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低線量被曝の地だから学びたい放射線初歩講座   第1回 放射線の脅威は100ミリシーベルトを境にして確率論と確定論に分かれる

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私のブログにもいろいろな方が来ます。ある方は線量計をあてないと子供に食事をやれないとおっしゃる方、申し訳ないが福島、茨城県産の農産物はちょっとね、と言う方は意外なほど多いようです。

ある私の古い友人からは、ズケズケと「よく日本になど住んでいるな」と言わんばかりの言い方をされてかなりムっとなりました。彼は外国在住なのです。

つまりは、「弱い放射線を微量受けることの脅威」を最大限に捉えて、それを日常生活から極力排除しようという考え方です。

一方、こんな考えがあることも知ってたまげました。文面をご紹介できないのが残念なのですが、なんと「弱い放射線を微量受け続けることにより」という部分までは低線量脅威派の人たちと一緒なのですが、さぁここからがスゴイ。

続けていわく、「身体の細胞を活性化させて毛細血管か拡張し、新陳代謝が向上し、免疫力が高まって自然治癒力が高まる」。

正直言ってドヒャ~でしたね。いわば低線量放射線バンザイ派です。毎日浴びたい低線量というわけですね。

これは居酒屋のへべれけが言っているわけではなく、いちおう(失礼)トーマス・D・ラッキィ博士という米国の医学者によって唱えられているホルミシス学説というのだそうです。

と学会が手を叩いて喜びそうな学説ですが、ホルミシタスという用語は、ホルモンの語源のギリシア語のホルモと同じ意味の「刺激」や「促進」という意味をもった造語のようです。

この放射性ホルミシタス効果というのは鳥取県三朝温泉などの天然微量放射線をもった鉱泉が人体に有為な働きをしているという話しからきています。そういえば、わが家のそばにも人工的放射性物質を使ったラドン温泉なんかがあったっけ。

うちの村のジィ様が飲むと薬効があるとかでコップ持参で通ってましたっけ。そういえば健康グッズになんとかいう放射性鉱物でできたネックレスなんかもありましたね。

このホルミシタス効果というのは、抗酸化酸素SODが増殖するというのですが、どうも私は素直に受け取れないのですね。低量放射線をあらかじめ浴び続けていれば、障害をあたえかねない強い放射線量を浴びた時に、その健康障害が軽減するということはあるでしょうが、積極的に毎日低線量被曝をするのは、ちょっと考えてしまいます。

このホルミシス効果はかんじんな免疫学的統計数値の絶対量が少なくて、民間療法に毛が生えたようなもののような気がします。

さて、放射線医学の専門家である東大中川恵一先生の「放射線のひみつ」という本によれば、放射能が身体にあたえる影響はふたとおりあるそうです。

ひとつは「確率論的影響」と、もうひとつは「確定論的影響」のふたつです。

言い方は難しいのですが、要するに「確率論的影響」とは宝くじのようなものです。あるいは映画「ディアハンター」に出てくるロシアン・ルーレットのようなものです。

ロシアン・ルーレットとはリボルバー拳銃に一発だけ弾を入れて、カラカラと回してから頭に当てて引き金を引きます。死ぬ確率6分の1の命をかけたバクチというわけです。ぜぇ~たいにやりたくない。

中川先生によれば、放射線の人体への影響は、ある一定の線量を境にして確率論と確定論に分かれるのだそうです。

それが100~150ミリシーベルト(mSv) です。この境目のことを「閾値」(しきいち)というかったるい呼び方をします。これ以下なら大丈夫、これ以上だったら危ないという境目のことです。

100~150ミリシーベルト以上だったら確定論的に危ない。100ミリシーベルト以下は確率論だと先生は言われます。

「危ない」とはハッキリ言ってしまえば、発ガンが起きる可能性が高まるということです。

またこのミリシーベルトは「年間積算量」で考えます。

同じミリシーベルトと言っても、何も横に単位がついてなければ放射線量が溜まった年間「量」で、ミリシーベルト/時と書いてあったら一時間当たりの「勢い・強さ」のことです。紛らわしいので気をつけましょう。と言いながら、私もよく間違えて使っていたようです(汗)。

