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« 続・セシウム除去Q&A 第3回 汚染の除去は、その目的、広さ、汚染の度合い、土質を考えてやろう | トップページ | 「茨城民間放射線測定所」のようなものを目指してがんばります! »

2011年8月22日 (月)

放射能との闘いは長期戦です。だから、初めからゼロにするなどという過大なことを望まないことです



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土壌線量を計れと主張しながら、一方で50㎝深耕してセシウムを拡散しろ、と唱える私の意見に、それはダブルスタンダードではないかというご意見がありましたので、お答えします。

なるほど、ご意見はごもっともな部分があります。本来なら計測をしてから除染作業の計画を練り、その上で除染に取りかかるというのが流れとしては順当です。ですからそのような疑問を、農業外の方が持たれるのは納得できます。

もう一点の、「深耕してもセシウムはなくなるわけではない」というご意見に対しては「セシウム除去Q&A2回」でお話したのですが、大事な論点ですので再論します。

まずは、最初の計測しろということと、除染しろというのは二重規範ではないかとのご意見ですが、あえてそのとおりだ、と言います。

現在、福島県を除き、東日本地域はほとんど土壌線量の汚染マップ作りはされていません。

されているのは文科省のヘリからの空中測定というはなはだ目の粗い測定のみで、それもまだ広大な土地が計測されずに放置されたままの状態です。

未だ巷では早川マップが珍重され、ガイガーカウンターが在庫薄になるという現象の原因はそこにあります。

ようやくこの問題にマスコミも気がつき始めて、汚染マップを作れという声が上がってきました。実に事故から5か月後の話です。

私は事故直後の4月段階から、土壌放射線量こそが計測の要だと書いてきました。

それは、3月12日と15日の爆発で飛散した放射性降下物は既に地表面に落ちており、地表下5㎝ていどまで浸透していることがチェルノブイリの記録で分かっていたからです。

要点は3点でした。

➊既に放射性降下をした放射性物質の測定のために土壌線量を計ること。

➋どのていどの範囲に、どれだけの放射性降下があったのかを知るための汚染マップ作り。

➌その土地の条件にあった除染対策

私は地元行政に対して、再三に渡って土壌線量測定をするようにというお願いをしてきました。しかし拒否されて今に至ります。

せめて4月の中旬から土壌線量測定を徹底的に県内で行っていたのならば、状況はまったく違ったものになったはずです。

なぜでしょうか?それは4月が代かき作業のロータリーがけの時期だからです。今年、茨城県内は一様にその作業が遅れていました。

農家は行政がしっかりとした指針を出さないために、今年の米を作っていいものかどうか悩みに悩むという指示待ち状態だったからです。これで貴重な事故後初動期の1か月が遅れました。

4月初めから土壌放射線量を計り始めておけば、中旬にはおおまかな結果は出始めます。

その測定結果が出た段階で、地元の農業団体、改良区、農業者と協議して各々の汚染度合いにあった対策を立てられて実施できたのです。

汚染の度合いに応じて、ゼオライトやベントナイト、あるいはカリウムを撒き、その上で深耕ロータリーをかければ稲への吸着は最低限に抑えられました。

それを一切せずに貴重な初動の2カ月間をロストして、そのまま通年どおりの田植えを行えばどうなるのか・・・。

なるべくして、こうなったのです。またもや、わが県が「汚染米」の一番乗りです。知事いわく、52bqだからレントゲン1回より少ないです。馬鹿か、あんたらは!

市民は医療被曝は健康との見返りに受容しているのです。なんの見返りもない健康被害があるかもしれない食料からの被曝と同列にするこの愚かさ!

