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« 原賠審の第2次指針が出ました | トップページ | 放射性セシウムQ&A 第3回  土壌から野菜への放射性物質の移行はほとんどありえない »

2011年6月 2日 (木)

IAEAのスットコドッコイの報告書

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IAEAがつまらない報告書を出しました。

津波に対する警戒が足りなかったとか、政府の避難措置はよかったとか、情報公開は適切であったとか、なんか日向に置き放しになった4日目のコーラのような内容です。

「津波により電源喪失し、冷却機能が奪われた。今後もっと多重化する必要がある」とのご託宣です。

そんなことIAEAにわざわざ言われなくても、私のようなドシロートでさえ分かります。問題は、では仮に非常用電源が生き残っていたとして、ECCS(緊急炉心冷却装置)がまともに作動していたらどうなっていたかです。

6基の福島第1原発はいずれも60年代から70年代に作られたポンコツです。いまや1号機などGE製というマニア好みのレアグッズです。福島の海辺に置いておくより、むしろ渋谷の電力館(←買い手募集中)に「おジィさんの古原発」として飾っておきたいほどです。

当初は30年といわれる原子炉寿命に合わせて廃炉になる予定でした。ところが原発の新規用地が見つからないために、2005年に一挙に2倍の60年間にまで延長されてしまいました。

あの福島第1原発の狭い敷地に、なぜ6基もの原発がひしめいているのかの理由も一緒です。世界広しといえどあんなに混み合った原発繁華街はありゃしませんって。

お隣の女川に2基、福島第2に2基、合わせて10基もの原発が数㎞の間隔で並んでいるのですから、壮観というか地獄のようなというか。

このような10基もの原発を密集させるという立地条件自体が、一回の天変地異で全部が同じ危機に陥る遠因となっています。そして事実そうなりました。このことに対してIAEAはなにも言っていません。

さて、もちろん1号機の老朽化に対して補修工事はなされてきています。耐震補強もされているようです。

しかし問題はかんじんの原子炉圧力容器が、長年にわたって高速中性子を浴び続けてきたために金属疲労を起こしているのではないかと思われるのです。これを「中性子脆化」と呼びます。

また原子炉というのは配管でできたクリスマスツリーのような存在ですから、無数の配管によってグルグル巻きになっています。

この配管は100気圧、300℃という高温高圧の熱水流に絶えずさらされているためにパイプの肉が削られている状態になっています。

なぜ原子炉の寿命を30年としたかというにはわけがあって、これらの健全性が太鼓判を押せるのは30年間くらいまでだからです。それを過ぎると最初は緩やかに、そしていったん金属疲労が限界を超えると急激に脆化が進むわけです。

ECCSは燃え盛る火に水をかける要領で、原子炉の上から一挙に冷水をかけて冷ます装置です。経年脆化が進んだ原子炉や配管網がそれに耐えられたかどうかです。

これは定期点検でテストしてみるわけにもいかないので、まさにぶっつけ本番だったはずです。

破断の可能性はフィフティ・フィフティでしょう。そして破断した場合は、水素爆発より深刻な水蒸気爆発が起きたはずです。

あるいは、津波以前に配管網の地震による破断が起きていたかもしれません

果たして津波による予備電源喪失だけが原因だったのかどうかは、後の事故調査委員会の調査を待たねばなりません。

しかし、福島第1原発のように疑いだすときりがないようなそもそも危ない原発が、そもそも津波の危険が予想される危ない地域に、そもそも世界一の密度で林立していたわけです。

「そもそも」の三乗ですな。こんな「そもそも原発」を認可してしまうような原子力安全・保安院に問題が大ありなのはあたりまえすぎるほどあたりまえです。

IAEAは原子力安全・保安院が経済産業省の外局だということを指摘しているようですが、そんなことはあたりまえです。米国NRCにしても日本のような独立性をそもそも疑われるような組織作りをしていません。

政府もさすが言われなくてもわかっているようで、遠からず切り離されるでしょう。あたりまえだつうの。

むしろ問題は、原発の危機管理においての責任の所在、指揮系統、専門家チームの位置づけが混乱しまくっており、自称「原子力通」の首相が現場指揮にまでくちばしを突っ込んで混乱させたことです。

