中期的視野が必要だ。セシウム包囲網を作ろう!
7日の計測研修は一か月の順延となりました。現在10月中旬をめどに考えております。
主要メンバーのご母堂の葬式や所属する農法の全国集会があったりした上に、先生方との日程調整が土壇場で調整がつかなくなるなどの不手際がありました。
遠方より参加申し込み頂いた皆様に、心よりお詫び申し上げます。再度ご案内をいたしますので、ご容赦ください。
内容的にも、計測だけに偏らず、むしろ農業としてこれをどのように受け止めて乗り越えていくのかを深めていきたいと思います。
物事には短期的な視野に基づいたものと、もう少し長い中期的な視野、そしてさらに遠くを見据えた長期的な視野があります。
短期対応の時期は終わりつつあると思います。
では、より中期的な視野に立った次のステップとはなんでしょうか。
私はこの半年の体験で面白いことに気がつきました。
いい田畑は放射能に対して強い耐性とでもいうべきものをもっているのです。もちろん降ってきた放射性物質はいい畑だろうと悪い畑だろうと共通の線量です。
しかし、そこから先が違うのです。土質や土の性格で、セシウムを閉じ込めてしまう田畑がある一方、すぐに植物へ移行させてしまうひ弱な土もあります。
今まで堆肥をしっかりと使ってきた田畑は、自分の「土中の牢獄」にセシウムを封じ込めてしまいます。
植物に悪さをするセシウムのことを遊離セシウムといいますが、この土の分子と結合しないで、ブラブラしてスキあらばカリウムに化けて植物にもぐり込もうとしていると思って下さい。
この悪玉セシウム(こんな言い方はしませんが)になりさえしなければ、セシウム自体は一定量は土中にあっても困らないのです。だって、人間には影響ありませんから。
ポイントはここです。悪玉セシウムを作らないで、土中の牢獄に閉じ込めてしまうことができればいいのです。
これは単なる深耕による希釈とは違います。希釈しても、植物に吸われてしまわれれば元の木阿弥となってしまいます。
そうではなく、希釈して、封じ込めるのです。セシウムに「土の牢獄」に入ってもらうのです。ザマーミロと言いたいですね。
ですから、私は土壌線量測定だけでは、真実は掴めないと思っています。あくまで土壌線量は残留放射線量を計るだけ。
問題はその先の、どうやって植物に利用させなくするのかなのです。
これは短期では回答がでません。放射性物質を吸いにくい作物から植え始めていったり、゛放射線量によって初めは思い切った除染作物も必要となる場合もあるでしょう。
それをどのようなステップで植えて行くのかという作付け体系を作ることも大事です。
そして、どのような堆肥が有効に悪玉セシウムを封じ込めるのかの検証も必要です。ゼオライトが効くとかどうとかいう次元の話ではなく、もっと大きなセシウム包囲網が必要なのです。
この研究には数年を要するでしょう。私が考えている中期的視野とはこのことです。
都市の消費者の方々にお願いしたいことがあります。それは田畑に放射性物質が出たくらいであまり騒がないでほしいのです。
土壌線量が1ベクレルあってもダメだなんて言い始めたら、私たち農業者はなにもできなくなってしまいます。
問題は、植物に吸わせず、利用させない「セシウム包囲網」を作ることなのです。
■写真 セミの亡骸を見ると、夏が終わるという気分になりますなぁ。
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コメント
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良い土壌はセシウム移行も少ないと言うのは興味深いです。
粘土質や堆肥、腐葉土など(多孔質な物?)が適度に含まれる土地ということが想像されますが、本当に中期的な研究が待たれますね。
何かハッキリとしたデータが出てくるのではと。
アブラゼミが引っくり返って亡骸になり、蟻が列を作る…毎年見かけるちょっと物悲しい光景ですね。
自然の循環ですが。
投稿: 山形 | 2011年9月 3日 (土) 08時14分
畑、田んぼ、それは、一つの小宇宙と比喩されます。
きっと、自然界には、放射性Csを封じ込める微生物かなんかが、いるかもしれません。
鉄を酸化させて生きている菌(鉄酸化菌)がいるんですから、Csを餌にする菌がいるのではないでしょうか。
投稿: Cowboy@ebino | 2011年9月 3日 (土) 13時33分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110903-00000040-mai-soci
アンケートが採られました。
投稿: りぼん。 | 2011年9月 3日 (土) 18時28分
http://www.youtube.com/watch?v=fk6-8T75Q9w
ZDF Frontal21 福島原発事故の影響 (日本語字幕) 2011/8/26 OA
FCTが著作権を保有している「爆発映像」を削除したものです。FCTの著作権を侵害していないので、FCTによる削除依頼は無効です。
福島中央テレビがドイツの福島の放射能汚染の番組をYouTubeでアップロードしていたのを削除依頼して削除しました。これで日本は放射能汚染を隠蔽していると世界中に知れ渡りました。日本の信用がなくなりました。もう日本の農産物は輸出できません。また東日本の農産物も売れなくなるでしょう。全ては隠蔽する福島県の責任です。そして貴方達農業従事者にも責任があります。安全だという嘘を消費者につき騙しました。これから貴方達は非難されます。その報いは十分にあるのです。
投稿: | 2011年9月 3日 (土) 23時20分
上の匿名のコメントが典型的な武田さんの信徒の方のものです。
線量の数値は私たち農業者が隠蔽したわけでもなく、あくまでも政府です。数値がわからずに困ったのは私たちもそうなのです。
それをあたかも私たち農業者が隠蔽をして嘘を並べたと書いています。
私はとっくに(このブログをお読みの方はご承知でしょうが)このことを総括して、農業の失敗もあったことを認めています。
ただし、事実関係としても私たちが隠蔽したわけでもないし、当時の3~4月の状況で国民一般の放射能にたいする認識は、特に私たちだけが特出して高かったわけではありませんでした。
いまでこそ主婦もあたりまえにガイガーカウンターを持っていますが、3月4月にそんんな計測器があることや、計測方法がわかっていましたか。
あるいは私たちにだけなにか内部情報を与えられていて、政府から「ほんとうは高い線量だが、出しなさい」といわれたわけでもありません(苦笑)。
このコメントは時系列を読み間違っている上に、本記事のように計測と除染をしようという私たちに対しても無差別爆撃をかけています。
農業者は、消費者がそうであるように一枚岩じゃないのですよ。
今後このような他人様を攻撃すれば、なにか胸がすっとするような言説では、なにか次の展望を見いだせるとも思えません。
武田さんは優秀な啓蒙者でしたが、煽動者でもあったというのが、このコメントを読むと分かります。
まこと、不毛な言動ですが、あまりにも典型的なので、削除せずにそのままとします。
投稿: 管理人 | 2011年9月 4日 (日) 05時39分