刻始めるべきです。

文科省は子供の護民官なのですよ!それを忘れないでください。長年にわたって原発推進教育をやってき罪滅ぼしをしてください。

さて、私はこのプロジェクトを歓迎するものの、残念ながらツーレイト、ツーリトルだと言わざるを得ません。

まず予算規模です。放射線量分布マップの作成で7.1億、農地浄化技術の研究テ4.9億、しめて12億ですか。少ないなぁ。

農業予算や経産省がらみの事業など、ちょっと大規模になれば20億、30億は当たり前。箱ものを作れば100億、200億があたりまえなのに、3県の農業の運命がかかっている放射能対策にたった12億ですか。

たぶん、福島県内の放射能マップ作りと、飯館村での小規模実験でおしまいでしょうね。茨城県や千葉県などの調査は今年度中は無理ということになります。

まったく農水省のボケかげんには毎度のことながらうんざりします。どうして財務省から茨城、千葉の2県の調査費用も分捕ってこないのか?!この2県はどうでもいいということでしょうか。

そして水産業の放射能被害についてもどうするつもりでしょうか。福島第1から放出された汚染水は拡散しながら潮に乗って広範囲の汚染をもたらします。

この拡散状況の調査や、魚介類に対する影響は、現在福島県と茨城県の調査船がおこなっていますが、自治体には限界があります。早急に国が乗り出して大規模な調査をしないと大変なことになるでしょう。

また、避難区域の除染は政府の念頭をかすめもしなかったようです。経産相は避難民に対して、帰れるのは6カ月先だ9カ月先だと空手形を切っているのですから、そのために今するべき放射能除染作業をおこなっておかねばなりません。

簡単にたいした予算もかけずにできるのは、ヒマワリの種の散布です。空中散布すれば、広域に播種できます。地上での機械散布もできます。

ヒマワリの放射能除去効果はチェリノブイリでも実証されており、今この時期を逃すと播種する時期を失します。ヒマワリの時期を失すると次は菜種ですが、ぜひクリーニング・プラントを使った放射能除去を今するべきです。

子供手当てにいまだ政府は固執しているようですが、2兆円ともいわれる巨費、あるいは原子力対策費とされる500億円超の財源をこの原発災害対策に使うべきでしょう。

今です、今!今やらないと時期を失してしまいます。どうしてこうも政府の腰は重いのだろうか!

写真 カラスノエンドウの裏にニホンミツバチがいますが、見えますか?

追記 今朝鶏舎に行ってみたら、なんとの野犬の襲撃に会って一挙に60数羽を殺されていました。一番生む若いトリです。へなへな~。大損害だぁ(涙)。彼女らの霊に合掌。

      ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

資料1 日本農業新聞5月20日 Photo

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菅首相は福島原発の視察前にSPEEDI情報を知っていた

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今日は別なことを書くつもりでしたが、いきなりあ~あという記事を読んでしまって、そちら取り上げることにします。

予想どおりでしたが、3月12日未明の段階で、官邸にはSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータが伝えられていたようです。

「東京電力福島第1原発事故の発生直後の3月12日未明、放射性物質が原発の海側に向かうことを示す「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)の予測図が首相官邸に届けられていたことが19日、分かった。民主党の川内博史衆院科学技術特別委員長や政府関係者が明らかにした。
(時事通信5月19日)

これを暴露したのは民主党の川内博史衆院科学技術特別委員長などの政府関係者だそうです。いわば身内からの「告発」ですね。

このSPEEDIは、肝心な今回の福島原発事故に際してまったくスピーディではない使われ方をして、とんだ税金の無駄遣いとなってしまった可哀相な奴です。泣くな、SPEEDI!

聞く限りはなかなのもので、スパコンにより全国の原子力施設の周辺地形や性能などが膨大にインプットされており、いったん原発事故が発生し場合、放出された放射性物質の拡散を、気象庁のアメダスと連動して、風向や風速、気温などを考慮しながら計算し図形化していきます。

最大79時間後までの飛散を予測する能力を持っているそうでたいしたものですが、今回ただのアニメーションのオモチャでした。

これはSPEEDIのせいではなく、それを扱った政府のせいでした。SPEEDIは忠実に事故直後の3月11日17時から動き始めたものの、最初の拡散予測図が公表されたのはそれから遅れること12日後の3月23日でした。

その後4月11日に2枚目が公表されたにとどまっていますが、実は2千枚とも3千枚ともいわれる拡散図をSPEEDIは作っていました。これらの全貌はいまだ未公開です。おおよそ原子力事故が起きた先進国の出来事ではないですね。

東電は3月12日に1号機、3号機、翌13日には2号機でベントと水素爆発をしています。そして15日には三度めの放射能除去フィルターを通さないドライ・ベントと水素爆発をおこしています

この15日のドライ・ベントと水素爆発が大量の放射性物質を環境中に放出しました。わが県の環境放射線量もこの日を境に急激に上昇しています。

また、先日の神奈川、栃木のお茶からも検出されたセシウムもこの時のものだと思われ、実に神奈川など300㌔の距離を飛散していたことです。

もしこのSPEEDIが適切に使わていたのなら、放射性物質が原発から同心円的にジワジワ広がっていくものではなく、当初からSPEEDIが予想していたように、その時の気象条件や地形によって大きく左右されるものだとわかっていたでしょう。

下のSPEEDIの図を見れば、同心円の避難地域を大きくはみ出して40㌔地域の飯館村などが放射性物質の飛散地域であることが分かっていたはずです。

逆に30㌔避難区域でも飛散が見られない地域も多数存在しています。

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通常欧米ではこのような場合、最大80㎞範囲の避難を指定し、政府の全力を上げて住民を避難をさせた後に、詳細な放射線量のモニタリングをして、安全な場所には避難民を逐次帰還させていくそうです。

我が国では20キロ→30㌔→計画的避難区域→警戒区域と、まぁ猫目のようにくるくると政府指示が変化していきました。放射線量自体は15日移行大きな変化は見られていないのにです。

さて、問題はこの初動の段階で政府がSPEEDI情報を知り得ていたかです。今までは関係自治体の証言から知っていたと思われていましたが、なにぶん政府はあの調子で、隠しおおせられるなら墓場までという人たちらしいので、よくわかっていませんでした。

この関係自治体とは福島県で、福島県災害対策本部原子力班によれば、「当初からSPEEDIの拡散図は送られてきてはいたが、公表については政府の原子力安全委員会が決めるので、自治体が勝手に公表してはならない」と命じられたそうです。

ちなみに、従来まではSPEEDIは文科省の所管でしたが、なぜかドライベントが行われた直後の16日に内閣府原子力安全委員会に所管替えとなっています。

今回の川内議員の言うことをみると、3日月12日午前1時12分には官邸にこのSPEEDI情報は届けられており、初回のベントが行われた場合の拡散予想図も届けられていたそうです。

それによると、「第1原発1号機で格納容器の蒸気を外部に放出するベントを行った場合、同3時から同6時までの間、放射性物質が全て海に向かうことを示す内容だった」そうで、これで安心して菅首相は福島原発現地の「陣頭指揮」に心安らかに出発できたようです。

菅首相以下政府のお歴々は、自らの安全のためにはSPEEDIの放射能拡散データを使いながら、地元民に通知することはおろか福島県にまで公表を禁じていたことになります。

下の写真は岡田幹事長が現地を訪問した時のものですが、ものすごい重武装のいで立ちです。なんとまぁ迎えた地元の首長とゴム手袋をしたまま握手したとかで、もう二度と来るなと現地の人々に言われたそうです。

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しかし川内氏の「告発」を聞くと、なにかもっと重大な事実を隠しているのでこんな原発建屋に突入するようなカッコウなのかとも思えてぞっとします。

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菅首相視察前、官邸に予測図=放射性物質の流れ確認? 

時事通信 5月19日(木)22時16分配信

 東京電力福島第1原発事故の発生直後の3月12日未明、放射性物質が原発の海側に向かうことを示す「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)の予測図が首相官邸に届けられていたことが19日、分かった。民主党の川内博史衆院科学技術特別委員長や政府関係者が明らかにした。
 川内氏らによると、予測図は3月12日午前1時12分、経済産業省原子力安全・保安院からファクスで送信された。第1原発1号機で格納容器の蒸気を外部に放出する「ベント」を行った場合、同3時から同6時までの間、放射性物質が全て海に向かうことを示す内容だった。
 3月12日朝に首相は第1原発を視察。SPEEDIの予測図は住民には長く公表されなかったものの、首相の視察前に放射性物質の流れを知るため利用されたのではないかとの疑念の声もある。川内氏は「首相はSPEEDIを自分のために使い、住民のためには使わなかったのではないか」と話している。

SPEEDI、公開できませんっ!?

河野太郎ブログ 2011年03月23日 14:03|

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)というシステムがある。緊急事態が発生した際に、気象観測情報、アメダス情報と放出核種、放出量等の情報を入れることにより、六時間先までの希ガスによる外部被曝線量や甲状腺等価線量などをシミュレーションすることができる。

事故発生後から、この情報の開示を自民党の対策本部として政府に求めてきたが、全く開示されない。

その一方で、ある海外メディアからSPEEDIによる計算結果の二次元表示を見せられて(つまりリークか?)、なぜ、これが公表されないのかという質問を浴びる。

それが本物かどうかもわからないため、昨日22日は答えられず。

23日朝9時から、官邸、文科省、原子力安全委員会にそれぞれ電話するも、三者ともそれぞれ自分に公開する権限はないと力説するだけ。

このシステムを持っているはずの文部科学省に、「原発の緊急事態のSPEEDIに関する情報の担当部署をお願いします」と電話すると、「原発に関する情報はスピーディにお出しするようにしています」。思わず、頭に上っていた血が降りてきた!

十数分後に事務次官室に電話が回され、何度目かの「SPEEDIの担当部署をお願いします。」「少々お待ちください」と言われ、待たされていると、スピーディってどこの部署と電話の向こうで騒いでいる。ようやく回されると、「3日前から原子力安全委員会に移りました。」

その原子力安全委員会も官邸も誰が開示できるのかまるで把握していない。

あげくのはてに、「事故で情報が取れないので正しい数値を入力できず、どれだけ意味のある情報になっているか」。本来、事故のための「迅速」影響予測システムのはずなのに。

その一方で、アメリカの大手新聞の取材に「東京電力はよくやっている。日本の原子力は本当に安全だ」と能天気な受け答えをしている与党議員がいる。それで、また海外メディアの不信感が高まっている。どっちが与党だ!?

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菅首相は発電-送電の分離を言いだす前にやるべきことがいっぱいあるんじゃないかと思う

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昨夜、菅首相は記者会見で原子力行政についてそうとうに突っ込んだことを言い出しました。正直たまげています。

要点は3ツです。
①原子力安全保安院の経済産業省からの分離など原子力行政の見直しをする。
②点検中の原発で、安全性が確認されたものは稼働を認める。
③電源供給のあり方、地域独占の形などについて議論する必要がある。

この発言が菅直人という、私がこの世の中広しといえど一番信用していない人物の口から語られたのでなければ、まずまずの進歩だと思ったことでしょう。

まず第1の安全保安院、そして首相は言及しませんでしたが、内閣府原子力安全委員会も監督官庁でありながら、福島第1の危険性を見逃し、事故対応に失敗したのみならず、事実を長期にわたって隠匿し続けた責任は問われて当然です。

ただし、首相はこれを保安院の経産省からの分離という最小限の改革で押しとどめている気配がします。

原子力行政は、自民党時代からの積年の膿のようなもので、経産省資源エネルギー庁長官が東電に天下っているようなことにうかがえる政-財-官-労の癒着構造そのものでした。

もし首相が本気で原子力行政を刷新する気なら、保安院の分離程度ではおさまらず、経産省や、そして首相のお膝元の民主党内部にも多数いる東電労組・電力総連出身議員をも相手に返り血を浴びる覚悟がいるでしょう。

保安院分離が、原子力行政の抜本的見直しにつながる一里塚ではなく、単なる小手先のトカゲの尻尾切りになるなら何の意味もありません。

第2に、点検中の原発が安全とわかり次第稼働を認めるということですが、その安全の基準とはそれこそ今回福島第1で破綻した安全基準なわけです。破綻した基準をクリアしたからといって「稼働を認める」とはこれいかに。

極限すれば、原発安全基準など2ツ改正すればいいのです。ひとつは原発が15mの津波に耐えうること、ふたつめはマグネチュード9に耐え得ることです。

クロウトの「原子村」の先生方はどう思っているかは知りませんが、国民はそう思っています。原子力行政の組織いじりなどするよりそのほうが遥かに国民にとって見えやすい。

そしてもう一点、さっさと正式な第三者機関による事故調査委員会を立ち上げてください。よもや、信頼性のかけらもない安全委員会や保安院にやらせようなどと思っていないでしょうね。

第3に、原子力行政の改革とは、そのまま電力事業の再編を意味します。首相は私のブログでも読んだのか(わけねぇか)発電-送電の分離を言い始めました。

冒頭でも書きましたが、一番味方にしたくない御仁が言い出すとなると複雑な心境です(苦笑)。ならば、首相は東電という巨大企業が独占的に有している発電-送電の地域独占まで手をつけるということですね。

だったら立派だ。しかし、これをするとなるとつい最近作った原子力災害救済に名を借りた東電救済のスキーム(枠組み)が根底から崩れてしまいますが、そのことに気がついているのでしょうか。

今回の救済の肝は、被災者救済も東電救済もガラガラポンにした「原子力賠償機構」を作ることです。ここに沖電を除く全国の電力会社、金融機関が出資しようというものです。

発電-送電の分離をやるということはこれらの電力会社を事実上解体し、新しい競争市場の真っ只中に放り込むことです。こんなことを電力各社が呑むはずがないじゃないですか。

電力各社は、「電力の安定供給」を旗印にして、競争なき地域独占と、原発がどんなに金食い虫だろうとなんだろうとそのコストをすべて電気料金に上乗せできるという「総括原価方式」で巨利を上げてこられたのです。

どうしてこんなワンダホーな利権を簡単に手放しますか?わけはないじゃありませんか。順番が逆なのですよ。

まずは直近の原子力行政-電力行政の見直しの枠組みを立ててから、原子力災害賠償の仕組みを作り、その後に新たなエネルギー政策の一環として発電-送電の分離などの改革に取りかかるべきなのです。

それを何をトチ狂ったのか、いきなり発電-送電の分離などという事実上の全国電力会社を解体するというに等しいことから提起し始めてしまうとは・・・ハレホレ。

思ったとおり全国の電力会社は強張ってしまいました。そりゃそうだ。「お前ら、東電救済にさえ金出したら、用済みだから解体すっからね」ですもん。こりゃもめるわ。たぶん「原子力賠償機構」の次の会議は大波瀾でしょうな。

