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2011年10月15日 (土)

地域の包括的除染活動と暫定規制値引き下げは実は一緒のことなのです

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「南の島」様から頂戴したコメントが興味深いので、本記事のほうでお答えさせていただきます。頂戴したご意見は以下です。
 

濱田様、私は玄米40Bq/kgは実現不可能な数字ではないと思います。今年作付け出来なかった飯舘村などでは本格的に除染しないと難しいと思いますが、今年米作した所は出来ると思います。今日の記事の資料の赤と橙以外の水田です。ちなみに私が40にしようというのは主食の米だけです。その他の作物は十分なデータがありません。 

私が可能とする根拠は米の放射性セシウム濃度の検査結果を踏まえてです。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/index.html
本調査でも100を超えたのは7箇所だけです。検査数に問題がありますが、何ら対策もせずに米作してこの結果ですから、来年度はプラウ耕とゼオライト投入し、谷津田を注意したら不可能ではないと思います。もちろん、原発の状況が悪化しないのが前提です。
今年並みに収穫米検査をし、40以上が出た場合流通させずに買い上げを約束したら実現できると思います。
福島県の玄米の検査のまとめもご覧下さい。

http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=25325
来年度はND(<40)を目指し、出来る限りの対策を農家に伝えたら、きっと出来ます。
冒険的な目標は農水省のお役人は立てられないでしょうが、密かな目標にはしてもらいたいです。


さすが現役農業者です。非常に具体的です。このところ不毛なことが多かったので、がぜんとやる気になってきました(笑)。これは
反論ではないので念のため。

結論から言えば、私は段階的暫定規制値引き下げ論者です。そして包括的にすべての食品の規制値見直しと、今後の地域の包括的除染の展望を政府が明らかにするべき時期だと考えています。 

物事には短期、中期、長期というタイム・スパンがあります。

暫定規制値は大規模原発災害に際して、直ちに平時の規制値を当てはめるわけにいかないことから緊急避難的に作られた非常時規制値です。短期的措置の最たるもので、1年以内に見直さないと禍根を残します。 

どのような禍根かといえば、
ひとつは、国内市場に対して、「あいかわらず農産物は高濃度汚染を続けている」という誤ったメッセージを発信してしまうことです。
 

現実には地衣類など一部を除いて、ほぼ完全に放射能汚染は検出されていないのですが、警戒感の強い消費者は頑として信じようとしません。これはかつて政府が情報の虚偽と隠蔽を繰り返した反動です。 

また、農業者からの側の挙証証明とでもいうべき自らの田畑の土壌測定は遅々として進まないのが現状です。原因は色々ありますが、震災から回復してないところに半年間の売り上げの壊滅状態が続き、そしてその上に測定など無理だ、というのが本音でしょう。 

私はこの短期的で時期は7か月目で終了したと思っています。 

では、中期的にはなにを考えたらいいのかと言えば、やはり汚染された田畑の回復を中心に据えた大規模、かつ徹底的な除染活動と同時進行する暫定規制値の見直しです。 

短期的な個人作業ではなく、農業-商業-一般住民-教育関係者まで網羅した地域総ぐるみとなった包括的な地域除染活動がすぐにでも必要です。

これには市行政のみならず、県、国レベルの政策が必要なことはいうまでもありません。その時に問題となるのが暫定規制値です。

ここで暫定規制値が残した禍根のふたつめの問題がでてきます。
暫定規制値の性格は、いわば「高く検出されるかもしれない農産物のセーフティネット」にすぎず、汚染された田畑の上で働く私たち農作業者の健康などみじんも考えていなかった、という問題です。

たとえば、もっとも重要なすべての農業生産の基盤であり、また農業者の健康に直結する土壌暫定規制値は、チェルノブイリの「汚染区域」指定の3万7千bq/㎡以上をはるかに超える10万bq/㎡(*キログラム換算で5000bq)であることは再三指摘してきました。

つまり、土壌暫定規制値を引き下げるためには、いかにして現に今そこにある放射性物質を除染するのか、あるいは封じ込めるのかに対して明確な展望がなければならないのです。

それぬきで、最初に上げた、消費市場への誤った信号への恐れのみでこの暫定規制値を捉えると、地域の一部としての田畑の放射能汚染の現実しか見ないことになります。私が暫定規制値引き下げと除染はまったく同じことだと言うのはそのためです。

