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2011年7月17日 (日)

放射能災害における棄民政策

003

白河で検出されて肉牛農家に販売されてしまったために大きな事件に発展したセシウム検出の稲藁の保管状況がわかってきました。 

確かに稲藁は収穫時の田んぼに置かれていました。しかし、ブルーシートで覆ってあったようです。

・・・なんと! 

前回の白河の組合に責任が「ある」と書いてしまったことをこのように修正します。
「責任はあることは確かだが、限定的なものである」。
 

白河の組合はラッピング(*梱包用ポリシートで密着包装すること)こそしていませんでしたが、ブルーシートで覆っていました。通常はこれで放射性物質は防げると思ったとしても不思議ではありません。 

3月中旬から下旬の時点で、私たち農業者は放射能の知識などまるでありませんでした。この私ですら、あれから4カ月間、いやおうなしに勉強させられてしまったのですが、3月の時点での放射性物質に対する知識など危ないものでした。

ではここでいい機会ですから、セシウムを簡単におさらいしてみましょう。 

セシウムとヨウ素という放射性元素はβ(ベータ)崩壊してベータ線を出します。あのもっと怖いブルトニウムやウランはα崩壊してアルファ線を出します。 

意外なことですが、α線は重くて遅いので、紙ペラ一枚で遮蔽が可能です。厚さ0.02㎜くらいのアルミ箔や紙で防ぐことが可能です。 

セシウム、ヨウ素といった聞き慣れた(←聞き慣れたかねぇよ)β線を出す放射性物質はどうかというと、α線より軽く、速い性質を持つために、厚さが1㎝くらいのアルミ板か3㎜の銅板、鉛板でないと防げません。 

下敷き一枚で大丈夫という人もいますが、あまり自分じゃやってみたくないですね。 

ちなみにγ(ガンマ)線は電磁波なので、鉛10㎝くらい持ってこないとダメです。 

では、今回問題となった野積み藁にかけてあったブルーシートはどうかと言えば、残念ですが、β線であるセシウムやヨウ素は透過してしまいます。 

ブルーシートではなく、表面にアルミを蒸着させたシルバーシートならばあるいは防げたかもしれません。 

いずれにせよ、私がここで注意を喚起したいことは、「あの時点」でそんなベータ線の透過がどうたらということを知っていた農家など、原発反対運動をしていた人を除けば、日本に両手両足の数くらいしかいなかったことです。 

もちろん私だってえばることではありませんが知りはしません。知らなくて当たり前です。だから、この白河の農家はブルーシートをかければ大丈夫だと思ったのでしょう。 

私でさえ、「あの時点」ならばそうしたかもしれません。結果論で「今」を知っているから、何でも言えるのです。 

しかしその知識は「あの時点」、つまり3月中旬から数カ月たって情報が浸透してきたものです。 

水素爆発が起きた3月12日、15日、そして放射能雲(プルーム)が移動した20日からの時点で、ほとんどすべての国民は放射能に対する知識はおろか、現時点での情報すら与えられていませんでした。 

与えられていたのは、枝野官房長官からの「直ちに健康に被害はありません」、「炉心融解は起きていません」、「レベル4です」といったヨタ話だけだったのではありませんか。 

ハッキリ言って、最低最悪の情報の出し方です。その中で、確かに農水省は屋外にある牧草は使用禁止と通達しています。 

しかしそれも昨日書いたように、3月19日に農水省から指導が出たには出ましたが、東北農政局を通じて福島のJAなどの農業団体に伝わったのは翌20日です。 

しかも連休だったので、各農家に通知したのは22日。JA系列以外の農業団体には通達さえ来ていなかったのです。おそらくは、この白河有機農業研究会には通達すら来なかったのではないでしょうか。 

しかし、この「失われた3日間」の時期こそ、まさに放射能雲が福島の頭上を移動しているまさにその時だったのです。 

その上、農水省は外部スクリーニングのみで大丈夫」という明らかに誤った測定方式を福島県に命じています。

内部被曝検査は、福島県は6台しか保有しておらず野菜で手一杯ならば、尿検査という手段だってあったはずです。 

政府にお聞きしたい。
政府は福島県全域、茨城県ほぼ全域、千葉県房総半島を除くほぼ全域、そして栃木県の一部、群馬県の一部、岩手県の一部、東京都の一部に対して的確な放射能情報を与えたのですか?

