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2011年10月27日 (木)

反面教師米韓FTAの正体

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財界は米韓FTAをたいそううらやましいとみえて、何かと「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきました。冗談ではない。あのどこをモデルとするというのですか。 

あの米韓FTAはいかなる意味でもわが国が見習うべき協定などではありません。あまりにもひどい協定内容に、愕然とするほどです。よく韓国がこんな不平等条約を呑んだな、とため息すら出てきます。 

米韓FTAは、従来のFTAと比べ格段に広い範囲が協定範囲になっています。分野の範囲は製造物や食品の貿易のみならず、金融、投資、政府調達、労働、環境にまで及んでいるのが特徴です。おそらく世界でもっとも過激なFTAと言ってよいでしょう。 

一国丸ごとの「包括的自由化」、これが米韓FTAの最大特徴だったわけです。そしてこれは今日本がまさに参加しようとしているTPPのひな型そのものです。 

その意味で、反面教師としての米韓FTAを見ることには無意味ではないでしょう。 

米韓FTAには、とうぜん「おいしい話」がちらつかされていました。いわゆる「餌」です。自動車関税2.5%、電気、電子製品関税の5%撤廃です。ヒョンダイ、サムソンはこれに涎を垂らしました。 

冷静になれば、韓国も米国での現地生産が進んでいたのですから、そういい話ではなかったはずなのに、米国が耳元でささやく「内国民待遇」という甘い響きにうっとりしたのでしょうか。 

現在の韓国企業のシェア拡大は、関税とは無関係です。海外生産があたりまえとなってしまっては関税は、いわれるほどのブロック効果を持ちません。シェア獲得競争で威力を発揮するのは、関税ではなく通貨価値・為替相場です。 

今、大変な外貨不足に呻吟していく韓国は、ウォンが売りまくられて史上空前のウォン安になる一方、わが国は真逆の超円高に苦しんでいます。

韓国はこれを奇禍として輸出攻勢をかけています。どうやら日本が通貨スワップを申し出て救済されるようですが、あんがい韓国の本心はこのまま破滅的ウォン安を武器にして突撃したいのではないでしょうか。 

しかし米国も伝統的重要産業である自国自動車業界を潰す気などさらさらなりません。ましてオバマ大統領は「200万人の雇用を創出する」と国民に宣言したばかりですから、しっかりとこの無関税化には付帯条項がついています。 

もし、輸入韓国車が、米国製自動車の販売や流通に対して悪い影響を与えると米企業が判断した場合、米政府は無関税条項を無効にできるという一項がありました。なんのことはない、米国のこりゃヤバイという恣意的な判断でいつでもこの甘い餌は取り上げることができるのです。 

逆に韓国は、自国の自由化がこりゃいかんと思って引き返そうと思ってもダメ。それはラチェット条項があるからです。ラチェットとは歯車の歯止めのことで、後戻り不可条項のことです。 

このラチェット条項が適用されるのは、銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送などの米国が強力な競争力を持つ分野で、自動車、電気・電子製品はありません。 

つまり、米国は自国が有利な分野ばかりを選んでラチェット条項を入れさせたわけです。自国に有利な分野はノーリターン、自国に不利な分野は不利になったら無効というまさに二枚舌のダブルスタンダード協定の最たるものです。 

おまけにこんなものもついてきました。それがISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項です。 

耳慣れない言葉ですが、このISDとは、たとえば 日本が自国民の健康や安全のための政策を作ったとします。そうですね、BSE対策だとします。 

これによって米国は全頭検査を強いられていますが、FTAにおいてはこれを「海外投資家の不利益があった」としてISDに提訴できるのです。 

提訴先は、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」といういちおう第三者機関となっていますが、このての国際機関の多くがそうであるように、米国の息がかかっています。そもそも世界銀行やIMFからしてメイドインUSAの国際機関ですから、結果は分かりきっています。

ISDが審議するのは、投資先の国の公共の利益ではありません。あくまでも「海外投資家の被害」です。BSE対策が自国民の健康保護にいかに重要かを日本代表が訴えても、そんなことはWHOに言ってくれと一蹴されるでしょう。

マスコミ論調で、「GM(遺伝子組み替え)や、BSE対策を日本が取れなくなるのではないか、というのは杞憂だ。WHOがある」という論調がありますが、ISDはスピーディな審査がモットーですから、WHOで米国の強力な反対に出くわしてオタオタしているうちに、ISD裁定が出てしまいます。

