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2011年9月

除染特区を作れ!これ以上遅れると、「隔離・分離」の空気が支配的になるぞ

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国はいつまでも漫然と「除染」を語っている暇はありません。前政権における、「なさざることの罪」により、広大な地域が放射能汚染された状態で放置されています。

避難準備区域は解除されましたが、今後の補償や、かんじんの除染すら行われていない状況での帰還です。到底心から喜べる状況ではありません。(資料8参照)

このような中で、国民の中に大震災支援疲れがにじんでくるに従って、0.6マイクロシーベルト/時を超える地域を厳重に管理して、その地域の出入りまでを国が管理しろ、という案も飛び出すようになってきました。

言っているのはいつもの有名なあの人です。
ttp://takedanet.com/2011/09/post_eca2.html

この0.6μSv以上を管理区域案は、旧ソ連の強制退去地域をモデルにしており、もし現実化されるとなると、かつて私が冗談半分で言った「放射能の壁」をほんとうに作ることになってしまいます。

退去勧告と、それでも残る住民はすべて登録されてIDを持たされて、スクリーニングと除染してからでないと外部の地域に出られなくなるというわけです。

「東北の野菜は食べるな」から、更に踏み込んだ「隔離・分離案」です。

このような「隔離・分離案」が、影響力の強いオピニオン・リーダーの口から平然と出るようになった、という事実を認識するべきでしょう。

論評はしませんが、このような「空気」がしっかりと醸成されつつあるということを政府は知るべきです。

「死の町」とか「放射能をつけちゃうぞ」という3日大臣の軽薄な発言は、それ自体の意味内容ではなく、このような空気の中で為政者の口から出たことの重さを問われたのです。

私は今まで誰も口にしなかった「隔離・分離案」が公然と出てきた状況を、非常に恐ろしく思います。今後もウオッチします。

一方、福島市もボティア頼りですが、器材の貸し出しや専門家派遣などで大規模除染を開始するそうです。(資料1・2・3・4参照)

しかし、地元福島市の住民によって作られている「ふくろうの会」は、福島市などが始めた市ぐるみの除染活動に対しても、本来は避難をするべきなのに人口減少を恐れる市がそれをさせないための動きだとして警戒しているようです。
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/09/144-38a2.html

さて、いつも頑張っている飯館村は5年間というスパンで農地の除染を行い、2年間で住環境の除染を行うことに決定しました。(資料5参照)

農地除染のめどは1千ベクレル以下、住環境は1ミリシーベルト/年以下だそうです。排出された汚染土壌などはコンクリート製の容器に入れて保管するとのことです。

おそらくはここがネックでしょう。飯館村の農水省除染実験で使われた保管容器は一個が10万円もしましたので、これをなんとかしないと、早晩膨大な除染排出物の行き場がなくなってしまいます。(資料6参照)

国は、飯館村などの農村避難地域、そして福島市、郡山市などの都市部を「除染特区」として、国家を上げた除染活動に集中すべきです。

「失われた半年」を取り返すにはそれしかありません。それをしないまま放置しつづければ、今は極小でしかない「分離・隔離」派が大勢を占めることになりかねません。

絶対に「放射能の壁」を作らせてはなりません。

■写真 台風一過。天高く馬肥ゆる秋ですな。イモ堀りのまっ最中です。早く放射能を気にせずに農作業をしたいものです。

                  ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■資料1 福島市除染活動' 福島市除染マニュアル(第1版) 

http://shinsai.city.fukushima.fukushima.jp/wp-content/uploads/2011/09/7ecb6f9a1f5f9a73f57d85c0963afe80.pdf#search=' 

■資料2 【除染へ専門家助言】2011年07月23日 朝日新聞 

  ●県、5人「アドバイザー」委嘱
 子どもたちの生活環境から放射線量を減らすため、県は22日、放射線防護や放射性廃棄物処理の専門家5人を「除染アドバイザー」に委嘱したと発表した。任期は来年3月末まで。
 

 アドバイザーは、元原子力委員会委員長代理で、放射線防護を専門とする田中俊一・放射線安全フォーラム副理事長ら5人。県一般廃棄物課によると、効果的な除染の方法などについて、県に助言する。

 県は、通学路や側溝、公園などの除染活動をする町内会、PTA、ボランティアといった団体を対象に、線量計や高圧洗浄機、清掃用具などの購入費に関し、50万円を上限に補助する事業をはじめた。

 県内の各市町村が今月末以降、除染活動をする団体を募集することから、こうした団体にも、アドバイザーが助言するという。  

 ほかのアドバイザーと専門分野は次の通り。
 井上正・電力中央研究所研究顧問(放射性廃棄物処理)▽田中知・東京大大学院工学系研究科教授(放射性廃棄物管理)▽藤田玲子・東芝電力・産業システム技術開発センター技監(放射性廃棄物処理)▽石田順一郎・日本原子力研究開発機構福島支援本部上席技術主席(放射線防護・安全管理)

  
■資料3 福島市、市内全域の除染方針固める(2011年7月12日19時02分 読売新聞)  

  福島県内で自治体が全域の除染に乗り出す方針を決めたのは伊達市に次いで2番目。
 福島市は今年度分の「ふるさと除染計画」を8月上旬までに策定する。策定に先立ち、放射線量の高い渡利、大波の両地区で先行して除染作業を実施。建物に高圧洗浄機を使用するほか、地面の表土除去などを行う。
 

 市内全域の除染には、数年から十数年かかる見通し。公共施設や農地、河川、山林を主な対象とし、線量の高さや住民の利用度などに応じて優先順位を付ける。民家についてはマニュアルを配布し、市民自らの手で行ってもらうことも想定している。  

 費用は一時的に市が負担するが、最終的には国や東電に支払いを求める方針。同市では、同原発から半径20キロ圏の警戒区域以上に放射線量の高い地域が確認されており、住民に不安が広がっている。
  
子どもを避難させないための除染活動にしてはならない
 その第1点目は、このような活動を大々的に宣伝することで放射能が低減して子ども達が避難しなくても「安全」が確保されるかのような雰囲気が作りだされる危険性です。産経新聞の報道では渡利地区の除染活動について「『避難が不要になるように』福島市の住宅地 住民ら3900人が除染」などと見出しを付けて報じています。
 
■資料4 「避難が不要になるように」福島市の住宅地 住民ら3900人が除染2011.7.24 産経  

  福島市中心部に近く、放射線量が局所的に高い「ホットスポット」の懸念が高い渡利地区で24日、放射性物質の除染作業が行われた。
 市職員ら約400人と住民約3500人が参加。住民らは側溝の泥をスコップで取り除き、雑草を取った。渡利小などの通学路は路面清掃車が洗浄した。住民によると、毎時10マイクロシーベルトだった放射線量が除染後、約半分に下がった側溝もあったという。
 渡利地区は福島県庁から約1~3キロ。東京電力福島第1原発から約60キロ離れているが、6月の市の空間放射線量測定で毎時3・83マイクロシーベルトを計測した。国は近く、同地区で特定避難勧奨地点の指定を検討する詳細調査を行う。
 同地区の舟場町内会長、小平準之助さん(77)は「子供がいる世帯の転居が増えて寂しくなった。避難が不要になるよう今後も除染を続ける」と話した。

■資料5 飯館村が除染計画 宅地2年、農地5年で完了 

東京電力福島第1原発事故で全域が計画的避難区域に指定されている飯舘村は、居住空間の追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下に低減する除染計画を策定した。宅地など居住環境は約2年、農地は約5年、森林は約20年で除染を終え、原発事故以前の環境回復を図る方針。 

 菅野典雄村長は28日、政府と県に計画を提出した。計画によると村と県、国の連携とともに村民の参加を得ながら除染を進める。 

 農地や、キノコなどが自生する森林の低減目標は、土壌の放射性物質濃度で1キロ当たり1000ベクレル以下に定めた。村内の国有林に仮置き場を設置し、除染で生じた汚染土壌などをコンクリート製の保管容器で密閉して一時的に保管する。
(2011年9月29日 福島民友ニュース)
 

■資料6 除染土 最大2879万立方メートル 環境省試算 東京ドーム23杯分
東京新聞 2011年9月28日 朝刊
 

 環境省は二十七日、東京電力福島第一原発事故で放射性物質に汚染され、今後の除染で土をはぎ取るなどして発生する汚染土壌の量をめぐり、試算結果を有識者検討会に示した。福島のほか宮城、山形、茨城、栃木の五県で年間の被ばく線量が五ミリシーベルト以上の区域を中心に除染する場合、土壌量は最大で東京ドーム二十三杯分に相当する二千八百七十九万立方メートル。 

除染が必要な面積も最大で福島県の17・5%に当たる二千四百十九平方キロメートルに上る。政府は福島県に中間貯蔵施設を設置する方針だが、広大な施設の整備が必要で、地元自治体との調整は難航しそうだ。 

 これに関連し、細野豪志原発事故担当相は二十七日の衆院予算委員会で、十月中に中間貯蔵の在り方を含めて政府の考え方を提示する意向を表明。野田佳彦首相は「仮置き期間は何年という形で、住民の安心のためにも明示できるように努めたい」と述べた。 

 推計は、年間の被ばく線量に応じて(1)二〇ミリシーベルト以上の区域を除染(2)五ミリシーベルト以上の区域を除染(3)五ミリシーベルト以上の区域を除染するのに加え、一ミリシーベルト以上五ミリシーベルト未満の区域も部分的に除染(スポット除染)-の三パターンを想定。それぞれ森林の除染面積を100%、50%、10%の三類型に分けた。

 住宅地や市街地で建物が密集している地域は、建物以外の土壌部分が全体の40%とみなし、表面を五センチはぎ取ると仮定。森林では落ち葉の回収や草刈りなどを行い、農地は表面の土五センチを除去する条件で試算した。 

 その結果、五ミリシーベルト以上の区域とスポット除染を組み合わせて森林を100%除染したときに、発生する汚染土壌量は最大となった。

■資料8 避難準備区域あす解除 「補償減るかも」遠い帰郷 除染いつ?「安全とは思えない」

東京電力福島第1原発事故を受けて設定された「緊急時避難準備区域」が30日、一斉に解除される。ただ、対象となる福島県の5市町村が想定する帰還時期は、いずれも除染にめどが立つ来春以降。東電の補償がなくなる不安を抱える住民も多く、帰郷はまだ先となりそうだ。解除されても帰れない状態に、避難を続ける住民の苦悩はかえって深い。

 「帰ったら東電の補償が減るかもしれない」。自宅が緊急時避難準備区域に指定されている福島県広野町の50代男性は、こう話した。解除後も同県いわき市の仮設住宅に住み続けるつもりだ。

 広野町は鉄道以外のインフラが復旧しており、放射線量も区域外の福島市より低い。男性も「帰るには全然問題ない」と話す。ただ、東電から送られてきた補償の説明書は分厚く、帰宅で補償がどうなるのか、読み取れない。「分からない以上は帰れない」と、仮設住宅中心の生活が続く。

 同町の住民約5千人のうち、自宅に戻ったのは1割に満たない約300人。ほかの4市町村に比べ極端に少ない。同町幹部は「最初は原発の爆発を恐れて避難したが、放射線量が低いにもかかわらず、いつの間にか除染が帰還の基準になってしまった。帰るタイミングを失ったともいえる」とみる。「解除されても、安全とは思えない」。同町からいわき市の仮設住宅に避難している主婦、根本トミさん(74)も、帰宅のタイミングを計りかねている。

 自宅で30年以上育ててきたマツの盆栽は赤く枯れ、庭の草は伸び放題。毎年のように遊びに来てくれた孫6人を狭い仮設住宅へ招くわけにもいかない。「何もいらないから家に戻りたい」と言いつつ、「本当に原発は爆発しないのか。何を基準にすればいいのか分からない」と漏らす。

 同町の7割を占める森林については国の除染方針も定まらず、町も処置を決めかねている。「山林への立ち入りを減らしてもらうくらいしか対策がない」と町の担当者。「除染が進んでも若い人は帰らず、高齢者だけになる懸念が広がっている。払拭したいが…」と悩みは尽きない。

 同町からいわき市内のアパートに夫と次男と避難している主婦、西内香奈江さん(48)は「放射線量はあまり気にならないけど、たまに町に帰っても人影がない。何となく不気味で帰る気になれない」。帰郷を阻む悪循環が生まれている。
(産経新聞9月30日)

 

 

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二本松市セシウム検出米事件のケーススタディ

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昨日ご紹介した500bqの水田に関しての情報は、第一級の情報だと私は評価しています。 

それは、このようにセシウムが検出された田んぼの諸条件が判明した例というのは案外少ないからです。 

それほどまでに、今回の事故による放射能のケーススタディは遅れており、科学の顔を被った憶測で満ちあふれています。 

特に水田、しかも山間の谷津田という複雑な環境下での事例は、ありとあらゆる要素が疑いうるものでした。 

では、この事例を少し考えてみましょう。 

私はこの水田が位置する場所に注目します。 

「谷津田の最上段」です。これはなにを意味するのでしょうか。 

私がかつて谷津田で百姓修行を開始したことはお話したと思いますが、その時に初めて田んぼの仕組みを教えられました。 

上の写真を見て頂きたいのですが、谷津田の構造は上部に行くに従って狭まって高くなっているのがわかるでしょうか。 

周囲の森林で涵養されて蓄えられた水は、写真左右の小さな水路にいったん集められて、上部の田から順に下に下っていきます。 

まずは最上段の田んぼに流入し、そこで太陽によって温められてから、次の段の田に流れ込む仕組みです。 

これにより、いちばん下にある大きな本田は、いきなり森林からの冷たい水を稲に浸すことなく生育できるわけです。 

これは水田の温度低下によるさまざまな障害、たとえばイモチ病などを予防する上で大きな意味を持っています。 

複雑な地形を利用しつつ米作りをする日本農民の永年の知恵が凝縮したものがこの谷津田だと、私は思っています。 

今回のケーススタディをしてみましょう。 

周囲の森林とこの谷津田には、一定量の放射性物質が降下しました。9月22日の測定で、二本松は2.7マイクロシーベルト、最大で3.4マイクロシーベルトを記録しています。(毎日新聞地方版9/23による)

決して少なくはない線量です。これが半年前の春3月、4月期には、いっそう高い線量だったでしょう。

この放射性物質は、周囲の森林の落ち葉に降下し、風で吹き寄せられて高濃度のホットスポットを作ります。

落ち葉は表面積と体積が大きいので、放射性物質を吸着しやすいのです。またカサの割に重量が少ないので、キログラム換算すると大変に高い数値が出てしまいます。

経験則では、おおよそ外気の3倍程度でしょうか。しかし、勘違いしていただきたくないのは、これが一気に下の田んぼに流れ込むわけではありません。

森林の高線量落ち葉の下の表土は、落ち葉が放射性物質を吸収してくれたために存外汚染度が低いのです。そして森林の土壌の中にある粘土質と結着してセシウムを封じ込めています。

ですから、森林で涵養される地下水は、思いの外汚染から免れています。私の実測データでも常に森林からの湧水はNDでした。ただし素人計測ですので、信用なさらないように。

私はこの二本松の当該の水田に流入している沢水それ自体の放射線量は、低かったのではないかと思います。ただし、落ち葉がなければですが。

この水田は、周囲の沢水を集めて水量が豊かだったようです。この沢水の中に相当量の落ち葉が入って線量を高めた可能性はあり得ます。

次に、この水が最初に流入した最上段の田んぼは「砂質」でした。

これもよくあるケースです。粘土質の下の地層には砂地やシルト層(*分子が砂より小さく、粘土より大きい土質)があることはよくあることだからです。

この水田の砂はいわゆる山砂で、わずかしか粘土質を含んでいません。ですから、粘土と電気的に結合せずにフリーパス状態の遊離セシウムが大量に含まれていたと推察できます。

この三つの悪い要因が重なりました。

まず、一つめは、森林でホットスポットを作る落ち葉による沢水の汚染。

二つめは、それがもっとも最初に、かつ大量に流れ込む最上段部だったこと。

三つめは、それが流入した最上段部の田んぼがセシウム封じ込め力の弱い砂質だったこと。

このような要素が重なって不幸な汚染となったのだ思われます。

この三つの要素が重ならない、下の田んぼからの米はNDだったと言われています(*未確認情報)。

また、周囲の農家の田んぼの中には、予備検査で4600bqが出た田んぼもあったにも関わらず、意外にも米の測定値はNDでした。

私たちの地域で、できるだけ一枚一枚の田畑を計ってみよう、という動きが始まっています。

今回の教訓は多くありますが、そのひとつに放射能はまだら状に降り、その上に、田畑の置かれた条件次第で線量がまったく違うということです。

今回のセシウム検出米事件は、またひとつ重い荷物を私たちに投げかけていったようです。

 

■写真 本日の写真が谷津田の最上段部です。どん詰まりですね。先々日の扉写真が中段。そしてその前日がそのまた下です。

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二本松市のセシウム検出された水田についての情報 


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二本松市で出た500bqのお米についての確度の高い情報を探していたところ、その隣にあたる地域で農業指導に当たられておられる大学教員の方から情報を提供頂きました。

念のために申し添えますが、この情報はあくまでも官庁発表がない前の非公式なものである性格上、情報の誤差が生じる可能性があります。

そこをお含みおき願った上で、速報としてご報告します。

得られた情報は以下です。

➊当該の水田の土壌放射線量・・・・・・・3000bq/㎏

➋同上の耕作地の中の位置・・・・・・・・・谷津田の最上段に位置する

➌同上の土質・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・砂質

➍同上の地形的特殊性・・・・・・・・・・・・・・周囲の沢水をあつめる場所にあたる

➎同地域の自主測定の有無・・・・・・・・・・なし

❻同水田周辺での米からの検出結果・・ND(検出限界以下)

❼周囲の森林、水の測定・・・・・・・・・・・・なし

この大学教員の意見。

➊周囲の沢水が集中する場所であるために、周囲の森林からの汚染集中が考えられる。

➋土質が砂質であるために、セシウム吸着が少なかったと考えられる。

➌周囲の農家の米は既に測定されており、すべてNDだった。したがって特殊な地形のための、不幸な確率論的なケースだったのではないかと推察される。

                                             以上

なお、私のコメントは差し控えます。

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一定の移行係数などは存在するのだろうか?

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昨日頂いたコメントでどうにも引っかかることがありました。

移行係数をめぐってなのですが、今、公表されている農水省の0.1はたしかにある種の政治的な思惑があるでしょうし、一方、農業環境技術研究所の0.0026もしょせん試験場の机上の数値です。

現実の移行数値は、実際にこの現地に行って測ってからでないとなんとも言えません。おそらく私は、一定の移行係数というものは存在しないのではないかとさえ思っています。

何度となく私が書いているのは、放射能(*)というヤツはメチャクチャに微妙で複雑なやつだということです。(*慣用的表現。正確には放射性物質、ないしは放射線量)

これは私が実測運動をしているからわかったことです。同じ地点ですら、地表面放射線量が別な日には違うのです。

移行係数も、その土壌成分が粘土質であるのか砂質であるのかによっても違うでしょう。堆肥成分によっても違うでしょう。とうぜん、降下した放射線量やその核種によっても違うことでしょう。

「数値」という存在がが危ういのは、数値が出回って、しかも検索で簡単に手に入るとなると、あたかもそれがどこの場所でも通用する不変の定理だと錯覚してしまうことです。ちょうど理科の実験のようにです。

私は自分が計った簡易測定器の数値を公表していません。手元にはそうとう溜まりましたが、公表することは差し控えています。なぜでしょうか?

