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2011年9月20日 (火)

「汚染地域」にも色々あり、「除染」方法はそのレベルに合わせないとダメだ

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今まで、いろいろな場所で言ってきた、私のセシウム除染についての考え方をまとめてみたいと思います。 

まず前提として、放射線量によって土地を切り分ける必要があります。高線量地域と中線量地域、そして低線量地域です。 

なんだお前は、線量が高い地域を差別的に見るのか、という声が必ず来ますが、そうではありません。 

一括りで「被曝地域」で一括すると、見えるはずの課題が見えにくくなってしまうからです。 

たとえば、今農水省が除染実験をしている飯館村には2万5千bqを超える地点があります。 

一方、私たち茨城においては1000bqを超える地点というのはほとんどなく、おおむね100~500bq以下に抑えられています。 

この両者の地域を、一括して「被爆地」という分かりやすいが乱暴なカテゴリーに放り込んで、一律の除染方法をしてもしかたがないのは分かりますね。 

線量によって除染方法は変えていかねばならず、飯館でこうだったから、逆に茨城でこうだったから、と言って、それはあくまでその地域の知見・経験であって、必ずしもそれは他地域でのモデルになるわけではないのです。 

ところで、いちおうの土壌放射線量レベル区分はこうです。あくまでも暫定的なもので、変化する可能性はあります。

・レベル1・・・・0~200bq未満
・レベル2・・・・200以上~500未満
・レベル3・・・・500以上~1000未満
・レベル4・・・・1000以上
 

更に高線量を想定するとなると、あくまでも私見ですが、こうなるかもしれません。 

・レベル5・・・1000以上~5000未満
・レベル6・・・5000以上~2万5000未満
・レベル7・・・2万5000以上~5万未満
・レベル8・・・5万以上
 

私はレベル1~かちレベル2までていどは低線量地域と考えています。 

そしてレベル3からレベル4(あるいは5?)までは中線量地域、それ以上は高線量地域ととりあえず考えています。 

これも閾値ではないのですから、白黒二分法はなくなだらかなグラデーションだと思って下さい。そう考えないと、1001bqは高線量地域なのかというバカなことになりかねません。あくまで目安です。 

さて、こうして農水省の除染実験報告書を読むと、除染方法はほんとうに限られているのだなと分かります。
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf 

要するに基本は、
①削り取る
②希釈して封じ込める
③除染植物を植える

といった3種類しかないようなのです。 

今後、おそらく国は除染について多額の研究費を投入するでしょうから(←しなかったらバカです)、さまざまな新兵器や除染資材がでてくる可能性はあります。

しかし、いずれにしてもこの3種類の方法のバリエーションか、その組み合わせではないでしょうか。

線量ごとに見ていきます。 

■低線量地域や中線量地域は、どうにでもなるというと語弊がありますが、いくつかの方法とその組み合わせがあります。 

①深耕ロータリーによる希釈
②ゼオライトなどのコロイド(粘土)資材の投入によるセシウム封じ込め
③移行係数の少ない作物を中心にした作付け体系への変更
 

低-中線量地域の最大の特徴は、「農作業の一環としての除染」が可能なことです。 

こと改めて、「さぁ除染をやるゾ」とハチマキを締めなくても、日々まっとうな農業をしていれば間違いなく線量は低下していきます。 

ただし、このような除染活動をしても、消費者が納得する土壌汚染レベルである0~2桁台まで下げるのは容易なことではないでしょう。 

それまで私たちは、長期間に渡って根強い反発と闘っていかねばなりません。同時に、消費者に根気よく自分の土地の状況と、今なにを農業者が頑張っているのかをていねいに説明していく必要があるでしょう。

