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ちゃんとした「原子力教育」をつくろう!  放射能の恐怖から逃れるためには、「放射能を知る」ことしかない

         

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このところ若い頃にちゃんとした「原子力教育」を受けておけばよかったと思うことしきりです。

な~んて言うと、おいあんたいつから推進派になったんだと言われそうですが、それは今の「原子力教育」が推進一辺倒に傾きすぎているからです。

たとえば「チャレンジ!原子力ワールド」なんて副読本があります。http://www.atomin.go.jp/supplement/other.html

もう題名からして福島第1の冷温停止にチャレンジしてくれよ、と突っ込みをいれたくなるタイトルですが、内容的には「素晴らしいアトミック・ワールドへようこそ」といった内容で、原発安全神話のテーマパークのようなものです。

これをそのままフクシマ事故後に教えられる教師がいたらそうとうな強心臓。終戦直後の教科書のように墨で塗りつぶして使うんでしょうか。

こんな原子力推進教育に文部省は大枚36億3千万も予算を使っています。
(資料1 
文部科学省における 「国民・地域社会との共生」について参照)

実に36億3千万円。福島県だけの放射線汚染マップ作り予算がわずか7億でしたけね。茨城や千葉など確実に被曝している県にはビタ一文でませんでした。゛

農業者が今自分たちの健康に怯え、雨にもあたれない、出荷しても売れないといった状況の解決策の第一歩である放射能汚染マップ作りは緊急の課題なはずですが、例によってこの調子です。2次補正でつくのでしょうかね。期待しないでおきましょう。

ましてや水産業などカヤの外。

今、福島や茨城の漁民が津波で壊れた港と漁船を抱えて、どうにか海に出てもまったく売れないわけです。

これの解消にはまず補償もさることながら、しっかりとした福島第1原発からの汚染水と魚介類の汚染分布状況を調査することです。いまは県が懸命にやっていますが、本来は国がやるべき大規模な調査のはずです。

東北の巨大な被害の陰になってあまり知られていないのですが、福島から茨城の沿岸の港は津波で総潰れです。まともな漁港はひとつもない。

そして被曝。風評被害。農民や漁民にとって命より大事な農地や海の放射能汚染をしっかりと把握しないで、対策もクソもないもんです。

しかし、こんな基本的なことが手つかずのうちに、今度は福島第2原発でも汚染水を排出したいですと!(資料2参照)

とうぜん地元の自治体と漁業関係者や水産庁の大反対で沙汰止みになっていますが、正気とも思えません。お前大丈夫かとおでこに手をあてた、って奴です。

おっと怒って脱線してしまった。
とまれこのような第1次産業の原子力事故からの復旧には政府は支援をちびり、32億円もかけて原子力推進教育にうつつを抜かしていたわけです。(文科省は今年度から内容を見直すと言っておりますので、念のため言い添えます)

政府は子共たちに原子力をひたすら安全と洗脳するだけではなく、原子力や放射能のリスク、防護の仕方までしっかりと教えていくべきでしょう。

今回の原子力事故で痛感したのは、国民が政府や電気事業連合会から正しい原子力や放射能の知識を与えられていなかったことです。

私たち国民は、電気事業連合会のCMの怪しげなカッパから、「原子力はクリーンだから地球にやさしいんだよ」なんて騙されていたのでした。

あのカッパめ、震災以降とんと見かけませんが、またお眼にかかったら一発ハリ倒してやりたい。

国民が望むと望まざるとに関わらず、あと十数年はイヤでも原子力とつきあわねばならないでしょう。

それは運転停止まではなんとかなるとして、その代替エネルギーの建設や原発の廃炉ができないという物理的な限界によります。

その間に第2のフクシマが起きない保証はまったくありません。そのときに子供をどうやって守るのか、子供が子供自身自分の身をどうやって守るのかという術を教えていかねばなりません。

具体的にいくつの歳まで、どの程度の放射線量が安全であるのか、安全でないのか。

あるいは放射能事故が起きた時、どのように対処したらいいのか。どこへ逃げ、なにを飲み、なにを食べたらいいのか。

放射能の目に見えず、匂いもしない、味もないという恐怖は被曝地の人間にしかわからない恐怖です。空気も水も自分が作るものすら怖いという恐怖を私たち福島、茨城の両県民は3カ月間にわたって味わってきました。