今首相がやらねばならないのは、浜岡原発停止で支持率が上がった柳の下の2匹目を狙らうことではなくて、長期の展望を作る努力をすることです。

たとえば、原発事故対応において、なにから手をつけるべきか、だれが危機管理の指揮をとるべきか、その法的権限は何かなどの優先順位の明確化をすることです。

福島原発事故に対して、政府の対応はまるでスラップスティックでした。責任を負うのは、東電対策本部なのか、政府対策本部なのか、安全委員会なのか、保安院なのか、内閣府危機管理監なのか、経済産業大臣なのか、特命補佐官なのか、はたまた首相その人なのか・・・。

国民から見ればなにがなにやら。当人たちさえわかってないだから仕方がないか。指揮系統と責任の所在があいまい。

そしてシャックリのように飛び出す首相の「リーダーシップ」によりいっそう混乱しました。今回もどうもその類のようです。

発電ー送電の分離を言い出したら、今の東電救済スキームそのものが壊れると誰か教えてやらなかったのでしょうか。たぶんこの会見の数時間前に突如思いついたってところでしょうかね、また。

浜岡原発が危険だ、停止しろと「要請」するのならば、本来は次に来るであろう原子力事故にたいしての優先順位を明確にし、官僚機構や電力会社、地方自治体の各部に危機対応指示を優先しなければならなかったでしょう。そのような地道なことをせずにカッコだけつけたがるから困る。

原子力行政ならばやるべきことは山積みです。ざっとシロウトの私が数え上げただけでこんなにあります。

・原子力発電所の現行安全基準の改定と暫定的安全基準の設定。
・浜岡以外にもある柏崎刈羽、伊方、美浜、東海第2などの運転停止。
・核燃料リサイクル政策の見直し。
・原発新規着工の凍結。
・原子力災害被害者の救済の即時仮払いの実施。
・原子力災害の風評被害の救済のための即時仮払いの実施。
・原子力災害の恒久的救済法の設置。
・福島第1原発事故調査委員会の早急な設置。

とまぁ当座の原子力政策を簡単に考えてもこれだけあり、その上で原子力政策=電力行政ですから、電気事業の改革の見取り図も考えるべきでしょう。

その文脈で初めて発電-送電の分離、地域独占の見直しという大きなテーマが出てくるはずです。

思いつきでは無理というものです。

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

福島第1原発 菅首相、発・送電の分離検討

毎日新聞 5月18日

菅直人首相は18日、首相官邸で記者会見し、電力大手10社が各地域で独占している発電部門と送配電部門の分離論について「通信事業でも地域独占でない形が生まれている。そういったあり方も含め議論していきたい」と前向きに検討する姿勢を示した。東京電力福島第1原発事故を受け電力会社の経営形態の見直しを求める意見が与野党から出ているが、電力業界の反発は必至。首相は事故の収束と調査の徹底が前提になることも強調した。

 首相は、風力など再生可能な自然エネルギーを基幹エネルギーに加える方針を改めて表明。「自然エネルギーは地域分散型の発電になる。大きな割合で受け入れる時にどういう態勢が新たに必要になるか、今後議論すべきだ」と述べた。大規模な設備投資の必要な原発への依存度を減らし、小規模でも稼働できる自然エネルギーを導入する方向へかじを切ることにより、発送電分離の検討につなげたい考えとみられる。

 首相は原発事故を受け「長年の原子力行政のあり方を根本的に見直さねばならない。近くスタートする事故の調査委員会で、根本的な対策の方向性を見いだしたい」と強調。「原子力を進める立場と、チェックする立場が(原子力)安全・保安院という形で経済産業省に共存していた」と指摘し、保安院の経産省からの独立を検討する考えを示した。

 定期点検で停止したり、再稼働が遅れている原発への対応については「(政府が指示した)緊急的な安全措置がしっかり講じられ、安全性が確認されれば、稼働を認めていくことになる」と述べた。

 原発事故の収束と避難住民の帰宅の見通しについては「遅くとも来年1月中旬までに原子炉を冷温停止させ、安定させたい。そうなれば、どの時期に帰れるか申し上げられる」と述べた。

 11年度第2次補正予算案については「1次補正で不十分ならしっかり検討したい」と述べたが、国会への提出時期は明言を避けた。会期延長については「現時点で結論を出しているわけではない」と述べるにとどめた。【田中成之】

 ◇電力各社の反発必至

 菅首相が18日の会見で、電力事業の地域独占見直しや発電部門と送配電部門の分離(発送電分離)について検討する考えを示唆したことで、日本の電力事業のあり方が抜本的に変わる可能性が出てきた。地域独占で利益が事実上保証されてきた電力業界に、本格的な競争が導入されることになれば、電力会社の収益が低下することは必至。電力各社は「安定的な電力供給に支障が出る」と反発を強めており、実現するかどうかはまだ見えない状況だ。

 東電の発送電分離を巡っては、枝野幸男官房長官が16日の記者会見で「選択肢としては十分ありうる」と言及。政府内では、東電を発電部門と送電部門に分離し、いずれかを売却して賠償の財源に充てる案が浮上している模様だ。

 発送電分離は、01年ごろの電力自由化論議の中で議論されたが、「発送電の一貫体制が崩れれば、電力の安定供給にも支障が生じかねない」とする電力会社の猛反発で立ち消えとなった経緯がある。欧州では、複数の発電会社が送電会社に電気を売却する形態が普及。発電会社は競争状態にさらされるため、電気料金引き下げにつながると期待する声がある。

 日本では、電力10社が地域ごとの独占状態を維持し、電気料金も必要なコストに一定の利益を上乗せする「総括原価方式」で決められている。東電での発送電分離を手始めに電力各社で分離が進めば、電気料金の下落圧力が強まるため、電力会社の反発は必至だ。

 東電や金融機関などは「地域独占は原発事故と関係ないのに、唐突な議論だ」と反対する姿勢を強めている。また、東電を分離した場合、独占状態に比べて収益力が低下し、賠償責任を引き継いだ会社が負担に耐えられなくなる懸念もある。

 東電が発行する社債や株式の価値低下も予想されるため、東電は最大8000億円規模の資産売却や年間2000億円程度のコスト削減などの合理化を実施し、現在の経営形態を維持したい考えだ。

 また、東電の賠償負担を支援する「原発賠償機構(仮称)」への負担金拠出に応じる方針を固めている他の電力会社も、「現行の経営形態が維持できないなら話は別。首相は何を考えているのか」(西日本の電力会社幹部)と困惑している。

 菅政権は長年高コスト体質の元凶とされてきた地域独占に切り込むことで政権浮揚につなげたい考えと見られるが、電力業界も「死活問題」ととらえて一歩も引かない構えだ。地域独占が崩れた場合、建設や使用済み核燃料の最終処分に巨額の費用がかかる原発を、新規参入する発電会社が引き受けられるのかという課題もある。

 国のエネルギー政策と直結する議論のため、曲折が予想される。【 菅直人首相は18日、官邸で記者会見し、近く発足する東京電力福島第1原子力発電所事故を検証する調査特別委員会で「原子力行政の在り方も検討し、根本的な改革の方向性を見いだしたい」と述べ、原子力行政の見直しを検討する考えを表明した。具体的には、現在の電力供給体制について「地域独占ではない形の在り方も含めて議論する段階が来るだろう」と述べ、地域独占を見直す可能性に言及。電力各社や経済界が慎重な姿勢を示している発電と送電部門の分離についても「今後のエネルギー基本計画を考える中で議論すべきだ」と、議論の対象とするとの考えを示した。

 発送電分離は、枝野幸男官房長官、玄葉光一郎国家戦略担当相(民主党政調会長)、蓮舫節電啓発担当相が検討の可能性に言及しており、「分離論」が政府内で拡大した形だ。

 原子力行政では「チェック機関と推進の立場が、同じ役所に共存していた」と指摘。原子力安全・保安院の経済産業省からの分離、独立を視野に入れた検討が必要との認識を示した。

 原発推進を明記した「エネルギー基本計画」は、白紙で見直す考えを強調する一方、「個別の核燃料サイクル事業を見直すと言っているわけではない」とも語った。今後のエネルギー政策では「環境エネルギー先進国としてリーダーの役割を果たせるようにしたい」と意欲を見せた。

 定期点検中の原発については「安全措置が講じられ安全が確認されたものは稼働を認める」と述べた。

 今国会に平成23年度第2次補正予算案を提出するかどうかには「1次補正予算で不十分となれば考えないといけない」と含みを持たせた。その上で「別の目的で考えているのではない」と政権の延命意識はないと強調。国会の会期延長についても「現時点で結論を出していない」と述べるにとどめた。

 首相は5月21、22日に東京で行われる日中韓首脳会談のため来日する中国の温家宝首相と韓国の李明博大統領が、21日に東日本大震災の被災地を訪問すると発表した。福島市内の避難所を訪れる。

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足柄の新茶からセシウム検出される       

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ご存じのように神奈川県産のお茶からセシウムが検出されました。

数値は以下です。
・南足柄市・・・570ベクレル/㎏ (暫定規制値500ベクレル/㎏)
・小田原市・・・780
・愛川市・・・・670
・清川村・・・・740
・真鶴町・・・・530
・湯河原市・・・680

また同時期に茨城県産でも検出されました。
・境町・・・894
・大子町・・570

まず、今回の不条理な放射性物質検出による被害を被られた農家の方々に激励を送りたいと思います。頑張ってください!あなたがたにはいかなる非もないのです。

まっとうな農業をやっていて、これから薫り高い新茶の出荷という時期に、それを廃棄のために刈っていく作業を見ると、なんとも癒えない哀しみが突き上げてきます。

私たちの茨城県は3月から4月にかけて大きな風評被害に見舞われました。私の村の農産物は、壊滅的打撃を受けました。

いまだ一部には風評被害が続いており、福島第1原発事故が冷温停止し、一切の放射性物質の放出を止めない限り続くことでしょう。

私たち農家は、このような仕業をした東電と政府の責任を徹底的に追求しつづけことでしか、この怒りを晴らすことはできません。

さて、今回の神奈川のセシウム検出が驚きをもって迎えられたのは、その距離の遠さにありました。実に直線で300㌔あります!

福島第1原発は4回にわたって爆発しています。
・1回目/3月12日・・・1号機

・2回目/3月14日・・・3号機

・3回目/3月15日・・・2号機

・4回目/3月15日・・・4号機  

この爆発により放射性セシウム、放射性ヨウ素が大量に空中に飛散し、放射能雲となって拡散していき、雨などにより地上に落下し農産物や土壌を汚染していくことになります。

原発の風下に当たった茨城県では、3月18日のホウレンソウなどから放射性物質が検出されたのを初めとして、また22日には千葉県旭市シュンギクなどからも検出され続けていくことになります。

東京金町浄水場で検出されたのが3月22日です。

私も福島、茨城、千葉の3件で被害はおさまるものと思っていました。ところがそうではなかったことが一昨日の神奈川の新茶からの検出で明らかになったわけです。

おそらくは揮発性放射性物質であるセシウム、ヨウ素は、当時の東から西への風に乗り、東京湾を直線に横切って神奈川まで到達したと思われます。

この放射能雲は、関東平野西部で最も高い足柄山系、丹沢山系、箱根山系の1000m級の山々に遮られてここで停止しました。

そして3月21日の、震災後初めて神奈川全域に降った雨によって、埃などを核として放射性物質は地上の農産物に降下したのです。当日の雨はかなり強いもので、箱根で104ミリ観測されています。

ちなみに箱根と足柄は指呼の距離であり、お茶畑は寒暖の差がある緩斜面を好みます。

またお茶の新芽は3月中に芽吹き、一気に新芽を伸ばしていきます。これが5月の新茶となって私たちを楽しませてくれるはずだったのですが、この新芽の成長期に放射性物質を含んだ雨を浴びてしまったことになります。

放射性物質でもヨウ素が出なかったのは、8日間と半減期が短いためにすぐに排出されてしまったためです。

セシウムは下位の葉から吸収されて、新芽に成長と共に移転したようです。セシウムは放射性物質が根に降った場合と、葉に降った場合では吸収のされ方に差がでると言われています。

セシウムは地下5㎝程度の浅い部分で滞留しますが(時間をかけて沈下します)、根の導管から同族元素のカリウムと違って吸収されにくく、むしろ葉のほうが容易に吸収されるようです。

いったん葉の細胞から師管に入ったセシウムは、同族元素のカリウムのトランスポーター(輸送蛋白)を使って新芽生長点に移行したのかもしれません。

わが国では、放射性物質がどのように飛散していくのかが実証研究されておらず、植物がどのようなメカニズムで吸い込むのか、またどのようにして排出されていくのかまったくわかっていないのが実情です。

今回のことを補償問題のみに限定せずに、放射性物質と植物の生理、あるいはほんとうに「正しく怖がる」ための知識を身につけていかねばなりません。

足柄地域が、新たな風評被害の渦に巻き込まれないことを祈っております。

■写真 わが家の新茶。今朝撮影。

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故瀬尾健先生の残した教訓   原子力事故はこのようにして歪められる

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お見舞いの言葉を賜りありがとうございました。強行軍だったためか身体の芯に疲れがしこっているような気分ですが、私にとって農場の日常に戻ってこれたことが一番の癒しです。

震災の後にも思ったことですが、まさに「愛しき日常」です。当たり前に水が出て、当たり前に電気がつき、揺られぬ大地の上で放射能の恐怖もなく、当たり前に農業をやっていける・・・これに優る人の幸福などどこにあるでしょうか。

今、それを根こそぎ奪われてしまった避難地域の人々に一日も早い「日常生活」が戻ることをお祈りします。

さて下の資料にスクラップしましたように、政府・東電の嘘が次々と白日の下にさらされ始めました。もう目も当てられないですね。

まぁ、予想していたこととはいえ、なんとやはり1、2、3号機がほぼ完全にメルトダウンしていたようです。

しかもそれをシャラと原子力安全委員会の斑目委員長は「3月中旬に知っていた」と言うのですから、もはやこの隠蔽体質と、カエルの面になんとやらの体質は、骨絡みのようです。

京都大学原子炉実験所の故瀬尾健先生「原発事故の恐怖」というブックレットがあります。先生は福島原発事故の前に他界されたのですが、この中に瀬尾先生がまるでこの福島第1原発の事故の事故後を言い当てたような部分がありますのでご紹介しましょう。

これは「事故からの教訓」という部分に納められているのですが、先生は「事故がもっている一般的特徴と当局者や責任者の対処の仕方の傾向」をこう述べています。ちなみに、これが書かれたのは1994年のことです。

事故は思いがけないことから起こり、予想外の経過を辿る
事故が起きてからの責任者たちの第一声は驚くほど似ている。つまり「こんなことが起きるとは信じられない」というのである。思わず出た言葉には真実がそある。

