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2011年8月

ECRRのバズビーさんが日本で見逃したもの

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ドイツZDF局放送がECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)の科学委員長で、先頃来日したクリストファー・バズビー氏の言説を大きく流しています。

この映像はYouTubeでも見られたようですが、今日は削除されていました。

「80km離れた水田で5万3千ベクレル/kgの土壌汚染!}
「自宅庭の空間線量90マイクロシーベルト/h!!」
「人間の想像力を超える惨事」
「人類史上最悪の惨事」

すごいですね。これでもかというほどです。ベルギーでも川島が、試合中に「フクシマ」と野次られたそうでいいかげんにしろ、と言いたくなります。

バズビーさん、ECRRの今までの低線量に対する主張は耳を傾けるべきものをもっていますが、このようないたずらに危機を煽るのは止めて頂きたい。

それは確かに5万3千bqある田んぼもあったでしょう。政府の発表はいつだって隠蔽モードで、今回の農水省の放射線分布マップだって「2万5千超」で一括表示です。

だから、あなたに言われなくとも「放射能情報を開示しろ、すぐに除染を開始しろ」と、福島の地元行政の首長は訴え続けています。あなたにはこの声が聞こえなかったのですか?

この5万3千bqという数値だってバズビーさんご自身が計ったものではない。あなたは確かに福島には来たが、100㎞圏以内に近寄ろうともしなかった。

福島市にも怖いと行かなかったし、帰りは茨城北部が汚染ゾーンだと言ってわざわざ日光経由でお帰りになりました。

その日光が関東のホットスポットだったとはお気の毒ですが(笑)、あなたはそこまでしてわが国を「人類史上最悪の惨事」と決めつけたかったようです。

私は5万3千bqなどという数字で驚きませんよ。農水省の昨日出した分布図にも3カ所ほど赤丸の2万5千bq超が記録されています。おそらく、もっと計測点を増やせばさらに出てくるはずです。

さてバズビーさん、あなたが「人間の想像を超える惨事」とまで言った避難区域のすぐ隣の東和町では、いま農業者が元気に活動しています。

まずは自分たちで放射線量マップを作り、作物を測定し、除染をし、水源の山林まで残留放射線量の把握をすることを始めています。

健康な里山と農地を取り戻そうとしています。若い農業者が中心です。皆んなの顔を見ると明るいですよ。にこにこ笑っている。未来に絶望なんかしていない。

バズビーさん、「想像を超える惨事」というあなたは、笑いながら故郷を守っている彼らを知っていましたか?

あなたの「想像力」には彼らは写らなかったのです。決して諦めない、絶望しない彼らは見えなかったのです。

だから、わざわざ日本に来て、もっとも見るべきものを見逃しました。それは私たちがくじけないことです。農業者は逃げないことです。

5万bqあろうとも、除染を丹念に繰り返して健康な土に戻すことは可能なはずです。何年かかるか分からないが、日本の百姓の根気と、わが国の科学力をもってすればできるはずです。

私はそれを信じています。私自身は時々絶望しそうになるが、やるしかないじゃないですか。逃げられないんだから。

7日の集会は延期いたします。

先生方との日程調整がうまくいかず、7日の開催が困難になりました。

大変もうしわけありませんが、1か月ほど延期いたします。

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農水省の放射線量マップが発表されたが・・・

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首相が交代したそうです。野田さんは前任者2人と比べれば、いちおう人間の姿をしているのですが、いずれにせよ、国民の意思とはなんの関係もない政変でした。 

わずか400弱の人間だけで次期首相を決めている姿を、指をくわえてテレビ観戦するしかないというのは、なんとも言いようがない無力感があります。 

私自身は政治にとんと関心をなくしつつあります。女房殿など、新聞を見るのもいやだと家庭欄とマンガしか見ません。サッカーのひいきチームが勝った時だけスポーツ欄も読むようですが(笑)。困ったもんだ。 

さてくだらない政治ショーはさておき、政府は事故から半年たってようやく大雑把な放射性物質分布図を出してきました。(欄外記事参照) 

福島、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の各県で580箇所をサンプリングしたそうです。わが茨城県は、数えたら50弱というところですか。 

政府の総合学術会議が、文科省や自治体と協力して調査したそうです。 

技術的方法としては
●水田・・・約15㎝の深さで土壌を採取
●畑地・・・約30㎝
 

7日の私たちの測定会(*欄外参照)で専門家の先生にお聞きしようと思っているのですが、この計測方法でいいんでしょうかね。 

畑地地下30㎝なんかにセシウムはありません。素人のくせにと言われそうですが、断言します。 

セシウムはおおよそ地表下5~10㎝域に止まっています。飯館村の農水省の「実験」とやらでも、土検棒という長い棒を突っ込んで計っていましたから、今回もその方法だったのでしょう。おいおいです。

そんな深くに入れたら、セシウム滞留層を突っ切って希薄な層をあえて検査しているようなものです。

それとも、農水省は既にどの農家も深耕ロータリーをかけていることを前提に調査をしているのかしら。

よもや、深耕で希釈されるのを待って計ったということはないですよね。だとすれば大本営発表というやつです。 

だったら、4月の初めの田んぼ作業の開始期にそのような農業指導を徹底させたらよかったのです。

それを今さら稲刈り時期になって、ほぼすべての農家がロータリーがけした後にノコノコと調査して、「おおざっぱに測ってみました。汚染レベルに合わせて除染方法を指導します」ですか。馬鹿じゃなかろか(苦笑)。

官僚にとっては「やった」というアリバイ実績だけあればいいんでしょうが、農業者にとってなんの役にも立ちません、こんなもの。

汚染マップはほぼ、早川マップに沿った分布状況です。両図を比較してみてください。

福島県内では、避難地域に赤丸の2万5千bq超えが各所に点在しています。

●2万5千bq超え・・・・2万8千h(水田2千300h、畑樹地500h)
●1万~2万5千・・・・・3千(同2千200、同800)
●5千~1万bq・・・・2千500(同千800、同700)

除染が必要な農地の総計は8千300hだそうです。

農水省の今回の分布図を見ると、茨城県、千葉県などはおしなべて千bq以下だったようですが、ホントかよ、というのが私の実測した経験からの感想です。

私の実測でも既に2千~3千bqは何カ所から出ているし、千bq前後も珍しくありません。特に、未耕起の土地はおおよそ高い数値が出ると言えます。

今回の福島県の数値でも2万5千bq以上をひとくくりにしていますが、実態がわかりません。

また、関東各県にも相当数のホットスポットが存在することが、民間の計測で分かっています。

そもそもホットスポットという概念自体が、どこまでという区分けなく市民の間にあいまいに一人歩きしています。

ホットスポットという時に、農水省はよもや2万5千bq/㎏超えをして言うなどということはないと思いますが、どの水準から上をホットスポットしているのかを示してほしいものです。

私たちは民間の放射線専門家の意見に従って、以下のレベル認識をしています。
●土壌放射線量レベル区分
・レベル1・・・0~200bq/㎏未満
・レベル2・・・200~500未満

・レベル3・・・500~1000未満
・レベル4・・・1000以上

レベル2からレベル4までが除染が必ず必要な地域です。私の私見では、1000bq超えをした土地(レベル4)はホットスポットと呼んでかまわないと思います。

これも都市の消費者の中には200bqあってもホットスポットと呼ぶ人もいるでしょう。

この農業者の認識と、農水省・政府の認識、そして都市消費者の認識の大きなズレが問題なのです。

放射線量分布図は、農業者向けだけであってはならないはずです。今やこのような調査は、農業者より都市消費者が真っ先に見るのです。

そして「ここの農産物は危ないからやめよう」と考えます。これがあたりまえの市民の感覚となっています。

農水省は、いまこそ情報の開示が真っ正面から求められていることを知るべきです。土壌の汚染度、農産物の安全性などの諸情報をしっかり発信しないで、農業の信頼回復はありえません。

昨夜、ニュースで、福島県の被災地首長の新政権への希望を聞くことができました。全員揃って、「放射能情報のすみやかな開示と、除染」でした。まったくそのとおりです。

私たちは自分自身の手で、農業の信頼回復に努力します。政府も少しは仕事をしなさい。

■写真 いまカラスウリの花が満開です。花をベッドに心地よさそうです。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

      日本農業新聞 8月30日 農水省放射性物質分布図(土壌線量です)
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    群馬大早川由紀夫教授制作 放射性物質飛散マップ(*空間線量です)
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9月7日 「放射能に負けてたまるか!測定とミニ講演会の集い」のお知らせ

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7日の集会は延期いたします。

先生方との日程調整がうまくいかず、開催が困難になりました。

大変もうしわけありませんが、1か月ほど延期いたします。

第1回の測定と講演の集いの概要が決定しましたので、お伝えします。詳細は変更される可能性があります。

7日の集会は開始が1時30分となりました!
午前の部は中止します。

第1回の測定と講演の集いの概要が決定しましたので、お伝えします。詳細は変更される可能性があります。

●主催 「茨城放射能測り隊」(仮称)

●名称 「放射能に負けてたまるか!測定とミニ講演会の集い」(仮称

●日時 9月7日(水)12時30分開場 1時30分開始
(先生方の到着が遅れるために急遽午前の部は中止しました。ご了承ください。)

●場所 新田コミュニティーセンター
      茨城県行方市手賀1414

*地図は近々ブログでアップいたします。

●当日スケジュール(*変更の可能性があります)
・午後1時30分より講師によるミニ講演
参加予定講師
・茨城大学農学部 中島教授
・同          成澤教授
・同          小松崎准教授

・午後3時から持ち寄った土で測定研修

・午後4時 討議

・午後5時 閉会

●講師紹介
・中島教授は前農学部長。日本有機農業学会。日頃から行方地域農業の指導者としてご尽力いただいております。

・成澤教授は微生物学の日本有数の研究者であり、今回の原発事故の土壌放射線量測定にも携わっておられます。

・小松崎准教授は植物を利用した田畑の保全を研究されておられます。放射能災害におけるクリーニング・プラントに精通されておられます。

●事務局 濱田 メルアドはプロフィール欄にあります。
濱田携帯 090-4092-1086 (*当日には持ち歩きます)

●参加資格、参加費用はありませんが、事前に事務局にご連絡ください。
昼食は準備できませんので、ご持参ください。

■写真 初夏の頃の写真ですが、何か分かりますか?煙草の花です。半月前にはほとんど出荷されてしまいました。この花は可憐なのですが、製品の質をよくするためにチョッキンされてしまいます。

 

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冷血漢の最後っ屁

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辞任まで秒読みに入った冷血漢の最後っ屁です。

ようやく一時帰宅を許された避難民たちが避難所に帰った頃合いを見計らったようにして、冷血漢はすさまじい悪臭を放ちました。

今までたしか来年1月頃には帰宅が可能なような超楽観的な見通しが、今度は一転して20年間は帰宅が困難だそうです。

その上に、避難地域に放射性物質の瓦礫などの中間処理施設を作りたいとのことです。

この男、完全におかしい。首相としてどうとかいう以前に、まともな人間の姿をしていません。

なにを言おうと責任を取る必要がないこの時期に、このような大変な重荷を被災地に置いていくという神経が普通ではありません。

「あんたらは、20年間故郷に帰れないよ。その代わりに、無人となったあんたらの故郷に放射性物質の中間処理施設を作ってあげるからね」というわけです。

そもそも来春に帰宅できるという見通しそのものが、素人が考えてもありえないほどいいかげんでした。今まで政府は一度として徹底した測定と、除染作業のひとつもしたのでしょうか。

避難地域に多くのホットスポットがあるのはあたりまえです。文科省のヘリ測定ですら、土壌線量は数十万bqはある地点が点在しているのです。これをどうにかしないで、まともな帰郷が出来るはずがありません。

しかしそれはあくまで空中からのおおざっぱな測定でしかないのです。道路脇、下水溝、軒下、森林、池などをの危険ゾーンを丁寧に測定したことが一度としてあったのでしょうか。

半年もたっていながら、ただの一度として政府調査団の正式な放射線量測定はやられていません。

それでいて、ヘリをブーンと一回飛ばしただけで、「あんたら、20年間帰れないよ」というふざけた結論を言う。ぶざけるのもいいかげんにして頂きたい。

何度も言いますが実に半年間も時間があったのですよ。その間、ただの一度も実測もしない、ましてや除染のまねごとすらしない、あげくに「20年間帰れない」とはどのツラ下げてこのようなことを言えるのでしょうか!

まず、しっかりと徹底した調査をするのが前提。そして政府が全力を上げてコストと人員を投入して大除染作業をするのが次の前提です。

「私たちはこれだけ清浄化に向けて努力しました。しかし、残念ながら現状の線量はこうです。これだけの年間被曝線量下では、除染を継続してもなお帰郷には〇〇年先になるとの見通しです」と理解を求めるのが筋ではないのでしょうか。

なにひとつ汗をかかない。やったのは醜悪な党内権力闘争だけ。

そしてさんざん被災者を放っておきながら、どの口で「20年先まで帰れません。放射性物質の保管場をつくらせてくれ」ですか。

怒りを通り越して哀しみすら覚えます。人として恥ずかしくないのか!

同じことを言うにしても、やるべきことをなし、なすべき努力をしてから、避難民に言ってほしい。

そして自分は辞任後は大熊町に自宅を移して処理施設の門番をする、と宣言しなさい。そのていどの人としての覚悟をして、このような被災者に言い知れぬ苦しみを与える事を言いなさい。

この男にはなにを言っても無駄でしょうが、為政者の言葉はその程度に重いのです。

■写真 朝焼けに揺れる月見草の群落。もう空気は秋ですね。

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

退陣表明した首相からの「宣告」に怒りの声 

菅首相は27日、東京電力福島第一原子力発電所事故に関連して、福島県の佐藤雄平知事との会談で「長期間にわたり住民の居住が困難になる地域が生じる」との厳しい見通しを明らかにした。

 退陣を正式に表明した菅首相からの「宣告」に、原発の地元の双葉、大熊町民からは「国は除染の努力もしていない。許せない」などと怒りの声が上がった。

 埼玉県加須市に避難し、26日に双葉町の自宅に原発事故後初めて一時帰宅した女性(36)は27日、首相の表明について「放射線量が高い地区は各地に点在している。何を根拠に『居住が困難になる地域』とするのか、ちゃんと聞きたい」と述べ、不信感をあらわにした。

 同じく26日に避難先の同市から双葉町に一時帰宅した女性(49)は「やっぱりあそこで生活するのは難しいということか。もうここで生活しなくてはいけないという気持ちに傾いている」とあきらめた口調で語った。中学3年の次女(15)は埼玉県内で進学することを決めたという。

 大熊町民からも厳しい声が相次いだ。「東電と国はこれまで『原発は安全だ』と言い続け、我々も協力してきた。それなのに、ばかにしている」。原発から1・5キロの大熊町夫沢で建設会社と農業を営んでいたが、今は会津若松市に妻と避難している男性(58)は憤りを隠さない。
 

読売新聞 最終更新:8月28日(日)1時18分 

 ■福島第1原発>帰郷困難、20年超も 政府試算 

政府は27日、福島市内で開かれた「福島復興再生協議会」で、年間被ばく線量が200ミリシーベルトと推定される地点では、除染しない場合、帰宅可能な水準(年20ミリシーベルト以下)まで線量が下がるには20年以上かかる可能性があるとの試算結果を示した。

菅直人首相は27日、福島県庁で佐藤雄平知事と会談し、東京電力福島第1原発周辺の放射線量が高い地域について「長期間にわたって住民の居住が困難な地域が生じる可能性は否定できない」ことを認め、「心からおわび申し上げたい」と陳謝した。

 放射性物質が風雨で拡散されることなどにより、被ばく線量は除染なしでも自然に低下していく。試算結果によると、帰宅可能水準まで被ばく線量が下がるには、現在の推定線量が100ミリシーベルトの地点で10年程度、50ミリシーベルトの地点で4年程度かかる。この期間をより短くするには、除染作業を効率的に進める必要がある。

 ◇汚染物質保管「福島で」 首相が知事に要請


 会談で首相は、除染作業によって新たに汚染土壌が発生することも踏まえ「汚染物質を適切に管理する中間貯蔵施設を県内に整備することをお願いせざるを得ない」と述べ、汚染物質を一時保管するための中間施設を県内に設置したい考えを伝えた。

 政府関係者によると、中間施設は国が建設し、放射性物質の空中や地下水への拡散を防ぐための遮蔽(しゃへい)壁も備える。首相は「最終処分場にすることは全く考えていない」としたが、佐藤知事は「突然じゃないか。非常に困惑している」と、受け入れは困難との見方を示した。

 汚染土壌やがれきについて、政府が26日発表した「除染の基本方針」は、国が処分場を整備するまでの間、市町村や地域ごとに仮置き場を設けるべきだとしている。しかし、「仮置き場では安全な管理は難しい」との批判が地方から出ていることを受け、国が責任を持って中間施設を整備する必要があると判断した。

 会談に同席した細野豪志原発事故担当相は記者団に「一定期間は貯蔵できるものでないと、(市町村の)仮置き場と変わらない」と述べ、放射性物質の封じ込め効果の高い施設を造る意向を明らかにした。
(毎日新聞8月27日)

 

 

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避けられた悲劇 避難地域の放棄された牛たち

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昨日、テレビで双葉町住民の2時間の一時帰還を見ました。

ある畜産農家のご夫婦の後を追ったのですが、見ている私も胸が潰れるような内容でした。

このご夫婦は、家に帰ると真っ先に向かったのはわが家ではなく、畜舎でした。

牛をそのままにして避難せざるを得なかった畜舎です。畜舎に向かうと彼らの前に一頭の牛がふらりと横切りました。痩せこけていますが生きています。

奥さんは泣きながらその牛の名を呼び、叫びました。

「ごめんね、ごめんね!」

そして畜舎へ。

私は今までこんな無残な光景を見たことがありません。白骨となった牛が土に帰ることも出来ずコンクリートの上に並んでいました。

餓死した死体にご夫婦は花を手向け、手を合わせました。背中が涙で震えていました。

これは原子力災害の悲劇という前に、避けられた悲劇でした。人間の手で回避できたことです。

原発の是か非かという以前の問題です。人の心の問題です。

これらの見捨てられて、無残な死を迎えた多くの牛や豚、トリ、犬や猫は、充分に避難が可能でした。

しかし、現実にはどうだったでしょうか?

政府は避難民にたった一粒の安定ヨウ素剤すら配布しませんでした。おそらくは今後、避難民の中に子供を中心にして多数の甲状腺障害が生じることでしょう。

人さえ救えない政府は、家畜などは眼中にありませんでした。一切を見殺しにしました。ただの一台のトラックも現地に派遣しませんでした。

いや、その検討ひとつしませんでした。すべて見殺しにしました。

チェルノブイリですら大量のトラックで避難させたというのに。

多くの家畜はつながれたまま水も餌も途切れて、衰弱して死んでいきました。

毎朝、彼らに新鮮な餌をやり、藁を取り替え、ブラシをかけて優しい声をかける飼い主は戻ってきませんでした。

彼らは主人を待ちわびて、待ちわびて、そして死んだのです。

人の心を持たない冷血な菅内閣はあと数日で消えますが、私はこの悲劇を忘れることはないでしょう。

なぜなら、それは心のあり方ひとつで避けられた悲劇だったからです。だからこそ私は許せません。

■写真 北浦の湖のほとりのレンコン畑。私の村は全国有数のれんこんの産地です。美しいハスの花が咲いて、いよいよすらりとしたレンコンとなっていきます。晩秋から最高のレンコンを楽しめます。

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森林の放射性物質の測定と除染は難しい 「広い、険しい、立ち入れない」がネック

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福島の早場米から検出がなかったようです。まずはめでたい。

現在の社会の「空気」では、2桁の数値が出たらその瞬間目の前真っ暗というのが、農業者の本音でしょう。。

まして暫定規制値に近い数値など出ようものなら、県全体の米の運命に関わります。

と言うのは、今や多くの方がご承知でしょうが、米は「〇〇県産」としか表示義務がありません。

ですから、高い数値を出してしまった米も、検出限界以下の米も同じく「〇〇県産」で出荷されてしまいます。

正直に言って、すべての検査米が「検出せず」だったわが村などはなんとも言えないいや~な気分でしょうね。

一括して「茨城米」としての風評を被るのは一緒だからです。

今週の末頃から始まる本格的稲刈りを前に、なんとも暗い気分が村を支配しています。

稲刈りは、忙しい、安いとかブツブツ言いながらも、楽しいものです。こんな暗い稲刈りは始めてだったような気がします。

冷夏の時だって、収量は減ってもそれなりに相場が上がるのでなんとか凌げたのですが、関東近県でわが県だけが低い数値であれ出してしまったので、米相場の足を引っ張ってしまうでしょう。

「またもや茨城ひとり負け」というのは、村の仲間の恨み節です。

さて、里山の山林の測定と除染についてメールでご質問がありましたので、お答えします。

現状では、研究機関、民間も含めてまだ手つかずの状態です。

確かに難しいのです。難しい理由はこんなことが挙げられます。

広過ぎ、険しすぎ、立ち入れない。
ともかく日本の里山に限らず、森林面積は先進国有数です。しかも険しいときています。

昔のように林業が盛んならば手入れができていたのですが、今や放置された森林だらけで、そのような森林は下草が繁茂して立ち入ることさえ拒んでいます。

落ち葉は表面積があって体積がかさばっています。表面積が他のものより多いのです。

となると、フォールアウトした放射性物質はより多く葉や幹表面にかかり、雨で樹周辺の土壌を汚染します。当然のこととして、コンクリートの都市より線量が高いことが予想されます。

では、よく心配されるような放射性物質がジャンジャン森林から川や地下水などの水系に流出しているのでしょうか?

