国は放射性物質の除去が進むとなにか不都合があるようです
事故から既に100日以上たっているのに除染はまったくされていない状況です。計画も聞いたことがないとは異様ですらあります。
まったくです。コンプリートリー・ナッシング。
あ、飯館で首相候補(笑)の鹿野農水大臣が猫の額のような実験田になにやら植えていましたが、あれ以外なにかやっているのでしょうか?
農水副大臣の篠原孝氏は、チェルノブイリに国際会議で行って以来、脱原発と自然エネルギーの伝道師のようになっていますが、講演で説教を垂れられるのは結構ですが、自分が農地除染の政府責任者だってことをお忘れになっているのではないでしょうか。
国民の健康を守るのが役割のはずの厚労省も、暫定規制値を作って以来、何か積極的に既にフォールアウトしてしまった放射性物質を取り除く作業をしている、あるいは予定しているという話はまったく聞こえてきません。
除染はたしか東電がデッチ上げた工程表のどこかにあったようですが、そもそもあんなもの国民の誰も信じちゃいません。
放射性物質の除去、つまり除染は地方自治体ができません。下の資料一覧をご覧ください。
地方自治体はやりたくとも法的にがんじがらめで放射性物質の除染活動ができないのです。逆に言えば、国が主管してやちなければまったく除染はできないということになります。
では国がなにかやっているのでしょうか。先ほど言ったように飯館で猫の額に菜種などを「実験」で蒔いた以外なにもしていません。
そもそも、今、100日もたって「実験」など悠長にやっている場合でしょうか。菜種、ひまわりなどが効率よく土中のセシウムを取り込むのは常識の範疇です。
チェルノブイリの除染作業で大規模に使用され、評価は定まっています。それ以外にもゼオライトやベントナイトなど除染に有効な資材は沢山あります。
それを国が買い上げて無料で関東圏の農家に配布すればいいだけです。必ず私たちは使いますから。もう風評被害はこりごりですから。
それをなに今さら「実験」ですか。今やるべきことは実験ではなく、「実行」です。飯館の実験など単なるアリバイ工作でしかありません。
政府は実践どころか、農民はおろか国民いに対して除染の「呼びかけ」さえしていません。
多くの国民が不安に怯え、自腹でガイガーカウンターを買い込み、食品に当てたり、子供が遊ぶ公園で計測している風景は日常になってしまいました。
ネット内は素人計測の線量数値であふれ返っています。いまや不安は食品、そして土壌から水と空気へと移っています。
食、土地、水そして空気は人が生きていく根本中の根本です。この安全を守れないような政府はいりません。
国は放射性物質の除去が進むとなにか不都合があるようです。国民が被曝に怯えているのを見ているのが楽しいようです。
なるほどそうかもしれないですね。被曝で問題でも起きれば、また首相の延命のカードが生まれますから。
「私を辞めさせたかったら、放射性物質除去特別措置法案(←そんなものないけど)を通しなさい!」とでもやりたいんでしょうか。
しかし、ここまで除染に無関心な政府を見ていると、避難区域は国家管理地域にでもして、高濃度放射性物質最終処分場でも作る計画なのかと勘ぐりたくなります。
あ、そうすれば、原発の解体最終処分場になりますか。避難地区域に廃炉後に出る高濃度放射性物質を集めて、外側に高いフェンスでも張って電流でも流しますか。
住民は菅首相の腹案どおりに域外のエコタウン(なんというブラックジョークなネーミング!)に集中して住んでもらえばいい。なんなら核の墓場で働いてもらえば雇用対策にもなって一石二鳥。
いやそれどころか、原発の最終処分場が決まれば、本格的に廃炉が日程に登って3度おいしい。
さすがは日本初の脱原発宰相!( ゚д゚)、パカヤロー、シネ!