この場合、ひとつは責任回避、もうひとつは発言者の言葉とは裏腹に「今後ともなにが起きるかわからない」ということをはからずも白状している

●私たち国民はこの原発事故が起きてから何度となく聞かされて、耳にタコが出来たのが「想定外だった」という台詞です。

いわく、「こんな巨大津波は想定外」、「全電源喪失は想定外」、「非常用電源まで切れてしまったのは想定外」、「ECCSが働かなかったのは想定外」、「注水が漏れたのは想定外」、「使用済み燃料プールの水がなくなっていたのは想定外」・・・。

そして今度はとうとう「1~3号機がメルトダウンしていたのは想定外」とでも言うのでしょうか。

政府・東電はこのメルトダウンという深刻な事態を、3月中旬のおそらくは15日の水素爆発があった直後に知り得ていて、シャラとして「56%の炉心損傷」などと発表していたことになります。

この事実隠蔽を安全委員会の斑目委員長があっさりと悪びれもせずに認めるのが事故後2カ月たってからです。

炉心はメルトダウンして圧力容器に無数の穴を開けているそうですから、そりゃいくら何万トンも注水しても溜まらないはずですよ(もはや苦笑)。水位も格納容器の底にあるだけのようです。

となると、この圧力容器の穴を塞がない限り、永久に注水をするというバカなことになりかねません。しかも注水すればするだけ、核燃料が融解して出来た高濃度の汚染水が生じるということになります。

もうあのクリントン長官の来日に合わせて作った政治的狂言芝居でしかない「工程表」とやらはチャラにして一から考え直すことですね。

事故の際の責任者は、信じられないほど楽観的である

●この先生の書かれた部分は制御室のことを念頭に置いていますが、事故直後の原発内部の混乱した状況も徐々に伝わってきています。

また事故直後に原子力安全委員会ははっきりと、「爆発の危険はない」と明言したはずです。これはハッタリではなく、真にそう思っていたことは、斑目委員長が菅首相とノコノコ「陣頭指揮」(笑)を取りに福島第1まで視察したことでわかります。

事故の影響は過少評価される

●先生はスリーマイル事故の後のNRCの評価や、チェノブイリ事故の後のIAEAの出した被害調査が余りに過少であることを指摘しています。

この福島事故においては、政府は当初レベル4~5としていたものが、一夜にして2階級特進のレベル7になってしまいました。

原子力保安院、安全委員会、官房長官会見、東電発表が皆、先生の言う「原発で被害が出ることがあることは断じてあってはならない」という特定の立場の色眼鏡を通しての情報でしかなかったことがわかります。

関係者はありとあらゆる手を尽くして事故を秘密にする

●このブログでも早くから指摘してきたことですが、安全委員会と政府は事故直後からSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク)を通じて、リアルタイムで放射能雲がどのような拡散をしているのかを知っていました。

それを実に1カ月半も隠匿し、ネットではドイツ気象庁の予測図までもが出されるに至って渋々公開をしました。まさに最低最悪の隠蔽体質です。

SPEEDIを隠蔽していた理由は、政府が作った同心円的避難区域の設定(それも逐次拡大するという!)がまったく無意味であり、実態としての放射性物質の被害は風向きや地形によっていることを秘匿したかったからです。

菅首相が福島第1の視察の帰りに、ヘリ機内で簡単なメモ計算して決まったという20キロ避難区域設定の失態隠しでもあったのでしょう。

いずれにせよ、原子力安全委員会に巣くうクロウト衆は、事故を過少評価して民草に知らしむべからず、よらしむべしを決め込み、シロウト首相以下政府関係者は無知なるが故に「政治主導」を連発し状況をいっそう悪化させるという猿芝居をしていたことになります。

経済性のために安全性は都合よくねじ曲げられる

●これなどまさに学校校庭の安全基準を、1ミリシーベルト/年から一気にその20倍に引き上げるという唖然とする措置をみるとよく理解できます。今後も国民が監視しなければ、このような安全基準の恣意的改変が随時まかり通ることになりかねません。

被害者は因果関係がはっきりしないことをいいことに切り捨てられる

●これなどは12年前の東海村臨界事故における晩発性障害の訴訟で、国側がまったくその因果関係をみとめなかったことにもみられます。

今後福島原発事故後数年、十数年たって白血病やガンなどの晩発性障害が多発するはずです。これを今まで「直ちに影響はない」と言ってきた政府当局者はなんと答えるつもりでしょうか。これもまた「想定外だった」でしょうか。

チェリノブイリですら、人権なし大国といわれた旧ソ連は1000台のバス、トラックを仕立てて避難区域の住民と家畜、ペットまで立ち退かせました。

それに対してわが日本政府はなんなのですか!情報は隠す、おためごかしの楽観的嘘をつきまくる、避難区域の人たちは勝手に出て行け、家畜やペットは見殺し、農業者には補償も決めていない先から東電だけ救済することを決めようとする。

順番が逆だ。政府は東電側を向いているのか、国民ための政府なのか、どちらなのですか?

政府はまず正しい情報を国民に与えなさい。私たちを愚民扱いしないことから始めることです。

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

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地震16時間後完全にメルトダウン 1号機本当に「危機一髪」だった

J-CASTニュース 5月16日(月)20時2分配信

福島第1原発1号機は、大地震発生の16時間後にはほとんどの燃料が原子炉圧力容器の底に溶けて落ちる、いわゆるメルトダウンの状態にあったことが分かった。2、3号機もメルトダウンの可能性が強まっており、1、2、3号とも、考えられていたより深刻な危機に直面していたといえそうだ。

 ただ現在、1号機の冷却は順調で、東電は6~9か月で原子炉を冷温状態にするという期限は維持する方針だ。一方、3号機の圧力容器温度は不安定な状況が続いている。

■燃料が溶け落ちて「結果的に」冷却できた

 東電は今回、福島第1原発が地震発生から45分後の大津波で全電源を喪失し、冷却機能を失ったと仮定して、1号機内のデータを分析した。その結果によると、冷却が止まった直後から圧力容器内の水位が急激に低下し、地震発生から3時間後には燃料の露出が始まった。

 そこから炉内の温度は急上昇。発生5時間後には燃料棒の損傷が始まり、容器の底に溶け落ち始めた。16時間後の3月12日午前6時50分頃には大部分の燃料が圧力容器底部に溶け落ちたという。

 東電は地震翌日の12日午前5時50分に炉心へ真水を注入し始めたが、落ちた燃料で容器に穴が空き、水位は低いままだった。それでも燃料が下部に落ちたため炉心の温度は結果的に下がったとしている。

 燃料は現在、大半が容器下部で水没しているものの、圧力容器周りの温度などから一部露出している可能性がある。東電は、冷却水漏れはあるものの圧力容器の大規模な破損はないとし、注水によって燃料が安定して冷却できていると説明している。

 今回の解析が正しければ、燃料が溶け始めてから注水作業を始めるまで約10時間、空だきの状態が続いた。これまでの発表では、燃料は約55%だけ損傷しているとされており、東電は2か月も溶融を把握できていなかったことになる。

■細野首相補佐官「心配なのは3号機」

 東電は5月17日、原発事故収束の改定工程表を発表する。これについて、菅首相は5月16日の衆院予算委員会で、「半年から9か月後に冷温停止になるという状況に対して、なんとか時間的な展望は変えないで進めることができるのではないか」と発言。東電の清水正孝社長も、「安定な冷却が保たれている」と強調したうえで、日程を維持する考えを示した。

 また、1号機の建屋地下では大量の汚染水が確認されている。このことから、細野首相補佐官は5月15日に出演したNHK「日曜討論」で、冷温停止までの期限は堅持する方針を示したうえで、格納容器を水で満たす冠水方式を見直す考えを明らかにした。さらに、

  「(1号機は)ある程度きっちり冷えているということを考えれば、状況自体は比較的安定していると見ている。むしろ心配なのは3号機。必ずしも順調に冷えていない。3号機にどう対応するかが、私の頭の中で比重を占めている」

と語った。

 3号機は5月上旬から圧力容器の温度が上昇しており、東電は注水量を増やして対応しているところだ。また、東電は2、3号機でも炉心溶融の可能性があるとして解析を進めている。

1号機、地震16時間後にメルトダウン 4号機の爆発は3号機の水素逆流が原因か

産経新聞 5月15日(日)23時36分配信

 東京電力は15日、福島第1原発1号機で、地震発生から16時間後の3月12日午前6時50分ごろには大部分の燃料が原子炉圧力容器の底に溶け落ち、全炉心溶融(メルトダウン)を起こしていたとの暫定評価を発表した。

 東電によると、地震約45分後の津波で非常用の冷却機能が失われたと仮定したところ、地震発生直後の自動停止から3時間後の11日午後6時ごろには燃料の頂部まで水位が低下。午後7時半ごろには燃料がすべて水面から露出し、損傷が始まった。

 午後9時ごろには、炉心の最高温度が、燃料が溶ける2800度に達し、12日午前6時50分ごろには燃料の大部分が圧力容器底に落下したという。

 また、東電は15日、4号機で3月15日に原子炉建屋が大破したのは、3号機原子炉で発生した水素が、4号機と共通の配管から4号機側に逆流し、爆発した可能性が高いとの見方を明らかにした。

 3号機で放射性物質を含む蒸気を逃した排気作業の際、通常は稼働している4号機側の排風機が、当時は停電で作動しておらず、4号機側に水素が流入したとみられるという。

冷却装置、津波前に一時停止…東電詳細データ

読売新聞 5月16日

東京電力福島第一原子力発電所1号機で、東日本大震災による津波襲来の前に非常用冷却装置が一時停止していたことが16日、東電が公表した大震災直後のデータでわかった。

 東電は、この冷却装置が津波後に停止したとの前提で、地震発生から16時間後に炉心溶融(メルトダウン)に至ったとする分析結果を15日発表していた。冷却装置が正常に作動すれば、メルトダウンを遅らせることができた可能性もある。

 公表データは、事故原因解明のため、経済産業省原子力安全・保安院が東電に求めたもの。大震災が発生した3月11日午後2時46分から14日頃までの原子炉内の水位、放射線量などの膨大なデータのほか、運転員の当直日誌、操作実績をまとめた。

 データによると、運転中の1号機は地震発生後、原子炉に制御棒が挿入されて緊急停止。1号機では、地震直後の11日午後2時52分、直流電源で動く緊急時冷却装置の「非常用復水器」が自動起動し、原子炉の冷却・減圧が始まった。

 しかし、約10分後の午後3時頃には、復水器は一時停止。作業記録によると、その後、弁の開け閉めが行われ、稼働、停止を繰り返した。原因は不明だが、東電によると、地震直後に原子炉内の圧力が乱高下し、この現象を抑えるため、作業員が手動で停止した可能性もある。

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昨夜の深夜に帰宅しました。まだヘロヘロです

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昨夜の深夜に帰宅しました。通夜、葬儀、収骨まで3日間という強行軍でした。葬儀の前夜は亡き叔母のお棺の横で守をしました。

叔母が住んでいたのが広島市内なので、往復丸1日かかってしまいました。いや、遠い。しかし初めてあのカモノハシ新幹線に乗れて、乗り心地最高ですね。

今年に入って近親者の不幸が続いています。叔父、義父、そして叔母。私の親しかった人たちがひとりひとり召されていきます。私もそのような歳になったのかなという心境です。

明日から正常の更新に戻りたいと思っています。今日はまだヘロヘロです(笑)。

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数日の間更新ができなくなります

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近親者の不幸がありました。幼い頃可愛がってもらった叔母です。

遠方なので、葬儀などで数日の間更新ができなくなりますので、ご了承ください。

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東海第2は福島第1と首の皮一枚の差だった。   電力会社の地域独占を見直さないと脱原発は不可能だ

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心ならずも浜岡原発の補強策を「弁護」したところ、徹底的なご批判を頂戴しました。いや、まったそのとおり。いただいたお二方のほうが正論です。

ご指摘ありがとうございました。まったく馴れないことはするもんじゃない・・・。信じていないことは言うもんじゃないと、そうとうに落ち込みました(涙)。

私としては理屈もさることながら、なんか安心したかったって部分はありますね。浜岡も危ないのなら、私のうちのすぐそばの東海第2だって伊方だって、美浜だって、柏崎刈羽だって、みな等しく危ない。

今回の菅首相の「英断」は原発の安全に対する判定基準をなにひとつ明らかにしていません。ただ東海地震の危険だけが理由にあげられているだけです。

その上、海江田経産相は同時に開かれた記者会見で、「他の原発は安全だ」とまで言い切ってしまいました。これは監督官庁の大臣発言ですから、政府による安全宣言と受け取られます。

危ないのは浜岡だけだと。浜岡さえ止めれば一件落着だと。これではなんのことはない、浜岡の危険性の除去の身代わりに他の原発の危険性の点検が切り捨てられたに等しいじゃないですか!

今回の大震災で、4つの原発が試練を受けました。福島県第1、第2、女川、そして東海第2です。

前3つの原発についてはこれまでに書いてきましたから、今回はわが県の東海第2を見てみます。

今回の大震災時に福島第1と首の皮一枚の差だったことです。このことは福島県の悲惨さの陰に隠れて地元紙を除いてまったく報道されていません。

3月11日、茨城県東海村ではこのようなことが起きていました。

2時46分の第1波に続き、3時15分に第2波が茨城県沖で発生したために、たてつづけに2ツの巨人のゲンコツが降り下ろされました。

結果、原子炉は緊急停止したものの、外部電源の3ツがすべて切断しました。外部電源の遮断、まさに福島第1で起きた悪夢の事態が茨城でも起きていたのです。

かろうじて非常用電源3台が稼働したものの、海水取水ポンプのうち1台が故障して起動できず、使用可能は2台のみ。

しかも福島第1を襲った巨大津波ではなく、たかだかといっては語弊がありますが、5m前後の津波で、一台が壊れたというわけです。

なんという脆弱性!6つの電源のうち、主電源3つともが全滅、3つある予備電源も2つしか生き残らなかったとすれば、なんと電源の生存率3割だったわけです。

しかも予備電源ポンプがもうひとつ破壊されていたら、おそらくは充分な冷却水の供給は不可能だったことでしょう。そうなったら・・・、福島第1とまったく同じシナリオが始まったはずです。

下に東海村の首長のアンケートがありますのでご覧ください。津波は防潮堤のわずか40㎝下まで迫っていたのです。もう少し津波が高ければ、東北各県を襲ったクラスの大津波だったのならば、東海第2は間違いなく福島第1と同じ結果をたどったと思われます。

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その後、2台のポンプで冷却し、外部電源が復活した後に冷温停止に持ち込ました。もし残りの2台の非常用電源が無事でなかったのならば、私も今頃は家畜を野に放って、避難所暮らしをしていたはずでした。

かろうじてギロチンの落下する刃から逃れたのは、東海第2が福島第1と違って補強策をしていたからです。

津波対策としては、メーンの建屋を海面から8mにし、高さ、3.3mの従来の防潮堤に加えて昨年9月に側面にも2.8mの側壁を設置しています。コメントにいただきました側面からの津波対策を不十分ながらしていたということです。

今回の大震災の茨城県を襲った津波が5.4mと記録されていますから、まさに首の皮一枚という比喩が大げさでないとお分かりになるでしょう。

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さて、私はこの菅首相の浜岡停止要請は、本格的な原発の安全性確認と、今後のエネルギー政策に向けての国民的な議論に蓋をする防潮堤になってしまったと思っています。

よく復興後のビジョンが唱えられますが、その中に現在の電力供給体制が含まれていたことを見たことがほとんどありません。

暗黙の了解でもあるか、はたまたタブーなのか、電力会社の地域独占という歪んだ体制までをも視野に入れた視点は少ないように思えます。

国民の半数は、原発を恐怖していますが、その代替エネルギー源のみにテーマが限られています。

太陽光、地熱、風力、メタンハイグレード、オーランチオキトリウム(藻類)、バイオマスなど多くの代替エネルギー源が登場していますが、かんじんのそこで作られる電力は誰が、どのようにして配電するのでしょうか?