私はセシウムの性格上、ないとは思いませんが、少ないと思っています。

セシウムは確かに水に溶けやすいのですが、同時に土壌の粘土質にかなりしっかりと結着してしまう性質も持ています。

森林の土質にもよりますが、私は関東の森林に関しては土質が粘土質な場合が多く、未だ地表から5~10㎝程度で堅く結着している状態ではないかと思っています。

ただし東北各県は関東と土質が異なりますし、結局測定してみないと結論めいたことは言えません。

では、今後除染はどうなるのでしょうか。

残念ですが、非常に難しいと思います。それは先ほど調査そのものが難しい理由と一緒です。

「広い、険しい、立ち入れない」の三拍子が私たちを阻んでいます。具体的に考えてみましょう。

まず、除染方法は限られています。

➊深耕ロータリーによる希釈
➋ゼオライトなどによる封じ込め
➌客土
➍除染作物

これ以外、各研究機関で研究中の特殊な除去資材が登場するでしょうが、いずれも森林を除染するには不適当です。

理由は毎度同じで恐縮ですが、「広い、険しい、立ち入れない」です。

となると現実的には、人間の社会に関わって来る部分のみを極力きれいにして、後は時間を待つしかないということになります。

そして、おそらく最後にやってくるであろう農水関係の被害部門としての林業をどのような対策があるのか、という問題も残されています。

農業としては、里山から水系に出る小川や農用水の取水箇所にゼオライトなどの吸着物質を設して、森林からの田畑や水系への汚染の流出に対応することがひとつです。

林業は、申し訳ありませんが、あまりに巨大なエリアのために想像すらできません。

「チェルノブイリの森」という本がありますが、事故後20年たって初めてチェルノブイリの森に立ち入ったジャーナリストは、おどろくほどの豊かな自然の復活を目撃します。

人間は水と土、さまざまな動植物が織りなす森林の仕組みを完全に解明してはいません。私は自然の持てる浄化力に期待します。

農水省、環境省、森林総研などによる本格的調査が急がれます。私たちも農地回りの森林を測定するなどして、データ収集を行っていくつもりです。

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私たちの地域土壌放射線量測定の構想

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現在進められている私たちの地域の「茨城民間放射線測定所」の進捗状況をお話します。

あ、このネーミングはあくまで仮称ですよ。ひょっとしてゆるゆるの「放射能はかり隊」になるかもしれないし、ぐっとコワモテに「茨城放射線防護委員会」になるかもしれません。

茨大の先生方に協力をお願いして進めているのですが、何回か話し合いの場を設けて頂いたのですが、大変に勉強になって心強いと同時に、困ったなということも出てきました。

それは先生方が学者であり、私たちが生産現場を抱える農業者だということです。

たとえば放射線量測定ひとつにしても、先生方は設置型ガンマスペクトロメータを使うのが前提です。え~、300万ていどするヤツですな。

そして、土壌放射線量測定についてもこんな方法を教えて頂きました。この方法は現在先生方が、放射線学会の土壌線量測定の時に使う方法だそうです。

ざっとご紹介しましょう。これがプロの放射線量測定やり方です。

➊地下5㎝の土壌を、1平方mから5カ所集めます。検土棒と言って土に差し込む検査用の棒を使うそうです。この5カ所は右左の隅と中央部分ですね。

➋集めた土のサンプルをよく撹拌して乾燥させます。

➌ゴミや草の根などのわずかの小片も逃さずピンセットで取り除きます。

➍設置型のガンマスペクトロメータで数十分かけてじっくり測定します。

ちなみに、この設置型ガンマスペクトロメータは、鉛で遮蔽されており、外部からの自然放射線の影響を受けないような場所にあるそうです。

この手法は通常の土壌診断の方法と一緒ですが、土壌診断が一枚の田畑単位(だいたい10a)なのに対して、1平方メートルと極めて狭い範囲を一単位として測定するようです。

また、このような厳密な測定方法をとってもなおかつ、土壌線量は不安定な場合が多いそうです。

この話を聞いて、私たち一般人はヘナヘナモヘジという感じでしたね。私たちの望む要求水準とあまりに格差がありすぎるのです。

私たち農業者が今必要なデータは、学術論文集に掲載するものではありません。リアルに今働いていて、作物を出荷している農地の実態を知りたいのです。

そして原則ひとりの農業者が持つすべての田畑をくまなく計測することが目的です。

私たちの今の土壌放射線量計測の構想はこうです。

➊計測会員の田畑すべてをリストアップし、一覧表とできれば地図を作る。有機JASやエコファマーが大部分なので、基本台帳は既にあります。この資格を取得していないと、一から作ることになります。

➋田畑一枚ごとに1検体をサンプリングします。これは土壌診断の手法で、畑の右隅、左隅、中央から採取し、撹拌した後計測します。水分が多いと数値が狂うので、晴天時に行います。

➌測定値を記録し一覧表と放射線量マップ(汚染マップ)を作り、保管し、開示します。

➍放射線量レベルに応じてで除染対策を考えます。
土壌放射線量レベル区分
・レベル1・・・0~200bq/㎏未満
・レベル2・・・200~500未満
・レベル3・・・500~1000未満
・レベル4・・・1000以上

➎測定器材は現状では移動式の簡易携帯測定器を使用します。セシウム134、137が別途表示される器材です。

そして1枚1枚の測定をジュウタン爆撃します。私たちの基本は、ひとつの地点の学術的厳密さより、農業者自身による放射線量の実態把握なのです。

この方法は学術的正確さはないかもしれませんが、1行政区で1検体などという現状の政府の杜撰なやり方とは比較にならない綿密さがあるはずです。

専門家の先生の測定方法を採用すると、今考えている私たちの農地は約500枚ありますから、ひとつの畑で5カ所×500枚=2500検体。

そして設置型ガンマスペクトロメータを使った本格計測は、一検体が2万円ですから費用だけで5千万円となります。当然、申し訳ありませんが話の外です(笑)。

結局再度のお話あいで、先生方も私たちの要望を聞いていただけることになったのですが、その過程で私たちがどのようなことを望んでいるのか、どのていどのことしか現時点では出来ないのかがはっきりしました。

よく、何も知らない人はただただ放射性物質は怖いと言います。低線量被曝の原因となる東日本の食料は食べないと言います。

そしてエスカレートして、東日本地域のなにもかもが怖いとすら言います。この空気が静岡から以西を支配しているようです。

言うのは簡単です。食べないことも簡単です。私たち東日本の食品を食べなけれはいいだけの話です。それはその人の選択の自由です。とやかくはいいません。

低線量被曝についてはもはや科学的議論の外に出た感情論が横行する領域になりかかっています。それが今回の京都送り火事件でよく分かりました。

しかし、私たち東日本に住む人間はひたすら忌避するだけでは済まないのです。自らの土地を計測するところから始めるしかありません。

それは言うは易く、行うは難しです。

この私たちの計測-除染の実態を知ってもらうことが、なによりもの「放射能が怖い」という人たちに対する私たちの回答だと信じています。

■写真 今盛りのムクゲの花とアゲハ蝶です。アゲハはなかなか警戒心が強く、じっくり撮らせてもらえない美女です。ちなみにムクゲは韓国の国花らしいですね。ちょっとケバいけどな。まぁ好みの問題か(笑)。

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私たち農民が、放射能から自分たちの土地と水と人を守っていくしかないのだ


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なにか大きな災厄に出あった場合、対処方法は基本的にみっつしかありません。
逃げるか、立ち向かうか、考えないか、です。

私は逃げることを卑怯だとは思いません。むしろあまりにも人間的なことだと思います。私だって逃げたくてうずうずしているし、逃げてしまえばなんとなく解決したような気分になります。

ただし、あたりまえですが、なんの解決にもつながりません。状況はいささかも変わらないし、いつかは逃げた場所から現実に立ち帰えらねばなりません。

では、もうひとつの立ち向かうはどうでしょうか。これがまた、実にしんどい。トラブル山積は目に見えています。得なことはなにひとつない気さえします。

第一、災厄が大きすぎて勝てる見通しが限りなくゼロです。家業もおろそかになるかもしれない。資金もない。支援もない。仲間は少ない。誤解は受けやすい。まさにないない尽くしです。

そういう場合、おおむね私たちは第3の道である判断停止に陥ります。
「とりあえず様子を見よう。他がどうしているかをじっくり見てから決めよう。お上がなにかを決めたらそれに従おう」、というアレですね。、

まぁ、賢明といえなくもありませんが、近視眼的で姑息です。悪い意味での農民気質です。

今の東日本の被災と被曝を同時に受けた多くの農村地域はこの3番目の状況です。奇妙なしらけと、沈黙が支配しています。

そして、続々と出るコメの測定結果を息を飲んで待っています。

私は、日本農民は「待つ」こと、「耐えるこ」とは得意ですが、逃げることと闘うことは苦手だと改めてこの原発事故で思いました。

農家の仲間に言いたい。もう止めませんか、待つことは。もう半年ちかくも待ったのですよ。政府がなにをしてくれましたか。なにか私たちを救ってくれましたか。

私たち農家を国民的バッシングの嵐にさらして、平然と鼻毛を抜いて権力闘争にふけっていただけじゃないですか。待っても無駄です。彼らは私たちを救いません。

政治は私たち農民を救いません。

私たちは自分で自分の土地がいかなる状態にあるのかを、国民に、いや、私たち自身が知る必要があります。

放射線量を測りましょう。それしかない。農地と作物の放射線量を計って開示する、それしか農業が信用を回復する手段はないのです。

行政がやる「測定」とやらがいかに杜撰か、私たちがいちばん知っています。消費者だって知っています。

厳しい数値を出したくない行政と農家の阿吽の呼吸での測定など、誰が信じますか。だから政府の暫定規制値など、いまや誰も相手にしないのです。

それを知っている関西系の大手量販店は、おそらく放射能GAPのようなものを取り入れるでしょう。原型は既に出来ています。

そして独自基準も作るかもしれません。そうなったら生協系も追随せざるを得ません。

情勢はそこまで来ているのに、かんじんな私たち農家がいつまでも判断停止でいいのでしょうか。

自分で自分の「放射能疑惑」を吹き払う。実態を明らかにしていく、そして除染に向けてなにをしているのかをはっきりと発信する、これしかありません。

私たちの地域は有志グループが放射線量マップ作りを開始します。自分の農地の放射線量を測定し、記録し、公開します。

とりあえずは各々の農地から始まり、ゆくゆくは自分たちを囲む里山や水系にも向かいます。

除染方法を確立し、理論づけしていきます。汚染レベルにあった除染方法を体系化していきます。

そして、農民として農業にとっての脱原発がどのようなことなのかを考えて発言していきます。

補償ですか。それはやる中でおのずと出てきます。それを目当てに始めてはだめです。

自分たちを取り囲む豊かな土と水と人を守る手段はそれしかないと思います。

農民は、このような嵐の時代にこそ、後ろ指を指されないようにまっすぐに生きなければならないと思います。

■写真 今や大メジャーになってしまったゴーヤです。私が沖縄で百姓修行している時は、沖縄と南九州限定野菜でした。沖縄はチャンプルーに、鹿児島、宮崎は味噌炒めにするようです。

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「茨城民間放射線測定所」のようなものを目指してがんばります!

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この1か月ばかり、「茨城民間放射線測定所」のようなものを作りたいと動いてきました。

私も農場仕事をもってのことなので、なかなか進みません(涙)。

なんでなんかなぁ~、そりゃ実力がないからよということになるのですが、いくつか頭が痛いことがあります。

そうですなぁ、まずは資金がない。かんじんなベータスペクトロメータが買えません。この装置は放射線測定のイロハのイでして、名前のとおりペータ線である放射性セシウムを計測します。

よくスクリーニングしているニュースで出てくる、マイクのような棒が突き出しているやつですね。

土壌測定も可能ですし、もちろん野菜や人の外部被曝も計れます。

ピンからキリまであります。お高いのは300万円とか、安いものでも100万円は楽勝で超えてしまいます。いろいろ見積もりを取っているのですが、わがボロ農場の経営ではキツ~イ(笑)。

ええもちろん、こんな装置は本来は国が買うべきなのです。今までさんざんやくたいもない補助金を農業に出してきて、一年に数日しか使わないような農業機械を農家に買わせてきたんですから、今ほど緊急に必要な時はない放射線測定装置などいの一番に買うべきなのです。

ま、ダメですね。あるルートで農水省の動向を調べたのですが、農水省は今や巨大ヒラメ集団になってしまっています。

暗い海底にへばりついて、民主党政権から言われたことだけ、文字どおりそれだけしかやらないヒラメです。

事業仕分けで農水省はさんざんやり玉に上がりましたから、「政治家に怒られるからなにもしない」という処世術の権化となってしまったようです。ふ~(タメ息)。

では政治家さんはというと、市民や農家の現状をまるでご存じない。うちの選挙区の民主党新人議員さんはやる気はあっても実力がない。

もうひとりの自民党の議員さんは大物ですが、なにせ野党。野党に転落した瞬間、お役人はススッーとどん引きしたそうです。

地元の県や市行政はというと、これも輪をかけた国の指示待ちヒラメ族。

市に聞くと「県が何も言って来ませんから」、県に聞くと、「国が何も言って来ませんから」、国に聞くと、「政府がなにも決めませから」、与党議員に聞くと、党首選でそれどころではない、ときたもんです。

民主党の党首議論に、放射能のホの字も、除染のジの字もありません。彼らは東日本の市民の健康に無関心なのです。

ああ、いかん愚痴っぽいぞ、今日は。

彼らに期待する自分がいけないのだと思い致して、なんとか仲間を募り、資金をかき集めてガンマスペクトロメータを買い、測定を重ねて汚染マップを作っていきます。

各地の民間測定グループともネットを組んでいきたいと思います。私たちは農村を地盤にして、農地の汚染状況を調べていきますが、余力があれば都市部の測定もしたいと思っています。

あくまで余力があればですが。私はこのところ歳を感じているので(←来年、還暦っす)、あまり期待なさらんで下さい。

とは言いつつ、測定研修は大学とのすり合わせがあって、開催がズレ込んでいるのですが、なんとか9月の中旬までにはやりたいと考えています。

というわけで、ヨタヨタですが頑張ります!

■追記 行方市HP 8月23日 
米の放射性物質検査につきましては以下の通りとなりました。
この結果、行方市の米については安全が確認され、出荷販売が可能となります。

大字(旧町村名) 検査結果
麻生(麻生町) 検出せず
矢幡(太田村)  検出せず
四鹿(大和村)  検出せず
於下(行方村)  検出せず
島並(小高村)  検出せず
山田(津澄村)  検出せず
内宿(武田村) 検出せず
小幡(要村) 検出せず
浜(立花村)   検出せず
谷島(現原村)  検出せず
玉造甲(玉造町) 検出せず
手賀(手賀村) 検出せず
西連寺(玉川村) 検出せず

※「検出せず」とは、放射性物質が存在しない、又は定量下限値(放射性セシウム20Bq/kg)未満です。
※暫定規制値 穀類 放射性セシウム 500Bq/kg

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放射能との闘いは長期戦です。だから、初めからゼロにするなどという過大なことを望まないことです



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土壌線量を計れと主張しながら、一方で50㎝深耕してセシウムを拡散しろ、と唱える私の意見に、それはダブルスタンダードではないかというご意見がありましたので、お答えします。

なるほど、ご意見はごもっともな部分があります。本来なら計測をしてから除染作業の計画を練り、その上で除染に取りかかるというのが流れとしては順当です。ですからそのような疑問を、農業外の方が持たれるのは納得できます。

もう一点の、「深耕してもセシウムはなくなるわけではない」というご意見に対しては「セシウム除去Q&A2回」でお話したのですが、大事な論点ですので再論します。

まずは、最初の計測しろということと、除染しろというのは二重規範ではないかとのご意見ですが、あえてそのとおりだ、と言います。

現在、福島県を除き、東日本地域はほとんど土壌線量の汚染マップ作りはされていません。

されているのは文科省のヘリからの空中測定というはなはだ目の粗い測定のみで、それもまだ広大な土地が計測されずに放置されたままの状態です。

未だ巷では早川マップが珍重され、ガイガーカウンターが在庫薄になるという現象の原因はそこにあります。

ようやくこの問題にマスコミも気がつき始めて、汚染マップを作れという声が上がってきました。実に事故から5か月後の話です。

私は事故直後の4月段階から、土壌放射線量こそが計測の要だと書いてきました。

それは、3月12日と15日の爆発で飛散した放射性降下物は既に地表面に落ちており、地表下5㎝ていどまで浸透していることがチェルノブイリの記録で分かっていたからです。

要点は3点でした。

➊既に放射性降下をした放射性物質の測定のために土壌線量を計ること。

➋どのていどの範囲に、どれだけの放射性降下があったのかを知るための汚染マップ作り。

➌その土地の条件にあった除染対策

私は地元行政に対して、再三に渡って土壌線量測定をするようにというお願いをしてきました。しかし拒否されて今に至ります。

せめて4月の中旬から土壌線量測定を徹底的に県内で行っていたのならば、状況はまったく違ったものになったはずです。

なぜでしょうか?それは4月が代かき作業のロータリーがけの時期だからです。今年、茨城県内は一様にその作業が遅れていました。

農家は行政がしっかりとした指針を出さないために、今年の米を作っていいものかどうか悩みに悩むという指示待ち状態だったからです。これで貴重な事故後初動期の1か月が遅れました。

4月初めから土壌放射線量を計り始めておけば、中旬にはおおまかな結果は出始めます。

その測定結果が出た段階で、地元の農業団体、改良区、農業者と協議して各々の汚染度合いにあった対策を立てられて実施できたのです。

汚染の度合いに応じて、ゼオライトやベントナイト、あるいはカリウムを撒き、その上で深耕ロータリーをかければ稲への吸着は最低限に抑えられました。

それを一切せずに貴重な初動の2カ月間をロストして、そのまま通年どおりの田植えを行えばどうなるのか・・・。

なるべくして、こうなったのです。またもや、わが県が「汚染米」の一番乗りです。知事いわく、52bqだからレントゲン1回より少ないです。馬鹿か、あんたらは!

市民は医療被曝は健康との見返りに受容しているのです。なんの見返りもない健康被害があるかもしれない食料からの被曝と同列にするこの愚かさ!