ひとつには、私の簡易測定器が「校正」をしていないからです。業務用のシンチレーション・サーベイメータやガンマ・スペクトロメータで計った数値と突き合わせて、誤差を修正していないので、公表に耐えません。
*放射能測定機器の「校正」についてはこちらをご覧ください。
http://homepage3.nifty.com/anshin-kagaku/sub071218saitoh_ESI.html

おそらく誤差が20%、ひどい場合には50%ある可能性があります。

私は2種類の測定器を持っていますが、同時に計測して数値が倍ちがったことがあって愕然となりました(苦笑)。

まさに測定器の「個性」とでもいうべきもので、専門機関に持ち込んで校正をかけねばなりません。ちなみに、校正にはもう一台買えるていどの費用がかかります。

ですから、ネットであふれかえるほどある素人の自主計測データは、自分のものと同様にあまり信用していません。せいぜいが参考数値ていどでしかありません。

しかし「数値」の恐ろしさは、いったんそれが社会に出ると一人歩きしてあたかも「定理」のようになることです。数値って、なにかホンモノ臭いじゃないですか。

ここに数字の落とし穴があります。

移行係数にしても0.0026と出ると、農業者は0.1より耳に快いですから飛びつきました。しかし、現実を見てください。

二本松市で4600bq出た土地のそばで、今度は米(玄米)から500bqが出れば考え方を変えるしかないでしょう。残念ながら、今の時点では(とお断りしておきますが)、農水省の出した移行係数のほうが現実に近かったということです。

ただし、これが全国どこでも、どの状況でも通用するとも思っていません。さきほど言ったように、その土地の土壌成分、降下した放射線量などで変化するものだからです。

ともかく実測データが少なすぎるのです。バックデータが少なすぎるので、これこそがと言えることはまだ少ないのが現状です。

農業者と市民が、ひとつひとつの地域を計っていく、田畑や公園を一枚一枚計っていく、そして計測機関で計ったデータと照合して「校正」をかけていく、結局、こんな素朴な歩みしかないと思うのです。

放射能はまだわからないことだらけです。それを知って闘うしかないのです。

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福島に対して私たちがなにをできるのかを問おう。 福島からの重いコメント

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福島のta様から重いコメントをいただきました。欄外に転載いたします。ぜひお読みください。私は読みながら涙がにじんできました。読みやすくするために、適時改行いたしました。

私は谷津田に深い思い入れがあります。入植して初めて借りた田んぼも谷津田でしたし、初めて買った耕運機を、あまりの深田に壊してしまったのも谷津田でした。

田んぼの師匠から湧き水の場所を教えられたのも谷津田でした。この湧き水がなによりうまいことを知ったのも谷津田でした。、コナギと泥だらけで格闘したのも谷津田でした。

うだるような暑さの昼、泥だらけの手を湧き水で洗って、かぶりつくにぎり飯のうまさを知ったのも谷津田でした。

そこには、生き物が織りなす複雑精妙な世界がひろがっていることを知ったのも、谷津田でした。

そのような水と土とそこの生き物たちに拠って育まれた米は、実がしっかりと詰まり、輝くような照りがあり、世界でいちばん美味い米です。

私の農業人生の出発点のほとんどすべてがそこにあり、農業の喜びと苦しさを教えてくれた私の農の師匠でした。

しかし、今回の放射能事故で、もっとも大きな影響を受けたのが他ならぬこの谷津田でした。

谷津田は前回書いたとおり、周辺の山林から放射性物質の流入を受けやすく、いったん受けると滞留しやすい性格があります。

私の計測でも(*計測値は簡易測定のために公表できません。校正していないために誤差がありえます)、平坦な基盤整備した田んぼよりやや多めに出ています。

ホットスポットも平坦な場所より多く存在します。私はこの4月下旬に、今は返してしまったかつての私の谷津田を計測に行きました。

書きたくない数値でした。悔しさに体が震えました。

私は放射能を呪います。心底憎みます。原発を呪います。エネルギー政策といったレベルではなく、私の心が許せません。

政府を呪います。「なさざることの罪」を犯した無能な政府を憎みます。

今回の二本松の500bqの田んぼはまさにこのような谷津田で出ました。私がショックを受けたのは、「出た」ということそれ自体だけではなく、日本農業の隠された宝のような谷津田で出たという事実でした。

そしてその地域が、もっとも苦難の道を歩んできた土地であることを今回のコメントで改めて知りました。

放射能は、その土地のみならず、それまで汗を流してきた先祖の「時間」まで汚染したのです。

そしてその苦難故に、避難してきた浜通りの人たちを温かく迎え受け入れたのもその阿武隈山系の土地でした。

私たち日本人は今回の大震災で膨大な同胞を失いました。そして原発事故で、日本人の魂までを失いかかっています。

福島を助けようという声は弱く、福島を共に守ろうとする力はひ弱です。

国は復興を言いますが、福島や近隣県の放射能測定すらまともにしていません。実地測定すらしないで、なにがわかるのですか。ヘリで空から通り一遍測定しただけでてす。

除染は国が責任を持つといいながら、5000bq以下の土地に対してはなにひとつ政策を出していません。

当初福島に出された除染の予算はたったの5億でした。議員宿舎以下です。ふざけないで下さい。たった5億でなにができるのですか。

福島県民はほとんど独力で闘っています。私たち日本人は福島県を一人で闘わせてしまっています。

自分を恥じましょう。

そして「脱原発」などという今や誰でも言える毒にも薬にもならない免罪符を言う前に、なにが福島に対してできるのかを問いましょう。

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5000という線引きでダメならば4500かということになりますし、4500でダメならば、4000なのかということにもなります。今回の近傍で検知された4600よりも高い水田は市に存在しています。

作付けにゴーサインが出た4月上旬の時点で、主食である水稲は放射性物質の影響に関する研究データが多く、移行指数0.1は土壌による移行に差がないので、土壌のセシウムが5000以下なら安全側に余裕があるという説明でした。実際に現在までの検査結果で、3000Bqを超えていた地域の水田でもNDであったり、計測されてもごく少ない数値が多数です。正直今回の結果は・・・「えっ?ええっ??」という気持ちです。

感情論になりますが、今回の地域・阿武隈山系は、まさに里山の風景で・・・いわゆる中山間地域です。農業するのも大変な地域です。グライ土で排水が悪く圃場の整備も進んでいない地域です。

まさに谷津田です。生産性というよりも里山の生態系を楽しむことができる湿田といったイメージです。はさがけの自然乾燥をされる方も大勢います。

わずかな平地は田んぼ、自宅は崖の上なんていう地域です。私が子供のころは自宅の急な坂を稲藁を背負って登っていくお婆ちゃんがたくさんおられました。

子供のころは出稼ぎが多かったです。昭和55年の大雪を都心で心配していた大黒柱が何人いたことか・・・。

浜通りの方々の避難を最前線で支えた地域で、自宅を開放して何人もの人を受け入れていた人も大勢いました。

自身の車にガソリンが無くとも避難所にオニギリを握りに馳せ参じたヒトの住んでいる地域です。地元では「まめだんご」と呼称するツチグリ(きのこ)を、お味噌汁にして楽しむこともできなくなりました。恨み節になるので感情論はここまでにします。

こういった背景の地域で、綿々と行われてきた『例年通りの稲作』は通用しないということになりました。私個人としては、今回の突出した検査結果はイレギュラーなものだと思っています。

近くの水田は全然低い数値なんですから。本調査で結果は出るでしょう。良くも悪くも結果は出ます。でも『イレギュラーが含まれる』という事実だけで壊滅的なダメージです。

汚染はまだらであるから、一緒くたに『福島』とくくるヤツらは無知だという気持ちで今までいました。でもイザ私の身に降りかかった瞬間に『まだら=イレギュラーを回避できない』という構図に愕然としました。

管理人さんに反論とまではいきませんが、今日までの流れとして、役所の人が「近傍が4600Bqだから、今年は作付けしないでください。作付けしても500Bq/kgを超えてしまう可能性があります。」というのは不可能です。

結果として、~3000Bqの水田、それ以上であっても比例関係ではなく、これほどの高い数値は出ていないですから。正直、寝耳に水といいますか、何かの間違いではないのか?という気持ちです。

明日になったら「検査方法に問題があった」とか「試料採取に問題があった」という発表があるのではないかと思うくらい信じられません。でなければ風評を煽ることになりますけれど相当数のイレギュラーがあるということになってしまいます。

福島には安心を届けるアドバイザーがおられますが、我々が安心して生活し、我々が対外的に安全を発信するなんて無理です。例年通りに生活できないのに、安心するコトができましょうか?「生活に気をつけなければならない=なんらかの制限が加わる」という時点で安心なんてものはドコカへぶっ飛んでいきます。

私のような地域の人間が普段どおりの生活することで、福島県の、ひいては東日本の防波堤となっている気持ちで生活してきました。

子供のお友達も続々転校する中で、私達が逃げたら歯止めがきかなくなるという自負もありました。でももう心が折れそうです。

もう、脱原発でも原発推進でも何でもいいから、早く人とモノと金を全力投入してもらいたいです。でないと汚染の全容すらできないままになります。

■私からのひとこと。

「役所の人が近傍が4600Bqだから、今年は作付けしないでください。作付けしても00Bq/kgを超えてしまう可能性があります。というのは不可能です」

私はそうは思いません。4600bq出ていれば危機感をもたないほうがおかしいと思います。当時でも0.1の移行率という知見は知られていましたから。

行政がその段階で柔軟に対応していれば、今回の事態は防げたはずです。おそらく市行政はそのような「危ない地域」だと認めたくなかったのです。

認めることにより、農産物の風評が強まります。当時の4月は風評被害の真っ只中でしたから。

一方、当時、農民はまったく情報がない状況でした。行政が頼りでした。行政がゴーサインを出せばそれにすがりつくような気分でした。私の村もそうです。私もそうです。

だからこそ、行政はしっかりと農民を護るべきだったのです。将来の災厄に対して。


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福島県二本松市で500bqの新米が検出される 。市は 事前に近辺で土壌線量が4600bqあって、なぜ作付けを許可したのか?

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私がいちばん恐れていたことが起きてしまいました。ご承知のように福島県二本松で500bqの米が検出されました。 

これが検出された農家の方は「皆んなに迷惑をかけるので、収穫も出荷もしない」と言われているそうです。この農家にはなにひとつ責任がないにもかかわらず、この勇気ある判断をされたことに、頭が下がります。 

その決断を支持します。出すべきではありません。出荷すれば、二本松地域はとうぜんのこととして、「福島県産」表示で統一されてしまうために、福島県産新米すべてが500bqという目でみられてしまうでしょう。 

そしてそれにとどまらず、東日本全域の新米の買い控えが始まることは火を見るより明らかです。 これは、現時点ですら新米の販売が打撃を受けている状況の中で、とどめの一撃となりかねません。 

また、収穫も中止されたことも賢明でした。もし収穫してしまえば、一部マスコミは500bq米が闇ルートで出回り、関西方面や北陸地方の米に混入するゾと大喜びではやすことでしょう。

現実にそのような業者は存在しますし、待ってました、といわんばかりの連中に福島バッシングの材料を与えてはなりません。疑われるような一切の行為は止めるほうがいいと思います。 

さて、この500bqが予備検査であったことを注目すべきです。予備検査は欄外資料にありますように、農水省の指導で「空間放射線量が0.1マイクロシーベルトを超える市長村」を対象に行われています。 

二本松市はこの対象となっています。この当該田んぼの近所では土壌線量も計測しており、4600bq/㎏だったそうです。 

これをもって二本松市は、土壌規制値以下なので「大丈夫」だと作付けを許可したと言います。

はっきり言います。市は大馬鹿です。まさに杓子定規の役人体質そのものの対応です。

市は、この指導は県から来た指導どおりでなんの落ち度もない、と言い逃れするでしょう。県は国の指導に沿ったといい、そして本家である農水省の辞書には「責任をとる」とういう文言はありません。

きっと宮城県の藁にしても、今回にしても、民間なら左遷ものですが、なんのおとがめもないのでしょう。

いったいお役人さんたちは、土壌放射線量というものの性格を少しでも知っていたのでしょうか?自分で土壌放射線量を実際に測定してみれば簡単に分かります。

私が何度となく書いているように、仮に、A地点で100bqあったとして、そのわずか400mの同一水系、同一の基盤整備の田んぼのB地点で400bq出る場合もあるのです。

裏山ひとつへだててたC地点で800bqあっても、その反対面のD地点では一気に50bqしかないこともあります。

セシウムは気体ですから、放射線量は放射性降下時の風向き、雨や霧などの気象条件で驚くほどデリケートに変化します。

この二本松市のケースは、祖父の代に山を買って切り開いたというところをみると、おそらくは谷津田です。周囲を森林に囲まれた盆地のような地点です。

ある意味、もっとも放射線が溜まりやすい地形で、地形が複雑なために土壌放射線量も複雑に変化しています。

それを広い行政区を数カ所計ったくらいでなにが分かりますか。第一、その近所の田んぼは4600bqもあったというではないですか。どうしてこんな高い数値に危機感を持たないのでしょうか?!

「基準よりマイナス400だからいいや」、とそれ以上考えなかったにちがいありません。絵に描いたようなお役人仕事です。

なるほど、土壌の暫定規制値は5000bqですが、4600bqとどう違うのです。常識で考えれば4600bqあれば、当然その近辺には5000bqr超えの地点は沢山あったと考えるべきです。現実にそうでした。

そしてこのような規制値すれすれの数値が出た地点周辺、少なくとも5キロは徹底した土壌測定をするべきでした。もっと出てきたはずで、その中にこの田んぼも入っていたでしょう。

そうすればみすみす収穫時になって、「ハイ、新米から500bq出ました」などという醜態をさらさずに済んだのです。

収穫時にこんなことになれば、一気に風評は福島県全域に及びます。わかりきったことでしょう。

あらかじめ土壌測定をしっかりしていなかったツケが一気に来ました。私は再三くどいほど、事前の土壌放射線量測定こそが重要だと言ってきました。

それは事前測定でホットスポットがあぶり出せれば、作付けを回避でき、傷が浅くなるからです。

いったん作付けてしまえば、今回のような危険な数値が出た場合、大変なことになります。

事後処理のほうが事前よりはるかに大変なのはわかりきったことです。これは福島県と二本松市の「なさざることの罪」(不作為)です。

今後ですが、二本松市と福島県は、当該の田んぼを中心にして最低でも5キロ以内は徹底した検査をし、挙証責任を果たすことです。

この田んぼの稲はそのままで放置し、放射性物質を吸わせるだけ吸わせて、処分方法は農水省に考えてもらいましょう。

全量買い上げて、焼くなり、埋めるなり国が責任をもって処分することです。

え、500bqは暫定規制値内だから出荷してかまわないですって。ならば国と東電が買い上げて、農水省と東電の職員食堂で使って下さい。自給率が上がってよかったですね。

そしてあなた方官僚の「なさざることの罪」を、いつものように私たち農業者に押しつけることだけはやめて下さい。

 

■ 風邪はなんとか8割方回復しました。お見舞いありがとうございました。季節の変わり目です、皆様もご自愛ください。

 

              ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。 

二本松産米:「収穫も出荷もしない」農家、無念さにじませ 

男性の水田は同市小浜地区の山間部にある。稲穂をつけた田んぼが広がり、遠くには磐梯山を望む静かな農村地帯だ。 

 祖父の代に山を買って、田んぼを切り開いた。16歳のころから農業を手伝い始め、すでに40年がたつ。大工のかたわらに農薬などを極力使わない安全なコメの生産に努めてきた。 予備検査の結果を知らされたのは23日夕。県の4月の調査で近くの土壌から1キロ当たり4600ベクレルを超える値が検出されていた。「ある程度高い値が出ることは予想していたが、500という値にはびっくりした」という。

 作付けにあたっては、市から「大丈夫」との連絡をもらっていた。「手間ひまと経費は無駄になった」と、今年の収穫も出荷も断念した。 

 「本検査で400になっても、消費者は安全と思わない。うちのコメは絶対出荷しない。ほかの安全な福島県のコメに迷惑をかけるから」。7頭の肉牛も飼育しているが、稲が収穫できなければ、餌の稲わらも用意できない。今後の飼育もあきらめるつもりだ。 

 同居する次女夫婦に7月、初孫が誕生した。外の物干しに干された孫の服を指さして「本当は外に干すのも心配。原発から遠いはずなのに、理由は分からないけど線量は高いんだ。でも避難の指示や特別な補償もない地域。いったいどうしろというんだろうか」とつぶやいた。 

 生活基盤を奪われようとしている現状に「東電は生きていくための最低限の補償をすみやかにしてほしい」と訴えた。 

毎日新聞 2011年9月24日 21時54分(最終更新 9月25日 0時16分)

 

資料   米の放射性物質検査の実施について茨城県方針 

●予備調査 空間放射線量が0.1マイクロシーベルトを超える市長村13を予備調査 

対象となる市町村・・・・北茨城市、大子町、高萩市、日立市、常陸太田市、 東海村、ひたちなか市、茨城町、鉾田市、美浦村、 牛久市、守谷市、取手市)・・・・実施状況3(1市町村3点の検体) 

●本調査
➊一般地域
・予備調査を行っていない市町村
・予備調査の結果、一定の水準(200Bq/kg)以下であった市町村
・検体数400予定

➋重点調査地域
・予備調査の結果、200Bq/kgを超えた市町村
・一般地域のアの市町村で、本調査を行ったところ、200bq/kgを          超えた市町村      
・15hで1点の検体
 

●出荷及び出荷制限  

 ・暫定規制値(500Bq/kg) 以下の場合、出荷

 ・500Bq/kgを超過した場合、旧市町村単位に出荷制限

 ・市町村全域で本調査が終了し、安全性が確認された時点で出荷可能。
   (早場米区域など市町村内で出荷時期に著しい差異のある場合は別途検討)

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故郷で待つ人がいるから、避難できるのです

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風邪を引いてしまいました。

先日台風の中でずぶ濡れになったからでしょうか。情けねぇ。グスっ、ズルズル~。3月22日の雨じゃなくてよかったなぁ。

こういう時に限って、こんなコメントが来て嬉しいなぁ~、グズ、ズルズル、ゴホ、ゴホ。

chelno

あなたのような考えの人がいるために、福島県で避難したくてもできない状況が生まれているのではないでしょうか。元気で農業をしている、といっても五年後にみんな病気で亡くなったら復興も何もないのではありのせんか?チェルノブイリでも除染はしたのです。しかし10年後にどうなったか知っていますか?津波が来るかもしれないといって避難する人をあなたは「臆病者」と呼ぶのでしょうか。
福島の人たちは、放射能という二回目の「津波」でまた逃げ遅れるのですか?

これはちょっと前の私の記事に対するものです。
ECRRのバズビーさんが日本で見逃したもの

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-d1ab.html

こういう人ばかりじゃないかと思うけれど、いわゆる「脱原発」デモをする人ってこんなかんじなのかしらね。なら、たまらないなぁ。

そう言えば、6日の脱原発デモでは、「福島から避難しろ」といったプラカードもありましたね。

福島の人が言う分には、それもありだと思っています。しかし、自分は安全地帯でヌクヌクとしておいて、他人が住む地域に「逃げろ」とはよく言うものです。

たぶんこのような人は、そこで人々がどのような暮らしや生産をしているのか考えたことがないのでしょうね。

何も特別なことをしているわけじゃありません。ごくあたりまえに暮らしています。「異常の中の日常」です。

母親は、毎日県のHPの空間線量を見て、子供に手袋をさせ、マスクを着けさせて送り出します。子供が帰ってくるまで毎日落ち着かない日々です。

父親は、避難した子供と奥さんに朝の電話して、帰ってまた電話します。「パパは元気だよ。お前らは今日はどうだった?」、と。この家族の声だけが唯一の励みです。にわか独身だなと苦笑いします。

小児科医は、今度の日曜日に保育園を除染する計画を立てています。もちろんボランティアです。子供の甲状腺の異常を早期発見するため、仲間の医師と定期回診を始めました。

学校の先生は、運動会の練習を時計をにらみながらやっています。2時間たつと、子供たちにうがいをさせて、手を洗って教室に追い返します。子供が外で遊びたいと駄々をこねられるのがつらいと言います。

農家は、まったく売れない時期にも作物を作りました。売れなくとも作ってしまうのです。グループで線量計を買って土壌測定を始めました。なんとか田畑を除染して元の健康な土壌に戻そうとしています。

多くの人が県外に避難しました。ひとつの住宅地で、あそこの、ここの家の子供や母親がつてを頼って避難しました。

避難した先では、それまでに増して大変な暮らしが待っていました。

そして個人的避難には一切の国の支援はありません。大変なお金がかかります。

避難した人たちも、帰ろう、いつか帰ろうと、住み慣れたわが家と郷里に帰ろうと歯をくいしばって、でも無理して笑って余所の土地でがんばっています。

そう思えるのは、郷里で暮らす人たちがいるからです。そこに帰れば、「お帰り」と言ってくれる人がいるからです。だから頑張れる。

逃げずに頑張ってとどまる人がいるから、避難できるのです。無人の福島になったら、どうして帰れますか。どこに帰ればいいのですか。

とどまっている人は、避難した人に「臆病者」なんて絶対に言いません。絶対に、断じて言わない。

「戻っておいで」と言います。

哀しみをわかっているから。苦しいことが先に待っていることが分かっているから。除染しながら待っています。

だから、余所の人に「逃げろ」などと安易に言ってほしくはありません。それはその人たちが、その家族たちのみが決めることです。

それを叫ぶのは、安全地帯に住む人の傲慢です。

住む土地を出て避難しなければならない人たちの、あるいは、家族が引き裂かれてしまった人たちの哀しさを考えない、ただの傲慢です。

■私の故郷である茨城の水田風景。ちょっと前の真夏の霞ヶ浦湖岸です。

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児玉 龍彦東大教授の国会証言全文 国は全力を上げて除染を開始しろ!