いや、まったく与えてはいない。放射能雲が通過していることをSPEEDIという原子力安全・保安院が管理するスパコン予報システムで知りながら、一切の情報を握り潰し、国民を放射能雲の通過に無防備で立ち向かわせ、3月22日の放射能雨に打たせたのです。

この罪をぜったいに許してはならない。私は、このようなことを放射能災害における棄民政策と呼びます。

ああ、いかん血圧が上がる。過呼吸になる。ゼーゼー(笑)。

政府はこう福島、茨城、千葉の農民に警告を出すべきでした。

●3月12日以降の露地野菜、牧草、お茶はすべての検査が終了し、安全が確認されるまで出荷してはならない。

●野外に野積みしてある去年産の稲藁、乾燥牧草は至急室内に取り込むこと。そして測定を待つこと。それまでの使用は厳に禁じる。

●屋外の蓋がない用水、貯水槽は測定が終了し、安全が確認されるまで使用を禁じる。

●3月22日の降雨がかかった場合は、直ちに衣類や靴類を荒い、シャワーを浴びて洗浄すること。

●これらの政府通達による農業被害はすべて国家が責任をもって補償する。

このていどの警告と指示は、政府にはひと山ほど原子力の専門家がいるのですから出せたはずです。しかしそれをしなかった。

こういうことを「行政の不作為」といいます。

政府として成すべきことがあり、それが可能だったにも関わらずしなかったために国民の生活と健康に大きな被害を与えたのです。

私はこの行政の不作為のもっとも大きな被害者のひとりが、牛肉を出荷してしまった農民たちであり、そして政府の適切な指示と情報提供を受けなかったために加害者の烙印を押された白河の農家の人たちだったと思うのです。

 

 

 

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。 

流通先、33都道府県に拡大=餌汚染の牛42頭―福島 

 福島県浅川町の農家が肉牛に餌として与えた稲わらから放射性セシウムが検出された問題で、この農家が出荷した肉牛42頭の流通先は33都道府県に拡大したことが16日、分かった。埼玉県内で保管されていた牛肉からは、食品衛生法に基づく暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)の4倍を超える2100ベクレルのセシウムが検出された。
 
 東京都も同日、東京食肉市場(港区)で競り売りされた21頭のうち、2頭の牛肉から暫定規制値を超える670ベクレルと610ベクレルのセシウムが検出されたと発表した。一部は都内と埼玉、静岡両県の業者に販売されていた。この他、山梨県に流通した牛肉から680ベクレル、岐阜県で保管されていた牛肉から630ベクレル、青森県で保管されていた牛肉から1050ベクレルのセシウムが検出された。
 
 この日は、北海道、新潟県、京都府、和歌山県などで牛肉が流通していたことが新たに確認された。北海道では、札幌市の食肉卸業者が、芦別市の食肉販売業者と恵庭市の飲食店に計12.3キロを販売。新潟県では5月に約22キロが新潟市内のホテルで調理され、全て消費された。京都府では5月に約85キロが府内の飲食店に販売され、全て調理して客に提供された。
時事通信 7月17日(日)0時29分配信
            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。
■早川由紀夫群馬大教授作成による放射能雲の移動図
(白河の位置を確認ください。図版の版を大きくしました。クリックすると大きくなります。参考のために引用させていただきました。ありがとうございます。)
Photo
緑色と黄色のエリアに注目。緑色は0.25μSv/h(毎時マイクロシーベルト)以上、黄色は0.5μSv/hから1μSv/hのあいだです。
爆発以前の関東地方の放射線量はだいたい.05μSv/h前後ですから、5倍から20倍は高い数値が観測されています。

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コメント

藁に放射性物質が吸着されたんじゃないでしょうか?