おそらく除染-封じ込め活動は10年では済まないでしょう。政権担当能力を欠いた民主党政権がこのまま任期一杯まで続くのならまったく見通しが立たない事態に追い込まれます。

チェルノブイリでは当初の日本流にいえば野菜の暫定規制値が3700bqから13年かけて40bqまで落としたという事例は参考になります。日本でも間違いなくそれ以上かかるでしょう。

そう考えると、暫定規制値のみを引き下げてもなんの意味もないことになります。仮に40bqが可能な田んぼがあったとしても、その田んぼを囲む耕作放棄田畑や森林からは絶えず放射性物質が照射されているわけです。

すると地域線量は減らず、いかにコメの移行率0.0026という極微量だとしても、この危険を看視するわけにはいきません。

もうひとつ重要な問題に補償がありますが、おおきな問題なので別稿にで論じることにいたします。

最後に長期的なことについてですが。これは危険きわまりない原子力発電からいかに脱却するかでしょう。脱原発という言い方がいいのならそう言ってもかまいません。

しかし私は現在の脱原発運動に参加する気はしません。体質的に違うといえばそれまでですが、あれは主に都市生活者の運動です。消費者の食と生活に対する脅威によって拡がった運動で、私たち食の作り手側と相当にすれ違っています。

放射能汚染された農業をどうするのかについて誰も真剣に考えようとしていない状況です。脱原発運動の一角を担うゼロリスク派は、食と農を分断し対立させる危険性すらあると思っています。

私は農業者として自分の田畑や地域からもう一回脱原発を考え直す時間はたっぷりあると思っています。なぜなら、脱原発という大きなテーマは国のエネルギー政策の根幹にふれますから、地域の包括的除染-暫定規制値の見直し作業といった中期的な展望が開けてからゆっくりと考えればいいのです。

現在、私たちの地域の測定グループでは新米はすべて「検出限界以下」でした。ですからおっしゃる40bqになっても私個人としてはいささかもかまわないのですが、現実問題として地域のスクリーニングがまったくといっていいほどされていない状況では大きな不安が残ります。

というのはあまりに国が指示した予備検査は粗雑そのものであり、隣町の鉾田は52bqが出ましたが、予備検査はわずかに3カ所でした。話になりません。ザルも極まれりです。そして新米に対するスクリーニングも例の調子です。

ですから、おっしゃるような「個人の目標」としてならともかく、暫定規制値の抜本的手直しとなると、先に述べたようなさまざまなことを考え合わせていかねばならないと思います。

■写真 ほおずきがたわわに実っています。わが農場には自生のホウズキの群落があって今そここで可愛い赤い実を風に震わせています。

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コメント

確かに今回のザル検査で見直しを行うのは、まだ早過ぎるかもしれません。
消費者が独自に流通した米を測定して100Bq/kgを発見!ということも有り得ると思います。

「40Bq/kg以下」を私が言い出したのは、農家・JA・自治体・農水省が、連携して米の汚染低減策・圃場対策・農家被曝対策に取り組めていない現状へのいらだちがあるからです。
昨年の口蹄疫やトリインフルエンザ発生時、農水省・自治体・JAは全国の全ての畜産農家に対して病気の症状や防疫・消毒対策を伝え、農場に出向き指導を行いました。それに比べて、放射能対策はあまりにも至らなすぎです。

農家も関係機関も今年の米の検査で、40以上になりそうな地域や場所のおおよその予測ができるでしょう。どんな農作業がどの程度の被曝の危険があるのか予測できるでしょう。来年度は対策を絶対に立てねばなりません。どんな対策が効果的で現実的であるかも、かなり分かってきています。
<40は、取り組みを進めると云う決意を明確に示す現れのようなものです。数字にさほど意味はありません。具体的な実際の取り組みが必要です。


連投すみません。

「全農福島県本部はことし収穫された県産米について、県の検査で放射性物質が検出限界値(1キログラム当たり5~10ベクレル)を下回った「不検出米」だけを販売する方針を決めた。」
河北新報のニュースです。
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/10/20111014t65020.htm

生半可な対処では福島県のコメ農家を守れないという、全農福島県本部の危機感が伝わってきます。

記事中に「放射性物質が高水準で検出されたコメは精米後の数値を検査し、販売の可能性を探る。」とありますが、例えば、無洗米にしたら更に数値が下がらないですかね?数値を明記して販売し、不特定多数が食べないように消費できればいいのですが・・・。