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国の除染は極めて遅れています。もはや犯罪的と言っていいほどの遅れです。

この間、福島県を中心とする母親、子供、そして農民がどれほどまで悲惨な環境に放置されていたのかは想像に難くありません。

半年を経た今ですら、緊急非難的な除染が細々と有志の手でされているにとどまっています。国は、子供がわずか2時間の運動会しかできない地域にした責任をとらねばなりません。

前政権は、このような状況に福島県民を放置しながら、今直ちに行うべき除染から目を背けて、再生エネルギーでお茶を濁しました。まさに燃え盛る火事の前で、火災に強い都市づくり構想をのんきにおしゃべりしているようなものです。

この前政権につられるようにして、国民の除染への関心は低く、徒に危険をのみ煽る言動が拡がっています。危機を煽り続ける学者が、この現地に来て、除染活動のひとつでも手伝ったことがあったでしょうか。

危機を語るのなら、解決の方法も提示せねばなりません。不安を語るのなら、希望も語らねばなりません。

現在、避難地域を中心として、地道な除染活動をしておらされる児玉先生の国会証言は、先生の誠実な活動によって裏打ちされています。

本日は、国が除染に目を向けだした重要な契機を作った、東大児玉龍彦教授の衆議院厚生労働委員会の7月27日の証言全文を掲載します。

長文ですが、ぜすお読みいただくようにお願い致します。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

「放射線の健康への影響について」 国会証言    児玉 龍彦
   ―(衆議院厚生労働委員会証言2011・07・27)―

 私は東京大学アイソトープ総合センター長の児玉です。3月15日に、大変に驚愕しました。私ども東京大学には27箇所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護とその除染などの責任を負っております。私自身は内科の医者でして、東大病院の放射線の除染などに数十年関わっております。まず3月15日の午前9時ごろ、東海村で5マイクロシーベルトという線量を経験(観測)しまして、それを文科省に第10条通報ということで直ちに通報いたしました。

 その後東京で0.5マイクロシーベルトを超える線量を検出しました。これは一過性に下がりまして、そのあと3月21日に東京で雨が降り0.2マイクロシーベルト等の線量が降下し、これが今日までの高い線量の原因になっていると思っております。このときに枝野官房長官が、さしあたり健康にあまり問題がないということをおっしゃいましたが、私は実際にこの時に、これは大変なことになると思いました。なぜなら現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射線が少しあることを前提にしています。この時は総量はあまり問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。

 ところが今回の福島原発の事故というのは、100キロ圏で5マイクロシーベルト、200K圏で0.5マイクロシーベルト、さらにそれを越えて、足柄から静岡のお茶にまで汚染が及んでいることは、今日、すべての皆さんがご存じの通りであります。

 われわれが放射線障害をみるときには総量を見ます。それでは政府と東京電力はいったい今回の福島原発事故の総量がどれぐらいであるかはっきりとした報告はまったくしていません。そこで私どもはアイソトープセンターの知識をもとに計算してみますと、まず熱量からの計算では広島原爆の29.6個分に相当するものが露出しております。ウラン換算では20個分のものが漏出しています。

 さらにおそるべきことにはこれまでの知見で、原爆による放射能の残存量と、原発から放出されたものの残存量は1年経って、原爆が1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしかならない。つまり今回の福島原発の問題はチェルノブイリ事故と同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと大量の残存物を放出したということが、まず考える前提になります。

 そうしますと、われわれはシステム生物学というシステム論的にものをみるやり方でやっているのですが、総量が少ない場合には、ある人にかかる濃度だけを見ればいいのです。しかしながら総量が非常に膨大にありますと、これは粒子の問題です。粒子の拡散というのは、非線形という科学になりまして、われわれの流体力学の計算ではもっとも難しいことになりますが、核燃料というものは、砂粒のようなものが、合成樹脂のようなものの中に埋め込まれております。

 これがメルトダウンして放出されるとなると、細かい粒子がたくさん放出されるようになります。そうしたものが出てまいりますと、どういうことがおこるかというのが今回の稲藁の問題です。例えば岩手の藤原町(注)では、稲藁5万7千ベクレルパーキログラム、宮城県の大崎1万7千ベクレルパーキログラム、南相馬市10万6千パーキログラム、白河市9万7千パーキログラム、岩手6万4千パーキログラムということで、この数値はけして同心円上にはいかない。どこでどう落ちているかということは、その時の天候、また例えばその物質が水を吸い上げたかどうか、にかかります。

 今回の場合も、私は南相馬に毎週行っています。東大のアイソトープセンターは現在までに7回の除染を行っていますが、南相馬に最初にいったときには1台のNaIカウンターしかありません。農林省が通達を出した3月19日には、食料も水もガソリンもつきようとして、南相馬市長が痛切な訴えをWEBに流したのは広く知られているところであります。

 そのような中で通達1枚を出しても誰も見ることができないし、誰も知ることができません。稲藁がそのような危険な状態にあるということは、まったく農家は認識されていない。農家は飼料を外国から買って、何十万という負担を負って、さらに牛にやる水は実際に自分たちが飲む地下水にその日から代えています。

 そうするとわれわれが何をやらなければいけないのかというと、まず汚染地で徹底的な測定ができるように保障しなければいけません。われわれが5月下旬に行ったときに1台しか南相馬になかったというけれど、実際には米軍から20台の個人線量計が来ていました。しかしその英文の解説書を市役所の教育委員会で分からなくて、われわれが行って、教えてあげて実際に使いだして初めて20個での測定ができるようになった。それが現地の状況です。

 それから先程から食品検査と言われていますが、ゲルマニウムカウンターというのではなしに、今日ではもっとイメージングベースの測定器が、はるかにたくさん半導体で開発されています。なぜ政府はそれを全面的に応用してやろうとして、全国に作るためにお金を使わないのか。3カ月経ってそのようなことが全く行われていないことに私は満身の怒りを表明します。

 第二番目です。私の専門は、小渕総理のときから内閣の抗体薬品の責任者でして今日では最先端研究支援ということで、30億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープをつけて癌の治療をやる、すなわち人間の身体の中にアイソトープを打ち込むのが私の仕事ですから、内部被曝問題に関して、一番必死に研究しております。

 そこで内部被曝がどのように起きるかということを説明させていただきます。
内部被曝の一番大きな問題は癌です。癌がなぜ起きるかというと、DNAの切断を行います。ただしご存知のように、DNAというのは二重らせんですから、二重のときは非常に安定的です。それが細胞分裂するときは、二重らせんが1本になって2倍になり、4本になります。

 この過程のところがもの凄く危険です。そのために妊婦の胎児、それから幼い子ども、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険性を持ちます。さらに大人においても、増殖の盛んな細胞、例えば放射性物質を与えると、髪の毛に影響したり、貧血になったり、それから腸管上皮に影響しますがこれらはいずれも増殖の盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。

 それで私たちが内部に与えた場合のことで知っている事例を挙げます。これは実際には一つの遺伝子の変異では癌はおこりません。最初の放射線のヒットが起こったあとにもう一個の別の要因で、癌への変異が起こるということ、これはドライバーミューテーションとか、パッセンジャーミューテーションとか、細かいことになりますが、それは参考の文献をつけてありますので、後で、チェルノブイリの場合や、セシウムの場合を挙げていますので、それを見ていただきますが、まず一番有名なのはα線です。

 プルトニウムを飲んでも大丈夫という東大教授がいると聞いて、私はびっくりしましたが、α線は最も危険な物質であります。それはトロトラスト肝障害というところで、私ども肝臓医は、すごくよく知っております。要するに内部被曝というのは、さきほどから何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうのは全く意味がありません。

 
 1131(ヨウ素131)は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。
セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。これらの体内の集積点をみなければ全身をいくらホールボディスキャンしても、まったく意味がありません。

 トロトラストの場合、これは造影剤でして、1890年からドイツで用いられ、1930年頃から日本でも用いられましたが、その後、20から30年経つと肝臓がんが25%から30%起こるということが分かってまいりました。最初のが出て来るまで20年というのが何故かと言うと、トロトラストはα線核種なのですが、α線は近隣の細胞を障害します。そのときに一番やられるのは、P53という遺伝子です。

 われわれは今、ゲノム科学ということで人の遺伝子の配列を知っていますが一人の人間と別の人間はだいたい三百万箇所違います。ですから人間を同じとして扱うような処理は今日ではまったく意味がありません。いわゆるパーソナライズドメディスンと言われるようなやり方で、放射線の内部障害を見るときにも、どの遺伝子がやられて、どのような変化が起こっているかということをみることが、原則的な考え方として大事です。

 トロトラストの場合は、第一の段階でP53の遺伝子がやられて、それに続く第二、第三の変異が起こるのが20年から30年かかり、そこで肝臓癌や白血病が起こってくることが証明されています。

 次にヨウ素131、ご存知のように甲状腺に集まりますが、成長期の集積がもっとも特徴的であり、小児に起こります。しかしながら1991年に最初、ウクライナの学者が甲状腺癌が多発しているというときに、日本やアメリカの学者は、ネイチャーに、これは因果関係が分からないということを投稿しております。なぜかというと1986年以前のデータがないから統計学的に有意だということが言えないということです。

 しかし統計学的に有意だということが分かったのは、20年後です。
 20年後に何が分かったかというと、86年から起こったピークが消えたために、過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンスになった。ですから疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の症例が終わるまでだいたい証明できないです。

 ですから今、われわれに求められている子どもを守るという観点からはまったく違った方法が求められます。そこで今、行われているのは国立のバイオアッセ―研究センターという化学物質の効果を見る、福島昭治先生という方がチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されていまして、福島先生たちが、ウクライナの医師と相談して500例以上のある症例を集めています。

 前立腺肥大のときに手術をしますと膀胱もとれてきます。これを見まして検索したところ、高濃度の汚染地区、尿中に6ベクレルパーリットルと微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかも増殖性の前癌状態、われわれからみますと、P38というMAPキナーゼと、NFカッパーBというシグナルが活性化されているのですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発性でありまして、かなりの率で上皮内の癌ができているということが、報告されています。

 それでこの量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2から13ベクレル、7名から検出されているということがすでに報告されていることであります。われわれアイソトープ総合センターでは、現在まで毎週大体4人ぐらいの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。

 南相馬でも起こっていることはまったくそうでして、20キロ、30キロという分け方はぜんぜん意味が無くて、幼稚園ごとに測っていかないと全然ダメです。それで現在、20キロから30キロ圏にバスを仕立てて、1700人の子どもが行っていますが、実際には南相馬で中心地区は海側で、学校の7割は比較的線量は低いです。

 ところが30キロ以遠の飯館村に近い方の学校にスクールバスで毎日100万円かけて、子どもが強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早くやめさせてください。今、一番その障害になっているのは、強制避難でないと補償しないということ。参議院のこの前の委員会で当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそのような答弁を行っていますが、これは分けて下さい。補償問題と線引の問題と、子どもの問題は、ただちに分けて下さい。子どもを守るために全力を尽くすことをぜひお願いします。

 それからもう一つは現地でやっていて思いますが、緊急避難的除染と恒久的除染をはっきりわけていただきたい。緊急避難的除染をわれわれもかなりやっております。例えば図表にでています滑り台の下、ここは小さい子どもが手をつくところですが、滑り台から雨水が落ちて来ると毎回ここに濃縮します。右側と左側にずれがあって、片側に集まっていますと、平均線量1マイクロのところですと、10マイクロの線量が出てきます。こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはなりません。

 またコケが生えているような雨どいの下、これも実際に子どもが手をついたりしているところなのですが、そういうところは、高圧洗浄機を持って行ってコケをはらうと2マイクロシーベルトが0.5マイクロシーベルトにまでなります。だけれども、0.5マイクロシーベルト以下にするのは非常に難しいです。それは建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、一か所だけを洗っても全体を下げることは非常に難しいです。

 ですから除染を本当にやるときに、一体どれぐらいの問題がかかり、どれぐらいのコストがかかるかといことをイタイイタイ病の一例であげますと、カドミウム汚染地域、だいたい3000ヘクタールなのですが、そのうち1500ヘクタールまで現在、除染の国費が8000億円投入されています。もしこの1000倍ということになれば一体どれだけの国費が必要になるのか。

 ですから私は4つのことを緊急に提案したいと思います。
 第一に国策として、食品、土壌、水を、測定していく。日本がもっている最新鋭のイメージングなどを用いた機器を使って、半導体のイメージング化は簡単です。イメージング化して流れ作業にしていくという意味での最新鋭の機器を投入して、抜本的に改善してください。これは今の日本の科学技術でまったく可能です。

 二番目。緊急に子どもの被曝を減少させるために、新しい法律を制定してください。私の現在やっていることはすべて法律違反です。現在の障害防止法では、核施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の27のいろいろなセンターを動員して南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウム使用権限など得ていません。

 車で運搬するのも違反です。しかしお母さんや先生たちに高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて東京にもって帰ってきています。受け入れも法律違反、すべて法律違反です。このような状態を放置しているのは国会の責任であります。

 全国の国立大学のアイソトープセンターには、ゲルマニウムをはじめ最新鋭の機種を持っているところはたくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって、国民の総力をあげて子どもを守れるでしょうか。これは国会の完全なる怠慢です。

 第三番目、国策として土壌汚染を除染する技術に、民間の力を結集して下さい。これは例えば東レとかクリタだとかさまざまな化学メーカー。千代田テクノルとかアトックスというような放射線除去メーカー、竹中工務店などは、放射線の除染に対してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集してただちに現地に除染研究センターを作って、実際に何十兆円という国費をかかるのを、今のままだと利権がらみの公共事業になりかねないという危惧を私は強く持っています。

 国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。どうやって本当に除染をやるか。七万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに国会は一体何をやっているのですか。 以上です。
       (東京大学教授・東京大学アイソトープセンター長) 

注 1文中の障害防止法とは、「放射線同位元素等による放射線障害の防止に関
   する法律」のことと思われます。)

  2「岩手県藤原町」という呼称がありますが、岩手県には藤原町はなく、 岩手県宮古市藤原か、岩手県東磐井郡藤沢町の誤りではないかと思われ   
ます。
  


{「メールマガジンオルタ」9月20日より転載いたしました。ありがとうございました。)

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農水省による福島県における除染実験 第4回  プラウでの反転

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ひさしぶりの本格的大型台風でした。皆様、被害はありませんか。東北各県被災地の被害が心配です。 

被災地は大震災で地盤がもろくなったりしています。これだけの豪雨だと崩落や増水が続出していると思います。御無事をお祈りします。 

いちおう私の方は、庭の大木が一本倒れて、母屋にのしかかったくらいです。チェーンソウで切らねばなりません。しかし、嵐の真っ最中にどっしーんといった時にはさすが驚きましたね。 

生産施設に異常はなさそうなので、飯が食えればよし。大震災以降、被害の価値観閾値がやたら高くなって、めったなことでは驚かなくなりました。喜んでいいのか、どうなのか(笑)。 

さて、農水省の除染実験報告の中で私が気になっていたひとつは、私の持説ともいえる深耕ロータリーが除染実験でどのような結果になったかです。 

欄外の報告書をご覧ください。

1 実験方法・・・・3種類の深さでプラウ実験 

・反転プラウ・・・地表下30、45、60㎝を反転させた。表層にあったセシウムは、15~20㎝の地表下に入った。 

2.作業の流れ
①吸着材(バーミキュライト等)の表面散布→②プラウ耕→③踏圧・砕土・均平化→④
施肥→⑤移植

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3 実験結果

最表層では明らかに濃度が低下した。

002_4    図 本宮市における反転プラウ(30cm)耕後の放射性セシウムの深度分布


あいかわらず、わかりにくいですが、表土下5㎝に大部分蓄積されていたセシウムは表土下5㎝では劇的に除去された一方、下層の5~10㎝と、15~20㎝に移動したということのようです。

一方ロータリー耕では、15㎝下にほぼ均等に拡散・希釈されたことがわかります。

問題はここでしょうね。プラウの深さを45㎝と60㎝の二種類で実験して反転させた結果、15~20㎝下に新たなセシウム滞留層を作ってしまったわけですから、こりゃいかん。

というのは、新たなセシウム層が20㎝下に出来るだけですから、通常の農作業でロータリがけしただけで、下層からセシウムがゾロゾロ出てきて、やがて図の右のグラフのように元のように均一化してしまうというわけです。

これじゃあ、なんのために手間隙かけてプラウしたのかわからない(苦笑)。

また、あまり下に入れると、地下水への影響も出る心配を農水省はしています。

下層はとうぜんのこととして土地が痩せていますから、また新たな土づくりを第一歩から始めねばならず、そのコストと時間も馬鹿にならないでしょう。

田んぼの場合、底を抜く可能性も指摘されているようです。ありえるでしょうね。漏水すると苦労するんです。

というわけで、プラウなんかするなら、ロータリがけで同じじゃないかというやや情けない結果が出ました。

そもそもプラウ、つまり鋤(すき)は、使用法としてロータリが届かない場所にある堅い層をブチ抜くためにあります。たとえば50㎝下に、長年の石灰散布で堅い層ができて排水を妨げているのを取り除く、などというような場合です。

プラウをかけた跡はデコボコでそのままでは播種ができませんから、柔らかくして平均にならすためにロータリをかけます。

ですから、プラウ単独で使用することはまずなく、ロータリとの組み合わせが現実的です。

除染の場合、プラウ+ロータリの組み合わせでやるとすれば、プラウの深度分は希釈される道理です。

となると、とうぜん深耕ロータリより深い深度まで希釈可能です。

どうもやや実験が現実的じゃなくて、やるならプラウ+ロータリーの両方を組み合わせてやるバージョンも作ってくれたら、より参考になるデータ採りができたのになと思います。

■ 写真 今日の黎明前。おだやかな朝でした。下界はグチャグチャだけど(泣く)。わが村では橋を渡っていた大型トラックが横転しました。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

3.結果と考察の概要
1)本宮市における反転プラウ(30cm)では、放射性セシウムは深さ15cm~20cm の層
に入り、最表層では明らかに濃度は低下した(図1)。

2)ほ場の表面線量率は、不耕起:0.66 μSv/h、ロータリ耕:0.40 μSv/h、プラウ耕:
0.30 μSv/h であった。

3)プラウ耕の作業時間は0.5 時間/10a。反転耕後、無代かき田植えを実施し、現在、
順調に生育中。

4)耕深45cm の反転耕では、表土は25-40cm の土中、耕深60cm 反転耕では表土は40-60cmの土中に移動。

5)放射性物質を除去する方法ではないので、高度に汚染された農地に適用することは
リスクが大きく、比較的軽度の汚染土壌向き。

6)事前に、簡易ボーリングによる地下水位調査と土壌の放射性セシウム溶出試験を実
施し、地下水汚染リスク評価が必要。

7)反転深度が深いほど地表面の空間線量率の低下効果等は高いが、耕盤を壊す恐れがあるので、水田には30cm タイプが適する。また、減水深の大きな水田では、丁寧に代かきをするなどの漏水対策が必要。

8)下層土が痩せた土壌の場合、反転耕により痩せた下層土で作物を栽培することにな
るので、堆肥や土壌改良資材の施用による地力向上対策が必要。

図1:本宮市における反転プラウ(30cm)耕後の放射性セシウムの深度分布
4.今後の計画・課題
1)事前の地下水汚染リスク評価法を早急に確立。

2)本宮市の現地実証水田で生育中の水稲の収穫物調査等を実施。

http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf

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飯館村 菅野典雄村長インタビュー全文          命が大事だというのは正論。しかし、その犠牲になるのはここの住民なんです


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台風が来ました。こちらも昨夜来から暴風雨です。名古屋では100万人の退避勧告がでました。りぼん様、そして皆様のご無事をお祈りしております。

さて、今日は飯館村の菅野典雄村長の「東洋経済」インタビュー全文を掲載します。初めは要約しようかと思ったのですが、切るところがなくて全文をそのまま転載いたしました。

政府の、後手後手で、しかもなんのフォローもない避難勧告に対する怒りと、安直に避難できない農業の村の実情を赤裸々に語っておられます。

外から想像する避難地域と、そこに住んでいる人たちの苦しみや感情には大きな隔たりがあります。これは被災地・被爆地の末席に連なる私たちの村ですらそうです。

まず、その真実の声をしっかりと胸に刻んでから、復興計画は考えるべきである、と改めて思いました。

今、復興特別区がとりざたされています。それは復興を長期で考えるとき、大事な起爆剤となります。また、地域の力を取り出す意味でも必須な政策でしょう。

しかし、勘違いしてはいけないのは、それにはあくまでも、自分の地域をどのように作るのかという強いイメージを持った自治体という「主体」があってのことなのです。

単に「復興」にとどまらず、あるいは除染だけではなく、それすら踏み台にしてその先に行こうとする強い牽引力がいるのです。

飯館村は、大災害以前の冷害の村から、「日本でいちばん美しい村」運動の中心を担うまでに地域の花を咲かせた村として知られていました。これほど多くの地域ブランドをもつ「村」があったでしょうか。

しかしそのブランドの多くは、飯館牛のように死滅に瀕しています。だからこそ、今、悲劇を希望に変えなければなりません。

農水省除染実験ひとつにしても、菅野村長は除染実験地の提供のみならず、その先を見つめておられるのだと思います。

多くの被災自治体は、国の財政支援を望むあまり沈黙しています。もの言えば唇寒しとばかりに、県に従っていればいい、国が言ってくるのを待つ、という萎縮した気持ちが蔓延しています。

その中だからこそ、飯館村のような「もの言う」自治体が、避難地域の除染・復興特区第1号として、国の鼻面を引き回してほしいものだと願っています。ガンバレ、飯館村!

 ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

「命が大切」というのは正論。しかし、その犠牲になるのもここの住民なんです――飯舘村・菅野典雄村長

東京電力福島第一原発から北西に半径30~50キロ圏にある福島県飯舘村。原発事故からの放射能漏れが原因で、高い放射線量が検出されている(→参考記事:
原発30キロ圏外の福島県飯舘村でも、局所的に避難レベルの高濃度放射能、京大研究者ら調査)ことから、政府は同村を非難指示区域に指定、計画的な村民退避を要請した。この要請や政府の対応を、地元の首長はどのように受け止めているのか。飯舘村の菅野典雄(かんの・のりお)村長(写真左)にインタビューした。

――4月16日に福山官房副長官、17日には枝野官房長官(写真右)が飯舘村を訪れたが。

 この村を計画的避難地域にするので協力してほしいという主旨だった。それに対して、私たちはあらかじめ、要望項目を政府に上げて、よい回答をもらえることを待っていた。16日にはその説明があった。よい回答もあったが、残念ながらゼロ回答のものもあった。

 政府が言っている「全力を挙げます、責任を負います」という言葉は、いったい、どうなんでしょうか。何をどう全力でやるのか、その責任とはどういうものなのか、ということが残念ながら詰められなかった。

――政府は計画的避難を打ち出したとき、避難の受け皿など何も考えていなかったのか。

 何も考えていないですよ。いわゆる、国会議員、学者、マスコミ、国民、結局、みんな、「命が一番だよな」という問いに対して、「いや、違う」と言える人は誰もいない。そういうことに敏感に反応し、政府として何かをやらなければならない、ということになったのが計画的避難措置なのだ、と私は思っている。

 だけど、近ごろ、何人かは気づいてくれている。結局、同措置に伴って、ものすごいリスクがあることをです。しかし、「命を大切に」という話に対して、もっと別の角度からの考えが必要、という人は誰もいない。そして、移動しなくてもいい地域までどんどん移動させられる。

避難措置に伴う経済面、生活面、精神面、子どもへの影響など、大変に心配です。職場などは全部がらがらぽん。ほとんど倒産します。健康も悪化する、精神的にもおかしくなる。子供にも大きな影響を与えます。

 よく考えてください。そういうリスクと、いまうちの村にいて、たとえば放射線を相対的に多く浴びる中にいて、実際に被害が出るリスク。天と地ほどの差があるのではないですか。

 「命が大切」と言ったり書いたりしていれば、誰からも非難されない。しかし、その犠牲になるのはここの住民なんです。

 なぜ、それを言ってくれないのでしょうか。「放射線濃度の高い地域だ」「なぜ、そんなところから避難させないんだ」という。あるいは、そこまで書かなくても「大変なところだ」という話ばかりです。農業、畜産から離れるリスクに目を向けてくれる人はいるのでしょうか。

 もちろん、乳幼児、子どもや、あるいは、村の中でも放射線濃度の高い地域の人たちがそれでいい、ということではない。私たちは、それらの対策はすべてやっています。

 震災後、村にいるのは少ない人数でしたが、その後、戻ってきています。今は、およそ8割の人たちが戻ってきている。そこで、子供たちは隣の町の学校までバスで送迎するという仕組みを組み立てましたが、今回の措置によって、子どもたちはまた、転校しなくてはならない。子どもたちをこんなに犠牲にして、何千人もの人たちを路頭に迷わせる。

 これは、補償金がいくらという話ではないです。

 全村避難が長期化すれば、村は完全に終わりです。この村は20数年前まで「冷害の村」「初霜が降った」「マイナス15度になった」と、そんな悪いことでしか紹介されなかった。

そこから20数年間、村民が努力して、いまでは、ありとあらゆる人たちが「いい村だね」といってくれるようになった。みんな、こつこつと働いてきた。県外でも高い評価を得られるようなった。

 
しかし、今回の避難措置によって、それらはゼロになる。いや、マイナス何十にもなってしまう。起き上がれぬくらいのダメージを受ける。それは、他の地域に比べて、たかだか射線線濃度が少し高い、という話のなかで、基準値を20ミリシーベルトに突然引き下げて、それを超えるから避難せよ、という話によってです。それと村を守ることと、どちらが大事なのだというのでしょうか。

――政府には提言を行っていると。

 私たちは、(4月の始めから)政府に提言書を出したりして、なんとか、避難措置は避けようと一生懸命にやってきた。しかし、やはり、東京ではわからないんでしょうか。私たちも、一生懸命にやってもらっていることはわかるんですけど、その考え方があまりにも一辺倒ですし、もっと総合的に、国民の心として暮らしをきちんとみたうえで考えてほしかった。

――福山官房副長官、枝野官房長官が来村する以前に、政府関係者がこちらの要望をきちんとヒアリングしたことはあったのですか。

 それはゼロです。こちらは提言、要望を出しましたけどね。

――一方通行ということ?