私は低-中線量地域においては、この消費者への説明を真剣に考えるべき時期にとうに入っていると思っています。

いつまでもおざなりに、「暫定規制値より低い」とか、「一回のレントゲン検査より被曝線量が少ない」などというトンチンカンなことを言っている時期ではありません。 

■レベル7以上(2万5千bq以上)の高線量地域は、選択肢が限られています。

①表土削り取り法。表土4㎝を削り取り撤去する。
②プラウ(鋤)による反転法。後日詳細をアップしますが、農水省は高線量地域には不適と判断。
③デンマークの表層埋没耕耘法。これも後日詳細をレポートしますが、表層5㎝をはぎ取って50㎝に埋没させ、5~50㎝層をそのまま表土として乗せるという方法。(「現代農業」8月号による)

このように「除染」と一口に言っても、どの程度のレベルの放射線量をどこまで下げるのかという目標設定が必要です。

消費者のパニックが農業者に伝染して、2桁台の汚染でプラウをしてしまったり、ヒマワリを植えたりしてもあまり意味がありません。

まずは、「自分の土地の放射線量の状況を知ること」、常識的ですがこれに尽きます。

■私の除染についての考えは、ちょっと古いですがこちらをご覧ください。
「続・セシウム除染Q&A1回~3回」 8月18日~21日
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-02b3.html  

■写真 ネコジャラシの上にバッタ。居心地が悪くないかね。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

少しポイントがずれてしまうコメントなんですが・・・
今年の稲作で100Bq前後検出した水田があります。
例えば、
福島市(旧小国村)Cs134:58Bq/kg、Cs137:78Bq/kg
いわき市(旧久の浜町)Cs134:54Bq/kg、Cs137:70Bq/kg
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/mon230912-14r.pdf
宮城県白石市(旧越河村)は合計で101.6Bq/kg
他にも50以上は結構あります。

おそらく、普通に耕耘してセシウムは20cm程に均一に存在しているでしょう。数年後にCs134が減れば多少減りますが、何か対策を取る必要があると思います。このまま食用として米を作ってはいけないでしょう。転作や非食用など策はありますが、どうしたら良いでしょうか?

これらの水田は何Bqだったのか?土質は?気になるところです。
まだ耕耘されていない圃場で同じ過ちをしないためにも、普通に耕耘したらいけないラインを早急に解明する必要があると思います。


デンマークの表層埋没耕耘法、気になって検索して見ました。これはすごい技術ですね。濱田様の続きの記事が気になります。

除染は本当に難しい問題ですね。

今の暫定基準は、あくまでも緊急時に適応する数値だと思います。いずれ、平常時の数値に戻す時期が訪れます。これがいつになるか分かりませんが、10年以上先なんてことはことはまずないと思います。

その時、除染の進捗状況によっては、作物を作れなくなってしまう農地が出てきてしまう。なんとしてもそれだけは避けてもらいたい。

しかし、だらだらと除染の進捗状況に合わせて緊急時の数値を維持すれば、安全・安価な外国産農産物の流入を招きかねません。

となると、除染のスピードアップは急務ですが、現実問題として費用・マンパワーの問題もあって難しい。

比較的汚染の低い地域には、除染ではなく、防染という概念があってもいいのではないでしょうか。
移行率の高い作物の作付け制限や、「深耕ロータリー方式」などを使って、汚染されない作物を作る環境を整備するということです。

しかし、この概念は汚染の低い地域の除染をあきらめることとセットになる訳ですので、これで農家の方の多くが納得をされるかどうかというのも気にかかるところです。

久しぶりに早川氏のブログを覗いてみたら、
2011年コメのセシウムの地図を作っていました。
http://kipuka.blog70.fc2.com/blog-entry-419.html

まだ未完成みたいですが、わかりやすい地図です。

南の島さん。米で100を超えるというのは、農水省の移行係数(高すぎると思いますが)にすれば、土壌は1000bq以上あるということですね。
私の分類で言えばレベル5か・・・。

しかも、耕耘して1000bqとすれば、耕耘前には数千bqあったということです。
ただし、あの測定値はモミですので、セシウムはもみ殻と米ぬかに多く吸収されてしまって、白米への移行は少ないのです。
ですから、精米後にもう一度測定してみれば、かなり実態に則した数値が出るはずです。

