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農水省「除染方針」は、とてつもない事故処理利権を農水省にもたらすだろう

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9月14日、農水省が待ちに待った農地除染の農水省方針を出してきました。いや、遅いよ、農水省さん。もう半年たっているんですから。 

こういう時期に出してきたというのは、世間常識に照らして言えば、稲刈りが終わった頃を見計らって、ということです。つまり、米という農水省の最大の省益がひととおり終了してから、おもむろに「はい、除染しましょうね」ということになります。 

この農水省の除染方針なるものは、まったく新味がありません。このていどの技術上の知見なら、私たちはとっくに民間レベルで知っていました。

ヒマワリが日本の風土では吸収率が低いのは5月には知られていたことですし、牧草をはがして客土したら97%落ちたなんて、4月頃聞いていたらタメになったんですが。

私の除染に対しての考えは、「続・セシウム除染Q&A1回~3回」をお読みいただくようにお勧めします。8月18日~21日です。
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-02b3.html
 

さて、優秀な農業技術官僚と研究施設や試験場を各地に持つ農水省が、半年もかかってこのていどの知見しか農業者に与えられないとなると、その存在理由を問われるでしょう。 

私は故意に除染方針を提出することを遅らせた、いやより正確に言えば、逆にこの水稲生産のサイクルにゴールを決めて農水省は動いたと思っています。 

農水省にとってコメは、ひとつの作物の域を超えた巨大な「聖域」です。それを護持するために減反やMA米などのという「必要悪」が存在しています。 

そして、農水省の末端にいたるまでの膨大な官僚機構もまた、この減反政策の護持のためにあるといったら言い過ぎでしょうか。 

とまれ、農水省は農地の除染という緊急の課題を、被曝現地に生きる人々の目線では考えていませんでした。 

霞が関一丁目一番地が考えていたのは、自分の耕地の汚染状況を知る由もなく、日々放射性物質を含んだ土埃を吸いながらながら耕やす私たち農民でなかったことだけはたしかです。

まして消費者など眼中にはありません。消費者は、怯えさせない程度の情報を出せばいいだけです。怯えさせるとコメを買わなくなっては困るからです。 

広大な面積をほんのお印だけ計測して、それで検出されなければ上等。 

よしんば出ても、そもそもの土壌やコメの暫定規制値はバカ高いですから、「規制値以下で安全」。 

民には知らしむべからず、よらしむべし。これが農水省などの政府の一貫した放射能事故対策のベースにある考え方です。 

さて、内容的なことにも触れておきましょう。新味はゼロですが、やや驚いたのは、稲の作付け基準である土壌放射線量の5000bqを超える土地に関しては3~4㎝を排土して、新しい土と入れ換える客土としたことです。 

この方法によると、日本農業新聞(9月15日・欄外参照))の計算ではこうです。 

・表土1㎝を削ると出る土の量・・・・・・・・・・・・・・・100t
・想定される福島県内の規制値以上の耕地・・・・8300h
・想定される処理し保管すべき土壌の量・・・・・・・300万t
 

いったいどれだけの大型スクレイパーとダンプがいるのかしら?考えるだけバカバカしいから止めました。 

おそらく今の土地改良事業(*水田の整理統合、近代化のための整備事業)の何年分をいっぺんにブチ込む規模の農業事業となること必至です。 農業事業というより、もはや超大型土木事業です。

気が遠くなるような巨額な税金を投入して、農水省の放射能事故処理利権が確定するというわけです。さすがころんでもただ起きない農水省です。 

「東北復興」という魔法の呪文で、巨額の金を動かす鍵を農水省は手に入れようとしています。

ところで、その捨て場ですか・・・(ため息)。 

よもや安直に、避難地域になどと言わんで下さいよ。除染はおろか、実地計測ひとつしていない地域に、いきなり他地域の汚染土壌を持って来たら、避難民に対して「もうお前ら、帰って来るな」といわんばかりですから。 

チェルノブイリのように、周囲になにもない広大な荒野にポツンと処理施設を作って、一区画が終わればコンクリートを被せてしまうか、掘って処分するかでしょうが、そんな土地はがあるんでしょうかね、この狭い日本に。