 そうです。枝野幹事長の記者会見の話が、計画的避難という危ないほうに向いてきたな、とドキドキしながらも、そうならないようにと、いろいろなことをやってきたのですけどね。 「命が大事」ということは誰だってわかっている。私もそう思っています。当たり前の話です。しかし、それだけではないでしょう、とちょっとでも異を唱える人は誰もいなかった。責められたくないからでしょう。
 
 私は責められています。毎日のように「殺人者」などと書かれたメールがいっぱいくる。これだけ騒がれているにもかかわらず、何ら避難措置などを発令していないから。

 しかし、たとえば、他の自治体では、どんどん措置を発令して、その結果として、いま、住民の居住地などを把握することが困難化し、にっちもさっちもいなかなくなっているところもある。

 昨日も、福山官房副長官に「非難命令に従わなければ、罰則規制があるか、とたずねたら、「罰則規定はありません」ということだった。そうなんでしょうね。

 当初、累積放射線量は年間100ミリシーベルトまでは大丈夫ということだった。ましてや、政府は計画的避難地域の導入に合わせて、この地域の累積放射線量の基準値を事故発生から1年間で50ミリシーベルトから20ミリシーベルトに下げました。この措置は、この村を避難地域に入れたいためだったとしか思えない。「1年間で20ミリシーベルトを超えるから、この村から出なさい」という理屈を作るため、ということです。そうなったのは、みなさんがたが政府を責めているからでもある。


 みなさんの声が、早く住民を地元に戻すべきである、というように変わるようにと信じています。

――今後の対応は?

 当面は、避難先を探して、できるだけ濃度の高いところにいる住民、子どもがいる家庭を率先して他の地域に避難させていく。村を離れれば仕事を失うが、なんとも仕方がない。そうでしょ。――政府にはどのような提言をしてきたのか。

 いま、基準値20ミリシーベルトという水準を維持する方向で、この地域にある程度の村の部分を置きながら、安心なところに住んで、村に通える、という方法はないかと提言しているんです。たとえば、工場のなかは0.2ミリシーベルトです。避難ということでも、そういう方法はあったのではないですか。

 また、この村の土壌が汚染されている、ということがずっと話題になっています。であれば、土壌改良の実験をこの村に入れてみなさいと。そのために、飯舘村をそのための国家プロジェクトの地域に指定せよ、と言っているのです。避難指定するのではなくて、そこに住みながら――もちろん、出る人もいますよ――土壌改良するための大型プロジェクトを入れてみろと。原発事故で危ないから、ただ逃げろということだけであれば、愚策になってしまう。

 いずれ、原発事故の影響を受けた市町村では必ず、騒ぎになります。みんな、不安なわけですから。とてもこんなところにいられない、とかね。、そうならないためにも、この村を使ったらどうだ、と提言しました。ところが、「実験」といったら、あるところから、「住民をモルモットにするのか」と。それはまったく意味が違う。

 そういう提言をどんどんしているのだけど、政府はまったく聞く耳を持たないようです。実証実験するのが日本として大事であるにもかかわらず、です。「原発はダメだ」と否定して、生活ができるわけではないのに。
(浪川 攻 =東洋経済オンライン) 
http://lib.toyokeizai.net/business/interview/detail/AC/538c40ceaf8d80e1d6d39c41de9c208a/page/1/

■写真 前にアップしたコスモスの連作(てなもんか)です。

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「汚染地域」にも色々あり、「除染」方法はそのレベルに合わせないとダメだ

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今まで、いろいろな場所で言ってきた、私のセシウム除染についての考え方をまとめてみたいと思います。 

まず前提として、放射線量によって土地を切り分ける必要があります。高線量地域と中線量地域、そして低線量地域です。 

なんだお前は、線量が高い地域を差別的に見るのか、という声が必ず来ますが、そうではありません。 

一括りで「被曝地域」で一括すると、見えるはずの課題が見えにくくなってしまうからです。 

たとえば、今農水省が除染実験をしている飯館村には2万5千bqを超える地点があります。 

一方、私たち茨城においては1000bqを超える地点というのはほとんどなく、おおむね100~500bq以下に抑えられています。 

この両者の地域を、一括して「被爆地」という分かりやすいが乱暴なカテゴリーに放り込んで、一律の除染方法をしてもしかたがないのは分かりますね。 

線量によって除染方法は変えていかねばならず、飯館でこうだったから、逆に茨城でこうだったから、と言って、それはあくまでその地域の知見・経験であって、必ずしもそれは他地域でのモデルになるわけではないのです。 

ところで、いちおうの土壌放射線量レベル区分はこうです。あくまでも暫定的なもので、変化する可能性はあります。

・レベル1・・・・0~200bq未満
・レベル2・・・・200以上~500未満
・レベル3・・・・500以上~1000未満
・レベル4・・・・1000以上
 

更に高線量を想定するとなると、あくまでも私見ですが、こうなるかもしれません。 

・レベル5・・・1000以上~5000未満
・レベル6・・・5000以上~2万5000未満
・レベル7・・・2万5000以上~5万未満
・レベル8・・・5万以上
 

私はレベル1~かちレベル2までていどは低線量地域と考えています。 

そしてレベル3からレベル4(あるいは5?)までは中線量地域、それ以上は高線量地域ととりあえず考えています。 

これも閾値ではないのですから、白黒二分法はなくなだらかなグラデーションだと思って下さい。そう考えないと、1001bqは高線量地域なのかというバカなことになりかねません。あくまで目安です。 

さて、こうして農水省の除染実験報告書を読むと、除染方法はほんとうに限られているのだなと分かります。
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf 

要するに基本は、
①削り取る
②希釈して封じ込める
③除染植物を植える

といった3種類しかないようなのです。 

今後、おそらく国は除染について多額の研究費を投入するでしょうから(←しなかったらバカです)、さまざまな新兵器や除染資材がでてくる可能性はあります。

しかし、いずれにしてもこの3種類の方法のバリエーションか、その組み合わせではないでしょうか。

線量ごとに見ていきます。 

■低線量地域や中線量地域は、どうにでもなるというと語弊がありますが、いくつかの方法とその組み合わせがあります。 

①深耕ロータリーによる希釈
②ゼオライトなどのコロイド(粘土)資材の投入によるセシウム封じ込め
③移行係数の少ない作物を中心にした作付け体系への変更
 

低-中線量地域の最大の特徴は、「農作業の一環としての除染」が可能なことです。 

こと改めて、「さぁ除染をやるゾ」とハチマキを締めなくても、日々まっとうな農業をしていれば間違いなく線量は低下していきます。 

ただし、このような除染活動をしても、消費者が納得する土壌汚染レベルである0~2桁台まで下げるのは容易なことではないでしょう。 

それまで私たちは、長期間に渡って根強い反発と闘っていかねばなりません。同時に、消費者に根気よく自分の土地の状況と、今なにを農業者が頑張っているのかをていねいに説明していく必要があるでしょう。

私は低-中線量地域においては、この消費者への説明を真剣に考えるべき時期にとうに入っていると思っています。

いつまでもおざなりに、「暫定規制値より低い」とか、「一回のレントゲン検査より被曝線量が少ない」などというトンチンカンなことを言っている時期ではありません。 

■レベル7以上(2万5千bq以上)の高線量地域は、選択肢が限られています。

①表土削り取り法。表土4㎝を削り取り撤去する。
②プラウ(鋤)による反転法。後日詳細をアップしますが、農水省は高線量地域には不適と判断。
③デンマークの表層埋没耕耘法。これも後日詳細をレポートしますが、表層5㎝をはぎ取って50㎝に埋没させ、5~50㎝層をそのまま表土として乗せるという方法。(「現代農業」8月号による)

このように「除染」と一口に言っても、どの程度のレベルの放射線量をどこまで下げるのかという目標設定が必要です。

消費者のパニックが農業者に伝染して、2桁台の汚染でプラウをしてしまったり、ヒマワリを植えたりしてもあまり意味がありません。

まずは、「自分の土地の放射線量の状況を知ること」、常識的ですがこれに尽きます。

■私の除染についての考えは、ちょっと古いですがこちらをご覧ください。
「続・セシウム除染Q&A1回~3回」 8月18日~21日
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-02b3.html  

■写真 ネコジャラシの上にバッタ。居心地が悪くないかね。

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農水省による飯館村の除染実験 第3回 なんと、ヒマワリの放射能移行係数はレタスと一緒だった!

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今回の実験で、なるほどというか、ある意味意外という結果が出たのは植物による除染の失敗でした。
 

植物にセシウムを吸わせるという除染方法は、チェルノブイリで大々的にされた経験もあって、いわば放射能除染のシンボルのように思われていた時期もありました。 

私自身も5月頃まではそう考えていました。なんというのか景観的にもいいのですよね。良質の国産食用油が絞れるのも魅力でした。 

防護衣を着てマスクを付けた白づくめの怪人たちが、なにやらガーガーと大型機械で土を削ったりしているのより、おおわが村はヒマワリと菜種で溢れんばかりのほうが気持ちがいいに決まっています。 

私自身は自分の農場で2007年と2008年の2回菜種の栽培実験をしたことがあります。上の写真がそうです。1h弱の面積を播種しました。 

この実験を経て、大面積での栽培の良いところと悪いところは掴めた気がします。ご報告は、長くなりそうなので、別途にすることにしましょう。 

当時は放射能除染など念頭の片隅にもありませんでした。3月12日以降の中でがぜん注目を浴びたのがこのヒマワリと菜種であったのとはたしかなことでした。 

私たち農家としても、菜種は栽培が長期間断絶したとはいえ、ジイ様の世代まではどの地域でも作られていた作物であり、栽培方法や輪作体系の組み立てなどのおおよそ見当がついたことにもありました。 

また、栽培自体に手間がかからず、収穫もコンバインのスクリューコンベアからタンクに入るメッシュを交換するだけで稲作機械が使えるというのも魅力でした。

とうぜんのこととして、良質の食用油が絞れるのは魅力です。

仮に除染に使用したとしても、種子への移行率が低いのは知られた知見でしたし(汚染濃度にもよりますが)、食用にならずとも、イザという場合はバイオ燃料にもなるという切り換えもポイントが上がった理由でした。 

さて、この思惑がはずれたのは、原子力情報資料室の講演であっさりと、「いや~、菜種は思ったより放射能を吸わないんですよね。理由はわからないのですが」ということを聞いた時からです。 

このひまわりなどの高吸収作物が有効ではないというのが、今回の飯館村の農水省実験で改めても証明されてしまいました。
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf 

なぜか菜種はこの実験には入っていませんので、類推するしかありませんが、結果は実用性なしと判定されてしまいました。 

■除染実験概要 

●飯舘村現地 ・・・・土壌/褐色森林土
         ・・・・気温20.0℃
         ・・・・播種日5 月27 日
         ・・・・開花日 8 月5 日
 *
他二カ所

●結果と考察の概要 

「1)飯舘村現地圃場のヒマワリについて、開花時(8 月5 日)の放射性セシウム濃度は硫安+無カリ区において茎葉で52 Bq/kg、根で148 Bq/kg であった(表参照)。この場合の、土壌(7,715 Bq/kg)から茎葉への移行率は0.00674 であった。」 

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「2) 飯舘村現地圃場の土壌の放射性セシウムは、平方メートル当たり、1,067,820 Bqと計算される。 

一方、ヒマワリの収量(新鮮重)が約10 kg/m2、放射性セシウム濃度が52 Bq/kg とすると、平方メートルあたり520 Bq がヒマワリに吸収された計算になり、平方メートル当たりの土壌に含まれる放射性セシウム(1,067,820 Bq)の約2,000 分の1 にあたる。このことから、ヒマワリによる除染効果は小さいと考えられる。」 

ちょっとショックですね。ひまわりの土壌からの移行係数はなんとたった0.00674です! 

この数値は、レタスの0.0067と同格であり、さつまいもの0.033とは比較になりません。 

ならば、ひまわりのような大きく成長して、扱いと処分に困るものではなくさつまいもを植えたほうがはるかに効率的に放射能を吸ってくれれることになってしまいます。

いや、農業者としてはやや自虐的な比喩ですが、いっそうコメにしたら農水省発表の移行係数は0.1です!コメはひまわりの1.5倍も放射能を吸い込むのですから!

このコメの移行係数は大きく見すぎだとしても、(*異説として0.0026あり)田んぼになにも除染作物など植えず、そのまま稲を植えていたらよかったことになります。

現実にこの選択肢はありえると思います。NPO法人・民間稲作研究所の稲葉光I國氏は事故当初からそう提唱されていましたが、それが裏付けられた格好になりました。

この結果を見る限り、そのまま稲を植えて食用にするかどうかの最終判断は測定してから決めてもよかったということになります。

しかし、おそらく、それでなくとも風評被害の嵐の真っ只中にあった福島県としては、除染にコメを使うこと自体で福島米のブランド価値が下がると考えたのかもしれません。

いずれにせよ、「除染作物」としては、巷で言われたようなひまわりは失格であり、コメやサツマイモなどの通常作物のほうが優秀だったという皮肉な結果に終わったようです。

特に、今後の除染植物を考える上で重要なことは、「農業として除染できる作物」です。土を剥ぐという方法は農業生産になにひとつ寄与しません。奪うだけです。

高線量地域はいたしかたがないとして、5000bqていどならコメを作って行く中で、耕耘し、拡散させ、作物に吸着させて、危険な部分はなにかしらの処分をし、過食部分は測定した後に利用判定していくのが現実的ではないでしょうか。

食用にならなければ、アルコールにしてバイエタにもなります。除染作物としてのコメが改めて注目を浴びそうです。

最後にもう一点。農水省は今後の除染研究の中で、除染の作付け体系を線量ごとに指標を作ってほしいのです。

たとえば、コメあるいはサツマイモから始まって豆類に繋げ、麦か菜種を一作はさむといったような浄化と生産が遊離しないような作付け体系を実証試験し、どれだけ除染効果があったのか、どれだけ農業生産があがったのかも調査してほしいと思います。

農業をしながら除染もする、これが大事です。

■写真 2007年4月下旬のわが農場の菜種栽培風景。この世のものとも思えない美しさです。ミツバチの羽音とかぐわしい香り。翌年はミツバチも組み合わせました。


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農水省による飯館村の除染実験 第2回 実験から見えてきたセシウムの性格

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怖い、怖いと言っているだけではセシウムの居座りを許してしまいます。 

アダムとイブが知恵の実を盗った時に原罪が生まれ、放射能もまた私たち人類が背負った原罪なのです・・・なんて哲学してもセシウムは消えてくれません。 

私たち農業者にとって、愚直にこの悪魔の物質に立ち向かっていくしか手はないのです。 

と、自らにハッパを入れたところで、さて今までの私たちが集めた自前のデータではおおよそセシウムについてはこんな程度は分かっていました。 

なお、私のセシウム除去についての考えはこちらをご覧下さい。
「続・セシウム除染Q&A1回~3回」 8月18日~21日

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-02b3.html  

➊セシウムの浸透層はおおよそ地表から5㎝ていどまでであって、深く浸透するものではないが、土質にも左右される。 

➋水溶性ではない。(当初は水溶性という説もあり、私自身迷っていました。) 

➌粘土と結着する。 

農水省の飯館村などの除染実験は、遅すぎるじゃないかこのグズとか言いたいことは山ほどありますが、今まで私たち農業者が「被爆地」現場での乏しいデータで経験的に考えてきたことを裏付けるものにもなりました。http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf

そのひとつがセシウムの浸透特性についての認識です。 

この実験報告書はこのように明解に言い切っています。 

■1) 「放射性セシウム(134Cs、137Cs の合計)は、耕起していない農地土壌の表面から2.5㎝の深さに95%が存在 する。

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 ここが、第1のポイントです。今まで地表面から何㎝まで沈下しているのかが定かではありませんでした。 

私自身も、安物の計測器で地表5㎝と10㎝を計ってみての比較をしたのですが、明確な答えはえられていませんでした。 

地表面からの浸透の深さを知りたいのは、削り取るにしても、深耕ロータリーをかけるにしても、その除去する深さがわからないことには困ってしまいます。 

そこで、原子力資料情報室(CNIC)の資料を基にして、50㎝まで反転すれば大丈夫だろうという認識でした。 

この実験レポートで2.5㎝まで95%存在するという結果が分かりました。地表面からごく浅い深さを反転させればいいということが再認識されました。 

ロータリーの深さ50㎝は、清浄層との撹拌という深耕法ならば、間違いではありませんが、削り取りならば3㎝~5㎝で充分だと思われます。 

ちなみに、昨日紹介した水田の削り取り実験では、4㎝と設定しています。 

■2) 「放射性セシウムは農地土壌中の粘土粒子等と強く結合しており、容易に水に溶出しない。一方、ため池や用水等、水の汚染は軽微」である。(下図参照)。 

セシウムが水溶性かどうかは、農業用水や山林から出てくる水、あるいは溜め池や川、湖の汚染の問題とも絡まって結論が得られていませんでした。 

放射性物質は、田畑にも、民家の庭や道路、山林にも等しく降下しました。しかし、その場所によってかなり「その後」が違うのがわかってきました。

・民家の庭・・・芝や立ち木(特に根元部分)、雨樋下などに高線量の可能性がある。 

・道路・・・・・・・舗装道路は速やかに洗い流されるが、路側や下水溝は放射性物質が集まりやすい。 

・校庭、公園・・芝や立ち木がある場合はそこに溜まる傾向があるが、土の場合は田畑と同じ。 

・田畑・・・・・・・土質によっても違うが、一般的に表土下2~5㎝以内に溜まる。 

・山林・・・・・・・樹の根周辺や枯れ葉に溜まる。高線量の可能性がある。
*「文部科学省による放射性物質の分布状況等に関する調査研究(森林内における放射性物質の移行調査)の結果について」http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/5600_091412.pdf

・農業用水、溜め池、川、湖などの水系・・・不明。 

水系のみが分からなかったのです(←環境省なにしてんだ)。 

福島県の独自の水系調査ではすべて検出限界以下でしたが、例によって「東日本はおしまい」派の皆さんは、そんなわけはない当事者の測定なんか信じられるか、コメを売りたいために出ない所を計っているんだ、と言っていました。 

私も、3月12日の水素爆発後の北西への風が水源地帯を覆っていたために、おそらくは水源汚染もありえる覚悟をしていました。 

下の計測データを見れば、その心配は氷解します。 

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 飯館村での計測でもすべてND(検出限界以下)です。よかった・・・。ほんとうによかった。これで復興が近づきました。 

水が汚染されていると、山林という高線量地帯からのセシウムの流出を考えなければならなくなり、農用水-田んぼ-ため池-小川-河川-湖などの水系全体の浄化が必要となってくるからです。 

第一、大本の水源から止めどなく放射能が流れて来られると、実際に手の打ちようがないのです。 

■3) 「放射性セシウムは粘土やシルトなど細かい土粒子に多く結合している。」
*シルト(silt)とは砂より小さく粘土より粗い砕屑物のこと。

これは今までの私たちの経験と知見を裏付ける結果でした。

002

今まで畑や田んぼに長年かけて作ってきた団粒構造が、セシウム除去にとっても有効であることが分かりました。

「団粒構造」とは、一般には聞き慣れない言葉ですが、土の三相がほどよくからみあった地質のことです。

土の三相とは、水の通り道である液相、空気をよく通す気相、そして良質な粘土による固相が、おおよそ4・:3・:3となっている土のことです。

ほどよく排水と保水をし、常に新鮮な空気を取り入れ、しっかりと結びついた粘土が作物に栄養を与えます。

このような土地は、いわゆるフカフカの土地です。ほんとうに軽く畑で飛ぶとフカッと大地が私たちを受け止めてくれます。

水も空気もよく入っていますから、微生物も多く住み着き、いっそう豊かな土にしていってくれています。

この微生物が大活躍する腐植という現象も、おそらくはセシウム封じ込めに大きくかかわっているのではないかと思われていますが、今の段階では実証データがありません。

*腐植とは、微生物やミミズなど大小様々な土壌生物の働きによって落葉が分解・発酵されて土状になる現象。豊かな微生物相を生み、よい土を作る。

私たちはこれをいわゆる「土作り」として長年行ってきましたが、この効果はなんと放射能対策においても有効なのではないかということが実証されつつあります。

これは単にゼオライトを沢山入れればいいのだ、という近視眼的な考えではなくく、もう一回土作りの原点に立ち返って放射能対策を考え直すのも意義あることだと思います。

■写真コスモスが咲くと、まだ暑いのに気分だけは秋。

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農水省による飯館村の放射能除染実験 第1回   削土法について

