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賠償問題もまた除染問題ぬきに語ってはならない

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昨日の記事で中期的にやらねばならないことのひとつに賠償を上げました。

原賠法で大枠は示されつつありますが、もっともかんじんな点が欠落しています。それは汚染した土壌、宅地などの浄化です。

これに対してひとことも触れていません。かくも広大な地域に汚染を残しながら、その除去に対して初め国は朝霞の国家公務員住宅の自転車置き場ていどの予算しか計上しないという人を食ったまねをして被爆地の人間に怒りを買いました。

3次補正で2000億ですが、飯館村単一の除染費用の概算が3000億です。話になりません。おそらく避難地域のみの除染だけで数兆円規模でしょう。

これはかねてから書いているように、「放射能はクリーン物質」である」という仰天見解が国の公式のスタンスだからです。

「土壌汚染防止法」にはこういう一項があります。「特定有害物質とは、鉛、砒素、トリニクロエチレン、その他の物質(放射性物質を除く)」と記されています。

おそらく、今回原発事故と同時期に化学工場が事故を起こして鉛が大量放出されたならば、国は放射能など見向きもせずに鉛のみを除去することに必死になったことでしょう(苦笑)。

環境省管轄の「環境基本法」にもなんの記載もありません。ですから、環境行政の主管官庁である環境省は、「農地や住宅地が放射能汚染されたが、なぜ取り締まらないのか」という質問に対して、しかとしてこういうことを言っています。

環境省当該部部局見解。「違法性はないと認識しています。だから動けません」ということです。

ちなみに農地の汚染はわれらが農水省ですが、聞くだけヤボですが聞いてみれば、「環境省の規制値があれば動けますが、ないから動けません」、とこれまた他人事のような声を出しておりました。

ちなみに東電は、「法律にあるとおりの認識です」。おお、なんと素晴らしい順法精神。

つまり、宅地、農地、公共施設、教育関係施設などの放射能汚染は、いかなる法的な規制もないために100%「合法」であり、東電は永遠に法的な罪に問われることはないのです。

したがって、まったく賠償の対象にはなりません。被曝したら、被害者自らがきれいにしろ、というわけです。素晴らしき法治国家ニッポン。

あくまでも賠償の対象は、出荷規制を受けた農作物なのです。しかも行政単位での出荷規制がはまった地域のみで、はまらなかった地域はいかに出荷被害を受けようとも賠償対象にはなりません。

え、国が責任を持って除染すると細野さんが言っていたって?ああ、あれは避難区域だけで、しかも財政と人員の裏付けなき「言っただけ発言」です。

国が半年も放射能測定をサボったかというひとつの理由は、そもそも「特定有害物質」ではないから放っておけ、という無責任体質でしたが、チェルノブイリにおいてはどうだったでしょうか。

旧ソ連が行った検査は以下です。
・土壌サンプル数・・・・143万検体
・作物・・・・・・・・・・・・・・261万
・家畜・・・・・・・・・・・・・・750万
・検査された面積・・・・・3000万ヘクタール

一方わが国はもっとも汚染が激しかった5月9日時点で
・日本における検体数・・・・2775検体

検査期間はチェルノブイリのほうが長いのですか(家畜は20年間の統計)、それにしてもチェルノブイリのわずか千分の1とはあまりに情けない対応です。少なくとも科学立国の対応ではありません。

この問題に対して、避難地域だけ除染しましょう、などという姑息な逃げを打っていないで、国が3万7千ベクレル/平方メートル、すなわち1850bq/㎏以上の土地すべてをいかなる例外もなく、国家で除染すべきです。どんなに時間がかかろうとも、です。

その原資がないなら東電と掛け合いなさい。私たち被災者は知ったことではない。役立たずの国会議員を削減するなり、政党助成金を廃止するなり、仕事をしない国家公務員を半分にするなり、なんとでもすればよろしい。

特に農水省など30人で充分。各地農政局は、農民に役に立つことはなにもしていないのだから全廃止。クビになりたくなければ、国家公務員が除染作業の手伝いくらいしなさい。・・・ああ、いかん、だんだん過激になってしまう(笑)。

除染のための前提となる測定は、現在、民間のみの手でやられているのが現状です。これも国が責任を持って徹底した測定をすべきです。

東電に対しては事後法となるために罰したりはできないでしょう。しかし、なんらかのペナルティと除染の責任を与えるべきです。

賠償問題もまた除染問題ぬきに語ってはならないのです。なぜなら、浄化の道はあまりに遠く、それを個々の国民が背負うことは不可能だからです。

■写真 このところ空の写真にはまっています。ぼーっと空を見上げる時、嫌なことを大気の中に拡散できるようです。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

第3次補正で、ようやく2000億が計上されました。といっても少ない上に執行は来年でしょうね。

全くもって考えたくもないことですが、福島第一がBWRではなくチェルノブイリ同様の黒鉛減速炉(すでに廃炉された東海第一も英国式黒鉛炉)だったら…爆発で核燃料と一緒に飛び散ったのを黒鉛だけせっせと取り除いたんでしょうか…。まあ、鉛と黒鉛(炭素)は違いますが有毒物ですし。

雲写真・空写真もいいですね!