南の島様。
無洗米として流通するというのは興味ありますね(味は1段落ちますが)。
現在かなりの量の米が業務用を中心に無洗米流通している事実がありますので、検討の余地はあるのでは。
ヌカをどうするんだという問題はありますが…。

無洗米での流通は、基本、大賛成です。
ここ数年は、味より、日本中、産地に係わらず、高いベクレル値の米の出荷ニュースを流させないと言うのが、対、消費者対策だと思います。

しばらく、どこの米からも、放射線の報道が無くなれば、その後、味の問題に移行すれば、良いと思えます。

再三ブログ内で仰っている数値なのですが、
「たとえば、もっとも重要なすべての農業生産の基盤であり、また農業者の健康に直結する土壌暫定規制値は、チェルノブイリの「汚染区域」指定の3万7千bq/㎡以上をはるかに超える10万bq/㎡(*キログラム換算で5000bq)であることは再三指摘してきました。」

の部分ですが、3万7千ベクレル/㎡だと土の採取方法にも寄りますが、15cm採土で185Bq/Kgになります。5cmでも569Bq/Kgです。実際4月と8月に茨城県で行われた土壌検査でも同様の結果になっていますが、1850bqの数字はどの様にお考えでしょうか?http://www.pref.ibaraki.jp/important/20110311eq/20110922_01/files/20110922_01aa.pdf
ちなみに5000Bq/kg=32.5~100万Bq/㎡の誤りでは無いでしょうか?

コメントにはHNが必要です。よろしくお願いします。

ご質問ですが、私にもわかりません。まず文科省は平方メートル単位という国際尺度を使っていますが、農水省はキログラム単位というわかりにくい方法に固執しています。

ですから、ふたつの国家機関が出す数値の単位が違います。非常に困惑します。

ご承知のように測定も文科省は地表下5㎝、農水省は15㎝です。私は初期測定においては5㎝を支持しますが、耕耘されている農地の場合拡散していますから15㎝と考える方がいいのかもしれません。

ちなみに文科省は宅地が縄張り、農水省は農地が縄張りです。

したがって、測定単位も違う、測定位置も違うわけですから、通常は比較すること自体ナンセンスです。ついでに、文科省はヘリ測定ですから、粗雑なものです。私個人としては参考にするていどで、あの色の違いに目くじらをたててもしかたがないと思っています。なにせ私の農場はあの色のまさに境い目にありますもんで(笑)。
しかし、これしかないのですからしかたがありません。さっさと実測しろ、バカヤローというかんじです。

次に日本の土質において、平方メートル単位にした時と、㎏単位の換算式が分かりません。チェルノブイリはおそらく草原地帯であり、日本は粘土質と砂質土壌です。相当に土壌体積が違うはずです。

ですから、ほんとうにチェルノブイリの汚染区分があてはまるのかどうかわたしにはわかりません。

無責任なことを言うなといわれそうですが、当該省庁では発表していないと思います。もしお分かりでしたら、私も知りたい。

私は「農業経営者」副編集長の浅川芳裕氏の教示に準拠しています。これも単なる目安程度でしかありません。

日本政府が無能怠惰なのはよくわかったので、自分で大学の研究者と協同でやってみるしかないと思っています。

私は素人を自認しているので、換算方法が間違っていたり、計算間違いがあったりは年中です。ご指摘が正しければすぐに修正します。

HN入力をしないですみませんでした。
私が言っているのは、茨城県が米の作付け・米の収穫の際に、4月・8月で実施した実測の土壌検査結果です。
ご存知ありませんでしたら、茨城県のウェブサイトをご覧下さい。

komameさま。もちろん見ていますが、なにをお聞きになりかいのだかよくわからないのですが、5㎝と15㎝の数値の差でしょうか。それとも1850bq以上の土壌についての評価でしょうか。

通常はセシウムは表土した5㎝に溜まります。粘土にセシウムは電荷して結着しますから、沈下速度はゆっくりです。文科省はこの5㎝を計っています。

一方農水省は、耕耘して拡散していることを前提にして計測しています。ですからロータリー幅の15㎝を計測しています。

同一地点での比較データがないのでなんとも言えませんが、通常なら地表5㎝下のほうが強く出ます。

1850bqというのはあくまでも推定です。チェルノブイリと日本はカンタンな比較はできません。しかし、1850以上というのは汚染されているという認識を強く持つべき数値です。

私の私見では500以上はなんらかの除染作業をしなければならない土地だと思っています。ですから4600bqで作付けを許可した二本松市の判断はそうとうに問題だと思われます。


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