農業再生実現会議はTPPへの参加が前提だった! 政府TPP内部文書は語る
オバマ大統領は9月に訪米した野田新首相に普天間の解決と、TPPの参加を促しました。最初の普天間問題はとうの前に解決のしようがない状態になっています。
いくら環境アセスをしてみても無駄です。前にもこのブログでも書きましたが、、地元の反対派市長に民主党政権が肩入れした瞬間、容認派の仲井真知事までをも敵に回すことになったからです。
地元の市長-県までもが反対ならば、普天間問題は普天間基地の固定化されるしかなくなります。米国は痛くも痒くもありませんが、オバマ大統領は議会から普天間とワッセットになったグアムへの一部移転予算で議会から攻撃を受けるでしょう。
TPP加盟提案は、鳩山元首相がズタズタにした日米関係を修復をちらつかせながら米側から提案があったものです。菅前首相はわれもなく飛びつきました。それが去年の突然のTPP参加表明です。
この流れの中で、野田氏はこんなオバマ大統領に、「普天間もダメ、TPPもダメ」とは言えなかったのも当然といえば当然です。民主党政権の軽率な反米路線が、TPPを招き入れてしまったのですから。
一転して媚米政権になった民主党政権にとって、TPPへの参加の決定は、いわば既決事項でした。初めから答えありきで、党内にプロジェクトチーム(TP)を作ったのもガス抜きでした。TPは真っ二つになったようですが、そんなTPの結論などどうでもいいのです。
後は、国民になんの情報も漏らさないこと。そのためには完全な情報統制とマスコミの翼賛化です。
なにを大袈裟なとお笑いの方は、昨日あたりの報道番組でTPPを取り上げたものがありましたか?午後7時からのバンキシャでは、モバゲー球団がどうのと延々と時間をさいていても、TPPのテの字も報道されませんでした。まるでなかったもののように。
おそらくはマスコミの上層部の意思決定なのでしょう。しかし、現場サイドの報道からはこんな骨のある記事がスクープされますから、日本のジャーナリズムも死んではいないようです。
政府のTPP内部文書が毎日新聞によって見事にスッパ抜かれています。(全文は欄外参照)この文書はおそらく、政府の国家戦略室が作成したものの漏洩だと思われています。
「文書は「APECで交渉参加を表明すべき理由」として、12年の米大統領選を挙げた。「米国はAPECで相当の成果を演出したいと考えている」と指摘。日本が交渉参加を表明すれば「米国は『日本の参加でTPPが本格的なFTA(自由貿易協定)となる』と表明可能」になり、大統領の成果になると分析した。」
私はこれを読んだ時に思わずそこいらのものを投げたくなりました。バカバカしい!野田政権は国民のために11月のAPECまでと急いでいるのではなく、11月までに決めると米国の覚えがめでたいので急いでいるのです。
ここまであからさまに政府内部文書で、「米大統領の成果」がTPP参加表明の目的とまで書かれてしまえば、国民としては、あんたどこの国の政府、と言うしかなくなるではないですか。
私たちの国の首相は、アメリカ合衆国日本州知事だったようです。こういう人間たちが、国を弄び、農業を弄び、地域を地獄へ突き落とす道を掃き清めているのです。
そして当然出てくるであろう国民の怒りに対しても、この内部文書はこう書いています。
「衆院解散がなければ13年夏まで国政選挙はない。大きな選挙がないタイミングで参加を表明できれば、交渉に参加しても劇的な影響は発生しない。交渉参加を延期すればするほど選挙が近づき、決断は下しにくくなる。」
大きな選挙が13年夏までないので、今は何をやっても通るのだ、今がやり時だ、と平然と書いています。自分たちの政権の幼稚な反米路線のツケをTPPで挽回するには今しかない、と言っているのです。
そして今進行中の「農業再生実現会議」とやらもについても、明瞭にTPPがらみだと言っています。
「政府の「食と農林漁業の再生実現会議」は事実上、TPP交渉参加を前提としている。見送れば外務、経済産業両省は農業再生に非協力になる。」
なにが「農業再生実現」だというのですか。TPPとワッセットだということは、この「再生実現会議」は、日本農業のTPP焼け跡を「再生実現」するのが目的だ、ということになります。ふざけるのもいいかげんにしろ!
