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放射能被害を巡るさまざまな意見    身に降りかかった火の粉は払わねばならないが、決してパニックになってはいけない

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正直のところ、放射線の脅威について何が正しくて何が間違っているのか私にはよくわかりません。調べれば調べるほど分からなくなります。

このところその過激な言動で放射能風評の旗振り役となっている武田邦彦中部大学教授にしても、涙の記者会見をした内閣官房参与の小佐古敏荘東大大学院教授にしても、実はおふたりとも原子力専門家ではあっても放射性医学や放射性防護の専門家ではないのです。

福島第1原発事故が起きてからというもの、日替わり定食のように゜原子力専門家゜が登場しますが、人によって真逆なことを平気で言うので困ってしまいます。

専門家の意見が大きく違う場合、私たち一般国民はどうしても万が一を考えて放射能基準値を低く主張する専門家の意見に従ってしまいます。武田氏が今強い影響力をもっているのはそのせいです゜

また現在、私たち福島や茨城の農家がやろうとしている菜種やひまわりを使った除去もそのひとつといえます。除去作業は風評被害対策でもあります。

ただ、ひとつおさえておくべきことがあります。それは低位の放射線量も脅威だとを主張する人たちの判断の根拠にしているが、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準値だということです。

ところがこれもまた、放射性医学界では疑問視されている゛値なし線形仮説゜(LNT仮説)に基づいています。あくまでも仮設であって実証が完全にされているわけてはなさそうです。

値なし線形仮説については下の資料をご覧ください。

チェリノブイリで治療に携わった被曝治療の専門家のロバート・ゲイル博士が来日し、検証されていきました。そのインタビューの内容興味深いものです。

ゲイル博士は、゛現状の放射線量は心配のないレベルであり、そのことを説得力をもって国民に説明できる人間が政府内にいないことが問題だ゜といいます。
ダイヤモンド オンライン
http://diamond.jp/articles/-/11772

私たちは身に降りかかった火の粉は払わねばなりません。しかし、決してパニックになる必要はないし、落ち着いてさまざまな立場からの情報を集めてたじろがないことです。そして今できることをすることです。

今日は私自身への自戒を込めて書きました。

        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

しきい値無し直線仮説(Linear Non-Threshold : LNT仮説)とは?

放射線の被ばく線量と影響の間には、しきい値がなく直線的な関係が成り立つという考え方を「しきい値無し直線仮説」と呼びます。

確定的影響と確率的影響

放射線の人体への影響は、「確定的影響」と「確率的影響」の2つに分けけることができます。

このうち、確定的影響には主に高線量被ばく時に見られる障害で、脱毛を含む皮膚の障害や、骨髄障害あるいは白内障などが含まれ、それ以下では障害が起こらない線量、すなわちしきい値のあることが知られています。

一方、発がんを中心とする確率的影響ついては、1個の細胞に生じたDNAの傷が原因となってがんが起こりうるという非常に単純化された考えに基づいて、影響の発生確率は被ばく線量に比例するとされています。しかし、実際には、広島・長崎の原爆被爆者を対象とした膨大なデータをもってしても、100ミリシーベルト程度よりも低い線量では発がんリスクの有意な上昇は認められていません。これよりも低い線量域では、発がんリスクを疫学的に示すことができないということです。

Lnt_2

なぜ「仮説」なのか?

このように確たる情報に乏しい低線量の範囲について、放射線防護の立場からリスクを推定するために導入されたのがLNT仮説です。低線量放射線の影響についてはよくわからないが、影響があると考えておいた方が安全側だという考え方に基づいたもので、科学的に解明されたものではないことから「仮説」と呼ばれています。

LNT仮説の問題点

各種の線量限度等を勧告している国際放射線防護委員会(ICRP)でも、「この仮説は放射線管理の目的のためにのみ用いるべきであり、すでに起こったわずかな線量の被曝についてのリスクを評価するために用いるのは適切ではない」としています。

それにもかかわらず、微量の被ばくに対してLNT仮説を用いてリスクが評価される場合が後を絶たず(*1)、このような情報を受け取った一般の方々に誤解を与え、放射線に対する恐怖感、不安感を助長する結果になっています。

低線量放射線研究からわかってきたこと

これまでの当センターを含めた多くの低線量放射線研究から、LNT仮説では説明できない事例が数多く見つかっています(*2)。また、当センターを含めた国内外の研究成果をとりまとめた「線量・線量率マップ」(*3)からは、放射線は一度に被ばくした場合と、少量ずつ時間をかけて被ばくした場合とでは影響が異なることも明らかになっています。このことは、放射線作業従事者が少量の放射線を何度も被ばくするような場合には、LNT仮説から予想されるよりも実際のリスクはずっと小さくなることを示唆しています。

放射線安全研究センター
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/study/topics/lnt.html

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

しきい値無し右上がり直線グラフ。
正に私が学生時代に「放射能や化学物質は危険」との説明で習ったことです!

