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2011年5月 7日 (土)

浜岡原発の停止要請     政局ではなく,もっと大きな議論をしよう

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本来ならば素直によろこぶべきニュースです。菅首相は、浜岡原発の今稼働している定期点検中の3号機に加えて、稼働中の4、5号機も含むすべての運転停止を中部電力に要請しました。

私はこの決定自体は支持します。妥当な判断であると思います。よく知られているように、この浜岡原発は日本で5本の指に入る危険な原発です。

東海、東南海などの巨大地震をまともに受ける地域にあり、近年は産業総合研究所活断層研究センターの調査で直下、直近に活断層があることがわかっています。

それに対して、中部電力が想定している地震の規模マグネチュード8、津波の高さは8メートルです。

三陸地方と地形が必ずしも同じではないのですが(リアス式海岸は津波が増幅されます)、この大震災で東海第2原発が想定していた5.7mの津波にたいして僅か40数㎝まで波がきていた事実を考えると、その備えは非常に危ういものを感じす。 

ちなみに、今回の大震災での津波の高さは、宮古7.3m、釜石9.3m、大船渡11.8m、石巻7.7m、相馬8.9m、銚子2.4mでした。ちなみに、福島第一原発を襲った津波は15m以上で、防波堤は5.6mでした。

また浜岡原発は、今まで原子炉水漏事故、制御棒落下、破断事故などを起こしており、浜岡原発訴訟が起きています。

提訴内容は、まさに今回の大震災による福島第1原発を予知したような内容であり、あらたに目を通すとその正確さに慄然とします。

もし仮に大震災が東海沖で起きたとすれば、直後の大津波と活断層の動きによって福島第1原発事故と同規模、あるいはそれ以上の重大事故になる可能性があります。

その場合、茨城県東海第2原発で起きた場合と同様に首都東京をも被爆圏内に納めます。

一方、中部電力も指をくわえていたわけではなく、05年から3、4、5号機の耐震補強工事を始めており、既に08年に終了しています。また、津波に関しては海側に高さ10~15mの砂丘があり、12mに防波堤の建設準備を始めています。13年に完成予定です。

原子力保安院は6日に、これらの補強工事が終了するまでにはあと2年かかるとの見通しを立てており、首相の中部電力への要請はこれを踏まえたものです。

例によって、この首相の決断には、原発事故対応の失敗を思いつき的パーフォーマンスで乗り切ろうとする政局大事の意図が見え見えなことはシラけさせられます。

今後残る伊方、柏崎刈羽、東海、大飯などの危険性が指摘され続けている原発の安全性の見直しや、原子力政策そのものをどう考えていくのかまで踏み込んだ国民全体の議論が必要です。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

Photo_5                     撮影 時事通信   

浜岡原発:全面停止へ 東海地震備え、安全対策完成まで

菅直人首相は6日夜、首相官邸で緊急記者会見し、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)について、現在定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機を含むすべての原子炉の運転停止を中部電に要請したことを明らかにした。浜岡原発は東海地震の想定震源域に立地しており、地震により重大事故が発生する可能性がある。首相は「国民の安全と安心を考えた。浜岡原発で重大な事故が発生した場合に、日本社会全体に及ぶ甚大な影響を考慮した」と述べ、東京電力福島第1原発事故を受け、大地震に伴う重大事故発生を防ぐため停止要請したとの考えを示した。

 首相会見に先立ち、海江田万里経済産業相は同日、中部電の水野明久社長に原子炉の停止を要請。水野社長は「迅速に検討する」とのコメントを発表し、事実上、要請を受け入れる考えを示唆した。浜岡原発は08年度に1、2号機の廃炉が決まっているため、今回の菅首相の要請により、同原発は全面停止されることになる。

 首相は会見で、運転停止要請の具体的な理由について、文部科学省の地震調査研究推進本部が「30年以内にマグニチュード8程度の東海地震が発生する可能性は87%」と分析していることを紹介。「東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など中長期の対策を確実に実施することが必要だ。完成までの間、すべての原子炉の運転を停止すべきだと考えた」と説明した。

 東日本大震災の発生を受け、政府は全国の54基の原発の海側に、高さ15メートルの防潮堤を設置する工事に着手したが、完成は13年度末の予定。このほか、被災した場合の予備品の確保なども必要になることから、経産省原子力安全・保安院は6日、対策完了までにはおおむね2年程度かかるとの見通しを示した。浜岡原発は少なくとも、対策完了までは運転を停止するとみられる。