うう、自分で書いていて気持ちが悪くなりました。あながち冗談ともいえないのが怖い(笑)。彼なら考えかねない。
それはさておき、なんやかやでもう梅雨は終わりかけています。福島第1原発から出た60京ベクレルの放射能は、梅雨の雨に乗ってどこにいくのでしょうか。
コンクート路面から側溝へ、側溝から下水処理場へ。川や湖から上水施設へ。浄水場から水道へ。
農業用水から水田へ。水田から米へ。水田から再び川へ。川から湖や海へ。海から魚へ。
そして、これからの台風の強風は放射性物質を、更に関東各県、いや西日本までへと拡げていくことでしょう。
一部週刊誌報道では関西圏でも関東と変わらない線量が計測され始めています。この傾向は梅雨と台風でいっそう強まることでしょう。
政府の重い腰をあげるには、選挙区の議員、なかでも与党議員を動かす必要があります。
現在、与党議員は「乱心の暴君」(日本農業新聞」の表現)をめぐる権力闘争に忙殺されて、機能停止状態です。
選挙民が彼らに働きかけてなんとかして除染の動きをせねば大変なことになります。ぜひ皆さん、地元選挙区の与党民主党議員に働きかけてください!
■写真 きょうの写真は去年秋のものです。あまり暑いので、きれな色を選んでみました。
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下記に地方自治体が放射性物質除去をできない法的根拠を列記しました。
逆に放射性物質を除去することを定めた法律はありません。また作ろうという動きは政府内部、与党にはありません。
■資料 汚染されたものは地方自治体が処理できない法律一覧
●環境基本法(平成五年十一月十九日法律第九十一号)
(放射性物質による大気の汚染等の防止)
第十三条 放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)その他の関係法律で定めるところによる。
●大気汚染防止法(昭和四十三年六月十日法律第九十七号)
(適用除外等)
第二十七条 この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染及びその防止については、適用しない。
●水質汚濁防止法(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十八号)
(適用除外等)
第二十三条 この法律の規定は、放射性物質による水質の汚濁及びその防止については、適用しない。
●土壌汚染対策法(平成十四年五月二十九日法律第五十三号)
(定義)
第二条 この法律において「特定有害物質」とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。
●特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
(平成十一年七月十三日法律第八十六号)
(定義等)
第二条 この法律において「化学物質」とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう。
●環境影響評価法(平成九年六月十三日法律第八十一号)
(適用除外等)
第五十二条 この法律の規定は、放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)及び土壌の汚染については、適用しない。
●廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十七号)
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
●循環型社会形成推進基本法(平成十二年六月二日法律第百十号)
(定義)
第二条
略
2 この法律において「廃棄物等」とは、次に掲げる物をいう。
一 廃棄物
二
一度使用され、若しくは使用されずに収集され、若しくは廃棄された物品(現に使用されているものを除く。)又は製品の製造、加工、修理若しくは販売、エネルギーの供給、土木建築に関する工事、農畜産物の生産その他の人の活動に伴い副次的に得られた物品(前号に掲げる物並びに放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)
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コメント
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連日の更新お疲れ様です!
なんだかずいぶん古い法律で、なんとまあ高度成長期に都合のいい解釈と、国の責任逃れができるようにいやらしく出来てるもんですな。
それは民主のせいじゃないけど…。
福島県伊達市でようやく「ホットスポット」の世帯別避難指定が行われましたが、同じ集落でも隣の家はいいのにウチは指定されなかったとか、自腹で除染作業をやったあとに国が計ってセーフ判定されたとか、不満が渦巻いてます。
国はなるべくケチることのほうが大事なんでしょう。
投稿: 山形 | 2011年7月 3日 (日) 07時34分
コメントありがとうございます。政府はケチるというより、与党内部の権力闘争でそこにまで気が回らないのではないでしょうか。好意的に見ての話ですが(苦笑)。
投稿: 管理人 | 2011年7月 3日 (日) 07時50分
だろうね・・・非常事態宣言してる状態で政府内で争ってるくらいだから・・。一致団結してできないようなら粘るよりさっさと解散して全く新しい政府になってもらったほうが皆のためになる。
このままダラダラと9月近くまで現政府で何もされないより1ヶ月の混乱をしたほうがいい。(総選挙)
ましてや消費税上げて対処するぜ!っていうのは誰が考えたってバカな考えでしかない。
余計に消費が落ち込むだけだっていうの・・・結果税金の収入もさがるんじゃないか?