まあ、考えてみれば、ブルーシートのような、目の粗いシートでは、防げないでしょうね。

まあ、2重にラッピングすれば、まだ、良かったとおもうでしょうが、田んぼ農家さんには、わからないことなので、行政が通知しないと駄目でしょうね。

同様に、わがペット豚さんも、しっかり、登録諸費用は、役所が持って行きましたが、伝染病の発生状態など、牛飼いさん、養豚場などには、FAXで伝わりますが、わが家には、1通のFAXが来ませんね。

再三、尾張家畜保健衛生所には、一斉同報FAXリストに、伝染病だけは、情報を流してくれ!と言うのですが、流してくれません。

水牛農家と同じ、ペット扱いだからだそうです。

ただし、水牛も豚も動物園の偶蹄類も、口蹄疫には、掛かります。

自前でアンチックビルコンSを持ってますので、消毒はしましたけど。

情報の谷間ですね。

稲ワラの保管状況が判って、ワラの汚染が何故起きたかと言う疑問の一つが氷解しました。
結局、その稲ワラが危険なのかそうでないのか?判断する材料がないままに、給与してしまったということですよね。
ちゃんと情報が出ていれば、こんな事は起こらなかったと私は思います。

今朝のTVで、東京副知事の猪瀬氏もSPEEDIについて述べておられましたが、ちゃんとしたデータを基に、きめ細かな対策をとらないと、今まで通りの県単位の出荷制限云々では、同じことの繰り返しだ。また、農水や厚労省の官僚がいかに責任をとらないように苦心いした文章を作っているかも示していましたよ。
あれは、面白かった。

改正家伝法も7月1日施行と10月施行分があるようですが、近々に委員会が開催され10月施行の中身が議論されるようです。

消毒などを牧場に義務を課していますが、未だに感染経路(原因)や拡大経路が正式に公開していないのが私には理解できません。(公開しているのかも知れませんが、知り得ていません)
原因が分からなければ対応の仕方も分かりません。
ただ単に「消毒」を励行していれば、感染を防げるものでもないし、家畜の観察を行っていて異常家畜を早期に届ければ良いだけの問題ではない気がしています。
昨年、あれだけ町中を消毒薬散布しても拡大に歯止めが掛からなかったのに、消毒を過信し頼っていいものかどうか?しないよりはした方が良いのは分かっていますが、それがどれほどの拡大阻止に効果があるのかも分かりません。

今回の放射線問題も同じで、情報も無い中で、加えて原発事故自体を想定して居なく、事故発生時の法律でさえ慌てて作る状況では、一般農家に専門家的な知識を要求するのは無理があります。

被害者は農家(全国の)・消費者・流通業者・焼き肉店などです。
今朝のテレビ番組を見ていても、寝ぼけた意見しか言わない議員様方々です。
誰がやっても「似たりごんべい(言い方が古いですね)」ですから期待は出来ないでしょう・・・

農業者自らは当然ですが、JAや全農など農業団体の本領を発揮して、消費者に対する正確な情報提供と、政府には情報開示の要求を行うべきです。
情報隠ぺいがハッキリしたら、刑事罰を与えるくらいの法律改正が必要なのではないでしょうか?
国民に厳しく自分たちには甘い議員や官僚ですから・・・時には厳しく断罪する事も必要です。

完全に乾燥した稲わらはロールするだけでラップは普通しないでしょう。私ならそうします。この農家も毎年同じようにしていたと思います。

何日か前のcowboy様の北海道様への質問の関連するのですが、宮城県では、田んぼに放置した稲わらを春に収集する習慣があるようです。ですから、福島でも同じかもしれません。