 ただ、今回の首相の停止要請に法的根拠はなく、首相は「指示、命令という形は現在の法律制度では決まっていない」と述べた。保安院によると、原発を規制する法律には原子炉等規制法や電気事業法があるが、浜岡原発はこれらの法律に違反しているわけではないため、今回の要請は「あくまで自主的な対応を求めたもの」(保安院幹部)となる。中部電が要請に応じなかった場合の対応を問われた首相は「十分理解をいただけるよう説得したい」と述べるにとどめた。

 中部電は4、5号機の具体的な停止時期について「検討中」としているが、電力需要が高まる7月以前の停止となれば、夏には管内の電力需給が逼迫(ひっぱく)する恐れもある。首相は「電力需給バランスに大きな支障が生じないよう、政府としても最大限の対策を講じる」と述べ、理解を求めた。【田中成之、丸山進】

 ◇完了へ、おおむね2年

 東日本大震災の発生を受け、政府は全国の原発に緊急安全対策を要請。中部電力は浜岡原発の海側に、高さ15メートルの防潮堤を設置する工事に着手したが、完成は13年度末になる見込み。このほか、被災した場合の予備品の確保なども必要になることから、経済産業省原子力安全・保安院は、対策完了までおおむね2年程度かかるとの見通しを示した。浜岡原発は少なくとも、対策が完了するまで運転を停止するとみられる。

 ◇浜岡原発

 中部電力(本店・名古屋市)が静岡県御前崎市(旧浜岡町)に建設した、同社唯一の原発。5基の原子炉からなる。5基とも福島第1原発と同じ「沸騰水型」(5号機は改良型)。1号機は76年3月、2号機は78年11月に運転を開始したが、多額の耐震補強費が必要になったことから08年に廃炉を決め、09年1月末に運転を停止、廃炉手続きを進めている。3号機は東日本大震災の発生時、定期検査で停止していたが、中電は7月に運転再開する意向を示していた。4、5号機は運転中。

浜岡原発:全面停止へ 「唐突」「英断」…戸惑う地元

中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の原子炉を全て停止するよう菅直人首相が6日、中部電力に要請したことについて、地元住民や自治体、関係者の間には戸惑いと歓迎が交錯した。「唐突で人気取り」「交付金に依存する自治体財政はどうなる」と疑問視する向きがある一方、静岡県の川勝平太知事は「英断に敬意を表する」と評価、危険性を訴えてきた市民団体などからも「当然の判断だ」とする声が上がった。

 ◇静岡・御前崎

 浜岡原発を市内に抱える静岡県御前崎市の建設業、植田政志さん(55)は友人から原発停止要請のニュースを聞いた。「あまりにも唐突で戸惑った。(菅首相が)人気取りのためにやったのではないか」と感じたという。「福島第1原発の事故で安全神話が崩れたということなのだろうが、止めるというなら地元にきちんと説明をすべきではないか。これまで原発と共存共栄でやってきたので、税収ダウンなどの影響が心配だ」と話した。

 原発から約1キロ離れた国道沿いのコンビニに親子3人で買い物に来ていた水道業の男性(31)は「私の仕事は原発とは関係ないが、関連した職場で働く友人がたくさんいる。不安はあるが、ここで生まれ育ったから安全だと信じて受け入れてきた。今は地元の雇用がどうなるのかが一番気になる」と語った。

 石原茂雄・御前崎市長は「話が唐突過ぎて言葉が出ない。海江田万里経済産業相と5日に会って話したばかりだ。地元の意見をよく聞いて3号機の運転再開を判断すると言っていたのに4、5号機も止めるなんて」と戸惑う。「原発交付金に依存する自治体財政はどうなるのか、困惑を通り越してあっけに取られるばかり。菅首相は選挙目当てでこんな思い付きを言うのかと勘ぐってしまう。国策に従い原発を受け入れてきた自治体はどうなるのか。中部電力はどうするのか聞きたい」と怒りをあらわにした。

 一方、静岡県の川勝平太知事は「福島第1原発の事故を受け、安全性確保に対する地元の要望を最優先した英断に敬意を表する」と歓迎した。ただし、「国におかれては地元経済に対する影響についても適切に対応していただかねばならない」と注文も付けた。

