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土壌放射線量調査をするのが、農家と消費者の共通の利害です ●付録 茨城県市町村放射線量率マップと私の農場の検査結果

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私が記事でたまに使用する「放射能」という言葉が正しい用語の使い方ではないのでは、というご指摘を頂戴しました。そのとおりです。
私は当初、かなり神経質に「放射性物質」、「放射線」、「放射線量」、「放射能」を使いわけていたのですが、このところ総称といいますか、一般名称として使う場合、大方のマスコミも「放射能」として使用しているようなので、煩雑さを避けるために「放射能」と書く場合もあります。
まぁ、正直迷っているのも事実で、なんでただの市民の私がこんなことを悩まねばならんのだぁと憤ってもおります。あ~放射能になんかに詳しくなりたかぁねぇやって気分です(笑)。
ただ、その消費者の方が不安に思うのは、「放射能」という言葉だけの問題だけではなく、わが茨城県が放射性物質が降ったことは事実であり、未だその量や分布状況が明確に調査されていないことにあると思います。
おそらくは県西を除いて県北、県南、鹿行には降下していることは間違いありません。ただ詳細はダウンロードファイル 県内市町村における放射線量率測定結果地図(下図参照  茨城県HP)と、モニタリング・ボストの空中放射線量測定値を使うしかありません。
 (クリックすると大きくなりまくす。)
この茨城県の制作した放射線量測定結果地図はかなり実態を表しています。この飛散図からわかるのはとりあえず3点です。
① もっとも高い0.2以上0.3マイクロシーベルト/時未満を記録しているのは、県北の北茨城市と、正反対の県南の取手市であり、、福島第1原発に近いか否かは必ずしも法則性がない。
②内陸部の県西部はおおむね飛散状況は薄い。
③鹿行地域は鉾田市、稲敷市を除いて飛散が少ない0.1マイクロシーベルト/時未満だった。
さて、私は風評被害が起きる原因は、この「東日本のどこにどれだけ降っているか分からない」という恐怖心だと思っています。特に妊婦の女性や、お子さんをお持ちの方には切実でしょう。
これをしっかりと払拭するには福島、茨城を中心として、千葉、を栃木の一部、神奈川の一部まで含んだ土壌放射線量の調査が必要です。
なぜ土壌放射線量かというと、現時点ではおそらくはヨウ素はほぼ完全に農産物から流出しているはずですし、セシウムも降った野菜自体が既にそうとう数出荷されてしまっているか廃棄されており、お茶や果実などの3月中に被って5、6月移行に遅れて収穫される農産物の残留に移っているからです。
すべての農産物で計る意味があったのは4月までで、せいぜいが5月中旬までです。
3月の放射性物質の降下による影響は既に終わりつつあり、今は土壌の汚染を考える次の段階に入っているのです。
もちろんお茶や果実のように遅れて検出される場合もありますが、基本は農産物汚染から土壌汚染へとシフトしていると言ってもいいでしょう。
では汚染土壌から植物にどれだけ移行するのかといえば、非常に微々たる数字なのです。
日本原子力研究開発機構(JAEA)と農水省の出した数値によれば、例えばホウレンソウの移行係数は0.0011にすぎません。つまりは1000分の1.1しか土壌からはセシウムは移行しないと言い換えてもいいでしょう。
野菜の放射性セシウムの暫定規制値は500ベクレル/kgすが、それを超える可能性がある土壌の放射性セシウム濃度は45万ベクレル/kgとなります。