こういう手垢のついたレトリックで消費者に説明する厚かましさ。

本気で消費者に説明するなら、玄米での52bqは、消費者に渡る精米後には半分ていどまで落ち、さらに洗米でそれ以下に落ちるといったことを説明した後に、ではその線量は食品として安全であるのかどうなのかを真正面から説明すればよかったのです。

そしてその上で、今後茨城県の土壌線量測定を徹底し、その土地にあった除染活動を活発に行政主導で行っていくと宣言すればよかったのです。私ならそうします。

今までなんの安全対策もしてきませんでした、これからもなにもする予定はありません、お国の暫定規制値では安全だと言っていますから、安心して茨城米を食べて下さい。それで誰が信用しますか。

初めのダブルスタンダードではないかという問いに戻ります。そうです。残念ですが、そういう側面もあります。

行政の不作為のために、除染しながら計測するような同時進行や逆転すら生まれています。

現在、私たち地域では農業者有志で金を出し合ってベータスペクトロメータを共同購入して、自らの農地を一枚一枚測り、それをマップ化しようと思っています。その汚染の具合で除染方法も決まるでしょう。

そういう活動が今まさに始まろうとしています。国や県がまったく支援しない現状で、民間ができるのはそのていどからなのです。

最後に、深耕してもセシウムはなくならない、とのご意見ですが、放射性物質が「なくなる」とはどのような意味でしょうか?

私たち農業者は、作物に吸収されないことが、それがミニマムであることが、「放射性物質がなくなる」ということの意味だと思っています。

いったん放射性降下をしてしまった放射性物質がゼロになるということはありえません。どのように表土を剥いでもダメです。必ず微量は残り続けます。

特殊な薬剤を撒いても、撒かない土地は残り続けます。減少しながら30年余残り続けます。

私たちは決意したほうがいい。これは長期戦です。だから、初めからゼロにするなどという過大なことを望まないことです。

初めは放射性物質の飛散状況を調べる、次にそれを軽減する方法を考えて実施していく、そこからです。

遅々たるものに見えるでしょうが、「放射能と闘う」ということはそのようなことだと私は思っています。

■写真 クモが嫌いな方もいるようなので、アジサイに差し替えました。

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続・セシウム除去Q&A 第3回 汚染の除去は、その目的、広さ、汚染の度合い、土質を考えてやろう


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Q14
 セシウム除去の方法は何が選択基準なのでしょうか?

A14 場所の「広さ」や「目的」に合わせて考えるべきです。

広さについては、住宅の庭と農地ではまったく広さが違います。
●住宅の庭・・・10坪ていどだとすると、土を剥がして新しい土を敷くほうが速いかもしれません。
●農地・・・・・・・広いので剥がして客土することは不可能です。ゼオライトを散布した後に、深耕ロータリーで50㎝くらいまで耕してしまうのが、いちばん簡単で速い方法です。

目的でも、子供が遊ぶ校庭や家の庭、公園などと、農地は使用目的が違います。
●校庭、自宅の庭、公園・・・子供が直に地表に触る可能性があります。洗えば放射性物質は簡単に落ちますが、親の神経が休まらないでしょうから、5㎝ほど表土を剥がすのがいいでしょう。

●農地・・・農地は作物を作る場所です。要するに作物に放射性物質を吸わせなくさせればいいのです。ゼオライトなどの粘土を入れて結着させたり、堆肥の木質(バーク)に吸わしたり、ロータリーでかき混ぜて拡散させる方法が有効です。

Q15 汚染された土の放射性物質の「濃度」は除去と関係あるのでしょうか?

A15 いいところに気がつきました。大いにあります。濃度が高い土地と、さほどでもない土地は区別して考えるべきです。

福島県の避難地域内の土地は数万ベクレル/㎏の土地がよくあります。時に十万ベクレルを超えるホットスポットもあります。

このような高濃度に汚染されてしまった土地と、同じ福島県でも内陸部ではまったく違います。内陸部は数百から数千ベクレルに止まっています。隣県の茨城県も、だいたいそのていどの線量です。

●高濃度汚染の土地・・・除染作物のひまわりや菜種を低濃度の土地に植えてもほとんど吸いませんが、高濃度の土地では有効に放射性物質を吸収します。

●低濃度汚染の土地・・・除染作物はあまり意味がありません。むしろゼオライトや深耕ロータリーをお勧めします。

Q16 土の質によって、放射性物質の作物への吸収は違うのでしょうか?

A16 違います。放射性物質は、土の質によって植物に吸われる度合いがかなり違います。植物に吸いやすい土質を、高い順番に並べます。

●第1位・・・いちばん作物に吸われやすい土質は、砂地です。
砂地には放射性物質を結着する粘土がほとんどない上に、粒子が細かく表面積が大きいために、放射性物質を土壌内に封じ込める力が弱いのです。

海岸に近い地域には砂地が多いのですが、今回の鉾田市の土質も砂地でした。避難地域の中でも海岸に近い地域もそうです。

●第2位・・・砂や砂利が混ざった土壌。粘土質が少ないために植物に吸収しやすい土地です。

●第3位・・・粘土質。東日本で不幸中の幸いであったのは、関東ローム層の土地が多いことです。粘土は強力にセシウムをホールドして、作物に移行させません。

●第4位・・・有機質堆肥を多く含んだ粘土質の土。これがおそらくもっとも作物への吸収が少ない土地です。有機質堆肥の木質と、堆肥資材で以前から使われていたゼオライトを多く含み、関東ローム層の土質と相乗効果を現して、植物への移行を妨げます。

このように、除去の目的、広さ、汚染の度合い、土質をはっきり知って除染作戦を考えて下さい。

                                   (続くかもしれない)

 

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鉾田市でセシウムを検出・ 茨城県は直ちに13市町村の土壌線量計測を行え!

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茨城県鉾田市の3カ所で米の事前測定がなされ、うち1カ所で52ベクレルが検出されました。内訳はセシウム134が23bq/㎏、セシウム137が29bq/㎏の合計52bq/㎏です。

52bq/㎏ですから、玄米への移行は17%として土壌線量はx×0.17=52、x=306bqあったと推定されます。

そしてこれはロータリーかけした後の数字ですから、経験則でいえばロータリーかけする以前の土壌線量はその10倍の3千bq/㎏あったということになります。

この事件は、「52ベクレル」という数字を超えて、わが茨城の農業に大きな打撃を与えるでしょう。

それはまず、全国で最初の検出だったことです。前回3月のホウレンソウもそうでしたが、わが県は最初の被害担当県という不名誉な立場に再び置かれることになりました。

今後、いくつかの県で放射性物質は検出されるのは間違いありませんが、消費者、特に西日本の消費者には、「茨城県=放射能で危ない県」という強力な図式が刷り込まれたことになります。

先日来、当地の農業者を中心にして声を集めています。
その中には、「来年の米の予約がまったくなくなった」というものや、「売り上げが春以来回復せずに6割減が続いている。危機的状況だ」、といった悲鳴にも似た声が集まってきています。

さて、茨城県はこのような検査計画を立てていました。(欄外資料参照 茨城県HPより)http://www.pref.ibaraki.jp/nourin/sansin/kome/1info/komekensa.htm

甘いですね。3月から4月にかけて全国2位の被害を出しながら、こんな大甘な検査体制でなんとかなると思っていたこと自体が驚きです。

0..1μSvの空間線量が出た13市町村を予備調査すると言いますが、各自治体で検体わずか3点です。

鉾田などとんでもなく広いですよ。それをたった3検体。失礼だが、そんなゆるゆるの検査などほとんど無意味です。消費者向け気休めにしかすぎません。

地元の私たち独自の計測によれば(採取後検査機関に送付)、ひとつの山林を隔てて西と東で土壌線量数値が2倍以上違ったり、同じ水系を使用する水田で500m違ったていどで、これも土壌線量が3倍も違う例などがたくさんあります。

また各所にホットスポットがあることも分かってきています。土壌線量こそが作物に放射性物質を移行するポイントであるのは明白で、空間線量などは調査候補を選択する目安にすぎません。

こんな初歩的なことが、なぜ行政はわからないのでしょうか!

空間線量で13市町村を選ぶと同時に、この13市町村の予備的な土壌線量計測を行うべきです。

少なくとも「重点調査地域」の項にある15hでメッシュを作ってその中をサンプリング検査するていどなら、地元行政に協力させれば簡単なはずです。

予備検査なのですから、検査機関に送付などとせずに、ガンマスペクトルメータていどの簡易計測でも充分なのです。

それをわずか3カ所しか採らないで、いきなり検出されてしまったのですから目も当てられません。

はっきり言います。茨城県は馬鹿です。

その上に恥の上塗りなことには、「52ベクレルは規制値以下なので、出荷に差し支えない」としたことです。

どこの誰がそんな米を買うというのでしょう。鉾田市のみならず、わが県の米全体が危機に瀕しているのに!

今、県がやるべきは、徹底した13市町村の土壌放射線量の計測です。15hメッシュでとりあえずいいとしましょう。

ガンマスペクトルメータなんか1台せいぜい100~200万円なのですから、各自治体に3台ていどは配布しなさい。

金は東電に請求しなさい。次にもう一回出したら茨城県全体の農畜産物はおしまいですよ。そんなことももわからないのでしょうか、役人は。

首吊りが出る前夜なのですよ!

こんな危機に農民を守れない行政などに存在価値はありません。

 
 

 

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

資料   米の放射性物質検査の実施について茨城県

 

●空間放射線量が0.1マイクロシーベルトを超える市長村13を予備調査

 

対象となる市町村・・・・北茨城市、大子町、高萩市、日立市、常陸太田市、 東海村、ひたちなか市、茨城町、鉾田市、美浦村、 牛久市、守谷市、取手市)・・・・実施状況3(1市町村3点の検体)

 

●本調査
➊一般地域・・・予備調査を行っていない市町村
              ・・・・予備調査の結果、一定の水準(200Bq/kg)以下であった市町村
              ・・・・・検体数400予定
 

➋重点調査地域・・・予備調査の結果、200Bq/kgを超えた市町村
                                      ・・・ 一般地域のアの市町村で、本調査を行ったところ、200bq/kgを          超えた市町村   ・・・15hで1点の検体
 

●出荷及び出荷制限 

 ・暫定規制値(500Bq/kg) 以下の場合、出荷

 ・500Bq/kgを超過した場合、旧市町村単位に出荷制限

 ・市町村全域で本調査が終了し、安全性が確認された時点で出荷可能。
   (早場米区域など市町村内で出荷時期に著しい差異のある場合は別途検討)

 

収穫前の米から微量セシウム 茨城・鉾田 検出全国初  

産経新聞2011.8.19 13:02

茨城県は19日、鉾田市で栽培された収穫前の米から、1キロ当たり52ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。県は「国の暫定基準値を下回り、安全性に問題はない。今後、収穫後の玄米についても調査を実施し、さらなる安全性を確認したい」としている。コメから放射性物質が検出されたのは全国で初めて。
 

 県によると、16日に鉾田市内の3カ所から収穫前の米を採取して検査。その結果、2カ所からは検出されなかったが、1カ所から放射性セシウムが検出された。また、収穫後の玄米を検査した鹿嶋市と神栖市では放射性セシウムは検出されなかった。 

 県では平成23年産米の安全性を確認するためとして、国の指針に沿って44市町村全てで調査を行っている。通常は収穫後の玄米について検査を実施し、空間放射線量が平常時の値(毎時0・1マイクロシーベルト以上)を越える13市町村では、予備調査として収穫前の米を検査している。予備調査で1キロ当たり200ベクレルを超えた地域は、重点調査を行う。 

 県では、国の定める暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を下回っている限り、出荷制限などは行わないとしている。 

 県の22年産米の作付面積は7万7200ヘクタールで収穫量は40万2200トン。産出額は885億円(21年)で全国5位。

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続・セシウム 除去Q&A 第2回 封じ込めるか、薄めるか

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セシウムは手ごわい相手ですが、むやみやたらと恐れていても逃げていきません。そこでこの「続・セシウム 除去Q&A」を作ってみました。

前回のQ&Aで、いくつか「除染」方法をご紹介しました。まずはおさらいから。

➊砂やゼオライトなどを使って水で濾過し、分離したセシウムを取り出して処分。
●利点・・・除去率が高い。

●欠点・・・大がかりな装置がないため、現時点では小規模限定。小面積向け。
     ・・・濾過して取り出したセシウムの捨て場が難しい。     

➋ひまわり、なたねなどの除去植物を植えて、植物ごと持ち出して処分。
●利点・・・チェルノブイイリで実証されたように相当な大面積も可能。
    ・・・植物の種子へのセシウム移行は少ないために植物油などで再利用することが可能。ただし、測定してから利用して下さいね。せっかく取り出したセシウムをまたバラ撒いてしまいます。

●欠点・・・ひまわりは大きく成長するため、かさばって処理しにくい。
     ・・・セシウムの大部分を吸収する茎と葉の処分が大変。
     ・・・低線量地域ではほとんど吸わない。

➌ゼオライトなどの粘土質を使ってセシウムを結着し、封じ込める。
●利点・・・作業が容易なため大面積が可能。

●欠点・・・結着して植物に吸わせなくするだけで、土壌放射線量自体には変化がない。

では.お待たせしました。本日のQ&Aに入ります。

Q9 テレビで専門家が「客土しかないでしょうね」と言っていたのですが。

A9 その専門家は、学校の校庭などや自宅の庭の除染を想定しているのだと思います。そのような小面積には客土は向いています。

そして客土の除染率は大変に高いのも長所です。しかしその反面、客土して剥がした土をどこに棄てるのかという除染の永遠のテーマがつきまといます。

一度、日本農家平均の1.5hで試算したところ、なんと5千台のダンプが必要でした。どひゃ~です。また、それだけ大量の汚染された土を、棄てる穴は巨大なものになってしまいます。もはや土木工事の域です。

というわけで、表土というもっとも豊かな滋養に満ちた土を剥がすという農家にとっての死にも勝る苦痛を乗り越えたとしても、とてもじゃないが採用可能な方法ではありません。

Q10 近所の農家がトラクターをかけていましたが、あんなことをすれば、せっかく地表下5㎝から10㎝に止まっているセシウムがもっと下にまでバラ撒いてしまうのではありませんか?

A10 いい質問です。セシウム除去を考える上で大事なポイントなのでよく聞いて下さいね。

結論から言えば、トラクターをかけると、5㎝の表土の下の層までセシウムが分散していってしまうのは確かです。問題はここからです。

居直るようですが、それでなにか問題が出るのでしょうか?おそらくは、私の地域の実測では、私の地域(茨城県鹿行地域)の平均的なトラクターをかけない前と後の線量は以下でした。

・トラクターをかける前・・・平均900~1000ベクレル/㎏
・トラクターをかけた後・・・平均100~200

ね、おおよそ10分の1にまで放射線量が激減したのが分かります。先ほど一見完璧な除染に思えた客土の数値と比較してみます。(福島県郡山市小学校校庭)

・客土前・・・3.5マイクロシーベルト
・客土後・・・0.6

計測単位は違いますが、客土による除染も6分の1ていどだと分かります。もちろん計測場所によってバラつきはあるでしょうが、客土は一見徹底的に取り除けるようでいて、さほどでもないのが分かります。

10分の1か、6分の1かは測定実測値が少ない現時点では、誤差の範囲だと思います。ただほとんど変わらないことは頭に入れて下さい。

Q11 持ち出さなくては解決にならないのではないのでしょうか?

A11 それこそが専門家の盲点だったのです。

多くの放射線の専門家は、放射線の実験を放射性物質の特殊性から、完全に外部から遮断されたラボでやるしかありませんでした。だからあまり現実の外の世界を知らないのです。多くの専門家にとって、今回の福島の事例が初めての野外調査だったと思います。

今回、福島県はフォールアウト後に「トラクターをかけるな」という指導をしました。トラクターをかけるとあなたが言ったようにセシウムが下の層にまで拡散してしまうからです。

しかしこれでは農家にしてみれば、農繁期に畑仕事をするな、と言われたのと一緒です。とうとうがまんしきれなくなって、農家はトラクターをかけ始めました。

だいたい地表から50㎝前後が反転し、さらに上層と下層がきれいに混ざってしまったことになります。

するとなんと、その後の線量が大きく減っているのがわかったのです。これは拡散した、あるいは「薄まった」ためであって、なくなったわけではありません。

潔癖な専門家にはたまらないでしょうが、これでいいじゃないですか。現実ってそんなもんです。もっと気楽に考えたらいいと思いますが、いかがでしょうか。

Q12 なんといいかげんな!それでは私たちは放射性物質と共存しろと言うことじゃないですか。

A12 まぁまぁ(笑)。でもよく考えて下さいよ。客土しても、トラクターをかけても、結果的に放射線量が下がればいいではないですか。私ってリアリストにすぎますかねぇ、ハハ。

この方法は、私は「深耕ロータリー方式」と呼んでいます。おそらくはもっとも簡単で、大面積を除染できる方法です。なんかコロンブスの卵みたいな話でしょう。

デンマークの研究者は、チェルノブイリ後の除染方法で、特殊な機械を使って、表土を下の層にと入れ換えるという、「表層埋没耕耘法」というアクロバティックな方法を考案しました。汚染がひどい地域では試してみる価値があります。原理は一緒です。

私たちは泣いても笑っても、いったん降った放射性物質と「つきあう」必要が生まれました。方法は基本的に3種類です。

➊完全除去・・・・・・困難。手間とコストがかかりすぎる上に、大面積では不可能。

➋封じ込め方式・・・ゼオライトなどの粘土質で遊離セシウムを補足し結着させる。コストがかからず大面積ができるが、線量自体は減らない。

➌拡散方式・・・・・深耕ロータリーで薄める。もっとも現実的。線量も低下し、大面積の除染が可能。

Q13 でも、セシウムは30年間ずっとそこにいるのでしょう。

A13 う~んとね、それって迷信です、マスコミはしょっちゅうそう言って、他人の不幸は鴨の味のようですが、あれは一種の煽りです。

第一、放射線量なんて、だまっていても下がり続けます。

放射性ヨウ素は半減期が極端に短くてたった8日間で消滅しまので、現時点では存在しません。事故直後にものすごい数値だったのが、いまでもひとり歩きしていますが、その大部分を占めていた放射性ヨウ素はとっくにこの世からいません。今あるのは、セシウム134と137です。

そこで、セシウムの半減期をみます。

・セシウム134・・・半減期2年
・セシウム137・・・半減期30年

セシウムの線量はこの134と137の合計で、おおよそ同じていどの線量が計測されますから、2年後にはCs134は半分に、4年後には4分の1になってしまうわけです。

仮に100bq/㎏ある土地は
2年後・・・25+47.7=72.7
4年後・・・12.5+45.6=58.1
8年後・・・3.1+41.6=44.7
16年後・・0.2+34.5=34.7
30年後・・0+25=25

2年後にはなにも除染しなくとも72.2bq/㎏に、4年後には58.1bq/㎏になります。30年後には4分の1となります。よく考えられているように、30年後に初めて半分になるわけではないのですからご注意ください。

これはあくまでも理論的数値であって、現実にはその間に耕したりして拡散を続け、しかもゼオライトで吸着して「封じこめ」てしまいますから、うんと植物が吸う線量は少なくなるのです。

おまけに、土壌から吸い上げる放射線量はごくわずかなこともわかっています。下の主要野菜の土壌移行係数をご覧ください。

計測された土壌線量にこの移行係数をかけると、おおよその作物への移行される線量を予測できます。

すると、おおよそ1千分の1から1万分の1のケタです。 比較的多い芋類で30分の1ていどです。米はなぜかケタが違う数値がふたつありますが、いずれにせよ今年の米を計れば結論が出るでしょう。

先日梅に放射性物質が検出されましたが、これは3月のフォールアウト期に野外で外部被曝したためです。

一方、桃などには微量しか検出されていません。これは、外部から放射性物質さえかからなければ、茎や葉からが果実や種子に移行するのは超微量だということを証明しています。

私は新たな爆発がない限り、この農産物からの放射性物質検出は今年が山だと思っています。来年にはほとんどなくなることでしょう。

                                            (続く)

■写真 うちのデコボコ愛犬コンビ。左がモカ太郎。右がモナカ。モナカの由来は、単にモナカ色だっただけ。去年の雪降りの朝に撮影しました。いまでも仲がいい兄弟です。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

[作物への土壌移行係数]

・ホウレンソウ・・ 0.00054

・キャベツ ・・・・・0.00092

・ハクサイ・・・・・ 0.0027

レタス・・・・ ・・・0.0067

・カボチャ・・・・・ 0.0038

 サツマイモ ・・ 0.033

・米・・・ 0.0026(農業環境技術研究所)

米 ・・・・0.1(農水省)

・白米・・・0.0016

 

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続・セシウム除去Q&A   セシウムは封じ込めることが現実的。除染作物は困難なことがわかってきた

014
Q1 セシウムの侵入経路にはどんなものがありますか?

A1 2ツの経路があります。
➊空気中からフォールアウトして、葉などに吸着し、そこから植物の中に侵入します。葉面吸収といいます。

➋一度土壌に降下した後に根から吸収されます。経根吸収といいます。

Q2 土の性質によってセシウムの吸収に差がありますか?

