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「暫定」規制値の「暫定」が取れる日が来ることを覚悟しよう

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暫定規制値の「暫定」が取れた時が、私たち農業者にとってほんとうの正念場だと思っています。

ご承知のように日本の放射性物質の唯一の規制値は、今まで「国内では原子力事故は起きない」という「想定」の下に作られていました。

ですから、放射性物質の規制値はあるにはあったのですが、それはチェルノブイリ原発事故による欧州産農産物の輸入品に対しての規制値でした。

厚労省はWTOの規制値に基づいてこのような数値基準を出していました。
例えば水の規制値は以下です。
・ヨウ素・・・10bq/ℓ
・セシウム・10bq/ℓ

同じく今の3月12日の事故以後に急遽決まった規制値をみてみましょう。
・ヨウ素・・・・300bq/ℓ(ただし乳幼児は100bq/ℓ)
・セシウム・・200bq/ℓ

一挙に20倍から30倍に規制値が上がってしまったわけですから、たしかに消費者に不信感をもたれてしまっても当然なわけです。

これは同じ先進国の規制値としても格段に高い数値です。
・ドイツ・・・・0.5bq/ℓ
・米国・・・・・0.1bq/ℓ

これだけ見ているとなんてメチャクチャな数値なんだと思われるでしょうし、実際、消費者の一部には猛烈な反発が一部ではあります。

それは十二分に理解できまが、もちろん根拠はあります。どうしてこのような日本の基準値が「暫定」であったにせよできたのかといえば、放射性ヨウ素の摂取国際安全基準値は1年で50msvなのです。

それに対して厚労省は、日本の基準値をそれを下回る33.3msvとしました。

この摂取国内安全基準値の33.3msvを1年間に摂取するために必要な放射線量
・食品・・・1.1msv
・水・・・・・1.1msv
・牛乳・・・1.1msv

これは具体的にはどのような量なのでしょうか?
・食品(野菜として)・・・700グラム(約2パック強)
・牛乳・・・・・・・・・・・・・・4.6ℓ(1ℓパックを4.6本)
・水・・・・・・・・・・・・・・・4.6ℓ

これを「毎日1年365日飲む」という設定とします。考えただけでお腹がガブガブになります。

なぜこんなありえない仮定とするかと言えば、食品規制値や放射線の被曝限度量などは、365日毎日同じものを飲んだり食べたりする、あるいは24時間露天に立っている、というような究極の設定をまずすることで、それを安全パイとするわけです。

日本の厚労省はその国際基準値の約6割強ていどにまで落とした33.3msvに上限値を設定しました。このミリシーベルトをベクレルに換値したのが(若干ズレますが)日本の食品暫定規制値です。(換算式は複雑なので省略します)

この日本の厚労省の設定の弱点は、水や牛乳は単品ですからいいとして、「食品」は数限りなくあるのです。

ほうれんそうだけ食べているわけではありません。米も肉も、他の野菜もお茶なども摂取します。となると、同じように並列して1.1msvでいいのか、という疑問がでてくるわけです。

では、ドイツや米国の放射性物質の規制値がどうしてこんなに低いのかといえば、食品添加物や農薬の規制値と同じ考え方を取っているからです。

つまり、消費者がどんなものをどれだけ食べてもぜったいに人体に影響が出ないというメチャ低い数値を摂取限度量としたのです。

仮に100が摂取限度量とするなら、思い切って10分の1の10を食品規制値としましょうという考え方です。

現に、日本も含めての食品添加物や農薬の規制値はこのような絶対安全値という発想に立って作られています。逆に言えば、仮にこれ以下の微量検出されたとしても、それは科学的に大丈夫ですよ、と国が認めた摂取量だということになります。

厚労省もいったんはその方向で作るつもりだったようですが、時間がないためか、はたまた別種の思惑があったのか分かりませんが、摂取限度量の国際基準値を6割まで下げて「暫定」規制値を作ることでよしとしたのでした。