下の新聞切り抜き2のような福島第1原発1号機内部のように4000ミリシーベルト/時も放射線量があると、特殊な放射線防護装備をしない限り瞬間的に死に至ります。

あ、そうそうシーベルトとは、ドイツ人の放射線学者の名前からきていて、「放射線の人体に与える影響(危険度)を表す数値」のことです。

農産物や水などの食品に含まれる放射能の強さを表す数値はベクレル(Bq)と呼び、これはフランス人の学者の名前から来ています。こういう単位に自分の名を残すのはイヤだなろうな。

ついでにグレイ(Gy)は「物体が受けた放射能の強さ」のことだそうです。モニタリングポストの数値などはこのグレイが単位となっています。雨にたとえれば「降水量」にあたります。

首相のやめるやめる詐欺をめぐるドタバタを尻目に、地味ィ~にもう何回かこの放射線初歩講座をしてみようと思います。

今、放射線について真剣に考えなければならないことはいくつもありますが、そのひとつが「低線量被曝」の問題なのです。

なぜなら、私の住む茨城の地も「低線量被曝の地」だからです。私がこの地で生きていく以上、この問題に真正面から向かい合わねばならないと思います。

■写真 毎日雨でうざりしますが、たまさかの晴れ間で、田んぼに夕陽が残り惜しそうに映し出されています。  

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

下の新聞切り抜きには、福島第1原発で働く労働者の被曝限界数値を100から250ミリシーベルトに引き上げたことが報じられていますが、この従来の規制値の根拠も、100ミりシーベルトが閾値となっています。

この境(閾値)も大人と子供ではまったく違います。子供は細胞が日々成長を続けているので被曝線量も大人よりはるかに低く取る必要があります。学校の校庭に20ミリシーベルトなどというのはとんでもなく危険な値です。

■新聞切り抜き1 作業員の被曝量引き上げ、福島原発事故で厚労省

2011.3.15 23:05

 厚生労働省は15日、東日本大震災での福島第1原発事故で応急対策にあたる作業員に関し、放射線の被曝(ひばく)線量限度を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げる規則の特例を定めたと発表した。経済産業省などの要請に基づくもので、250ミリシーベルトへの引き上げは初めて。これにより1回あたり15分程度だった作業時間が30分程度に増えるという。

 国際基準では重大事故時の被曝線量限度は500ミリシーベルトとなっているが、会見した小宮山洋子副大臣は「労働者の健康を考えると今後さらなる引き上げは考えられない」とした。

 また同副大臣は、福島第1原発事故で半径20キロ外に避難した住民の検査などのため、全国の都道府県などに対し医師や放射線技師の派遣を打診していることを明らかにした。

■新聞切り抜き2 1号機内で4000ミリ・シーベルト

読売新聞 6月4日(土)12時0分配信

 東京電力は4日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋1階南東部の床を貫通する気体輸送用の配管周辺の隙間から湯気が上がっているのを、調査に入った米国製ロボット「パックボット」で確認、撮影したと発表した。

 湯気が立ち上っている周辺の放射線量は、最高で毎時4000ミリ・シーベルトで、3月11日の事故発生後に測定された中では、最も高い数値だった。3分余りで作業員の被曝(ひばく)限度である250ミリ・シーベルトを超え、15分間続けて作業すると、吐き気など急性放射線障害の自覚症状が出るレベルだ。

 1号機では、格納容器から汚染水の漏出が続いている。

 東電では、格納容器の下部にある「圧力抑制室」付近から漏れ出した、約50度の汚染水から湯気が発生、1階に噴き出していると見ており、「今後、継続して監視する」と話している。

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コメント

閾値(しきいち)は、あると思います。100なのかどうかは、知りませんが。今、話題の糞便性大腸菌も、発病するには、閾値として、グラムあたり、何コロニーと言う最低量がない限り、定性検査で陽性でも、発病には至りません。

今、言えることは、話題のセシウム降下量の多い地域は、できるだけはやく、地面に残る、水素爆発時のセシウムを、集め、ベントナイトなどで固め、あまり、人の近づかないところに、一時保管し、生活することではないでしょうか?また、あえて、廃棄覚悟で、さつまいもなど、移行係数の大きい作物を植え、放射性物質を、減らすことだと思います。

