ベラルーシにおける食品規制値の推移
ベラルーシに調査に赴かれた福島で放射能と闘っておられる方からデータを頂戴いたしました。ありがとうございます。
「被曝」現地で闘っている人たちは意外なほど明るいのに驚かされます。目標を持って着々と測定器具を集め、どのようにしたら線量を減らして行けるのかを具体現実の問題として取り組んでいます。
柏市では商売上手な人が測定ショプを始めて大盛況のようですが、福島県ではこの方たちのような民間のボランティア団体が多く活躍しています。
測定器材も、私たちのようなウン十万円のものではなく本格的なガンマスペクロメータや、なんとホールボディカウンターまで備えています。これには驚いた。
同じ福島県の東和町の測定グループは、企業が賛同してここも本格的な器材で測定しています。
この測定運動の成果は、地域にあるホットスポットの発見に生かされました。文科省のヘリ測定もやらないよりましなのですが、現実には上空からわからないホットスポットは多数あり、実地に現地を歩かないと分かりません。
この現地民間測定グループの活躍で地域がスクリーニングされてしまったことになり、東和町ではひとつの検出も記録されませんでした。
お隣には今回500bq出してしまった二本松市の地点があり、事前に東和町のようなスクリーニングがされたのならば、あのような悲劇は回避できたはずでした。
これから福島県は雪が降ります。もう一月もないでしょう。雪が降れば、除染はおろか計測すら難しくなります。
そこまで押し迫って国はようやく除染だと言うのですからなんともやる気があるのかどうかまで疑われます。
あるコメントで国にもっと要求してみたらどうか、という声がありましたが、私たちはしないでしょうね。最近は政府に怒りすら覚えなくなりました。
政府など関係ありません。あのような国という「団体」はなんの役にも立ちません。期待していると遅くなるだけで、くだらない交渉をやっているより行動が先です。
さて、以下がベラルーシ現地に言って入手された食品の規制値データです。ネット情報で切り貼りしたものではなく、現地で同じ放射能と闘うベラルーシの人たちとの交流から得たたものです。
ご好意で転載を許可されましたが、一部のみを掲載するにとどめます。ご覧いただければおわかりのように事故直後から現在まで4回も改訂されており、その都度急激に規制値は4落ちていっています。
今日本でも問題となっているきのこは、丁寧に生と乾燥とにわけて規制値を変えています。
野菜などは3700bq/㎏から40bq/㎏まで13年かけて実に0.01%まで落としています。これは政府の徹底した除染作業と並行になされた結果であり、除染をサボタージュし続けた日本とは違います。
除染して地域線量が下がるから、農産物の線量も安心できる規制値に落ち着いていくので、その反対ではありません。
そのために必要なことは、測定に基づく汚染マップづくり、除染方法の検討、そして除染活動です。ここで目標線量が明確になれば、それの結果を受けて規制値を下げることが可能になるのです。
よく「暫定規制値は信用できない」と叫ぶ人は大勢いますが、どこまでこのような一連の流れを知って言っているのでしょうか。
逆に福島県では農業をやめろとか、20ベクレル以下まで表示しろとか現実を無視した空論が飛び交っている有り様です。
これでは何も始まりません。放射能と闘っている現場の人の足を引っ張っているだけです。、
あくまでも食品規制値は、地域の包括的除染とひとつになって検討されるべきもので、蛍光灯の密室で検討するだけのものではないのです。
■ベラルーシにおける食品規制値の推移(抜粋)
単位ベクレル/㎏
86年 88年 92年 96年 99年
・水 370 18.5 18.5 18.5 10
・野菜 3700 740 185 100 40
・果物 同上 70
・牛肉 3700 2960 600 600 500
・パン - 370 370 100 60
・豚肉・鶏肉 7400 1850 185 185 40
・きのこ(生) - - 370 370 370
・きのこ(乾燥) - 11100 3700 3700 2500
・牛乳 370 370 111 111 100
幼児食品 - 1850 37
« 東京の核実験による放射性降下量と白血病・ガン患者数の相関関係 | トップページ | 事故から7か月。社会全体の線量を下げる努力をしよう!危機を叫ぶだけでは何も変わらないのだから »
「原子力事故」カテゴリの記事
- 福島にはもう住めない、行くなと言った人々は自然の浄化力を知らなかった(2019.03.11)
- トリチウムは国際条約に沿って海洋放出するべきです(2018.09.04)
- 広島高裁判決に従えばすべての科学文明は全否定されてしまう(2017.12.15)
- 日本学術会議 「9.1報告」の画期的意義(2017.09.23)
- 福島事故後1年目 大震災に耐えた東日本の社会は崩壊しかかっていた(2017.03.16)
コメント
« 東京の核実験による放射性降下量と白血病・ガン患者数の相関関係 | トップページ | 事故から7か月。社会全体の線量を下げる努力をしよう!危機を叫ぶだけでは何も変わらないのだから »
長い戦いですが、希望が見えてきた感がします。
25年前と現在では、測定機器も格段に発達しているでしょうし、当然医学の進歩もあります。
ただ、安全神話を浸透させる国策の中で、対策等が議論されてきたかは分かりませんが・・・
避難が比較的し易い一般住民と違い、その土地から離れられなく、そして直接「土や草」に触れたり、埃を吸わざるを得ない農業者の健康と、生活維持の為の政策支援が急務であると思います。
我々初老の人間はともかく、次世代を担う若い後継者や子供たちの健康には、特に綿密な対応が必要です。
遅まきながら行政も動き始めた様ですが、一日でも早く対応する事が、より拡大する被害を食い止める事になります。
国のメンツを重要視し、APECまでのTPP議論を活発化する時ではないと考えています。
投稿: 北海道 | 2011年10月13日 (木) 11時54分
賓田さん、こんにちは。
政府は動かないというか新しい基準値さえつくる気配はありません。
ベラルーシのような食品に対しての自衛を始めています。
長い戦いになりますが、必ず変わるときがきます。
変わるときまでは、けして諦めないと決めました。
今日は、新潟でもお米が汚染されていることがわかり、前日は、世田谷でマイクロスポットが見つかりとても高い線量だということがわかりました。
正直、がっくりしてますが動かない限り、何も変わらない現実なので自分のできることを始めようと思います。
賓田さんみたいな方がいるから、私も頑張ろうと思えます。
投稿: なづな | 2011年10月13日 (木) 12時12分
ホールボディーカウンターとは民間でも購入可能なものなのですか?
凄いですね
投稿: | 2011年10月13日 (木) 23時18分