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2011年6月 3日 (金)

放射性セシウムQ&A 第3回  土壌から野菜への放射性物質の移行はほとんどありえない

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放射性セシウムのQ&Aの続きです。

Q1 セシウムは地表に降った後どのように移動していくのでしょうか?

●チェルノブイリ原発事故の後に降った大規模な放射性物質の降下は東欧や北欧で大きな被害を与えました。

そしてその時に人類史上初めての大規模な放射性物質の調査が行われたわけですが、その調査でセシウムがどのように土壌に滞留するのかがわかってきました。

●調査によれば、セシウム137 が土壌下方へ進む速度は年間1cm 以下で、7年後でも78%から99%が地表10㎝に残存していました。

●1960年代の日本の核実験由来のセシウム137の測定でも、表層にほとんど残存して、地下30㎝の地層からはほとんど検出されていませ。

つまりほとんど沈降しない性質をもっていると思っていいでしょう。

●有機質に富む土壌では、化学農法の土壌より早く分解されて地表から深い部分に移動することがわかっています。

Q2 土壌から作物へのセシウムの移行は、作物の種類によって違いがありますか?

●大きな差はないようですが、やや葉物が高いなどの差はあります。以下日本原子力研究開発機構(JAEA)の計測した各種農作物のセシウム移行係数(作物重量1kgあたりのセシウム濃度/土壌1kg あたりのセシウム濃度)は次のとおりです。

●・白菜 :0.00028
 ・ほうれん草:0.0011
 ・キャベツ :0.00024
 ・レタス :0.00014
 ・長ネギ :0.00040
 ・ジャガイモ:0.00090
 ・サトイモ :0.0011
 ・サツマイモ:0.00075
 ・タマネギ :0.000016
 ・ニンジン :0.000071
 ・キュウリ :0.00010
 ・トマト :0.00080
 ・ナス :0.00030
 ・ピーマン :0.00018
 ・大根 :0.00039
 ・大豆 :0.0018

Q3 移行係数をみると多い葉物でも1000分の1の単位ですが、土壌からの移行は少ないと考えていいのでしょうか?

●そう考えてもいいと思います。葉物をのぞいてほとんどの野菜が1万分の1の単位です。

●多いと言われる葉物のホウレンソウでさえ1000分の1.1の数値です。これは現在の暫定規制値である500Bq/kgを超えるためには、土壌のセシウム濃度が約45 万Bq/kg というありえない数値にならねばなません。

●このことから農業者は消費者に対して、直接に降ったセシウム汚染は危険性が高いが、土壌から移行する放射性物質汚染はほとんど考えなくてもいいと説明していいと思います。

Q4 土壌から作物へのセシウム移行対策はどのようなものがありますか

●いちばん確実なのは表土の入れ換え、つまり客土です。しかし、この方法は問題が多い方法です。

・もっとも豊穣な表土層が喪失されてしまう。
・表土をスクレーパーで剥いで、ダンプで持ち出し、さらに新しい土を入れてならすという不毛な作業が必要。
・高コスト。
・除去した膨大な土の処分場所がなく、結局自分の畑の一角に埋めることになる。その場合は穴を鉄板などでふさぐこと。

●深く耕起する方法は、植物根域のセシウム濃度を希釈し吸収を減らす効果があると言われています。しかしリスクとしては以下があげられます。

・汚染土壌粒子の飛散による作業者の健康被害。
・未汚染の深層に汚染物質を入れてしまう可能性。

●セシウムと同族元素のカリウムを施肥することで、除去用植物(クリーニング・プラント)にセシウム吸収をさせる。

●酸性土壌では石灰を多めに施肥することでセシウムの植物への移行の低減効果があるとされています。

●アンモニウムは、土壌にあるセシウムイオンを追い出す力が強いとされています。

●ゼオライトやベントナイトなどの粘土鉱物資材は、土壌中のセシウム保持力を高め、植物へのセシウム吸収を低減すると言われています。ゼオライトやベントナイトはスウェーデンの除去作業でも使われて効果が実証さています。

●水稲においても、カリウムを含む肥料はセシウムの吸収を抑制する働きが認められています。

こんなひどい放射性物質をバラ撒いた東京電力を恨みながら、頑張りましょう!

■写真 わが村の郵便局です。カラーよりも白黒写真が似合いますね。

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コメント

以外と染み込まないもんなのですね。
これは菜種・ヒマワリ作戦を細心の注意を払いながら(できれば暑い中防護服で)実行すべきではないでしょうか?もう、ハムスターのエサの種までかき集めてバーッと蒔いて。
かなり作業は辛そうですが。

連投失礼。
ゼオライトやベントナイトは網袋に入れて用排水路各所に配置するのが、簡単かと。
全面客土して後でまた掘り出したりするくらいなら、簡易的ですが効果が期待できると思います。

後処理は…東電にやらせましょう。

農水省も5月27日に農地土壌中の放射性セシウムの野菜類と果実類への移行について発表しています。
そこでは、ジャガイモ0.011・サツマイモ0.033と少々高めです。カラシナは0.039と高いですね。他の作物も日本原子力研究開発機構と数値が違いますが、どちらも0.00や0.000です。

http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/pdf/110527-01.pdf

移行係数を考えたら、ほとんどの汚染地域で安全な作物は作れそうです。
しかし、そのためには、
①新たに放射性物質が空から降ってこない。
②作物に付着した土やホコリを除去する。
③農作業での被曝を防ぐ。
が必要でしょう。

そして、消費者にセシウム移行に関する科学的な根拠とデータを示し、冷静に理解してもらう必要があります。


調べてみると、セシウムは土壌の性質・施肥・栽培方法・植物の根のはり方によって、移行の度合いが違います。


北海道大学大学院農学研究院助教 渡部敏裕先生のホームページ
http://www.geocities.jp/watanabe1209/Topics/CsSr.htm

「呼吸発電」というブログの
放射性セシウムの土壌への吸着と遊離
http://powerbreathing.seesaa.net/article/204854240.html

参考になると思います。

http://www.rwmc.or.jp/library/other/kankyo/

こっちの研究データだと移行係数はもっと高いようですよ

移行係数が低いことは理解しました。
しかし、文部省の行っている飛行機によるモニタリングによると、土壌へのセシウムの蓄積量は、万ベクレル/平方メートルの単位です。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/07/27/1305819_0727.pdf

単位がベクレル平方メートルとベクレル/Kgと違うので、単純比較できませんが、福島県内の土壌セシウム濃度は高く、栃木南部までの汚染が帯状にのびていますね。

移行係数がいくら低くても、土壌の汚染度がたかければ、農作物にセシウムは移行してしまうと思います。

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