それが東電のような公共事業体という、超独占を国家から許された地域独占事業体ならば、本質的になにが変わったのでしょうか?私たち国民はあいもかわらず蚊帳の外です。

日本の電力供給体制のゆがみは、今回の東日本の電力不足に対しても、周波数の違いで西日本から電力融通が効かないことです。馬鹿な話です。開化期の横浜と神戸から輸入された電力規格が違っていたことが、一世紀たってもまだ修復されていず固定化したままになっています。

なぜでしょうか?それは地域独占企業である電力会社が「進化」を止めたからです。自らの管内だけ供給量を満たしていれば、安閑として巨利を得られるという仕組みが、普通の企業ならば当然備えているはずの柔軟なイノベーションを止めてしまったのです。

だからいつまでたっても電力融通については調査費から先に行かず、わずかな電力しか融通ができないでいます。今年こそ西日本からの電力融通があれば、計画停電などせずにすんだはずでした。

それを恥じる様子もなく、政府は国民の汗を搾るようにして節電のみを強要しています。電力不足がいかに復興の妨げになっているのか政府・東電は真摯に考えたことがあるのでしょうか。

あげくは、無駄の完全な見直しもできない内から、東電救済のためのスキル作りだ、電気料金値上げだとか言いだす始末です。

馬鹿も休み休み言っていただきたい。なんの自助努力もしないで、そのツケのみを国民に回すのが政治ですか!

脱原発を言うのもよし、代替エネルギーを語るのもよし。しかし、その前に今の電力地域独占体制のままで、電力会社がそれをしますか?絶対にしませんよ。

なぜなら、一基5千億からの原発を放棄できないからです。しょぼいわが家の屋根に乗っている3.3キロワットの太陽光発電ですら、東電は大いにいやがったのです。ましてや、政府の国策に乗って巨額な投資をしてしまった原発を絶対に廃棄することはあり得ません。

つまり、いくら脱原発を叫ぼうと、この地域独占という仕組みそのものを見直していかないと絶対に自ら変わっていくことはないのです。

多様なエネルギー源を実用化するためには、発電所と送電網を切り離すことです。発電所は複数の会社による多様なエネルギー源からのものを可能とし、送電網は東電などから売却していったん国が買い取り、それを補償金に回して、希望する新たな新電力会社に売ればいいのです。

配電網の売却で7兆円を捻出できるという試算があります。補償の大きな財源になるとおもわれます。

とうぜん代替エネルギーに必須のスマートグリッド(注)もいるでしょう。この米国であたりまえとなっているスマートグリッドの普及が遅れているのも、原発依存を大前提にした今の既存の独占的地域電力会社がネックだからです。

この大震災と不幸な福島第1の重大事故がなければ、政府も東電も聞く耳をもたなかったはずです。今こそが、今だからこそ、日本から失われた安全・安心、そして活力を取り戻す百年に一度の機会なのではないでしょうか。

注 スマートグリッド(次世代送電網) 電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し 、最適化できる送電網。専用の機器やソフトウェアが、送電網の一部に組み込まれている 。

 

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福島第1原発の事故は、浜岡原発でも再現されるのだろうか?

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菅首相の浜岡原発の全面停止要請を中部電力側は受諾したようです。これで2年後までの補強工事を待たずして、事実上浜岡原発は葬られたことになります。再開はほぼありえないと思われす。

さて、福島第1原発事故から2カ月たちました。その時なにが起きたのか、そしその事態がどのていどまで浜岡原発で再現される可能性があるのかを考えてみましょう。

今までにわかっている福島第1原発の事故の初期経過は、次のようなもです。

① マグネチュード9の宮城県沖巨大地震によって原子炉に制御棒が挿入され緊急停止した。核燃料の臨界はこれで停止した。

②送電鉄塔の倒壊により外部交流電源すべてが喪失し、ECCS(緊急炉心冷却装置)が作動しなかった。

③建屋外部のタービン建屋にあった予備電源が高さ約15mの巨大津波で破壊された結果、冷却水ポンプが作動しなかった。

④電源車を派遣して作動させようとしたが、GE製の原子炉が440Vのために規格が合わず全電源喪失状態となった。

そして、「冷やせなくなった」原発内部のホットな放射性物質を「封じ込められない」状況へと発展していくわけです。ここから先も長いのですが、今日はここまでの段階で、この福島第1で起きた事故が浜岡原発で再び起きるかをみてみましょう。

まず、浜岡原発の最大の危険性は警告され続けている東海地震、あるいはそれと連動して起きる可能性が高い東南海地震のまさに震源地の真上にあることです。

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想定される巨大地震のケースは2種類です。海底か、内陸部かですが、前者の場合はおそらくは大型津波を発生させることでしょう。しかし、それが宮城県沖地震と同等の巨大津波を発生させる可能性は低いと思われます。

それは宮城県、岩手県などのリアス式海岸とは異なるなだらかな海岸線だからです。といっても、10m前後の津波は覚悟したほうがよさそうです。

後者の内陸部で発生した場合ですが、これの判断は微妙です。というのは、宮城県沖地震は海底で起きたために、地震そのものとしてはおそらくはM8ていどまで減殺されていたのではなかったのでしょうか。

これに対して福島第1原発は、現役最古の(1号機66年着工、71年営業開始)の GE製マーク1型ポンコツ機でありながら、この地震に耐えています。
浜岡原発は、1号機71年着工ー77年営業開始、以下2号機74年-77年、3号機82年-87年、4号機89年-93年、5号機99年-05年となっています。
そして古い世代の1号機は原子炉漏水漏れで01年に運転停止し廃炉、2号機も08年に廃炉となりました。
この廃炉の理由は、耐震性能の強化が困難だったためだと言われています。他の3、4、5号機は東芝/日立製であり、耐震能力強化工事が施されています。
希望的観測ですが、宮城県沖地震レベルには耐えることが可能だと思われます。もっとも、実際来てみないとなんとも言えませんが。
問題はむしろ津波です。主電源の外部電力がすべて切断されるというのは従来「ありえない」とされてきましたが、「ありえない」どころか極めて現実性の高い状況であることがわかりました。
外部電源が喪失したばあい緊急用電源に速やかに切り替わらないと、ECCSはアウトになってしまいます。この対策を浜岡原発がどのていどしているかです。
それについては下の資料をご覧ください。中部電力の地震強化対策が一覧になっています。簡単に見ていきます。
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①浜岡原発前の砂浜には高さ12mの砂丘がありますが、これのみに頼るのは危険です。そこで砂丘の後ろに15mの防潮堤を設置する予定です。この工事にあと2年かかると中部電力は言うのですが、かかりすぎです。もう一回業者と相談し直した方がいい。
②防潮堤の後ろに取水槽を設けて、防潮堤であふれた海水を再度排水路から海に戻す仕組みを作ります。
③福島第1で事故の最大の原因となった非常用電源と給水ポンプを、原子炉建屋の2階屋上(海抜15~30m)に移設します。この工事は既に実施済みです。
④この予備電源がすべて地震で破壊されたとしても、浜岡原発の原子炉は東芝/日立製なので、構内に配備された予備電源車が使用できます。もっとも、電源車自体が壊れたり、瓦礫で近寄れないこともありえます。

このように見ると、福島第1原発で起きた事故は福島第1特有の欠陥という部分もあり、そのまま浜岡原発でも再現されることは考えにくいのも事実です。
5、6年先に全面廃炉の方向というならば理解できますが、この大震災からの復興期に最も重要なエネルギー供給を逼迫させてまでせねばならないほど、緊急な案件であったのかどうなのか、私はいまも悩んでいます。
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中電が安全・保安院に報告

中部電力は20日、福島第一原発の事故を踏まえた浜岡原発(御前崎市)の緊急安全対策を経済産業省原子力安全・保安院に報告した。この中で、外部電源が喪失し、さらに原子炉建屋内の非常用ディーゼル発電機が作動しない事態に備えた新たな対策として、各号機の原子炉建屋2階屋上にもディーゼル発電機を19日までに設置。いずれも海面から14・5~30・5メートルの高さにあり、津波を受けにくい場所を選んだ。非常時に原子炉へ注水するための電源となる。

 中電は東日本大震災後、敷地内に配備した発電機車2台で対応する方針を打ち出していたが、即応性を高めるため、各号機に常設する方式に改めた。

 敷地奥側の高台にも1年後をめどに、ガスタービン発電機を3~5号機に1台ずつ配備。タイプの異なる非常用発電機を置くことで故障や不具合のリスクを分散させる。

 このほか、原子炉への注水や、原子炉格納容器の圧力を下げるために蒸気を放出する「ベント」などの具体的な対応手順を手引書としてまとめた。

 中電によると、敷地海側に設置する防波壁など今後実施予定の対策も含めると、費用は300億円程度となる見通し。

 中電からの報告を受け、保安院は21、22の両日、浜岡原発に立ち入り検査する。資機材の配備状況や対応手順などを確認し、月内をめどに対策の妥当性を判断する。中電は定期検査中の3号機の早期運転再開を目指しており、保安院の審査が第一のハードルとなる。

「想定外ないように」県と御前崎市が注文

 中部電力静岡支店原子力グループの杉山和正部長が20日、静岡県庁を訪れ、浜岡原発の緊急安全対策について、県危機管理部の小林佐登志危機管理監に説明した。

 中電側の担当者は浜岡原発で今月、津波で1~5号機がすべて同時に被災した想定で訓練を実施したことを説明。小林危機管理監は「想定外という状況がないよう想像力を働かせ、より困難な状況を想定して訓練をすべきだ」と注文した。

 原子炉を冷やす海水ポンプの電動機の予備を設置したことについては「まずは津波から海水ポンプを守り、健全性を維持することが大事ではないか」と指摘した。

 また、同日開かれた御前崎市議会原子力対策特別委員会でも中電から緊急安全対策について報告があった。

 委員からは「福島第一原発の事故に準じた安全対策を取った方が分かりやすい」「防波壁の完成は3年先の話。現状でも安全を確保できることを市民に説明してほしい」などの意見があった。

 委員会終了後、石原茂雄市長は「福島の事故原因をさらに検証し、もっと詰めた対策を取らないと市民は納得しない。安全と言えるには、まだ時間はかかる」と話した。

中日新聞 2011年4月21日

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福島第1原発3号機の「水素爆発」は即発臨界による核反応だったのか?

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福島第1原発3号機の「水素爆発」について、政府発表とは異なる興味深い説が出ましたので、ご紹介します。        

この米国フェアウィンズ・アソシエーツ社チーフエンジニアのアーニー・ガンダーソン氏の説は、これを水素爆発ではなく、核反応によるものであると結論づけています。以下、YouTubeから起こしました。一部を読みやすくしましたが、ほぼ原文のままです。

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1号機の水素爆発と3号機の「水素爆発」の噴煙の噴出の仕方、そのスピードがまったく違っています。下の写真をごらんください。

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1号機の爆発は、煙が建屋から離れていくスピードが3号機と比べてゆっくりしています。また3号機の爆発は、1号機に比べてはるかに大きなものです。

3号機の爆発は、ベクトルと呼ばれるエネルギーの方向は1号機と違い、垂直方向にすごい勢いで伸びています。

また建屋の南側(画面右)には黒い煙が立ち上る前に、明るい黄色の閃光が見えます。

その他のこととしては、原発から2マイル(約3㎞)も離れたところから、多数の燃料棒の破片が見つかっています。

これが4号機のものか、あるいは3号機のものかですが、4号機は既に使用済み燃料プールには水がなく、燃料棒は露出していますが、燃料集合体には損傷はないのです。

ということは、2マイル吹き飛ばされたこの燃料棒の破片は、3号機からの破片だとみられます。

そして、大変に細かな粒子状のウランがハワイと米国西海岸で検出されました。同じくパウダー状のプルトニウムも原発付近出発見されて、アメリシウムは米国東海岸のニューイングランドでも発見されています。

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これらの物質は超ウラン元素と呼ばれるウランより重く、その核の検出はフクシマの燃料棒が破損して揮発したことを意味します。

爆発後の3号機の写真を見ると、建屋の大部分が吹き飛んでおり、特に南側がなくなっています。

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しかし、3号機の赤外写真を見ると、同じ場所に高温部分の熱源があります。これは3号機の格納容器・原子炉自体には損傷がないことを示しています。

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そこで謎が残ります。格納容器・原子炉に損傷がないのに、なぜ建屋が吹き飛んだのでしょうか?

