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2011年8月 1日 (月)

土壌暫定規制値の5千bq/㎏は、旧ソ連なら「永久管理区域」に相当する

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ずっと素朴な疑問がつきまとっていました。いえ、あの原発事故で急遽決まった土壌暫定規制値の数字です。

ご承知のように、5千bq/㎏です。 

同業者の皆さんから「余計なこというじゃない」という声が飛ぶことを覚悟で言えば、この設定は高すぎます。だいたい、古新聞の交換じゃあるまいし、キロいくらで測ること自体がおかしい。 

規制値を作るのなら、もっと現実の農業者が耕作している条件に即さないと意味はありません。 

農家は耕作地をキログラムで考えることはありえません。そりゃそうだ。うちの農地は2万トンだなどと言ったら大笑いでしょう。 

耕地は面積が単位です。ならば、土壌放射線量の単位も1平方mが単位であるべきじゃないでしょうか。 

諸外国はどうやっているのか知りませんが、少なくとも実際に原発事故で広域な汚染を経験した旧ソ連ではそうしていたようです。 

私は現実に原発事故の地獄を通過した国の経験は、起こさない国のそれより重く考えます。なぜなら、やってなけりゃなんでも言えるからです。 

めちゃくちゃに厳しい規制値を作ろうが、逆にICRPの引き写しだろうが、まぁなんでもオーケーです。しょせん机上の数字ですからね。 

しかし、現実に広域な被曝をしてしまった場合、どのように考えるかとなると、すこぶるリアルにやるしかないわけです。 

チェルノブイリ事故の時に、旧ソ連政府が定めた土壌汚染に関する規制区域で、「永久管理区域」(*)という設定があります。 

この規制値は、どこぞの国の行政のように空間放射線量などは問題にしていません。空間線量は事故当初には大事な指標ですが、半年、一年先には必ず降下して安定します。放射性ヨウ素が半減期を迎えるからです。

今、福島県内で安定せずかならずしも低い線量とはいえない空間放射線量が検出されるのは、発生源の原発から今でも放射性物質が漏洩している証拠です。

旧ソ連諸国の規制対象は、既に地表と地中に累積してしまっている放射線量、すなわち土壌放射線量です。

旧ソ連各国の設定している永久管理区域の土壌放射線量は百万bq/㎡です。これは、ヨーロッパの原子力専門家の計算では、5千bq/㎏に相当します。

そうです。わが国の土壌放射線量の暫定規制値と一緒です。言い換えれば、わが国の5千bq/㎏という規制値は旧ソ連諸国なら「永久管理区域」との境の数字だったわけです。

この意味するところは大変に重く、軽々に私の中で芽生えている考えを書くことすらためらうほどなのですが、やはり言いましょう。

このまま有効な除染活動を行わない限り、相当面積の福島県内の地域が、少なくとも旧ソ連諸国では「永久管理区域」に区分されていました。

一方、野菜の暫定規制値はどうでしょうか。

旧ソ連諸国のウクライナ(チェルノブイリがある国です)での、事故直後の緊急時暫定規制値は3700bqでした。

現在は、ぐっと厳しくなって40~70bq/㎏です。これは卑怯というわけではなく、事故直後の緊急時規制値が国際的にも認め散られているからです。

ちなみに、野菜の規制値は各国とりどりであって、EUは2000bq/㎏(ただしEU各国で違う)、米国が170bq/㎏です。

わが国は今「暫定」規制値の「暫定」を取るべく検討を開始していますので、おいおい本格的な規制値が出来るはずです。

私は、今の土壌放射線量の規制値があくまでも「暫定」であることに気がついてほしいのです。

現在の5千bq/㎏はあくまでも事故直後の緊急時の規制値であって、これは異常に高い数値だということを肝に銘じましょう。

私たち農業者は「4999bqだから安全」などと思わないようにしましょう。

よくECCR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)の人々が言う、「フクシマはチェルノブイリだ」という表現は、必ずしもそのまま受け取る必要はありません。