首相はほう酸を注水に入れることすら「だれがこんなことを命じた!」と喚いたというのですから、あんた寝ていたほうが国のためだよ。

原発のような高度の専門性と緊急性を要する危機管理体制において、権力者が権力をかさに着て容喙する、これほど危険なことはありません。

口蹄疫においても、政府対策本部と県対策本部部の指揮系統の二重性が危機管理の妨げになりました。私は口蹄疫のような初動制圧が重要な伝染病は、国が一元化して指揮権を持ち、独立性をもった専門家グループが判断し、指揮するべきだと思っています。

ところが今回の原発事故ときたら、口蹄疫とは比較にならない国家非常事態にもかかわらず、どこが頭で尻尾やら。

政府対策本部があり、東電対策本部があり、それらが互いに足をひっぱり、情報を隠蔽し、怒鳴り、喚き、ののしり合うとまったく体をなしていません。統合対策本部とやらができても、相変わらずですから、一から整理し直したほうがいいのではないでしょうか。

これも菅直人氏という稀なるキャラの持ち主が居すわる限り無理でしょうが。今日の午後に不信任がどうぞ可決しますように。誰でもいいが、あの御仁だけはもうこりごりだ。

それはさておいて、IAEAは80日もたっての計画的避難区域の住民の避難を「非避難措置が適切だった」と書いているそうで、いったい避難民と面談したのでしょうか。これも書くと長くなるので今日はこれで置きます。

ま、考えてみればIAEAとは隠れもしない原子力推進の世界の総本山ですから、ああでも言うしかなかったのでしょうかね。

■ 写真 霞ヶ浦の夕べ。遠くに筑波山が見えます。震災の後は国破れて山河ありと感じるから参った。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

IAEA 問題点の詳細分析へ

NHK 6月1日 19時27分

IAEA調査団の報告の概要は、およそ1週間にわたる調査で得られた事実関係を整理し、事故対応や津波に対する備えなど、一部について問題点などを指摘しています。しかし、詳細な分析はこれからで、今後、事故が起きた原因の背景にどのように迫り、教訓を導き出すのか、IAEAの真価が問われることになります。

報告の概要はA4判4枚にまとめられ、まず、福島第一原発の事故を巨大地震に伴う津波が原因だったとしました。

そのうえで事故の背景として、津波の想定を過小評価していたと指摘し、原発の設計や運転をする際には、すべての自然災害の危険性を正しく評価し、対策を取るべきで、新たな知見が得られた場合は、評価を更新すべきだとしています。

また、今回の津波では、冷却機能を維持するために重要な非常用発電機が水没して使えなくなっていたことなどから、報告では、電源を多重化したり発電機が水没したりしないよう対策を取るなど、重大な事故に対して複数の手段を事前に用意しておくべきだと指摘しています。

さらに今回の事故で政府の中心として対応に当たっている経済産業省の原子力安全・保安院については、IAEAの安全基準に基づいて独立性を担保し、その役割が明確にされるべきだと指摘しました。

この独立性については、IAEAが2007年に日本の原子力安全規制についてレビューした際の報告書でも指摘されていて、将来的に今よりもはっきりと独立性を持つべきで、原子力安全委員会との役割も明確にすべきだとしていました。

ただ、今回の事故対応で独立性に問題があったかどうかは触れられていません。これについて調査団のウェイトマン団長は、報告を提出したあと、記者団の質問に答え、「IAEAの安全基準では、規制当局に独立性を求めている。単に明確化するだけでなく、体制・人・専門性でも独立性が必要になる。この原則に従って日本はさらに検討することが必要で、閣僚級会合でも取り上げられるテーマの1つとなると思う」と述べました。

こうした問題点の指摘の一方で、現場での事故対応については、過酷な環境の中で、作業員たちが最大限の安全を確保しながら作業に当たっているとしたほか、住民の避難を含めた日本政府の国民を守るための対応はよく組織されているなどとして高く評価しています。

IAEAでは、今回の事故の報告書を世界の原子力安全の教訓にしたい考えで、20日にウィーンで開かれるIAEAの閣僚級会合での発表に向けて、今回の調査結果を詳細に分析するとしています。今後、事故が起きた原因の背景にどのように迫り、教訓を導き出すのか、IAEAの真価が問われることになります。

 

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コメント

IAEAの「安全・保安院」の独立性は分かっていても、外からの指摘が無いと改革出来ない日本独特の物では無いでしょうか?東大卒のメンバーでまとまっている組織ですから、何も無ければ絶対に実現できない事だと思います。

腫れものに触るような言い方ではなく、もっと厳しい指摘があった方が、少しは「薬」になったかも知れませんね。

本日午後の「衆議院本会議」では、どの様な結果になるか注目ですが、管おろしが成功したとして、誰が宰相になると、復旧・復興・賠償・支援も進むのでしょうか?

