故郷で待つ人がいるから、避難できるのです
風邪を引いてしまいました。
先日台風の中でずぶ濡れになったからでしょうか。情けねぇ。グスっ、ズルズル~。3月22日の雨じゃなくてよかったなぁ。
こういう時に限って、こんなコメントが来て嬉しいなぁ~、グズ、ズルズル、ゴホ、ゴホ。
chelno
あなたのような考えの人がいるために、福島県で避難したくてもできない状況が生まれているのではないでしょうか。元気で農業をしている、といっても五年後にみんな病気で亡くなったら復興も何もないのではありのせんか?チェルノブイリでも除染はしたのです。しかし10年後にどうなったか知っていますか?津波が来るかもしれないといって避難する人をあなたは「臆病者」と呼ぶのでしょうか。
福島の人たちは、放射能という二回目の「津波」でまた逃げ遅れるのですか?
これはちょっと前の私の記事に対するものです。
ECRRのバズビーさんが日本で見逃したもの
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-d1ab.html
こういう人ばかりじゃないかと思うけれど、いわゆる「脱原発」デモをする人ってこんなかんじなのかしらね。なら、たまらないなぁ。
そう言えば、6日の脱原発デモでは、「福島から避難しろ」といったプラカードもありましたね。
福島の人が言う分には、それもありだと思っています。しかし、自分は安全地帯でヌクヌクとしておいて、他人が住む地域に「逃げろ」とはよく言うものです。
たぶんこのような人は、そこで人々がどのような暮らしや生産をしているのか考えたことがないのでしょうね。
何も特別なことをしているわけじゃありません。ごくあたりまえに暮らしています。「異常の中の日常」です。
母親は、毎日県のHPの空間線量を見て、子供に手袋をさせ、マスクを着けさせて送り出します。子供が帰ってくるまで毎日落ち着かない日々です。
父親は、避難した子供と奥さんに朝の電話して、帰ってまた電話します。「パパは元気だよ。お前らは今日はどうだった?」、と。この家族の声だけが唯一の励みです。にわか独身だなと苦笑いします。
小児科医は、今度の日曜日に保育園を除染する計画を立てています。もちろんボランティアです。子供の甲状腺の異常を早期発見するため、仲間の医師と定期回診を始めました。
学校の先生は、運動会の練習を時計をにらみながらやっています。2時間たつと、子供たちにうがいをさせて、手を洗って教室に追い返します。子供が外で遊びたいと駄々をこねられるのがつらいと言います。
農家は、まったく売れない時期にも作物を作りました。売れなくとも作ってしまうのです。グループで線量計を買って土壌測定を始めました。なんとか田畑を除染して元の健康な土壌に戻そうとしています。
多くの人が県外に避難しました。ひとつの住宅地で、あそこの、ここの家の子供や母親がつてを頼って避難しました。
避難した先では、それまでに増して大変な暮らしが待っていました。
そして個人的避難には一切の国の支援はありません。大変なお金がかかります。
避難した人たちも、帰ろう、いつか帰ろうと、住み慣れたわが家と郷里に帰ろうと歯をくいしばって、でも無理して笑って余所の土地でがんばっています。
そう思えるのは、郷里で暮らす人たちがいるからです。そこに帰れば、「お帰り」と言ってくれる人がいるからです。だから頑張れる。
逃げずに頑張ってとどまる人がいるから、避難できるのです。無人の福島になったら、どうして帰れますか。どこに帰ればいいのですか。
とどまっている人は、避難した人に「臆病者」なんて絶対に言いません。絶対に、断じて言わない。
「戻っておいで」と言います。
哀しみをわかっているから。苦しいことが先に待っていることが分かっているから。除染しながら待っています。
だから、余所の人に「逃げろ」などと安易に言ってほしくはありません。それはその人たちが、その家族たちのみが決めることです。
それを叫ぶのは、安全地帯に住む人の傲慢です。
住む土地を出て避難しなければならない人たちの、あるいは、家族が引き裂かれてしまった人たちの哀しさを考えない、ただの傲慢です。
■私の故郷である茨城の水田風景。ちょっと前の真夏の霞ヶ浦湖岸です。
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コメント
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ちょくちょくブログ拝見させてもらってます。最近ですが。
