早川由紀夫教授の放射性物質飛散図の衝撃
現在、関東圏のみならず群馬、長野、岩手の各地でホットスポットが相当数見つかっています。
私の私見の目安である0.28μSv/hを超える地点が続出しています。高い地点では1μSv/hを超える地点も出ています。
現実には相当広範囲に放射性物質が飛散したことは確かなようです。
ではその原因は何かとなると、3月12日、3月15日の水素爆発による飛散だというところまでしかわかっていませんでした。
なぜなら、政府が情報をひた隠しにしているからです。例のSPEEDIですら、3月12日夜の北へ流れて飯館にかかっている図しか見ることができない有り様です。
馬淵前補佐官ですら「情報隠匿があった」と証言するほどの陰湿な情報秘匿により、市民はガイガーカウンターを求めてアキバに走らねばなりませんでした。
この役立たずのSPEEDIに替わって、福島第1原発からの詳細な放射性物質飛散図が現れました。
県内にいくつかのホットスポットを抱える群馬大学の火山学研究者である早川由紀夫教授の作成したものです。
教授は自らのブログでみずからの火山灰飛散のメカニズム手法を使って福島第1原発からの放射性物質の飛散図を公表しました。
(「早川由紀夫の火山ブログ」http://kipuka.blog70.fc2.com/)、
まずはこの早川教授の作成した飛散図からご覧ください。
(中川教授のブログより参考のために転載させて頂きました。ありがとうございます。
緑色と黄色のエリアに注目しよう。緑色は0.25μSv/h(毎時マイクロシーベルト)以上、黄色は0.5μSv/hから1μSv/hのあいだです。
3月12日以前は、関東地方の放射線量は0.05μSv/h前後だから、5倍から20倍は高い数値です。
続いて、これを拡散ルートごとに分けた概念図も見てみます。
(「週刊現代」7月16日号より参考のために転載させていただきました。ありがとうございます。クリックすると大きくなります)
早川教授のこの飛散図は、自治体や国が出した公的データを基にしています。タコの足のように四方に放射性物質の雲が伸びているのが分かります。
今まで北方向に伸びたことは確認されていましたが、その後の挙動が分からなかったのが一挙に解明されたわけです。
まず時系列を追って放射能雲の飛散ルートを検証していきます。
福島第1原発からの放射性物質の大量放出は大きく4回ありました。
●第1ルート/3月12日夜から・・・・・南相馬⇒太平洋⇒太平洋を北上⇒西旋回して女川から内陸に侵入⇒一関、平泉に到達
●第2ルート/3月15日午前中から・・・・太平洋を南下⇒いわきをかすめて、水戸から内陸へ侵入⇒3方向に分裂
・2-1ルート・・・宇都宮方向ルート
・2-2ルート・・・群馬方向ルート
・2-3ルート・・・首都圏に南下ルート
●第3ルート/3月15日夕方から・・・・北西に進み飯館⇒西旋回して内陸部へ⇒福島、二本松、郡山、那須⇒日光
●第4ルート/3月21日午前から・・・太平洋を南下⇒鉾田から内陸部へ⇒柏、松戸⇒東葛地区⇒東京湾⇒太平洋を南下⇒足柄⇒一部が静岡
東京の東葛地区を汚染したのはこの4回目の太平洋南下ルートです。
では第4ルート(3/21太平洋軟化ルート)が、なぜ途中の鉾田より線量が高い数値が出てしまうのでしょうか。
その原因は雨です。3月21日に北から放射性物質を運んできた風と、南からの湿った風がぶつかり、東葛地域に雨を降らせました。
ここには折り悪く金町浄水場があり、水道水から放射性物質が出たのはこれが原因でした。
あとともうひとつホットスポットが出来る要因は、地形です。山に放射能雲が差しかかった時に降雨があると、そこで高濃度のフォールアウトをします。足柄のお茶などがそのケースです。
足柄も第4ルートの末端に位置します。東葛から東京湾にいったん出て、そのまま太平洋を南下して内率部に再び入って、箱根山系の手前で降雨にあってフォールアウトしました。
これでお分かりのように、福島第1原発からの距離はいちおうお目安になりますが、距離はかならずしも絶対的なものではなく、そのときの風向き、降雨、地形が大きく左右します。
また水素爆発時だけではなく、爆発後の3月15日から高濃度な放出が観測されるなど未だ公表されていないことが沢山あるようです。
本来これは原子力安全・保安院がやるべき仕事です。政府はスパコンを駆使したSPEEDIでこの事実を3月中旬には知り得ていたはずです。
にもかかわらず、同心円的避難区域を設定した以外一切の対処を怠りました。今頃になってホットスポット対策を勧告のような寝ぼけた方法でやっているだけです。
政府が国民を守らないことがまたひとつ明らかにしなりました。
■写真 なにかわかりますか?シロツメクサ(クローバー)の花です。
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コメント
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今までSPEEDIの遅れて出された初期データや、ドイツのデータばかりで納得いかなかったんですが、謎が一気に氷解しましたね。
第1ルート;女川での検出や岩手県内陸部での牧草の高線量(前沢牛ピンチだ)
第2ルート;遠く西側で不思議だった北塩原村・会津の魚や牛乳(これはずっと疑問だったんです)。随分と複雑な流れだったんですね。
第3ルート;郡山市周辺や栃木県内陸部でのホットスポット頻発。
第4ルート;柏市や東京近辺。
ああ、なるほど!と。
うーん、困りました。
どうやって除染するんでしょう。
街や田畑だけでも大変ですが、広大な山林なんか手のつけようがありません。
そして裸の王様の首相と(昨日の国会答弁は酷かった)、潰すこともできない国会。
わたし、シロツメクサ分かりました!
野の花の接写写真も好きです。
投稿: 山形 | 2011年7月 8日 (金) 07時55分
これはいい情報ですね!なるほど火山灰の飛散という手があったのですか!日本ならではですね!
写真いいですね!ストレートに伝わってきます。
投稿: ノアノア | 2011年7月 8日 (金) 09時56分
飛散状況のマップとても分かりやすく参考になります。
今月下旬に「新白河」に行く予定していますが、特に気にはしていませんが、このようなデーターが一般の人たちに公表されると、様々な場面での判断材料になると思います。
ストレステスト??貴方が与えているストレスをテストしてほしいですよ管さん!!!
いい加減にしてほしい!!
何もできないなら、せめて正確な情報だけでも公表してほしいです。
今日は札幌に出張で来ていますが、今日は涼しいです。
外は小雨(霧雨)かな?
投稿: 北海道 | 2011年7月 8日 (金) 21時40分