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農水省の飯館村での実験概要がわかってきました。http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf

まずは、農水省が中心的除染技術と位置づけた「削り取り」の部分を紹介します。

なるほどと思わせるのは、最初の工程でいきなり表土の削り取りをするのではなく、「砕土」を入れていることです。正直これは思いつきませんでした。

おそらくこの砕土作業で、表土下5㎝ていどに固着しているセシウムを均一化し、柔らかくして、排土しやすくすることが目的なようです。

しかし、現場で農業者が実施する場合、一工程でも省きたいのでこの作業を省くことは可能でしょう。均一に排土できないかもしれませんが、私なら省きたいですね。

「削り取り」はトラクターのブレード(排土板)を使ったようです。合理的選択です。小規模な田畑が多い日本ではスクレイパーは取り回しが大変だといえます。

「排土」はこれもトラクターのローダーを使ったようです。まぁ、私でもそうします。これも使用器材を最小限にする合理的判断です。

ただ、排土した後にダンプ(写真で見ると普通の2tダンプにアオリを付けたもの)でほ場から出してその後に、土嚢に詰め替えたようです。

ご苦労さん。私ならこんな人力の塊など絶対にしない。

結局実験では、140~175分かかっています。約3時間というところでしょうか。10a、1反で3時間ですか・・・。

農水省にすれば、除染対象は8300h、つまり83000aですから、約25万時間かかることになります。つまり、1万日、約27年かかることになります。

実際は同時に数カ所でガーッとやるのでしょうが、これに現実には生い茂って耕作放棄地になった田畑をの草を刈る作業が加わります。

たぶん農業者がやるとなると、あまり斜度がなければトラクターにディスクモアを付けてやると思います。10aくらいなら、ものの15分でしょうが、問題はこの放射能をたっぷり含んだ雑草をどうするかです。

モアをかけると、雑草は粉砕された状態になりますから、一緒に砕土して撹拌してしまうのが簡単かもしれません。

頭が硬そうな農水省だと、粉砕された雑草も持ち出せなどと指導しかねませんが、そんなことをしたら全体の作業量と持ち出し汚染物質が倍になりますから、やめましょうね、そんな無駄なこと。

全体的にみると、思ったより現実的にやっていました。(独)農研機構中央農業総合研究センターさんのこの姿勢は評価できます。

ただ、やってみて分かったのは、10aあたり3時間、2名かかるとして、想定の5000bq以上の土地8300hを除染するには、なんと27年、16万6千人の人員がかかるという壮大なことになることです。

27年と言っても夜はできないでしょうから、実際はこの倍の54年ということですが、いくらなんでもそんなバカなことはないとは思いますが。

まぁいずれにせよ5000bq以上を削り取るだけでこれだけかかるわけで、これにマグネシウム凝固剤を撒いたり、削った後の客土まで入れると、この倍の手間とコストがかかると思われます。

私は排土とけずり取りは2万bq以上の高線量地域にすべきだと思います。あまりにも非合理的です。これでは避難地域だけの農地除染だけで数十年かかってしまいます。

しかし、東電も罪作りなことをしたものです。

             ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■表土削り取り

1.概要
農地に降下した放射性物質は、土壌の表層に集中して存在している。従って放射性物質を含む表層の土壌を除去することで、汚染された農地を利用可能な状態に回復できると考えられる。そこで、物理的に農地の表土を除去する技術を開発することを目的として試験を行った。

2.作業の流れ
砕土→削り取り→土壌の搬出・土のう詰めの作業手順で行う。

1)砕 土:農業用トラクタにバーチカルハローを取り付け、ほ場表面を浅く(4~5cm)砕土し、膨軟にする。

2)削り取り:農業用トラクタにリアブレード(排土板)を付け替え、砕いた表土を圃場の短辺方向に5~10m 毎に削り取り、集積する。

3)排土・土のう詰め:農業用トラクタのフロントローダで、集積した表土をダンプトラックに積み込み、ほ場外へ搬出し、バックホー等で土のう袋に詰める。

3.結果と考察の概要(表1、2参照)
1)水田の表土を約4cm(10a あたり約40m3)削り取ることにより、土壌の放射性セシウム濃度は10,370 Bq/kg から2,599 Bq/kg に低下した。除去の前後で土壌表面の空間線量率は7.14 μSv/h から3.39 μSv/h に低下した。削り取りまでの作業時間は10a あたり55~70 分かかった。

2)削り取った表層土壌の排出と土のう詰めに最も時間を要した。特に排出土の運搬を効率的に行う工夫が必要である。

3)所要作業時間は、ほ場条件、オペレータの熟練度、排出運搬距離などにより異なる。

4)作業により発生する土ほこりや粉塵による作業者の内部被ばくを防止する措置を講ずる必要がある。

5)放射線量の高い農地では、排土の放射性物質濃度が10 万Bq/kg を超えないよう、厚めに削り取ることを検討する必要がある。

■土壌中放射性セシウムの値(単位Bq/kg、表層15cm)
・削り取り前 ・・・ 10,370 bq 
・削り取り後・・・・2,599
・排土・・・・・・・・・
44,253
・低減率・・・・・・・75%

表2:作業別所要時間(10a 当たり)

・砕土 ・・・15~20 分 
作業者・・・ 1名
必要器材 ・・・トラクタ、バーチカルハロー

・削り取り ・・・40~50 分
作業者・・・1名
必要器材 トラクタ、リアブレード

・集積・排土・・・ 70~85 分
作業者・・・2名
必要器材・・・トラクタ、フロントローダ

・袋詰め・・・ 15~20 分
作業者・・・2(バックホー1、
補助者1
バックホー、大型土のう、土のうスタンド作業

・所要時間計・・・140~175分

※ほ場に雑草がある場合に行う除草作業は含まない。

002

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農水省「除染方針」は、とてつもない事故処理利権を農水省にもたらすだろう

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9月14日、農水省が待ちに待った農地除染の農水省方針を出してきました。いや、遅いよ、農水省さん。もう半年たっているんですから。 

こういう時期に出してきたというのは、世間常識に照らして言えば、稲刈りが終わった頃を見計らって、ということです。つまり、米という農水省の最大の省益がひととおり終了してから、おもむろに「はい、除染しましょうね」ということになります。 

この農水省の除染方針なるものは、まったく新味がありません。このていどの技術上の知見なら、私たちはとっくに民間レベルで知っていました。

ヒマワリが日本の風土では吸収率が低いのは5月には知られていたことですし、牧草をはがして客土したら97%落ちたなんて、4月頃聞いていたらタメになったんですが。

私の除染に対しての考えは、「続・セシウム除染Q&A1回~3回」をお読みいただくようにお勧めします。8月18日~21日です。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-02b3.html
 

さて、優秀な農業技術官僚と研究施設や試験場を各地に持つ農水省が、半年もかかってこのていどの知見しか農業者に与えられないとなると、その存在理由を問われるでしょう。 

私は故意に除染方針を提出することを遅らせた、いやより正確に言えば、逆にこの水稲生産のサイクルにゴールを決めて農水省は動いたと思っています。 

農水省にとってコメは、ひとつの作物の域を超えた巨大な「聖域」です。それを護持するために減反やMA米などのという「必要悪」が存在しています。 

そして、農水省の末端にいたるまでの膨大な官僚機構もまた、この減反政策の護持のためにあるといったら言い過ぎでしょうか。 

とまれ、農水省は農地の除染という緊急の課題を、被曝現地に生きる人々の目線では考えていませんでした。 

霞が関一丁目一番地が考えていたのは、自分の耕地の汚染状況を知る由もなく、日々放射性物質を含んだ土埃を吸いながらながら耕やす私たち農民でなかったことだけはたしかです。

まして消費者など眼中にはありません。消費者は、怯えさせない程度の情報を出せばいいだけです。怯えさせるとコメを買わなくなっては困るからです。 

広大な面積をほんのお印だけ計測して、それで検出されなければ上等。 

よしんば出ても、そもそもの土壌やコメの暫定規制値はバカ高いですから、「規制値以下で安全」。 

民には知らしむべからず、よらしむべし。これが農水省などの政府の一貫した放射能事故対策のベースにある考え方です。 

さて、内容的なことにも触れておきましょう。新味はゼロですが、やや驚いたのは、稲の作付け基準である土壌放射線量の5000bqを超える土地に関しては3~4㎝を排土して、新しい土と入れ換える客土としたことです。 

この方法によると、日本農業新聞(9月15日・欄外参照))の計算ではこうです。 

・表土1㎝を削ると出る土の量・・・・・・・・・・・・・・・100t
・想定される福島県内の規制値以上の耕地・・・・8300h
・想定される処理し保管すべき土壌の量・・・・・・・300万t
 

いったいどれだけの大型スクレイパーとダンプがいるのかしら?考えるだけバカバカしいから止めました。 

おそらく今の土地改良事業(*水田の整理統合、近代化のための整備事業)の何年分をいっぺんにブチ込む規模の農業事業となること必至です。 農業事業というより、もはや超大型土木事業です。

気が遠くなるような巨額な税金を投入して、農水省の放射能事故処理利権が確定するというわけです。さすがころんでもただ起きない農水省です。 

「東北復興」という魔法の呪文で、巨額の金を動かす鍵を農水省は手に入れようとしています。

ところで、その捨て場ですか・・・(ため息)。 

よもや安直に、避難地域になどと言わんで下さいよ。除染はおろか、実地計測ひとつしていない地域に、いきなり他地域の汚染土壌を持って来たら、避難民に対して「もうお前ら、帰って来るな」といわんばかりですから。 

チェルノブイリのように、周囲になにもない広大な荒野にポツンと処理施設を作って、一区画が終わればコンクリートを被せてしまうか、掘って処分するかでしょうが、そんな土地はがあるんでしょうかね、この狭い日本に。

いずれにせよ他県に持ち出すことは事実上不可能な以上、どうする気でしょうか。 

日本海溝ですか。環太平洋諸国を全部敵にする気で、しかも膨大な賠償金を長期間支払うだけの財政の余裕があれば可能でしょう。 

あえて言えば、福島第1原発の構内ですが、あそこは原発が6基もありますから、そんな余地があるかです。 

これまた、考えるだけバカバカしいから止めました。きっと霞が関か、永田町にでも持って来るんでしょう。後は農水大臣、副大臣(前職も含む)が、責任をもって自分の選挙区を説得するのですね。

■追記 東大の森口祐一教授による福島県除染の試算が公表されています。1億立法メートルだそうです。詳細は明日いたします。

■写真 稲刈りがそろそろ峠を超えました。あと半月にすべての田んぼが空になります。

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        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

                 日本農業新聞9月15日

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福島県から計測-除染作戦を開始せよ! これ以上避難民の苦痛を長びかせてはならない

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昨日、福島からのコメントをいただきました。ありがとうございます。 

野田首相が所信表明演説で引用した福島の子供たちの詩につながるものでした。 

福島で生まれ、福島で生き、福島で子供を生み、福島で育てる、福島で孫をみる、福島で土に還える・・・そんな人として一番根っこにあることを大事に思います。

今、必要なことは、避難民をこれ以上出さないこと、そして安心して住める福島を取り戻すことです。

そしてそのために除染と、それに先立つ測定を徹底的に行うことです。 

しかし、事故から半年たつのに未だ国家を上げた除染はされていません。土壌汚染は解決されるどころか、避難地域は放射性廃棄物の中間処理施設を作る、20年は住めないというような話しか聞こえてきません。 

これで絶望しない福島の人がいるでしょうか。涙しない福島の人がいるのでしょうか。 

放射能汚染は、いかなる汚染とも違い、極めて長期に存在し続けます。放射性物質は半減期まで減数しつつも消滅することはないのです。 

通常のウイルス伝染病が、汚染地域の個体をすべて殺し尽くしてしまえば宿主を失い、自らも生きることができずに消滅に向かうのと対象的です。

またウイルスには、生物内に耐性が備わります。それに対して放射能は、消化器系に排出を促す力は持つといいますが、人類には基本的に放射能耐性はないと考えるべきでしょう。(ただし、放射能によるDNA損傷に関しては免疫力があると言われています。) 

このように考えると、放射能ほど手ごわい人類の敵は存在しないのかもしれません。 

今年5月18日から6月3日まで、東北、関東、四国で母親の母乳の放射能測定がされました。 

この検査結果を福島の母親は怯えながら待ったはずです。結果は、福島在住の母親から1ℓあたり1.9~13.1bq(ベクレル)のセシウムが検出されました。 

この数値は特に健康に直結するものではないとされましたが、東京大学児玉龍彦教授によれば、チェルノブイリでは同じく母親の尿中1ℓに対して6bqが15年間に渡って検出され、増殖性膀胱炎という前癌症状になったこともあるそうです。(以下、児玉先生については月刊「文芸春秋」10月号による) 

つまり、このまま除染をせずに福島を現状のまま放置し続ければ、チェリノブイリで起きた悲劇が繰り返される可能性がなしといえないのです。 

前政権は、このような重大な福島の状況を放置しました。そしてその目くらましのように再生エネルギーを突然口にし始めます。 

今、目の前で火がぼんぼんと燃えているその時に、その火を消さずに「火災に強い都市計画を考えよう」と言っているようなものです。 

児玉教授は、政府に対して一刻も早く除染をするように、7月27日の衆院厚生労働委員会で求めた放射線の専門医です。 

先生は、対策を建てるに当たって測定を全面的にするべきだと言います。例えば、農産物、あるいは土壌です。

そして測定すべき放射性物質は、もっとも多いセシウム134と137の2種類に限定すべきだとおっしゃっています。

専門家の指導の下に、妊婦や子供が日常的に生活する保育園、幼稚園、学校、病院から開始し、こう線量のホットスポットを発見し、それを細かく丁寧に除染すべきだとしています。

児玉先生は既に、南相馬市の幼稚園や学校で手弁当で除染作業を地元の人たちと協力して行っています。

先生はこのような子供が多く集まる施設での除染は、専門家が指導しないと、除染時にでる埃を吸い込んでしまって内部被曝の原因になると警告しています。

このような「緊急敵除染」をする行政の「コールセンター」と「すぐやる課」を作り、直ちに線量を計って、除染するシステム作りを先生は唱えています。

このような測定-除染体制作りを地方自治体が作ることに、国が全面支援をせねばなりません。

先生は、いちばんやってはいけないこととして、「危険/安全」という二分法にたたないことを提唱しています。

「ここは原発から20キロだから危険、立ち入らない」、「ここは60キロだから安全というふうに予見で考えないことです。

この二分法を取ると、避難区域はすべて強制収容して、国家が借り上げて更地にしてしまえ、という乱暴なことになりかねません。実際そう言う人もいます。

これでは避難している人々の苦痛や怒りを増すだけでしょう。こんな心ないことをしてはいけません。

一方反対に、ひとつの地域をざっと計って、「ここは安全だから除染する必要はない」として放置することです。

これは私の住む地域での農地の測定結果を見ても分かります。

ひとつの地域は、山ひとつ隔てて線量が違ったり、400m離れただけで線量が3倍になることもよくあるからです。

それは、複雑な日本の地形が原因です。フォールアウト(放射性降下)時の風や雨、霧の状態で線量が変化し、しかもその後の農作業などの人間活動によってまた線量が変化するからです。

この福島県と茨城県の全域、千葉県、東京東部、栃木県、群馬県の一部の除染作業は、かつて日本人が経験したことのない大がかりな作業となります。

そのために、それを行うための国家レベルの「除染対策中央本部」が必要です。ここで包括的な粗測定計画-除染計画-除染後の処分などに対する計画をたてなければなりません。

なぜこのようなものがいるのかと言えば、現状では保育園の除染は厚労省、幼稚園は文科省、道路は国交省、農地は農水省・・・というアホくさい縄張りがあってなにひとつ進まないからです。

地元自治体や各省の壁を乗り越えて、それを統合して調整し、測定-除染作戦を大胆に進めねばなりません。

これは待ったなしです。私たちは半年間も無駄にしたのですから。これ以上避難している福島の人々の苦しみを長引かせてはなりません。

福島を救え!

■写真 本日の朝焼け。大変な霧でした。クモの巣に朝露が光っていました。クリックして大きくして見てください。

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暫定規制値の「初めのボタンの掛け違い」

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暫定規制値というしろものについて考えています。

はっきり言って、私にとって今は迷惑な存在ですね。あくまで私個人ですから、多くの農家は違うかもしれません。

じゃあ、少し限定しましょうか。野菜にとってはです。畜産は牛肉の問題と藁、糞尿、堆肥の問題を抱えてしまいましたから、もっと複雑でしょう。

米は「ただ今現在奮闘中」という鉄火場ですので、ここで暫定規制値を変えられたらたまらないぜ、という気分はあるでしょう。

さて、ではなぜ私にとって迷惑かと言えば、答は簡単。緩いからです。緩すぎる規制値は消費者に誤解を与え続けています。

「農家は安全だというが、それは規制値ギリギリでも安全だって意味だろう」とか、「ヨーロッパはもっと厳しいゾ」とか、ですね。

そもそも、この暫定規制値は出し方からして失敗していました。初めのボタンを掛け違っていたのです。

今度事実上の原発担当大臣になった枝野さんが官房長官だった時ですかね、なにか大昔のような気がするのが不思議ですが、彼は政府の情報隠匿担当官のようでした。

例の放射能飛散状況を知らせるSPEEDI情報を「情報の一元化」で握りつぶして近隣住民、特に北西地域の住民に知らせず、当然3月中旬に分かっていたはずの炉心融解も知らせず、初期の放射性ヨウ素131とセシウム134、137を含む放射能雲が来る地域にも警告を発せずと、まぁ重要情報を隠しまくった人物です。

こんな情報隠匿の真っ最中に出てきたのがこの暫定規制値でした。

当初からナニこれ?というしろものでした。農業を知らないヤカバラが作ったに相違ないからです。

例えば、ホウレンソウが野菜で最初の出荷自粛対象になったわけですが、それを単品の規制として、地域を県単位にしてしまったのです。

県というだだっ広い単位の網でホウレンソウは出しちゃいかん、というわけです。おいおいですね。

放射能雲の通過は、3月12日、15日、22日のおおよそ3回ですから、その下にあった農地は皆ヤバイわけです。

ならば、放射能雲の通過した地域の農産物は、原則としてすべて出荷すべきではありませんでした。少なくとも、当時野外にあった農産物はすべてです。

問題は「品目」ではなく「地域」なのです。ところが、農水省ではなく、厚労省がこの暫定規制値を作ったもんですから、食品添加物や農薬規制と一緒の感覚でやってしまったのです。

食添や農薬なら、「〇月〇日をもって、これこれが禁止」で通るでしょう。しかし、農産物は同じ畑に植わっているのです。ホウレンソウの横には春キャベツがあるかもしれないわけです。

当然、キャベツにも放射性物質はかかっていますね。しかし、たまたま県の検出で引っかからなかったらオーケーだという論法です。

「そんなわけないでしょう」と消費者は思ったわけです。消費者の勘が正しい。

そんなわけないです。農家もそう思いました。しかし、当時は私たち農家も、一般国民と一緒で、なんの情報もなかったのです。県レベルですらそうです。

国は放射能雲の移動を知っておきながら、その地域を教えることすらしませんでした。

「農家は危険を知っていながらシカとしてわれわれに放射能入り食品を食べさせた」、という人が絶えませんが、批判は批判としてお受けしますが、当時は知らなかったのですからいかんともしがたい。

話はややそれますが、4月に放射能入り野外藁を出荷した農業者がバッシングを受けていますが、たしかに結果だけ見れば批判に値します。

だが、当時4月の上旬の国民に与えられた情報など限られたもので、私たち農家もその範囲の中で必死に情報をかき集めていたというのが実態です。

しかし、情報の大本にいた菅さんと枝野さんがひた隠しにしているんですからどうしようもありません。

結局、事故直後から3カ月間というもっとも重要な時期を、私たち農業者もまた、ネット情報しか頼るものはなかったのです。これが実情です。

話を戻します。このような大穴があいた規制で放射能を浴びた可能性がある農産物は出荷されてしまいました。

しかし、幸か不幸か、消費市場はそれを受け入れませんでした。これが「風評被害」です。

私は村の農家にボコボコにされること覚悟で言えば、あの風評被害は「正しかった」と思っています。

あの時期の農産物には放射能の危険性がありました。初期のもっとも高い外部被曝を受けているからです。

この初期のもっとも危険な時期を規制しきれていないから暫定規制値は消費者から信用されていないのです。

チェルノブイリの多数の子供を中心とする甲状腺障害は、被曝初期の牧草から来るミルクが原因でした。

おそらくは日本は、それよりはるかに低い放射線量であったと思いますが、しかし、厳然として危険はあったにもかかわらず、ザルのような暫定規制値の間違った「かけ方」で出荷されていってしまったのです。

結果、私たち農民は今に至るも批判を受け続けています。それは甘んじて受けましょう。私たちにも放射能に対する認識が不足していた点は多々あるからです。

胸に手を当ててみれば、結果論的になりますが、3月から4月にかけて私たち放射能の影響を受けた地域の出荷はすべきではありませんでした。

それに対する農家の損害のケアを、個々の農業者、団体がするのではなくJA全中レベルで政府や東電と交渉すべきでした。

しかし、今になってもなお、いやこのまま行けば永久に、国は自らの情報隠匿による社会に対する被害の非を認めないでしょう。

その証拠にその張本人の枝野さんが担当大臣になりました。この人事が意味するものは、あの原発事故処理で政府はなにも間違っていなかった、という政府のマニフェスト(宣言)です。