今、がんばって減らせば、将来の土壌入れ替えの量も減らすことが可能です。それは、いままで、作ってきた良質の畑土を残すことになります。
土壌入れ替えすると言っても、山を崩して、山砂を持ってくるくらいしか、実際には、出来ないでしょうし、そうなれば、土作りを最初からしないといけなくなります。

今、このわずかな、減らし方でも、風で舞い上がり、呼吸し内部被曝することからは、救われます。
外部被曝については、正直、微量であれば、人間は、日焼けによるメラミン合成のように、何らかの防御作用は持ってると思われます。原発問題がなくても、放射線には、外部暴露を絶えずしているのが人間ですから。。

本来は、汚染度が高い地域の確認される核種をすべて報告するのが、国の勤めと思います。ランタンとか、セシウムに近い質量のものは、当然、降ってきているはず。まだ、誰も、どんな核種が出てくるのか、正確に研究した人は、居ないようだし。。

投稿: りぼん。 | 2011年6月 4日 (土) 09時43分

先日のチェルノブイリの生物研究ドキュメントでは、ツバメなどに腫瘍や色素抜け落ちが多発してましたが、
ネズミの場合はしばらく低線量の屋外(といってもかなり高い)に暴露したネズミと、クリーン条件で育ったグループそれぞれに強いガンマ線を照射するテストをすると、外に置いといたネズミが圧倒的に発病が少ないという、興味深い研究が出てました。

日本でも秋田の玉川温泉や福島の温泉(名前失念)の放射線の高い場所に、末期ガン患者が最後の希望を託してたくさん集まります。
効果のほどは分かりませんし、「気のせい」なのかもしれませんが、多くの方々のが数日の滞在で「だいぶ(または少しは)楽になったよ」と、いいますね。
真面目に研究もされてるようです。


それにしても東電社員の内部被曝問題。推定値に随分と幅がありますね。それだけ計測が難しいのでしょう。

もしかしたらブラジルのガラパリ住民は抵抗性が高いのかもしれません。

投稿: 山形 | 2011年6月 4日 (土) 14時00分

東大の先生の発言にはよくよく注意が必要です。
1954(昭和29)年3月1日、アメリカのビキニ環礁における水爆実験で死の灰をかぶったマグロ漁船・第五福竜丸のときにも
『朝日新聞』に中泉正徳・東大教授が「放射能がまるで伝染病のように考えられているが、私の見たところでは東京の魚河岸市場の汚さの方が危い。これからは赤痢やチフスの心配があるから注意した方がいいでしょう」との談話を掲載しています。要は被曝なんてたいしたことないから心配無用と政府や東大の先生は口を揃えたんです。
その後、ただちに影響はなかったが20年後には多くの方がガンなどで苦しみました。
私にも事実がどこにあるのかわかりませんが、東大教授というだけで彼等の発言を真に受けていいかは注意が必要です

投稿: 茨城北部住み | 2011年6月 4日 (土) 16時29分

おっしゃることはわかるのですが、中川恵一先生は東大と言ってもガンの若い専門医(准教授)です。
辞められた内閣参与の先生のように、政治がらみの国会証言をするような「原子力村」の住人ではありません。

投稿: 管理人 | 2011年6月 4日 (土) 17時23分

私は中川恵一氏は原子力村の住人だと思います。

氏は今回の食品の暫定基準値策定にも携わっています。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110329sfc

准教授という立場でここまでかかわれるということは、原子力村か現政権に深く関わっているはずです。

氏は有名になった班目春樹氏と、原発推進のシンポジウムを行っています。
http://www.nuclear.jp/gensiryoku-symp/

原発事故直後にも、様々な発言をしています。
http://mainichi.jp/enta/art/news/20110525dde018040043000c.html
この毎日の記事では、原発事故をまるで自然現象のように語っていると、私は思います。

海産物についても早々に安全であると、結果的に間違った情報をマスコミでながしています。
http://www.youtube.com/watch?v=R5gHts8iKA4
これなど、今こそ多くの人に見てもらいたいです。

私はしきい値があると思っていますが。中川氏の様な、御用学者がしきい値を述べる事には、拒絶感があります。

投稿: 南の島 | 2011年6月 4日 (土) 20時00分

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