 ◇「当然の判断」 原告・弁護団

 02年の浜岡原発データ隠しの翌年に原発運転差し止めを求める訴訟を起こした「浜岡原発とめよう裁判」原告代表の白鳥良香さん(78)は「我々の感覚では当然の判断だが政治的には英断。福島第1原発事故で原爆被害国だった日本が加害国になりつつあった。データ隠し発覚の際にも全号機を停止しており電力需要にも大きな問題はない」と話した。

 差し止め訴訟の原告弁護団長、河合弘之弁護士(67)は「歴史的な大英断だ」と評価した。「福島原発事故が発生して、対応しきれない恐怖を味わったことが決断につながったのではないか。福島を制圧できていない今、仮に浜岡原発でも事故が発生したら、東京は挟み撃ちになる。その恐ろしさを想定したのではないか」と分析した。

 「菅首相は会見で、中長期的に対策が立てられるまでの間の停止と話していたが、その点はばかげている。どんな状況でも浜岡を廃炉にしなければいけない」と強調した。

 原告団は福島第1原発の事故を受け、5月下旬に浜岡原発の運転停止を求める仮処分を静岡地裁に申し立てる予定だった。河合弁護士は「私たちが裁判を通じて訴え続けてきたことが社会に伝わって政府の決断につながった」と胸を張った。

 ◇「電力事情、厳しく」 中部電力

 名古屋市東区の中部電力本店には6日夜、大勢の報道陣が詰めかけた。広報担当者は「浜岡原発が停止すると、厳しい電力事情になるのは間違いない」と厳しい表情で話した。

 同社広報によると、6日午後6時半ごろ、海江田万里経済産業相が水野明久社長に電話し、停止要請について「運転中の浜岡原発4、5号機も東海地震の震源域にあり、地震が発生する可能性が高い。防潮堤が完成するまでは停止するようにお願いしたい」と説明したという。防潮堤完成は13年度末ごろで、約2年かかる見通しだ。

 この電話の後、原子力安全・保安院の担当者が保安院に同社の岡部一彦東京支社長を呼び出し、停止要請について詳細に書いた要請書を手渡したという。

 ◇廃炉強く求める 市民団体

 浜岡原発停止を求めて約15年間活動を続けてきた市民団体「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の運営委員で、運転差し止め訴訟原告団の一人でもある長野栄一さん(90)は「菅首相はよく言ってくれた。止まるのはありがたい」と喜んだ。今後については「日本国内のすべての原発が停止するよう活動したい。国が脱原発へと政策転換してくれたら」と話した。

 同ネットワーク事務局長の鈴木卓馬さん(71)も「菅首相を素直に評価したい。ただ、東海地震がどれほどの規模になるか想像できないのに、完全な防災対策をとることは不可能。私たちは廃炉にするよう強く求めていきたい」と話した。

 ◇基本姿勢示されず 原発立地自治体、驚きと批判

 菅首相の浜岡原発停止要請に対し、全国で最も多い14基の原発が立地する福井県の西川一誠知事は「全国の原発についての基本的姿勢を示さないまま部分的に対応していることは、到底、県民、国民の理解を得られるものではない」と批判するコメントを出した。

 関西電力大飯原発の地元、同県おおい町の時岡忍町長は「東海地震の可能性をおもんぱかっての判断だろう」と理解を示す。

 一方で「不足するエネルギー問題にどう対処するのか心配だ。国の政策全体として今後、どう展開していくだろうかと驚きをもって受け止めている」と話した。

 四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)がある同県の山口道夫・原子力安全対策推進監は「全国の原発の安全対策について政府はおおむね良と判断していたはず。なぜ停止要請に至ったのか、正直分からず戸惑っている」。

 北海道電力泊原発(泊村)を抱える北海道の原子力安全対策課担当者は「泊原発に対しても運転停止要請があり得るのか、まずは国に確認したい」。牧野浩臣・泊村長は「道内の電力の約4割を供給する泊原発を止めるのは不可能だろう。(浜岡原発とは)事情が違うと思う」と語った。

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コメント

最もヤバい立地と言われる浜岡。
菅もまた政局で思い切ったことを言ったなぁと思いましたが、耐震性不足の1・2号炉をすでに廃炉したうえでのことですから、老朽化していた福島より危機感が強いことが伺えます。
今朝の設計に携わった方のインタビューでも、建設当時の地震想定は低かったので、今回は妥当な判断とのことでした。
沖縄意外の電力会社は70年代からこぞって原発を建設しましたが、中電の依存度は14%。無理して維持する必要もないでしょう。
むしろ他の(特に関電)原発依存度の高い所が心配です。

