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暫定規制値は、農民の労働環境安全基準値ではないのか

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励ましてのお言葉ありがとうございます。しばらく休載しようかとも考えていたのですが、がんばって続けることにします。

私は私だけのために書いているのではない、という気持ちで進みます。私は同じ「被爆地」の境涯に置かれた同胞のために微力ですが力を出します。

さて、放射能問題を語るときにいちばん忘れられていることは、農家被曝です。食品被曝は本だけで数多く出ていますが、農家被曝を扱った本はまったくありません。

いや、ニュースにもネットにすら登場しません。あたかも初めから「なかった」かのようにです。

しかし、考えてもいただきたいのです。農産物の「検出限界以下」の超微量の低線量被曝が問題となるのならば、それが生産された大地の上で歩き、土埃を吸い込み、手で直に触り働き、地元の野菜を食べている私たち農民はどうなるのでしょうか。

農産物や土壌の線量を測定するのは食品衛生のためである、という大きな誤解を正さねばなりません。

先日、日本には放射能汚染を規制する法律がないために、放射能を放出することは「合法」だと書きました。

しかし、まったく放射能を規制する法律がないわけではありません。「原子炉等規制法」です。

これは原子力施設の内部環境を規制する法律ですが、そこにはこうあります。

「平方メートルあたり4万ベクレルを超える建物や労働環境は、国が放射線管理区域に指定せねばならない。」

平方メートル当たり4万ベクレルという数値は、実はチェルノブイリで示された旧ソ連の汚染区域の3万7000bq/㎡以上と対応する国際基準値です。

この4万bq/㎡という原子炉等規制法の数値は、日本が採用しているキログラム単位に換算すれば、2000bq/㎏に相当します。

日本の土壌残径規制値はいくつですか?そう、5000bq/㎏です。私たち農民は原子力施設で定めた安全基準の2.5倍以上もの濃度が「安全の閾値」だと信じ込まされてきたのです。

私たち農民は、日々原子力施設内部ですら危険水域である「放射線管理区域」で仕事をさせられていたのです。

ぶざけるのもいいかげんにしてほしい!政府は農民の健康などこれっぽっちも考えていないから、こんな馬鹿げて高い暫定規制値を作るのです。

二本松の500bqが検出された水田では3000bqの土壌放射線量が測定されています。そのとき、マスコミは大騒ぎを演じました。

彼らは消費者がこれを食べささせられたら、という角度のみで報じました。

なにか忘れてはいませんか。そこで働いている人間がいるのですよ。泥をこね、全身泥まみれで働く私たち農民がそこにいるのですよ。

西日本の人は超低線量の送り火の灰ですら恐怖しているというのに、私たちは「放射線管理区域」というれっきとした高濃度汚染地帯を「安全」だと信じ込まされてきたのです。

日本政府とマスコミは高濃度汚染地帯で働く人々より、たまに一口二口食べる人たちの方を向いて仕事をしています。

農民を見ろ!私たち農民の今そこにある危険を見なさい!暫定規制値は、農民の労働環境安全基準値ではないのか。

私たち農家が汚染区域に生きているなら、それを強いられているのならば、私たちはいやがおうでもそれと闘う最前線にいることになります。

私たち農民が最初に汚染地域に放たれたカナリアであり、それを除去する本隊なのです。

暫定規制値を下げるのはあたりまえ。問題は、そこからどうして継続的に放射線量を確実に下げていくのかに、日本は国家を上げて叡知を集めねばなりません。

既に、農家は自主的に自らの汚染された大地を浄化し始めています。これは闘いです。しかも長期間に渡る闘いです。

私たちは農地だけを浄化すればいいわけではありません。それを包む里山の森林、水系、そして住宅地も含めてきれいにしていかねばなりません。

つまり地域の包括的除染をせねばならないのです。空からの汚染マップ一枚に7か月もかかる国は信用できません。いや、「汚染」であることすら認めようとしない国は信用するに値しません。