今はチェルノブイリはじめ様々な知見から疑問に思ってます。

第一、危険だといくら叫んでも地球上のどこに行ってもゼロにするのは不可能ですから。
ただし、少しでもリスクを低減する努力は常に必要なことだと思います。


新緑の写真いいですね。

投稿: 山形 | 2011年5月 5日 (木) 08時33分

武田先生は「ホンまでっか!?」で「さんま」と、からみながらのバラエティなら楽しめるのですが・・・
目に見えない敵との戦い(昨年の口蹄疫も同様ですが)には、自分の出来得る限りの防御なり、対策を行わなければなりません。
土穣が汚染されたなら土の交換が理想ですが、莫大な費用や汚染土の処理が難しいなら、皆様が仰る植物による除染が時間はかかっても現実的な対応になると思います。(その間の補償を東電が行うのが前提ですが)
後は、放射線を吸収した植物の処理と汚染土の上で作業する農業者の対応も必要です。
素人の私にはわかりませんが、放射線防御に効果のある防護服やマスクがあれば、東電や国が提供する事も必要になってくると思います。

《原発事故に関する一連の報道を見ていて感じる事》
原発事故後、福島県知事が東電や国に何かと注文を付けているが、県行政も国や東電と同罪である事の認識が知事に足りない。
地域おこし、経済活性化を謳い誘致し「あぶく銭」で県行政の財務を潤してきたのは事実であり、事故は想定外と言う東電や国と同じように県自体も想定していなかったのではないか?(東電や国が安全だ・・と言ったのを信じるしかなかった・・・等と言う逃げ口上は通じない)
これまで原発の設置市町村や近隣市町村に、どれだけのお金が流れていたかは分からないが、その市町村自体にも責任がある事は事実です。
東電は勿論、国・県・市町村の行政が一体となって、被災者(近隣県の風評被害者や土壌汚染被害者含めて)や避難者支援を行うのが筋であると感じています。
厳しいコメとは思いますが、リスクを伴う施設を誘致し、それなりの恩恵を受けるとするなら、結果責任も伴うと言う事だと思います。

投稿: 北海道 | 2011年5月 5日 (木) 11時18分

LNT仮説に関して、
▼まず、本当にリニアなのでしょうか。
▼線形だとして、その平均変化率は、上の模式図のとおりなのでしょうか。もっと、緩やかかもしれないし、もっと、急かもしれません。
▼閾値が存在するのかしないのかと言われれば、「存在しません。被曝線量が少なくなっても、それなりにガン発生リスクがあります。」と言っておいたほうが、専門家は責任を問われない。ただ、それだけのような気もします。
▼自然界には、空気の絶縁破壊と同じように、ある一定の条件が整わないと、挙動を示さない事象の方が多いと思います。linearより、non-linear、non-thresholdより、thresholdの方が自然界には多いと思います。適当なことを言ってはいけませんが、全くのあてずっぽうで言えば、記事内の模式図は、間違いで、磁気ヒステリシス曲線のようなものになるのではないのでしょうか。そして、曲線の直線に近い部分を直線と見なすことで、linearであると近似しているだけなのでは。
http://www.jst.go.jp/pr/report/report27/grf2.html

投稿: Cowboy@ebino | 2011年5月 5日 (木) 11時49分

Cowboyさんこんにちは。

えっと、私より詳しいことかと思いますが、一応私なりの理解を説明しますね。

その直線グラフはかなり「概念的」なもので、問題はゼロ点に近い部分です。
「自然毒や食中毒原因菌」などの場合は、横軸に暫くゼロに走って(ある程度の量が無ければ胃酸や免疫力で死滅する)から、そこからいきなり上のリニア直線ラインにジャンプ(よく破線で表示される)するというものです。
それに対して放射能や人工毒はゼロから真っ直ぐ右上がりに伸びる形で、ごく少量でもリスクを伴うという主張です。
図解すれば一目瞭然なのですが、めんどくさい文章ですいません。


本当にリニアなのか?
以下の意見には、私も大きな疑問を持っており、磁気ヒステリシス曲線みたいなものかも…には私も同意します。
しかし、縦軸を等比級数単位に変えてしまえば…表示は同じ効果になっちまいますです。