宮城県が利用自粛 原発事故後の稲わら (07月16日 日本農業新聞)

 宮城県は15日、原発事故後に収集した稲わらを肥育牛と乳牛に与えないよう、県内全域の農家に要請した。県内3カ所の稲わらから、乳牛と肥育牛の暫定許容値(1キロ当たり300ベクレル)を上回る放射性セシウムを検出したため。原発事故後に収集した稲わらを与えた肥育牛の出荷自粛も要請した。

 許容値を超えたのは登米市南方、同市石越、栗原市瀬峰の畜産農家から13日に取ったもの。稲わらはそれぞれの市内で生産され、原発事故発生時に水田に置いてあり、3月下旬から4月に収集して屋根付き保管所にあった。放射性セシウムの値は、許容値の条件と同じ水分80%に換算すると、1キロ当たり372~831ベクレルだった。

 1カ所の肥育農家はわらを牛に与えたが、牛は出荷されていないという。秋の収穫期に稲わらを収集せず、春まで水田に置いている農家が登米市と栗原市で多いため、同地で調査を行った。

 県は14日から、事故後に収集した稲わらを肥育牛に与えていないかどうかについて、県内の全肥育農家900戸に聞き取り調査を行っている。


宮城・喜多方・郡山・白河で見つかった汚染された稲わら、
群馬大学早川由紀夫教授による放射能雲の移動概念図どおりです。

今からでも、早川教授の地図上の全ての農家に対して自治体やJAは公開周知すべきと思います。日本農業新聞でも取り上げてもらいたいです。

北海道さんへ
先日は、私の質問に丁寧な返答をいただき、ありがとうございました。
やはり、同じ雪国であっても、地方により、ワラの収穫には、違いがあるようですね。

南の島さんへ
ワラの保管に関する情報、ありがとうございました。
なるほど、宮城でこうなら、福島でも同様のことが考えられます。
ただ、何故、春先まで水田に放置するんでしょうね。
これは、推論ですが、肝蛭症を避けるための知恵かも知れないですね。
山水が近くにを流れていると、ワラにヒメモノアラガイが付着するので、それの駆除のために、一冬、外気に晒すのかもしれません。
こちらでも、乾燥させたワラは、ラップ(ストレッチフィルムでパック)しませんが、できれば、一冬越したものを与えた方が良いとされています。
一部には、「農薬が抜ける」からという迷信もあるようですが。

ブログ主さんへ
今日の記事で、少し、分からないところがあります。
ブルーシートで、覆われたワラには、放射性Csなどが付着するんでしょうか?
いくら目が粗いとはいえ、水は通しませんよ。
β線(放射線)がブルーシートを容易に透過することは、理解できますが、果たして、放射性Cs自体が、浸透し、ワラに付着するものでしょうか。
「放射線が透過」≠「放射性物質が浸透・付着」だと思うんですが。
換言すれば、今回、ワラから検出されたのは、放射性Csであり、β線ではないですよね。
β線を一度浴びると、ある程度の期間、その浴びた物質から放射性物質が検出されるわけはないですよね。

稲ワラの水田保管は単純に保管場所の問題なのではないでしょうか?稲作農家にとって、ワラは言わば要らないものですから、それをわざわざ保管場所を作って屋内保管するのはないかと。畜産農家の保管場所が空いた時に直接搬入した方が合理的です。

ワラを覆っていたブルーシートは間違いなく放射性物質で汚染されていたはずですから、覆いを取るときにワラが汚染されたか?あるいは、ワラをトラック等に積むときに、放射性物質が降ったか?搬入直前にブルーシートを外していたか?いずれにしろ野外にあれば、汚染のリスクは大きいかと。

放射能が移っていくメカニズムが良く理解できません。
初めはこの問題は放射線を帯びたゴミの問題かと思っていたのです。 それならばゴミを通さないシートで覆えば十分な筈ですね。 然しそうじゃないのですね。
シートが放射線を通す性質のものだと時間の経過と共にその下の物質が放射能を帯びるのですね。