A2 あります。土壌の粘土質(コロイド)と強く結着することが知られています。一方、セシウムは水に溶けやすい性質(水溶性)が特徴なので、粘土質にくっつかなかったセシウムは、時間がたつと急速に減少してしまいます。

Q3 ゼオライトという資材がセシウムを吸うというのはほんとうですか?

A3 ほんとうです。他にベントナイトという粘土質の資材も同様な結着効果があります。ただし、誤解してほしくないのですが、あくまでもゼオライトはセシウムを結着させて、土の中で動かなくしてしまう働きをするだけで、なくなしてしまうわけではありません。

Q4 というと、セシウムはゼオライトで「なくなる」わけではないのですね。

A4 もの足りないかもしれませんが、そうです。ゼオライトは、土の中の団粒構造から離れて悪さをするた遊離セシウムをくわつけてしまい、植物の中に侵入することを阻止するのです。

Q5 では、ゼオライトを入れても、放射線量は減らないのですか?がっかりだなぁ

A5 こんなていどでがっかりしないで下さい(笑)。確かに「なくす」ことはできませんが、植物に吸収されなくするというだけで、農業にとっては充分ではありませんか。このように粘土質に結着させて動かなくすることを、「放射性物質の封じ込め効果」とも言います。

Q6 先ほどセシウムは水溶性だと聞きましたが、植物が水分と一緒に吸収してしまうのではありませんか?

A6 あるていどはします。また水に溶けて沈降して行くことも理屈の上ではありえます。しかし、現在福島県などで調査が進んでいますが、まったく人が手を加えていない土地において、5カ月間たっても表土5㎝ていどでしっかりと止まっていることが確認されています。セシウムはあんがい頑固に表土にへばりついているものなのです。

Q7 学校の校庭の土を水を加えて洗浄している風景を見ましたが、農業で可能でしょうか。

A7 現実的ではありません。小面積なら水を加えて清浄し、水に溶けたセシウムを分離固着する方法も可能ですが、大面積でやるとなると、あなたがものすごく暇なら試して見てください。また手間だけではなく、その分離した後のセシウムの棄て場所の問題もあります。

Q8 セシウムの除染に菜種やひまわりが有効だと聞いたのですが。

A8 菜種やヒマワリを使って、植物に吸わせる除染実験が各所で行われていますが、中間報告では、現在のところ残念ながら、あまりかんばしいものではありません。

➊思ったよりセシウムを吸わない。植物の体内でセシウムは移動して、種子に移行すると思われていたのですが、植物は茎と葉だけで70%以上を吸収してしまい、種子に移行するのはごくわずかだと分かりました。種子は厳重にブロックされているのですね。

米の場合、稲藁に全体の73%、白米に7%、ぬかに10%、もみ殻に7%、根に3%が移行することがわかっています。(畜産草地研究所)

➋収穫した後に除染植物は根から引き抜いて集めます。しかし、現実にやってみると、ひまわりは大きな植物なので、大変にかさばって集めた後、小山のようになったひまわりの処分に大変手間取りました。

➌処分方法に決定打がない。除染作物を乾燥させて切断するか、あるいは発酵をかけて収縮させる、あるいは燃やすという方法がありますが、いずれも大変な作業でした。

➍燃やした場合、煙に出るセシウムより灰に残るセシウムのほうが圧倒的に多いことが分かりました。

➎灰は飛散するので処理が大変でした。結局、ガラス質に封じ込めるといったコストがかかる方法しかありませんでした。

❻最終処分所は現在のところありません。行政も引き取りません。したがって農業者がやる場合、自分の敷地内に穴を掘って投棄し、鉄板をかぶせるような方法しかありません。

                                           (続く)


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農家の心の中にある「放射能の壁」

021

ニュースで福島県立福島高校のサイエンス部の仕事を見ました。

いや、驚きましたね。部長がびっくりするような美少女だったのもさることながら(笑)、やっている実験が大変に面白いのです。

たしか土壌の粒子の大きさによって放射性物質の沈下や結着にどのような差がでるのか、という実験を繰り返していました。

砂のような細かい分子構造の土壌のほうが、放射性物質を検出する値がより高いという結論でした。

粒子のほうが表面積が大きくなるからということのようです。なるほど。

となると、コロイド(粘土質)のほうが分子が大きいので、放射性物質を多く結着するというのもわかります。

また、除染についてもいくつか実験を試みて、水で濾過する方法も試していたようです。こっちのほうは、部長に見とれていてあまり記憶に残っていません。すいません!

いろいろの場所の人たちが、いろいろの方法で放射能と闘っているのが分かります。怖いから逃げるというのも否定しませんが、怖くても相手の正体を突き止めて、知恵を絞って闘うというのもオツなものです。

さて正直に言って、私たち農業者の「闘い」はまだまだですね。農業者が本気になって自分の土を浄化しようとする試みはまだ点の存在です。

計ったりなんかしたら放射能があることを認めたのも一緒だ、という空気に支配されています。おそらくは8割以上の農家の気分がこれです。

農産物は、言われなくとも流通に命じられて放射能測定をしています。しかし、そこで止まってしまっています。

現在、消費者の方々が思う以上に農産物や畜産物の放射能測定はしっかりとされています。といっても、ガイガーカウンターを使った外部被曝のスクリーニング・チェックていどが大部分ですが。

ガンマスペクトルメータという分解能が高い本格的器材を、大枚を叩いて買った農業団体もポツポツ出てきています。

しかし、なぜか私たち農業者の根っこなはずの土壌の計測はあまりされていません。理屈より、心理的忌避感があるのでしょうね。

自分が生きている、生産している農地がもし放射能汚染されていたら・・・、なんと言うのかなぁ、安全か安全じゃないかという次元ではなく、放射能が出たらすべてを否定されてしまうような気持ちになるのだと思います。

この心理を、農業者自身が乗り越えないとだめじゃないかと思うのです。現実に向き合わないと。

前に、「消費者に放射能の危険があるものは届けられないから作付けをしない」、と判断した福島の農家を取り上げたことがあります。

あの人のことはずっと気にかかっていて、私はいわば農業の正統的批判をしたつもりで、「モノ作らないのは農業者ではない」と決めつけたのですが、あれでよかったのかなとも思っているのです。

「消費者に危険だから作らない」という結論がひとり歩きしていて、一部の消費者の理想的農業者にまで祭り上げられてしまったからおかしくなったのだと思います。

思うに、その人は怖かったのです。自分の土が放射能汚染されていることが、怖くて怖くて、息が止まるほど恐怖したのです。

自分が何気なく吸っている空気が実は汚染され、土さえも放射能という怪物に支配されているとしたら、農家は逃げようがない気持ちになってしまいます。

一般の人たちは、いざとなれば逃げればいい。私たちは逃げられなない不便な存在なんです。畑や田んぼをかついで、すたこらさっさとどこかに行けませんもんね。

今、多くの農家はとまどいの中にいます。判断停止といってもいいでしょう。

見えない放射能雲が頭上を通過し、放射能をバラ撒いたことまでは納得しています。その結果、大変なバッシングにあったことも身に沁みています。

消費者が恐れて、東日本の農産物を忌避しているのも知っています。

では、どうするのか?
農産物を計ればいい、ここで止まってしまっています。それは単なる商品チェックでしかないのに、それで充分だと思ってしまっています。流通の多くもそれでいいと言っているし・・・です。

自分の生きている農地の状態や、放射能からの再生除染は、国や県から言われたらやればいいというところで止まってしまっています。

これが私の言う、農家の判断停止状態、「放射能の壁」です。

私は農業者にとっての農地は、本質的価値だと思っています。単なる生産手段じゃない。それを超えた何者かだと思っています。

だから、恐怖して現実を見ない。私は仲間に言いたいのです。
「セシウムは出て行かないよ。下手すれば、あなたの残りの人生くらいはあなたの土にいるよ」、と。

私たちは、恐怖で息が詰まりそうになりながら闘うしかないのです。

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福島県はベラルーシ方式をとるべきだ

018
ようやく、ほんとうにようやく、除染が予算化されました。実に震災-原発事故から5か月後のことです。 

政府・与党は「日本農業新聞」(8月16日)によれば、「福島第1原発により放射性物質に汚染された土壌や瓦礫の汚染の処理法を定める特別措置法案の骨子を固めた」そうです。 

「汚染が著しい地域を特別地域に指定し、国の責任で除染作業をすると明記」されています。 

「がれきに関しては、汚染廃棄物対策地域を指定し、国が廃棄物の収拾、運搬、保管、処分を行うとした」そうです。 

言ってもせんないことかと思いつつ、やはり言わないわけにはいかないでしょう。 

遅い!遅すぎる! 

5か月も立った今、ようやく政府が本腰を入れようかな、どうしようかな~、とりあえず政府提出立法ではなく議員立法で特措法を作ってみました、というところです。 

政権末期になって、次の政権にやらせようという魂胆のようで、毎度のことながら、いい根性しています(笑)。 

結局なんにもしない、なんにも出来ないということで、無為に貴重な初動の5カ月間が過ぎたということです。 

この貴重な初動5カ月間に真っ先に取り組むべき課題のひとつが、除染とその元となる土壌の線量測定でした。これを民主党政権は完全にサボタージュしました。 

結果、どうなったでしょうか?、未だ福島県や周辺の県の「薪の灰ひとひらでも怖い」という東日本全体を危険視する風潮が、国民の中に生まれました。 

また、「瓦礫のひとかけらから汚染が拡がる」という瓦礫ボイコット運動が盛んになってしまいました。 

これは東日本の農産物といった従来の狭い枠ではなく、東日本地域全体を「汚染地域」として色眼鏡で見るところまで成長しました。

先だっての私の送り火事件の記事に対して、「東日本はもうおしまいでも、西日本は無事でいてほしい」、「拒否を批判するなら義援金を返せ」という論評不可能な書き込みがなされるような始末です。 

瓦礫にしてもそうです。ある福島県の近隣県では、「放射能汚染の拡大」を恐れて、搬入拒否運動が拡がっています。 

ここまで問題をこじらせて、今になって、政権があと1週間もないという時期になって、除染をすると言うのですから、与党議員諸氏の頭の上からバケツで冷却水をかけてやりたい気分です。 

この「被爆地」の土壌線量の測定と除染は4月から始めるべきでした。 

ここで正確な測定数値が出れば、早川マップ(*群馬大早川教授の出した汚染マップ)も必要なかったし、週刊誌が各誌競争のようにして、面白おかしくホットスポット探しをする流行を生み出すことも、西日本が必要以上に東日本を怖がる風潮ができることもなかったのです。 

土壌線量測定などそんなに大変なことではありません。私のような素人でも簡単に出来ます。

ベータスペクトロメータという器材があれば迅速に計れるものです。こんな器材を市町村自治体に5、6台ていど供与すればいいのです。計測自体は自治体職員がやればいいだけの話です。 

そもそもこんなことは、議員立法だなんだと言う前に、県と相談して官僚がさっさとやればよかったのです。 

しかし、あの悪名高き「政治主導」とやらで、官僚の中に「余計なことをすると怒られる。判断を仰ぐと判断しない」というヒラメ的空気が生まれていました。 

霞が関の蛍光灯の下から出るのがイヤなら、せめて予算を農水省、厚労省、文科省、環境省など関係各省が協力して緊急予算をぶん獲ってくればよかったのです。 

国は測定方法の基準だけ決めても、自分はなにもしませんでした。 

ビタ一文予算も付けないし、官庁に問い合わせれば、「民よ、モニタリング・ポストを見ればいい。それでも心配なら、自分でガイガーカウンターでも買って、勝手に計れ」とのダルなご託宣が返って来る始末でした。(←実話です)

結局、国に見放された国民は不安の中で5カ月間を生きなければなりませんでした。

自分が生きている土地がどのていど汚染されているのか、自分の街や学校の庭にホットスポットはあるのか、食物に微量の放射性物質が入っているのか・・・、と。 

そしてある主婦は、庭を自前で買ったガイガーカウンターで測り、その数値に恐怖し、庭の樹を切り、芝生をはぎ、ミネラルウォーターで炊飯するようになりました。 

食はすべて西日本のものか、輸入食料です。・・・そして子供の疎開が始まりました。 

これは特にすごい例ではありませんよ。今やこれが、東日本全体を覆っている「不安の雲」なのです。 

この「不安の雲」を取り除くには、ふたつしか方法はありません。調べることと除染することです。ここにベラルーシという手本があります。 

チェルノブイリ事故で大きな汚染を被ったベラルーシでは、各街の小学校に簡易食材の検査装置があります。主婦は空き時間に小学校に行って短時間で計測を済まして、夕食を作ります。 

また、小学校の保健室には簡易ホールボディカウンターまであり、子供の線量を定期的に計測して、異常はないかを確認しています。 

土壌測定も綿密に定期的に行われています。空中線量などはモニタリングポストが街の各所にあります。 

ベラルーシの国家予算など、おそらくはわが国の千分の1のケタです。そのような小さな国すらこれだけのことをしているのです。 

恥ずかしくないのでしょうか? 

私は、福島県では早急にベラルーシのレベルの放射線防護のための保健施設を作るべきだと思います。 

とりあえず、福島が優先順位第一位です。その後に徐々に東北各県、茨城、千葉、栃木、東京東部に拡げていけばいいのです。

たとえば、今、福島県下でベラルーシ方式でやるべきなのはこんなことです。緊急時避難地域だけでお茶を濁すなんてバカなことを行っている場合ではありません。 

➊ヘリ測定ではない、土壌放射線量の徹底計測。
➋除染の方法と除染基準作り。
➌各自治体による除染活動。
➍小学校への食材放射線量計測器の導入。
➎小学校への簡易型ホールボディカウンターの設置。
❻空間線量測定のモニタリング・ポストを学区単位で導入する。
❼一部線量が大きな学校児童の疎開。

こんなていどのことは、民主党の政党助成金ていどの金があれば可能です。 

後世、福島方式と言われるような、しっかりとして被爆地支援方式を、政府は作ってほしいと思います。

 

 

■写真 ブルーセイジに急接近するミツバチ。あんがい後ろから見ることは珍しいでしょう。

 

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

■国の責任で除染=地域指定し放射能対策

 

時事通信 8月15日

 

福島第1原発事故で放射能に汚染された土地の除染やがれきなど廃棄物の処理に関する特別措置法の整備に向け、政府と民主、自民、公明3党がまとめた案が15日、明らかになった。汚染が著しい地域を環境相が「特別地域」に指定し、国の責任で除染計画を策定、実施する。 

 特措法に関しては、民主党が今月に入って骨子案を作り、その後、政府と民主、自民、公明3党の枠組みで協議を進めている。政府・民主党としては、今国会での法案成立を目指し、詰めの調整を急ぐ方針だ。 

 政府と3党の案によれば、「特別地域」から外れた地区の除染については、都道府県知事が定める実施計画に基づき、市町村などが実施する。 

 がれき処理をめぐっては、汚染度の高い廃棄物が集積する地区を「汚染廃棄物対策地域」に指定。同地域内では、国が廃棄物の収集、運搬、保管、処分に責任を負う。また、同地域外であっても、一定の基準を超える汚染が確認された廃棄物は「特定廃棄物」とし、国が処理に当たる。

 このほか、国は、地方自治体による放射能汚染対策に必要な「財政上の措置」を講じるとし、財政面で国が自治体を支えることとした。

 

■放射性物質:高濃度土壌、国が除染…3党が特措法案提案へ
2011年8月16日 2時34分

 民主、自民、公明3党などが、東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染された がれきや土壌の処理に向けてまとめた特別措置法案の骨子案が15日、判明した。
土壌汚染が著しい地域を「特別地域」に指定し、国が除染を行う。
議員立法で各党が賛成する「委員長提案」として提案し、26日の参院本会議での成立を目指す。

 民主党が3日にまとめた原案では特措法に基づく処理費用を東電に「請求するのを妨げない」としていたが、 骨子案では原子力損害賠償法に基づき東電の「負担の下に実施する」と明記、東電により厳しい内容になった。

 「特別地域」は原発から20キロ圏内で立ち入りが禁止される「警戒区域」を想定しており、環境相が指定。
特別地域以外でも土壌汚染が基準を超えれば「汚染状況重点調査地域」に指定し、
」自治体が除染を行う。民主党の原案では原則自治体が行うとしていたが、被災自治体に配慮した。

 がれきなどの廃棄物が「特別の管理が必要な程度に汚染されているおそれがある」地域は、 環境相が「汚染廃棄物対策地域」に指定し、国が処理する。

 ◇除染◇
 放射性物質を汚染場所から除去し、放射線量を下げる作業。拡散させないよう、
土壌の表面をはぎとったり汚染された植物を刈り取ったりする。高い線量が確認された建物は、根や壁、雨どい、窓などを水などで洗う。福島県南相馬市災害対策本部のマニュアルでは、
除去した土などは原則として発生敷地内に一時保管し、後に最終処分場へ移動するとしている。

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セシウム汚染の原因は外部からの付着が主因

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日本農業新聞(8月14日)に面白い記事が載っていました。

東京大学大学院農学生命研究科の中西友子教授と、福島県農業総合センターとが共同で、セシウム汚染がどのように作物に移行するのかを調べてみました。

まぁ、常識的には私たち農業者は、外部被曝で天から降ってきたものが大部分じゃないかと思っていたのですが、やはりピンポーンだったようです。

結論から言えば、外部からの放射性物質の付着が主原因でした。納得。

これは私たち農業者にはささやかな福音です。というのは、放射性セシウムの植物内の挙動がよく分からなかったのです。

足柄と静岡の新茶にセシウム検出された時に、農業者は一様にショックを覚えました。なぜでしょうか?