この恐怖から逃れるには、「放射能を知る」ことしかありません。

親も子供も共に具体的にしっかり放射能と原子力を学ぶことで、漠然たる不安から逃れられるのではないでしょうか。

原発バラ色神話はもはや通用しません。しかしその裏返しの放射能脅迫神経症にならないためにも、しっかりとした親子の「原子力教育」がいるのです。

■ 写真 もみじの青葉です。青葉のもみじもいいもの。このもみじは裏山から苗木で移殖したものですが、もうこんな大きなきへと成長しました。いまや子供、孫の幼木が一帯に分家してもみじ村となっています。

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 文部科学省における 「国民・地域社会との共生」[平成19年度予算額:24.3億円]
・エネルギーや原子力に関する教育の取組の支援等を通じて国民一人一人がエ
ネルギーや原子力について考え、判断するための環境を整備。

・特に、教育支援事業への重点化を図り、国としての理解増進事業を推進し、エネ
ルギーや原子力に関する教育の取組の支援を着実に実施。

・また、高速増殖原型炉「もんじゅ」に係る広報を充実・強化し、高速増殖炉研究開
発を更に推進。

●原子力・エネルギーに関する教育支援事業の充実・強化12億円
●高速増殖原型炉「もんじゅ」に係る広報事業の着実な推進1.8億円

資料2 福島第2でも汚染水放出検討=30億ベクレル、東電打診-保安院

 経済産業省原子力安全・保安院は8日、東京電力が福島第2原発の原子炉建屋などにたまった放射能汚染水を海に放出することを検討していると発表した。総量は約3000トンで、放射性物質は30億ベクレルとみられ、保安院や自治体、漁業関係者に打診している段階という。

 保安院によると、第2原発のたまり水は東日本大震災の津波で建屋内に浸入した海水。含まれる放射性物質はマンガン54やコバルト58、60などで、配管のさびなどが海水に含まれたためとみられ、ヨウ素やセシウムなどは検出されていない。

 このうち、コバルト60の濃度は1立方センチ当たり0.3ベクレルと、水中の濃度限度として定められている同0.2ベクレルよりも高い。汚染水を放置しておくと、設備の腐食などが進む恐れがあるため、東電は放射性物質を検出されないレベルまで除去した上で、放出したいとしている。(2011/06/08-12:58)

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コメント

>その間に第2のフクシマが起きない保証はまったくありません。

少々脱線するのですが、今回の“千年に一度”の大地震、気になるデータがあります。869年の貞観地震の18年後の887年、巨大東南海地震が起きているのです。878年には関東地方でも大地震が起きています。
887年の地震は仁和地震と呼ばれ、東海・南海・東南海連動型地震 で、東日本大震災並の超巨大地震です。近畿や四国で大きな被害が生じています。

東大の都司准教授は「869年の貞観地震の18年後に巨大東南海地震が起きている。
“千年に一度”の地震が、千年前には立て続けに起きている。こんども同じように続いてもおかしくない」と警告しています。
 地震予知連の茂木元会長は「これ以上の地震は起きないと勝手に人間が決めて『ないと思っていた』では困る。カムチャッカ地震(1952=M9・0)アリューシャン地震(1957=M9・1)チリ地震(1960=M9・5)アラスカ地震(1964=M9・2)と立て続けにおきている。日本も環太平洋地震帯の一部。東電も国も絶対安全といっていたが、その根拠をあたえた専門家も変わってもらわないと…」「じつは地震もモノの破壊もまだよくわからないことが多い。原子炉本体は頑丈でも複雑な配管や装置がとりまく複合体だ。弱いところに集中したら何が起こるかわからない。日本は唯一の被爆国で第一級の地震多発国。そういうところで“原発実験”をやってはならない」と述べています。


どうやら、海溝型地震は近隣のプレートの歪解消を誘発するようです。千年前と同じであるとは断言できませんが、私たちに脱原発の時間的余裕は余り無いかもしれません。20-30年後なんて言っている場合ではないかもしれません。