日本にこんなに汚染された畑地はありえませんから、あくまでも理論上はですが、土壌からの農産物移行は心配いらないといえます。
コメントですべての農産物を放射能計測しろということを言っている方がいましたが、それをやる意味が真にあったのは、3月、4月であって、6月以降はいかがなものでしょうか。もちろん安心のための薬としては有効ですが。
ちなみに私はしました。検出されずです。
Photo_2 
土壌中の放射線量を調べて汚染マップをつくらねばなりません。ようやく微々たる予算がついて福島県で始まりましたが、補正予算でつかない限り茨城や千葉の調査はなおざりにされてしまいます。
これではいつまでたっても福島、茨城のみならず東日本全体の農産物、海産物は危ないという風評は続くことになります。風評被害を断ち切るには、しっかりとした検査が必要です。
それが農家と消費者共通の利益だと思っている次第です。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

http://www.esrij.com/industries/case-studies/02_kiki/cs02_08.pdf#search='チェルノ 土壌汚染'

チェルノブイリのときのスウェーデンの調査グラフですが、こんなイメージで、理解すればよいのでしょうか?

確かに、今後、水素爆発など、新たな問題が起きなければ、早く土壌汚染図を作り、放射性微粒子が移動しないうちに、除染というか、除去すれば、1段落ですよね。

投稿: りぼん。 | 2011年5月31日 (火) 08時31分

こんにちは。
既にご存知かもしれませんが、80km圏内であれば航空機による計測が行われています。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/06/1305820_20110506.pdf

個人的には、300km圏内にまで広げて欲しいのですが…

投稿: えす | 2011年5月31日 (火) 11時46分

毎日県のHPをチェックしてますが、こちらでは3月20日頃に降下物線量が一時急速増加した以外、降下物も大気ガンマ線もほぼ平常値です。昨日の大雨でもヨウ素・セシウム不検出。
つまり、最初の水素爆発で発生放出されたのが飛んで来て降下したのがほぼ全てで、土壌や山林に落ちたと考えるべきでしょう。

調査対象外のストロンチウムやプルトニウムは気になりますが、今のところ原発近くだけのようですし…。

それにしてもどうやって『除染』するんでしょうね?学校のグランドだけでもあんな騒ぎなのに、広大な農地やより大変な山林なんか手のつけようがあるのか?そうでなくても大赤字で跡継ぎもいなくて壊滅的な林業は100年先まで見捨てるのか?
対策やるにしても、予算はどうするのか?
また、そこからの地下水への影響は?
悩みは尽きません。

投稿: 山形 | 2011年5月31日 (火) 12時41分

風評被害を早期に終息させ、消費者が安心して購入、消費するには、線量測定を広範囲に実施し、その情報をいち早く公表する事が一番だと思います。
神奈川県以東(北)の農畜産物全てを出荷時に検査し、数値を公表する(農畜産物に添付する)事は理想的ですが、現実的な対応かどうか疑問があります。
濱田様の検査結果通知書を拝見しても、検査結果が出るまで4~5日掛かっていますし、検体数が膨大になればもっと日数が掛かります。鮮度が命の野菜等は無理でしょう。また、一点一点検査するには莫大な費用もかかります。
妊婦さんやお子さんをお持ちの方々は、それでも心配で購入行動にはつながらない可能性もあります。
東海以西の農畜産物で、首都圏含めて北関東の食料を賄う事も難しいでしょうし、緊急輸入と言っても対応は不可能でしょう。ならば、消費者が選択し易い様に情報の速やかな提供が必要になると思います。
放射線の飛散が水素爆発時のみと考えると、濱田様の仰る通り、3ヶ月近く経った現在、土壌測定を行う事が求められていると考えます。

そんな今夏の食料でさえどうなるか分からない状況の時に「政局」がらみで、あーだ・こーだ言っている政治家を見ていると、国会議員の資質や人数に疑問がわいてきますし、特に参議院なんて・・・なんて考えてしまいます。