作物が汚染される原因は実は限られています。

➊外部被曝からの移行・・・フォールアウトして来る放射性物質によるものです。3月期の野菜、牧草、野外保管藁などが外部被曝しました。

➋土壌よりの移行・・・土地に入った放射性物質を植物が吸い上げてしまうケース。今のところ、牧草からの牛乳、肉への移行は確認されていますが、植物では因果関係で明確になったケースはありません。

ただし、土が粉塵や雨などの原因で植物にかかって汚染される可能性は大いにありえます。ただしその場合は、内部被曝ではないので、洗うなどの除染が可能です。

➌被曝した葉などから穂や新芽に移行・・・古い葉に付着したセシウムをカリウムと間違えて植物が吸収し、新葉や新芽に移行させる内部被曝のケースです。足柄のお茶がそうでした。

➍放射性物質で汚染された水からの移行・・・水にセシウムが存在する場合、植物がセシウムごと吸収してしまい汚染されるケースです。現時点で、植物では因果関係があるケースは未確認です。

消去法的に言えば、➋、➍は今のところ未確認なので、現実に出た場合に考慮します。

となると➊の外部被曝か、➌の古い葉からの移行です。しかし、古い葉からの移行などというのは理論的にはありえると分かっていても、よもや現実にはあるまい、というのが私の本音でした。

が、足柄のお茶であったんだよね~。ショック。

では、冷静に考えて外部被曝と古い葉からの移行はどっちが大きいのという確率論になります。とうぜん、外部被曝です。

そもそも吸収された古い葉からの放射性物質など微量なはずで、外部被曝とはケタ違いなはずです。

ただ、可能性として捨てきれないために、今年の麦やモモ、りんごなどの果樹類などのように3月期に野外にあって葉や茎が被曝した作物は心配されていたのでした。

もし、お茶のような被曝した古い葉から移行するとなると、麦だけではなく桃などの日本が誇る果物に黄色信号が点滅してしまいます。

そこで、この東大の実験です。

実験はこのように行われました。
まずは下の欄外の写真をご覧ください。これは福島第1原発で汚染された麦をセシウムが確認できるように処理した画像です。

福島県内で5月26日に採取した麦で、3月のフォールアウト期には野外にあったものです。

写真の右から
・穂・・・・・・放射性物質の飛散から2か月以上経過
・第3葉・・・放射性物質の飛来時に既に開いていた古い葉
・第2葉・・・飛散時に開いた葉
・第1葉・・・飛散後に開いたさらに新しい葉
・止め葉・・・最後に開くもっとも新しい葉

となります。これにセシウムが黒く浮かび上がる処理をしてみました。黒い部分が大きいほどセシウム濃度は高いことになります。

結果はこうです。
・第3葉・・・汚染を示す黒い反転が多数見つかった。
・第2葉・・・黒い斑点は激減した。
・第1葉・・・放射性濃度は最初の第3葉の百分の1であった。
・止め葉・・・同様に3百分の1であった。
・穂・・・・・・もっとも少なく千分の1であった。

中西教授はこう言っています。
「2葉めの汚染の大部分は、古い葉や土壌の放射性セシウムが付着したことが原因。葉脈に沿った汚染が見られなかったことは、放射性セシウムが葉から葉など植物体内で移動することが少ないことの証拠となる」

■写真 わが家の愛犬モカ太郎君です。今はデカクなってしまいました。このままでよかったのに。ただ性格は変わらずに、愛嬌小僧です。食欲モリモリ。夏バテなし。 

                 ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

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広島は原爆投下から1年半で蘇った。がんばれ、東北!

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広島の原爆投下後に、人は70年間住めないと言った物理学の権威がいたそうです。というと、2015年までダメというわけですから、今も広島は無人の荒野というわけです。

もちろん私たちはこの間違いを知っています。今の広島は、つい最近も葬式で行ってきましたが、中国地方一の大都市です。

広島は、原爆投下から2カ月後の10月には既に仮設住宅が立ち始めています。

同じく10月には市電が運行を再開しました。あの広島名物のゴトゴト走る可愛い路面電車です。

11月に恵比寿神社が再建されて復興祈願祭が執り行われ、人々の気持ちを明るくさせました。

翌46年1月には、広島復興局が開設され、行政と一丸となった復興が本格化します。原爆投下からわずか5カ月後のことです。

そして4月には復興都市計画が策定されました。ものすごい速度で復興を果たしていたのがわかります。ほんとうに広島の人たちはエネルギッシュです。

同じ4月には都市ガスが再開しました。都市インフラの復旧がすごい勢いですすんでいることが分かります。

46年の水道の復旧率が、なんと7割です。人口は46年末のデータで、15万人にも達しました。

人類史上最悪の核攻撃からわずか1年半たらずで、広島市は蘇ったのです。これを広島市民と私たち日本人は誇りに思うべきです。

私たち日本人は核に勝ったのです。

この勝利は、広島市民の復興へのエネルギーと、それを支援した国民の力でした。

さて、東北の被災地にボランティアへ行った友人がこう漏らしていました。まるでゴーストタウンみたいだった、と。

東北は復興が遅れています。正直、私もこんなに遅れるとは思っていませんでした。東北には、まるで虫食いのように無人地帯が拡がっています。

会社そのものがなくなったために、多くの人が地元を離れました。雇用を勢いづけるはずの復興需要も弱々しい状況です。

学校の多くが再建不可能で、福島県の小学生1万3千人が県外へ疎開しました。

牧畜はセシウム禍で大きな被害を受け、復活が危ぶまれています。農業の基幹のコメも同様です。

福島の避難地域を二度と立ち入ることができないようにしろ、との声もあります。なんの除染活動もしないうちから鉄条網を張ろうというわけです。

この鉄条網は、日本人の心の中にあります。被災地を「放射能が怖い」と忌避する私たちの心の中にあります。

私たちは広島の復興という誇るべきモデルを持っています。わずか1年たらずで広島を復興させた姿を思い出しませんか。

今、3月11日に誓った「絆」という言葉は半年もたたずに急速に色あせて、真夏の空に消えようとしています。

8月15日を前に、そうあってはならないと、私は心に強く誓いました。

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「核実験の時代」は30年間に渡り日本人を被曝させた

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結局、二度目の松からセシウムが出たそうで、送り火は取りやめということになったそうです。

やれやれ。京都市のひとり芝居もいいところです。 

ことなかれ主義で安易に抗議に屈して取りやめ、今度は取りやめに対して猛烈な抗議が全国から寄せられると再びやると言い出し、計ったら出たということでまた取りやめ・・・カッコ悪いことこの上なしです。

陸前高田市の市長に謝罪を申し入れたら拒否されるというおまけまでつきました。

もういいですよ。西日本の方々の放射能に対するひとつの傾向がよくわかったということでこの事件に対する感想はお終い。考えるのも不愉快な事件でした。 

そのうち、浦沢直樹さんの「20世紀少年」よろしく、茨城の西の県境に大きなコンクリートの壁でもできるんじゃないですか。

監視所なんかもあったりして、 看板にはこう書かれているのでしょう。

「警告! 福島、茨城以東からの人及びすべての車両、食料、資材等は、必ずスクリーニングを受け、除染してから通過すること。許可なく通行する者は射殺される可能性がある。原子力安全庁」 

いっそ、こんなベルリンの壁ならぬ「福一の壁」でも作ったら、今回バカ騒ぎをしている人たちは、心安らかにお休みになれるでしょう。 

実際、目に見えない「福一の壁」はもう既に出来ていますしね。 

ただご忠告をひとつ。その「壁」を作った人たちにはお気の毒になことには、西日本でも今まで2千回ていどの放射性物質汚染があったのです。 

下の図をご覧ください。折れ線が核実験の回数。黒いドットが今話題のセシウム137、白いドットはなんとストロンチウム90です。 

Photo_8

 

核爆弾というのは、意図的に放射性物質を核反応させるものですから、福島第1原発での事故など比較にならない高レベル放射線を出します。

放出される放射性物質もケタが違います。ビキニ環礁の核実験で放出された放射性物質は、甲状腺の内部被曝に換算するとこうなります。

・ビキニ環礁・・・・・200グレイ
・チェルノブイリ・・・50グレイ
・福島浪江町・・・・・5ミリグレイ
 

原子力発電所から放射性物質が漏れれば一大事ですが、核爆弾は放射性物質を一瞬で大量に放出することが存在理由ですから、ケタ違いの放射線量を出すのは当然です。 

その上回数が何ともえぐい。いちばん多かった62年など実に年間178回です。この回数分原発が世界各地で爆発しているのも同然だったわけです。 

63年には、部分的核実験停止条約が締結されて実験回数は減りましたが、中国は締結には加わらず、国際世論を無視して執拗に地表核実験をウイグルで続けました。 

核実験場は、あのシルクロード名所の楼蘭のすく隣です。日本人観光客には閃光を目撃した人すらいます。観光客の中には帰国後に体調を崩した人も沢山出ました。

楼蘭はチェルノブイリで言う「厳重管理区域」です。観光などなさらないように。

中国がやった核実験は、1996年までに46回、総爆発威力は22メガトン。広島型原爆の1375発分に相当します。

これによる、環境に放出された放射線量は4千万エクサベクレル(1×10の18剰)、チェルノブイリの約2千万倍です。 

しかもさらにエグイことに、地下でやれば少しは違うものを、なんの配慮もなく地表で爆発させたのですからたまったもんじゃない。 

放射性物質を含んだ土砂は砂嵐となり、黄砂となって偏西風に乗って日本列島に注ぎました。これは東日本だけという福島第1原発事故と違い、ほぼ全国に放射性物質をフォールアウトさせています。

欄外の図1は、チェルノブイリ事故による全国に降下したセシウム分布図ですが、日本海側に多く出る特徴がありますが、ほぼ全国各地で計測されています。

チェルノブイリと中国との距離関係からみても、また黄砂との気象関係からも、中国核実験はチェルノブイリ以上の放射能汚染を日本にもたらしたことは疑問の余地がありません。 

とうぜんのこととして、ウイグル民族に万単位の急性被曝者が出たと推測されますが、中国政府は統計すら公開していません。というか、統計など採る気は初めからなかったのではないでしょうか。 

それはさておき、この放射性黄砂により日本国民は全国的な外部被曝と、土壌汚染、放射性黄砂を吸入したことによる内部被曝に遭遇しました。

米の統計にもあるように、おそらくは農作物からも、計れば放射性物質が出ただろうと思われます。しかもストロンチウム、プルトニウム入りで。

実際、日本人の骨格に含まれるストロンチウムは、千葉の放射線医学研究所で調査されていますが、胎児、幼児、成人にくまなく検出されています。もちろん核実験が原因です。

私たち日本国民が60年代から90年代までの30年間もの長きに渡って、一貫して被曝し続けたという現実を忘れてはならないと思います。

この事実に眼をつぶり、核実験は問題ないが、陸前高田の松の灰から来る低線量被曝は断固拒否というのはダブルスタンダードというものではないでしょうか。

私は一環してこのブログで、政府がしっかりとした「被爆地」の土壌線量を測定し、除染をしろと主張してきました。今、陸前高田の松の灰で騒いでいる人たちで、そのような主張をされている人がいますか?

ただ東日本のものは怖いと言うのみで、ではどうしたら除染して安全な土地に再生できるのだ、という視点が根本から欠落しています。

まったくの安全地帯にいながら、現実にこの「被爆地」で生きる私たちの立場を考えてみようともしないエゴイズム。

我が身は少しも傷つきたくないが、「被爆地」の同胞がどうなろうとも気にも止めないという身勝手さ。私はそれが問題だと言っているのです。

■追記 本日、本ブログに対して明らかな荒らし行為がありました。 aga という者です。私の制止も聞かず、自らの得手勝手な正義を振りかざして暴れ回りました。実に5回もの同じ中身の書き込みをしました。

この男は、放射能ウンヌンの前に社会常識を学んだほうがいい。

このブログはそのような行為を認めません。彼の汚らしい書き込みを一括削除し、(ただし、前半のみは保存してあります)IPアドレスを記録し、アクセス禁止としました。

以後、同じように管理者の私の制止を聞かない者には同様の措置をとります。お盆に、こんな馬鹿者相手をさせられるのはまっぴらです。

                                              管理人

            ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

Photo_9          (小出裕章 「放射能汚染の現実を超えて」より引用)

「これ以上、騒ぎになって欲しくない。遺憾だ」。京都市の中止会見を受けて、岩手県陸前高田市の戸羽太市長が12日夕、プレハブの仮庁舎前で、怒りをあらわにした。  

 「京都の独自の判断で中止するというのは風評被害をさらに拡大する」と、明確な基準を示さないまま中止を判断した京都市の対応を強く批判。京都市の門川大作市長側からは電話で謝罪訪問したいとの申し出があったが、断ったという。  

 さらに、「京都市には陸前高田を心配してくれる人もたくさんいる。京都市は被災者をどう考えているのか。京都市民にも迷惑がかかる話」とも語った。  

 当初の計画は、大分市の美術家から協力を求められた京都の「大文字保存会」が進めた。「もう勝手にしてくれという気分。現場に足を運ばずに判断しているのは許せない」。薪にそれぞれの思いを書いて京都に送る当初の計画を呼びかけた陸前高田市の鈴木繁治さん(66)は怒った。  

 当初の薪に鎮魂の祈りを込めて「絆」と書いた佐々木倉雄さん(67)は「お盆の時期にことを荒立ててもらいたくない」と話した。 (朝日新聞8月13日)

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セシウムの半減期は、現実に自然界で計ってみないとわからない

007

先日来の酷暑が一転して清々しい朝です。いやぁ、すごい雷雨でしたね。被害を受けられた方には申し訳ありませんが、有り難い。もう日照りで干からびていましたから。

しっとりと水を含んだ朝の土は、森の香りがします。百姓をやっていてよかったと思える一瞬です。

野原に出て写真を撮ってきました。月見草が雨露を含んで輝いています。こいつらも時ならぬ雨で喜んでいるようです。

しかし、また予報では今日も酷暑。いいかげんにしてほしいね、まったく。朝方には地震もありました。福島が心配です。

さて、この豪雨でセシウムはどこに行くのかな、とぼんやりと考えてしまう我が身のつらさよ(笑)。

放射性セシウムは、フォールアウト(放射性降下)してくると、まず屋根や庭に付着します。ヨウ素のほうは、フォールアウト初期の8日間ていどで消滅しますから、以後はセシウムが主体となります。

ただし、セシウムの他には、テルル、テクネチウム、ランタンなどの核種が降下しています。
(日本国際問題研究所 軍縮不拡散促進センター「高崎に設置されたCTBT放射性核種探知観測所における放射性核種探知状況」8月1日時点)
http://www.cpdnp.jp/pdf/110808Takasaki_report_Aug1.pdf

ようやくですが、茨城県がヘリによる空中からの放射性物質の散布図、俗に言う「汚染マップ」(聞こえが悪いね)作りを始めるようです。

コメの収穫に先行して、消費者や農家の不安を和らげたいという政治的配慮のようです。

結構なことです。ただし、やるなら4月下旬の田植え前に一回やっていたら、稲刈り時にどのような推移があるのかわかったろうと思いますが。ま、いいか。

何度となく私は言っているのですが、文科省や県の空中からの測定は大雑把なものでしかありません。

早川マップ(*群馬大早川教授の作った飛散図・何回も本ブログで紹介しているので見てね)より詳細にしたていどのものだと思っています。

もちろん、思わない場所にホットスポットを発見する可能性があるので、大いに参考になります。

しかし最終的には、私たちが地ベタを歩いて計って行かねばならないでしょうね。

チェルノブイリでも86年の爆発時から、セシウムは翌年、翌々年と減少を続けていくことがわかっています。

これは除染の有無にかかわらずの減少です。

モノの本にはセシウムの物理的半減期は30年と書いてありますが、実際にチェルノブイリではそれよりはるかに早いスピードで減少しています。

その理由は、おそらくは実験室の数値である物理的半減期とは違って、現実の減少はさまざまな自然界の要素によって左右されるからです。

たとえば、昨夜のような土砂降りの雨が降ります。おそらく、屋根の上や舗装された道路、コンクリートの瓦礫表面などからは洗い流されるはずです。セシウムは軽い物質で、おまけに水に溶けますから。

洗い流された結果、樋の下や、樹木の下にいったん溜まり、流れ流れて下水溝から下水の処理施設の汚泥に集積します。

別なルートは、植物が吸い上げることです。植物は生育中に栄養素の一種のカリウムと間違えてセシウムを吸い込みます。同族元素だからです。

この植物が吸い込んでしまったセシウムは、生物半減期というものがあって減り続けます。だいたい生物的半減期は100日です。

コメのセシウムが話題になっていますが、100日弱田んぼにいますので、そのあたりがどうなっているのか知りたいところです。

いずれにせよ、コメは茎、葉が吸い上げて、実であるコメ粒に移行するのですが、米ぬかとなる胚の部分により多く残留します。

農水省の土壌からの移行率は10分の1ですが(*他の移行率数値もあります)、現実には5分の1を切ると思いますが、これも今年計ってみねば結論めいたことは言えません。

今年はぜひ、葉、茎、根に分けて測定し、さらに玄米と精米の比較もしたいものです。

あともうひとつのルートは、下水系に流れ込まないセシウムの行方です。これは水系の構造によって異なりますが、おおよそ里山・山地⇒水田⇒農水路⇒小川⇒河川⇒湖・海となります。

セシウムは水に溶けますから、この過程でどれだけ希釈されていくのかが分かればいいな、と思っています。

セシウム希釈の過程で、植物プランクトン⇒動物プランクトン⇒小型魚類・幼虫⇒捕食生物(魚類、昆虫・両生類・鳥類など)という食物連鎖の中で、昨今言われるような放射性物質の食物連鎖と生体濃縮が起きているのか、いないのかも知りたいところです。

これらは空中からの測定ではわかりません。地道にひとつひとつ計測するしかないのです。(欲しいよぉ、ガンマ・スペクトルメータ!)

いずれにせよ、さまざまなルートを通じてセシウムは、30年を待たずして急激に減少するはずです。

ただしその過程で二次汚染が生じるかどうか、どのような新たな希釈ルートが出来ているのかなど、まだまだ未知です。

報道関係のかたへ。
一部報道関係者が、私たちが企画している測定会の取材を茨城大学の教員に対して行っています。今回のこの企画は、有志の教員の皆さんとの企画であり、大学当局は関知していません。まだメンバーも日程も決定されていない状況です。

このような段階での大学、あるいは教員への取材は混乱の原因となりますのでお止めください。取材を希望される場合は、必ず事務局である濱田を通して下さい。よろしくご配慮のほどをお願いします。

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作付けをしないことは、「農家の良心」ではない

052
福島の農民で米の作付けをしない人が一部で良心的生産者のようにもてはやされているそうです。

消費者に「危険な米」を出すくらいなら、いっそう作らない良心的行為ということのようです。

この農家に対しては、特に言うこともありません。あなたは農業を止めたんですね、だったらもう農業者ではなく、「元農業者」の道を選んだんですね、というだけです。

良心的もなにも、「やめた」という選択をした、今までに山ほどいた離農農家と一緒です。もうこの人が農業についてとやかく言う資格は、少なくとも農業者としてはありえません。

作付けを放棄するなら、補償金をもらおうということでしょうか。それは被爆地の農家としてはひとつの権利です。

しかし、賠償金をもらうのはただの「権利」に過ぎない。私たち農業者は、土を耕し、苗を植え、ヒヨコを飼い、卵を採る。繁殖牛を買い入れ、肥育して立派な牛にして出荷する、こんな農家としてのあたりまえの経済行為をしているから、農業者と言えるのです。

別な言い方をすれば、それは私たち農家の「義務」です。お天道様の下で汗水流して、まっとうな作物を作り、まっとうに出荷する、それで家族を養う、これは私たち農業者の崇高な「義務」です。

天から私たち農家にだけ与えられた義務です。

出荷どころか、作付けもしないで早々と賠償金をあてにしているなら、その「良心的」農家の方は、自分の土に対しての義務を放棄したのです。

耕し、植え、育て、収穫するという営々として続けてきた鎖を繋げることを棄てたのです。おそらくは一年でその人の田畑は荒れ放題になるでしょう。

雑草の種は落ち、地中に蓄えられます。そしてまた来年も雑草が生い茂る。私は野草が生い茂る風景はそれなりに好きですが、それを農業とは言わないだけです。

農業者としての義務を放棄し、権利のみを選んだ人を「農家」と呼びたくないのと一緒です。

土が放射能で汚染されているなら除染すればいいのです。どうしてさまざまな自分の農地で、条件を変えて計測してみないのでしょうか。

同じ水田でも、里山に囲まれた谷津田の数値と、平坦な場所の水田は数値が違うはずです。

同じ畑でも、小さな裏山ひとつ隔てた畑とは数値の出方が違います。3月中旬から下旬のフォールアウト直後にロータリーをかけた土は、すごく数値が落ちています。しない場所と比較して、ほぼ10~20分の1です。

水系によっても、田畑の数値が違う場合があります。ひとつの水系は比較的数値が低く、別な水系には高めの数値が出る場合があります。堆肥の質によっても違います。

バーク(木質)やゼオライトなどの粘土系資材を多く使った堆肥の田畑は、おしなべて数値が低いのです。

要するに、調べないと分からないのです。私がこんなことを言えるのも、実測したからです。地べたを歩いて計ったからです。

この方はそれをしたのでしょうか?自分の田畑と、村を歩いて地べたに頬をつけるようにして計ってからの「作らない」という結論ですか?

そしてその実測結果に基づいて除染計画を、さまざまな研究者と相談した上での作付け中止ですか?