いずれにせよ他県に持ち出すことは事実上不可能な以上、どうする気でしょうか。 

日本海溝ですか。環太平洋諸国を全部敵にする気で、しかも膨大な賠償金を長期間支払うだけの財政の余裕があれば可能でしょう。 

あえて言えば、福島第1原発の構内ですが、あそこは原発が6基もありますから、そんな余地があるかです。 

これまた、考えるだけバカバカしいから止めました。きっと霞が関か、永田町にでも持って来るんでしょう。後は農水大臣、副大臣(前職も含む)が、責任をもって自分の選挙区を説得するのですね。

■追記 東大の森口祐一教授による福島県除染の試算が公表されています。1億立法メートルだそうです。詳細は明日いたします。

■写真 稲刈りがそろそろ峠を超えました。あと半月にすべての田んぼが空になります。

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要するに常識を守って楽しくやりましょうね、ということです。
以上を守られない場合、残念ですが、削除する権限は管理人にあります。

        ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

                 日本農業新聞9月15日

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

まったくダメ大臣ですいません…。

昨日になって枝野が福島第一5・6号機と福島第二も全て廃炉に言及したのって、もしかして…用地確保のためか?
などと邪推してみたり。

投稿: 山形 | 2011年9月16日 (金) 07時02分

テレビ等で避難地域の農地が雑草で覆われている映像が流れていましたが、土壌表面を剥がす前に、その雑草を取り除き始末しなければならないと思うんですけど、そこまで農水省は考えているんでしょうね。一筋縄ではいきそうにありませんね。

投稿: 下請です | 2011年9月16日 (金) 10時11分

ただの1農家ですが、考えてみました。

9/15の日本農業新聞の紙面に次のデータがありました。
土壌の放射性セシウム濃度(bq/kg)ごとの福島県内の該当農地面積(ha)です。

1000~5000bq/kg→53300ha
5000~10000bq/kg→2500ha
10000~25000bq/kg→3000ha
25000bq/kg~→2800ha

それから、削土や反転耕など農水省が行おうとしている農地の除染作業がどの様なものか知るために、http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-09.pdf
を見てください。(少々長いです。)
これは14日に農水省が発表した農地土壌の放射性物質除去技術(除染技術)について
http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/110914.htm
の別添4の資料です。

私も濱田様に近い意見です。
削土はどんなに多くても25000bq/kg~→2800haに留められるのではと思います。示した資料の中の最初の方にあるのですが、セシウムは表面2.5cmに95%あります。30cm耕耘するだけで1/10以下になります。しかもセシウム134の半減期2年により6年後にはセシウム134と137合わせても50%以下になります。このへんは濱田様のブログ
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/post-1eb5.html
を参照して下さい。

ということは、25000bq/kgの農地は30cm耕耘して6年後には1/20以下の1000bq/kg程になります。
稲の移行係数0.1であると今年は慎重に考えましたが、実際は0.0026(農業環境技術研究所)に近いと思います。今年のデータで明らかになるはずです。でも、安全を見込んで0.01にしても、1000bq/kg×0.01=10bq/kgです。自治体が行った今年の米の調査の検出限界以下です。
農水省が行おうとしている大規模土木工事何年かかるのか知りませんが、農家が普通に作付けして、収穫した作物の放射能検査を完全に行うだけでよい農地が、ほとんどなのではないでしょうか。
これなら、残土は福島原発の敷地内に収まると思います。残土から放射性物質を分離する設備を設けて、更なる作業を東電には続けてもらいます。

素人考えなので盲点があるでしょう。農作業での被曝については全くわかりません。

投稿: 南の島 | 2011年9月16日 (金) 11時28分

「南の島」さん、いや恐縮です。明日この計算しようかなと思ってましたら、助かったぁ!