これが私の言う、「初めのボタンのかけ違い」です。

そして次の掛け違いは、これを国民に分かりやすく「緊急時規制値」だと説明しなかったことです。これについては昨日お話しました。

しかし、国民の多くはこれを緊急的な措置だと思っていません。そしてそれに農家は甘んじてぬくぬくと危ない農産物を出荷し続けていると勘違いしています。

これは事実と反します。私たちは、かなり前から農産物の放射能測定を開始し始めており、結果、現在は放射能の影響はないと言える段階に達していると思っています。

とまれ、暫定規制値はこのような不幸な誕生であったとしても法は法で生きています。私たち農家も不満があってもその下にいます。

それをして、「お前は暫定規制値の信奉者だ」などと言わないで頂きたいのです。

私たちも困っています。消費者も困っています。県も困っています。変えましょう。暫定規制値を変えていくしかありません。

国も反省こそありませんが、そのあたりは分かっていて、改正は既にそうとうなところまで始まっているようです。
食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/radio_hyoka.html

おそらく、来春の事故処理が区切りをつけた段階で改正案が出されるのでしょう。これに対して、消費者や私たち農業者も思ったことを言うべきです。

そうしないと、またいいように作られてしまいますから。

■写真 ニラの花です。実に地味ですが、今、路傍に咲き乱れています。

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暫定規制値は「がまん基準」

052
「暫定規制値」というわかったようなわからないような規制数値があります。

ポジティブ・リストなどが典型のように、私たち農業はかなりの規制によって縛られています。

これは農産物の農薬の含有量やその種類などに対する規制で、大変に厳しいものです。

この農薬や食品添加物の規制数値の求め方は、無毒性量(NOAEL)をまず設定し、そこから桁落としに低い数値に「1日摂取許容量」(ADI)を設けています。

そしてこれからまた桁落としに低い数値に実際のポジティブ・リストなどの基準値の上限値を定めています。

今日はこれがテーマではないので触れませんが、よく武田邦彦さんが言っている「足し算」はこの方法を放射線リスクにあてはめたものですが、世界公認の方法ではありません。あくまで彼のオリジナルです。

さて、こうやって作られた規制値も、それが閾値(*しきいち。そこを境にして有害か無害かを決める有意性があるライン)とは違うことにご注意ください。

例えば、ある規制値を100と定めるとして101は規制値の上ではアウトですが、99ならいいのかと言えば、たった2しか違わないのにねぇ・・・というわけです。

この100という規制値は、実はなだらかなラインで移行していく曲線のある一点をとったもので、規制値は閾値ではないのです。

放射能の暫定規制値も同じことがいえます。野菜の暫定規制値が300bqだとすれど、301はダメですが、299はオーケーとなります。しかしちょっと考えれば変ですよね。

「たった2bqの差にどんな意味があるんだぁぁ!」と消費者が思っても当然です。だって実際差はないですもの。いわゆる測定器の誤差のレベルです、こんな差は。

で、この暫定規制値が高すぎる、いや妥当だ、なに言ってんだ、もっと上げろと立場によってケンケンガクガクの議論がされています。

この暫定規制値の大本を作ったのはあの有名なICRP(国際放射線防護委員会)です。いちおうNGOですが、実際は唯一の各国政府によって公認された国際機関です。

日本も唯一の被爆国にして、被曝国ですから多くの専門家を派遣しています。他にECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)というのもありますが、こちらはヨーロッパの緑派が作ったものです。年中ICRPとケンカしています。

それはさておき、ICRPは「放射能に閾値なし」を掲げています。つまり、「放射線を浴びれば必ずリスクはあり、線量が増えればリスクも比例して直線的に増加する」という閾値なしモデルですね。

これを世界各国はリスク管理の基準にしています。わが国も同じです。

この考えはICRPの文献にありますが、素人にはまさに暗号表のようなものですので、たぶんこんなことではないかと市民語に訳してみましょう。

「平時は、放射線は浴びないほうがいいよ。特に食品は体内被曝しちゃうから、できるだけ取らないでね。

私らICRPはその目安の閾値を年に100ミリシーベルトとして、それでも心配だから2桁下げて1ミリシーベルトにしているんだ。

要するに、平時の健康を守る基準だと思ってほしい。

でもこれはあくまで平時の話だよ。平時ばかりだったらいいんだけばど、原発事故が起きたらどうするんだろう?

大量の放射性物質が大気中にバラ撒かれてしまうわけだ。そんな時に、平時の基準では追いつかないのは分かるよね。

もちろん政府は農業団体に命じて出荷制限などをするとは思うが、それでも事故以前とはまったく状況が異なる。そこで作られるのが、暫定規制値と日本で呼ばれているものだ。

言い方がやっつけみたいで誤解される表現だが、これが緊急時基準だ。これをICRPは認めている。

同じように原発事故の対処に当たる作業員にも平時の原発構内の基準とは違う基準を認めている。そうしないと災害がおさまらないからだ。

この時に無理やりに平時の規制値を当てはめると、技術的に無理なばかりか、社会的なコストがかかりすぎてしまう。

それにかえって消費者の気持ちが、えっ、こんなに高いのに大丈夫かしら、となってしまってかえって心理的ストレスのほうが健康に害となってしまう。

しかし、ある程度災害対策が進めば、環境に放出された放射線量は減っていき、農産物の安全管理や土壌の除染も進むから、緊急時規制値を下げていかねばならないのはあたりまえだよね。

だから事故から一定期間たったら緊急時規制値から平時の規制値に戻してやらなければならないんだ。」

なんとなく判りましたか?「平時の基準は緊急時にはあてはめられない」ということです。それは現実的ではないからです。

ちなみに、今の日本には輸入食品に対しての規制値はありますが、国内の平時における放射線リスクに対する規制値は存在しません。

これについて、おそらくは日本の生協でもっとも放射能対策が進んでいる東都生協はこういう言い方をしています。とても参考になるので引用します。
http://www.tohto-coop.or.jp/news/upload_pdf/upload/(20110707放射線当面の対応チラシNo6.pdf)

「東都生協は、今回の福島第一原発事故にともない政府が決定した食品衛生法 の「暫定規制値」は、あくまでも非常時のものであり、平時の規制値とは同列 には扱えない、「がまん基準」であると理解しています。

現在、「がまん」の許容程度についても専門家の間でも様々な意見が出されています。このような中で、東都生協が独自の残留放射能基準を設定することは、組合員や取引先、社会に誤解や混乱をもたらしかねません。

現状では、政府が発表する残留放射能検査結果(対象地域、品目、検出数値など)をしっかりと確認と分析をおこない、これを活用しながら自主検査を継続し、組合員に対して正確な情報提供をおこなっていくことが大切だと、考えています。」

もう私が付け加える必要がないほど妥当な方針です。この「がまん基準」という表現は、まさにそのとおりです。

今、この「がまん基準」から、もっと長い将来を見越した対策に立った本格的な規制値が作られようとしています。

■写真 霞ヶ浦の夏です。まだ悪あがきしている暑さよ、去れ!

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DASH村再訪  浪江町の現状の線量測定と帰る夢

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昨日のテレビでDASH村の今をやっていました。

この番組はかつて私の愛好番組でした。なにからなにまで、昔の農家の知恵で作ってみる、建ててみるというのが、30年前の入植した時の私たち夫婦の姿に重なって共感をもって観ていたものでした。

最近はあまり観なかったのは、この彼らが作っているDASH村が福島県浪江町にあり、避難地域に入ってしまったからです。

直線距離で原発から約20数キロのようです。ここは浪江町の西の方にありますが、問題はおそらく3月12日の第1回水素爆発の時の飛散をもろにかぶった地域なことです。

おそらくは距離から言っても、もっとも線量が高い地域となるでしょう。この地域の人々のことを思うと、なんとも言葉にできないような胸が潰れるような気分です。

さて、このDASH村に山口タツヤさんが戻りました。もちろんわずか2時間という制限された時間でしたが、今の浪江町の現状がかいま見れました。

この再訪は、JAXAの火星での「宇宙農業」(!)を研究している研究員と三重大学の放射線防護の専門家が同行したものでした。

私もJAXAのひまわりプロジェクトはよく知っていたのですが、それがなんのためかはわからなかったのですが、火星で「宇宙農業」するっていう途方もない研究の一環だったのですね!

考えてみれば、火星で自給するとなっていちばんの問題は火星の大地がとてつもない高線量だということでしょう。

火星の大地はオゾン層や大気圏がないので、モロに宇宙空間の放射線のウルトラハイビームを浴びているわけですから、土壌浄化から始めないと「農業」どころか、住めないということになります。

で、その浄化のためにひまわりですか。なるほど。話が繋がりました。どうしてJAXAがヒマワリの除染研究しているのかわからなかったんです。

浪江町にあるDASH村は、山口君が「ああこんなに荒れちゃって・・・!」と叫んだくらい、草ぼうぼうでした。

よく手入れされていた畑にはヨモギが樹になりかかっていました。ヨモギやアカザは成長すると堅い灌木になり、杖ができます。実際私も作ったことがあります。

アイガモが泳いでいた田んぼは干からびてカラカラになっていました。井戸の蓋の内側にはニホンミツバチが分ポウして新しい巣を作っていました。

おいしそうな蜜がたっぷり。線量が許せば食べたいくらい。ハウスから這い出したカボチャは、見事イノシシの餌になっていました。

登り窯は無事でした。茨城の益子や笠間ではいくつもの貴重な登り釜が壊れていたので心配していたのですが、まずはよかったですね。

専門家が線量を計測していきます。ざっとこんなかんじでした。

・DASH村の屋外・・・・10~11マイクロシーベルト/時
・田んぼ・・・・・・・・・・・・12~14
・牧草地・・・・・・・・・・・・15
・室内・・・・・・・・・・・・・・5

浪江町では16マイクロシーベルト/時のホットスポットもあるので心配していたのですが、DASH村にはそのような高い線量を示す場所はなかったようです。よかった。

実は盆地で周囲が小高い山林なのでちょっと心配していたのです。あのような地形は空気に乗った放射性物質が、周囲から雨と共に流れ込んで溜まりやすいのです。

ただ、ひとつだけやはりそうかということがありました。

枯れ葉です。枯れ葉の吹き溜まりからは実に外気の3倍の30マイクロシーベルト/時が測定されました。

枯れ葉は、山の斜面から吹き寄せられる時に、周囲の放射性物質を雪だるま的にくっつけてしまうもののようです。

ですから、ある意味危険とも言える反面、枯れ葉は天然の除染係ともいえるのです。うまくこの枯れ葉を利用できれば、あんがい面白い里山の除染方法が見つかるかもしれません。

番組では、「一重咲黄色」と「「太陽」という二種類のヒマワリを使って除染実験をしていました。

後日1か月後にもう一回行くのですが、ひまわりは田んぼには不向きなようで生育不良。これは播種時期が遅かったためもあります。

また、田んぼのような水はけの悪い保水性がいい場所には向いていないのかもしれません。

一方乾燥した畑に植えた太陽のほうはグングン伸びていました。やや不気味なくらい花がデカイ。よく吸ってくれそうです。反面、処分が大変だろうな、きっと。

これを根とその周辺の土、茎、葉、花弁に分けて採取しました。JAXAで分析中のようですが、結果が楽しみです。

番組の最後に紹介される浪江町から避難している農民の声が私の心に残りました。

「ああ、早く戻って百姓やりてぇ」

この農民の声が天に届きますように。

■写真 残暑が厳しいですが、アカマンマの季節です。来週くらいは秋になるのかしら。

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被災地の半年  ただちに全力で国は復興支援をしろ!

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震災からちょうど半年が立ちました。 

折も折、鉢呂吉雄経済産業相、いや前大臣というべきでしょうか、いずれにせよ、くだらないことを言いにだけ出てきたようなこの人間失格男の発言が飛び出しました。

私はその発言そのものより、そういうことを平気で口走らせるような国の姿勢にたまらない不信感を感じます。

今、被災地で求められているものは何か、ひとことで言えば「国の復興支援」です。

「政治家というものはこの程度だ」、「国に期待しても仕方がない」という政治的ニヒリズムに私は立ちません。というか、被災地に住むひとりとして立てないからです。

私の地域の政治経済の中心地であった鉾田市は今年、関東でも指折り子の夏祭をすることができませんでした。子供たちが楽しみにしていたこの地域でいちばん大きな花火大会も中止となりました。

なぜでしょうか。

夏祭を支えていた各区の中小企業や商店がことごとく大震災で大打撃を食って、倒産と廃業が続出しているからです。

商店街など、まさに軒並みという感じで潰れてしまいました。今までも地域経済の疲弊でよれていたものが、一気にこの震災による店舗の倒壊、器材の破損などで経営がなりたたなくなりました。

立て直すには少なくとも数千万円単位の資金が必要です。しかし、それがどこからも出ないのです。

今までも苦しい経営回転をしていた商店、中小企業には、これまでの借金を返しながら、さらにその上に倍するような借金を重ねることは不可能です。継ぐ子もいないようだし、ここらがが見切り時かと考えてしまったのでしょう。

市の郊外に拡がる農村地帯も、こ承知のような3月4月の「風評被害」(実害かどうかは置きます)による壊滅状態を建て直せないまま、その次の宮城牛のセシウム騒ぎ、米の検出などの打ち続く打撃で、目も当てられない状況になってしまいました。

おそらく年内には離農者が続出するでしょう。自殺が出ないのが不思議なくらいです。

そして更に海側に行った漁村はどうかと言えば、ある意味こちらのほうが農業より深刻かもしれません。

茨城も襲った津波は5メートルでしたが、漁港が文字どおりすべて壊滅状態になりました。

漁船と埠頭の破損だけではありません漁具が流されました。漁具は船と同じくらいの値打ちがあるのです。第一、これがなくては漁にも出られません。

なんとか埠頭の一部を修理し、船や漁具を修理して、何隻かあった漁協の船を共同運行するなどしても、今度は揚げた魚を加工する港に隣接する小規模な加工場が、大震災でことごとく潰れてしまいました。

漁業というのは、サプライ・チェーンの背景があって成り立っています。

魚を獲る⇒魚を競りにかける⇒冷凍する⇒運送する⇒魚を加工してすり身などにする⇒かまぼなどの最終製品にする⇒アラを魚粉にする、こういった一連の流れはすべて中小零細企業がおこなっています。

それが大打撃を受けて、潰れる加工場が続出しました。この流れのどこか一カ所が断ち切られただけで、サプライ・チェーンは機能不全となってしまいます。

魚を上げても加工できなくなれば、漁にでても仕方がないことになります。その上に汚染水の放出による被害です。

おそらくわが茨城県は、汚染水の影響を最大に食った県なはずです。

今回の汚染水事件の直後、天皇陛下が北茨城に行幸されて、昼食にコウナゴが出されなかったのを見て、陛下は「コウナゴはないのですか」とご質問されたそうです。

陛下は身をもってわが県を守って下さったのです。それを聞いて漁民だけではなく、県民すべてが泣きました。私も泣きました。

大震災と原発事故においてわが国には、まともに「政府」と呼べるようなものは存在しませんでしたが、天皇陛下がいらしたのです。でなければ、暴動のひとつも起きたでしょう。

それはさておき、ここまで広大な地域全体のありとあらゆる部門が潰れかかった状況において、地元行政の力などたかが知れています。ほとんど無力です。

政令指定都市規模ならまた違うかもしれませんが、数万人規模の市では自力復興などまったく不可能です。

県もまた無力です。基本的なインフラ復興だけでも巨額な財政がかかる上に、面として壊滅状態に陥った地域が続出していては、なす術もないでしょう。

国が復興支援するしかないのです。この震災-原発事故はとうに地元行政の力量をはるかに超えてしまっています。欄外の写真をご覧ください。

沿岸部では、3月12日撮影した写真よりいっそう灯が消えているのが分かります。そうです。広大な東北から北関東にかけての海岸地域が壊滅の危機にあるのです。

おそらく東北は、わが県に倍した苦悩の中にいるでしょう。

国の支援が早急に必要です。今、国が全面的な復興計画を策定し、とりかからねば、おそらくはこの灯は二度と戻って来ないでしょう。

そのような切所に今、被災地は立っています。

■写真 08年の鉾田祭。都市にいった若者が皆戻ってきます。今年はこの若者たちが、自力で復興祭を開きました。すべて自弁。すべて若者だけでがんばり抜きました。
彼らの力が残っていれば、まだ希望は残されているのかもしれません。

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

■ 衛星からの夜間撮影したインフラと都市の復興状況(産経新聞9月11日)

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「東日本は終わりだ」論の無責任な幼稚さ         「青空」様のコメント全文転載

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歯切れがいい論旨と、温かい視線をもつ「青空」様の論陣は、読んでいて得たりと膝を叩くことがしばしばです。

本日はこれを転載させて頂きます。

適時改行した以外は、全文そのまま転載いたしました。青空」様、ありがとうございました。

                ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

「東日本は終わりだ」という人は多くいます。
よほど国を滅ぼしたいのでしょう。
放射能ゼロリスクを推進しようとする方のコメントを見ていると一定の法則があります。

それは、現実性の無さです。無責任ともいいますが。

例えば「東日本は終わりだ」というのが正しいとしましょう。その通り東日本を捨てた場合どうなるか考えてみました。

日本の第二次生産品を西日本のみで製造することは不可能です。主要部品や周辺部品、精密機械、ロム、生計プラスチック、設計の高度CADとそのデータベースの生産設備の4割は東日本に集約されています。

第三次産業の拠点と巨大な金融資産、固定資産総額の実に7割は東日本です。
また人口は6割が東日本で、国内消費食材の5割が東日本です。

「東日本の終わり」は東日本から西日本の倍する難民が流入するのに対して、それを支える経済は同時に壊滅するのと同義です。日本金融は100%破綻しますので、余波により資金繰に厳しい西日本の企業も合わせて破綻します。

第二次産業はサプライチェーンというより製品製造の卸先がないので生産意味がなくなり8割壊滅します。金融が破綻するば東日本の産業が産業シフトの資金調達をすることは不可能です。

100年で築き上げてきた東日本のストックは移転するのには少なくとも20年と総ストック4000兆円近い資金が必要だというのが現実です。

経済が壊滅し輸入が不可能になるのに人口は変わらずかつ食料供給能力は5割になれば、国家の壊滅というよりは国民の消滅を意味します。つまり飢え死にです。食料だけは一人半分でというわけにいかないからです。

私はそうなるのは真っ平ごめんですが、「東日本は終わり」論者はそれを想像できません。また、そうならないような具体的な対策の提示は一切ありません。

まるで無責任です。安全安心は所得があればの話ですし、国家は国民の税金により成立している以上、国家経済の破綻は救い手の国家が機能しないことを意味していることすらわからない。

時々見るのは北海道で生産を強化するだとか、耕作放棄地を活用するとかまるで中学生のようなアイデアです。農業を営むには数百年から数十年の自然との格闘が必要ですでに開発可能箇所はほとんどないのにです。

武田氏は学者です。日本の学者の無能力ぶりは過去連綿変わりません。自身の分野にのみ特化しているので自身の発言がその足許を崩すことに気づくことはおそらくできないでしょう。

私が最近コメントにて、辛口の発言が多いのは、主に、今現在で周辺半径1キロのことしか考えることができない方に幼稚さを感じてしまうからです。

小さい子供がいる方が避難することは何度も言うように留めません。避難費用も必要であれば積極的に支援するべきでしょう。

ただ、東北や関東にも小さな子供はたくさんおり物流も回復しているのに、西日本からボランティアなどが西日本の食材を提供しようなどという動きは全く聞きません。

そして濱田様のブログの中でこの6ヶ月そういった「東日本は終わり」論者で一度たりともそういう提案を見せた方を見ませんでした。まるでスターリンです。

被災地からは酷薄な人が多いという感想ばかり聞きます。聞き手の心を汲み取ることができない人だからこその発言なのかもしれませんが。

濱田様、
厳しい状況であることは間違いありません。望む望まぬにしろ突き付けられた状況は変化はしません。

しかし私は幼稚な意見が国民の総意でないと感じます。
福島県の経済動向はきわめて悲惨ですが、致命的ではまだない。
広島は人の住めない町になるといわれましたが、今は極めて強い産業と独立性の高い地方都市となり、中国地方の雄として君臨します。

長崎も豊かな海産物と極めて高度な造船技術を持って高い競争力を持ちます。今は先達の偉業を研究するべきかもしれません。

津波被災地の重被災地も去る人は去り、立ち直れないところもあります。しかし石巻や気仙沼の一部では美しく道路は片付けられ塵一つ無く、生産設備も8月で再稼動したところも多くあります。

動きもがけば必ず救われるとは言いませんが、立ち直った人は一人残らず最初からもがき動き回り諦めませんでした。それだけは共通しています。

光明は行動にこそあるはずです。罵声を浴び屈辱をなめても愚直にただ一つ一つレンガを積んだもののみが生き残れるはずです。長文失礼しました。

心より応援しています。

                                       青空

        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

脱稿の後に、このような愚かしさの極みのような発言がありました。それも原発担当大臣の台詞です。この男、人間としても最低です。

この人は、被爆地の人間が、いわれなき放射能差別で苦しんでいることを知らないのでしょうか。

■<鉢呂経産相>「放射能つけた」発言 辞任やむなしの声も

毎日新聞8月10日

鉢呂吉雄経済産業相が東京電力福島第1原発の視察を終えた8日夜、東京都内で報道陣の一人に近寄って防災服をすりつける仕草をし、「放射能をつけたぞ」という趣旨の発言をした。鉢呂氏は9日午前の会見でも福島第1原発の周辺市町村を「死の町」と発言し、同日午後にこの発言を撤回して陳謝した。