もしそうでないなら・・・まぁそういう人も村にはいるでしょうね、という程度の話です。しかし決して「農家の良心」うんぬんの話ではありません。

たぶん今年のその人の水田は、耕作をしなかったために土壌が耕耘による除染をされずに、そのまま来年に持ち越されるでしょう。

作物による吸収がないために、おそらく雑草が放射性物質を吸収してしまうはずです。

もし、それほどまでに自分の水田で作ることが怖いなら、この雑草も持ち出して、穴を堀り、鉄板をかけて保管することです。

農業者には単純な信念があります。それはどんな困難があっても、その壁がどんなに高く見えても、耕し続けていくうちに絶対によくなるという未来への楽観です。

チェルノブイリの農民もそうしたし、多くの福島の農民もそうするでしょう。オレたち農民はは放射能になどに負けない。

■写真 霞ヶ浦の葦の原と夏の太陽。暑苦しい入道雲がもくもくと。葦は霞ヶ浦再生事業で植えたものです。私も少し関わりました。野鳥の営巣の巣になります。いまはもう巣立って静か。

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広島で起きたことと、京都送り火拒否事件を考えてみる

010

大文字焼きにおける陸前高田の薪拒否事件で、あまり考えたくないテーマですが、放射線被爆地に対するわが国の中の「ある種の拒否感情」を考えてしまいました。

日本での最初の放射線被曝地に対する「ある種の拒否感情」の起こりは、いうまでもなく広島、長崎でした。

広島は世界で最初に戦争目的での核使用をされた都市です。

「感情」の問題の前に、いったい1945年8月6日午前8時15分、広島市島病院上空で何があったのかをみてみます。

広島市上空580mで核爆発は起きました。広島市は半径2㌔にわたった爆風と熱線て壊滅しました。

また、同時に核分裂反応から照射されたガンマ線、中性子線を中心とする高エネルギーの放射線は直下の人々の頭上に降り注ぎました。TNT換算で15キロtでした。

爆発点直下には数十万気圧の超高圧が作られ、周囲の空気は煮えたぎり、上空に爆風として吸い上げられました。この時起きた激しい風は風速280mにも及びました。

これに乗って爆風はまず外側方向に向かい、わずか30秒後には11㌔遠方まで衝撃波と熱線、そして放射線を延ばしました。

この外側に向かうエネルギーが去った後に襲ったのが、内側に向かうキノコ雲でした。、

爆発で形勢されたこの禍々しい火球は、摂氏数万度にも及びました。これにより爆心地から3.5キロ以内に無遮蔽でいた人々は致命的熱傷を受けました。

同時に爆心地から半径2キロ以内にいたすべての人は、直接放射線により急性放射線障害により即死しました。

この高エネルギー放射線を照射された地表は土壌の放射化現象を起こし、広島市民は頭上のみならず地表からも超高線量を浴びることになりました。

かくして広島において、原爆の熱風、熱線、放射線によりその年の12月までに14万人が死亡しました。

さらにこの悲劇は終わったのではなく、急性放射線被曝のみならず、放射線による晩発性障害が引き起こされました。

核爆発後に発生した超高温のキノコ雲は、上空で冷却されて雨となりました。これが「黒い雨」です。

雨が、木造家屋の火災による煤を含んでいたために、黒い雨になったのです。爆発後北西方向の風に乗り、30㎞遠方まで放射性物質を大量に含んだ雨がフォールアウト(放射性降下)しました。

北北西に伸びた「黒い雨」のエリアは、当時の広島管区気象台の職業意識の塊のような作業でまとめられています。

「黒い雨」の降雨したエリアは、長径19キロ、短径11キロに及び、約1時間以上激しい雨となりました。

この「黒い雨」の範囲内では、直後から急性放射性障害による脱毛、下痢が始まり、長い時間に渡って人々は白血病などの放射性障害、「原爆症」に浸食され続けていきます。

なお、広島市爆心地から1.5キロでのガンマ線被爆線量は490ミリシーベルトと推定されています。

この「黒い雨」のエリアにいた人たちは、毎日のように続く野辺送りを経験せほばなりませんでした。

そしてそれだけではなく、放射能に対する社会的偏見にさらされました。社会的交際、就職、結婚にまで「黒い雨」は暗い陰を伸ばしたのです。

まったく遺伝的影響がみられない被曝2世まで結婚差別が及んだのです。

それは放射線被爆地の人々にとって「三度目の死」でした。

一度目は、煮えたぎる熱風と熱線、急性被曝により殺され、二度目はキノコ雲から伸びた「黒い雨」の下で晩発性障害に怯えて生き、そしてその子供たちまで社会的な差別に会いました。

陸前高田市の薪を拒否した京都市にお聞きしたい。

あなた方の行為は、被災地と被爆地の混同という幼稚な認識に基づいて、かつてわが国が経験したもっとも忌まわしい原爆とその後の原爆症差別とどこが違うのですか?

私たち日本人は、二度と広島と同じ悲劇を繰り返さないと世界に約束したのではなかったのですか。

そしてその約束の中には、核の廃絶のみならず、人々の心の中に隠微に眠る放射能差別と決別する決意も含まれていたのではなかったのですか。

今回の京都の事件を私は「放射能差別」とまで呼ぶ気はありません。しかし、その萌芽は確かに眠っていました。私はそれを恐れます。

また、この広島の原爆投下と福島原発事故を安易に同一視する風潮にも疑問を感じます。

これを言う学者は「ウラン換算」などというトリック的手法を使っていますが、この広島の悲劇の大きさと深さは、福島原子力事故とは比較にならない巨大なものでした。

そのような安易な比較をすることで、かえって互いの本質から遠ざかるのではないでしょうか。

■ 写真 カラスウリの花が咲きました。レース模様が美しい。

     ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

五山送り火被災松使用中止 抗議・非難の電話殺到

 

産経新聞 2011.8.9 01:23

 

京都市内で16日に行われる「京都五山送り火」の一つ「大文字」で、東日本大震災の津波で流された岩手県陸前高田市の名勝「高田松原」の松で作った護摩木を燃やす計画が放射能汚染を不安視する声を受けて中止となったことに対し、京都五山送り火連合会の事務局がある京都市文化財保護課に非難が殺到している。

 

 計画の中止が報じられ、休日が明けた8日朝から同課では電話が相次ぎ、約100件に上った。その大半が「被災者の気持ちを無駄にするのか」「京都のイメージダウンにつながる」などと計画中止を抗議、非難する内容だった。

 

 さらに市政情報総合案内コールセンターにも7日に45件、8日に166件(午後5時まで)の電話とメールが寄せられ、9割以上が中止反対の意見だった。

 

 今回の中止について、福島県飯舘村職員の杉岡誠順さんは「放射能汚染を恐れる気持ちをもつ人がいるのは致し方ない。ただ、今回のことで東北の人々は大変ショックを受けた。中止反対の声もあると聞くと励みになったが…」と話した。

 

 被災者に犠牲者の名前や祈りを書き込んでもらった護摩木は約400本集まった。京都市などの検査で放射性物質は検出されなかったが、汚染を心配する声を受けて大文字保存会が中止を決定。護摩木は8日夜、陸前高田市内で迎え火として燃やされた。

 

 保存会のメンバーは現地で護摩木を写真撮影しており、京都市で別の護摩木に書き写したりして16日の送り火で燃やすという。

 

 被曝医療に詳しい鈴木元・国際医療福祉大教授(放射線疫学)は「放射能を怖がるレベルが極端になりすぎている。護摩木から放射性物質が検出されていないのに、中止を求めたりしたことは過剰反応に間違いない」と話している。

茨城県放射能実地測定研修の集い

❶茨城大学教員3名を講師として農地放射線量測定します。

➋空間線量と土壌線量測定の実測方法の実地研修

➌農地の測定

➍除染の講習

➎まとめと座学

❻場所 茨城県行方市 

❼日時未定ですが8月中旬から下旬の大学夏休み期間中に予定しています。

❽土壌サンプルをお持ちいただければ、測定致します。

茨城県、千葉県農業者、市民の皆さん、ぜひご参加下さい。

参加資格は問いません。農家を問わず消費者の方も遠慮なくお越し下さい。

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広島、長崎、チェルノブイリと福島は違う  京都市の陸前高田送り火拒否事件を考える

037
陸前高田市の大震災時に大津波で倒れた景勝の「高田松原」の松を、京都の伝統的行事である「五山送り火」の大文字焼きで使う計画が取りやめとなったそうです。 

これは大分市の人の発案で、倒れた松の木数百本の小さな薪を作り、それに多くの被災地の人たちが、死んだ家族への思いや、生き残ったことへの責任、そして全国の支援への感謝の言葉が書き込まれました。 

画像でその小さな薪を見ました。 

死んだ母親の名、妻の愛称、子供の好物。そして「ありがとう」の文字。ひょうきんな「銀河征服」というわけのわからないものもありました。 

被災して、ひょっとして縁者をなくしたかもしれない少年が、「銀河征服」を未だあきらめていない(笑)。思わず、この見知らぬ彼の小さな肩を叩きたくなりました。

ガンバレよ、少年!
たくましく生き抜け!

瓦礫の街をまた笑いの絶えない街にしてくれ!

これらはメッセージです。被災地の人々の喜び、哀しみ、そして感謝のメッセージです。 

それを放射能が怖いことを理由に、五山送り火として受け取らないとは・・・! 

十数本の抗議のメールがあったそうです。 

「被災地の松は被曝しているので灰から放射能汚染が京都にまき散らされる」。 

もちろん、送り火保存会と京都市はすべての放射性物質の検査を済ましていました。とうぜんのこととして、検出されていませんでした。 

にもかかわらず、京都市はこの抗議の声に屈して使用を見送ったのです。 

もう京都市は、「絆」とか、「がんばれ、東北」というポスターをすべて剥がしたほうがいい。 

こんなありもしない脅威に怯えて、その少数の人たちを説得もできないで「絆」を語る資格はない。それは偽善にすぎない。 

あなた方京都市がどれだけひどいことをしたのか、このお盆の間よく考えて下さい。今年、日本のどこの誰より送り火で亡くなった愛しい人たちを送りたかったのは、この東北の人たちだったはずです。 

ほんとうに伝統行事なら心がなければなりません。それをなくせば、ただの薪という燃料を使ったイルミネーションの観光行事に過ぎません。 

私はこの事件を見て、私たち日本人は、「放射能の脅威」という幻影に怯えているのではないかと思えてきました。 

確かに、福島県や茨城など東関東には広範囲に放射性物質がフォールアウトしました。それは、このブログでなんども書いているように逃げようもない事実です。 

しかし、あるジャーナリストが、「福島の原発事故は広島の原爆よりはるかに大きい放射能を撒いた。チェルノブイリといっしょだ」と発言しているのを聞くと、どうしてこんなデマに近いことを言い散らすのだろうと思いました。 

まず第1に、広島の原爆は核爆発ですし、チェルノブイリは核分裂反応の暴走による炉心の爆発です。 

一方、福島第1原発の事故は、炉心周辺にあった水の分解で生じた水素が建屋内に充満して、それが酸素と結合した水素爆発です。

まったく放出される放射性物質の量が違う別次元の事故です。ましてや、広島、長崎などの原爆と比較するのも愚かだと思います。 

福島は炉心は緊急停止して暴走してはいませんが、燃料棒を冷やす冷却水がなくなったために高温となり、燃料棒の被覆を溶かして炉心溶解したのです。 

それに対し、チェルノブイリは炉心周辺に黒鉛の減速材を置いていたために引火し、巨大な爆発となって、2エクサベクレル(2×10の18乗ベクレル)という巨大な放射性物質を噴出させました。 

これは、放射線防護学でいう「レベルA」に相当し、一時期に実に14シーベルト(Sv)という大量の放射線を吐き出しました。

いいでしょうか。私たちがいつもニュースで今日の放射線量で見ている空間放射線量は、8月7日午前9時~8日午前9時(文科省調べ)最大値でこんなものです。

●福島市・・・1.240マイクロシーベルト/時(mSv/h)
●茨城県・・・0.086
●東京都・・・0.062

単位に注意してください。私たちが福島の事故以降に見聞きしている線量の単位は「マイクロ」(μ)シーベルトです。

1シーベルト(Sv)=1000ミリシーベルト(mSv)=100万マイクロシーベルト(μSv)という換算になりますから、チェルノブイリの14シーベルトというのは、福島市の約1マイクロシーベルトと比較すると、14×100万=1400万で1400万マイクロシーベルトと、実に1400万倍という桁外れの凄まじい線量だったことがわかります。 

これにより、原子炉の近隣にいた消防隊員などが全身にこの放射線を浴び、129人が重症の急性放射線障害になり、うち29名が尊い命を失いました。

福島第1原発では津波による2名の死亡がありましたが、放射線による急性被曝はありません。

では、この放射線防護学で区分されている人体が受ける放射線レベルは、どのようなものでしょうか。

レベルはA~Fまでに区分されています。
レベルA・・・4シーベルト以上
・即死あるいは、60日以内に急性被曝で半数が死亡。
・例としては、広島、長崎の原爆を投下された直後の市内。チェルノブイリの事故直後の構内とその周辺。

レベルB・・・1~3シーベルト
・即死することはないが急性の障害に罹る。ガンの発生率も高い。
・例としては、広島、長崎の生存者。チェルノブイリ原発近隣。

レベルC・・・0.1~0.9シーベルト(100~900ミリシーベルト)
・発癌の可能性がある。妊婦に胎児の影響が出る可能性がある。
・例として、チェルノブイリから3㌔離れたプリピャチ市(250ミリシーベルト)。30キロ圏内の農村。

~~以上のレベルCから以下のレベルDには二桁の大きな差あるので注意~~

レベルD・・・2~10ミリシーベルト
・年間の自然放射線量が1~2ミリシーベルトです(地域によって違います)。
・例としては、福島市内など。

レベルE・・・0.02~1ミリシーベルト
・ICRP(国際放射線防護委員会)の定めた安全線量域です。
・例としては、福島県以外の東北各県、東関東、北関東全域。

レベルF・・・0.01ミリシーベルト以下
・「顕著な人工放射線量が存在しない」というレベル。
・例としては、東北、北関東、東関東以外の日本全国。

レベルAの広島、長崎、レベルA~Bのチェルノブイリと、レベルD~Eの福島、東関東を比較すること自体がおかしいのです。

放射能を恐れることは必要です。子供を守ることも必要です。

しかし、正しく恐れましょう。無意味にパニックになり、陸前高田の人々が鎮魂の心をこめて作った法要の薪の受け取りを拒否するような愚かなまねは止めて下さい。

そのような行為は、放射能以上に被災者たちを傷つけているのです。 

       ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

茨城県放射能実地測定研修の集い

❶茨城大学教員3名を講師として農地放射線量測定します。

➋空間線量と土壌線量測定の実測方法の実地研修

➌農地の測定

➍除染の講習

➎まとめと座学

❻場所 茨城県行方市 

❼日時未定ですが8月中旬から下旬の大学夏休み期間中に予定しています。

❽土壌サンプルをお持ちいただければ、測定致します。

茨城県、千葉県農業者、市民の皆さん、ぜひご参加下さい。

参加資格は問いません。農家を問わず消費者の方も遠慮なくお越し下さい。

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ありがとう、JA! 大震災の時JAがなかったら、被災地の農業は壊滅していました

018

北海道様。すいません。JAの組織構造をよく知らなかったもので。「全中」と修正しました。

さて私は、JAについて長年批判的だった部分があるのですが、この震災で大きく再認識しました。

国民の大部分は知らなかったと思いますが、大震災により東北、東関東の被災地の家畜飼料は完全に枯渇しました。

今回の牛肉のセシウム事件の発端となった牛農家も、この飼料の枯渇期にどうしようもなく被曝した屋外牧草に手を出したものです。非難されるべきですが、切羽詰まった事情もあるのです。

東日本全域の飼料枯渇の原因は、大震災により飼料基地だった茨城県鹿島港が壊滅的被害を被ったからです。

鹿島港は私の農場のすぐそばなのですが、やはり5メートルの津波が来て港が一時干上がるは、車両が水中に転落して水路を塞ぐは、埠頭が液状化で使用不能になるはといった大損害を受けました。

鹿島-神栖のコンビナート地帯にも大火災が発生して数日間にわたって燃え続けました。

このボンボン燃える炎と、黒煙、そして途絶えることのない緊急車両のサイレンが私の心に焼きついた震災の風景でしょうか。

大停電と通信が途絶。携帯もアウトだったんですから、なんのために携帯あるんだと言いたいですね。こら孫社長、あんたのところがいちばん復旧が遅かったぞ。本業にいそしめよ。(笑)

私が原発事故を知ったのは大停電がやっと終わった4日後のこと。大津波の惨状を映像で知ったのもそうです。声もないとはこのことでした。

飼料基地がやられただけではなく、被災地まで来るインフラがズタズタ。そもそも送油施設が壊滅したためにトラックもガス欠。配送センターの施設も全壊。運転手さんまでもが被災していたのです。。

受け手の農場サイドも、施設が倒壊、飼料タンクは倒れる。家畜は逃げ出す。断水で水がない。

のみならず、家畜に与える餌がない!家なんかぶっ壊れようが、家具が転倒しようが後から直せばいいだけですが、家畜にやる餌がなくなれば、1週間足らずで家畜たちは死んでしまいます。

私など断水しているために川で水汲みをしながら、「在庫の米ヌカや麦で飼料を延ばしてもせいぜいが7日だな、その後どうする・・・」と憂鬱に頭の中で自問していたものです。

今になって思えば、この時期に私たちの頭上に放射能がフォールアウトしていたわけです。

え、政府。そんなもの日本にあったんですか?

自衛隊や消防、警察といった国家機関は大車輪で被災地救援をしましたが、政府?そんなものどこに消えたのやら。

農水省?話の外。平時に減反で買い込んだMA米の保管業務ていどの暇仕事しかしていないツケで、非常時にはまったくの役立たず。農水省という存在があることすら被災農家の私たちは忘れていました。

この危機に登場したのが、JA全農です。

西は志布志の飼料基地から配送をかける、北は新潟港から脊梁山脈を超えて餌を運ぶ、中部の渥美半島からもどんどんと飼料トラックが被災地に向かって走ってくるのです。

まさに日本を縦断する大被災地救援作戦です。おそらくは西日本、北陸、北海道など被災に合わなかった地域の使える飼料トラックが全部出払ったのではないでしょうか。

投入された人員、資材などまさに被災地救援大作戦の名にふさわしいものでした。

電話が復旧するや、いちばんに来た電話が、JA東日本飼料の担当者からでした。
「ぜったいにエサを届けます。信じてください。バラ車ダメなら、平ボディでフレコンに詰めても輸送します」

うれしかったですね。地獄に仏でした。涙が出ました。もう、JAには足を向けて寝られない。

そう思ったのは私だけではないはずです。震災以降初めて農場に入って来たJAのバラ車を拝んだという人もいたそうですから。

あれだけの被災地飼料輸送大作戦など、他のいかなる団体、企業も無理です。JAなかりせば、大震災で東日本の農業が壊滅したのは間違いありません。

また、原発の避難地域からの家畜の非難に対しても献身的にやったのはJAでした。政府が振り向きもせずに非情に切り捨てた家畜を、一頭一頭トラックに乗せて、預け先も探したのはJAでした。

まさにJAは日本農業の大黒柱の名に恥じない働きをしました。

農水省などなくてもいいが、というかないほうがましですが、JAは間違いなく日本農民の背骨なんだと思いを新たにしました。

ですから、昨日書いた苦言もあえて言わしてもらえれば、というふうに理解ください。

ありがとう、JA!あなたたちが東日本の農業を救ったのだ!

■写真 昨日と同じブルーセイジです。こっちがほんとうの色です。接近しているニホンミツバチが見えますか?