どうして彼らは、いつも大事なことを決めるのに、唐突なのでしょうか?
一般社会では、これ程重要な事項の決定には、関係各所との連絡と擦り合わせと調整を終えた後に、最終的に可能であると皆が納得して、実際に出来るとの見通しの上で発表するものでは無いでしょうか?
それが、中電社長も突然の話なので、今すぐには答えられない状態というのは、異常です。
しかも、要請ということは、強制力を持たないのですから、実際に実行されるまでは単なるパフォーマンスと取られても仕方がありません。
また、中電という一般企業に対して設備を停止させろと言う事は、発電していない発電所の維持管理費などの負担を強いるわけですが、それに対する補償などの話が進んでいるようにも見えません。
これはまるで、出荷制限をかけているにもかかわらず、補償の話が進んでいない農業と同じ匂いがします。
また、日本全国で「うちの原発も止めろ」という要求が高まった場合、どう対処するつもりなのかも見えません。
もしも福井が止まったら、海江田さんの「電力が足りないときは関電から」が通用するのでしょうか?
原発は、おいおい停止させたほうが良いのは分かりますが、パフォーマンスに終わらないことを祈るとともに、これまで民主党が繰り返してきた「全てが裏目にでる」でないことも祈ります。

浜岡は、3号機をどうするかのついでに出てきたような話なのでは?
今後の電力需要とか、日本としての云々は多分ないのでは?
前総理の鳩さんが、国際公約でCO2の25%削減なんどと国際公約し、電力も火力から原子力へと大きくシフトするのかと思った矢先の震災ですので、正直、だれもこれからどうしたら良いのか答えを持たないと言うのが、本当のところではないでしょうか?
ただ、電力会社も供給が不安と言いながらも、東電は揚水発電の電力とかを隠し玉で持っていたし、、蓄電システムにより、最大電力時に電力を賄う企業団体も増えているそうです。
こと、クリーンエネルギーについては、確か日本は先進国だったような気がするのですが?
今度の震災を契機に、それらがもっと推進されれば、雨降って地固まる的なことも可能なのではないでしょうか?
いつまでも、政府や電力供給会社の正義が、本当の正義である必要もないでしょう。

浜岡原発停止なら、中部電力の赤字避けられず
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110507-OYT1T00033.htm
つまり、揚水発電は本来、夜間に余っていた電力を利用して発電すべき、エコな発電方法であったハズが、東電は今回は火力を用いて水を持ち上げるという、非常に反エコな方法で発電しようとしていること。

夏の電力供給、関電「原発再開なら十分」…国、福井県の了解カギ
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20110428-OYO1T00293.htm
【浜岡原発停止】関電が中電に電力融通検討 政府の支援要請を受け
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110507/bsd1105070024000-n1.htm
また、決して他の発電所に余裕が有るわけではないこと。

細野補佐官「原子力政策ストップではない」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110507/trd11050711130014-n1.htm
細野はこう発言しているが、
http://twitter.com/#!/ikeda_kayoko

http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/57f1b98756adede6449d6eaa5ae07c6c?fm=rss
の様な連中が勢いづいていること。

これらのことから、どうもひと騒動有りそうな予感。

今回の件は政府が単に止めろと言っているようにしか思えません。
原子炉を停止をしても燃料を冷却し続けなければならないので、現在浜岡にある大量の使用済核燃料をどうするのかが一番気になっている点であります。
その辺の処理をきちんとしない限りは原子炉を停止させたとしても、放射能漏れを起こす事故のリスクは高いのではないでしょうか?

青空です。

浜岡原発に対する首相要請は中部電力に著しい混乱と、原発を所有する各県に大きい波紋を呼んでいるようです。拙ブログでも取り上げてみます。

手法と広報、入念な検証と、各業界(電力・大手メーカー・地元自治体・市民)への説得攻勢、法的な手配と野党含めた根回しを行って実行したのであればよかったのですが。
今後2~5年の電力事情を考えると、複雑な方程式を解くような問題に鉛筆ころがしで答えを出したという印象はぬぐえません。

必要な対策であったとは思っていますが、やり方については「無能」と評価しています。起こるであろう混乱により相当な3次被害を発生させると感じるのですが、考えすぎでしょうか。

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