だから稲藁の場合も放射能ゴミが付着している訳では無く、放射能を帯びているだけなのでしょうか。

シートで覆うのも屋根の下に入れるのも、ゴミや水を防ぐことでは同じように見えますが、矢張り屋根はしっかりした材料で作られており、又ゴミと保護している対象物の間にある距離が放射能の影響を和らげるのでしょうか。

そして牛に摂取された飼料が消化管内を通過していくうちに筋肉組織が放射能を帯びるのでしょうか。 それとも同化される栄養分も等しく放射能を帯びていて筋肉に移っていくのでしょうか。

身体組織の70%は水ですが、水という物質はそれ自身が放射能を帯びるのでしょうか。 

崎山比早子先生の話「人間が放射能を出す(放射化)様な線量を浴びたら間違いなく死ぬ」わけですから藁がシートを介して放射化したとは思えません。むしろ地面の上に直接置かれていたら雨水を介して汚染される可能性は高いと思います。
千葉市の住民ですが雨樋下を線量計ではかったら1μSv/hでびっくりしました。局所的ですが土壌だと3万ベクレル/kgは軽く超えているかもしれません。

Cowboy@ebino 様。
私にもわかりません。素人考えだとお断りしてお答えします。

おそらくは放射能雲は希ガスとなった高濃度放射性物質の雲状の固まりです。
これが通過中には高い濃度の放射線が地上に照射されていたはずです。

これは一種の電気ですから、雨によるフォールアウトとは違って、シートの目が粗い細かいは関係なく透過したのではないでしょうか。

そしてワラも透過し、おそらくは地中にも入ったとおもいます。その過程で大量の放射性物質を残留させました。

それはおっしゃるとおり大部分はいったんは消えますが、残存した放射性物質からグランドシャイン現象で、地中や地表面からワラに放射線を照射し続けます。

今勉強中なのですが(汗)、プルームとグランドシャイン現象は対になって現れるようです。

ちなみに今日の早川先生の図は大きいものに差し替えましたので、もう少し見やすくなったはずです。

セシウム137はウランの核分裂でないとできないはずですし、セシウム134はセシウム133に中性子が捕獲されてできるものではないでしょうか。γ線を照射されてもセシウム133はセシウム137や134にはならないはずです。

あおやまさん。私たちは素人です。素人議論だというのを承知で話あっています。あなたの書き方では私には理解不能です。
そしてもう一点。私のテーマはγ線がどうしてということになく、政府の原子力事故の棄民政策にあります。

それをまったくスルーしてこのような放射線議論の奥の細道に入るのはいかがなものかと思いますが。

前回の投稿で間違いがありましたので訂正します、もうしわけありません。土壌で考えると3万ベクレ/kgと書きましたが30万ベクレル/m2≒6000ベクレル/kgが正しい、といってもあくまで換算値ですが。
「シートで覆った」と言っても地面にシートを敷き稲わらを完全に覆い(シートの端は必ず重ね合わせる)ロープで縛るなどの対策を講じたのなら汚染は無視できる範囲だったと推測します。セシウムは水溶性ですから単に被せただけならシート表面に積もった降下物は端部から結露や雨水によって徐々に稲わらにしみこんで行くでしょう。民家の屋根に降り積もった降下物も濃縮されれば1μSv/hくらいの線量にはなるという事です。

新たに411頭!大変な事態になっています。


濱田様とは違う情報を見つけました。
白河有機農業研究会の稲わらは原発事故後に収集したというものです。


稲わら260束納入 国、県から注意喚起なく 白河の農家団体(福島民報7月16日)