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。 

茨城県放射能実地測定研修の集い

❶茨城大学教員3名を講師として農地放射線量測定します。

➋空間線量と土壌線量測定の実測方法の実地研修

➌農地の測定

➍除染の講習

➎まとめと座学

❻場所 茨城県行方市 

❼日時未定ですが8月中旬から下旬の大学夏休み期間中に予定しています。

❽土壌サンプルをお持ちいただければ、測定致します。

茨城県、千葉県農業者、市民の皆さん、ぜひご参加下さい。

参加資格は問いません。農家を問わず消費者の方も遠慮なくお越し下さい。

このブログのプロフィール欄に私のメルアドがありますので、ご一報下さい。詳細が決定次第メールでご連絡いたします。

 

 

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原発事故における日本農業「失敗」の研究  風評被害篇

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今になって、ああすればよかった、こうしたらよかったということは山ほどあります。もちろん結果論というやつですが、されど結果論。 

あの大震災から5カ月目になろうとしているこの時期に、もう一回咀嚼し直してみることもいいのかもしれません。 

オーバーなタイトルを付ければ、「日本農業失敗の研究 原発事故と風評被害篇」とでもいうことを考えてみました。 

今、都市の消費者の農業全体に対する不信感は日に日に増大しているようです。言うまでもなく、牛肉と、これから出る可能性が高いとされているコメのセシウム検出によってです。 

この牛肉とコメという、ある意味日本農業の華とでもいうべき品目の信頼が揺らいだことによって、震災から揺らぎ続けていた農業全体に対する眼が一挙に厳しくなりました。 

もちろん、これには下地がありました。4月から始まる風評被害事件です。私はこの対応の失敗が、きちんと見直されないままに現在の牛肉、コメなどの問題で全国化していき、いっそう深刻に、そして複雑になってしまったという気がします。 

からまってしまった糸玉には初めの絡まった時があるのです。 

最初に政府がドタバタで定めた暫定規制値なる数値が出た時、それを受け取った県レベルでは危機感はほとんどなかったはずです。 

「おー、こんなファックスがきているよ。まぁ出ないと思うが、いちおう計ってみようか」、とまぁ、今になるとずいぶんと悠長な空気が現地にはありました。 

原発事故の現地となった福島県は別にして、隣県は正直そんなていどの気分だっただろうと想像できます。

なぜなら、政府から放射能の危険情報がまったく届いていませんでしたし、放射能が飛散すると言われてもピンと来た人のほうが少なかったのではないでしょうか。 

そして各県が計ったところ、次から次にというペースで規制値超えが出ました。3月19日に栃木県宇都宮のほうれんそう、3月24日に千葉県多古のほうれんそう、4月6日に茨城県高萩の同じくほうれんそうでした。 

それから、雪崩のようにさまざまな作物に放射性物質が検出されて大混乱となるのはご承知のとおりです。 

この状況は、よもやそこまで放射性物質は行っていまいと思われていた神奈川の足柄のお茶(5月10日)にまで検出されました。

汚染された範囲も福島、茨城、千葉を中心として、栃木、群馬神奈川、静岡にまで拡がりました。そして今回はとうとう福島の北に位置する宮城県です。 

これに原発からの汚染水の大量放出による海産物被害まで出ますから、わが国が今まで経験したことのない広範な汚染状況でした。 

これに対して政府が出した出荷規制が引き金になって、福島、茨城、千葉の県を中心とする被曝圏内と思われた東関東産の農作物は市場から徹底的な出荷拒否に会います。これがいわゆる「風評被害」でした。 

被害総額はおそらくは数百億円の規模に登るのではないでしょうか。未だ完全な集計すらできないほどの傷を日本農業に与えたことは間違いありません。 

さて、この時農業界はどのような対応をとったのでしょうか。それは「これは風評被害だ」という表現に集約されています。 

あくまでも農業界(*)は、これは「風評」であって、「実害」ではないと言いたかったのです。言い換えれば、政府が出荷停止にした品目以外は「安全」である、と。 

これは明瞭に誤りです。政府がやったような「爆発はありません」、「メルトダウンしていません」、「直ちに健康被害はありません」とまったく同列の言葉の欺瞞でした。 

ああ、言ってしまった・・・。けっこう勇気いるんですよ。この私だって、このブログで4月には「風評被害は人災です」としっかり書いていますから。 

原発事故という人災には違いないし、私個人はあの時点で出荷規制以外の作物が安全だと主張したことは一度もありませんが、農業界はそう訴えてしまったのです。 

当時から私はそれはありえないと思っていました。なぜか? 

農業の現場にいれば、たとえば出荷停止のホウレンソウの横の畝には春キャベツが植わっていることを知っているからです。牧草もあるし、屋外藁もあります。 

冬の露地ホウレンソウは確かに葉が横に展開するために被曝面積が大きいのは分かりますが、だからとって隣の作物が安全だなどという保証は検査の結果を見なければなにもないはずです。

当時わが県にフォールアウトした放射性物質が、ホウレンソウだけを狙って他の作物にかからなかったはずもありません。そんなことは小学生にだってわかるはずです。 

にもかかわらず、農業界や自治体行政は「政府の出荷規制がない」=「安全である」と言い切ってしまったのです。 

この言い方は、詭弁術の「嘘は言っていないが、ほんとうのことは言っていない」という類のものでした。菅首相ご愛用の手法です。

このようなある種の詭弁に近い言い方で、「風評被害だ。オレたちも被災者だ。買ってくれ!」と主張してしまったが故に、消費者の心の中に「農家は危険だと自分では知っているものまで安全だと言い張る」という不信の意識が芽生えてしまったのです。

そしてほぼ同時に、農業界は「加害者の東電と政府に補償を求める」と叫びました。

これも補償要求は当然としても、出す時期を誤っています。

農業界が政府、東電に掛け合うのは、農業者の生活を守るためには必須でしたが、少しも消費者のほうを向いていない動きでした。
なぜなら、農業界は正しい情報提供を国民にしていないからです。

農業界は、日本農業が置かれた状況を率直に国民にアピールすべきでした。

まず第1に、未曾有の原発災害の真っ只中に、福島と茨城、千葉などの東関東があることをはっきりと危険宣言すべきでした。

こでも被害を「できるだけ小さく見せよう」という政府と同じ心理が働いてしまっています。

この利害関係者特有の内向きの心理は、後に状況が悪化するほどに綻びて、それを取り繕うことが難しくなります。

あのような原発のシビアアクシデントにおいては、状況はよくなるはずがなく、一定期間は絶望的状況が続くことをはっきりと自分たち農業界内にも、消費者にも伝えるべきでした。

大変に勇気が要りますが、当初は「時期尚早」と言われようが(実際に私は地元行政からこの表現を使われましたが)、オオカミ少年だと言われようが、もっと深刻な事態がありえるということを宣言しておくべきでした。

初めに気休めをやると、後に大きなツケがやってきます。

第2に、自分から農業者は「遺憾ながら、現状において日本農業は放射能に無防備である。直ちに政府は農業の穂者農に対する防護策をとれ」と言うべきでした。

実際、私たち農業者は放射能に対して無知でした。眼にも見えぬ、嗅ぐことも出来ない存在に対して実感がわかないのは当然ですが、分からないことをさも分かったように言うのではなく、「今どこまでが分かっていて、どこからが分からないのか」をはっきりと国民に伝えるべきでした。

当時の時点で、国は一切の放射能飛散情報を隠蔽していました。ですから、福島とそれに隣接する各県は何がどうなっているのかさえわからないまま、続々と出る暫定規制値超えに必死に対応していたのです。

まさにパニックです。対応が状況の急展開にまったく追いつかないのです。

では、どうすべきだったのでしょうか?

私は危険が予想される地域、すなわち当時の認識ならば(その後拡大しますが)、福島、茨城、千葉、栃木の各県のフォールアウトにより外部被曝した可能性のあるすべての露地野菜の出荷を見合わせる措置をとるべきだったと思います。

ただし、これは検査が各地域で終了するまでの暫定的措置であり、品目も露地野菜に限定します。

そして政府に真っ正面から被曝状況速報と汚染マップを提出するように要求すべきでした。

そして放射能を測定する器材を、大至急かつ大量に関係各県に無償配布することも同時に要求すべきでした。

たぶんこの方針をとった場合、おそらくは農家からの轟々たる罵声の嵐に包まれたはずです。しかし、考えて頂きたい。あの3月、4月の時期に無理に出しても結果は同じではなかったのですか。

風評被害と言いますが、あれは市場原理の統制と選択機能が発揮されただけです。国民、すなわち消費者はいくら私たち農業者が「安全」だと言っても、あの広範な被曝がホウレンソウだけであるはずがないのを敏感に判断していたのです。

まずは放射能の危険宣言。そして政府に対する放射能飛散状況の提出要求。計測機器の大量提供の要求があって、一時的出荷自粛をとり、計測が終了した地域の品目から暫時出荷可能にしていく非常事態の危機対応の流れが必要でした。

それがあって、初めてここで補償要求ができるのです。ろくな検査もしないうちから「安全」と言い、初めから自分たちの補償だけを叫べば、どのような目でわれわれが見られるのか、農業界は考えをおよぼすべきでした。

繰り返しますが、これは結果論です。5カ月間たっての状況が治まりつつある今の時点での私の考えにすぎません。

当時それをすることはほぼ絶望的に困難だったでしょう。農業界の責任者は辞表を胸にして毎日をすごさねばならなかったでしょう。

しかし、今、きちんと総括しておくのなら、これからは可能なはずです。

■追記 「農業界」とはここでは、日本農業の総本山である全中(全国中央農業協同組合連合会)」を指します。現在政府と交渉する能力を持つ農業の全国組織はここしか思い当たりません。

■写真 ブルーセイジです。ちょっと色を明るくしてあります。ほんとうの色は濃いパープルです。セイジというだけあって、確かにセイジの香りがします。今が盛りの開始かな。 

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。 

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ある方への手紙

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本日はある方から頂戴したメールのお返事を加筆修正して転載いたしました。家庭菜園をお作りになっていらゃしゃるご年配の方のようです。
子供が食べないでネットで九州の野菜を購入していることなどを書かれておられました。読んでいてこちらのほうが辛くなりました。このような悩みをお持ちの方は沢山いるはずです。
             .。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。.
おはようございます。濱田です。 
メールありがとうございます。拝見させて頂きました。
 
おそらく一字一字丁寧に打たれたご様子、それだけで胸が熱くなります。
 
さて、「このような時代です」、としか言いようのない放射能の状況です。
ごめんなさい。いちおうプロの農業者の私ですら、そう思っているのです。
 
突如降って来た放射能によって東関東は汚染されました。 
それは事実です。逃れようもない事実です。
 
しかしあれから5カ月、最近こう考えることにしました。 
「しゃーない、放射能とオレらどっちが勝つか勝負だ」と。 
私は放射能というヤツとの戦いだと心定めました。
 
そのためには、まず敵を知ること。 
敵をいたずらに恐怖するのではなく、この程度までは安全、この程度はグレイゾーン、ここからは危ないというふうにです。
 
そうとでもしないと、頂戴したメールにありましたようにせっかく作ったものが食べてもらえません。
 
これほど哀しい事があるのでしょうか。 
食を作るということは命を作ることと一緒です。 
大地を母とし、作物を恵みとし、私たちは生きています。 
その大事な恵みを拒否してしまえば、いったいなにが残るのでしょうか。
 
たしかにインターネットで九州のものは買えるでしょう。しかし、あなたのお作りになったものが買えますか?あなたの温かい手のぬくもりは買えますか?
 
作物は無名ではありません。 
すべての作物には名前がついています。 
私の名前、あなたの名前。 
そしておかしなことには、作物には作るその人が写しだされるのです。
 
その意味で、野菜や卵や肉や米は、大地と私たちとの共作なのです。 
それを否定してしまったら、作物など単なる栄養素の集合体でしかありません。 
そうではないですね。そうだったら、とっくに私は百姓という職業を辞めています。 
 
今、都市で生きる人と、地方で生産する私たちとの間で断絶が生まれかけています。それはこの何日かの私のブログをお読みいただければお分かりになるでしょう。
都市の消費者の一部の人たちは、私たち農家を信じられないとまでおっしゃっていますから、そう簡単に解消できそうにない問題です。
これには放射能問題だけではなく、今までの農業のあり方に対する不信感も底にはあるようなので頭が痛い問題です。
信用できないといわれるなら、信用してもらえるようにするしかありません。
まずは、私たちが自分で農地や作物を測定して、情報を共有し一歩一歩進もうと思っています。
 
というのは、この放射能という津波は避けることができない問題だからです。イヤだから見ないというわけにはいきません。
残念ですが、今でも自治体や農家の一部には、「測定したりするから風評が生まれるんだ。余計なことをするな」という人もいるのは事実です。
 
しかし、少なくとも私は逃げようと思いません。野菜のみならず、牛肉や米まで対象になる状況では、逃げてどうなることではないからです。
だから真正面から受けます。
 
 
船乗りは海で大きな波が来るとき、舳先を波に向けるそうです。横に向ければ横腹に大波を食らって転覆します。 
私たち農業も同じだと思っています。 
さて、私は放射能をこの5カ月でイヤというほど学びました。 
チェルノブイリも調べました。スリーマイルも、日本のさまざまな原発事故も調べました。放射線防護学もかじりました。おかげで,こんなこと勉強したくないやと言いながら、泣きながら幼稚園から大学院までいったような気分です(笑)。 
 
知ること。放射能という人類共通の敵を知ること。 
ここから始まりました。 
その範囲で言えば、あなたのケースは以下です。  
 
①ジャガイモが不検出だったとのこと。日本の暫定規制値は信じるに値しませんが、検出限界以下なら心配する必要はありません。
検査報告の書き方には二種類あって、ただ暫定規制値以下だった場合を「検出せず」と書く場合と、検査装置の物理的検出限界以下だった場合と二種類あります。
当初は前者の書き方をしていた所が多かったのですが、今の検査機関は後者で統一されつつあるようです。
 
②土壌はセシウム134が56ベクレル、137が76ベクレルとのこと。合計で132ベクレルです。まったく問題はありません。
 
こういう言い方は自分でも不謹慎だと思いますが、福島の避難区域である浪江町は、2万8千ベクレルです。まったく次元が違います。
 
土壌にはもともと自然放射線量というものがあります。お住まいの町はおそらくは山系の岩盤が比較的浅い場所にあるはずです。
 
そのような地域は、岩盤から出る(花崗岩が高いのですが)自然放射線量が高いのです。 
私の行方地域も、セシウムはおおよそ平均して100bq台です。決論的にいえば、これも心配する必要はありません。  
 
日本には3重に放射能が残留しています。 
①自然放射能・・・地球が誕生して以来のものですね。
 
②60年代から80年代の大気圏内、地表核実験により飛来した放射能・・・いまでも若干存在します。かつては福島どころの比ではなく、日本全国に残留していました。
 
③福島第1原発事故による放射能・・・これが正味です。
 
ではこの比率はといわれると、すいません、ただ今茨大と研究中です。
しかし、茨大農学部のN先生によれば、「100ベクレル前後なら今回の事故の影響は少ないのではないか」とのことです。 
 
あまり過敏になられないほうがいいと思います。
 
自分をのんびりさせましょう。作った野菜までがまずくなりますよ。
そんなことになったら野菜に申し訳がありませんものね。
私たち農家も言葉だけで安心させるだけではなく、実際に農地の土壌線量をを実測したり、除染したりしていく努力をしています。
その経過は逐次報告しますので、お読みくださいね。
では、よい一日をお迎え下さい。 

 

                                             濱田拝
          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

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最低でも2年間は、日本の農業者は放射能測定は「品質保証の一部」だと考えたほうがいい

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Wさんやめぐさんのコメントを興味深く拝見しました。コメント欄に書こうと思ったのですが、ちょっと狭すぎるので、こちらでお話していきたいと思います。 

おっしゃることは理解できます。 

違っていたらごめんなさい。Wさんはたぶん現在のセシウム汚染が検出されるかもしれない、国内産の米がいっそう外国産の輸入攻勢を強めるだろうということを危惧なさっているのだと思います。 

めぐさんも同様に、「牛肉に関し基準量を超えた食べ物が流通に乗って消費者に売られてしまったという負の実績が出来てしまった以上、今後は大丈夫だからというアナウンスを信じろというのが難しい」とお考えになっています。 

温度差があるのですね。温度差という表現は誰が作ったのかわからない便利な表現ですが、今の都市の消費者の皆さんと私たち地方の農業者との関係を言い表しています。 

決定的に対立するとか、相手を認めないというのではなく、しかしお互いに「ちょっと違うんじゃない」とぼんやり思っているという関係です。 

都市に住む消費者の人たちは、農業が放射性物質で汚染された藁から全国の牛肉に飛び火したことによって、日本農業全体に対する不信感が増幅されているような気がします。 

一方私たち農業者には、どういったらいいのかな・・・、「なんでオレたちばかりをバッシングするんだ。オレたちはなにも悪いことなどしていないぞ」という不条理感が根強くあります。 

お互いに自分の家族の健康と生活が背後にありますから、そう簡単に「はい、そうですか」というわけにはいきません。 

私はこう考えています。 

結論から言えば、私はこれからの最低でも2年間は、日本の農業者は放射能測定は「品質保証の一部」だと考えたほうがいいと思っています。 

なぜ2年間かといえば、それはセシウム134の半減期が2年間だからです。同じセシウムでも137は30年間です。よくセシウムは30年が半減期という頭がありますが,、134のほうははるかに半減期が短いのです。 

私の地域の実測値では、たとえばセシウム134が35bq、セシウム137が37bqというようにほとんど同じレベルの量が出ています。セシウム線量はこの両方の合計で見ます。 

ということはセシウム134に限っていえば、2年間で半分、4年間でそのまた半分ですから、最初の4分の1にまで減少していくことになりますね。 

ちなみに放射性ヨウ素は半減期が8日ていどですから、とうに消滅しています。

仮に分かりやすくセシウム134とセシウム137の合計が100bqだとした場合、2年後には75bq、4年後には62.5bqにまで下がっていきます。

これに除染活動が加われば、そうとうにまで提言することは間違いありません。

現在、私たちがやっている除染実験では、セシウム合計が980bqという線量が、深耕ロータリーとゼオライトなどの投入によって66bqと14.8%まで劇的に下がることがわかっています。

私の考えが正しいとすれば、正しく除染さえすればですが、2年間で10%ていどにまでセシウムの土壌線量を落とすことは可能です。

というわけで、私は農業者は放射能を恐れる必要はないと思っています。正しく恐れて、正しく対応すればいいだけの話です。

しかし、国民の大部分がそうであるように、いやある意味それ以上に、農業者は放射能を恐れています。ただ、あまり過大に考えると自分の畑の上を歩くことすら出来ないので、あまり考えないようにしているだけです。

特に、3月から4月中旬までの放射能雲(プルーム)の飛散による作物や牧草、藁の外部被曝の恐怖は、農業者の骨身に徹しました。

そのことによって、猛烈な不買、忌避などのバッシングに遭遇したからです。農家には自殺者や離農した者もいます。

いまでも私たち農業者を、「社会に放射能の毒をバラ撒いた」とテロリスト呼ばわりする人が絶えません。

そしてとうとう、畜産の王者である牛肉、農産物の女王であるコメにまで放射能の恐怖は襲いかかっています。

消費者の方にはあまりピンとこないかもしれませんが、牛肉とコメは私たち日本農民のプライドの象徴なのです。日本の百姓はおいしい米を腹一杯食べて、とろけそうな牛肉を食べたいの一心でここまでやってきたようなもんですから(笑)。

ここで初めに戻ります。農業者の皆さん、牛肉と米にきたら腹をくくりましょう。本丸まで放射能という不倶戴天の敵の手は伸びてきたんだから。

もう逃げないで、正面から対応するきゃないですよ。放射能測定を「品質保証の一部」と考えましょう。

ただ作物だけではなく、それが育っている土壌や水まで農家がしっかりと放射能防護の管理をしなきゃダメってことですよ。

そして農地の放射線ばかりで はなく、地域全体の土壌放射線量を市民と一緒に計っていきましょう。共同で除染活動ができれば最高です。

まずは互いに情報を交換していきませんか。その積み重ねの中で、互いの不信感をなくしていくしかありません。

かつて、私たちはただ「信じてくれ」の一本槍で失敗しました。もう同じ轍は踏みません。消費者にとっても農民にとっても敵はひとつ。放射能っていう悪魔なんですから。

■写真  あじさいの上に半透明なクモがちょこんと乗っているのが分かりますか。クリックすると大きくなります。あじさいももう終わりですね。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

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茨城大学の専門家をお招きして、地域農地の放射線量測定と除染研修の集まりを開催します!

