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2011年7月22日 (金)

私たちが作るものに放射能が混ざっていたら、私たち農業者は命ではなく汚染を手渡してしまう

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原発事故による放射能の飛散は複合汚染の様相を呈してきました。

「複合汚染」という言葉は、私たち有機農業関係者には原点ともいえる有吉佐和子さんの同名の小説によります。

あの本が書かれた1970年代初期は、まさにありとあらゆる汚染源がほとんど無規制のままに社会にあふれ返っていました。

排気ガス、食品添加物、工場排水、投棄された重金属類、そして私たち農業分野でも化学農薬が支配する時代になっていきます。

それはまたたく間に日本全土を公害の中に沈めていきます。日本人はその汚濁を実に半世紀かけてきれいにしていかねばなりませんでした。

あの時に戻ったような気がします。あの1970年代、実は1960年代初期から既に始まっていた複合汚染の時代に、です。

複合汚染という言葉はふたつの意味を持ちます。

ひとつめの意味は、発生源が多重であることです。

そしてもうひとつの意味は、それが複雑に絡まりあって新しい次の汚染を引き起こすことです。

「発生源が多重である」というのは、一見今回の福島第1原発事故には合わない気がするかもしれません。しかしそうでしょうか。

1号炉と3号炉の水素爆発により、放射線物質はおどろくほど広範囲に拡散しました。そして放射性物質を高濃度に含んだ排水が海に放出されました。

放射性物質はただあることだけで、放射能を照射し続けます。その放射能の照射点が空中にも、土壌中にも、そして海中にも無数に生まれたことになります。

いったん放出された放射性物質は、死滅することはありません。移動したりすることはあっても、消え失せることはありえません。そして生態系に棲む生物の細胞を長年に渡って傷つけていきます。

まさに多重な汚染発生源の誕生です。

これらの多重な汚染発生源は、互いに複雑にからまりあって汚染を拡大していくようになります。

たとえば、今回のセシウム牛事件をみてみましょう。放射性物質がフォールアウトした牧草、藁に付着し、それを食べた牛もまたセシウム汚染されてしまいました。

そしてこのセシウム藁は全国の牛農家に配送されて既に使用されてしまい、そこからまた新たなセシウム牛が発生しました。

その牛肉は大量に市場に流れており、回収は絶望的です。

今後、このような新しい汚染の連鎖がいくつも登場することを、私たちは覚悟せねばなりません。

特に海中に投棄されたストロンチウムの検査がほとんどなされておらず、魚の骨を通じた新しい連鎖はまったく未知数です。

牧草の検査も茨城県では手つかずの状態です。福島県ではフォールアウトが比較的少ない地域においてすら藁の汚染があったのに、茨城県は未だ全県的な検査に着手していません。

いや土壌測定すら手つかずです。なにか時間が止まったような気がするほどです。

この汚染の連鎖を断ち切るためには、今できることはたった二つしかありません。

まず、現状を知ること。県は責任を持って県の汚染状況を空気、土、水、作物のすべてに渡って測定し、データを集積し、公表することです。

みずからが住み、生産する土地がどれだけ汚染されているのかを知らずして何も始まりません。

次に、その除染をすることです。茨城県ではまったく除染活動がなされていません。「除染すると、汚れていることを認めたことになる」、という本末転倒した考えが県行政のみならず、私たち農業者の中にも根強く張っているからです。

農業というのは、食べ物を作り消費者に食べてもらう行為により命の鎖を繋げている仕事です。

しかし、その鎖のひとかけらに放射能が混ざっていたら、私たち農業者は命ではなく汚染を手渡してしまう。そのことを心に刻むべきです。

この農業現場で汚染の鎖を断ち切る覚悟を決めねばなりません。農業という分野が放射能汚染のハブなのです。

私たちは意識せざる加害者になっては絶対にならないのです。つらい現実ですが、立ち向かうしかありません。

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コメント

農業は汚染のハブになる。
農業を営む方からはなかなか言いにくいことでしょう。誠実な言葉だと思います。

セシウム牛は国が全量買い取ると農水省から発表がありましたが、手法や価格はどうするんですかねえ。
また、焼却処分すると言ってましたが、セシウムは消えません。焼却施設のフィルタに掛かるもんなのですかね…。

現在NPOなどでひまわり作戦を積極的にやってるところもあるようですが、作業者の被曝危険性と後処理の問題で、先に研究していたJAXAの先生も「今はやめて」と訴えてます。飯舘で鹿野大臣が実験やる前から。
専用処理施設の建設なども含め、相当な根回しと被曝対策が必要になるようです。

本当に放射能とは厄介なもんです。
量子加速機でビームぶち当てて元素構造を変化させ無害化する新技術でも開発されて、かつ安全にマスプロでやれるようにでもならないと…。無理だよなあ。

http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/topics/data/hodo-230721.pdf

すでに、東京江戸川清掃工場では、7月5日現在で、11470ベクレルの放射性セシウムを保管しています。8000ベクレル未満なら、焼却してしまうのですが、それも、焼却灰を、主灰、飛灰、焼却飛灰処理汚泥とに、分けて、煙突と放流水に分け、2週に1度程度しか、測定していないようですが、ヨウ素131は、峠を越えたようですが、セシウムは、増え続けていて、バリウムなど、安定同位体へは、まだまだ、変化していない様子です。

6月28日付け、環境省の通知文によるのだそうですが、焼却灰、飛灰、汚泥など、詳しく区分しての、指導は、環境省からは、来ていないので、一応の目安として、8000ベクレルを敷居値にしているようです。

根拠は、わかりませんが、堆肥への混入、セメント、ベントナイトへの混入、砕石代りのコンクリート基材への混入など、きちんとした、暫定基準のないまま、全国に、広がっている様子です。

まだ、東京23区は、集塵装置があるので、ガス化した多少のセシウムの吸着が出来るのかもしれませんが、24時間365日連続運転で、気化温度700度のセシウムが、全部、集塵吸着できているのかは、不明です。

http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/topics/shisetsukanri.htm

http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/

今回の放射能汚染の主要な核種はヨウ素131、セシウム134、セシウム137で、そのうち半減期が一番長いのがセシウム137の30年なので、大まかに言うと100年で10分の1、200年で100分の1、300年で1000分の1に減ります。汚染された土壌や汚泥などは、それ位の期間に渡って管理する必要がありそうです。
農作物については、土壌からの移行と葉面からの吸収ですが、3月~4月に生育した農作物は放射能雲からの葉面吸収で汚染された可能性が大です。土壌からの移行係数は、作物によってまちまちですが根菜類を除いては、それほど大きくはないような気がします。
今後は米と魚がどうなるかが気になります。楽観的ではありますが、それを乗り越えられたら消費者としては特異的に発生する高レベルの汚染されたものを除けば何とかなるのではと思っています。
ただ生産者は深刻ですね。信頼回復には継続的に放射性物質の含有量を計測して公表していくしかないと思います。

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