ですから、とうぜんのこととして、日本は近い将来「暫定」が取れた真の規制値を作ることでしょう。たぶんもうその検討は開始されているはずです。

想像できるのは、今の規制値を米、独なみの10bqにもっていくことです。私もそうすべきだと思います。

多くの被曝県の農業団体は規制値を緩めろと言っていますが、気持ちは分かりますがそれは間違っています。むしろ米、独の先進国規制値と同等の基準を作り、それ以上は出さないという気迫が私たち農業者には必要です。

風評被害というのは、基準値を緩めることや、測定しないが安全だから食べてくれ、オレたちは苦しいんだ、という甘えた姿勢では絶対に解消されません。

しかし率直に言って、いったんセシウム300bqと決められてそれが検出されないような対策を行っている真っ最中に、更にそれを30分の1にまで下げるのは死にも優る苦しみでしょう。

私も頭では納得しつつも、現実には呆然となるかもしれません。下手をすると、今まで規制値内だった出荷物を膨大に廃棄することにつながりかねないからです。

それでなくとも現在、農業者は出荷物の放射性物質検査で重い負担を負っています。検査は補償対象外のですので、すべての手間とコストは農業者が負担しています。

短期ならともかく、いつ果てるともないその苦役を負った農業者の背にもうひとつの重石が乗せられるものなのかどうか・・・。

いずれにせよ、やがて遠からず「暫定」が規制値からはずされる日が来ることだけは間違いありません。

その覚悟はしておきましょう。政府や東電のように「想定外」だったと言わないためにも。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

農業者自ら覚悟を決めて取り組み心意気、支持します!
今後も苦難が待ち受けてることでしょうけど、負けないで下さい。

また、一昨日のコメント欄に私をご指名のコメントがあったようですが、お笑いネタとして反論する気にもなれません。粘着コメントご苦労様です。
私がたまたま見に行ったこと自体が偶然なレベルですし、何に対して言ってるのやら。

私も過去に何度となく言ってますが、ここはあくまで他人の庭です。
勝手にやるなら、その手の自由な掲示板で好きなだけ喚き散らして下さい。
いちいち構うほど他人はヒマじゃないんですよ。

そんなにお暇な方なら、過去ログやコメントをじっくり読んで熟慮されることをお薦めします。
何日もかかることでしょうが。

すいません、あまりに馬鹿馬鹿し過ぎて、書いてて思わずプッと吹いちゃいました。

正に「馬鹿の壁」です。
素直な気持ち是非あの本をお読みになって下さればと思います。

投稿: 山形 | 2011年6月23日 (木) 08時39分

日本は近い将来「暫定」が取れた真の規制値を作ることでしょう。たぶんもうその検討は開始されているはずです。

>>>>たぶん、それは、官僚としてやっていると思うのですが、その中に、放射性同位体の内部被曝に知識のある現役農業者が、入っていないだろうと思ってます。彼らは、農業者を入れると、公平性に欠けるので、入れられないと言うでしょうが、同時に、放射性同位体の内部被曝に知識のある消費者にも、入ってもらって、検討すべきと思います。

ベラルーシでは、当面、OOは、茹でて、煮汁を処分して食べなさいとか、被曝直後は、そういう話があったらしいですが、実際、調理段階で、減らせるなら、それも、有りだと思うのです。少なくとも、福島の人は、自分の畑のものを食べちゃうと思いますので、そういう情報も、同時進行で、必要ではないかと思ってますが。。どうでしょう?

投稿: りぼん。 | 2011年6月23日 (木) 14時49分

りぼん様。まったく同感です。今回の暫定規制値の問題点は、数値そのものもありますが、出し方のアナウンスの失敗です。

投稿: 管理人 | 2011年6月23日 (木) 16時21分

福島市のさくらです。
そうです。自分の家のきゅうり、キャベツ食べてます。
今の日本には規定値はあってもしょうがないんです。少しでも数値がでれば、他の県のを皆さん買いますよね。それはしょうがないことだと思います。
もう今は福島市の農産物で少しでも検出されそうなものは、作付け停止のほうが気が楽になってきました。
風評被害や検査費用にかかる予算を抑えてその時間と費用を除染にまわしてもらいたいと思う今日この頃です。

