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2011年8月15日 (月)

セシウム汚染の原因は外部からの付着が主因

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日本農業新聞(8月14日)に面白い記事が載っていました。

東京大学大学院農学生命研究科の中西友子教授と、福島県農業総合センターとが共同で、セシウム汚染がどのように作物に移行するのかを調べてみました。

まぁ、常識的には私たち農業者は、外部被曝で天から降ってきたものが大部分じゃないかと思っていたのですが、やはりピンポーンだったようです。

結論から言えば、外部からの放射性物質の付着が主原因でした。納得。

これは私たち農業者にはささやかな福音です。というのは、放射性セシウムの植物内の挙動がよく分からなかったのです。

足柄と静岡の新茶にセシウム検出された時に、農業者は一様にショックを覚えました。なぜでしょうか?

作物が汚染される原因は実は限られています。

➊外部被曝からの移行・・・フォールアウトして来る放射性物質によるものです。3月期の野菜、牧草、野外保管藁などが外部被曝しました。

➋土壌よりの移行・・・土地に入った放射性物質を植物が吸い上げてしまうケース。今のところ、牧草からの牛乳、肉への移行は確認されていますが、植物では因果関係で明確になったケースはありません。

ただし、土が粉塵や雨などの原因で植物にかかって汚染される可能性は大いにありえます。ただしその場合は、内部被曝ではないので、洗うなどの除染が可能です。

➌被曝した葉などから穂や新芽に移行・・・古い葉に付着したセシウムをカリウムと間違えて植物が吸収し、新葉や新芽に移行させる内部被曝のケースです。足柄のお茶がそうでした。

➍放射性物質で汚染された水からの移行・・・水にセシウムが存在する場合、植物がセシウムごと吸収してしまい汚染されるケースです。現時点で、植物では因果関係があるケースは未確認です。

消去法的に言えば、➋、➍は今のところ未確認なので、現実に出た場合に考慮します。

となると➊の外部被曝か、➌の古い葉からの移行です。しかし、古い葉からの移行などというのは理論的にはありえると分かっていても、よもや現実にはあるまい、というのが私の本音でした。

が、足柄のお茶であったんだよね~。ショック。

では、冷静に考えて外部被曝と古い葉からの移行はどっちが大きいのという確率論になります。とうぜん、外部被曝です。

そもそも吸収された古い葉からの放射性物質など微量なはずで、外部被曝とはケタ違いなはずです。

ただ、可能性として捨てきれないために、今年の麦やモモ、りんごなどの果樹類などのように3月期に野外にあって葉や茎が被曝した作物は心配されていたのでした。

もし、お茶のような被曝した古い葉から移行するとなると、麦だけではなく桃などの日本が誇る果物に黄色信号が点滅してしまいます。

そこで、この東大の実験です。

実験はこのように行われました。
まずは下の欄外の写真をご覧ください。これは福島第1原発で汚染された麦をセシウムが確認できるように処理した画像です。

福島県内で5月26日に採取した麦で、3月のフォールアウト期には野外にあったものです。

写真の右から
・穂・・・・・・放射性物質の飛散から2か月以上経過
・第3葉・・・放射性物質の飛来時に既に開いていた古い葉
・第2葉・・・飛散時に開いた葉
・第1葉・・・飛散後に開いたさらに新しい葉
・止め葉・・・最後に開くもっとも新しい葉

となります。これにセシウムが黒く浮かび上がる処理をしてみました。黒い部分が大きいほどセシウム濃度は高いことになります。

結果はこうです。
・第3葉・・・汚染を示す黒い反転が多数見つかった。
・第2葉・・・黒い斑点は激減した。
・第1葉・・・放射性濃度は最初の第3葉の百分の1であった。
・止め葉・・・同様に3百分の1であった。
・穂・・・・・・もっとも少なく千分の1であった。

中西教授はこう言っています。
「2葉めの汚染の大部分は、古い葉や土壌の放射性セシウムが付着したことが原因。葉脈に沿った汚染が見られなかったことは、放射性セシウムが葉から葉など植物体内で移動することが少ないことの証拠となる」

■写真 わが家の愛犬モカ太郎君です。今はデカクなってしまいました。このままでよかったのに。ただ性格は変わらずに、愛嬌小僧です。食欲モリモリ。夏バテなし。 

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コメント

あ、これ昨夜のニュースで見ました。
非常に分かりやすかったですね。

あとは、なんといっても秋の米と野菜ですね。
千葉の早場米がクリアだったのは明るい話題です。

先月末か今月上旬に、福島県農業総合センター(郡山市)において、土壌のセシウム汚染の割合をいろいろ変えて最大20,000Bq/kgまでで、稲の栽培試験を行っているというニュースが放映されました。同じような汚染度合いの土壌でも、土質により吸収率が違うという内容でした。結果は9月上旬に公表されるようです。

福島県は健闘していると思います。たぶん粘土質と砂土では、そうとうに沈下や団粒構造との結着度合いが違うと思われます。

私たち茨城県では海岸沿いの砂土と、関東ローム層とが入り交じっていますから、違いがでると思います。
想像では、粘土質のほうが土中で結着するでしょうね。

2万bqが、現実にどれだけ残留するのか、玄米、精米、糠、茎、葉、根にわけて分析すると思いますので、結果が楽しみです。

これも推測ですが10分の1などという移行はないと思います。0.0026(農業環境技術研究所)の数値に近いのではないでしょうか。

と言っても、1bqでも出たらダメという消費者にはどうしようもありませんが。

先日、セシウムは土壌中で静かにしてもらうしかないかなとコメントしたのですが、「政府は田畑を除染せずに放置して、セシウムを沈着させて事を済まそうとしている」という農家の怒りの声を見つけました。

「沈着」という言葉が、心に突き刺さりました。

作物への移行が少ないことが,たとえ科学的に証明されたとしても、除去しなければ数十年間田畑に不気味な放射性セシウムが存在し続けます。
農作業中の被曝の危険にずっとさらされますし、作物も安く買い叩かれるかもしれません。

でもやはり、今回の記事は農業復活へ向けての希望となるものだと思います。

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