15m×15m×15mの使用済み燃料プール容器内の水は空の状態だったと思われます。そこにガスが溜まり上向きに爆発したのです。

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プール上部はもともと吹機抜けており、壁は防御するバリアとして働くので、その構造が上方に爆発エネルギーを逃がしたのです。燃料プールは上に向けられた銃口のように働いたのです。

爆発のビデオを見ると、多量の破片が落ちているのが見えます。それらは、燃料棒を含む燃料集合体でプルトニウムやウランの破片でしょう。

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その他としては、噴煙の黒さです。その黒さは、ウランやプルトニウムが揮発したことを意味します。これらが微細な粒子となって、太平洋を超えて゛ハワイ、西海岸、ニューイングランドまでも到達したのです。

それはただの水素爆発だと仮定して、水素が酸素と結合して水を作る化学反応としての水素爆発だとすると、それはdetoationです。

deflagationはあのような閃光は伴いません。両方とも爆発の事象を表す言葉ですが、は衝撃波が音速であり、detoationは衝撃波が音速を超えるものです。上の1号機の爆発と3号機の爆発を比べた写真を見るとその違いがわかります。

こ3号機の爆発がdetoationだとすると、水素と酸素の化学反応だけではない他の原因が考えられます。

①水素・酸素の化学反応が始まり、水素爆発を起こした。
②それによって燃料棒が激しく動いて変形するような衝撃波を生じた。
③使用済み燃料プールの燃料棒が衝撃で変形し、集約したことで即発臨界による核反応が起きた。
④その核反応が、プールから燃料棒・燃料集合体などを吹き飛ばし、噴煙をあげる爆発エネルギーとなって建屋上方にとして吹き上げた。

この仮説を調べるためには、噴煙に含まれる核種の同位体を調べることです。現在、米軍機がサンプルを採取していますから、ラボで分析中でしょう。

2つのキセノン(xe)の同位体が発見されれば(比率によりますが)、3号機使用済み燃料プールで即発臨界を起こしたのかどうかがわかります。

証拠はまさにそこにありますが、入手されていません。おそらくは日本政府が持っていると思います。

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YouTube

福島第一原発3号機の爆発についての解説 4月26日

米国 フェアウィンズ・アソシエーツ社チーフエンジニア アーニー・ガンダーソンhttp://www.youtube.com/watch?v=P4KXX24Dv1U&feature=feedf

福島第一原発3号機の水素爆発、けがは11人

東京電力は、14日午前11時ごろ、福島第一原子力発電所3号機で、2回にわたって爆発音が上がったと発表した。

 赤い炎とともに大量の煙が立ち上っており、東電は施設内の作業員を退避させたが、社員、協力会社の従業員ら計11人が負傷した。

の程度は不明だが、全員歩行が可能な状態という。経済産業省原子力安全・保安院は、同11時1分、水素爆発が起きたことを確認した。原発の損壊の程度は不明だが、東電は「原子炉格納容器と圧力容器は健全」とみている。

 同社幹部は「炉心が溶融した可能性がある」と話した。

 3号機は原子炉建屋内に水素ガスがたまり、水素爆発の危険が指摘されていた。既に避難指示が出ている同原発から半径20キロ・メートル以内に残っていた約600人に対しては、緊急措置として屋内にとどまるよう呼びかけた。東電によると、保安院の指示で同原発南側5キロ・メートルの範囲を立ち入り禁止とした。東電によると、爆発が起きた時、地上は無風で、上空は、西もしくは南西へ風が吹いていた。

 1号機でも12日午後3時すぎ、水素爆発が起き、原子炉建屋が骨組みを残して吹き飛んだ。3号機の爆発は、水素爆発特有の白い煙とともに、1号機の時よりも高い灰褐色の煙と炎を伴っており、水素爆発に加えて他の異変が起きた可能性もある。

 東電によると、14日午前1時10分から3時20分まで、原子炉を冷やすための炉内への海水注入を一時中止していた。このため炉内の燃料棒の露出が進み、水蒸気が燃料棒に長時間触れて、水素が大量に発生し、爆発につながった可能性があると見ている。

 3号機近くにある中央集中制御室には13~15人残り、炉内へ冷却水を注入する作業を継続している。格納容器周辺の放射線量に大きな変動はみられない。午前11時30分現在、残存した原子炉内の燃料棒は、上部約1・8メートルが冷却水から露出し、危険な状態が続いている。発電所正門付近の放射線量は1時間あたり50マイクロ・シーベルトで、同44分には20マイクロ・シーベルトに低下した。

3号機爆発、負傷者は東電社員4人、自衛隊員4人、計11人

2011.3.14 15:16
(2011年3月14日13時15分  読売新聞)東電福島事務所は14日午後2時すぎ、福島第1原発3号機の爆発事故で、計11人が負傷したと発表した。同事務所では、一時、負傷者は10人と公表していたが、これを修正した。

 けが人の内訳は、東電社員4人、協力会社の従業員3人と、自衛隊員4人。

 東電と協力会社の7人は第1原発の事務所へ自力で戻り、全員が救急車で第2原発の敷地に搬送された。自衛隊員4人は部隊によって第2原発のビジターズホールなどに運ばれた。

 東電の産業員が全員の意識があることを確認しているという。

 除染の措置後、病院に搬送する方針。また、一時不明と伝えられた3人の自衛官も無事が確認された。

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政府は東電を甘やかすのもいいかげんにしろ!

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首相の浜岡原発屁の全面停止要請は、どうやら会見40分前にカラスの勝手でしょうのひとり決めだったことがばれました。

日本の原子力政策を左右するこんな重大な案件を、国民的議論はおろか、かんじんの中部電力、経済産業省すら寝耳に水だったそうですから、毎度のことながらよーやるわ、このお人。

閣議すら開かなかったのですから、国民などお呼びではないですよね。いつから私たちはこんな「非常大権」を首相に与えてしまったのでしょうか。

海江田経産相は同時に開かれた会見で、科学的根拠も明らかにせずに「他の原発は安全だ」と宣言してしまったのですから、これで全国各地の安全性を危惧されている原発への点検は沙汰止みというこということになるのでしょう。

やりようによっては大変に意義ある展開になる可能性があった浜岡原発停止問題もこれでくだらない暗愚の帝王の延命策でしかなかったことが分かってしまいました。

さて、電気料金の値上げを政府が認める方向のようです。16%という数字がでてきています。世界一高額だといわれている電気料金はこれでダントツトップの座を独走することになります。こんなもんトップになりたかぁねぇや(苦笑)。

これは言うまでもなく、福島第一原発事故の損害賠償(補償)のための政府の支援策です。これで私たち東電管内の被災県は、原発事故で被爆の恐怖におびえながら、史上空前の風評被害に翻弄され、風評被害の補償はないようだと言われ、おまけに電気料金まで値上げさせていただきますよ、ときたもんです。まさに踏んだり蹴ったりとはこのことです。

とうてい納得できません。政府は東電を甘やかすのもいいかげんにしろと言いたい。

まずハッキリさせておくべきは、誰の過失によってこの重大事故が起きたのかです。原因は東電と政府の事故対処の失敗です。政府は2カ月もたっていまだ事故調査委員会ひとつ開けないでいます。そのことが雄弁に彼らの失敗のひどさを物語っているでしょう。

政府の失敗もさることながら、一義的な事故責任は東電という一民間企業にあります。東電が公共事業体であるとか、政府の国策で原発をやらせれていたのだという奇妙な弁護論がありますが、そのようなことはこの重大事故の責任の所在をうやむやにしようとする議論でしかありません。

東電はそのことで今まで充分すぎるほどの独占的利得を得てきたはずです。それを事故を起こしたとたん原賠法を盾にとって「自然災害免責」で逃れようとする姿勢がたまらない。

あくまでも民間企業が事故を引き起こしたのです。原子力損害賠償法も、原発事故が原因で発生した損害の賠償の責任は電力会社に無限責任を課しています。とうぜんのこととして、東電には一義的な賠償責任があります。このことについては、枝野官房長官も海江田経産相も明言しています。

私はJALが行ったことが先例になると思います。東電はまず徹底的にリストラをすることで原資をひねり出すべきです。役員報酬ひとり年間2千万という高額報酬も、なんとこれも報酬50%削減した後の額だとか。全額返納が常識でしょう。

ここまで社会的に指弾されて、追い詰められていようと殿様気分が抜けない会社なようです。JALのほうがまだ涙ぐましい我が身を削る努力をしています。

この社員給与の削減をしても年間540億ていどですから、さらに突っ込んだ原資の確保が求められています。

東電はご承知のように世界有数の優良企業です。その総資産は13兆ともいわれ、2010年3月決算時点で、資本剰余金と利益剰余金で約2兆5千億円の内部留保を蓄えています。

原子力事業引当金は約1兆8千億円あり、経産相の許可を得れば賠償に振り向けられる原資です。原子力事業引当金という性格上、とうぜんそうすべきでしょう。政府がなせこの原子力事業引当金を東電に要求しないのか不思議です。

また発電と切り離して送電部門を売却することも可能です。そもそも公共事業体として独占的に電気事業を地域独占し、漫然と原子力発電所の高コストを電気料金に上乗せできたような社会主義もどきの仕組み自体が時代遅れなのです。

国民が送電会社を選択でき、自由にエネルギー源を選べるようにするのが、今後の日本の電気事業のあり方なのではないでしょうか。

政府と電力会社が勝手に原発のみを国策に祭り上げ甘い汁を吸っておきながら、いったん事故を引き起こすと責任を頬被りして、帳尻だけ被災民や国民にもってこようとするなど許せません。

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東電賠償、新機構に慎重論=料金値上げ懸念で―政府

時事通信 5月7日(土)20時2分配信

 政府は7日、東京電力福島第1原発事故に伴う損害賠償の枠組みをめぐり、官邸で関係閣僚会議を開いた。東電の賠償支払いを支援する新機構を設立する方向で検討したが、電気料金値上げにつながるとの懸念から慎重論も根強く、引き続き議論することになった。
 会議には枝野幸男官房長官、海江田万里経済産業相、野田佳彦財務相、高木義明文部科学相らが出席した。
 東電の賠償は数兆円に膨らむ見通しで、同社が単独で支払いをスムーズに進めるのは難しい。検討中の新機構は、特別法を制定して交付国債や原発を保有する電力各社の拠出金で設立する構想。新機構が東電に優先株引き受けや融資で賠償原資を提供する一方、東電は長期にわたって返済する仕組みだ。 

がんばるっぺ、福島!

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あ、まずい、福島第1原発は低いんだ!と、元東電社員は言った

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よく知られているように福島第1原発と、第2、そして女川原発はわずかの距離しか離れていないお隣の位置関係にあります。

この事故が起きたときに、私の知人の東電を退職した男が思わず吐いた言葉を思い出します。

「あ、まずい、あそこは低いんだ!」

彼は技術者ではないのですが、六ヶ所村にも数年派遣されていた経験を持ちます。社長の清水氏とは同期だそうです。そのせもあるのか、いつもは気のいい男ですが、この事故については、貝になってしまいました。その彼が、思わず言ったのが「低い」という言葉でした。

この大震災の大津波はこの一帯で15m以上を観測されています。にもかかわらず、なぜ福島第1原発のみがこのような重大事故を引き起こしたのかの謎は、その「低さ」にあります。

東北電力女川原発も、想定する津波の高さは9.1mでしたが、現実には13mに達し、2号機の建屋の地下が浸水、非常用電源の一つが破壊され、もうひとつの非常用発電機で対処しています。

また、4月7日の余震では、3系統ある外部電源のうち2系統までもが停止し、1系統の電源のみで1~3号機を冷却するという福島第1一歩手前の事態を引き起こしています。

とまぁ女川原発もそう褒められた状況だったわけではなさそうですが、とまれ持ちこたえました。その理由は、女川原発の位置が高かったからです。

女川原発は女川河口から入った約25mの台にあります。これが女川原発を髪の毛一筋で救いました。

一方、福島第2原発は、原子炉自体第1より3年ばかり新しく耐震構造がしっかりしており、非常用発電機や変圧器も原子炉建屋内部に設置されていました。これが外部にあってモロに津波をかぶって破壊された第1との違いです。

このような防災設計により、第2では1号機建屋が浸水したにもかかわらず、全電源が無事で冷却機能は失われませんでした。(第1では、6号機以外すべてが停止)

ただし、第1においては、タービン建屋が原子炉建屋の防波堤代わりになったなった側面もあるようで、一概には言い切れないかもしれません。

結果、第2は震災翌日の12日に冷温停止しています。

第1の立地場所は、元来西武の堤康次郎氏が旧軍から買い取ったものでしたが、そのときには海抜35mの台地でした。(下記資料参照)

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それを東電は、原発建設にあたりわざわざ25m削っています。理由は、計画メンバーの豊田正敏元東電副社長よれば、軟弱な粘土や砂岩層であったために地震対応可能な地表下25mまで掘り下げて比較的しっかりした泥岩層に建てたのだそうです。

また、大量に必要とされる冷却水を取水するにも低い土地のほうが効率がよく、船着場からの核燃料搬入に都合がよかったと豊田氏は語ります。

豊田氏は「今考えると、台地を削らずに、建屋の基礎部分を泥岩層まで深く埋めれば、地震と津波の両方の対策になった。申し訳ない」とインタビューに答えています。

このようにして津波によりタービン建屋がすべて破壊され、全電源停止、非常用電源破壊という今まで日本の原発が経験したことのない事態を迎えたわけです。これをテレビで「百万分の一の確率」と言っていた原子力専門家がいましたが、まったく違います。

このような全電源停止、非常用電源喪失・冷却機能喪失という状況はことさら新しい状況ではなく、国際的にはかなりの回数が記録されています。

もっとも有名な事例は、かつて記事でも紹介したことのある米国ブラウンズフェリー1号機が起こした1975年3月22日の事故です。

これは大規模ナケーブル火災事故により、多重化してあるはずの冷却系が一挙に喪失し、一時はきわめて危険な状況でした。

このような事故は、他にも同じ75年の東独のグライフスバルト原発1号機、80年のソ連クルスク原発、93年のコラ原発、93年コネチカットヤンキー原発、さらにラサール原発でも起きています。

特にこのブラウンズフェリー原発事故が、米国の原子力行政に与えた影響は大きく、長期間にわたってその教訓をシミュレート研究する蓄積がされてきました。

つまり、「百万分の1」どころか、全電源とともに非常用電源喪失が起きる事故は頻発していたわけであり、その教訓をまったく取り入れず「想定外だった」と居直ってしまう東電や政府の原子力行政自体がお粗末だったのです。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

東日本大震災で十五メートルの大津波に襲われた福島第一原発の立地場所が、四十年以上前は海抜三五メートルの台地だったことが、建設当時に東京電力が国に提出した資料などで分かった。東電は、地盤強度や原子炉を冷やす海水の取り入れやすさを考慮した結果、地表から二十五メートルも土を削って原発を建設。計画に携わった元東電幹部は「違う建て方もあった」と、津波対策を軽視してきたことを認めた。

 原発建設地約二百万平方メートルは、東電が一九六四年までに取得。旧日本軍飛行場があった場所で、海岸線に険しいがけが続く台地だった。地質的にみると、台地の地表から海水面までの三分の二部分には地盤が弱い粘土や砂岩層が広がっていた。

 計画メンバーの一人、豊田正敏・元東電副社長(87)によると、当時、さまざまな建設方法を検討。その結果、巨大な原子炉を建て、地震に対応するには、地表から二十五メートル下にある比較的しっかりした泥岩層まで掘り下げることが必要だと判断した。

 原発は大量の冷却水を必要とし、海面に近い方が取水効率がいい。船で運搬される核燃料の荷揚げにも都合がいい。こうして一九七一年、国内初の商業用原発として1号機が稼働を始めた。

 今回、東電の想定五・七メートルをはるかに超える津波の直撃で、原発は高濃度の放射能漏れが続くレベル7という危機的状況に陥った。いまだ収束の見通しは立たない。

 「耐震設計の見直しはしてきたが、津波対策をおろそかにした。建設を計画した一人として、申し訳ない」と話す豊田氏。「今、考えると、台地を削らず、建屋の基礎部分を泥岩層まで深く埋めれば、地震と津波の両方の対策になったかもしれない」と悔やむ。