しかしこのままなんの除染活動もしないならば、ほんとうに私たちは「永久管理区域」に多くの地域を追いやってしまうことになるのです。

そして、いまでも多くの市民や農業者は旧ソ連チェルノブイリ「永久管理区域」の中で暮らして生産しているのかもしれません。

■*永久管理区域・ベラルーシ規制値55.5万Bq/㎡以上   強制移住規制値・30万~60万Bq/㎡以上

■写真 ザクロの花が満開です。ほんとうに鮮やかな緋色です。ただし、わが家のザクロの実はスッパイんだな、これが。

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コメント

土壌暫定規制値の数字です。

ご承知のように、5千bq/㎏です。

>>>>>チェルノブイリでは、汚染土壌で、生活する人の呼吸器官(肺)への内部被爆によるダメージが、6割と言われてますが、こういう土壌で、耕作した場合、どれくらい体内被曝するのでしょうか?消化器に入った場合、放射線微粒子を包み込んで、排泄しやすい食物を同時に摂取するなど、消化器官へ一度入ったものの、生物学的排泄能力で、全放射線微粒子が、体内にとどまることは、ないそうですが、肺胞に吸着した微粒子は、多分、排泄されず、残ってしまうのではと思ってます。

防護マスクをしての農作業になるのでしょうか?

りぼんさん。さっそくのコメントありがとうございます。
私は今当局から一切の耕耘に対する警告や指示がなされていないことに憤っています。

トラクターなど地表面と地下5㎝のセシウム降下層を一気にかき回して粉塵を立てます。

よくトラクターの後ろでマルチかけなどしている奥さんを見ると、「ヤメロ!」と叫びたくなります。

同じ体内被曝でも消化器からはかなりの量が排出されますが、呼吸器はされません。

このような危険な状況に農業者をさらしておいて平然としている農水省の気がしれません。

すでに高線量で認められていると仮定すると…数年~数十年のスパンで、平均寿命(ガンや白血病と乳幼児の死亡率による)の低下が考えられますね。
詳しい追跡調査が必要だと思います。

私はわりと楽観的なほうですが、低線量被曝に関しては分からないことばかりです。

もう国は福島県民をモルモットにしてるとしか…。

Bq/Kgは実際に土壌を採取しての測定値ですね。金属のカップみたいなのを地面に差し込んで土壌を採取して計測するものです。
文科省の進めている航空機モニタリングだと、地面からの放射線を測定して土壌の放射性物質の量を推計するのでBq/m^2(平方メートル)になるようです。
栃木県の結果が発表されています
文部科学省及び栃木県による航空機モニタリングの測定結果について(7月27日)
http://eq.wide.ad.jp/files/110727release1.pdf
茨城県は
文部科学省及び茨城県による航空機モニタリング(平成23年7月25日)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/07/25/1304320_0725.pdf
ですが、途中までなのか、都市化が進んで不可能だったのかは不明です。今後、以下のサイトに何か発表があるかも。
「 モニタリング計画」
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1304070.htm
「政府関係からの重要なお知らせ」
http://eq.wide.ad.jp/

お題と関係ありませんが、ついに、あの

安愚楽牧場が倒産した

ようです。

http://www.tsr-net.co.jp/news/flash/1212428_1588.html

(株)安愚楽牧場(那須郡那須町埼玉2-37、登記上:同郡那須町高久丙1796、設立昭和56年12月、資本金3000万円、三ヶ尻久美子社長、従業員514名)は8月1日、栃木義宏・柳澤憲の両弁護士(栃木・柳澤法律事務所、東京都港区虎ノ門1-22-13秋山ビル3階、電話03-3580-1331)に債務調査を依頼した。

負債総額は平成23年3月期末時点で619億8705万円。

昭和54年1月那須町で共済方式による牧場経営を開始。和牛オーナー制度(繁殖牛のオーナーを募集し、生まれた仔牛を買い取るシステム)で資金調達する独自のビジネス手法を開発・確立。超低金利の続く経済環境の中、「高利回り金融商品」の一つとして一般投資家に注目され、事業規模は拡大を続け、会員数は全国各地で3万人を数える。北海道から沖縄までの全国40カ所に自社牧場を運営するほか、預託先牧場は全国に338カ所あり、黒毛和種牛牧場として国内最大規模を誇り、平成23年3月期は1027億2394万円と初の1000億円超と業績を伸ばしていた。