こういう手垢のついたレトリックで消費者に説明する厚かましさ。

本気で消費者に説明するなら、玄米での52bqは、消費者に渡る精米後には半分ていどまで落ち、さらに洗米でそれ以下に落ちるといったことを説明した後に、ではその線量は食品として安全であるのかどうなのかを真正面から説明すればよかったのです。

そしてその上で、今後茨城県の土壌線量測定を徹底し、その土地にあった除染活動を活発に行政主導で行っていくと宣言すればよかったのです。私ならそうします。

今までなんの安全対策もしてきませんでした、これからもなにもする予定はありません、お国の暫定規制値では安全だと言っていますから、安心して茨城米を食べて下さい。それで誰が信用しますか。

初めのダブルスタンダードではないかという問いに戻ります。そうです。残念ですが、そういう側面もあります。

行政の不作為のために、除染しながら計測するような同時進行や逆転すら生まれています。

現在、私たち地域では農業者有志で金を出し合ってベータスペクトロメータを共同購入して、自らの農地を一枚一枚測り、それをマップ化しようと思っています。その汚染の具合で除染方法も決まるでしょう。

そういう活動が今まさに始まろうとしています。国や県がまったく支援しない現状で、民間ができるのはそのていどからなのです。

最後に、深耕してもセシウムはなくならない、とのご意見ですが、放射性物質が「なくなる」とはどのような意味でしょうか?

私たち農業者は、作物に吸収されないことが、それがミニマムであることが、「放射性物質がなくなる」ということの意味だと思っています。

いったん放射性降下をしてしまった放射性物質がゼロになるということはありえません。どのように表土を剥いでもダメです。必ず微量は残り続けます。

特殊な薬剤を撒いても、撒かない土地は残り続けます。減少しながら30年余残り続けます。

私たちは決意したほうがいい。これは長期戦です。だから、初めからゼロにするなどという過大なことを望まないことです。

初めは放射性物質の飛散状況を調べる、次にそれを軽減する方法を考えて実施していく、そこからです。

遅々たるものに見えるでしょうが、「放射能と闘う」ということはそのようなことだと私は思っています。

■写真 クモが嫌いな方もいるようなので、アジサイに差し替えました。

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コメント

全くもってその通りです。正しく情報を出し、できうる対策を取った上で消費者の理解を求めるべき。
そうするしかないでしょう。
農家と消費者は本来信頼関係にあるはずで、対立軸では無いはずですから。

残念ながら、匿名のネットではそれこそ農家バッシングを煽り立てるものが圧倒的で、ちょっとでも擁護する書き込みがあると袋叩きです。まるで言論統制。
一つ興味があるのは、今回の玄米52Bqの圃場の土を推計ではなく実測したらどのくらいなのか?


南の島様
ご指摘ありがとうございます。
移行係数からの値など全く異論はございません。
米の基準などはむしろ厳しくするべきです。
ただ、玄米52Bqなんて食べる頃には検出限界以下だろうってのに、マスコミ記事は騒ぎ立てるはネットはそれこそ…という状況だったのと、あまりに国や県の対応がお粗末だったもんであえて疑いの目からの見方を書かせて頂きました。
山形県南部でも独自販売で有名な料亭や百貨店ギフトカタログで好評だったのに、まだ何のデータも無いうちにいきなり打ち切られてネット注文も入らずに途方に暮れてる米専業農家さんがいます。それこそ風評被害でしょう。
4月の荒い緊急検査で不検出だった平坦な地域です。
たまらず自前で検査してもらったら土壌219Bq出た。収穫後には検出されずとなることでしょう。それでも買い手がつかない厳しい現実。

すいません、昨日書いて…送信するときに消してしまって遅くなりました。

蜘蛛の写真を見て、「シャーロットの贈り物(原題;CHARLOTTE'S WEB)」っていう映画を思い出しました。
それ以来、どうも、豚カツが、・・・。
お題からずれて、大変、申し訳ありません。

蜘蛛が嫌いと取られてしまったようですね。
申し訳ありません、真意が上手く、伝わらなかったようです。
私は、蜘蛛が嫌いではありませんよ。

因みに、「シャーロットのおくりもの」という映画は、蜘蛛が命を掛けて、子豚の命を助けるというストーリーです。
ですから、この映画では、蜘蛛をむやみに忌み嫌う子供に、「悔い改めよ」と説いていると思われます。
まぁ、子豚が単純に可愛いので、とんかつを食べる気にならない子供も増えるでしょうけど。

いずれにしても、お題とは関係ありません。(笑)
ご無礼いたしました。

映画ネタ、わかりましたよ(笑)

私が子供の頃に、教育テレビでアニメやってまして…あれの映画版。
ブタを食わせないために蜘蛛(シャーロット)や仲間の動物が奮闘するというやつね。

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