LNGや石炭でもいいですから、1年でも早く原発の代替措置を行い、それから自然エネルギーへとつなげるべきです。しかし、廃炉にした原発が被災するおそれもあります。濱田様がおっしゃる原子力教育は絶対に必要です。

投稿: 南の島 | 2011年6月10日 (金) 13時01分

ホントですね。東大教授だとか、官庁だとか、肩書きがある人が言っていることに疑問を持たず、こんな事態になるまで、自分で調べ、自分の頭で考えることをしなかったことを反省しています。
原子力発電なんて必要ないですよ。普通の市民が原子力を推進してきたわけではないのです。一部のお金や権力に目がくらんだおじさんたちが、人々の大切な土地に原子力発電所を次々と立てて、都市の人たちに対しては電気を使わざるを得ない状況を作ってきたんです。現在の東京で、一般的な勤め人家庭が「便利で豊かな生活」を送っているとは到底思えません。晴れている日でも朝から電気をつけないと暗い部屋、窓のないトイレやお風呂、昔の家に比べて、たくさんの電気を使わざるを得ない家、そういう家しか買えない。
すみません、ポイントがずれた愚痴を書いてしまいました。
私もカッパを殴りたいわ。

投稿: mimi | 2011年6月10日 (金) 13時15分

参考資料


http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=cho20060331054&fileId=01-001

放射性物質に汚染された食品の 健庫影響評価等に関する文獣調査(PDF)
内 聞 府 食 女 全 委 員 含 事 務 局. 干成17年度食 女全確保案 含調査報上書. 放射性物質に汚染された食品の. 健庫影響評価等に関する文獣調査. 報 告 害. 平成18年 3月. 財団法人 原子力安全技術セ ン タ 一 ...

投稿: りぼん。 | 2011年6月10日 (金) 20時02分

はじめまして。
震災以来、時々拝見させて頂いております。
コメントは、書いては消し、書いては消し、今回ようやく初めて送信します。

食の安全、私なりに真剣に考えています。
原発事故に絡んだ「食」については、もちろん、とても気になっています。おっしゃる通り、放射能を知ることでしか、立ち向かっていけないような気がします。
かなり話が逸れますが、遺伝子組み換え作物についての案件で、パブリックコメントが募集されているのを御存知でしょうか?
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/110523.html
放射能同様、私は遺伝子組み換え作物も恐ろしく感じます。
輸入食品だって、私は信用できないし、一生懸命育てた、家庭菜園の野菜達だって、もはや、安心ではないのかもしれません・・・
いろんなことを知るというのは、怖いことでもありますね・・・

投稿: かな | 2011年6月10日 (金) 22時06分

NHK教育TVの番組で梅棹忠夫の特集をやってましたが、小松左京との対談で、原子力発電は放射性廃棄物の処分で行き詰るといったって話が紹介されていました。
放射性廃棄物の最終処理場が見通しも立たない状況下では、下手をすると福島第一原発周辺が放射性廃棄物の貯蔵場所になりかねません。
私が小学生の頃は、東西冷戦で核戦争の恐怖と、一方で原子力船「むつ」の開発に代表される原子力利用推進の時代だったので、それなりに調べた覚えがあります。
今でも興味があって、素粒子物理について調べたりしています。でも、原子力発電については、知れば知るほど先行きがないと思わされます。

投稿: あおやま@岐阜県 | 2011年6月11日 (土) 02時42分

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/8293655302efdbc574fd32087588abca


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/945f0e00952bc89a3775d0c0be405065

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/6522421066ca2d5c4978fd5e34817783

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/a0f56bf84123d5351d4311a5f0f9f355

ベラルーシに住んでみえる日本人のブログです。
放射性物質に汚染されている地域でも、それなりの生き方や工夫があるようですね。

投稿: りぼん。 | 2011年6月11日 (土) 13時02分

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/m/201104

この記事も、日本なら事実関係を確実に研究できるはずですが、どこの放射線研究所も、調査していないのでしょうね。

投稿: りぼん。 | 2011年6月11日 (土) 13時36分

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