投稿: 山形 | 2011年10月16日 (日) 07時55分

農地、山林、宅地の土壌のセシウム、ストロンチウムのベクレル値を測り、もし除染が必要なら削った土壌を警察に拾得物として届け、落とし主を探してもらうしかないですかね。運良く落とし主が現れれば、警察権力を使って強制的に引き取ってもらいましょうか。その際に放射性物質を取り除いた土壌は返してくださいよ。一割の謝礼は要りませんので丁重にお断りします。

以前、汚染土壌から放射性物質を取り除く除染方法が幾つか開発され話題になりましたが、最近は話題に上りませんねぇ。土壌を削り、その一時保管場所を何処にするかということばかり。やっぱりコスト優先にするとしかたないのかな。

投稿: 下請です | 2011年10月16日 (日) 12時23分

連投すいません。

関東C県北部、I県南部の幾つかの自治体はベクレル測定器が導入され、測定結果を公表している自治体もあります。農作物の検査結果を見ると野菜類より、果樹類にセシウムが含まれているように思われます。果物のおいしい季節、悩んでしまいます。

投稿: 下請です | 2011年10月16日 (日) 12時32分

連投すいません。

関東C県北部、I県南部の幾つかの自治体はベクレル測定器が導入され、測定結果を公表している自治体もあります。農作物の検査結果を見ると野菜類より、果樹類にセシウムが含まれているように思われます。果物のおいしい季節、悩んでしまいます。

投稿: 下請です | 2011年10月16日 (日) 12時33分

申し訳ございません。同文で連投してしまいました。どちらかの削除をお願いいたします。

投稿: 下請です | 2011年10月16日 (日) 12時34分

菅直人政権下で公布された最後の法律(平成23年8月30日法律第百十号)、略称放射性物質汚染対処特措法があるみたいです。政局がバタバタしていたので、私も最近まで知りませんでした。国会でいつの間に審議したんですかね?
その第一章 総則の第一条(目的)には「事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国、地方公共団体、原子力事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、国、地方公共団体、関係原子力事業者等が講ずべき措置について定めること等により、事故由来放射性物質による環境の汚染が人の健康又は生活環境に及ぼす影響を速やかに低減することを目的とする。」と一応あります。

ウィキペディアの情報です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E7%89%A9%E8%B3%AA%E6%B1%9A%E6%9F%93%E5%AF%BE%E5%87%A6%E7%89%B9%E6%8E%AA%E6%B3%95
環境省のHPに詳細があります。
平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年8月30日法律第110号) [PDF:375KB]
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/law_h23-110a.pdf
概要 [PDF:127KB]
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/law_h23-110b.pdf
骨子 [PDF:241KB]
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/law_h23-110c.pdf


法律には計画や数字が明記されているわけではないので、環境大臣が具体的なものを示さない限り、全く何の役にも立ちません。更に、確かに放射性物質をばらまいたことの違法性を示すものではなく、これからどうしましょうかレベルの内容です。


下請です様、果樹類はフォールアウトして樹皮に付着したセシウムが吸収され果実に移行したらしいです。幹や枝の表面積は結構あります。果樹農家は樹皮の剥ぎとりや高圧洗浄の対策を取り始めています。NHKのサイエンスZEROからの情報です。来年は安心して果物を食べられると思いますよ。

投稿: 南の島 | 2011年10月16日 (日) 13時00分

和やかな田園風景の写真が綺麗ですね。ここの写真を見るとほっとします。でも、今回の事故で、目に見えないセシウムで汚染されてしまっているのが非常に残念です。お見舞い申し上げます。
子育て中なので、最初は、早川地図、最近は文部省の地図を参考にお買い物をしています。今までは宇都宮がどこにあるかくらいしかわかっていなかったので、北関東の地理に詳しくなりました。いろいろな地名の漢字も読めるようになりました。昨日の農作物の土壌移行係数、土壌セシウム濃度(Bq/Kg)、土壌のKgから平方メートルへの換算の計算の仕方は、非常にわかりやすかったです。これならば、自分が買いたいBq/Kgの農作物は、文部省の地図(単位がBq/㎡がわかりにくかった)から、どのあたりが大丈夫なのかわかりました。ありがとうございます。
ヨウ素はもう心配ないし、セシウム134はどんどん半減期2年で減少するので、1年ごとに農地の汚染は減り、安全になっていくのをお祈りしております。

