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2011年9月 6日 (火)

ツバメへの約束  南相馬市の百姓とツバメの話

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今日の日本農業新聞に宇根豊さんがこんなことを書いています。

「目の前に放射能に汚染された田んぼがある。かろうじて人間はそこで仕事ができるが、収穫しても米の汚染は基準を超えそうだ。

こういう場合には、国民は作付け禁止を支持するだろう。しかし、そこでクラス百姓は作付けしたいと思う。それはなぜだろうか」

宇根さんはこう問いを投げかけた後に、こんな南相馬市の農家のことを語り始めます。

市内全域で稲作ができなくなってしまった農家は、ある時ツバメが例年のように飛来したのを見ます。

ああ、今年も来たのか・・・と彼は思ったのでしょうね。そして続けて、今年は来ない方が良かったのに・・・とも思ったのかもしれません。

だって、来ても去年のような田んぼの土はないぞ、と。

ツバメは田んぼがないと巣が作れません。田んぼの床土は適度な水分を含んでいて柔らかいので、それをツバメはセッセと巣作りに使うのです。

ツバメに言葉をしゃべれるならばこう言ったのかもしれません。「ねぇお百姓さん、今年は田んぼを作らないの?どうしちゃたの?」、と。

田を耕しながら、ツバメがさらうように低空で飛び、土や時に虫などをさらって飛び去っていく風景を見ると、私たち農家はなんともいえない友情のようなものを感じます。

そうか、今年も来たか。お前もいい巣を作って、いい子を育てていきな、みたいな。

ついでに車庫の天井は車にボタボタ泥が落ちるから、納屋のほうにしてくれと頼む百姓もいるかもしれません。

さて、この南相馬の農家は、今年も飛来したツバメを見て、あ、そうかオレが田んぼを耕さなかったらこいつら困るだろうなと思ったそうです。

で、彼は今年は使うことがないだろうと思っていた稲作道具を手入れして、田んぼを一枚だけ耕したそうです。ツバメのためにだけ。

耕していい粘土の床土がいつもどおり練れて、水を張りました。すると、真っ先にカエルが喜びいさんで飛び込みます。

カエルはうれしそうに虫を食べて、ニョロニョロとした卵を田んぼの隅に生みました。それを目当てにサギも飛んで来ました。

上空にはトンビが旋回し、すきあらば田んぼに水を飲みに来たり虫を食べに来る小動物をひっ捕まえようと待っています。

耕作禁止の村の数少ない「田んぼ」というオアシスを求めて、村中の大きな生き物、小さな生き物、地上を這うように飛び鳥、高く飛ぶ鳥たちが集まってきたのでした。

田んぼという土と水のコスモスは、決して人だけのためにあるのではないのです。

ツバメが農家に田んぼを作ってくれと頼み、農家もそれに応えて田んぼを作ります。ツバメは害虫を食べて恩返しをしてくれます。

カエルもまた害虫を食べながら、油断をするとサギが来ます。サギもまたカエルが増えすぎて田んぼがカエル天国とならないようにパクッとやります。

こうした穏やかな均衡は、私たち人間が適度の手助けをすることで生まれています。

放射能があろうとあるまいと、米が売れようと売れまいと、私たち農業者は自然の一部だし、そうありたいと願っています。

それが今年も飛んで来てくれたツバメへの約束です。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

優しい気持ちになりますね。
以前「となりのトトロ」や「もののけ姫」の世界観と里山保護運動について語っていた、宮崎駿のインタビューを思い出しました。

都会に住む人が田舎の風景に癒されるというが、それは自然のものではない。人間が農林業を通して長年育んで生まれた自然との共生の姿です。

今回は放射能という見えない敵が相手なので複雑な気持ちです。
また、南相馬市も海側は線量は全然高くないんですよねえ…。

紀伊半島を中心に台風12号の甚大な被害が発生しました。
被害拡大の1つの要因は、林業衰退による山林の荒廃にあると考えております。
被害に合われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

昨年、NHKスペシャルで台湾の事例を検証した「深層崩壊」が、日本でも起きてしまったようです。

それにしても、今年は豪雪に巨大地震に水害に台風と、酷い災害が続きますね。
自衛隊さん大忙しです。

記事を読むのを楽しみにしてます。

人間の日常の営みを奪ってしまう、放射能は恐ろしいです。NHKのチェルノブイリの森を取材した番組で渡り鳥にガンが多く見つかるとありました。

今回の記事を読んで「チーズはどこへいった」という本を思い出しました。

北海道十勝でもツバメが牛舎の蛍光灯の上に巣を作り、ヒナを育てています。毎年来ることが農家の人も楽しみにしています。

台風による大雨も十勝西部と北部中心で我町ではそれほど多くはありませんでした。ただ当町は十勝川下流域にありますので、雨が止んだ後で水量が多くなりますから、油断はできません。川の水位を注視している状況です。
話は変わりますが、一人目は8月22日から10日間、二人目は昨日から10日間、東京のある団体の女性職員が酪農研修に来ています。