その上にISDには控訴がありませんから、決まったらお終い。当該国の司法もこれをチェックできないというスーパー条項です。こんなものを韓国は丸々自国のみに飲まされてしまっているのです。

韓国にのみ?そう、信じがたいことには、米国に対しては適用されません。まさに不平等条約の典型といえます。繰り返しますが、よく韓国はこんなもの呑んだな・・・。

国内法をも超越し、逆に国内法を曲げてしまう非常に危険な条項です。現代の治外法権といってかまわないと思います。

韓国はFTAによって膨大な国内法の改訂を米国から要求されていますが、今後このISD条項を楯にしてさらなる治外法権化が進行することでしょう。ISD条項とは、各国が「国際自由貿易」の美名の下に、国民の安全、健康、福祉、環境より海外投資家の利益を優先する、まさに危険極まりない条項なのです。

私は韓国がわずかの関税撤廃の見返りで、自国民を外国に売り飛ばすが如きことをしてしまったと考えています。このツケはラチェット条項があるかぎり半永久的に続くことになります。

私が短期的な関税率の変化と消費者物価のみでTPPをとらえてはならない、という理由がお分かりいただけたでしょうか。

この米韓FTAの拡大バージョンが私たちに立ちふさがっているTPPなのです。まさに平成の不平等条約そのものです。絶対に阻止せねばなりません。

農業は農業のためにのみ闘っているのではなく、国民の安全、健康、環境のための闘いの先頭に立っているのです。

反面教師 米韓FTAについては、明日さらに続けます。

■ 秋空にたなびく流れ雲のシュプール。

 

 

 

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コメント

今朝もフジテレビで、米韓FTAとTPP賛成だ反対だの集会と国の未来と散々やってます。
それぞれ主張があります。
韓流大好き批判を受けているフジテレビですが、ほぼニュートラルで扱ってますね。
韓国じゃサムギョプタルの豚肉は、口蹄疫の影響も大きいでしょうがほとんどアメリカ産になった。
韓国の養豚農家の半分は潰れるという業者のインタビューも。

TPPとは、アジア諸国などではなく圧倒的強国アメリカが2番目に巨大な市場である日本を標的にした金儲け目的です。

よく「韓国がFTAで先行している。日本も乗り遅れるな」と言われますが、自動車などの工業製品の関税は2・5~5%です。
しかも現地生産が主力になっています。ほとんど意味無いでしょう。

韓国の状況は反面教師として考えましょう。
そんなことで日本の農業や医療・金融などを支配されたらたまったもんじゃありません。

私は基本的に親米派なのですが、TPPにはとても賛成できません!

アメリカはあの手この手で安全保障まで絡めてきてますが、毅然とした態度を今の政府に期待できるのか?
これこそが問題です。
企業の海外流出なんて、現在の異常な円高が最大の元凶でしょう。
安住大臣は「断固たる措置を取る」と言ってますが、何をどうするんでしょう?

一宮崎様の「豚は肥らせてから食え」です。
まさに、日本は疲弊したアメリカにとっての収穫の時期です。

間違った!
一宮崎様ではなく下請けです様でした。

お詫びして訂正いたします。

アッチャーやっちゃいましたね!
ながらテレビだったので、どこの局だったか?ですが、韓国国民の90%以上が政府を信頼していない・・と言う報道がありました。
企業理念(思想?)を売りに大統領選挙を戦った現大統領ですが、こんな不合理な条件を丸呑みした事がどうにも理解できません。
政府関係者も韓国官僚も分からなかった・・・とは思えないのですが、何か裏で動いているのでしょうか?
第2次世界大戦後の日本、朝鮮戦争後の韓国、どちらも当時からアメリカの筋書き通りに動かされているような気がしてなりません。

首相や大統領に就任したら、先ずはアメリカ訪問し大統領に顔合わせ(挨拶)しにはせ参じています。同盟国ですから仕方ないのかも知れませんが、首脳会談時に、言い含められて帰ってくるのかも?
戦後から面倒みてこれまで大きく育てたのに、力をつけたからと言って、中々思い通りに動かない日本に業を煮やし、TPP参加を迫っているように感じています。

TPP参加は、避けられないんだろうなー。
結果の決まっている、出来レースなんだろうなぁ・・・

強制被曝の次は、米国の思うままに荒らされ放題か?

日本も福島県も嫌んなっちゃうなぁー

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