投稿: 杏ママ | 2011年10月16日 (日) 13時14分

南の島さま
投稿したあとで、コメントが出てきたので、連投ですいません。
高圧洗浄は費用も手間も大変、そして、樹皮の剥ぎとりとは、痛ましいことです。
お茶も古い葉についたセシウムが新芽に移行して高濃度が出てしまったそうで、東電が、お茶を買い取って流通も発売もしないで、葉を刈り取って除染すればこれほどまでに狭山茶のブランドが毀損されなかったのに、、と思いました。

投稿: 杏ママ | 2011年10月16日 (日) 13時27分

南の島様。あの法律は典型的空文です。罰則規定がない。義務条項がない。財政措置がない、のないないづくしです。環境省が、「なんもないと野党に追及されてヤバイぞ」で作った言い訳みたいなすかしっ屁です。

あんな省庁に原子力安全庁とやらをくっつけるとなると無力なことが作る前から見えています。

投稿: 管理人 | 2011年10月16日 (日) 14時26分

下請です様。
別に番宣するわけではありませんが、最近あまり情報の無かった除染技術の最前線に関して、今週末のNスペで取り上げるようです。
2部構成で、後半は市民討論会らしいです(こっちが荒れそうだ…)。

あなたのシニカルな皮肉には私、かなりウケました!

投稿: 山形 | 2011年10月17日 (月) 07時09分

南の島様

我が家のブルベリーはアウト。ユズもアウト。
来週はキウイ、みかん、柿、栗を測ってみます。
今春、福島で軒並み出荷停止になったタケノコは、孟宗竹、ハ竹、真竹と4月から7月まで推定で30kg以上食べてしまいました。ま、私の年齢では、どうってことないですけど。
今からでも家の果樹の皮を剥がすか、洗うかしたほうが良いですかねぇ。それとも引っこ抜いて新たに苗木を植えましょうか。


山形様

私の正直な気持ちです。近くの東電の支店に持っていってやりたいです。一人でやると犯罪行為、大勢でやれば抗議行動、おそらくヨーロッパで同じ事態になっていればかの地の農民は黙っていないでしょう。その点、日本人はおとなしいと思います。

投稿: 下請です | 2011年10月17日 (月) 22時12分

こんにちは、福島かその周辺で農業をされている方とお見受けしますが、放射能についてとても勉強されているようなので質問させてください。
ネットであれこれ調べたものの、疑問が残った点です。

政府その他の発表した人が居住する福島原発周辺地域汚染の線量は、チェルノブイリの人が人が居住する原発周辺地域の汚染量に比べても決して少なくないようです。数千万ベクレルなどとあります。
しかし、福島の農作物も基準値以下のものが多くありでたくさん出荷されております。そして、チェルノブイリの時も、農作物の基準値は一応設けられていたようです。

ではなぜ、チェルノブイリの時はその後避難した周辺住民にも膨大な数の癌患者が出たのでしょうか?皮肉とかではなく、私は政府や学者の言うことは信用できると思っております。
何かチェルノブイリと違う要因や状況があってのことなら、ぜひ知りたいのです。彼らは検査していない森のきのこを勝手に食べていた人々だとか、実は出荷規制がちゃんと行われていなかっただとか。
あるいは、福島同様のことが行われ、低線量だったはずなのにあれだけの癌患者が出たのでしょうか。

もし何かご存知でしたら、ご回答いただければ幸いです。

投稿: 東京在住 | 2011年10月17日 (月) 23時29分

下請です様。
私は果樹については全くの素人ですが、番組での技術情報をネットで見つけましたので紹介します。

福島県農業総合センター果樹研究所HP
http://www.pref.fukushima.jp/kajyu-shiken/homepage.htm
果樹の樹体に付着した放射性物質の除染対策
http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/gijyutsufukyuu/06ganba_joho/ganba13kajuH230725.pdf

下請です様の果樹とは汚染状況が違うかもしれませんので、あくまでも参考程度にしてください。福島県農業総合センターが問い合わせを受け付けているみたいですよ。

投稿: 南の島 | 2011年10月18日 (火) 15時24分

南の島様

参考になる情報をいただき、誠にありがとうございます。

投稿: 下請です | 2011年10月18日 (火) 23時17分

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