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足柄の新茶からセシウム検出される       

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ご存じのように神奈川県産のお茶からセシウムが検出されました。

数値は以下です。
・南足柄市・・・570ベクレル/㎏ (暫定規制値500ベクレル/㎏)
・小田原市・・・780
・愛川市・・・・670
・清川村・・・・740
・真鶴町・・・・530
・湯河原市・・・680

また同時期に茨城県産でも検出されました。
・境町・・・894
・大子町・・570

まず、今回の不条理な放射性物質検出による被害を被られた農家の方々に激励を送りたいと思います。頑張ってください!あなたがたにはいかなる非もないのです。

まっとうな農業をやっていて、これから薫り高い新茶の出荷という時期に、それを廃棄のために刈っていく作業を見ると、なんとも癒えない哀しみが突き上げてきます。

私たちの茨城県は3月から4月にかけて大きな風評被害に見舞われました。私の村の農産物は、壊滅的打撃を受けました。

いまだ一部には風評被害が続いており、福島第1原発事故が冷温停止し、一切の放射性物質の放出を止めない限り続くことでしょう。

私たち農家は、このような仕業をした東電と政府の責任を徹底的に追求しつづけことでしか、この怒りを晴らすことはできません。

さて、今回の神奈川のセシウム検出が驚きをもって迎えられたのは、その距離の遠さにありました。実に直線で300㌔あります!

福島第1原発は4回にわたって爆発しています。
・1回目/3月12日・・・1号機

・2回目/3月14日・・・3号機

・3回目/3月15日・・・2号機

・4回目/3月15日・・・4号機  

この爆発により放射性セシウム、放射性ヨウ素が大量に空中に飛散し、放射能雲となって拡散していき、雨などにより地上に落下し農産物や土壌を汚染していくことになります。

原発の風下に当たった茨城県では、3月18日のホウレンソウなどから放射性物質が検出されたのを初めとして、また22日には千葉県旭市シュンギクなどからも検出され続けていくことになります。

東京金町浄水場で検出されたのが3月22日です。

私も福島、茨城、千葉の3件で被害はおさまるものと思っていました。ところがそうではなかったことが一昨日の神奈川の新茶からの検出で明らかになったわけです。

おそらくは揮発性放射性物質であるセシウム、ヨウ素は、当時の東から西への風に乗り、東京湾を直線に横切って神奈川まで到達したと思われます。

この放射能雲は、関東平野西部で最も高い足柄山系、丹沢山系、箱根山系の1000m級の山々に遮られてここで停止しました。

そして3月21日の、震災後初めて神奈川全域に降った雨によって、埃などを核として放射性物質は地上の農産物に降下したのです。当日の雨はかなり強いもので、箱根で104ミリ観測されています。

ちなみに箱根と足柄は指呼の距離であり、お茶畑は寒暖の差がある緩斜面を好みます。

またお茶の新芽は3月中に芽吹き、一気に新芽を伸ばしていきます。これが5月の新茶となって私たちを楽しませてくれるはずだったのですが、この新芽の成長期に放射性物質を含んだ雨を浴びてしまったことになります。

放射性物質でもヨウ素が出なかったのは、8日間と半減期が短いためにすぐに排出されてしまったためです。

セシウムは下位の葉から吸収されて、新芽に成長と共に移転したようです。セシウムは放射性物質が根に降った場合と、葉に降った場合では吸収のされ方に差がでると言われています。

セシウムは地下5㎝程度の浅い部分で滞留しますが(時間をかけて沈下します)、根の導管から同族元素のカリウムと違って吸収されにくく、むしろ葉のほうが容易に吸収されるようです。

いったん葉の細胞から師管に入ったセシウムは、同族元素のカリウムのトランスポーター(輸送蛋白)を使って新芽生長点に移行したのかもしれません。

わが国では、放射性物質がどのように飛散していくのかが実証研究されておらず、植物がどのようなメカニズムで吸い込むのか、またどのようにして排出されていくのかまったくわかっていないのが実情です。

今回のことを補償問題のみに限定せずに、放射性物質と植物の生理、あるいはほんとうに「正しく怖がる」ための知識を身につけていかねばなりません。

足柄地域が、新たな風評被害の渦に巻き込まれないことを祈っております。

■写真 わが家の新茶。今朝撮影。

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コメント

今回の茶葉に関しては、不謹慎な言い方かもしれませんが、農水と厚労省のせめぎ合いが面白いですね。
実際、茶葉をそのまま生で食べる事は、あまりないですから(天ぷらとかはあり?)、農水が主張する、飲用の際のセシウム値が基準値以内なら問題ないと言うのは正論のような気がしますが・・・
今のところ、政府は国としての茶葉の基準値を示さない方針みたいですね。
結局、自主判断(県とかの)で、出荷規制がかけられて、農家は泣くしかないのですね。
いずれにしても、今回の安全基準がいかに付け焼刃的で、場当たり的かが示された良い例ではないでしょうか?
ただ、一度放射能に汚染された茶葉とレッテルが貼られるだけで、ただそれだけで、いわれない風評被害は凄まじいものになりそうで、その点が残念です。

投稿: 一宮崎人 | 2011年5月18日 (水) 12時47分

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