なんともなコメントをする人がいるものですね。
ただ、人の考えや価値観、とくに物事の伝え方等等、人それぞれ違うので…そう思うといろんな人がいるもんですよね。
とくに福島で農家やられてる方などでブログやツイッターしてる方々は心なしか批判の対称にターゲットとされる確率が高いのでは?と思われますがそのような人は批判をしたくてわざわざチェックしてると思うので、いちいちあまり気にしない方がいいと思います。
花火の件と同じです。
私的意見書かせていただきますと除染は、政府で規準ルールを作り
ちゃんと対策していかないと無理では?と思ってます。仮に無理かもしれないけどやはりやらない事には、だと思ってます。
危険だ、無理、いやいや安心だ、と言うのは誰にでも簡単に言えることですものね。基準値も一部地区を除いて一部作物を除いてはどう考えても50ベクレル以上とかいきそうにもないですし即刻基準値を下げ、各々の地区事に食品測定器を支給し出荷する前は都度農家ごと検査する、のが除染するよりとりあえず簡単なことだよな
なんて思ってました。
投稿: | 2011年9月24日 (土) 09時43分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110924/k10015811431000.html
福島 コメ本検査を重点実施へ
9月24日 4時20分
コメの放射性物質を調べる「予備検査」で、福島県二本松市のコメから国の暫定基準値と同じ値の放射性セシウムが検出されたことを受けて、福島県では、二本松市内のおよそ300地点で「本検査」を実施して、収穫されたコメを出荷できるかどうか判断することにしています。
福島県は23日、収穫前の稲の一部を刈り取って行う「予備検査」の結果、二本松市の旧小浜町で採取されたコメから、国の暫定基準値と同じ値の1キログラム当たり500ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表しました。二本松市では、これからコメの収穫が本格化し来月上旬にピークを迎える予定です。福島県では、収穫されたコメを調べる「本検査」を実施していますが、二本松市全体を重点区域に指定し検査地点を計画していた38地点からおよそ300地点に増やして、コメを出荷できるかどうか判断することにしています。福島県は「本検査を重点的に行うことによって、安全が確認されたコメだけが市場に出荷される態勢を確立したい」と話しています。また、今回の水田の土を調べたところ、1キログラム当たりおよそ3000ベクレルの放射性セシウムが検出されたということで、福島県ではコメから放射性物質が検出されるまでの状況も詳しく調べることにしています。
米からセシウムが500Bq/Kg以上検出されたのも問題ですが、
「今回の水田の土を調べたところ、1キログラム当たりおよそ3000ベクレルの放射性セシウムが検出された」という田んぼから500の米、、というほうが大問題です。
これまでの1例報告での米大丈夫論とか、意外と米は大丈夫論を根底からひっくり返すかもしれませんから。
投稿: 転載 | 2011年9月24日 (土) 12時20分
500bqは私もショックでした。おそらくホットスポットのものでしょう。
事前に作付けの田んぼを綿密に土壌測定しておけばよかったのにとおもいます。
以後、「福島米」は大変な苦戦を強いられると思います。そしてそれは東日本全体に波及する可能性があります。まだ予断を許しませんが、なんとも言い様がない・・・。
投稿: 管理人 | 2011年9月24日 (土) 14時54分
このコメントを送ってきた人は「10年後にどうなったか知っていますか?」ともったいぶって言っていますが、私はどうなったかを知りません。
どなたか知っている人がいらっしゃったら教えていただけませんか。
投稿: 八目山人 | 2011年9月24日 (土) 14時55分
>おそらくホットスポットのものでしょう。
もし福島県や農水が「精米すれば500以下」という言い訳をしたら最悪です。今からでも土壌調査をやり直して合理的な説明をしないと現在の評価システムが総崩れになってしまいます。
投稿: otto | 2011年9月24日 (土) 22時47分
19時のNHKのニュースで、この農家の無念の声が放送されていました。
同じ内容の朝日と毎日のニュースです。