投稿: さくら | 2011年6月23日 (木) 17時08分

さくら さま、はじめまして。

自分の畑のキャベツ、きゅうり、食べられてるそうですが、葉物は、締まった物を選んで、外葉は、普段より、余分に剥いてください。ほこりが下に落ちる感じで、中にはいらないように。。で、ざっくり切らないで、食べる分は、面倒でも、葉を1枚づつ取って、流水でよく洗ってください。

また、作付けする場合は、出来れば、ビニル温室を、温度の問題はありますが、2重にするとか、風向きで、できるだけ、外気が入りにくい状態にして、放射性物質が、土壌から移行しにくい作物を植えてください。

麦の実、秋蒔きのライ麦の実、麦の茎、ジャガイモ、燕麦の実、秋蒔きのライ麦の茎、大豆の茎や葉、飼料用ビート、とうもろこしの茎や葉

などです。

これらの情報は下記から転載しました。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/8293655302efdbc574fd32087588abca

投稿: りぼん。 | 2011年6月23日 (木) 20時13分

政府も東電も信用もできなければ保障する気すらないんでしょうからねぇ・・・。例え基準を厳しくするにしても国と東電がしっかり保障しなければいけないようにすべきだと思いますね。
自分は東電も政府もいわば加害者と考えています。つまり現在加害者の一方的な主張を無理やり認めさせられている状態だと自分は思っていますね。
私達はおかみ(以下上)の言葉にただ信じ従う今までのやり方から疑う事を始めなければいけないと思います。これは原子力だけに限らず全ての事に関してですね。科学絶対主義から抜けていって欲しいですね・・・。自然の力を人間で想定する事事態が間違っていると思います。
今の東電の言い回しの「想定外」はいずれもこれこれこういう事は絶対に起きないで考えられているんですからこの原発事故は起きるべきして起きたんでしょうね・・・。コレを反省していい方向に未来が進んで行けばいいんでしょうが・・・・・今の政府にそれができるのか・・・・どうか疑問ですね

投稿: 銀の狐 | 2011年6月23日 (木) 21時49分

りぼんさんいろいろアドバイスありがとうございます。参考にさせていただきますね。
ちなみに我が家は露地物栽培もありますが基本的にハウス栽培農家です。もちろん二重張りですよ。
最近はハウスのまわりに遮光用に植えてある木の落ち葉を神経を使いながら除去しています。普段の年なら堆肥用に持って行ってくださるかたもいるのですがね、今年は無理ですね。
明日もまた暑くなりそうです。熱中症に気をつけて頑張りましょうね。

投稿: さくら | 2011年6月23日 (木) 21時54分

岐阜県でも今だ微量の放射性物質が降下しているようですが
「月間降下物中の放射性核種の検出について」
http://www.pref.gifu.lg.jp/kensei-unei/kocho-koho/event-calendar/sonota/kankyo/housha3.html
原発事故は排水の問題が焦点になっているかのようですね。原発事故の目途が付かない間は「暫定」が取れるのは無理なような気もします。
特に生体濃縮が問題になる魚などは半年から1年後くらいに高い値が出る可能性があるかもしれないと思っております。
それにしても有機栽培も自然農法も、放射能の前には無力なのが悲しいです。

投稿: あおやま@岐阜県 | 2011年6月25日 (土) 23時21分

食品は内部被曝が問題でしょう。

許容する空中放射線量も日本は甘いです。

ペラルーシの規制値は
未成年3mSv/y.......0.34μSv/h
成人 5mSv/y.......0.57μSv/h

日本の許容数値は大きすぎます。

投稿: アルマジロ | 2011年7月 6日 (水) 17時55分

アルマジロさんのおっしゃるとおりなのですが、私は実践家ですので、政府を批判するだけではどうしようもないと思っています。

どうやったらフォールアウトした放射性物質を除去できるのかを真剣にかんがえないと、現実は前に進んでいきません。

それを一緒に考えていきませんか!

投稿: 管理人 | 2011年7月 7日 (木) 10時24分

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