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2011年8月25日 (木)

私たちの地域土壌放射線量測定の構想

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現在進められている私たちの地域の「茨城民間放射線測定所」の進捗状況をお話します。

あ、このネーミングはあくまで仮称ですよ。ひょっとしてゆるゆるの「放射能はかり隊」になるかもしれないし、ぐっとコワモテに「茨城放射線防護委員会」になるかもしれません。

茨大の先生方に協力をお願いして進めているのですが、何回か話し合いの場を設けて頂いたのですが、大変に勉強になって心強いと同時に、困ったなということも出てきました。

それは先生方が学者であり、私たちが生産現場を抱える農業者だということです。

たとえば放射線量測定ひとつにしても、先生方は設置型ガンマスペクトロメータを使うのが前提です。え~、300万ていどするヤツですな。

そして、土壌放射線量測定についてもこんな方法を教えて頂きました。この方法は現在先生方が、放射線学会の土壌線量測定の時に使う方法だそうです。

ざっとご紹介しましょう。これがプロの放射線量測定やり方です。

➊地下5㎝の土壌を、1平方mから5カ所集めます。検土棒と言って土に差し込む検査用の棒を使うそうです。この5カ所は右左の隅と中央部分ですね。

➋集めた土のサンプルをよく撹拌して乾燥させます。

➌ゴミや草の根などのわずかの小片も逃さずピンセットで取り除きます。

➍設置型のガンマスペクトロメータで数十分かけてじっくり測定します。

ちなみに、この設置型ガンマスペクトロメータは、鉛で遮蔽されており、外部からの自然放射線の影響を受けないような場所にあるそうです。

この手法は通常の土壌診断の方法と一緒ですが、土壌診断が一枚の田畑単位(だいたい10a)なのに対して、1平方メートルと極めて狭い範囲を一単位として測定するようです。

また、このような厳密な測定方法をとってもなおかつ、土壌線量は不安定な場合が多いそうです。

この話を聞いて、私たち一般人はヘナヘナモヘジという感じでしたね。私たちの望む要求水準とあまりに格差がありすぎるのです。

私たち農業者が今必要なデータは、学術論文集に掲載するものではありません。リアルに今働いていて、作物を出荷している農地の実態を知りたいのです。

そして原則ひとりの農業者が持つすべての田畑をくまなく計測することが目的です。

私たちの今の土壌放射線量計測の構想はこうです。

➊計測会員の田畑すべてをリストアップし、一覧表とできれば地図を作る。有機JASやエコファマーが大部分なので、基本台帳は既にあります。この資格を取得していないと、一から作ることになります。

➋田畑一枚ごとに1検体をサンプリングします。これは土壌診断の手法で、畑の右隅、左隅、中央から採取し、撹拌した後計測します。水分が多いと数値が狂うので、晴天時に行います。

➌測定値を記録し一覧表と放射線量マップ(汚染マップ)を作り、保管し、開示します。

➍放射線量レベルに応じてで除染対策を考えます。
土壌放射線量レベル区分
・レベル1・・・0~200bq/㎏未満
・レベル2・・・200~500未満
・レベル3・・・500~1000未満
・レベル4・・・1000以上

➎測定器材は現状では移動式の簡易携帯測定器を使用します。セシウム134、137が別途表示される器材です。

そして1枚1枚の測定をジュウタン爆撃します。私たちの基本は、ひとつの地点の学術的厳密さより、農業者自身による放射線量の実態把握なのです。

この方法は学術的正確さはないかもしれませんが、1行政区で1検体などという現状の政府の杜撰なやり方とは比較にならない綿密さがあるはずです。

専門家の先生の測定方法を採用すると、今考えている私たちの農地は約500枚ありますから、ひとつの畑で5カ所×500枚=2500検体。

そして設置型ガンマスペクトロメータを使った本格計測は、一検体が2万円ですから費用だけで5千万円となります。当然、申し訳ありませんが話の外です(笑)。

結局再度のお話あいで、先生方も私たちの要望を聞いていただけることになったのですが、その過程で私たちがどのようなことを望んでいるのか、どのていどのことしか現時点では出来ないのかがはっきりしました。