投稿: 北海道 | 2011年5月31日 (火) 13時22分

続投御容赦ください。
よく平成13年のBSEの時が比較対象にされますが、BSE時は耳標による個体識別システムが、たまたま別事業で先行していた事から、個体の特定や流通経路などが把握しやすいこと、「全頭検査」と言う稀に見る対応を農水省が打ち出したことによって、早期に混乱も収束しました。いつでも誰でも携帯(パソコン)で個体識別番号を検索すると「いつ・どこで生れ、どこで飼養されと畜」されたかが、一目瞭然に分かります。BSE検査も「と畜」時及び死亡畜と言えども20ヶ月齢以上の牛は全て検査されます。また、パック詰めになってスーパーに並んでいる牛肉も抜き打ちで「サンプリング」され、と畜情報と照合しています。
これだけ徹底している(されている)事によって、消費者の安心を担保する事が出来ました。(時々不心得者がいて悪さをしていますが・・・)
BSEは罹患している牛の肉を食べない限り、伝達はしませんし、万が一口にしても一代で終わります。ここが放射能(線)と違う所では無いでしょうか?

消費者に安心してもらうには、検査と情報の開示が必要であり、どこまで検査するか、どんなシステムで情報開示するかなどを、農業団体はまとまって国に要請(要求)する必要があると思います。それも一刻も早く!!

投稿: 北海道 | 2011年5月31日 (火) 17時03分

はじめてブログを拝見させて頂きました。

本当に被害の中で生活・収入の見込みを立たせて
いくのが本当に大変と思われれる中、消費者側の
目線と客観分析などに非常に感服いたします!

自分は東京に小学生二人の子と住むものですが
正直なところを記します。

やはり茨城のもの、となると買えないですうちでは。

理由はいくつかありまして…
・買い物する時は「茨城産」という
 県単位で見てしまいます。
 なので ブログ主様のような微に入り細にわたる
 調査結果・分析などが「県」単位で取り組まれ、
 出るまでは 安心して茨城産が手にとれない

・そして自分は買い物をしませんで家内が買って
 いますが、うちの一番のテーマになっているのは
 「こどもに内部被爆させない」です。
 自分は多少はいいかなと思っています。
 妻も自分なら多少はいいかなと思いっています。

 だけど、子には東京の外部線量も曖昧な今
 本当に「限りなくゼロ」でないと、と思います。
 (放射性物質の降下量はすごく高いことは
  公的に発表されちゃいましたから)

 で、食材の買い物は家族単位ですることになると
 どうしても西日本産のものを買ってしまうのです

・そして事実として、放射性物質は尋常でない量が
 降ってしまった。文科省データですが、茨城の
 ひたちなかに(その次に多いのは東京でしたが)
 ものすごい量が降っている数字を見た今、
 「土壌の表土かえました、かわりました」という
 ことを聞かないと、茨城産食材を家族として
 購入しようと思えないところがどうしても
 正直あります


非常に非常に申し訳なく、都会生活者のワガママと
いうところばかりなのですが、ここではつくろった
言葉を伝えてもかえって申し訳ないと思いまして
こういうことを書かせて頂きました。

5月になってから、3月のあの事故時、
大量に東京も放射性物質が降って、吸った、そして
今も自分が歩き、子供が歩き、生活する街中に
残ったままという状況がある中で
「このままここに こどもを住まわせて良いのか。
 そして今どうのでなく、東京が除染活動を
 しない限り 来年もさ来年も、それどころか
 30年以上この線量があるのだから
 引っ越しがやむをえないのでは」まで
悩む中で日々を過ごしています。

そうなると、せめて 選ぶことが比較的出来る
食材は西日本のものを、と思ってしまうのです。
(全てはこどものため、です。
 自分は福島周辺の子をどうにか安全に、
 という活動の一環に関わっていて
 今週福島市にいったり…などもありますので)

色々書いたものの、じゃあどこに解決の糸口が
あるかは私自身見いだせないものであるのですが
ブログ主様が 本当に安全な食を届けたいと思われ
ている気持ちが 文面から伝わったからこそ
あえてコメントをさせていただきました・・・