即刻、この「再生実現会議」から農業関係者は全員退場すべきです。そして今後の野田政権のいかなる農業政策も、TPPが裏にあると思って疑ってかかることです。
前原民主党政調会長は、「TPPへの不安は実態のないおばけである」とまで言っています。仙谷政調会長代理は、「農協だけが反対をわめいている」と言いました。よくもこういうことをへらへらと言えるものです。
「おばけ」かどうか、分かる範囲でリスクを箇条書きにしてみました。交渉の進展と共に、こんな私の上げるリスクは氷山の一角だとわかってくるはずです。
なにせ24分野で、細かいものまで入れればおそらく100を超える分野の「自由化」が同時多発で2015年までに起きるのです。
➊関税自主権の放棄によって農業が大打撃を受ける。その中には地域の基幹産業が多く含まれており、加工業なども含めて地域産業が壊滅する。
➋関税自主権の放棄は農業だけではなく多岐の中小企業分野にまで影響を及ぼすが、未だ範囲すら明確ではない。
➌遺伝子組み替え(GM)種子の解禁により、種子が農薬とワンセットになる危険性がある。そのことによる種子の外国支配が強まる。
➍BSE対策や残留農薬などの国民の健康を守る食品安全の国内規制が撤廃される危険性がある。
➎協同組合の共済制度が解体される危険性がある。これを通じてJAの共済・金融部門の切り離しと弱体化が進む。
❻郵便局の簡易保険が解体される危険がある。これにより、国民が安いく加入できる保険や共済制度がなくなり、保険会社の一元支配になる。
❼農業への外国資本の参入が始まり、外国人による農地取得や外国資本の農業法人化が進む。
❽公的医療保険制度が解体され、公的医療保険+任意医療保険の混合診療となり、国民の負担が増える。
❾米国の法律サービスの流入。米国流訴訟システムの流入リスク。
❿いったん締結すれば゛いかに国民が不利益を被っても後戻りできない条項(ラチェット条項)を適用される可能性がある。また外国の企業が不利益を申し出て、ISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」機関)で勝訴すれば国内法を超越できる。
このような農業、保険、金融、法務などの改変は米国は既に10年以上前から日本に対しておこなってきた「年次改革要求書」で要求してきており、その延長線上にTPPがあるのです。「おばけ」でもなんでもなく、米国の日本に対する要求の総仕上げとでもいうべきがTPPです。
明日にも民主党の党内とりまとめが開かれようとしています。TPの反対意見は無視され、グローバリズム路線を突き進むつもりでしょう。
そしてかつて小泉改革で見たハゲタカ共がまた、大挙して日本の農地を、国民の健康を、そして自然を食い散らすのです。
■写真 朝の山々がおぼろに浮かぶ
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TPP:政府、文書に本音 11月表明「米が最も評価
毎日新聞 10月28日(金)2時31分配信
野田佳彦首相はAPEC前の交渉参加表明を目指しているが、与野党には慎重論もある。交渉参加のメリットと参加しなかった場合のデメリットを分析し、参加の必要性を説明するための資料となるとみられる。
文書は「APECで交渉参加を表明すべき理由」として、12年の米大統領選を挙げた。「米国はAPECで相当の成果を演出したいと考えている」と指摘。日本が交渉参加を表明すれば「米国は『日本の参加でTPPが本格的なFTA(自由貿易協定)となる』と表明可能」になり、大統領の成果になると分析した。
参加表明を決断できない場合、他のEPAやFTA交渉への悪影響に言及。交渉が始まっているEUについて「足元を見られて注文ばかりつけられる」と予想。中韓とのFTAも「中国に高いレベルの自由化を要求できなくなり、交渉入りできなくなる可能性が強い。中韓FTAだけ前に進み日本が取り残される」としている。
選挙への影響を懸念する党内意見については、衆院解散がなければ13年夏まで国政選挙がないことに触れ「交渉に参加しても劇的な影響は発生しない」とした。
◇政府のTPPに関する内部文書(要旨)
▽11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で交渉参加表明すべき理由
・米国がAPECで政権浮揚につながる大きな成果を表明するのは難しい。日本が参加表明できれば、米国が最も評価するタイミング。これを逃すと米国が歓迎するタイミングがなくなる
・交渉参加時期を延ばせば、日本は原加盟国になれず、ルールづくりに参加できない。出来上がった協定に参加すると、原加盟国から徹底的な市場開放を要求される