よく、何も知らない人はただただ放射性物質は怖いと言います。低線量被曝の原因となる東日本の食料は食べないと言います。

そしてエスカレートして、東日本地域のなにもかもが怖いとすら言います。この空気が静岡から以西を支配しているようです。

言うのは簡単です。食べないことも簡単です。私たち東日本の食品を食べなけれはいいだけの話です。それはその人の選択の自由です。とやかくはいいません。

低線量被曝についてはもはや科学的議論の外に出た感情論が横行する領域になりかかっています。それが今回の京都送り火事件でよく分かりました。

しかし、私たち東日本に住む人間はひたすら忌避するだけでは済まないのです。自らの土地を計測するところから始めるしかありません。

それは言うは易く、行うは難しです。

この私たちの計測-除染の実態を知ってもらうことが、なによりもの「放射能が怖い」という人たちに対する私たちの回答だと信じています。

■写真 今盛りのムクゲの花とアゲハ蝶です。アゲハはなかなか警戒心が強く、じっくり撮らせてもらえない美女です。ちなみにムクゲは韓国の国花らしいですね。ちょっとケバいけどな。まぁ好みの問題か(笑)。

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コメント

本日(8月25日)付けの「日本農業新聞」一面に「セシウム吸着材開発」の記事が載っていました。
畜総研(産業技術総合研究所)が開発したもので、「プルシャンブルー(顔料)」を布状や粒状に加工した物の様ですが、かなり除染能力が高そうです。
本日の記事にある、「放射線測定」後、場合によって除染が必要になると思いますが、有効な手段になるものと期待されます。

広島原爆の168個分のセシウムが放出されたと報道されていますが、瞬間的な原爆と今回を同じテーブルで論じる事は出来ませんが、66年前とは知恵も知識も技術も違います。
国も東電も国民も一丸となれば、解決できない事は無いと思っています。

広域観測大変ですね。事態は日々進んでるんですね。応援してます!
深耕ロータリーで充分に下がるならそれで良いと思います。ただゼロじゃないと安心しない消費者マスヒステリーこそが最大の難関ですね。

あとは水源地と森林、これは厄介だなあ。

あ、忘れてた、キアゲハですね。アゲハより好きです優しい黄色とオレンジの斑点。

少年時代にアゲハの飼育観察が流行りまして、幼虫採取から始めて、みんなアゲハのところ、跳ねっ返り者の私だけあのサイケなキアゲハの幼虫に惹かれて、饅頭の紙箱の中でサナギになり、見事に羽化させました。
夏休みの課題だったような。

虫取りに行ってアゲハが大量だった時に、家のなかで全機発進させたら…40匹が麟粉撒き散らしながら部屋を乱舞するという緊急事態になって、綺麗好きなお母さんにこっぴどくおこられました。親父は笑って観てた(笑)

農業新聞見ました。

さすが技術立国日本です。

千葉県北部I市のHPに市内教育機関、公園の線量率と土壌bqの関係が出ていましたので、エクセルに写しました。かなり参考になると思いますのでメールに添付してお送りします。

移動式の簡易携帯測定器ってあるんですね。
どんな機種だか興味あります。

私は、ガイガーカウンターから推定できないかなあって考えていました。(今や主婦ですら持ってる人もいるし)実際にうちで実測した土壌分析値から試算した空間線量値とシンチレーション式の測定器で実測した値を比べてみたら、ほぼ同じ値になりました。
参考にしたページは以下です。
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-218.html

また計測値に移行係数のわかりやすい説明をつけたら、理解してくれる消費者はいると思います。
先日、放射能を心配する親の集まりに行ってみたら、農業現場を知らないことによる誤解も見受けられました。例えば牛肉からセシウムが検出されたことで豚肉や鶏肉も危ないのではと心配していたり。(餌の種類ややり方を知っていたら、危険性は少ないと判断できますが)
移行係数も幅があるので、土壌や気象条件が変わるとどう植物体や可食部に移行するのかがもう少し詰められると良いのですね。また、セシウムの移行が低減できる栽培技術も出てこないかと思っています。
ただ、消費者が食べて影響が出る位の土壌ですと、トラクター等で耕す際の土ぼこりや精米で出るものすごい量のほこりなど農家の人たちの健康も気になります。

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