大阪は全国有数のホットスポット? ただし、自然放射線量のですが
今まで東日本の放射線量ばかりに目が行って、関西の線量は気にしていませんでした。
調べてみると、高いですね。東関東と同じか、福島を除く東北各県よりもやや高めな数値がでています。
こんなかんじです。
・大阪府・・・・・・・・・・・・・・・・・0.076マイクロシーベルト /時
・宮城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.061
・岩手県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.023
・茨城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.083
・東京都・・・・・・・・・・・・・・・・・0.056
・神奈川県・・・・・・・・・・・・・・・0.049
私としては、あまりこういう比較をしても仕方がないとは思いますが、なにぶん「0.1マイクロシーベルトの線量の差も一年間で蓄積されると1ミリシーベルトの限界を超える」と主張しているゼロ・リスク派の人たちにとっては死活問題なはずです。
なにせ、関西の一部の人が「灰ひとひらでも汚染される」と言った岩手県の実に3.7倍も放射線量が高いのですから。
これがいわゆる預託線量というもので、あらかじめ体内にこれだけあるぞという放射線量です。成人なら放射性物質が体内に入ってから50年間、子供は70年間のスパンで調べます。
なお、この1ミリシーベルト被曝限界説は武田邦彦氏が主唱しているものです。
低線量被曝について、小出裕章氏はこう書きます。
「人体に影響のない程度の被曝などというのは完全に嘘で、どんなわずかな被曝でも、放射線がDNAを含めた分子結合を切断・破壊するという減少が起きるのです」(「原発のウソ」)
ところで、この預託線量の大部分は、宇宙と大地の底から照射される自然放射線源から来ています。
宇宙飛行士の山崎さんがおめでたで宇宙飛行士をお辞めになったのは、この宇宙から来る放射線量が大変高いからです。
宇宙飛行士の被爆量は、原発内よりはるかに高く、宇宙船内で100~200ミリシーベルト、船外活動でもすれば一気に400~500ミリシーベルトを浴びることになります。
宇宙飛行士というのは、私も子供の時に憧れましたが、そう考えると大変な職業ですね。
だいたい1年間で、宇宙からの放射線は0.3ミリシーベルトだと言われています。
もうひとつの自然放射線が、地底から来るものです。地球ができた時より地殻内部からフツフツと放射され続けています。
カリウム(カリウム40)、ラジウム、ラドン、ウランなどといった放射性物質が絶えず地表に向けて放射線を出しています。
地殻プレートが地表に近いほど大量の自然放射能が存在します。花崗岩が多い地方にウランが採掘されるのはそのためです。
そういえば、日本のウラン採掘場所は西日本が圧倒的ですし、阪神淡路大震災もプレートの境目があったために大災害になりました。
人間だけではなく地球上の生物は等しくこの膨大な自然放射線の中で生き抜いてきたわけです。
宇宙からの放射線は世界で平均していますが、地殻からの自然放射能は地域の地殻構造で違います。
下のマップを見てください。赤色は0.127マイクロシーベルト/時以下を示す地域で世界でももっとも高い部類に属します。
日本では大阪府、広島県などを中心とする地域の放射線量は高いといえます。
東日本はおおむね濃い青である0.00561~0.0178マイクロシーベルト/時と世界でも最小の放射線量地域です。
自然放射線量において大阪は、東日本(ホットスポットはありますが)の7.5倍の放射線量が常に存在する地域だといえるわけです。
大阪の宇宙からと地底からの自然放射線量はおおよそ0.4マイクロシーベルト/時あるようです。
念のために書き添えますが、自然放射能のほうが人工放射能より安全なんてことはまったくありません。そりゃそうでしょう。ウランだって自然放射性物質なんですから。
大阪は福島第1原発の放射能被曝を受けていません。3月12日の前後で線量に大きな変化はみられないようです。
にもかかわらず、大阪府は東日本と同じか、それ以上に高い放射線量が常に存在します。
大阪は自然放射能において全国有数のホットスポット(そう呼びたければ)なのです。
しかし大阪府が、東京都と比較してガン患者が多いという統計データは一切ありません。
ですから、大阪に行くと被曝するぞ、などという馬鹿なことを言う気もありませんし、大阪の農産物を食べたら健康を害するなどと言うデマを飛ばす気もさらさらありません。
むしろ、このていどの放射線量ではまったく健康に問題がないということを大阪が証明してくれていると考えるべきでしょう。
私が地域ごとの放射線量が0.1マイクロシーベルト違っても青筋を立てないのはそのようなわけです。
■写真 わが家の愛犬モカ太郎。チビの頃は可愛かった。今はデカクなりおって、色気づくし。
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