その消費税に耐えられるほど今の国内は力があるわけがない・・・。
寄付金が配られない。
原発の対処がほとんどできてない。
非常時(非常事態宣言中)なのにまともに上手く動くように法律が作れない。
与党は自分の権力固持したいがために動かない
なんだかなぁ・・・。
投稿: 銀の狐 | 2011年7月 3日 (日) 10時09分
昨夜のNスペ「石巻赤十字病院の闘い」なんか見ると、原発関連も大事だけど、未だに水没してて上下水道インフラが復旧しないまま感染症と戦う石巻市なんか…さっさと国が対策やれ!と。
3次補正でドンとカネ撒いて住宅を高台移転するとか言ってるけど。
どうやって市民のコンセンサス取るんだか。
場所あんのか?
また、80年代に市の財政傾かせながら無理矢理誘致した石巻専修大学(だいぶ上流にある)が、今回は基地として昨日した。
投稿: 山形 | 2011年7月 3日 (日) 13時52分
失礼×昨日
〇機能です(汗)
まだまだ劣悪な環境の避難所や自宅の2階に止まる人多数。ボランティアがいくら行っても足りない。
ちょっとした切り傷からの破傷風感染まで起きて、諦めの境地になって移動を拒み衰えて亡くなる方も多い。
投稿: 山形 | 2011年7月 3日 (日) 14時00分
3連投失礼しますm(__)m
消費税上げるにしても、食料や医薬品は外すとかいろいろやりようはあろうに…。
なんか、昔の物品税みたいな昭和の匂いがするけど。
投稿: 山形 | 2011年7月 3日 (日) 14時05分
昔の物品税みたいな昭和の匂いがするけど>>>>
この物品税方式は、還付方式と言って、高価なものでも、その場所では、必要で、免税にした方が良い場合は、免税申請できたのですよね。
当時は、テレビですら、高級品として、物品税が掛かってましたから。。
つまり、経済的に援助すべき人や法人が購入した場合、免税申請して、妥当と判断されると、税金が戻ってきたのです。
今の消費税も、還付請求は出来ますが、購入者側が、ものすごい量の証明資料が必要ですので、税理士さんのお仕事になっちゃいますよね。物品税の還付請求は、販売店がしますので、購入者は、楽だったんですけどね。
まあ、消費税を決めるときも、福祉目的税として、選挙で勝って、一般消費税に変えてしまい、国民を騙したので、今度も、復興税議論をして、最後に、一般会計に入れる消費税ということで、強行採決とか?でしょうね。せめて、過去の借金を返したり、復興に、まじめに使えばよいけどね。
多分、原発再稼動で、地方に上乗せ金として、ばら撒く金に、消えるのでしょうね。あるいは、おフランスや、米国の福島応援企業に支払うとか。。
投稿: りぼん。 | 2011年7月 3日 (日) 17時35分
頼みの与党議員さんも「十勝」代表は裁判中ですし、連立組む「新党○地」の代表も収監中だし、なんともはや・・・・いざというとき役に立ちません。。。。
この国にはまともな議員さんはいません。(我が地域だけか・・・)
銀の狐さんが仰るとおり、震災後120日経とうとしていますが、このざまでは解散総選挙に一ヶ月費やしても、そのほうが早いかもしれませんね。
史上最悪の政府や国会議員・・・1000年に一度の震災時に丁度ぶつかった・・・選んだ国民に対して、ある意味責任を認識させる事象なのかもしれません。
次回選挙では良く考えて投票することを、教えてくれていると思います。
投稿: 北海道 | 2011年7月 3日 (日) 17時43分
青空です。
国家は本気で今回の放射能汚染自体を「なかったこと」にしようと考えているのでしょうか。
震災発生から4カ月です。4カ月あればできることなどいくらでもあったはずです。
旧ソ連の中でも筆頭の貧困国であるベラルーシやその近隣国ですら除染作業や土壌の入れ替え等は相当な規模で実施したのに遥かに人口も、技師も、技術も重機も有するわが国では小枝一本動かそうとしないとはだんだん恐ろしくなってきました。