 十三メートルの大津波に襲われながら、かろうじて惨事を逃れた宮城県の女川原発は海抜一五メートル。そして、津波の教訓を生かして福島第一原発に新たに配備された非常用電源があるのは、原発の後背地に残る掘削前の高台だ。

(東京新聞)

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浜岡原発の停止要請     政局ではなく,もっと大きな議論をしよう

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本来ならば素直によろこぶべきニュースです。菅首相は、浜岡原発の今稼働している定期点検中の3号機に加えて、稼働中の4、5号機も含むすべての運転停止を中部電力に要請しました。

私はこの決定自体は支持します。妥当な判断であると思います。よく知られているように、この浜岡原発は日本で5本の指に入る危険な原発です。

東海、東南海などの巨大地震をまともに受ける地域にあり、近年は産業総合研究所活断層研究センターの調査で直下、直近に活断層があることがわかっています。

それに対して、中部電力が想定している地震の規模マグネチュード8、津波の高さは8メートルです。

三陸地方と地形が必ずしも同じではないのですが(リアス式海岸は津波が増幅されます)、この大震災で東海第2原発が想定していた5.7mの津波にたいして僅か40数㎝まで波がきていた事実を考えると、その備えは非常に危ういものを感じす。 

ちなみに、今回の大震災での津波の高さは、宮古7.3m、釜石9.3m、大船渡11.8m、石巻7.7m、相馬8.9m、銚子2.4mでした。ちなみに、福島第一原発を襲った津波は15m以上で、防波堤は5.6mでした。

また浜岡原発は、今まで原子炉水漏事故、制御棒落下、破断事故などを起こしており、浜岡原発訴訟が起きています。

提訴内容は、まさに今回の大震災による福島第1原発を予知したような内容であり、あらたに目を通すとその正確さに慄然とします。

もし仮に大震災が東海沖で起きたとすれば、直後の大津波と活断層の動きによって福島第1原発事故と同規模、あるいはそれ以上の重大事故になる可能性があります。

その場合、茨城県東海第2原発で起きた場合と同様に首都東京をも被爆圏内に納めます。

一方、中部電力も指をくわえていたわけではなく、05年から3、4、5号機の耐震補強工事を始めており、既に08年に終了しています。また、津波に関しては海側に高さ10~15mの砂丘があり、12mに防波堤の建設準備を始めています。13年に完成予定です。

原子力保安院は6日に、これらの補強工事が終了するまでにはあと2年かかるとの見通しを立てており、首相の中部電力への要請はこれを踏まえたものです。

例によって、この首相の決断には、原発事故対応の失敗を思いつき的パーフォーマンスで乗り切ろうとする政局大事の意図が見え見えなことはシラけさせられます。

今後残る伊方、柏崎刈羽、東海、大飯などの危険性が指摘され続けている原発の安全性の見直しや、原子力政策そのものをどう考えていくのかまで踏み込んだ国民全体の議論が必要です。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

Photo_5                     撮影 時事通信   

浜岡原発:全面停止へ 東海地震備え、安全対策完成まで

菅直人首相は6日夜、首相官邸で緊急記者会見し、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)について、現在定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機を含むすべての原子炉の運転停止を中部電に要請したことを明らかにした。浜岡原発は東海地震の想定震源域に立地しており、地震により重大事故が発生する可能性がある。首相は「国民の安全と安心を考えた。浜岡原発で重大な事故が発生した場合に、日本社会全体に及ぶ甚大な影響を考慮した」と述べ、東京電力福島第1原発事故を受け、大地震に伴う重大事故発生を防ぐため停止要請したとの考えを示した。

 首相会見に先立ち、海江田万里経済産業相は同日、中部電の水野明久社長に原子炉の停止を要請。水野社長は「迅速に検討する」とのコメントを発表し、事実上、要請を受け入れる考えを示唆した。浜岡原発は08年度に1、2号機の廃炉が決まっているため、今回の菅首相の要請により、同原発は全面停止されることになる。

 首相は会見で、運転停止要請の具体的な理由について、文部科学省の地震調査研究推進本部が「30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が発生する可能性は87%」と分析していることを紹介。「東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが必要だ。完成までの間、すべての原子炉の運転を停止すべきだと考えた」と説明した。

 東日本大震災の発生を受け、政府は全国の54基の原発の海側に、高さ15メートルの防潮堤を設置する工事に着手したが、完成は13年度末の予定。このほか、被災した場合の予備品の確保なども必要になることから、経産省原子力安全・保安院は6日、対策完了までにはおおむね2年程度かかるとの見通しを示した。浜岡原発は少なくとも、対策完了までは運転を停止するとみられる。

 ただ、今回の首相の停止要請に法的根拠はなく、首相は「指示、命令という形は現在の法律制度では決まっていない」と述べた。保安院によると、原発を規制する法律には原子炉等規制法や電気事業法があるが、浜岡原発はこれらの法律に違反しているわけではないため、今回の要請は「あくまで自主的な対応を求めたもの」(保安院幹部)となる。中部電が要請に応じなかった場合の対応を問われた首相は「十分理解をいただけるよう説得したい」と述べるにとどめた。

 中部電は4、5号機の具体的な停止時期について「検討中」としているが、電力需要が高まる7月以前の停止となれば、夏には管内の電力需給が逼迫(ひっぱく)する恐れもある。首相は「電力需給バランスに大きな支障が生じないよう、政府としても最大限の対策を講じる」と述べ、理解を求めた。【田中成之、丸山進】

 ◇完了へ、おおむね2年

 東日本大震災の発生を受け、政府は全国の原発に緊急安全対策を要請。中部電力は浜岡原発の海側に、高さ15メートルの防潮堤を設置する工事に着手したが、完成は13年度末になる見込み。このほか、被災した場合の予備品の確保なども必要になることから、経済産業省原子力安全・保安院は、対策完了までおおむね2年程度かかるとの見通しを示した。浜岡原発は少なくとも、対策が完了するまで運転を停止するとみられる。

 ◇浜岡原発

 中部電力(本店・名古屋市)が静岡県御前崎市(旧浜岡町)に建設した、同社唯一の原発。5基の原子炉からなる。5基とも福島第1原発と同じ「沸騰水型」(5号機は改良型)。1号機は76年3月、2号機は78年11月に運転を開始したが、多額の耐震補強費が必要になったことから08年に廃炉を決め、09年1月末に運転を停止、廃炉手続きを進めている。3号機は東日本大震災の発生時、定期検査で停止していたが、中電は7月に運転再開する意向を示していた。4、5号機は運転中。

浜岡原発:全面停止へ 「唐突」「英断」…戸惑う地元

中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の原子炉を全て停止するよう菅直人首相が6日、中部電力に要請したことについて、地元住民や自治体、関係者の間には戸惑いと歓迎が交錯した。「唐突で人気取り」「交付金に依存する自治体財政はどうなる」と疑問視する向きがある一方、静岡県の川勝平太知事は「英断に敬意を表する」と評価、危険性を訴えてきた市民団体などからも「当然の判断だ」とする声が上がった。

 ◇静岡・御前崎

 浜岡原発を市内に抱える静岡県御前崎市の建設業、植田政志さん(55)は友人から原発停止要請のニュースを聞いた。「あまりにも唐突で戸惑った。(菅首相が)人気取りのためにやったのではないか」と感じたという。「福島第1原発の事故で安全神話が崩れたということなのだろうが、止めるというなら地元にきちんと説明をすべきではないか。これまで原発と共存共栄でやってきたので、税収ダウンなどの影響が心配だ」と話した。

 原発から約1キロ離れた国道沿いのコンビニに親子3人で買い物に来ていた水道業の男性(31)は「私の仕事は原発とは関係ないが、関連した職場で働く友人がたくさんいる。不安はあるが、ここで生まれ育ったから安全だと信じて受け入れてきた。今は地元の雇用がどうなるのかが一番気になる」と語った。

 石原茂雄・御前崎市長は「話が唐突過ぎて言葉が出ない。海江田万里経済産業相と5日に会って話したばかりだ。地元の意見をよく聞いて3号機の運転再開を判断すると言っていたのに4、5号機も止めるなんて」と戸惑う。「原発交付金に依存する自治体財政はどうなるのか、困惑を通り越してあっけに取られるばかり。菅首相は選挙目当てでこんな思い付きを言うのかと勘ぐってしまう。国策に従い原発を受け入れてきた自治体はどうなるのか。中部電力はどうするのか聞きたい」と怒りをあらわにした。

 一方、静岡県の川勝平太知事は「福島第1原発の事故を受け、安全性確保に対する地元の要望を最優先した英断に敬意を表する」と歓迎した。ただし、「国におかれては地元経済に対する影響についても適切に対応していただかねばならない」と注文も付けた。

 ◇「当然の判断」 原告・弁護団

 02年の浜岡原発データ隠しの翌年に原発運転差し止めを求める訴訟を起こした「浜岡原発とめよう裁判」原告代表の白鳥良香さん(78)は「我々の感覚では当然の判断だが政治的には英断。福島第1原発事故で原爆被害国だった日本が加害国になりつつあった。データ隠し発覚の際にも全号機を停止しており電力需要にも大きな問題はない」と話した。

 差し止め訴訟の原告弁護団長、河合弘之弁護士(67)は「歴史的な大英断だ」と評価した。「福島原発事故が発生して、対応しきれない恐怖を味わったことが決断につながったのではないか。福島を制圧できていない今、仮に浜岡原発でも事故が発生したら、東京は挟み撃ちになる。その恐ろしさを想定したのではないか」と分析した。

 「菅首相は会見で、中長期的に対策が立てられるまでの間の停止と話していたが、その点はばかげている。どんな状況でも浜岡を廃炉にしなければいけない」と強調した。

 原告団は福島第1原発の事故を受け、5月下旬に浜岡原発の運転停止を求める仮処分を静岡地裁に申し立てる予定だった。河合弁護士は「私たちが裁判を通じて訴え続けてきたことが社会に伝わって政府の決断につながった」と胸を張った。

 ◇「電力事情、厳しく」 中部電力

 名古屋市東区の中部電力本店には6日夜、大勢の報道陣が詰めかけた。広報担当者は「浜岡原発が停止すると、厳しい電力事情になるのは間違いない」と厳しい表情で話した。

 同社広報によると、6日午後6時半ごろ、海江田万里経済産業相が水野明久社長に電話し、停止要請について「運転中の浜岡原発4、5号機も東海地震の震源域にあり、地震が発生する可能性が高い。防潮堤が完成するまでは停止するようにお願いしたい」と説明したという。防潮堤完成は13年度末ごろで、約2年かかる見通しだ。

 この電話の後、原子力安全・保安院の担当者が保安院に同社の岡部一彦東京支社長を呼び出し、停止要請について詳細に書いた要請書を手渡したという。

 ◇廃炉強く求める 市民団体

 浜岡原発停止を求めて約15年間活動を続けてきた市民団体「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の運営委員で、運転差し止め訴訟原告団の一人でもある長野栄一さん(90)は「菅首相はよく言ってくれた。止まるのはありがたい」と喜んだ。今後については「日本国内のすべての原発が停止するよう活動したい。国が脱原発へと政策転換してくれたら」と話した。

 同ネットワーク事務局長の鈴木卓馬さん(71)も「菅首相を素直に評価したい。ただ、東海地震がどれほどの規模になるか想像できないのに、完全な防災対策をとることは不可能。私たちは廃炉にするよう強く求めていきたい」と話した。

 ◇基本姿勢示されず 原発立地自治体、驚きと批判

 菅首相の浜岡原発停止要請に対し、全国で最も多い14基の原発が立地する福井県の西川一誠知事は「全国の原発についての基本的姿勢を示さないまま部分的に対応していることは、到底、県民、国民の理解を得られるものではない」と批判するコメントを出した。

 関西電力大飯原発の地元、同県おおい町の時岡忍町長は「東海地震の可能性をおもんぱかっての判断だろう」と理解を示す。

 一方で「不足するエネルギー問題にどう対処するのか心配だ。国の政策全体として今後、どう展開していくだろうかと驚きをもって受け止めている」と話した。

 四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)がある同県の山口道夫・原子力安全対策推進監は「全国の原発の安全対策について政府はおおむね良と判断していたはず。なぜ停止要請に至ったのか、正直分からず戸惑っている」。

 北海道電力泊原発(泊村)を抱える北海道の原子力安全対策課担当者は「泊原発に対しても運転停止要請があり得るのか、まずは国に確認したい」。牧野浩臣・泊村長は「道内の電力の約4割を供給する泊原発を止めるのは不可能だろう。(浜岡原発とは)事情が違うと思う」と語った。

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前福島県知事 佐藤栄佐久氏 外国特派員協会記者会見の冒頭発言全文

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前福島県知事 佐藤栄佐久氏の講演記録です。氏は極めて怪しい疑獄事件を仕組まれて失脚しました。

当初原発賛成派だった氏が、あまりにも多い原発の事故隠蔽に疑問をもって反対にまわっていくことが述べられています。゜

氏か語るようにこの事故は、決して゛想定外゜などではなく、起きるべくして起きたといえるようです。

       ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

前福島県知事 佐藤栄佐久氏 外国特派員協会記者会見の冒頭発言全文
2011年4月18日

以前、福島県知事をしておりました、佐藤栄佐久と申します。
福島第一原発は、できてから今年でちょうど、40年になるところでした。
そのうち18年、約半分の期間、私は知事として、原発が次々巻き起こした問題に取り組みました。

わたくしは、今度の事件は、起こるべくして起きたものである、決して「想定外」ではなかったと、そう思っております。

なぜ、防げなかったのかについて、本日は述べようと思います。この先、日本は原子力発電についてどんな政策をもつべきか、それについてもお話します。

簡潔に述べまして、なるべく多くの質問を頂戴します。

それから、今日は原発のことしか話しません。もっと色々、私には話すことがあるのですが、それには、ざっと3時間半かかります。興味がある方は、ここにわたしの本を持ってきていますから、ぜひ買って帰ってお読みください。

本題に入ります。なぜ、今度の事故は防げたと思うのか。理由の1つは、去年、2010年の6月に起きたある事故です。実は、今度とそっくりの事故が福島第一で起きました。

6月17日のことです。注・下記新聞記事参照
福島第一原発の2号機で、なぜか電源が止まり、原子炉へ水を入れるポンプが止まりました。冷却水が入らなくなって、原子炉の中の水が蒸発し始めました。今度と同じです。放置すると燃料棒が熱で崩れ、最悪の事態につながる恐れが生じたのです。

東京電力の説明によると、このときは非常用ディーゼル発電機が動いたそうです。それで、ポンプを手動でスタートさせ、水を戻すことができたということです。

しかし、電源を失うと何が起きるのか、東電はこのとき、意図しないかたちで予行演習をしたようなものです。これでもし、非常用ディーゼル発電機までやられたらどうなるかということは、当然心配しておかなくてはいけない事故でした。