私たちは農家が協力し合って測定し、自分の故郷を浄化していくつもりです。県や国の「安全宣言」などは聞き飽きました。

ほんとうの「安全宣言」を自分たちで出さねばなりません。出口のないトンネルの中でそう考えました。

■写真 ちょっと前でですが、合歓木の花がさかりでした。ネムノキは「眠の樹」ではないのですか、たしかに見ていると眠くなる。

          ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

      ■ 東北、関東10県のセシウム134、137の合計沈着マップ

*右端が切れていますが、クリックすると大きくなって見えるようになります。

Photo
          産経新聞10月9日より参考のために引用

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

昨日の記事では「浜田さん沈んじゃった!?」と心配しましたが、本日の記事を拝見し安心しました。
昨日の写真、朝焼け・青空・夕焼けのように、毎日毎日太陽さんは昇って来てくれます。明けない夜は無い・・・を信じて前をむいて行くしかありません。
落ち込んだ時には、何気無い言葉でも心にグサッと刺さります。
しかし、その全てに反応していたら前進するエネルギーが削がれてしまいます。
貴重な生産現場からの情報提供をこれまで通りお願いします。
本日の記事とずれてしまいました。

投稿: 北海道 | 2011年10月 9日 (日) 08時47分

訂正=「浜田」さんを「濱田」さんに訂正します。申し訳ありません。

投稿: 北海道 | 2011年10月 9日 (日) 10時42分

農家の方々の被曝は、農家の婿という方のツイッターやブログから、ずっと懸念しております。
どこに声をあげればいいのでしょう?
農水省でしょうか?JAでしょうか?それとも、議員に?
報道はつねに消費者対生産者の構図への誘導で、歯痒く思っています。
微力とはわかっていますが、応援したいです。

投稿: タカハシ | 2011年10月 9日 (日) 11時30分

現地の農場で濱田さんのように毎日試行錯誤しながら闘っている方々がいます。

一方で、「東日本オワタ!」を煽り、西日本在住だけど無理~。 との意見や書き込みが圧倒的に多く見られます。

原発事故に便乗した日本分断工作かよ!と。

こんなことでいいのか?日本人の誰がそんなことを望んでるのか?


瓦礫処理や森林の除染など問題は山盛りですが、我々は何が何でも克服していかなければならないことです。大変難しいことは承知の上で。

それでどうしようとも我々は、ここで生きて行くしかないのです。
再興のために、様々な問題を抱えながらも前に進むのです。
1日も早く国の支援を得ながら進めて行く。それしか日本の選択肢はありません。

宮城県に限っても、気仙沼・石巻・塩釜の漁業基地を一刻も早く復旧しなければなりません。
将来の世代のためにも。

残念ながら、まだまだ国や県の動きが…。建築制限掛かったまま半年とか、前内閣の罪です。お遍路で赦されるなどとは誰も思ってません。

投稿: 山形 | 2011年10月 9日 (日) 13時03分

「日本メジフィジックス社ラディオガルダーゼ(一般名=ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物)
この経口薬はセシウム-137の腸管からの吸収・再吸収を阻害し、糞中排泄を促進することにより体内汚染を軽減する薬剤である。」と記されています。ご参考までに。

投稿: 兵庫県から | 2011年10月 9日 (日) 22時01分

はじめまして、福島の農民の方の被曝が気になり、検索していたらここにたどり着きました。
「福島の野菜を応援するってことは、福島の農家の人たちの被曝を奨励することにならない?」とある人に言われて、ふと立ち止まりまして。。。
今まであまり気にしたことがなく(すいません)心配になりました。
今まで私は福島の野菜の汚染は冷静に見て流通している物なら大丈夫と判断し、「食べて応援」のつもりでいました。でも、これからどうしたらいいのか、ちょっと戸惑っています。
農家の方の被曝はどうなっているのでしょうか…

投稿: くすっこ | 2011年12月21日 (水) 12時14分

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