「ただちに影響のある」汚染は存在しないのだから、除染や放射能汚染物質として区分けされる汚染物は存在しない、だからそのままでよい。あるいは更に風評被害が発生すれば元ニュースキャスターの大臣などを担ぎ、「業界には厳重に注意した」とのたまい、被害がでれば「それは東電の問題だ」などと本気で口に出すのではと気が気でありません。
4か月の政治空白を生みだした最主犯格は現在の与党執行部の無能ですが、それ以上に与野党雁首そろえた数百人に及ぶ与野党国会議員の無能さは怒りを通り過ごしました。
彼らは4カ月あったのですから津波重被災地の被害状況や原発避難指定地域や避難所に「当然」その足と目で頭に焼き付けてきたと確信していますが、万が一4ヶ月間ただの一度もそれをしていないものがいるとしたら必ず糾弾してやりたく思います。
東日本大震災は日本津々浦々の近い日のそれぞれの地域の起こりうる惨事やもしれぬのに、その影響を自身で分析し、各々の地域で不足するものはなにかを、自らの目で見て考えることをしないような議員がそれぞれの選挙区の代表者であるとすれば由々しき問題です。
北海道様のご指摘の通り1000年に一度の惨事にして近代150年で最も無能な政治体制を戴くとは不幸の極みです。国民の選択失敗であり他国をして自業自得といわれても何も言えませんが、憤懣やる方ない…思いです。
投稿: 青空 | 2011年7月 3日 (日) 22時52分
ちょっと前の議会の応答質疑を見ると・・。
民主党政権についての答えを見ると何も考えてないし、それを反省もしない・・・。
というか答える気すらない。のらりくらりという言葉がこれほど合う人間は見た事がない。
それでいて4年任せてもらえれば結果がでるとのたまう・・・・・。
はっきり言いますが4年も民主党になんか任せていたら本気で日本潰れます・・・・。
自民ですら自分達が負けた理由は認めているにもかかわらず全然自分らが支持率下がっている理由を認めてないんだもん・・・・。
私達はちゃんと実行してちゃんと期待にこたえていますって・・・期待になんかこれぽっちもこたえられてないじゃん・・・。
最悪を通り越して最悪最低状態ですからね。
投稿: 銀の狐 | 2011年7月 3日 (日) 23時51分
はじめまして。
福島県中通り在住の者です。
原発事故以来このページを見つけ拝見させていただいておりました。いつも的確なコメント・アドバイスに感心しております。
今回私がメールしましたのは「国は私たち国民をモルモットにでもしたいのでしょうか?」というのに同感だからです。これまでの東電・政府・福島県の対応を見ても国民を県民と守ろうと気がうかがえません。
特に福島県知事には誠意もリーダーシップも何も感じません。不信感と不誠実さだけです。
老朽化した原発を許可し危険なプルサーマルを受け入れた責任もそっちのけで自分も被害者を装った態度と県民に多大な迷惑をかけたのは東電や政府で自分は一生懸命交渉している的な態度をみせてはいるが同じ穴のむじなだと思います。
こんな大変事故に対してのすべての対応の遅さにはさすがに???裏があると思いました。
土壌汚染たいしたことありませんよ。被曝してもすぐには健康に被害なんてありません。放射能リスクアドバイザーの偉い先生がそう言っているのだから。そのまま被曝していてください。30年間はちゃんとデータを取りますから安心してください。子供が鼻血・のどが痛い・下痢・みんな気のせいですよ。まだ100mSV浴びてないでしょ?大丈夫です。がんは数年後からですよ!
でもデーターは取っておきましょうね。せっかくレベル7でチェルノブイリのように世界レベルになったんですから。もったいないでしょ。あっ・それに4か月前に日本初で放射性セシウム体内除去剤が認可されましたからついでに飲んでください。効果も知りたいので・・・って感じのページをみつけました・・・
これは驚きです・・・日本の終わりを感じました・・・米国・仏国のモルモット決定ですね・・・
http://jmatome.blog39.fc2.com/blog-entry-306.html
なんか悲しくなってしまいました・・・
本当にモルモットにしたいのだと確信したくなるようなページを見つけました。
投稿: 福島県民 | 2011年7月 4日 (月) 11時40分