投稿: 林田武郎 | 2011年6月 1日 (水) 01時24分

土壌放射線調査をすべきだと私も思います。県単位でなくもう少し細かく区切った上で情報を公開し、それにあった作物を栽培するべきだと思います。

セシウムに関しては現実的にカリウム含有量の高い野菜、果物に多くでているのですから、作付けするものを選ぶことはできると思います。

数値の高い土に関しては、取り除いて東電の責任でどこかにまとめるべきだと思います。

私は子持ち、東京在住ですが、先週から群馬、茨城、千葉の野菜も買っています。一把498円の京都産ほうれんそうを買い続けることが出来ない経済事情もありますが、農水省HPの数値の推移からみて、野菜に関しては危険性は低くなったと考えています。
これから心配なのは大豆(枝豆も含む)そして肉、卵、一番深刻なのは海草、そして魚であると思います。既に大惨事であり、すべてをゼロにすることは不可能です。野菜の数値は急激に下がるので(チェルノブイリのデータでもそうなっています)種類さえ選べば危険性は低いと考えます。

ただ、政界の混乱に伴って、データもどんどんしょぼくなっていくことだけが気がかりです。これで、自民党が返り咲けばきっとデータも出なくなり、東電も生き延びるでしょうね。

水道水も飲んでいます。データ上の単位から考えて、野菜と水だけにこだわる理由がわかりません。今、日本で生活する限り放射能ゼロはむりです。濱田さんのおっしゃるとおり農業従事者のほうがずっと多くのリスクを負っていますし、子供たちだって、外で、自然の中で遊ぶことは成長のために絶対に必要なことです。原子力発電所の事故とは、こういう当たり前なことさえ出来なくするものなんです。

今更ではありますが、あんなに多くの知識人がこの様な大惨事が起こる危険性に警告を発していたのに、原子力発電を推進し続けた東電幹部と経済産業省は、絶対に許せません。

投稿: mimi | 2011年6月 1日 (水) 12時25分

昨日投稿した者です。
(正直 買えないという内容です)

mimiさんのカキコミ参考になります。

「野菜の数値は急激に下がるので(チェルノブイリのデータでもそうなっています)種類さえ選べば危険性は低いと考えます。」

ということを自分恥ずかしながら知りませんでした。
こういう情報を「なぜなのか、どうしてなのか」と
実際の数値と照らし合わせながらJAなどや
他第三者が言ってくれると、安心が戻ってきます。

やはり情報公開が 風評(?)被害を解決する
根本にあるのですね…


投稿: 林田武郎 | 2011年6月 1日 (水) 13時48分

こんばんは。
貴重な情報ありがとうございます。

私は放射線量が低くなってからはあまり気にせず買い物をしています。 大人だけなら全く気にしないのですが、幼い子供がいるので気にしないわけにもいかず悩ましいです。 やはり調査不足・情報不足に尽きると思います。暫定基準値が高いのも買い控えに繋がっていると感じています。

被災者である一個人の濱田さんではなく、なぜ政府が率先して調査、情報開示、情報提供をしないのか・・何を言っても無駄な気がする内閣なので何とも・・・。

2006年の農業環境技術報告というものを見つけました。 今回調査されていないストロンチウムも1954年から2001年まで調査されていたんですね・・。 白米の調査は日本食品分析センターで毎年実施されているよう?ですね?

専門的過ぎるので私に理解できる部分が少ないのですが(汗)、これを見ると40代後半から60代の人が一番内部被爆していたんじゃないかと思います。 間違っていたらすみません^^;

わが国の米、小麦、土壌におけるストロンチウム90とセシウム137濃度の長期モニタリングと変動解析
http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/pdf/JASI/72-4549.pdf

土壌調査ですが、検出された放射性物質がグローバルフォールアウト由来なのか今回の福島由来なのか区別ってできるのでしょうか? できるようなことをどこかで見かけましたが、ごちゃごちゃにならないか心配です。 

上記の調査をされた専門家のみなさんでチームを組んでやっていただけたら間違いが無くて良さそうです。

投稿: 文義 | 2011年6月 2日 (木) 01時31分

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