私は排土-客土という大土木工事は、2万bqなどの高線量値に向いていると思います。
ほんとうに「たかだか」5000bq以上でやるとなると、農水省の想定よりはるかに増えるはずです。他県もありますから。うちの県にもこのていどの線量地はあります。

だいたい「下請け」さんもおっしゃるように、ボウボウの夏越しの腰まであろうかという雑草を刈るだけで大変。
それを集めて保管して、マグネシウムを撒いて、排土して、また集めて保管して、移送して、よそから新しい土を持って来て、ならして、耕して・・・そんなこと本当にできるんでしょうかね。

膨大な人的コスト、土木コスト、移送コスト、保管コストがかかります。正気とは思えませんが、ザブザブ税金を使えばなんとか・・・。

保管場は福島第1ですか。う~ん、実は私もそれしか思いつきませんが、何年先になるかわからないですよ。冷温停止が終了し、廃炉に向けての工程を立てた時にということでしょうか。いずれにせよ数年先です。たぶん5年先くらいではないでしょうか。

それまでの仮保管場は、例の避難地域の中間保管施設ということになるのか、めいめいの畑の一角か。
いったんその中間施設に置くと、そこからの再移送がむずかしくなります。

どの方向から考えても、この農水省案はムリヘンにムリです。


投稿: 管理人 | 2011年9月16日 (金) 13時21分

ロータリーによる耕起の際に、乾いていると、表土が空気中に舞い上がることが予想されます。
その対策は、必要となるでしょうね。
作業者は、キャビン付きのトラクターを使うことで、回避できる出来るかもしれませんが、空気中に舞った土ほこりは、他の地域に飛散するでしょう。
ですから、雨上がりに行うとか、散水しながらとか、しかないでしょうね。

投稿: Cowboy@ebino | 2011年9月16日 (金) 14時19分

山形様が言及していますが、保管場所は第2原発が現実的じゃないでしょうか。第2原発なら放射線量をクリアーすれば着手できます。敷地面積は調べていませんが、Googleマップで見るとかなり広いです。面積上は東京ドーム1つなら可能ではないでしょうか。しかし最終処分場ではなく、分離施設にすべきです。

それから5cm程度の削土なら、地形や用排水路の問題がなければ、客土はしないほうがよいと思います。客土してそのままなら放射線量の低減になりますが、耕耘したら効果はさしてありません。

今回の農水省発表ですが、なんで除染試験しかしなかったのでしょうか?
飯舘村の水田で普通に稲作をし、稲への移行量や農作業の被曝対策などを調査すべきだったと思います。http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/pdf/110914-05.pdf

こちらは干ばつで畑がカラカラだったのですが、今日は台風が恵みの雨をもたらしています。このまま台風の勢力が強くならなければいいです。

投稿: 南の島 | 2011年9月16日 (金) 14時24分

上のコメント誤解が生じそうなので訂正します。
飯舘村の水田で普通に稲作をし→飯舘村の水田で10aでも良いから普通に稲作をし

投稿: 南の島 | 2011年9月16日 (金) 14時46分

茨城県産(つくば市、土浦市)の芝が秋田県内の公園、保育園、中学校で芝張りされ、そこから平常時を超える放射線量を検出した。保育園では芝を撤去した後、放射線量が平常時に戻った。中学校では速やかに張り替えるとのこと。
茨城県南部は全国有数の芝産地で影響が懸念されます。

高線量が検出された芝(土付)のbq数とそれを剥がした後の土壌のbq数を調べてみたいですね。高線量で何も作付けできない農地でしたら、耕さないで芝を作り芝ごと剥がせば、きれいに表土ごと剥がせるんじゃないでしょうか。剥がした芝は膨大な量になってしまいますが。
あ、でもその前に、やっぱり草刈が必要ですね。

投稿: 下請です | 2011年9月16日 (金) 19時27分

復興処理利権ですか。知りませんでした。農水省には本当に腹が立ちます。消費者や農家のことより利権の方が大事なんですか。呆れてしまいます。また私の県、JAや農水族議員も不満です。危機感が足りません。まあそれは私達国民に責任があるのですが。日本の農業は危機的なのですが農水省は認識が甘いと思います。