 原発を所管する担当閣僚として不適切な言動との批判が出るのは必至で、政府・与党内からは「辞めざるを得ないのではないか」との見方が出ている。閣僚の一人は「こういう話が続くと厳しいかもしれない。救いようがないかもしれない」と語った。

 報道陣は、鉢呂氏の福島第1原発視察の見解などを聞くため、8日午後11時過ぎに東京・赤坂の議員宿舎で取材していた。10人程度の記者が鉢呂氏を取り囲み、鉢呂氏はたまたま近くにいた毎日新聞記者に近寄り、防災服をすりつける仕草をした。鉢呂氏はすりつける仕草をした後、報道陣に「除染をしっかりしないといけないと思った」などと語った。

 鉢呂氏は8日、野田佳彦首相に同行して、福島第1原発や原発から半径20キロの警戒区域を視察した。その後、帰京し、防災服を着替えないまま、議員宿舎に戻り、報道陣の取材に応じていた。

 鉢呂氏は9日夜、報道陣に対し、「放射能をつけたぞ」との発言について、「(記者に)近づいて行って触れることもあったかもしれない。そういうこと(放射能をつけたぞ)は言っていないと思う」と釈明した。

 鉢呂氏は9日午前の閣議後会見で、8日に福島第1原発などを視察した際の印象について「残念ながら周辺市町村の市街地は人っ子一人いない、まさに死の町という形でした」と発言した。野田首相は9日、訪問先の三重県紀宝町で記者団に「不穏当な発言だ。謝罪して訂正してほしい」と要求。これを受け、鉢呂氏は9日午後、「被災地に誤解を与える表現だった。軽率だった。被災をされている皆さんが戻れるように、除染対策などを強力に進めるということを申し上げたかった」と釈明した。

 藤村修官房長官は9日の会見で、鉢呂氏が佐藤雄平福島県知事に謝罪の電話をしたことを明らかにした。「ただちに(経産相としての)適格性につながるとは思わない」と閣僚を辞任する必要はないとの認識を表明。一川保夫防衛相の「素人だが文民統制」など問題発言が続いていることを踏まえ、近く各閣僚に発言に注意するよう求める考えを示した。

 一方、野党からは鉢呂氏の自発的な辞任や更迭を求める声が相次いだ。自民党の石破茂政調会長は「経産相としてではなく人間として不適格で、間違いなく辞任だ」と批判。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は「大臣として不適格で自ら辞意を表明すべきだ。首相の任命責任も問われる」と語った。鉢呂氏は衆院北海道4区選出で当選7回。大蔵政務次官や民主党国対委員長などを歴任している。

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大阪は全国有数のホットスポット? ただし、自然放射線量のですが

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今まで東日本の放射線量ばかりに目が行って、関西の線量は気にしていませんでした。

調べてみると、高いですね。東関東と同じか、福島を除く東北各県よりもやや高めな数値がでています。

こんなかんじです。

・大阪府・・・・・・・・・・・・・・・・・0.076マイクロシーベルト /時

・宮城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.061
・岩手県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.023

・茨城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.083
東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・0.056
・神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・0.049

私としては、あまりこういう比較をしても仕方がないとは思いますが、なにぶん「0.1マイクロシーベルトの線量の差も一年間で蓄積されると1ミリシーベルトの限界を超える」と主張しているゼロ・リスク派の人たちにとっては死活問題なはずです。

なにせ、関西の一部の人が「灰ひとひらでも汚染される」と言った岩手県の実に3.7倍も放射線量が高いのですから。

これがいわゆる預託線量というもので、あらかじめ体内にこれだけあるぞという放射線量です。成人なら放射性物質が体内に入ってから50年間、子供は70年間のスパンで調べます。

なお、この1ミリシーベルト被曝限界説は武田邦彦氏が主唱しているものです。

低線量被曝について、小出裕章氏はこう書きます。

「人体に影響のない程度の被曝などというのは完全に嘘で、どんなわずかな被曝でも、放射線がDNAを含めた分子結合を切断・破壊するという減少が起きるのです」(「原発のウソ」)

ところで、この預託線量の大部分は、宇宙と大地の底から照射される自然放射線源から来ています。

宇宙飛行士の山崎さんがおめでたで宇宙飛行士をお辞めになったのは、この宇宙から来る放射線量が大変高いからです。

宇宙飛行士の被爆量は、原発内よりはるかに高く、宇宙船内で100~200ミリシーベルト、船外活動でもすれば一気に400~500ミリシーベルトを浴びることになります。

宇宙飛行士というのは、私も子供の時に憧れましたが、そう考えると大変な職業ですね。

だいたい1年間で、宇宙からの放射線は0.3ミリシーベルトだと言われています。

もうひとつの自然放射線が、地底から来るものです。地球ができた時より地殻内部からフツフツと放射され続けています。

カリウム(カリウム40)、ラジウム、ラドン、ウランなどといった放射性物質が絶えず地表に向けて放射線を出しています。

地殻プレートが地表に近いほど大量の自然放射能が存在します。花崗岩が多い地方にウランが採掘されるのはそのためです。

そういえば、日本のウラン採掘場所は西日本が圧倒的ですし、阪神淡路大震災もプレートの境目があったために大災害になりました。

人間だけではなく地球上の生物は等しくこの膨大な自然放射線の中で生き抜いてきたわけです。

宇宙からの放射線は世界で平均していますが、地殻からの自然放射能は地域の地殻構造で違います。

下のマップを見てください。赤色は0.127マイクロシーベルト/時以下を示す地域で世界でももっとも高い部類に属します。

日本では大阪府、広島県などを中心とする地域の放射線量は高いといえます。

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東日本はおおむね濃い青である0.00561~0.0178マイクロシーベルト/時と世界でも最小の放射線量地域です。

自然放射線量において大阪は、東日本(ホットスポットはありますが)の7.5倍の放射線量が常に存在する地域だといえるわけです。

大阪の宇宙からと地底からの自然放射線量はおおよそ0.4マイクロシーベルト/時あるようです。

念のために書き添えますが、自然放射能のほうが人工放射能より安全なんてことはまったくありません。そりゃそうでしょう。ウランだって自然放射性物質なんですから。

大阪は福島第1原発の放射能被曝を受けていません。3月12日の前後で線量に大きな変化はみられないようです。

にもかかわらず、大阪府は東日本と同じか、それ以上に高い放射線量が常に存在します。

大阪は自然放射能において全国有数のホットスポット(そう呼びたければ)なのです。

しかし大阪府が、東京都と比較してガン患者が多いという統計データは一切ありません。

ですから、大阪に行くと被曝するぞ、などという馬鹿なことを言う気もありませんし、大阪の農産物を食べたら健康を害するなどと言うデマを飛ばす気もさらさらありません。

むしろ、このていどの放射線量ではまったく健康に問題がないということを大阪が証明してくれていると考えるべきでしょう。

私が地域ごとの放射線量が0.1マイクロシーベルト違っても青筋を立てないのはそのようなわけです。

■写真 わが家の愛犬モカ太郎。チビの頃は可愛かった。今はデカクなりおって、色気づくし。

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災害ユートピアの終焉。しかし私たちはこの空気に染まらない

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この人たちは、真剣にこの原子力災害を解決する気持ちがあるんだろうか。

YouTubeで「たかじんのそこまでいって委員会」の武田邦彦氏の番組を見ながらなんとも憂鬱な気分になりました。

そこにあるのはクスクス笑いと、どこか他人の不幸を楽しげにおもちゃにしてもて遊んでいる人たちがいました。

そして、武田氏がもっと過激なことを言うように誘導する司会。その中でその要求に応えていっそう問題を単純化し、先鋭にしていくだけの武田氏。

このような空気は、おそらくは「敵」を求めるでしょう。もしくは「生贄」です。

その対象に上がったのが、「東日本」であり、「農業」という射的遊びの的だったのです。

おそらくは、この原子力災害の中で、懸命に自分の生きる土地を浄化しようと闘っている多くの人たちも、その変わらない自然の姿も、その人たちの念頭をよぎらないのだと思います。

そう、飽きているのです、この人たちは。疲れてきたのです、「応援」することに。

私たち被災地であり、被爆地の人間には飽きることなどできませんが、遠く離れた人々にはその権利はあります。

「がんばれ、ニッポン」とか「絆」とかいうエールの声が、そこから果てしもなく続く日常の中でいつしか重苦しさに変わり、「うざったい」と思うようになったのです。

ただそう思ったとしても、それを露骨に口に出していいほど日本社会は甘くありませんから、代替としての「敵」を求めるのです、同胞と国民内部に向けて。

そして、放射能汚染を拡げて自分たちの生活を脅かそう画策している「敵」を探したのです。

東日本の農業者に対してはこんな言葉が投げつけられました。すべて事実です。

そこにあるのは、まるでこの人たちの「安全・安心」の生活を侵略するモンスターのような農民像です。

「農民は金のために毒だとわかっていながら汚染野菜を売っている」
「農民は汚染を知りながら平気で汚染牛肉を売ったテロリストだ」
「農民はあんな汚染地帯で農業なんかやめればいいのに」

「農民は今の緩い暫定規制値をもっと緩くするつもりだ」
「農家は除染もしないで平気でいる」
「農民はいままでだってさんざん国から補助金をもらってきて、今度は賠償金で焼け太りだ」

あるいは、福島県などの東北地方に対してはこうです。すべて現実に言われた言葉です。

「避難地域は汚染物質の捨て場とするしかない」
「20年、いや30年は帰れない」
「建物が除染の妨げだから更地にしろ。チェルノブイリではそうやった」
「あれだけ線量が高ければいくら除染してもむだだ」
「灰ひとつだって東北からこちらに運んで来てほしくない」
「フクシマはヒロシマと同じだ」

そして口を揃えて言う言葉は、「東日本はおしまいだ」 、「東日本のものは食べない」。

・・・書きながら吐き気がしてきました。

その不満と不安に形を与えたのが、たまたま武田邦彦氏だっただけです。彼がいなければ、別な人がやったでしょう。

このような「空気」が私が言う「放射能の壁」を作り出してしまいました。茨城県と一部千葉県を含み、東葛地域を境にしてそびえ立つ「壁」です。

日本を東と西に分ける境界線です。

この「壁」の内側に住む人間と、外側に住む人間の隠微な対立が生まれようとしています。

私はそれを哀しみます。そしてその「壁」を時間をかけて溶かしてゆかねばならないと思います。

それはこの「空気」に私たちが負けないことです。同じ空気に染まらないこと。憎しみに憎しみで返さないことです。

私たちが今をどうやって生きているのかを知らせ、どのように健康な土を取り戻そうとしているのかの努力を伝えていくことです。

仮に嘲りの言葉しか返ってこないとしてもそれを続けることです。

情けないくらい平凡なことですが、そこから進むしかないと思います。

■写真 今日の朝焼けは美しかった。

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武田邦彦氏のとんでも発言  東北・東関東地方と関西地方の放射線量比較しても大きな差異は認められない

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またもや、武田邦彦氏がものすごいことを仰せになりました。

読売テレビの「たかじんのそこまで言って委員会」で、武田氏は関西のテレビで岩手県一関の放射線量を示した上で、「東北の野菜、牛肉を食べたら健康を害する」と発言しました。

とうぜんのことながら、直ちに一関市長が公式に抗議しました。(欄外参照)

いつもながらよくこれだけ偏ったことが言えるものですが、武田氏の言動が「世論」(特に西日本の)を作っているのは間違いのない事実ですので、私からもコメントををしておきます。

ではまず、今の空間放射線量から知っておきましょう。なぜ、空間放射線量のデータが重要なのかは、当の武田邦彦氏に説明していただきます。 

原発から放射性灰が空気中にばらまかれたので、それが地面に落ちるときに野菜を汚染しました。」(9月1日 武田ブログ) 

この「空中にばらまかれた放射能灰」というのは、放射性降下(フォールアウト)した放射性物質のことだと思います。

氏は野外の農産物の放射能汚染は放射性物質の降下によるものだと書いています。その放射線量をみてみましょう。

●現在の東北、関東の空間放射線量です。(9月4日午前9時~5日午前9時)
・福島県浪江(避難地域)・・・15.5マイクロシーベルト
・福島県福島市・・・・・・・・・・・1.2
・茨城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.083
・千葉県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.043
・東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・0.056
・神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・0.049
 

ここまでが、福島と南方にあたる関東の隣県の数値です。東京、神奈川に行くと、福島より100分の1にまで放射線量が下がることが分かります。

では、福島県北方にあたる東北各県はどうでしょうか。 

・宮城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.061
・岩手県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.023
 

爆発当時の風向きで、東北各県の汚染度は少なく抑えられたのがわかります。

唯一北方に向かった風に乗って女川、一関などが被曝したに限定されています。これは早川マップをみれば分かります。

武田氏自身、空中にバラ撒かれた放射性物質が降下して野菜に付着するのが、放射能汚染の原因だと言っています。

まさにそのとおりです。降下している放射線物質の量(空間放射線量)=野外の農産物被爆量(汚染量)なのです。これには強力な因果関係があります。

したがって、空間放射線量が上がれば、農産物の汚染量は増えるし(微増では有意な上昇はありませんが)、下がれば汚染量は減るのです。、

よく武田氏が引き合いに出す「3月、4月の内部被曝を出した野菜」(同上)の時の空間線量は、茨城県では時間ごとに計測されていて、茨城県HPで公表されています。http://www.pref.ibaraki.jp/important2/20110311eq/20110316_26/

これを見ると、茨城県の空間線量の極大値は3月15日8時10分の北茨城市(*福島県との県境)の3.56マイクロシーベルトです。

この時に、これだけ数値がハネ上がったのはヨウ素131が主成分だったからであり、これが半減期を迎える8日目以降は下図のように急速に下降していきます。(茨城県HPより)

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確かに、このヨウ素が濃厚に空間に大量に存在していた時期の野外の農産物は危険性を否定できません。

チェルノブイリでは、野外の牧草を食べた牛のミルクを回収しなかったためにヨウ素による甲状腺障害を出しています。

しかし、現在はさきほど見たように0.083マイクロシーベルトですから、最大時の2.3%にすぎません。

しかももっとも大量に内部被曝をもたらす放射性ヨウ素は完全に消滅し、セシウム134と137だけとなっています。

もちろん、茨城県の農産物はすべて「検出限界値以下」です。私もひんぱんに農産物を自主計測していますが、同じく検出限界以下です。(茨城県HP)http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/nousanbutsu/20110521_03/

ならば、武田邦彦氏が、わが茨城県よりはるかに放射能汚染が低い岩手県の0.023マイクロシーベルトの放射線量をもって、「食べると健康に害ある」とはいかなる科学的根拠があるのでしょうか。

それではご参考までに、この武田氏が発言した関西地方の放射線量と比較してみましょう

・大阪府・・・・・・・・・・・・・・・・・0.076マイクロシーベルト 

・宮城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.061
・岩手県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.023

・茨城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.083


福島を除く東北、東関東とほぼ一緒の数値です。関西が特に低いわけでもなく、こちらが特に高いわけでもありません。

番組中、武田氏が出した一関という地点は、放射性物質飛散状況を調べたことがある者なら一目でわかる、東北随一のホットスポットがある場所です。

ここの一地点のみ取り上げて、「東北(すべての)の牛肉、野菜が危ない」というのは、まさに短絡と飛躍の詭弁的論法です。

私はこの関西の数値も農産物へ移行するような数値ではないと考えていますが、もし岩手県の数値が「食べてはいけない」とするなら、関西の空間線量はいったいどのように解釈したらいいのでしょうか?

武田さん、あなたは啓蒙者から煽動者になりかかっていますよ。学者として頭を冷やしたらいかがでしょうか。

武田氏は、大震災からの長き復興の途上にある東北の人たちを不用意に傷つけました。それに対して今のように居直るのではなく、謙虚に謝罪すべきです。

■写真 秋ですね。いい空です。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

読売テレビ(大阪市)系列の番組で、中部大の武田邦彦教授が岩手県一関市の放射線数値を示したうえで「東北の野菜や牛肉を食べたら健康を壊す」などと発言したとして、勝部修市長は6日、武田教授に抗議のメールを送ったことを明らかにした。番組は4日午後1時半から東北の一部で放送された「たかじんのそこまで言って委員会」。

【原発と食品、専門家に聞く】放射線、測定・除染を急げ 児玉龍彦氏に聞く

 ◇一関市長がメールで抗議

 武田教授は子供の質問に専門家が答えるコーナーで、放射線量の高い地域として一関市を挙げ「今、東北で農作物を生産するのは間違い」などと発言。他の出演者が疑問を呈したのに対し、「取り消すつもりはない」と語ったという。

 勝部市長は「農家の感情を逆なでする非常識な発言だ」と指摘した。読売テレビは毎日新聞の取材に「武田先生に批判的な意見も入れて(放送して)いる。全体を見てもらえば、問題のある内容とは思わない」としている。

 武田教授は、地球環境問題で定説とは異なる主張を展開してから注目されるようになり、多くのバラエティー番組に出演し、著書を出版している。(毎日新聞9月6日)

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ツバメへの約束  南相馬市の百姓とツバメの話

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今日の日本農業新聞に宇根豊さんがこんなことを書いています。

「目の前に放射能に汚染された田んぼがある。かろうじて人間はそこで仕事ができるが、収穫しても米の汚染は基準を超えそうだ。

こういう場合には、国民は作付け禁止を支持するだろう。しかし、そこでクラス百姓は作付けしたいと思う。それはなぜだろうか」

宇根さんはこう問いを投げかけた後に、こんな南相馬市の農家のことを語り始めます。

市内全域で稲作ができなくなってしまった農家は、ある時ツバメが例年のように飛来したのを見ます。

ああ、今年も来たのか・・・と彼は思ったのでしょうね。そして続けて、今年は来ない方が良かったのに・・・とも思ったのかもしれません。

だって、来ても去年のような田んぼの土はないぞ、と。

ツバメは田んぼがないと巣が作れません。田んぼの床土は適度な水分を含んでいて柔らかいので、それをツバメはセッセと巣作りに使うのです。

ツバメに言葉をしゃべれるならばこう言ったのかもしれません。「ねぇお百姓さん、今年は田んぼを作らないの?どうしちゃたの?」、と。

田を耕しながら、ツバメがさらうように低空で飛び、土や時に虫などをさらって飛び去っていく風景を見ると、私たち農家はなんともいえない友情のようなものを感じます。

そうか、今年も来たか。お前もいい巣を作って、いい子を育てていきな、みたいな。

ついでに車庫の天井は車にボタボタ泥が落ちるから、納屋のほうにしてくれと頼む百姓もいるかもしれません。

さて、この南相馬の農家は、今年も飛来したツバメを見て、あ、そうかオレが田んぼを耕さなかったらこいつら困るだろうなと思ったそうです。

で、彼は今年は使うことがないだろうと思っていた稲作道具を手入れして、田んぼを一枚だけ耕したそうです。ツバメのためにだけ。

耕していい粘土の床土がいつもどおり練れて、水を張りました。すると、真っ先にカエルが喜びいさんで飛び込みます。

カエルはうれしそうに虫を食べて、ニョロニョロとした卵を田んぼの隅に生みました。それを目当てにサギも飛んで来ました。

上空にはトンビが旋回し、すきあらば田んぼに水を飲みに来たり虫を食べに来る小動物をひっ捕まえようと待っています。

耕作禁止の村の数少ない「田んぼ」というオアシスを求めて、村中の大きな生き物、小さな生き物、地上を這うように飛び鳥、高く飛ぶ鳥たちが集まってきたのでした。

田んぼという土と水のコスモスは、決して人だけのためにあるのではないのです。

ツバメが農家に田んぼを作ってくれと頼み、農家もそれに応えて田んぼを作ります。ツバメは害虫を食べて恩返しをしてくれます。

カエルもまた害虫を食べながら、油断をするとサギが来ます。サギもまたカエルが増えすぎて田んぼがカエル天国とならないようにパクッとやります。

こうした穏やかな均衡は、私たち人間が適度の手助けをすることで生まれています。

放射能があろうとあるまいと、米が売れようと売れまいと、私たち農業者は自然の一部だし、そうありたいと願っています。

それが今年も飛んで来てくれたツバメへの約束です。

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ドイツTDZの歪曲報道とYouTube削除問題について  

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放射能という見えない敵と闘っている人間を背後から殴りつける者がいます。 

懸命に生きようとしている人々を傷つけて笑う者がいます。匿名性の背後に隠れて、デマを流布して、悦に入る者がいます。 

あたかも東日本の農業のみならず、その全域が滅びることを願望しているような言辞を平然と吐く者がいます。 

東日本全域を切り捨てろとまで口走る者がいます。 

あいにくですが、私たち東日本の人間は滅びるつもりも、逃避する気もありません。

また、ヒステリックになることもできません。ヒステリックになったら現実が見えなくなるからです。眼を閉ざして闘うことは不可能ですから。

放射能に対しては動かぬ事実を踏まえ、解決ではなくより良き対処を、逃避ではなく新しい現実に対して適応する知恵を出し合って生きていきます。 

安全圏でせせら笑う人たちに対して、どちらが人間としてまっとうな生き方なのかをこの数年以内に見せてあげましょう。 

さて、TDZ(第2ドイツテレビ)問題は看視できない問題となりました。 

それは、日本産の農産物が海外で売れる売れないといった低次元な話ではなく、明らかな意図的歪曲によって制作された番組が、「海外メディアの権威ある報道」として国内で流布されているからです。 

このTDZの番組は、このようなことをセンセーショナルに叫んでいます。 

「80km離れた水田で5万3千ベクレル/kgの土壌汚染」
「自宅庭の空間線量90マイクロシーベルト/h」
「人間の想像力を超える惨事」
「人類史上最悪の惨事」
 

このTDZの番組にも登場する「市民放射能測定所」は、福島市内で活動する自主的な測定組織です。私とも共に放射能と闘う被曝地域の民間ネットとしてコンタクトがあります。 