 福島県浅川町の畜産農家に放射性物質が付着した稲わらを出荷した白河市の「白河有機農業研究会」代表の農家男性(60)は15日、記者会見した。稲わらは白河市舟田の水田で取り、一束150キロの稲わら約260束を、この農家に納入したことを明らかにした。
 男性によると、昨年末からの天候不順で稲わらが乾燥しなかったため、福島第一原発の事故が発生した3月12日以降も水田に放置していた。
 放射性物質を含んでいるという認識はなかったという。男性は「原発から80キロも離れているのでまさか、という思いが強かった。本当に申し訳ないことをした」と苦渋の表情で語った。一方、国や県からの注意喚起が今週までなかったとして、「もっと早く放射性物質に関する情報をつかんでいれば、こんな状況にはならなかった」と対応を批判した。
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/07/post_1552.html


しかし、この件を検索して目につくのは、原発から遠いので汚染されているとは思わなかったという言葉です。
早川教授のインパクトのある図表を私も目にしたのは最近です。
広い範囲にセシウムが降ったニュースやデータは確かにあったのですが、多数の農家が警戒心を持つには不十分だったと思います。

但し、農水省が稲わらは盲点だった、まさか春に収集するとは思わなかったという言葉には、全く納得出来ないです。
東北の稲作農家や畜産農家の事を役人たちが
知らないか、如実に示しています。

食べてみたいなぁと思ってしまう養鶏の話、今回の事故に対して食を生産する農家さんとして熱心な態度など、興味深く、立ち寄らせていただきました。

ところで、放射能の基本的理解で気になった点があったので書き込みさせてください。
下の文に代表される点についてです。
>では、今回問題となった野積み藁にかけてあったブルーシートはどうかと言えば、残念ですが、β線であるセシウムやヨウ素は透過してしまいます。

よく使われる例に 「電球」にたとえた話があります。電球が放射性物質、そこから出る光が放射線、光を放射する性質(能力)が放射能 という例えです。

α線β線γ線とか言うのは放射線「光」の種類です。
セシウムとかヨウ素とか云うのが放射性物質「電球」の種類です。
セシウムやヨウ素は「電球」であり、β線「光」とは区分が違います。

ブルーシートは「光」の種類によっては遮れたり、遮れなかったりです。α線は遮るでしょうけど、β線はすっかり怪しくて、γ線にはからっきしというぐらい透過させてしまうでしょう。
でも、「電球」である放射性物質はそれが(α線を出す)ウランだろうが、(β線とγ線を出す)セシウムだろうが種類を問わず、そう簡単には通させないと思います。もし、シートが掛けてあったのなら、水を遮れるならブルーシートなら「放射性物質」の付着は防げます。もちろん隙間から、忍び込むとかはありそうですがね・・・

それから、「グラウンドシャイン現象」という言葉初めて知りました。少し調べてみたら、
スカイシャイン(直接線):原子力施設内に漏洩した放射性物質から臨界事故等の核反応により施設外に放出される放射線(γ線、中性子線)による外部被曝
クラウドシャイン:放射性雲(プルーム)中の放射性物質からの放射線(β線、γ線)による外部被ばく
グラウンドシャイン:プルームから地表面に沈着した放射線物質からの放射線(γ線)による外部被ばく
…という、記述にぶつかりました。
プルームは通り過ぎたのに、今も各地で観測されている通常より高い空間線量はグラウンドシャインによるものです。
また、上記説明中に「地表面に沈着」とありますが、「稲わらに沈着」してしまったのが、問題のセシウム稲わらですね。

なんか、説明的な事を長くつづけてしまい、すみません。

今日も新たな牛や藁が見つかっています。少しでも類例が少ないことを祈ってます。有効な対処が手早く打たれて、農畜産業への信頼がより早く回復されるのを願ってやみません。濱田さんの鶏さんたちも卵にも、当たり前の(でもそれが幸せな)日常が戻りますように。