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私が最初に、「放射線量を測定して、安全かどうかを見極めよう。計って安全だったのなら、胸を張って私たちの農産物は安全ですと宣言しよう」、と行政に提案したのが原発事故から1カ月後のことでした。

今改めて、茨城大学農学部の有志の先生にお願いして、わが地域の放射線量(主に土壌)を測定し、どうやったら有効な除染が可能なのかを実地で検分してみようと思います。

長年私たちの地域農業に尽力頂いている茨城大学前農学部長のN先生をリーダーにして、クリーニングプラントの専門家と放射線の専門家(予定)まで入れた豪華3名の教授陣による現地レクチャーです。

ご多忙な先生方を呼びつけて、まことに図々しい企みですが、快諾頂きました。

ところで、私はこの地域の農業の未来はいかにあるべきか、というテーマで行政から任命を受けた委員をしていました。

お恥ずかしいことに、張り切ってさんざん綺麗なことを言ったものです。

地域循環がどうした、観光を取り入れた農業がどうした、有機農業を特殊な農法とするのではなく広めていこう、地域GAPを作ってみよう、とかなんとか。

そして委員となった地元の農業者十数人の知恵を集めて一冊のまとまった冊子まで作ったものです。

農業を研究されている専門家からは高い評価を頂いたようです。

ただし、これがほんとうに試されるのは、東日本の農業全体に放射能の津波が襲いかかっている「今」なのです。

まさに今、放射能の津波の中でもがきながら、具体的に地域農業が何をしたらいいのか、どうやって生き延びるのかを真剣に考えられなければ、そんな構想などただの紙キレ煮すぎないというものです。

茨城の農家は3月から4月一杯にかけて声をからして叫びました。

「茨城の農作物は安全です。私たち茨城の農家は風評被害で苦しんでいます。皆さん食べて下さい。お願いします!」

即売会も沢山やりました。知事や芸能人も応援に駆けつけました。

しかし今思うと、まったく放射線量の計測もせずによく言ったものです。そのツケが今来ています。

私がある若い主婦からなんと言われたのか、お聞かせしたいものです。

「あなたがたはほんとうに測定して安全だと言っていたのですか。自分たちが困ったから買ってくれと言っていただけじゃないですか。ほんとうに私たちの子供のことまで考えて言っていたのですか。私にはそんな茨城の農家を信じられない」

私は沈黙するしかありませんでした。私たち茨城農業の信頼はとうに地に堕ちていたのです。

そのとおりです。計ってもいない農産物をやみくもに「安全です」と叫んで売っていたのは私たちなのですから。

私たち茨城の農業者は、その言葉の責任をとらねばなりません。遅きに失しましたが、今やらなければ一生後悔することになります。

茨大の専門家をお招きして、地域の汚染マップ作りと除染活動の一歩を踏み出そうと思います。

これらの先生方の中には、現在福島県で放射能禍と闘っていらっしゃる方もいらっしゃいます。福島現地の生々しい状況をお聞きすることができます。

変更はありえますが、だいたいの大枠が決まりました。

❶茨城大学教員3名を講師としての現地放射線量測定の集い

➋空間線量と土壌線量測定の実測方法の実地研修

➌農地の測定

➍除染の講習

➎まとめと座学

❻日時未定ですが8月中旬から下旬の大学夏休み期間中に予定

❼土壌サンプルをお持ちいただければ、測定致します。

一銭の予算もつきません。弁当ひとつでません。しかし、今やらずにいつやると念じて始めます。

この記事をお読みの行方市、あるいはその近隣の行政区の農業者の皆さん、ぜひご参加下さい。

参加資格は問いません。農家を問わず消費者の方も遠慮なくお越し下さい。

このブログのプロフィール欄に私のメルアドがありますので、ご一報下されば幸いです。

■マスコミ関係者の方へ。 本件は未定です。茨大に対する直接取材は止めて下さい。取材するのならば、事務局の私のほうへお願いします。

             。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

セシウム米調査>汚染米の全量廃棄は旧市町村単位で 

毎日新聞 8月3日 

農林水産省は3日、近く収穫期を迎えるコメについて、収穫の前後2段階で放射性セシウムを調査する方針を発表した。収穫後の本調査で暫定規制値(1キロあたり500ベクレル)を超えた地域のコメはすべて出荷停止として廃棄処分を義務づけ、農家の損害は東京電力に損害賠償請求する方針。他の食品より綿密な二重チェック体制で、主食であるコメの安全を確保したい考えだ。

【セシウム米調査】気をもむ農家「出ないこと祈るだけ」

 農水省は同日、生産者団体などを集めこの方針を説明した。予備調査は福島県など14都県のうち、土壌調査でセシウム濃度が1キロあたり1000ベクレル以上あった市町村や、空間放射線量率が平常時(毎時0.1マイクロシーベルト以下)を超える市町村などを対象に実施する。

 収穫約1週間前に玄米の状態で調べ、1キロあたりの濃度が暫定規制値の半分程度の200ベクレルを超えた市町村を重点調査区域に指定、収穫後の本調査を15ヘクタールにつき1カ所(おおむね集落ごとに1カ所)で行う。その他の地域は1市町村あたり7カ所程度で調べる。

 本調査で暫定規制値を超える所が1カ所でもあれば、政府は知事に出荷停止を指示する。市町村全域では広すぎる地域もあり、旧市町村単位(1950年当時)を原則とする。出荷停止地域で生産されたコメは自治体が全量を管理して廃棄処分する。

 説明会で農水省担当者は、土壌のセシウムの値が1キロあたり5000ベクレルを超えた福島県の一部地域は4月にコメの作付けを禁止しており、これ以外の地域のコメから暫定規制値を超えるセシウムが検出される可能性は低いとの認識を示した。

 農水省が指定した調査対象地域は、福島▽茨城▽栃木▽群馬▽千葉▽神奈川▽宮城▽山形▽新潟▽長野▽埼玉▽東京▽山梨▽静岡--の14都県。

セシウム米調査:収穫前後でダブルチェック 

 今年産の新米への放射性セシウム汚染調査が本格的に始まる。福島第1原発事故による農作物への影響は主食にも及ぶのか。自治体や稲作農家は危機感を募らせ、消費者は強い関心を寄せている。 

 コメ調査の大きな特徴は収穫期を挟んだダブルチェックだ。汚染肉牛の流通を食い止められなかった教訓もあり、事前にリスクの高い地域を把握する「予備調査」を実施、汚染米出荷を食い止めようと農水省は必死だ。だが調査地点数は十分とは言い難い。局所的に放射線量が高いホットスポットもあり、汚染エリアを正確に把握するのは難しい。 

 判明した汚染米の管理も大きな課題だ。コメの流通実態は複雑で、農協や商系卸を経由する市販米のほか、消費者が農家から直接買う「産直米」、農家が遠くの親類に送る「縁故米」、菓子、酒造、飼料メーカーなどが利用する「くず米」など多岐にわたる。工業用原料に使われていた有毒物質を含む「事故米」が食用に流れていた事件(08年9月)もあり、流通全体に網をかけるのは容易でない。 

 汚染米が市場へ出た際の混乱や生産者へのダメージは計り知れない。そうなれば、原発周辺地域以外での作付けを認めた国の判断が問われる可能性もある。
(毎日新聞8月4日)

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新米が棄てられ、古米が栄える。A5の和牛は死に、オージービーフが栄える。これが「放射能の夏」の風景なのか!

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ありとあらゆる農産物が放射線量測定を受ける時代になったようです。 

牛肉は、既に全国規模で行われています。私の良くない予想が当たってしまったようです。

おそらくはBSEの時以上に深刻な被害を日本畜産に与えることになるでしょう。

今は牛肉だけですが、セシウム藁は乳牛も食べていますから、もう少し時間がたてばその全容がわかるはずです。

農水省が屋外藁の警告を出さなかったばかりに、直接に被曝した福島、茨城で食い止められた被害を全国規模まで拡げてしまうことになりました。

いったん失われた信頼回復には、百倍のコストと手間がかかることになります。

これは補償金でどうなるというものではなく、和牛がもっていた国際的にも最上位とされたブランド力の棄損です。

和牛は冬の時代に突入してしまいました。 

一方、和牛と並んで世界最高峰の食味と品質を誇った米にも、放射能禍が襲いかかろうとしています。

東北、関東、北陸全域、甲信越、京都、兵庫、奈良などの西日本まで含む19都道府県で放射線量測定が行われることになりました。 

米は、3段階に分けて放射線量測定をするようです。 

❶作付け前土壌検査・・・・平成大合併以前の地域割りで土壌サンプルを採るという建前ですが、ほとんどの自治体は手つかずのはずです。

私が3月以来あれほどやれと口酸っぱく言っていた土壌放射線量測定ですが、こんな形で始まるとは。

暫定規制値5千bq/㎏以上が検出された場合、次の段階に移ります。 

➋収穫前サンプル調査・・・ちょうど早場米ならただ今現在という時期ですが、出荷予定のコメのサンプリング調査を行います。

これは500bq/㎏が暫定規制値です。、稲穂を採取して検査します。超える数値が出た場合、最終段階に移ります。

➌出荷前重点検査・・・収穫後の出荷直前のサンプリング検査です。ここで再度、暫定規制値を超えれば、市町村単位で出荷制限がかかります。 

私の村でも早場米の収穫直前になって「検査をするまで収穫を暫時待つように」、という通達が県から来たために大きな動揺が起きています。

早場米はもう穂がはち切れんばかりで、これ以上収穫が先に延ばしされれば、実割れによる規格外が続出してしまうことでしょう。

ちょうど今、和牛が出荷直前で足止めめをかけられて肥満の極になり、これ以上飼育すればビタミン欠乏などで死亡する危険がある個体が出始めた状況に似ています。

こうなることは分かりきっていたのに、どうしてもう少し早く手を打てなかったのかと、農家は憤っています。いいよな、どんなでっかいヘマしてもボーナスもらえるお役人さんは、とも。

一方米相場は、昨年度収穫の古米があれよあれよという間に急上昇するという前代未聞の珍現象が起きています。

たとえば新潟産コシヒカリの場合、2011年1月に18,200円だったものが、現在7月末の時点で26、800円にまで値上がりしてしまいました。

先日の豪雨による新潟県の被害もこれに拍車をかけるでしょう。

しかし、古米ですぜ!
しかも収穫から1年間もたったやつですよ。普通だったら卸業者に持っていっても、ふふんと鼻で笑われて、「新米持ってきなよ」と諭されるようなしろものです。

それが新米もびっくりの2万6千円ですって!5割弱の値上がり。もう笑うしかないですね。

さぞ、去年のうちに売らなきゃよかったと思っている農家も多いことでしょう。(苦笑)

おそらくは今年は、九州、四国、山陽、山陰、北海道の米相場が急騰するのは間違いありません。

既に、現時点で米卸業者の争奪戦の場となっていることでしょう。この世界は現金勝負の世界で、いやはや・・・。

新米が棄てられ、古米がもてはやされ、A5のブランド和牛は出荷できずに殺されてしまい、ダンボール味のオージービーフが全盛となる・・・もう時代が狂っているとしか言いようがありません。

葉が沈み、石が浮く時代。これが今私たちが生きている「放射能の夏」の風景です。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

茨城県放射能実地測定の集い

❶茨城大学教員3名を講師として農地放射線量測定します。

➋空間線量と土壌線量測定の実測方法の実地研修

➌農地の測定

➍除染の講習

➎まとめと座学

❻場所 茨城県行方市 

❼日時未定ですが8月中旬から下旬の大学夏休み期間中に予定しています。

❽土壌サンプルをお持ちいただければ、測定致します。

茨城県、千葉県農業者、市民の皆さん、ぜひご参加下さい。

参加資格は問いません。農家を問わず消費者の方も遠慮なくお越し下さい。

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福島の子供たちを守れ!子供を守れるのは私たち大人しかいないのだから

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時々、日本人の民族性が疎ましくなるときがあります。

なぜ、怒らないのですか?この不条理に耐えて、いつまで黙しているのですか?

なぜ、福島県民は怒って国会に押しかけないのですか。どうして総理官邸や民主党本部で叫ばないのですか?

「私たちを救え。福島の子供を救え!」と。

先日TVで夏休みを福島県外で過ごす子供たちの姿を見ました。熊本県水俣市から招待されて、海で遊び、野外でバーベキューをしていました。

たったそれだけのことを福島の子供たちは無邪気に心から喜んでいました。

「マスクをしないでいいだね。腕カバーをしなくていいだね。僕たち表で遊べるんだね」

これが、7歳の子供に言わせる言葉か!

わずか7歳の子供にこんな言葉を言わせる私たち日本の大人は、恥を知ったほうがいい。

実に1万2千名の福島の子供たちが県外へ疎開していっています。すべて親御さんの自己負担で、友達と分かれて、馴れない土地につてを求めて脱出しています。

福島の学校では、クラスが半分になってしまった所が多いのです。クラスが半分に減り、学校が虫食い状態になり、そしてコミュニティから子供の声が消えていこうとしています。

いったい政府はなにをしているのですか!こういうのを「民を棄てる」、棄民というのではないのですか。

避難区域に指定され避難してきた人たちが、甲状腺線量検査すら政府から受けていないことが分かりました。

その人たちは甲状腺の内部被曝の可能性が高かったにもかかわらず、安定ヨウ素剤も配布されていませんでした。

安定ヨウ素剤など原発立地県から緊急に集めれば、充分足りたはずなのに、やろうという動きすらありませんでした。

そして、放射性ヨウ素が半減期を迎える前の30日以内に、避難者およそ6万人に対して徹底した甲状腺検査を実施すべきでした。

こんな簡単なことすら政府対策本部は怠ったのです。

そして福島県内の学校の校庭を20mSvにまで規制値を引き上げました。正気とも思えない。

これは原子力施設の作業員の平時の規制値ですよ。それを年端のいかない放射線に対して感受性がもっとも強い子供に適用するとは。これを決めた奴は人間ではない。

そして政府は、福島第1原発で必死の復旧作業をしている作業員の年間線量限界を勝手に250mSvに引き上げました。

この限界値は男性が不妊になる閾値150mSvを100ミリも上回っています。政府対策本部は、こんな放射線防護学を無視したことを平然と決めたのです。

今後、おそらく若い作業員のうちかなりの数が不妊や奇形児に遭遇するでしょう。この原発作業員の年間被爆量を250mSvに変更した者を、私は人間とは呼びたくない。

現在の福島市、郡山市の放射線量は徐々に危険水域に達しつつあります。地元自治体は、線量の高い側溝や樹木の下まで含めた徹底した測定を行っています。

よく、「心配する必要はない。それは24時間屋外にいたら危険な数値だ」という専門家がいますが、ならば福島市、郡山市の住民すべてにガラスパッチを給付して個人線量を測定したらいいのです。

いや、全部とはいいません。子供を中心にして、全住民の2割から3割にガラスパッチを装着してもららうだけで正確な実線量がわかるでしょう。

なぜこんな簡単なことさえ政府はしようとしないのですか。ガラスパッチなど数千円ですよ。

福島県は100㎞圏内の子供の避難計画を早急に立てるべきです。国は権力闘争に夢中で、どうせなにひとつやる気がないのですから、福島県が独自に近県と協議してやるしかないのです。

もう親の努力で子供を守れる段階ではないのです。組織的疎開が必要です。子供の未来を守れるのは大人しかいないのですから。

福島の子供たちを守れ!
日本人がひとつになって、福島の子供たちを守れ!

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土壌暫定規制値の5千bq/㎏は、旧ソ連なら「永久管理区域」に相当する

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ずっと素朴な疑問がつきまとっていました。いえ、あの原発事故で急遽決まった土壌暫定規制値の数字です。

ご承知のように、5千bq/㎏です。 

同業者の皆さんから「余計なこというじゃない」という声が飛ぶことを覚悟で言えば、この設定は高すぎます。だいたい、古新聞の交換じゃあるまいし、キロいくらで測ること自体がおかしい。 

規制値を作るのなら、もっと現実の農業者が耕作している条件に即さないと意味はありません。 

農家は耕作地をキログラムで考えることはありえません。そりゃそうだ。うちの農地は2万トンだなどと言ったら大笑いでしょう。 

耕地は面積が単位です。ならば、土壌放射線量の単位も1平方mが単位であるべきじゃないでしょうか。 

諸外国はどうやっているのか知りませんが、少なくとも実際に原発事故で広域な汚染を経験した旧ソ連ではそうしていたようです。 

私は現実に原発事故の地獄を通過した国の経験は、起こさない国のそれより重く考えます。なぜなら、やってなけりゃなんでも言えるからです。 

めちゃくちゃに厳しい規制値を作ろうが、逆にICRPの引き写しだろうが、まぁなんでもオーケーです。しょせん机上の数字ですからね。 

しかし、現実に広域な被曝をしてしまった場合、どのように考えるかとなると、すこぶるリアルにやるしかないわけです。 

チェルノブイリ事故の時に、旧ソ連政府が定めた土壌汚染に関する規制区域で、「永久管理区域」(*)という設定があります。 

この規制値は、どこぞの国の行政のように空間放射線量などは問題にしていません。空間線量は事故当初には大事な指標ですが、半年、一年先には必ず降下して安定します。放射性ヨウ素が半減期を迎えるからです。

今、福島県内で安定せずかならずしも低い線量とはいえない空間放射線量が検出されるのは、発生源の原発から今でも放射性物質が漏洩している証拠です。

旧ソ連諸国の規制対象は、既に地表と地中に累積してしまっている放射線量、すなわち土壌放射線量です。

旧ソ連各国の設定している永久管理区域の土壌放射線量は百万bq/㎡です。これは、ヨーロッパの原子力専門家の計算では、5千bq/㎏に相当します。

そうです。わが国の土壌放射線量の暫定規制値と一緒です。言い換えれば、わが国の5千bq/㎏という規制値は旧ソ連諸国なら「永久管理区域」との境の数字だったわけです。

この意味するところは大変に重く、軽々に私の中で芽生えている考えを書くことすらためらうほどなのですが、やはり言いましょう。

このまま有効な除染活動を行わない限り、相当面積の福島県内の地域が、少なくとも旧ソ連諸国では「永久管理区域」に区分されていました。

一方、野菜の暫定規制値はどうでしょうか。

旧ソ連諸国のウクライナ(チェルノブイリがある国です)での、事故直後の緊急時暫定規制値は3700bqでした。

現在は、ぐっと厳しくなって40~70bq/㎏です。これは卑怯というわけではなく、事故直後の緊急時規制値が国際的にも認め散られているからです。

ちなみに、野菜の規制値は各国とりどりであって、EUは2000bq/㎏(ただしEU各国で違う)、米国が170bq/㎏です。

わが国は今「暫定」規制値の「暫定」を取るべく検討を開始していますので、おいおい本格的な規制値が出来るはずです。

私は、今の土壌放射線量の規制値があくまでも「暫定」であることに気がついてほしいのです。

現在の5千bq/㎏はあくまでも事故直後の緊急時の規制値であって、これは異常に高い数値だということを肝に銘じましょう。

私たち農業者は「4999bqだから安全」などと思わないようにしましょう。

よくECCR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)の人々が言う、「フクシマはチェルノブイリだ」という表現は、必ずしもそのまま受け取る必要はありません。

しかしこのままなんの除染活動もしないならば、ほんとうに私たちは「永久管理区域」に多くの地域を追いやってしまうことになるのです。

そして、いまでも多くの市民や農業者は旧ソ連チェルノブイリ「永久管理区域」の中で暮らして生産しているのかもしれません。

■*永久管理区域・ベラルーシ規制値55.5万Bq/㎡以上   強制移住規制値・30万~60万Bq/㎡以上

■写真 ザクロの花が満開です。ほんとうに鮮やかな緋色です。ただし、わが家のザクロの実はスッパイんだな、これが。

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