http://www.asahi.com/national/update/0924/TKY201109240420.html
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110925k0000m040085000c.html
福島県によると、あわせて行われた土壌検査の数値が3000Bq/kgと報道されていますが、これでは移行係数とのつじつまが合いません。
農作物のセシウム吸収は、私達が今まで予想していたものよりも複雑で様々な要因が絡むとしたら、一株一株稲の検査をしなければなりません。
otto様が危惧しているように、合理的な原因が明らかにならねばなりなせん。
新しい情報を待ちたいのですが、今のところ思うには、
①山裾の田なので絶えず、セシウムが結びついた土壌粒子が供給されていた。
②樹木から伝わって落ちてくる雨水のセシウム濃度が高く、その水が田に集まっていた。
http://www.mainichi.jp/select/weathernews/news/20110914k0000m040134000c.html
③雪によりセシウムがもたらさせ、吹き溜まりの雪が溶けて、高濃度の汚染になった。
などが考えられるのではないでしょうか?
とにかく、詳しい土壌検査が必要です。
福島県も山間部に理由があると考えているようです。
福島産米、山間部で追加の予備検査実施(2011年9月24日22時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110924-OYT1T00695.htm?from=navr
こちらのブログも参考になります。
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-409.html#more
それから、今回の福島県の検査がどのようなものだったかは、福島県のHPの「米の放射性物質調査の実施について」
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=25236
あまり詳しく検査手法は記載されていませんが・・・。
投稿: 南の島 | 2011年9月25日 (日) 00時40分
管理人様
お見舞い申し上げます。
早くお元気になられることを祈ってます。
*************
そもそもこういった議論の根本は、被曝の限度量をどうとらえるかが問題なのだと思います。
自然由来の放射線以外は浴びるべきでないという学者もいます、また、1mSvまでなら大丈夫、20mSvまでなら大丈夫、100mSvまでなら大丈夫という学者もいます。さらに、少量の放射線は体に良いから浴びるべきだとする学者もいます。
学者の発表ですから何らかのデータに基づいて出された結論であることは疑いがないと思います。
それなのになぜ、こんな事になるのでしょう。
自分の意見と合わないときは「データの都合のいい部分を使ったからだ」と言われる方がおられます。
データが十分にあれば知見は自ずと1つの方向に集約されていくものです。逆に言えばデータが少ない時でなければバラバラの知見は生まれにくいのではないでしょうか。
もちろんどんな問題でも異論を唱える方は必ずいらっしゃいます。しかし、データが多くなればなるほど、概ね知見は同じ方向を向くようになりますので、少数意見になるのは常です。
被曝の限度量の知見の差は、データの不足が招いているのではないでしょうか。
もし、データ不足の中で出した知見であるならば、どの意見が正しくて、どの意見が間違っていると言うより、現状では「はっきりしない」、「分からない」というのか正しい認識のように感じます。
これこそこの問題の真髄なのではないでしょうか?
はっきりしない中でのリスクをどうとるかは個人にゆだねられてしまうのは致し方ないことだと思います。
はっきりしない中で数値(被曝の限度量)を根拠に議論しても平行線をたどるのは目に見えています。また、意見がぶつかっても相手を納得させることは難しいでしょう。
この問題でもどかしいのは、一朝一夕で片づくものが1つもないと言うことです。
正しい、正しくないで議論するより、どこに落としどころを見つけるかの方が建設的な議論になると思うのですが。
chelno様、もし差し支えなければ、現実をふまえた上で、どうすることが最善なのかご意見をおうかがいできれば幸いです。
投稿: のりー | 2011年9月25日 (日) 04時08分