投稿: 山形 | 2011年5月 5日 (木) 12時52分

しきい値があるのかどうか、どうでもいい事だと思います。要するに、がんの発生が何の要因なのか分からないほどほんの僅かであるから、しきい値の有無が分からないという事実が、本当は私たちとって重要な事実のはずです。

北海道様の自治体へのコメント、もちろん責任は大きいと思います。しかし、前福島県知事の佐藤栄佐久氏は現実的な対応を取りながらも、原発の安全管理にかなり気を使っていたと思います。

彼のブログは一見の価値があると思います。
http://eisaku-sato.jp/blg/

飯舘村も原発からの直接の金銭的恩恵はなかったと聞いています。平成の大合併に抗しながら、村おこしに努力していました。飯舘牛ブランドもそのような努力から生み出されたようです。

投稿: 南の島 | 2011年5月 5日 (木) 13時35分

南の島様に教えていただいた、前福島知事のコメントも読んでみました。
国や東電の強要があったとしても、稼働許可を出すのは知事です。稼働を遅らせる事によって様々な圧力は有るでしょうが、本当に信念があるのなら、それこそ様々な手法(例えばマスコミでも)で対抗すればよいのであって、こうなる事は分っていた・・・と今言われても、県民も設置市町村長でも設置市町村民でも「なんのこっちゃ?」みたいなものです。
前知事がそれだけの危機感を持っていたのなら、現役時代にやれた事は有ったのではないか?と感じます。
各市町村に金銭が入っていたかどうかは個別にも分りませんが、福島県行政に支払われた金銭は、直接か間接、金額の高低は有るとしても、少なからず恩恵はあったと考えます。

被害に遭われた(避難者も含めて)人々をどうこう言っているのではなく、県や市町村行政にも一端の責任があるのではないか?一義的な責任の有る国や東電を責める言葉だけでなく、その責任も背負いながら一体となって復興に向かってほしいと願っている所です。

投稿: 北海道 | 2011年5月 5日 (木) 14時10分

北海道様のコメントに対して全く同感なのですが、様々な手法(例えばマスコミでも)で対抗して、原発の安全管理に疑問を抱いていた前知事を失脚に追い込んだのは、国と東電です。

私もマスコミに乗せられて、水谷建設から支援を受けた悪徳知事と思い込んでいました。

投稿: 南の島 | 2011年5月 5日 (木) 16時25分

今日は「子供の日」でした。
テレビを見ていると、子供と一緒に鯉のぼりを上げている映像や、餅つきをしている映像が流れていました。
両親を失った子供、父親か母親を失った子供等々様々です。改めて災害の悲惨さを想っています。
未来のある子供たちに希望を持たせられるような政策を期待したいです。

投稿: 北海道 | 2011年5月 5日 (木) 22時28分

放射線の防護を考えるとき、低レベル放射線に閾値があるかないかという神学論争的な問題より重要なことがあります。
国際防護委員会(ICRP)もIAEAも放射能リスクを低く見積もって、核の脅威を覆い隠しています。

肝心な問題はレントゲンのように外から浴びる放射線の危険は如何に低く見積もられようと逆であろうと、それは外部被曝に過ぎないことです。
最も危険なのは、吸引や摂食・飲水などで体に取り込む放射性微粒子の存在です。ICRPはこの内部被曝のリスクを殆ど無視をして、簡単な係数(実効線量係数)で管理しています。

実は体の中で非常に局所的なダメージを与えるホットパーティクルこそ真に恐ろしい放射線障害の元凶ですが、このリスクを隠しているのが、ICRP始めその指導に従う各種学会の「放射能被曝管理」です。
その内部被曝のリスクは局所のエネルギー換算で外部被曝の10万倍とも言われています(琉球大学矢ケ崎克馬先生)。
こういったリスクはアルファ線などの為、外からは計測できません。その結果予想と100倍以上違う放射線障害が発生していると放射線リスク欧州委員会(ECRR)は指摘し、ICRPの計算手法を根底的に否定しています。
矢ケ崎先生も、国内の原爆症等の各種調査の根拠論文を反科学として厳しく糾弾しています。
この点に目を向けない限り、失礼ながら重箱の隅の話になるかも知れないと考えます。
むろんICRPのリスク評価を被災地の乳幼児に当てはめる政府や、20ミリシーベルトという年間基準を妊産婦や授乳中の女性にいち早く「安全」として宣伝している「日本産科婦人科学会」は酷いものです。
更には政府の内閣官房の被災地ページで「チェルノブイリ原発事故との違い」をICRPモデルで解説する学者は、歴史的に大きな大きな誤りを生産していると思います。

投稿: 愛知 | 2011年5月 6日 (金) 10時24分

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