続・セシウム除去Q&A 第3回 汚染の除去は、その目的、広さ、汚染の度合い、土質を考えてやろう
A14 場所の「広さ」や「目的」に合わせて考えるべきです。
広さについては、住宅の庭と農地ではまったく広さが違います。
●住宅の庭・・・10坪ていどだとすると、土を剥がして新しい土を敷くほうが速いかもしれません。
●農地・・・・・・・広いので剥がして客土することは不可能です。ゼオライトを散布した後に、深耕ロータリーで50㎝くらいまで耕してしまうのが、いちばん簡単で速い方法です。
目的でも、子供が遊ぶ校庭や家の庭、公園などと、農地は使用目的が違います。
●校庭、自宅の庭、公園・・・子供が直に地表に触る可能性があります。洗えば放射性物質は簡単に落ちますが、親の神経が休まらないでしょうから、5㎝ほど表土を剥がすのがいいでしょう。
●農地・・・農地は作物を作る場所です。要するに作物に放射性物質を吸わせなくさせればいいのです。ゼオライトなどの粘土を入れて結着させたり、堆肥の木質(バーク)に吸わしたり、ロータリーでかき混ぜて拡散させる方法が有効です。
Q15 汚染された土の放射性物質の「濃度」は除去と関係あるのでしょうか?
A15 いいところに気がつきました。大いにあります。濃度が高い土地と、さほどでもない土地は区別して考えるべきです。
福島県の避難地域内の土地は数万ベクレル/㎏の土地がよくあります。時に十万ベクレルを超えるホットスポットもあります。
このような高濃度に汚染されてしまった土地と、同じ福島県でも内陸部ではまったく違います。内陸部は数百から数千ベクレルに止まっています。隣県の茨城県も、だいたいそのていどの線量です。
●高濃度汚染の土地・・・除染作物のひまわりや菜種を低濃度の土地に植えてもほとんど吸いませんが、高濃度の土地では有効に放射性物質を吸収します。
●低濃度汚染の土地・・・除染作物はあまり意味がありません。むしろゼオライトや深耕ロータリーをお勧めします。
Q16 土の質によって、放射性物質の作物への吸収は違うのでしょうか?
A16 違います。放射性物質は、土の質によって植物に吸われる度合いがかなり違います。植物に吸いやすい土質を、高い順番に並べます。
●第1位・・・いちばん作物に吸われやすい土質は、砂地です。
砂地には放射性物質を結着する粘土がほとんどない上に、粒子が細かく表面積が大きいために、放射性物質を土壌内に封じ込める力が弱いのです。
海岸に近い地域には砂地が多いのですが、今回の鉾田市の土質も砂地でした。避難地域の中でも海岸に近い地域もそうです。
●第2位・・・砂や砂利が混ざった土壌。粘土質が少ないために植物に吸収しやすい土地です。
●第3位・・・粘土質。東日本で不幸中の幸いであったのは、関東ローム層の土地が多いことです。粘土は強力にセシウムをホールドして、作物に移行させません。
●第4位・・・有機質堆肥を多く含んだ粘土質の土。これがおそらくもっとも作物への吸収が少ない土地です。有機質堆肥の木質と、堆肥資材で以前から使われていたゼオライトを多く含み、関東ローム層の土質と相乗効果を現して、植物への移行を妨げます。
このように、除去の目的、広さ、汚染の度合い、土質をはっきり知って除染作戦を考えて下さい。
(続くかもしれない)
« 鉾田市でセシウムを検出・ 茨城県は直ちに13市町村の土壌線量計測を行え! | トップページ | 放射能との闘いは長期戦です。だから、初めからゼロにするなどという過大なことを望まないことです »
「原子力事故」カテゴリの記事
- 福島にはもう住めない、行くなと言った人々は自然の浄化力を知らなかった(2019.03.11)
- トリチウムは国際条約に沿って海洋放出するべきです(2018.09.04)
- 広島高裁判決に従えばすべての科学文明は全否定されてしまう(2017.12.15)
- 日本学術会議 「9.1報告」の画期的意義(2017.09.23)
- 福島事故後1年目 大震災に耐えた東日本の社会は崩壊しかかっていた(2017.03.16)
コメント
« 鉾田市でセシウムを検出・ 茨城県は直ちに13市町村の土壌線量計測を行え! | トップページ | 放射能との闘いは長期戦です。だから、初めからゼロにするなどという過大なことを望まないことです »
いろいろな土質の中で、通常の肥料ではなく、カリウムやリン酸塩を多目に含んだものを、施肥すると、どうなるのか?
など、実データーがほしいですね。セシウム化合物になった場合、物性がどう変わるかも知りたいところです。
金属毒としての影響とか、蓄積性とか、沈下性など、変わると思うので、どういう化合物で、安定するのか、知りたいところですし、正直、セシウム化合物って、なじみがないので、知っておかないといけませんよね。
ヒ素、アンチモンなどと化合することも、考えられますし。。
投稿: りぼん。 | 2011年8月21日 (日) 12時24分
鉾田市の米よりセシウム検出の件、やはりでましたか。正直なところ茨城から一番早くでるとは・・・・
私は6月に土壌検査して、未耕運(未ロータリー)地
のCs134が463bq、Cs137が511bqで合計974bqのデータを見ました。
他4か所は150~260bqでしたが、1圃場は、深耕ロータリーをしてサツマイモを作付しました。
そこのCs134&137合計で66bqでした(以前書き込みました)。ここに至っては遅いかもしれませんが、事故直後の土壌検査(未耕運)が大変重要だと思います。ゼオライトの選択ですが、粘土系のソフト・シリカと鉱物系のクリノ・ゼオライトではどちらが良いか誰か資料は持ってはいませんか?
ここで時間を、3月に戻します。事故後、各避難所での放射能スクリーニング検査の場面です。検査人が線量計を身体に当てていましたが、あの時住民は数日間シャワーも風呂にも入っていませんでした。放射性部質は静電気が発する髪の毛に一番付きやすいのです。
あの時のスクリーニング検査はほとんどがスルーしていました。なぜか測定器の感度を下げたから。この話は東海村の核燃料関連事業所の作業員に聞きました。
事故時、作業員が自転車で事業所のゲートを入るとき、放射能部質が身体に付着しており、事業所内に入れなかった、と聞きました。それは、作業前と作業後に被爆量の検査があるそうです。つまりは、あの時ここ茨城県の一部が放射線管理区域だった。バックグラウンドが高い低いはあれ、非常にあぶない状態でした。福島県の児童の尿からセシウムが検出されたのも
国は体内に入ったセシウム等は100日前後で排出されるのを知ってて4か月以上経っての検診の話・・・・・・すべてが遅すぎます。
投稿: 姫いずみ | 2011年8月21日 (日) 13時09分