 しかし、平成22年に発生した口蹄疫問題では、宮崎県内の牧場で症状が発生した牛が発見され、最終的に約1万5000頭が殺処分された。また、東日本大震災に伴う福島第1原発の放射能漏れ事故による対象地区での牛の放牧制限、放射性セシウムの検出による福島県産牛肉の出荷制限等があり、また風評被害から牛肉消費が落ち込み市場価格が急落したため、出荷を見合わせる事態に至った。

 その結果、資金繰りが悪化し、取引先への代金支払は現在停止状態となっている。担当弁護士側は資産・負債の調査は1カ月以内に終了することとし、その後今後の方針決定した際に改めて発表するとしている。

肺に吸い込んだ埃などの異物も痰に絡まって排出されます。 そうなってなければおかしいでしょう。 一生の間に吸い込む埃などは累積すれば相当の量でしょうが、肺はいつも清浄です。

現場からの生々しい声です。

本当に、政府にはしっかりしてもらいたいです。

http://www.wa-dan.com/article/2011/07/post-138.php

3月期の決算が凄かったのは、補償金のおかげでは?
今回の牛肉枝単価の下落は、ダイレクトに応えたのでしょう。

cowboyさん。いや、めでたい!安愚楽牧場倒産したって。人の不幸をよろこんではいけないのかもしれないが、今までの反社会的所業をみるととうてい同情できません。

第7例の祟りです。これで心おきなく批判できます。今までやたら訴訟しまくっていたので「A牧場」なんて書いてましたから。

利根さん。痰ていどで吸い込んだ放射性物質が体外に全量出るなんて誰に聞きました?だったらいいですね。

あおやまさん。何度も書いていますが、あの文科省の地図では粗すぎるのですよ。大雑把な傾向は分かりますが、やるなら福島市が今市内でやっているような徹底した測定です。

5000ベクレル/kgって米の作付け制限の話ですよね。

農水省のサイトのQ&Aでもはっきり書いてますが、米だけ5000ベクレル/kgの作付け制限を設定しましたが、米以外の他の作物については恐ろしい事に農水省は何の制限も設けていません。
本当に今の政府はまともな仕事をしていない。

あと米の作付け制限のための土壌の汚染度計測にしても、本来なら5cmの深さで土壌を採取するべきを、15cmの細長い採取器具を使って土壌サンプルを採取したため、実際の土壌汚染度よりかなり低い数値が出るようになっています。

http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/sakutuke_qa.html

 Q.稲の作付制限地域内で、稲以外の農作物の作付をしてもよいですか。

A1.稲以外の作物については、作付制限は行いません。

文科省は福島で手いっぱいじゃないでしょうか。有志の研究者も福島を中心に活動されているようですが、緊急性という点からすると、いたしかたないかもしれません。
地方自治体が動かないのなら、お近くの大学や研究機関で協力してくれそうなところを探されるのも一つの手段かと思います。
単位換算は、土の比重をどう考えるかですが比重1とすると、文科省は表層5cmの土壌を採取して計測しているそうなので
[Bq/m^2]=[Bq/Kg]×50
原子力安全・保安院は×65としているそうです。
農水省は表層土15cm採取で計測だそうなので×150です。
またBq/m2→μSv/hの換算は
ほぼ[kBq/m2 ]= 282×[μSv/h]
だそうです。

あおやまさん。既に茨大の農学部とは連携がとれています。

地方大学は大変に協力的です。計測は農-学連携となりますが、自治体は協力するどころか、迷惑と言いたげな状況です。

せめて牧草やワラはやったほうがと言っても聞く耳を持たないような対応をとられました。

行政が率先してやるべきにもかかわらず、このような態度なので、こちらが勝手にやることになります。呆れてものが言えません。

ただし、これは自治体によっての個別の判断ですので、一般的な自治体の対応だと思わないで下さい。

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