mimiです。震災後の記事は信用できないのでその前に出された記事や本を図書館で借りて読んでいます。
もし、菅さんがおろされて、自民党政権が復活したら、東電解体は無理だと思います。日本もおしまいです。
電力会社の社長は、かつて「日本のエネルギー政策や公益事業は我々が立案し通産省の名で発表してきた」と言っています。自民党は電力会社と密接につながっているので、絶対に原子力をあきらめません。「原子力委員会」は、最初から原子力推進のために作られているんです。
チェルノブイリ以降、20基も原発を新設した国は日本だけですよ。
私は、菅さんが首相であったのは、この大惨事の中では不幸中の幸いだったと思っています。もちろん問題はたくさんあるけれど、そもそも、こういう惨事を「ありえない」と言い切り、対策を取らせなかった方に問題があると思います。つまり、誰が首相でも、対策を取れないようになっていたんです。「ありえないものに対策は必要ない、原子力はエコでクリーンなんだから」と言っていた勝俣会長の方に問題があると思いませんか。
菅さんは電力会社を無力化しようとしています。独占でなくなれば、原子力推進は出来なくなります(高いし危険だし、いいこと何もない)自民党は利権があるのでそれを許すことは出来ないんです。
今までずっと政治に興味がなかったけど、今後は絶対自民党だけには投票しません。

mimi さま。
このブログは政治ブログではないので、私が政治的なことを語るのは珍しいのですが、私は今の菅直人氏という人物をまったく信用していません。

というか菅氏という人物は、震災復興、原発事故対応で手ひどい失敗をし続けており、彼に任せることはもはや危険水域に突入していると思っております。

だからといって自民党を支持しているわけでもありません。たぶん政治というのはそのような白か黒かの2色しかないものではないと思います。

原発政策はおっしゃるように自民党が営々と作り上げたものであり、自民党の大罪とでもいうべきものです。

では翻って民主党はどうか。野党時代は反原発でした。しかし、政権を取るやいなや、鳩山内閣の時に原発の大量増設方針を出したのは民主党です。

そのときに副総理だった菅氏はなんのリアクションもしていません。彼が信念を持った脱原発をめざす政治家なら、この時に議論の先頭に立てる立場だったはずです。

このような大事故の後ならなんでも言えます。結果が明々白々だからです。

私は菅首相は無思想、無理念、無節操な人間だと思っています。もし彼が理念を持っているステーツマンならば、その理念を具現化するべき具体論を有しているはずです。

しかし、浜岡にしかり、太陽光発電発言にしかり、一切の具体論なき絵に描いた餅にすぎません。政治というのは理念の具体化ではないのでしょうか。

浜岡を止めたことは私も支持していますが、あれは一切の法的裏付けを欠いたいわば権力者の「お願い」という無責任な意思表明でした。

もししっかりとした脱原発の道を切り開きたいのならば、しっかりとした法的根拠を作って、ということは国会審議にかけてということですが、全国の原発の総点検をするべき法案を作ってからすべきでした。それが為政者としての筋ではないでしょうか。

もし菅氏が一国のエネルギー政策の大転換という大きな国の根本に関わることをする意思を持っているならば、一時の波に乗った思いつきはかえって解決を遠のかせることを知るべきです。

普天間移設問題が結局、回り回って普天間基地の固定化に逆戻りしてしまい、残ったものは混乱だけであったように、思いつきだけでは何も変わりません。

私はエネルギー政策や震災復興、TPP問題などを軸にして、徹底した討論がなされて、自民党、民主党の枠組みを超えた再編がなされることを期待しています。

そのためには菅直人氏は退場すべきです。

濱田様
お返事ありがとうございました。おっしゃっていること、よくわかります。私も民主党支持ではなく、沖縄問題にしても原発にしても「こてこて自民党」よりは民主党のほうがちょっとまし、ぐらいに捉えています。基地移転問題もそうです。沖縄タイムズの記事によれば、米国は「民主党はアメリカの言うことを聞かないので排除すべし」という暗号文があったそうです。(5月はじめの記事ー日付は忘れました)民主党も自力では政策実現が出来ないので、自民党におもねる必要もあったのだと思います。でも、やってはならないことですよね。