電源について、もっと安全を図っておくことは、この事件ひとつを教訓としただけでも、可能でした。それが、理由の第一です。

理由の2は、日本の原発政策は、地震をずっと軽視してきたということです。

詳しくは触れませんが、神戸大学名誉教授の石橋克彦さんなどが、地震研究の進歩を踏まえ、原発の耐震基準が甘すぎると、たびたび警告しておりました。

今度の地震で、原子炉は自動停止し、当初は建屋もびくともしなかったから、むしろ耐久力が実証されたという人がいます。しかし、石橋教授が口を酸っぱくして言っていたのは、大きな地震が起きると、同時に色々な損害が起き、それが重なり合うと手に負えなくなる、ということでした。

現に、今回も全電源喪失という事態となり、水素爆発が起きてからは、作業にも支障をきたすということになったのですから、地震に耐えたことなど、慰めにならないわけです。

石橋教授は、今から5年前、国が原発の耐震基準を見直そうとしたとき、専門委員としてその作業に関わっていました。しかし、耐震基準を厳しくするといっても、いまある原発がひっかからない程度にするだけだということがわかったとき、抗議の意味を込めて、委員を辞めています。

地震の怖さ、とくに大きな地震がいろんな損害を生むリスクを軽く見ていたこと。そして、電源がなくなったときの恐怖は、去年の6月、事故を起こしてよくわかっていたこと。

と、これだけみても、福島第一の事故は防げたのだと、こう言えると思います。非常用電源を、津波でも大丈夫な場所に移し替えておきさえすれば、あんな事故にはならなかったわけです。

さて、それではどうして、国や、電力会社は、原発のリスクに十分備えようとしてこなかったのか。

それは、「安全でないかもしれない」という発想に立った政策には、まるでなっていないからです。

あれだけ危険なものと共存していきたいなら、リスクに最大限備えようとするのが当たり前です。しかし、リスクがあるとにおわせることすら、タブー視する傾向がありました。

つまり、日本の原子力政策は、次のようなロジックで成り立っているのです。

原子力発電は、絶対に必要である。
だから、原子力発電は、絶対に安全だということにしないといけない。

よく、東電という会社には、隠蔽体質があると、みなさん言われます。
それじゃあ東電の経営者を全部入れ替えたら、直るのかということです。

それから、保安院が経産省に入っているのはいけないから、これを出せ、という意見も聞きます。それをやるだけで直るのか、ということです。

わたしに言わせると、そんなことでは直りません。

福島第一原発、そして第二原発では故障やひび割れがたくさん見つかっていました。ところが、その点検記録を書き換えて、なかったことにしていたのです。
それがわかったのが、2002年8月でした。
このとき東電では、当時の社長と会長、担当副社長、それから元社長の相談役2人、合計5人がいっぺんに辞職しています。

辞めた相談役の1人は、経団連の会長まで務めた財界の超大物でした。
経営者を入れ替えろ、というのでしたら、一度それにちかいことを東電はしております。それでも、今度のことが起きたのです。

日本経済に必要な電力を供給するには、絶対に原発が必要である。
燃やしてできるプルトニウムは、貯めすぎると外国から疑われるから、再利用しないといけない。
つまり、必要だから必要なんだという理屈が、延々と続いていくのです。
危ないから注意しろ、というと、私のように、国家にとっての危険人物と見なされてしまうわけです。

これは、怖い理屈です。
国会議員だろうが、だれであろうが、この理屈には立ち向かえません。

そしてこれだけ有無を言わさないロジックが出来上がると、リスクをまともに計量しようとする姿勢すら、踏みつぶされてしまうのです。

しかも、事実を隠したり、見て見ぬふりをすることが、まるで正義であるかのような、そんな倒錯した価値観までできるのです。すべては、原発推進というお国のためなのですから。

こんな状態ですと、どれだけデータを見せられて安全だといわれても、安心できません。
なぜなら、安心とは、サイエンスではないからです。
安心とは、信頼です。違いますか?
原発を動かしている人を、国民が信頼できないと、安心はないからです。

私は、いまある原発を全部止めてしまえという意見では、ありません。
しかし、国民が原発に寄せる信頼がずたずたに壊れてしまった以上、いまのままの形で原発を続けていくことはできないと思います。

そこで最後に、この先の原発政策をどうすべきか、私の意見を申し上げて、終わりにします。

原子力安全委員会という、原発の安全政策の基本を決める組織があります。
権限は、紙に書かれたものを見る限り、充実しています。
しかし、実際には、ろくな審議もせず、有名無実です。
まずは、安全委員会を完全な独立組織とし、委員を国民から選ぶ制度にする必要があります。
その際には、わたしは喜んで手を挙げ、委員になろうと思います。

ドイツやフランスは、原発政策を変えるときなど、何年も何年も、議論を尽くします。
あらゆる過程に、市民の声が入る工夫をしています。

そんな悠長なことをしていると、日本経済がダメになる、と、政府や電力会社は言うでしょう。
これが、きょう私が申し上げた「絶対に必要だ、だから原発は安全だ」という原発絶対主義につながるのです。

いまは、ありとあらゆる方法を尽くして、長い長い手間と暇をかけて、データや紙切れのうえの安全性でなく、信頼に裏打ちされた安心をつくらないといけないときなのです。

日本の民主主義が、試されています。立派な仕組みをつくり、これなら安心だと、世界中の人に思ってもらう必要があります。
そうしないと、ここははっきり申し上げておきますが、外国の人もお金も、日本には入ってこなくなります。原発を生かして、日本経済をつぶすことになります。

それが、津波で命を落とした何千、何万の人たち、家を追われた何十万という人たちの、犠牲に報いる道でしょうか。原発に関わるすべての人たちは、この問いを、しっかり考えてほしいと思います。

以上で私の発言を終わります。

太字は原文ママ

■佐藤栄佐久氏著書
知事抹殺つくられた福島汚職事件

■免罪事件関してはこちらをお読みください。

東京電力福島第一原子力発電所2号機で昨年6月、電源が喪失して原子炉の水位が30分にわたり2メートル低下する事故が起きていたことが、1日の参院予算委員会で明らかになった。

 民主党の森裕子氏の質問に、参考人として出席した東京電力の清水正孝社長が答えた。菅首相もその後の対策の不備を陳謝した。

 東電の説明によると、事故は作業員が電源装置に誤って触れて、所内電源の供給が停止したことで起きた。原子炉は自動停止したが、外部電源への切り替えに失敗し、冷却水が送れなくなったため、水位が2メートル低下した。すぐに非常用ディーゼル発電機が起動したが、作業員が冷却装置を手動操作し、水位が回復するまで約30分かかった。燃料が露出する水位まで3メートルほどの余裕があったが、あと40センチ低下すれば、緊急炉心冷却装置が作動する間一髪の状況だった。

(2011年5月1日20時27分  読売新聞)

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放射能被害を巡るさまざまな意見    身に降りかかった火の粉は払わねばならないが、決してパニックになってはいけない

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正直のところ、放射線の脅威について何が正しくて何が間違っているのか私にはよくわかりません。調べれば調べるほど分からなくなります。

このところその過激な言動で放射能風評の旗振り役となっている武田邦彦中部大学教授にしても、涙の記者会見をした内閣官房参与の小佐古敏荘東大大学院教授にしても、実はおふたりとも原子力専門家ではあっても放射性医学や放射性防護の専門家ではないのです。

福島第1原発事故が起きてからというもの、日替わり定食のように゜原子力専門家゜が登場しますが、人によって真逆なことを平気で言うので困ってしまいます。

専門家の意見が大きく違う場合、私たち一般国民はどうしても万が一を考えて放射能基準値を低く主張する専門家の意見に従ってしまいます。武田氏が今強い影響力をもっているのはそのせいです゜

また現在、私たち福島や茨城の農家がやろうとしている菜種やひまわりを使った除去もそのひとつといえます。除去作業は風評被害対策でもあります。

ただ、ひとつおさえておくべきことがあります。それは低位の放射線量も脅威だとを主張する人たちの判断の根拠にしているが、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準値だということです。

ところがこれもまた、放射性医学界では疑問視されている゛値なし線形仮説゜(LNT仮説)に基づいています。あくまでも仮設であって実証が完全にされているわけてはなさそうです。

値なし線形仮説については下の資料をご覧ください。

チェリノブイリで治療に携わった被曝治療の専門家のロバート・ゲイル博士が来日し、検証されていきました。そのインタビューの内容興味深いものです。

ゲイル博士は、゛現状の放射線量は心配のないレベルであり、そのことを説得力をもって国民に説明できる人間が政府内にいないことが問題だ゜といいます。
ダイヤモンド オンライン
http://diamond.jp/articles/-/11772

私たちは身に降りかかった火の粉は払わねばなりません。しかし、決してパニックになる必要はないし、落ち着いてさまざまな立場からの情報を集めてたじろがないことです。そして今できることをすることです。

今日は私自身への自戒を込めて書きました。

        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

しきい値無し直線仮説(Linear Non-Threshold : LNT仮説)とは?

放射線の被ばく線量と影響の間には、しきい値がなく直線的な関係が成り立つという考え方を「しきい値無し直線仮説」と呼びます。

確定的影響と確率的影響

放射線の人体への影響は、「確定的影響」と「確率的影響」の2つに分けけることができます。

このうち、確定的影響には主に高線量被ばく時に見られる障害で、脱毛を含む皮膚の障害や、骨髄障害あるいは白内障などが含まれ、それ以下では障害が起こらない線量、すなわちしきい値のあることが知られています。

一方、発がんを中心とする確率的影響ついては、1個の細胞に生じたDNAの傷が原因となってがんが起こりうるという非常に単純化された考えに基づいて、影響の発生確率は被ばく線量に比例するとされています。しかし、実際には、広島・長崎の原爆被爆者を対象とした膨大なデータをもってしても、100ミリシーベルト程度よりも低い線量では発がんリスクの有意な上昇は認められていません。これよりも低い線量域では、発がんリスクを疫学的に示すことができないということです。

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なぜ「仮説」なのか?

このように確たる情報に乏しい低線量の範囲について、放射線防護の立場からリスクを推定するために導入されたのがLNT仮説です。低線量放射線の影響についてはよくわからないが、影響があると考えておいた方が安全側だという考え方に基づいたもので、科学的に解明されたものではないことから「仮説」と呼ばれています。

LNT仮説の問題点

各種の線量限度等を勧告している国際放射線防護委員会(ICRP)でも、「この仮説は放射線管理の目的のためにのみ用いるべきであり、すでに起こったわずかな線量の被曝についてのリスクを評価するために用いるのは適切ではない」としています。

それにもかかわらず、微量の被ばくに対してLNT仮説を用いてリスクが評価される場合が後を絶たず(*1)、このような情報を受け取った一般の方々に誤解を与え、放射線に対する恐怖感、不安感を助長する結果になっています。

低線量放射線研究からわかってきたこと

これまでの当センターを含めた多くの低線量放射線研究から、LNT仮説では説明できない事例が数多く見つかっています(*2)。また、当センターを含めた国内外の研究成果をとりまとめた「線量・線量率マップ」(*3)からは、放射線は一度に被ばくした場合と、少量ずつ時間をかけて被ばくした場合とでは影響が異なることも明らかになっています。このことは、放射線作業従事者が少量の放射線を何度も被ばくするような場合には、LNT仮説から予想されるよりも実際のリスクはずっと小さくなることを示唆しています。

放射線安全研究センター
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/lnt.html

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稲を使った除染方法は有効だ

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ゆび指し打ち込みの2日目です。

大震災の時にキイボードにガッシャーンとモノが落ちたので、いやーな予感がしたのですが、時々変になる以外なんとかかんとか動いてくれました。

しかし奮闘努力のかいもなく、とうとうダウンとあいなりました。キイボードが使えないPCって、賢いただの箱。マウス一個でこの箱ととうぶんのおつきあいです。(。>0<。)

グチはともかくとして、真剣に土壌の除染を考えねばならない状況になってきました。巨大風評被害とならんで、これも日本農業始まって以来のことてす。

残念ながら、福島第1から相当距離まで土壌汚染が拡がっていると見るべきでしょう。それもおなじ地域でもそうとうに不均一な検出がされると思われます。

土壌検査はただちに始めねばなりません。政府の動きをあてにしていると、いつの話になるのか皆目見当がつかないので、なんらかの簡易検査キットが必要です。

とくにセシウム137、134がキロクラムあたり1000ベクレルを超える農地には除染が必要となるとおもわれます。

政府も重い腰を上げてくれたようで、下の産経記事には、篠原副大臣がウクライナの菜種などを使った除染の現場に研究員を派遣した、とあります。

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                          クリックすると大きくなります

記事でも触れていますが、ウクライナのように時間がたつと、放射性物質が40㎝くらいまで沈みこむのでやっかいになります。現在の日本の状況ならば、地表面の除染ですみます。

地表面の除染ということになれば植物を使った方法が有効です。稲は高い吸収力をもつので、もし今作付けに迷っているならむしろやるべきてす。

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残念なことに5000ベクレルを超える水田は、作付け禁止となってしまいましたが、やはり除染を考えた場合、あえて作るべきであったと思われます。

売れる売れないは別な問題です。除染のための作付けは、原則的には東電か政府が全量買い上げるべきです。

NPO民間稲作研究所・稲葉光圀氏によれば、セシウム、ストロンチウムの吸収が高いイネを植えて、収穫期に食用にするか検査をし、無理ならば東電が全量買い取り、東電所有の火力発電所でバイオ燃料とする方法もあります。

また畑では、麦、ヒマワリ、大豆の輪作体系を作って4年くらいをかけて除染していきます。

明日は一番のネックになる収穫方法を考えてみたいと思います。

■写真 わが農場の菜種栽培風景

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パソコンが震災の時の衝撃で不調です         武田先生、驚異の豹変

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パソコンが震災の時の衝撃でキイボードが使えません。この文もマウスで打っていますので、ドえらくたいへんです。たったこれだけで、15分もかかってしまいました。えーん。

まるで10年前の若葉マークの時みたいです。いつもの文の長さだと、1日かかるなぁ。しくしく。

なんとかしたいんですが、会社が皆お休みです。できるだけガンバリますが、明日から更新がちょっと途絶えるかもしれません。

しかしせっかくですから、ちょとだけ。武田邦彦先生のブログから面白いものをみつけました。去年の記事です。

武田先生はなーんと下のようなことを書いてます。今言っていることと正反対ですね。

よけいなおせっかいかもしれませんが、これを筆者名を隠して見せたら、先生ファンは政府の御用学者だって言うんだろうな。

まぁ、ここまで変われるのも才能のうちですねぇ。

以下引用 太字は引用者

常識とは反するが一つの例を挙げたい。それは「放射線に対する生物の防御」である.

一般には放射線はとても危険だと思われている.そして,原子力産業という産業があるので,「安全だ」などと言っても,それは産業の回し者がいい加減なことを言っていると思われるので,本当のところが良く分からない.