いずれにせよ、暫定規制値ではまったく問題ないのですが、なにせ500bqですからね。だれもあんなバカな数値は相手にしていません。

私個人としては食用でも問題ないとは思いますが、市場性があるかどうかとなると別問題でしょう。

非食用となると米油を抽出するくらいしか思いつきません。おそらく油にすれば絶対にNDです。

飯館の実験は意義ありますが、実測で3月下旬段階で土壌測定をしていれば、耕耘前のリアルな数値がわかったのにと悔やまれます。

早川さんのセシウムマップは私も見ています。詳細は検討していないのですが、ほぼ氏の飛散マップと相似していますね。

のりーさん。「防染」ですか。なるほど言い得て妙だ。私はかねてから低線量地域ではこの考えに近いですよ。

セシウムを粘土に結着させて植物に利用できなくするというのがもっとも合理的です。

「除染」という言葉が持つ、「放射性物質を除去する」(農水省飯館村実験報告書の表現)にこだわりすぎると、現実の解決からどんどん遠のいていってしまいます。

そのために土壌線量区分をしっかりして、対応マニュアルのようなものを作っていかねばなりません。

管理人さま
ご存知かもしれませんが、茨城県で水戸と鉾田でセシウムが検出された玄米については、白米にして検査し、検出がないとの結果が出ていました。玄米50Bq/kg程度では白米では出ないようですね。(これをきちんと知事がPRすれば良いのに)
http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/nousanbutsu/20110905_02/

この間、一般の市民の内輪の勉強会で移行係数の話などを報告しましたが、「それでも私は買わない」といった反応の方もいて、いったん疑心暗鬼になった消費者への説明の難しさを痛感しました。(それでも地道に説明していくしかないのでしょうが。)
大栄の知り合いの農家の方と話した時には、「地域であった放射能の講習会の資料がわかりやすかったので、コピーして親戚や知人に配っている」と言っていました。「知ること」「測ること」、そして「伝えていくこと」の大切さを改めて感じています。

南の島さま
千葉県でセシウムが検出された2ヶ所について、地名が載っていたので土壌図で土質を調べてみました。
(圃場の場所が特定できないのであくまでも推定ですが)
白井市谷田 細粒強グライ土もしくは黒泥土
市川市大野町 黒泥土もしくは泥炭土
でした。(泥炭系の土質だとチェルノブイリの知見ともあわせて納得がいくのですが。)

福島市旧小国村は現在の福島市大波(飯館村から福島市の谷沿い)で高い検出値もわかる気がします。
私が不思議に思ったのは福島県棚倉町(旧棚倉町)98Bq/kg(阿武隈山地で空間線量も0.2μsv/h台)ですが、「比較的高いセシウムが検出された棚倉町のほ場は、山間地の扇状地にあり、沢の山水を利用していた。県は、周辺の空間線量率や土壌の放射性物質濃度が低い地域であることから、森林などから流れ出るセシウムを含んだ水が影響したとみている。」9/10福島民友を読み、地質に目をとられていたのですが、地形も要因の一つに考えなくてはと思いました。

ろこ様、ありがとうございます。

早川氏のコメの検査の地図を見ると、改めて色々な発見があります。
例えば、いわき市大久ではCs134-ND, Cs137-11Bqなのに、2kmほどしか離れていないいわき市久の浜でCs134-54Bq,Cs137-70Bqだったりします。
確認してみましたが、8/30の文科省の2kmメッシュの調査図
http://twitpic.com/6diuc1
でも予測できません。こういうことは、濱田様は何度も指摘してました。

きめ細かい検査・調査の必要性を実感します。

ろこ様。南の島様。私も過去何回か消費者との集まりで土壌からの移行係数と、更に白米への移行係数について説明をしました。

しかし数字は数字でしかありません。事故時でダマされ、暫定規制地でもまたダマされたという二重の不信感が消費者に根強くあるために聞く耳を持たないという人もいます。

結局、今、私たちが実測しているのはそのような彼女たちを見ているからです。

私たちが自ら畑や農産物の放射線量数値を計って公表していかねばこの壁は崩れていかないでしょう。

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