こんにちは。ブルーシートを通る放射線アルファ、ベータ、ガンマ線ともに稲わらの細胞をミクロに傷つけることはあっても、稲わらを放射性物質に変化させることはありません。稲わらの細胞は乾燥して死んでるわけですし、放射線を当てたらから害があるということにはなりません。放射化という現象は原子炉の中で核分裂が起きたときにできる中性子線が原子に当たることで起こります。ですから、東海村の臨界事故や原子炉の中で起きることです。混同しやすいと思いますが(笑)
今問題になってるのはウランが核分裂してできた放射性物質セシウム137、134ですね。これは原子炉から漏れてきた物質が空を舞って稲わらに付着したのが問題になってるんですね。ブルーシートに穴が空いてなければ付着しにくいと思われますが、付着したとすれば完全に覆って無かったかシートが水漏れして水に溶けたセシウムが付着したとか、そういうことが考えられます。
このケースについてはブルーシートを通る放射線についての害は考慮しなくて良いと思います。放射線については生き物の細胞、染色体に害を与えて生きている細胞を異常(ガンの元)にするのが問題になります。

ある程度知識がある理系のモノです。放射線はブルーシートで防げない場合もありますが、放射性物質は一般的に通過できません。放射線を浴びて放射性物質になることも考えにくいです。ただ、別の方の指摘のようにブルーシートの隙間から雨とともに放射性物質が流れ込んだことは十分考えられます。

管理人もご認識の通り、この問題を放置した政府に対する課題意識からこの記事を書かれていると思いますのでそこは同意しますが、予断を許す(=風評被害を増やす)ような書き方は良くないかなと思いまして、コメントさせて頂きました。

今後もがんばってください。

通りすがりさん
通りすがり2さん

大変、簡潔でよく分かるご説明でした。
放射線が当たったからと言って、放射性物質になるわけではない、やはりそうですか。
もし、そうなら、RIをトレーサーなどに使えるわけが無い。
ありがとうございました。

そして、稲ワラから放射性Csが検出された訳も、氷解しました。
ご指摘の通り、確かに、ブルーシートは、2年も使えば、同じ折り目から水が沁みこむ事は十分に考えられます。また、カラスなどの鳥が突くことも。
ましてや、ある程度、濡れることを甘受できる対象(今回は、稲ワラ)であれば、上等で新品のブルーシートを使うとは考えにくいです。まぁ、この部分は、想像の域を脱しませんが。
そのブルーシートを見てみたいところです。

青空です。

通りすがり様のご意見から類推すると穴や解れからの新党によるものとなりますね。

放射性物質が大量に空中にばら撒かれてそれが降り注いだのはその3月15日~17日だったとすると、宮城県、福島県の農家が稲藁にブルーシートを全量かけられたかというと難しかった気がします。

電力の復旧は3月14日~16日です。
そしてなにより大型ホームセンターの営業再開は3月20日以降が中心です。
開いていた店舗はいくつかありましたが、ほとんど5~6時間の行列が必要でした。
何より本震で戸建の多くは屋根瓦が落ちブルーシートは極端な品薄になったはずです。
テレビがつき被災地でまず目に入ったのは津波の参上と原発事故ですが、その折は懸念は小さいとの報道大合唱だったと記憶しています。

断水は続いておりガスは途絶していた環境下で最初の2週間はほとんどの被災市民は当座の食料水とガソリンの確保と沿岸親族の救援に奔走していました。

また、畜産農家は配合飼料の途絶によりとにかく飼料集めに奔走していたはずです。

これほどの規模になったことは残念ですが、ある意味こうなったことは必然でもあったのかもしれません。
ただ政府がもっと早く(せめて3月下旬以降)に畜産農家へ給付不可を呼びかけていれば状況が悪化しなかったことは確かだと感じます。

なるほど。ブルーシートは透過しても放射性物質に転換しないということですね。了解しました。

この部分を修正する記事を出します。となるとおそらくはシートの穴やシートの端からの侵入。あるいはワラを集めた時に土と一緒に入ったというところでしょうか。

そしておそらくは白河の組合では大部分がシートそのものをかけていなかった、いたとしても上のほうが被るていどだったと思われます。

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