マスメディアは「危険を強調する義務がある」と錯覚し,これも正しい情報を流さない.つまり,産業は安全だと繰り返し,マスメディアは危険だと言うので,普通の人は判断ができないのである

放射線の害を一言で言えば,「放射線で障害を受けることは,少ない.なかなか障害を受けることはできない」と言える。

そして,その理由を一言で言えば,「太陽が原子炉だから.宇宙は原子力ばかりだから」というのが正しいだろう。さらに,注意することといえば,「普通の生活をする事」と言うことに尽きる.日本の原子炉はまだ自身で倒壊する可能性があるので,やや危ないが,そのほかで放射線の被害を受けることはまずない.

どうしてこんなに放射線が安全かというと,もともとは危険なので,防御機構が発達するからであり,なぜ防御機構が発達しているかというと太陽が原子炉で,そこから有害な放射線が降ってきた時代に,生物は頑丈な防御を作ったからである.

原始的な生物の一つ,大腸菌ですら放射線に対して5段階の防御を持っていて,容易にはやられない.まして高等動物中の高等動物である人間は,ものすごく精密な防御システムを持っている.

だから,容易なことでは放射線で障害を受けない.むしろ,あまりに複雑なので,長く使わないとリストラされる。むしろ,免疫と同じだから,少しは放射線を浴びておいた方が「異物を取り除く体の中の自衛隊」を育てておくことができる.

放射線と人体の関係を研究している人の多くが「放射線を少し浴びた方が発癌性が低い」と考えている。でも,決して口に出さない.口に出すと袋だたきにあうからだが,民主主義だから専門家はおそれずに「本当の事」を言うべきだ

・・・・・・

ここはウィルスの話なので,放射線についてあまり深く説明をしないが,事の本質は「危険に対して人間がどれほどの防御を持っているか」と言うことであり,それが「新型インフルエンザ」の当確予想を正確にするポイントなのである。

(平成21年5月5日 執筆)

引用終わり

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農業者も自分と家族の安全のために放射能の土壌検査をすべきです

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さまざまなご意見ありがとうございます。
都市の消費者の皆さんが、特にお子さんをお持ちの親御さんが怖いと思うのはあまりにも当然だろう、と私も思います。

今Amazonあたりで見ると防災と放射能対策本の花盛りで、政府がまき散らしたこととはいえ、かくも浸透してしまった放射能汚染に対する恐怖は、一朝一夕にはなくならないと思います。

なにせ、JA福島の人たちが首相に風評被害対策を陳情した時に持ってきたきゅうりを、首相は「洗ってあるの、これ?」と言ったといいますから、首相自らもカイワレのようにワシワシとは食べたくないようです(苦笑)。

さて、野菜や畜産物の暫定規制値についてもう少しお話したほうがいいと思います。ことの発端はこれですから。

私は暫定規制値は役に立たないスカスカの網だと思っています。なぜでしょうか。それは、農業をまったく知らない厚労省のお役人が作ったためです。

暫定規制値は野菜や畜産物、海産物という「製品」にかけられています。牛乳がらみで牧草地も対象になっていますが、これは例外でだいたいが「製品」に対してです。

厚労省がつくるとどうしてもこのような食品衛生法的な網のかけ方になります。ここのどこがスカスカかと言うと、野菜が生えている下の「畑」を見ていないんですよ。

たとえばそうですね、今をときめくホウレンソウがあったとしましょう。ホウレンソウからすればときめきたくはなかったでしょうが、出荷規制はこのホウレンソウという「製品」にかけられます。

では、よくあることですが、畑に別な野菜が植わっていたらどうします。これも出荷規制の対象になるのでしょうか?

答え。キャベツがホウレンソウの横の畝にあったとしても、このキャベツは出荷規制の対象にはなりません。だって、キャベツは出荷規制対象外ですから。

もし万が一、放射性物質がこの畑に降っていたとしたらホウレンソウだけに選択的に降るなんて馬鹿なことはあるわけないですよね。とうぜんキャベツもヤバイわけです。

ほんとうに放射能(正確には放射線量)規制をかけるのならば、ホウレンソウもキャベツも同時に規制をかけなければ食の安全は担保できません。

農水省がこの暫定規制値を作ったのなら、こんなアホなものを作らなかったでしょうね。ところが農業のノの字も知らない厚労省が官邸の意向で一晩で作った哀しさでこんなハンチクなものが出来ちゃいました。

しかも当初の出荷自粛段階では、規制範囲を県単位なんてベラボーに広く取ってしまったために、わが茨城など南北に150㌔はあるような県など県北で出たために、100キロ離れた県南まで一括アウトです。

私は農水省が同じ暫定規制値を作ったのなら、たぶん畑単位にして、万が一検出されたのなら、そこから10㌔圏内を出荷規制の対象にして、規制圏内をサーベイランス(発生動向調査)していく方法をとったと思います。

そして検出された畑からの野菜や畜産物は廃棄処分とし、土壌の除染対策などの対策を施していきます。サーベイランスで別件が出れば、そこも同じです。

そして半減期が8日のヨウ素なら1週間ごとの検査でシロならば、規制を解除します。セシウムだと半減期が30年ちかいのでちょっとやっかいですが。

これは実は既に農水省管轄の家畜伝染病予防法に現実にある方法です。宮崎県口蹄疫でも使われたなじんだ手法です。

厚労省は工場からの食品などの規制に使う手法で農畜産物を捉えたので、こんなことになりました。

ここでもう一度お聞きしたいのですが、果たしてこんな暫定規制値で農産物の「安全」は担保できたのでしょうか?

ところがこのことを見逃したので、現実には茨城県産ホウレンソウの横に植わっているキャベツはオーケーになりました。都市の消費者の皆さん、これで安心ですか?

実は私こんなことを書くと同業者から「余計なこと書くんじゃない。また風評被害が拡がるだろうが!」とデコボコにされてしまいそうですが、本当に安心したかったら都市の消費者も農業者も「畑」、言い換えれば土壌を調べなければならないのです。

今、なぜこんな史上最大規模の風評被害が拡がっているのかといえば、それは都市の消費者がこの暫定規制値-出荷制限のいいかげさをどこかで感じているからです。

だから家庭の自主防衛に走って買え控えをしてしまうのです。それを東電の原子力広報官の枝野さんあたりが、「ただちに健康に影響はありません」などと言えば言うほど、消費者はホンマかいなと思って当然です。彼には大分国民は騙されていますしね。

私は土壌の放射線量測定をしろ、とくどいくらいに言っています。これはわが同業者から「余計なことを」と言われても主張し続ける気です。だって、ほんとうにセシウムあたりが自分の畑に降っていたら、本格的な除染を検討せにゃなりませんから。

この農業に降りかかった放射能被害を単に風評被害一般で片づけてはなりません。農業者もまた自分と家族の健康の自主防衛のためにすべきなのです。

そしてそれが消費者の安全を確保する最良の方法なのではないでしいうか。

■写真 山桜の咲く野良の道です。実はもう散ってしまいましたが。

パソコンが震災の時の衝撃で不調です。ひょっとして明日から更新が途絶えるかもしれません。(涙)。連休中なので、どうしようもないよぉ。

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武田邦彦教授の3県の野菜危険論  3県の農家を叩く前に、もっとやるべきことがあるのではないですか?

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武田邦彦教授という人がいます。なかなか大きな影響力を持つ論者で、先日わがブログにもこの人の信奉者が元気一杯殴り込みに来ました。

武田先生の論法は非常にシンプルです。これが信奉者を多く生む原動力となっているのだと思いますが、たとえばこうです。

「最初に逃げるのが大切、最初に汚染されたものを食べない注意が必要」。なるほどねぇ。教授はこんな表を出してきます。

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これは時系列に沿って、茨城県日立市のほうれんそうのヨウ素とセシウムの放射線量を見たものです。

このとおり順調にと言いますか、当然のことながら水素爆発時があった3月12日、3月15日から比べてぐんぐん減り続けているのが分かります。

通常でしたら、よかったね、これで暫定規制値よりも下がったから茨城産や福島産、千葉産のほうれんそうは食べていいんだね・・・と言うところですが、先生はそうは言いません。

武田先生はなんとこれらの地域の野菜はオールだめ、食べることなどもってのほかだと言います。その論証過程はいかにも学者らしくだらだらと長いので、関心ある方は先生のブログを見て下さい。
http://takedanet.com/2011/04/post_f394.html

ダイジェストすれば、先生は野菜は毎日食べるものなのだから年間累積摂取量でみると内部被曝量が20㍉シーベルトに達し、その上に空中放射線量まで加わるからもうベーリー・デンジャラスといいたいようです。

その上に立って先生は、「地産地消がもっとも危険」とまで言い切っていますからなんともすごい。

まぁ先生は、地球温暖化論争の時には暴走機関車と化して、当たるを幸いとばかりに、有機農業やリサイクル活動はやめてしまえと叫んで総スッカンを食らっていた人ですから、江戸の仇を長崎で討っておられるのかもしれませんが(笑)。

そう言えば、ある某消費者団体の理事をしていた女性は、すこぶる消費者意識が高い人なのですが、レストランで出される野菜に少しでもこの3県の食材が入っていれば箸で慎重により分けて食べないのだそうです。

食材の原産地が分からない場合などさぁ大変、わざわざウェイターを呼んで問いただすのだそうで、いやまったくご苦労様です。

ちなみにこの女性は日頃は化学農薬を使った野菜は怖いと言い、有機農産物と無添加食品で家庭を固めておられます。

武田先生といい、この女性といい立場は逆ですが、有機農業界の片隅にいる私などにはなんとも複雑な気分にさせられてしまう風景です。

というのは、武田先生やこの女性の視野からすっぽりと抜けているのが、原子力災害で被災した地域の人々の生活と生産だからです。

私たち福島、茨城、千葉で生きる人間は、特に農業者でなくとも、別に放射線を恐れて室内に閉じこもっているわけでもなく、普通に地べたの上で暮らし、普通に食べています。

農家に至っては毎日「危険な」土を直に手でいじっていますから、武田先生に言わせればとんでもないことなのでしょうね。

しかし、私たち原子力災害にあった住民の多くは、いくら先生が「最初に逃げるのが大事」と説諭されても、強制退避でも命じられない限り、じゃあ3月一杯はどこかハワイでも行っていようかなどと思わないものです。私なんぞ家畜の世話がありますからね。

そして、「最初に汚染された野菜を食べるな」と言われても、では中国産のシロアリ駆除剤がかかったような「毒菜」のほうが安全なんですかと逆に聞きたくなります。

このように先生は3県の住民の気持ちを逆撫でしています。先生は名古屋あたりの絶対安全圏に住んでいるのだからいいでしょうが、被災県にも人間が生身で暮らしているのですよ。

先生なら浜岡原発でなにかあったらまっ先に国外に逃げ出して、ネットでアジるんだろうなぁ、学者は楽でいいよなぁなどと皮肉なことを考えてしまいます。

私たちは防護服を着て生活もできないし、放射能除去マスクをつけて子供を保育園に通わせるわけにもいかないのです。

それを絶対安全圏の愛知に住みながら、3県以外の都市生活者の「安全」をいちばんにおもんばかる。なんかおかしくはないでしょうか。

まず心配すべきは、この目前にある原子力災害に日々苦吟している3県の県民からというのが原子力専門家としての順番ではないのですか。

それをまったく度外視して、やれ3県から「逃げろ」とか3県の野菜は「食うな」というのは、政府から捨ておかれたに等しい状況の私たちにとって大変に不愉快な考え方です。

そしてもう一点。武田先生ならとうぜんご存じでしょうが、放射性ヨウ素、放射性セシウムは揮発性物質ですから、風向頻度と地形で右の畑で出て、左の畑ででないことなどザラにあります。

先日にもご紹介しましたが、浪江町の路面で計った放射線量2マイクロシーベルトで、そのすぐ横の側溝で計ったら20だったということがありました。路肩は放射性物質が風や水で集まるからです。

私の直近のモニタリング・ポストは鉾田市縦山ですが、4月23日の数値は0.26マイクロシーベルでした。空中放射線量です。

そしてそこからさほど離れていない鉾田市田崎は0.14でした。わずか数キロしか離れていません。しかしほぼ2倍です。

福島第1原発から鉾田より遥かに近い東海村石神では0.16です。東海村と鉾田は50キロ以上離れている地点です。福島第1から近ければ危険、遠ければ危ないという単純なことではないのがわかります。

私が野菜の暫定規制値をおかしいと思い出したのはここにあります。武田先生の論法ではこの3県の野菜なら皆ベタで危険だと言っています。この考え方こそ、先生が批判してやまない政府当局の発想そのものではないでしょうか。

福島県のどこかで出れば自動的に県全体が危険という考え方は、あまりにも杜撰すぎます。農業者や県の猛烈な抗議で、県単位から自治体単位に変わりましたが、それでも本質的にはなんの変化もありません。

私が何度も繰り返し主張していることは、放射能汚染による野菜の問題を消費者被害だけで捉えるなということです。私たちその地域で生活し、生産している人間とその家族にとっていかなる意味を持つのかまで問え、と言っているのです。

それがないところで、絶対安全圏に住んでいる人たちが、一日数グラムの被災県の野菜を食べることにすら恐怖する。・・・私にはなんとも倒錯したエゴむき出しの風景に見えます。

ほんとうに放射能の危険を訴えたいのなら、私たち農業者をダシに使わないでいただきたい。消費者がわずか一口たべてガンになるなら、私たちなどもうとっくに死んでいます。

消費者と生産者にとって共同の敵は別にあるはずです。それは既に落下している、そして今も低レベルで落下し続けている放射能(正確には放射性物質)です。そしてそれを出した責任者です。

まずはその被害の実態を検証すること。それをせずになぜ野菜ばかり取り立てて騒ぐのでしょうか。

そのためには私は土壌放射線量を検査するのが一番手っとり早いと思っています。土壌放射線量を細かく測定していけば、そうとうに正確な汚染マップができます。

ここが除染すべきレベルだ、ここは大丈夫だと判断の基準になるでしょう。それを十把ひとからげで福島、茨城、千葉の3県の野菜は食べない、地産地消は危険だなどという論理の飛躍をするから武田先生の議論にはついて行けないのです。

前に乱入した人が「消費者に安全なものを提供するのが生産者の務め」などと聞いたようなことを言って、すぐにでも除染しろと気楽に言っていました。言うだけなら誰にでもできます。

今のように農地のみならず、学校の校庭、公園にまで降っているかもしれない状況の中で、真剣に危険を除去しようと思ったら、まずなにから始めるべきなのでしょうか。

それは何が安全なのか、何が危険なのか、どこが危険レベルなのか、そうではないのかを調査して危険の実態を明らかにしていくことです。それをしないと3県の土を全部入れ換えろなどというとんでもないことになってしまいます。

それを語らずして、被災県の食材のみの危険をアジる武田先生の論法には疑問を感じてしまいます。

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