・11月までに交渉参加を表明できなければ、交渉参加に関心なしとみなされ、重要情報の入手が困難になる
・韓国が近々TPP交渉に参加する可能性。先に交渉メンバーとなった韓国は日本の参加を認めない可能性すらある
▽11月に交渉参加を決断できない場合
・マスメディア、経済界はTPP交渉参加を提案。実現できなければ新聞の見出しは「新政権、やはり何も決断できず」という言葉が躍る可能性が極めて大きい。経済界の政権への失望感が高くなる
・政府の「食と農林漁業の再生実現会議」は事実上、TPP交渉参加を前提としている。見送れば外務、経済産業両省は農業再生に非協力になる
・EU(欧州連合)から足元を見られ、注文ばかり付けられる。中国にも高いレベルの自由化を要求できず、中韓FTA(自由貿易協定)だけ進む可能性もある
▽選挙との関係
・衆院解散がなければ13年夏まで国政選挙はない。大きな選挙がないタイミングで参加を表明できれば、交渉に参加しても劇的な影響は発生しない。交渉参加を延期すればするほど選挙が近づき、決断は下しにくくなる▽落としどころ
・実際の交渉参加は12年3月以降。「交渉参加すべきでない」との結論に至れば、参加を取り消せば良い。(取り消しは民主)党が提言し、政府は「重く受け止める」とすべきだ
・参加表明の際には「TPP交渉の最大の受益者は農業」としっかり言うべきだ。交渉参加は農業強化策に政府が明確にコミットすることの表明。予算も付けていくことになる。
フジテレビ系(FNN) 10月29日(土)21時7分配信
11月中旬にハワイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の際に、関係国に交渉参加を伝達する方針。政府関係者によると、野田首相は、TPP参加に慎重な鹿野農水相と、10月だけで数回極秘の会談を重ねてきた。
鹿野農水相は、最終的に交渉参加を容認する考えを示唆し、これを受けて野田首相は、APECで交渉参加を表明する意向を固めた。民主党内では、慎重派が攻勢を強めているが、野田首相は11月4日をめどに、交渉参加容認の方向で意見集約したい考え。
その後、記者会見などの形で交渉参加方針を国民に説明し、そのうえで、APECに臨む方針。しかし、慎重派が猛反発するのは必至で、政権運営に影響が出る可能性もあるとみられる。
追記 上記のフジ系列報道はまったくの捏造であることが分かりました。ここまで汚いことをするTPP推進派に唖然とします。 (11月2日記)
武田氏は土壌測定のように地味で根気がいる測定より、公共団体のHPで簡単に入手できる空間線量ですべてを説明する道を選んでいます。
氏が農村を歩いて測定したという話はついぞ聞きませんし、今後もないでしょう。講演でお忙しいのでしょうが、あれだけ「東日本のものは食べるな」とおっしゃるのですから、一度東日本の農村に来られたらよろしいのに。歓迎しますよ(笑)。
脱線しましたが、武田氏が関西のテレビ番組で宮城県一関で空間線量が高いから「東北のものは食べるな」と言った理由でF一関の空間線量が高いからでした。
空間線量は下図の茨城県北部の線量グラフでわかるように急激に下がっていきます。それは放射性ヨウ素が8日間で半減期をむかえるからです。一か月もたてばヨウ素はほぼ検出されなくなります。
上図の左端が事故当初です。北茨城市では実に16マイクロシーベルトが観測されています。今の避難区域とほぼ同量です。現在は0.05~0.08マイクロシーベルトにまで落ち着いてきています。
ではここで、東日本の農産物に対しての忌避感が強い関西と東北・茨城地域の空間線量を比較してみます。
・大阪府・・・・・・・・・・・・・・・・・0.076マイクロシーベルト /時
・宮城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.061
・岩手県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.023
・茨城県・・・・・・・・・・・・・・・・・0.083
ほぼ大阪と東北は同程度であり、陸前高田送り火事件があった岩手県など、大阪の3分の1程度の空間線量しかありません。
これは関西のバックグランドの自然線量が高いからです。下の図は日本の自然線量を表しています。赤色がホットスポットです。
大阪府は日本有数の自然線量のホットスポットだと分かるでしょう。大阪の宇宙からと地底からの自然放射線量の計はおおよそ0.4マイクロシーベルト/時あるようです。
東日本はおおむね濃い青である0.00561~0.0178マイクロシーベルト/時と世界でも最小の放射線量地域です。
自然放射線量において大阪は、東日本平均のの7.5倍の放射線量が常に存在する地域だといえるわけです。