昨日雨の中牧場まで送って行ったのですが、超田舎の風景に感動していました。
北関東出身のこの方曰く、何処までも続く直線道路と畑の大きさに感動した!!との事。
我々には見慣れた風景でも、都会に住む人たちには感動ものなのですね。
昨夕から、初めての搾乳体験で牛の「尻尾やウンコ」攻撃と格闘していると思います。
色々経験して行ってもらたいと願っています。
一人でも多くの方々に酪農や農業の現実を知ってもらい、フアンになってもらうのと同時に、応援団となってくれる様にして行きたいと考えています。

北海道様。おひさしぶりです。このところお見えにならないので、私が不毛なことをやっているなとお嘆きかと心配しておりました。

コメントは久しぶりでしたが、毎日欠かさず拝見させて頂いております。
エステル様、匿名様の様々なご意見も拝見し、そのコメントのやり取りも見ていました。
言いたい事は山ほどあったのですが、反論すると余計に炎上してしまい、当ブログにも迷惑がかかるのではないか?と控えていました。

放射線測定研修会の延期も残念でしたが、是非実現して下さい。
紀伊半島及びその近隣で大きな被害をもたらした台風も、そろそろ通過しそうで、この後天気が回復する事を願っています。
狭い日本、その原因はそれぞれですが、いつ自分の地域が被災するか、自分が被害者になるか分からない状況です。
他人を批判する事も場合によっては必要かも知れませんが、よりよくなる(する)にはどうしたら良いか?の情報交換が出来たら、少しでも前へ進む事が出来ると思っています。
いつでも出来得る限りの応援はして行きたいと考えています。
濱田様も色々大変でしょうが、決して若くはありませんから、身体に気を付けて下さい。大事に使えば死ぬまで使えますから・・・当たり前ですね!!

秋には、こういう測定機も出るようなので、また、流れが変わるのかもしれません。

http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201109050010.html
堀場製作所、物質の放射能判定キットを発売-食品や土壌を簡易検査

すぐに安心!食品を自らチェック
2011年9月 4日
http://www.horiba.com/jp/process-environmental/news-events/news/article/15465/

http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kensa_0906.pdf

>現実を見てください。諸外国の日本の食品に対する評価です。私に文句を言うより外国を説得してください。

エステルさんに2回目の警告。今日のテーマとまったく関係のないことを書き込まないでください。ここは何度もいいますが、2chではありません。
はっきり言って大変に迷惑です。あなたには昨日の記事でしっかりと返答してあります。

外国で食べられようと食べられまいと、それは当事国の問題です。
おそらくは、かのTDZのような歪曲報道によって間違った情報が流布されているのでしょうな、としか言い様がありません。

あのような歪曲報道に、検証もなしに乗って金科玉条のように騒ぐあなたの知性を疑います。

そのような拝外主義はあまりみっともいいものではありません。

あともう一回、私の警告を無視したら無条件削除にします。HNを換えてもIPアドレスが残っています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110907/t10015430871000.html
農地除染で表土削り取りへ
土壌1キログラム当たり1万ベクレル以上あった放射性セシウムを、2000ベクレルから3000ベクレル程度と、コメの作付け制限の目安となる5000ベクレル以下まで引き下げる効果が確認できた

これって朗報ですかね。
でも一方で、今年、深く耕してしまって、稲を植えてしまった田んぼにとっては、効果がどうなるのでしょうか?

今年、稲を植えなかった農家には、救いかもしれないけれど、結局、周囲からセシウムがまた流入する可能性は否定できないし、そもそも、来年から作付けされて低濃度汚染米が大量に合法的に流通するのもどうなんだろうかと思います。

管理人さま、山形さま、私みたいな一主婦にコメント返してくださりありがとうございますm(__)m

そうですね。わかります。武田先生の発言は影響力が大きいですし、良くも悪くも放射能に関心を持つ人が増えたなかで、一部の人が心ないことを叫んでいる…。
許せない、というか私は農家じゃなくて主婦、なのですが、悔しい気持ちでいっぱいになります。
今まで東北関東の農家さんが一生懸命汗水たらして作ってくれた米や野菜を食べて私達は生きてきたわけです。
それをもうおしまいだなんてとんでもない暴言ですよね。

これから土壌をどう回復させていくか、武田先生にも詳しい見解をだしていただきたいですね。
食べてはいけない、その言葉の影響力……考えさせられるものですね。

でも、こうやって、諦めず放射能と戦う農家さんが居るってこと、このブログを通じて知るということも、また、大きな影響力を持つと思います。

管理人さま、東北関東の農家さん達、大変なときですが体には気を付けて頑張ってください!(いかにも主婦っぽい締めくくりですみません)笑

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