この市民放射能測定所はTDZの取材を受け、それに対して抗議メールを送りました。
以下、その抗議内容です。
 

(以下引用) 

➊ユーチューブの配信動画を2度見ました。 

➋動画中7000Bqと出てきますが、これは既に出荷停止措置のとられている地域のシイタケのもので、動画の中では、出荷停止措置がとられていることを何もふれていない。 

➌市民放射能測定所のこれまでの分析で1000Bqを超えているのは、このシイタケとタケノコだけ。100を超えているのはブルーベリーなどごく一部。

➍ほとんどの野菜は、20~100Bqの範囲。検出限界以下(ND)の20Bq以下も少なからずありました。 

(なお、取材時に持ち込まれた ネギとジャガイモの測定結果も、市民放射能測定所
のホームページでちゃんと公表されております。産地「本宮市」がそれです。)

http://www.crms-jpn.com/mrdatafoodloc/pref_7.html 

➎以上のようなことを動画の中では何も言わず、高いものだけを強調している。 

❻自分が映っている時に流れたテロップは自分が話したことではない。 

❼(このように事実と違うのであれば)対応せざるを得ない。 

❽こんなだったら、すべてマスコミは立ち入り禁止!害ばっかり。
(引用終了)

これは被取材者の1次証言であることから、極めて高い信憑性をもっています。同じ内容でも、間接に聞いた、ネットで見たという次元ではなく、まさにTDZの取材者と顔をつきあわせた人でしかできない証言だからです。 

この「市民放射能測定所」の証言を読めば、TDZの取材方法が分かります。ここで取材者であるTDZは、マスメディアが絶対にしてはいけない取材方法をとっています。

➊当初より「人間の想像を超えた惨事」という予見を持って取材しました。

制作意図はどの報道にもあって当然ですが、制作中に意図と違った事実が出た場合、適時修正をかけねばなりません。

それをしないと、現実の事実のほうを逆に予見に合わせてしまうという倒錯が起きるからです。

➋取材において、TDZはその予見に合うものだけを恣意的に選んで取材しました。

たとえば、同じ地域で作られた農産物のうち、あえてもっとも放射性物質が蓄積しやすい地衣類のシイタケのみを選んで報道しました。

そしてそれが出荷停止になっている事実をコメントからあえてはずしました。もし「被爆地福島」を客観報道したいのならば、シイタケとブルーベリー以外の農産物は「検出限界以下」だったことを平等に報じなければなりません。

報道とは事実の積み重ねによる「思想」表現です。「思想」を言いたいがために事実を歪曲してしまっては本末転倒です。事実を無視してやるなら「小説」です。

➌制作意図に合わない被取材者の発言、あるいは事実については言ってもいないテロップを被せるなどといった歪曲的編集を行いました。

これはもはや報道の域を超えた「やらせ」です。このような方法があたりまえとなると、被取材者がなにを言おうと、まったく無関係なテロップを被せてしまえばいいことになります。

TDZの取材を受けた市民放射能測定所の代表は、もう二度とマスコミ取材は受けたくないとまでマスコミ不信を持ってしまっています。

➍その上で、「人類史上最悪の惨事」などというセンセーショナルな言葉を使って、いたずらに危機のみを煽りました。

TDZのこの番組は、もはや歪曲報道というより、プロパガンダそのものと評していいでしょう。自分の「思想」を言うためには、取材させてもらった人たちや、事実関係を歪曲しても良いとなるともはや報道の名に値しません。

このTDZの「思想」はおそらくは「脱原発」でしょうが、ならば、どうして放射能の下で闘っている人たちをこれだけないがしろにできたのでしょうか。どうしてあそこまであの人たちの気持ちを無視して、それに泥を塗れたのか不思議ですらあります。

それを思うと、TDZの取材者の「脱原発」思想内容の薄さが分かります。

これと同じ感想は、TDZを持ち回っている国内の人たちにも言えます。放射能と闘っている人を刺して何が楽しいのですか?

私がTDZに対して、「さすがはゲッペルスを生んだ国の局が作りそうなしろものだ」と言ったら、彼らはどう思うでしょう。

たぶん怒って反撃するか、訴訟を起こすかもしれません。しかし、このドイツ人たちはそれと同じことを私たち「被爆地」の人間に行ったのです。

同じく神奈川県在住のペンネーム「なぎら」様から、このTDZのYouTube上からの削除について情報提供を頂きました。ありがとうございます。以下、全文引用いたします。

(引用開始)  

福島中央テレビさんの受難
http://togetter.com/li/180342

福島中央テレビは3年ほど前から違法にWEB上にアップロードされた動画は見つけ次
第、削除申請をしており、ZDFの番組内容はまったく関係ありません。
また、ZDF番組内で使用されている福島第一原発3号機の爆発シーンは、何者かが音
を加え(アテレコ改竄)、それをZDFがどこからか入手したものです。
 

匿名氏はコメントで、
「FCTが著作権を保有している「爆発映像」を削除したものです」
と述べていますが、それはそれで加工(改竄)、ZDFに対する著作権侵害にあたるのではないでしょうか。要は、自らの“正義”のためなら法など知ったことではない、ということですね。
 

くだんの「爆発映像」は下記で誰でも、何度でも再生できます。

福島第一原発3号機で水素爆発 < 2011年3月14日 11:18 > by 日テレNEWS24

http://www.news24.jp/articles/2011/03/14/06178236.html

誰も隠蔽などしておりません。観たければ観ればいいのです。
海外に紹介したいのであればしかるべきメディアのサイトに、記事について英文などで投稿すればよろしい。

それから「爆発映像」以外でも、取材を受けた福島市内の市民放射能測定所の方が「事
実と違う」としてZDFに抗議しています。

がんばります福島県農業!二本松農園ブログ
第2ドイツテレビ(ZDF)の放送内容について~取材の実際について~

http://nihonmatufarm.blog65.fc2.com/blog-entry-306.html

とんでもない作為です。
さらに経緯を検証、まとめられた方がおられますので紹介いたします。

ドイツZDF作成のFrontal21 「福島原発事故、その後(日本語字幕)」動画の、元番組
の動画、フルテキスト、関連リンクなど

http://memo-no-memo.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/zdffrontal21-8e.html

匿名氏は、東日本の農産物が売れなくなれば自分が真っ先に飢えるかもしれない、とは
考えないのでしょうか。
西日本の農産物や輸入品で、日本の全人口を養えるとでも?
このような有様では、そのうちに教育費を「仕分け」されそうで心配です。

ともあれ、どんなにセンセーショナルなフラッシュが出回ったとしても、真偽を確かめて農家の方々の話に耳を傾ける人はいます。
ささやかながら、わたしもお力添えしたいと思っております。

(引用終了)

■写真 朝焼けの里山。この色はなんとなく今日の私の心情です。

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「放射能の時代」を農業バッシングで渡りきれると思わないでほしい  匿名氏のコメントに答えて

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こんなコメントが昨日ありました。欄外をご覧ください。

この類のコメントに多く見られるように匿名です。毎回言っていますが、匿名投稿は止めて下さい。覆面に背後から斬りかかられているようで気持ちが悪い。

一言で批評すれば、考えが足りない人ですね。誰かを社会的バッシングの対象にすれば、この「放射能の時代」を楽しく生きれるということのようです。

しかもそれが、反論できないだろうという者にだけに限定されているのが、スゴクいじましい。

たとえば東電、たとえば私たち農業者なんかです。東電は知りませんが、私たち農業界は一枚岩ではないので、私は叩かれっぱなしにはなるつもりはありません。

こういうコメントにあるよくあるパターンは、「お前はこうだろう」と勝手に決めつけてくることです。

たとえば「福島県は放射能汚染を隠蔽した責任がある」という意味のことを書いています。この人が言うように、ドイツの放送局のYouTube動画を、県行政が「隠蔽した」とすればこれは由々しき告発ですが、根拠ときたら飛躍の連続です。

福島中央放送が削除依頼をしたことが、そのまま福島県が隠蔽工作をしたことにすり替わっています。福島中央放送にそんなことを命じる権限が福島県にあったんですね。福島中央放送局は県営でしたか。

あるいは、土壌線量マップを「2万5千bq以上」で一括したのが気に食わないのかもしれませんが(私もおかしいと思っていますが)、あれをしたのは政府・文科省。福島県とはなんの責任もありません。

こういうのを印象操作と言います。福島中央放送が削除依頼した⇒福島県が命じた違いない。前者と後者をつなぐのは匿名氏の想像だけです。

こういうのを印象操作といって禁じ手です。使った人がバカにされます。相手が反論できない行政でなければ訴えられますぞ。

次にもう一回飛躍します。今度は「これで日本の農産物輸出はできなくなった」と決めつけます。なにが根拠かと言えば、YouTubeを福島の放送局が削除したからですって(笑)。

もう笑うっきゃない。日本米の輸出実績とかを調べて書いているのでしょうか。あるいは、農産物輸出の二国間協議などの国際貿易体制など知ってのことでしょうか。

まぁ、風評で売れないていどのニュアンスなんでしょうがね。ならば「できなくなった」なんて断定的な書き方はやめるべきでしょう。

農産物の輸出入って一般商品よりはるかに入り組んだ協議対象なんですよ。今回の放射能の一件でも、輸出規制をかけた国に対して、日本は一カ国一カ国協議して解除させています。

YouTube一本で「日本の農産物輸出ができなくなる」なんて、少しでも農産物貿易を知っていたら、恥ずかしくて書けやしない。

「自分がそう感じたから、そうだ」という、自分のシッポを噛んでグルグル回る犬のような論法です。

次いでもう一回飛躍します。「これで東日本の農産物も売れなくなるでしょう」ですか。

自分がどんどん妄想モードに入っているのが分からんのだろうな、この人。

願いましては、YouTube削除⇒福島中央放送が依頼⇒福島県の責任⇒日本の農産物輸出ができなくなる⇒東日本の農産物も売れなくなる・・・・まぁポンポンと気持ちよくホッピングしてますねぇ。

そして一気に匿名氏のいちばん攻撃したかった本丸の私たち農業者に攻撃が向かいます。

安全だという嘘を消費者につき騙しました。これから貴方達は非難されます。その報いは十分にあるのです」。

「報い」でけすか。農業が苦しむのは祟りじゃ~というわけですね。もう私ら農家もうんざりしているのですよ。こんなこと半年間も言われ続けているのですから。

私もいわばけじめをつける意味で、「原子力事故における日本農業失敗の研究」という記事を書きました。「失敗」研究なんて、わが業界で最初じゃないですか。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-a287.html

いちおうこれを読んでからにして下さい。「嘘を突き通した」というと、なんか私たちが詐欺師の集団のようですが、私たち農業者も真実を知る術がなかっただけです。

当時の3月4月の時点での放射能に対する国民的認識の水準と、私たちは大きく違ってはいません。政府の情報隠蔽の中で、私たちだけに放射能に対する特出した認識を求めるのは無茶な話です。

ですから、あくまでも「失敗」であって「犯罪」ではないのです。それはまったく違うことです。

第一、匿名氏さん、あなた怒鳴り込むところを間違えましたね。私は失敗は失敗で認めた上で、さぁどうしようかと考えるほうで、なにもかも居直って正当化する菅前首相のようなタイプじゃないですから。

ただ失敗は失敗として認めるのはやぶさかではありませんが、誹謗は誹謗だと言っておかねばなりません。

3月と4月にフォールアウトした放射線量の数値を隠蔽したのは、私たち農業界ではありません。あくまでも政府です。

4月の田植え期に、自分の田んぼの土壌線量がわからずに、田植えしていいものかどうか迷ったのは他ならぬ私たちなのです。むしろ、どんどん計って、どんどん情報を出してほしかったのです。

隠蔽と言われてもいたしかたがない行政の不作為をしたのは政府です。国は明らかな情報隠蔽をしていましたから。

SPEEDIなどの放射能飛散状況、炉心融解などの事故の重大状況の開示といった決定的ともいえる情報を隠蔽し続けています。

そして土壌線量は計らない、空間線量は県任せ、屋外藁や牧草についての警告を出さないで宮城県のみならず全国に飛び火させたりと、もう目も当てられません。

一方、福島県は十全とはいえないまでも、それなりに全力で対応しています。福島県ほど田畑の土壌線量測定した県はありませんし,水系の調査までしました。

当然農産物の検体数はダントツトップです。一桁多い。ほかの県ははるかにルーズでした。

こういうことを知って言っているのでしょうか。福島県や茨城県などの原発立地県は、ほかの県よりモニタリングポストの数ははるかに多いし、検査器材もずっと充実しているのです。

そういうことなどなにも知らないで、印象だけで告発者きどりはやめてほしいものです。

匿名氏さん、あなた攻撃する対象を間違っています。国の不作為を分かってから、福島県や農業者につっかかって来なさい。

それを、放射能の土壌計測会と除染をしようという私に対しても無差別爆撃をかけてどうするのですか。筋違いもいいところですよ。

あなたのような他人様を攻撃すれば、胸がすっとするなんて言っているような時期じゃないのです。

「放射能の時代」は、農業をバッシングしてどうにかなるほど気楽なものじゃありません。敵を福島県や農業におかないで、もっと広い視野を持って下さい。

これからは真剣に中期的にどうしようかという知恵を出し合い、実践せねばならない時期なのです。

3月4月の風評被害対応がどうしたという議論は、私からすればもうお終いにしたいテーマですね。そうでなくとも、もっと考えなきゃならないことはいっぱいあるんですから。

大人げないのかもしれませんが、もうこれでお終いにしたいので徹底的にやってしまいました。お許しを。

■写真 杉の樹にからまっている大蛇はなんでしょう。な~んと藤です。この藤は里山を荒らす大敵なんです。この写真のモノクロバージョンは一回アップしましたが、今回は元の色で。

           ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

匿名氏のコメント

 

FCTが著作権を保有している「爆発映像」を削除したものです。FCTの著作権を侵害していないので、FCTによる削除依頼は無効です。 

福島中央テレビがドイツの福島の放射能汚染の番組をYouTubeでアップロードしていたのを削除依頼して削除しました。 

これで日本は放射能汚染を隠蔽していると世界中に知れ渡りました。日本の信用がなくなりました。もう日本の農産物は輸出できません。また東日本の農産物も売れなくなるでしょう。全ては隠蔽する福島県の責任です。 

そして貴方達農業従事者にも責任があります。安全だという嘘を消費者につき騙しました。これから貴方達は非難されます。その報いは十分にあるのです。」

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中期的視野が必要だ。セシウム包囲網を作ろう!

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7日の計測研修は一か月の順延となりました。現在10月中旬をめどに考えております。 

主要メンバーのご母堂の葬式や所属する農法の全国集会があったりした上に、先生方との日程調整が土壇場で調整がつかなくなるなどの不手際がありました。 

遠方より参加申し込み頂いた皆様に、心よりお詫び申し上げます。再度ご案内をいたしますので、ご容赦ください。 

内容的にも、計測だけに偏らず、むしろ農業としてこれをどのように受け止めて乗り越えていくのかを深めていきたいと思います。 

物事には短期的な視野に基づいたものと、もう少し長い中期的な視野、そしてさらに遠くを見据えた長期的な視野があります。

短期対応の時期は終わりつつあると思います。

では、より中期的な視野に立った次のステップとはなんでしょうか。

私はこの半年の体験で面白いことに気がつきました。

いい田畑は放射能に対して強い耐性とでもいうべきものをもっているのです。もちろん降ってきた放射性物質はいい畑だろうと悪い畑だろうと共通の線量です。

しかし、そこから先が違うのです。土質や土の性格で、セシウムを閉じ込めてしまう田畑がある一方、すぐに植物へ移行させてしまうひ弱な土もあります。

今まで堆肥をしっかりと使ってきた田畑は、自分の「土中の牢獄」にセシウムを封じ込めてしまいます。

植物に悪さをするセシウムのことを遊離セシウムといいますが、この土の分子と結合しないで、ブラブラしてスキあらばカリウムに化けて植物にもぐり込もうとしていると思って下さい。

この悪玉セシウム(こんな言い方はしませんが)になりさえしなければ、セシウム自体は一定量は土中にあっても困らないのです。だって、人間には影響ありませんから。

ポイントはここです。悪玉セシウムを作らないで、土中の牢獄に閉じ込めてしまうことができればいいのです。

これは単なる深耕による希釈とは違います。希釈しても、植物に吸われてしまわれれば元の木阿弥となってしまいます。

そうではなく、希釈して、封じ込めるのです。セシウムに「土の牢獄」に入ってもらうのです。ザマーミロと言いたいですね。

ですから、私は土壌線量測定だけでは、真実は掴めないと思っています。あくまで土壌線量は残留放射線量を計るだけ。

問題はその先の、どうやって植物に利用させなくするのかなのです。

これは短期では回答がでません。放射性物質を吸いにくい作物から植え始めていったり、゛放射線量によって初めは思い切った除染作物も必要となる場合もあるでしょう。

それをどのようなステップで植えて行くのかという作付け体系を作ることも大事です。

そして、どのような堆肥が有効に悪玉セシウムを封じ込めるのかの検証も必要です。ゼオライトが効くとかどうとかいう次元の話ではなく、もっと大きなセシウム包囲網が必要なのです。

この研究には数年を要するでしょう。私が考えている中期的視野とはこのことです。

都市の消費者の方々にお願いしたいことがあります。それは田畑に放射性物質が出たくらいであまり騒がないでほしいのです。

土壌線量が1ベクレルあってもダメだなんて言い始めたら、私たち農業者はなにもできなくなってしまいます。

問題は、植物に吸わせず、利用させない「セシウム包囲網」を作ることなのです。

■写真 セミの亡骸を見ると、夏が終わるという気分になりますなぁ。

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7日の集会は延期いたしました

 

                お知らせ

かねてより告知して参りました7日の研修と講演の集会は、諸般の事情で開催が困難になりました。 

再度構想を練り直して、1か月ほど延期いたします。 

大変もうしわけありませんが、ご了承ください。 

濱田

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「放射能の壁」を溶かしていく道

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今日は素朴な話をします。

見た目には、私たちを取り囲む土も水も、海も、空もなにひとつ変わりはありません。

農業者という種族は、毎日それと接していますから、かえって分からなくなっている部分があるようです。

そりゃあ、観念的には分かりますよ。毎日放射線量とかセシウムとかを聞かない日はないんですから。

しかし、それは実感じゃないわけです。この「なにも変わりはない」という意識が、私たち農家の中に根強く存在します。

村に原発を作られるとか、最終処分場を作られるというなら分かりやすいのですが、いまの茨城や千葉の場合、農業経営の外堀を埋められるようにして、売り上げの激減、来年度米の予約の少なさなどでじわ~と真綿で首を締められ続けているといった雰囲気です。

炊飯にミネラルウォーターを使っているとか、西日本の食品しか食べないと聞くと、私たちはゲゲっとなってしまいます。

このあたりが、おそらくは都市の消費者との温度差で、私たち「被爆地」の農家のほうがはっきり言って鈍いでしょう。

4月でしたか、東京で脱原発のデモがありました。若い人を中心にして、ハデな格好で笛や太鼓を鳴らしながら町を練り歩いていました。

そのプラカードの中には、「東日本はおしまいだ」とか、「フクシマはヒロシマ」、「もう何も食べられない」といったものが多数あり、私たち「被曝現地」の人間を大いにシラけさせたものです。

当時の私たちは、正直言ってなにがどうなっているのか分からない状況の中にいました。原発事故がどうなっているかもわからないし、私たちの頭上と農地にどれだけの放射能が降ったのかなどわかるはずもなかったのです。

だから目の前の「風評被害」をなんとかしようと必死でした。「これは風評です。食べてください」、と。

結果、どうなったのでしょうか。世論のリーダーとなった武田邦彦氏は私たちのことを「金がほしさに危険な食品をバラまいている。地産地消は危険」と言っています。

早川マップの早川由紀夫氏は、「農民は市民社会の中に毒物をバラまくテロリスト」とまで言い切っています。

両氏の、日本農業を悪玉と決めつける言説は大きな支持を集めて社会に定着してしまいました。

これが現実です。いまや日本社会の3悪は、東電、原子力村、農業です。

この大きな「放射能の壁」をなんとかしないと大変なことになると思ったのは、この私ですらこの5月あたりからでした。

私たち「被爆地」の農業はまちがいなく被害者だと確信していましたから、「あんたらは金目当てのテロリストだ」とまで言われると、理解する以前になにを言われているのかわからなくなったというところです。

私は、この都市と農業との間にある厳然とした「放射能の壁」を溶かしていかねばと思いました。

「溶かしていく」というのはコッパみじんにすることではありません。それは無理だし、そのような対決の構造をとってもしかたがないだろうと思ったからです。

私たちが武田、早川両氏を論理的に批判しても、それはかえって「放射能の壁」を高くしてしまいます。反論された側は依怙地に身構えて、いっそうこの「壁」を堅く、高くするからです。

では、私たちも都市の人にならってミネラルウォーターでメシを炊くのかといえば、しないでしょうな(笑)。そんなことをしたら、自分の拠って立つ土と水を全否定することになるからです。

至ってあたりまえのことから始めたいと思います。

私たちの作物がどのような土で育ったのか。それは健康なのか、それとも違うのか。放射線量はどれだけ含まれているのか、いないのか。

里山はどうなのか、腐葉土はどうなのか。そこから湧きだす水はどのようになっているのか。

その上に立って農作物が健康であるのかを調べていきます。よくやられている外部スクリーニングではなく、刻んで測定します。これらを大きく地域マップにしていきます。

その上で除染計画を立てます。どのような除染方法が適しているのかを知っていきます。

そして、これらの事実を掴み、伝えていきます。一見迂遠な道ですが、それしかないと思い定めているところです。

「放射能の壁」はやがてなくなっていくことでしょう。そのときに、私たち日本農業がいっそう強くなっていなければなりません。

7日の集会は延期いたします。

先生方との日程調整がうまくいかず、開催が困難になりました。

大変もうしわけありませんが、1か月ほど延期いたします。

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