どちらにしても、日本の農業を応援しています。農水省にも濱田さん位の頭のレベルの人がいることを祈ってやみません。

震災、原発問題で菅総理が色々と批判を受けていますが何が原因で起きているのかを考えなければならないと思います。その中で危機管理が一番問題があると思います。災害への対策、訓練が十分に出来ていなかったと思います。問題が起きてからどうするか考えるから、後手後手になるであって、問題が起きる前にどうするか決めておけば問題が起きても速やかに対応する事ができると思います。

備えあれば憂いなし

備えあれば憂いなし・・・ですが、事故や天災が偶然か必然か・・・どこまで備えればよいか・・中々難しいですね。

起きてしまったら、後はどのように収束や復旧・復興させるかに全エネルギーを使うべきです。
政争や政局によって無駄にエネルギーを使ったりしていては、一歩も前へ進めません。
①仮設住宅が全戸完成
②いわゆる「がれき」の撤去も全て終了
③ライフラインも全て復旧
④原発も冷却装置が順調に稼働
⑤被災者の当面の収入確保のめどが立った
⑥原発周辺の「汚染除去」のめどが立った
⑦当然農業も可能となった
⑧風評含めて賠償のめどが立った
⑨①~⑧までを行う為の法整備が出来た
⑩①~⑧までを行うに必要な財源の見通しがたった
⑪短期・中長期の国内エネルギー確保のめどがたった

とりあえず、このくらいの事の目処が立ち、動き出すまでは無駄なエネルギーは使って欲しくは無いし、時間も無いと思います。

不信任案は否決されましたが、今度は「目処が立つ」のはいつごろか?で、もめるのでしょうね?
元代表の議会欠席・・・ま、一般平民の私には理解できない事です。
誰が総理でも何でもよいから、被災地(者)や原発事故による避難者(被災者)、その地で農業や漁業をしている(していた)人が普通の生活に戻れるように一刻も早くして欲しいと願っています。

mimiです。
しつこくてすみません。私が菅総理を不幸中の幸いと言ったのは次の2点のためです。
1.震災後、すぐに福島原発に行った(危険と言うことがわかっていたので、出来ることはやろうと思っていた)東電にたてつく、と言う危険なことをやったのは菅総理が初めてではないでしょうか?

2.正しいデータを出させた。
震災後すぐ、ご存知のようにアメリカとフランスが大使館勧告ですぐ退去しました。ヨーロッパのほとんどの国がそれに続きました。なぜなら、彼らは決して本当のデータを出さないので、日本も嘘のデータを出したと思ったのです。ウィンズケール(英国)再処理工場の問題で、データが公開されたのは30年後です。チェルノブイリでも、住民を避難させ始めたのは北欧からの異常値観測後です。経営側は、自分たちだけすぐ逃げて、住民には何の連絡もしませんでした。

菅総理や枝野さんが、「大丈夫だ」と言ったのは事実ですが、出させたデータ自体は東電からのもの以外は正しいものでした。これは、各大使館の独自確認でも、確認されていることです。正しいデータを出させたことは、評価できると考えています。
水道水をはじめ、牛乳、野菜のデータが出て、それをマスコミが煽り立てたことが風評被害の元であり農業に大打撃を与えたのは事実です。もし、自民党政権なら出さなかったでしょうから、茨城の野菜はそのまま売れていたかもしれません。しかし、果たして、それが本当に日本のためになったでしょうか?
水口憲哉さんが、海の汚染のため20年以上原発に反対していますが、今まで一度も、東電側から廃水のデータが出たことはありません。今回も、菅総理が正しいデータを出させなかったら、東電が事故を認めることはなかったと思います。
この2点で私は菅総理を評価しています。
でも、もちろん濱田さんにもそう思って欲しい、と言うことではないです。
しつこくて、ごめんなさい。

濱田様、私が菅総理の弁護をしたいわけではないことは判ってくださいね。ただ、この混乱に乗じて菅総理をスケープゴートにして、東電を守る様なら日本はおしまいだ、と思っているだけです。

横から失礼します。
東電のデータはある程度出させたかもしれませんが、SPEEDY予測と米軍の観測でのデータの整合性を知りながら直後に「俺は原発通だから」と乗り込んで、現場を混乱させただけです。
そして水素爆発。

枝野は20キロ同心円圏内を変える必要は無いと言い続け、浪江の奥側や飯館村は後になってあわてて「計画的避難地域」を設定して、大混乱に陥れました。

これが、「マシな政権」のやることではないでしょう。

少なくてもチェルノブイリの教訓を生かしてはいません。
自民政権ならどうやったかにも興味はありますが…。

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