自然放射線は人口放射線と違って安全だ、などと言う人もいるようですが、ナンセンスです。ウランは自然放射性物質の最たるものですよ。ウランが安全なら、セシウムなんか鼻クソのようなものです。
武田氏の説によれば、空間線量が農産物に影響を与えるもっとも強い要素ですから、岩手県は大阪府の農産物を忌避せねばならなくなります。
もちろん冗談です。大阪府で放射能汚染の農産物は検出されていません。そう、つまり0.076マイクロシーベルト/時の空間線量があっても農産物は汚染されることはないのです。
このように空間線量は1マイクロシーベルト/時以下ならば農産物を汚染することは考えられないのです。ただし地表面で栽培し、被曝した原木を使った場合のシイタケ類などは別です。(*どこからの閾値で空間線量が農産物に移行するかは今のところわかっていません。)
さて、ご承知のとおり「既に降ってしまった」セシウムなどは土中に残留します。これは土壌線量を測ることでどのていど土中に放射性物質があるのかが判定できます。
では、この土中の残留放射性物質がどのていど作物に移行するのかは、日本土壌肥学会や農水省の科学的なデータがあります。
・ほうれんそう・・・0.049
・ジャガイモ・・・・・0.030
・キャベツ・・・・・・0.026
・コメ・・・・・・・・・・0.0016
(*移行率には研究機関により異説が存在します。土質や測定条件によっても異なります。)
これを見てお分かりのように土壌の放射線量は、100分の数十から千分の十数のオーダーです。
武田氏は、食品の最大限許容量は5~10ベクレル/㎏だと言っていますが、この農産物の規制値を5ベクレルに置くというのはすさまじくタイトな数字で、チェルノブイリの当事国であるベラルーシですらこのような食品規制値です。昨日にアップした野菜で見てみましょう。
・86年(事故の年)・・・3700bq/㎏ (* 日本暫の定規制値500bq/㎏)
・88年・・・・・・・・・・・・・・740
・92年・・・・・・・・・・・・・・185
・96年・・・・・・・・・・・・・・100
・99年・・・・・・・・・・・・・・ 40
初年度の86年は実に3700bqです。わが国の500bq/㎏と比較してください。それを2年後には一気にひとケタ落としで740に、そして6年後には185に、そして13年かけて40までもっていっています。
私は現在の暫定規制値を是としません。高すぎて不要な農産物への拒否感を生んでいる原因にすらなっていると思っています。しかし武田氏のように、初年度の事故直後から5ベクレルを主張する非現実性には到底ついていけません。
よくゼロリスク派の論者は、「福島はチェルノブイリ以上の災厄だ」と言っていますが、このベラルーシの食品規制値が3700bqから始まって13年で40bqにしていることの現実の重さをどのように考えているのでしょうか。
空論ならいくらでも言えます。ゼロリスク派の論者で避難区域で除染活動に協力している人が何人いるでしょうか。多くの論者は被爆地の線量を下げる努力に力を貸さないで危機を言い募るだけです。それが人として正しい態度なのか疑問です。
それはさておき、武田氏は「5bq以下を危険というのは科学的ではない」と言っています。いいことをおっしゃいます。そのとおりです。
では、5ベクレル野菜が被曝するには、その土壌はその百倍から1千倍の線量がなくてはならないわけですから、その土壌は500bq~5千bq/㎏なくてはならないことになります。
これは平方メートル単位換算でその20倍ですから、1万~10万bq/㎡となります。チェルノブイリの「汚染区域」指定は3万7千bq/㎡以上ですから、10万bq/㎡は避難区域のホットスポットを狙って作物を作らない限りありえない数値です。
いちばん下の図がセシウムの降下マップです。オレンジ色と赤色が1万bq以上の地点です。極めて限られた地域だとお分かりになるだろうと思います。
これを見て、なおかつ「東日本のものは食べない」と言い続けられるのは理解に苦しみます。
しかしなおかつ信用できないと私たちは言われ続けてきましたので、挙証証明として私は3月以来一貫して土壌放射線量を調べろと主張し、自分でも民間計測をしてきました。
たとえば一例を上げると、140bqの土地で米を作っても、検出限界以下でした。これは玄米なので、精米するとほぼゼロになりました。
現実は危機を叫ぶだけではなにも変わりません。事故から7か月。どうやったら社会全体の線量を減らしていけるのかもっと真面目に考えませんか。怯えているだけではなにも変わりませんから。
■写真 「わが谷には緑なりき」というジョン・フォードの映画がありましたが、私の住む村もまた緑なりきです。。