投稿: 昴 | 2011年9月16日 (金) 20時38分

Cowboy@ebino様の指摘は、農家や農村に住む住民にとって大問題です。

1つの解決策として、プラウ耕により表面2.5cmの土を深さ30cm程に埋込み、15cm程だけをロータリーで耕し、そのような条件で作付けできる作物を栽培することで、かなり危険を避けられると思います。
更に、このあたりは日本有数の牛の飼養地域なので、永年牧草を植えることにより耕耘を極力しないで済む農業を行えます。
また当然、牛の飼養地域なら、汚染時に牧草で覆われていた草地が多いはずです。草を剥ぎ取ることでかなり除染できるようなので、この様な畑ではセシウムをあまり気にせずに農作業できるかもしれません。
牛産地の復活は、他の作物よりも方法があると思います。

投稿: 南の島 | 2011年9月16日 (金) 23時01分

ここの議論を読んで思いましたが、食糧以外の生産に農地を使うと言う発想はないのでしょうか。例えば菜種>油。で油に実際どれくらいセシウムが含まれているかを調べる。油粕も同様。肥料には汚染堆肥を持ち込む。もちろんただの思いつきで深く検討したわけではないですが...

耕作放棄地がそこら中にある現状なのにこの膨大な税金が使われるのはやはり利権と思われても仕方がない。
これ以上農家の敵を増やさないで欲しい...批判されるのは多分土地の持ち主だったり耕作している農家になってしまうのだから。

投稿: ぽんた | 2011年9月17日 (土) 08時08分

ぽんたさん。菜種ですか。大いにありえますよ。多少の除染効果もあるし、種子にはセシウムは移行しにくいのです。


私も菜種は1hくらい作ったことがありますが、栽培は簡単。ただ収穫後のゴミ取りが大変でしたか。

大いに菜種は、除染がどうのではなく、耕作放棄地になってしまっている避難地域に植えられてしかるべきですね。荒廃するのを防げます。

「南の島」様。たぶん南西諸島のどこかの島にお住みでしょうから、台風を心配しています。

投稿: 管理人 | 2011年9月17日 (土) 08時26分

ぽんた様。

考えられていない訳ではありません。
ヒマワリ作戦同様に菜の花作戦(チェルノブイリの経験に基づく)てのもあって、燃料生産も有力だと春には言われてましたが、やはり作業者の被曝リスクなどがあってストップしています。
また、メガソーラー計画があるのも周知の事実ですよね。

休耕田や耕作放棄地が拡がっているのは事実ですが、農家はその土地に愛着を持ち一生そこに根を下ろして生産活動をしたいものです。意欲の高い農家さんも沢山います。
また、農地法などの法律の高い壁もあるので、簡単にはいきません。

投稿: 山形 | 2011年9月17日 (土) 08時30分

ありがとうございます。
そうですか、やはり作業者の被爆が問題だったんですね。ただ作業できないほとの汚染と食糧が生産できないほとの汚染の間には生産物が内部被曝に直結しない非食糧の生産というオプションがあるはずなので、そこにもっと焦点を当てるべきでは、という考えで、ぜひ進めてもらいたいです。油にセシウムが移行しないのであれば食用でも使えそうではないですか。
正直いくら土建国家とはいえ国全体でみてここまでの無駄な(=不必要ではなくて採算のとれない)事業を重ねていく余力があるとはとても思えないです...確かに復興需要増大には貢献するのでしょうが。
そしてまた後継者もいないような場所の農地に金をつっこんでいると批判される。そういう農家批判の種をまくような構図を作り出している流れがイヤでたまらない。意欲が高いのならなおさらです。

投稿: ぽんた | 2011年9月17日 (土) 10時52分

管理人様、ご心配ありがとうございます。

今回の台風程度なら、なんてことありません。逆に恵みの雨になっています。牛舎の台風対策も万全です。

島は世間が狭いので、あまり絞ると正体がバレそうなんですが・・・
私は沖縄じゃないんです。沖縄は都会なので羨ましいです。ちょこっと北の鹿児島の植民地の島です。濱田様の親戚の島ではありません。バブが沢山いるところです。
これで何島かわかるでしょう(笑)

投稿: 南の島 | 2011年9月17日 (土) 12時34分

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