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守るべきものは護る。この国としてあたりまえのことができなくなるのがTPPです

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前原さんはあいかわらずTPPに入れ込んでいるようです。野田さんもどじょうの前のめりで突き進んでいるようです。松下政経塾出身者はよほどTPPがお好きと見えます。

TPP協定の分野状況を見ると24の分野が上げられていて、そのひとつでしかないにもかかわらず、「TPPは農業問題だ」とか、「農業保護か開国か」などというミスリードがあいかわらずなされています。

野田さんもあんがいあんな地味な顔をしてパーフォーマンスが好きなようで、大型農場でコンパインに乗っていましたね(苦笑)。

大規模農業こそが日本農業の生きる道ということなのでしょうか。集約化、大規模化、企業参入という財界型農業改革が念頭にあるんでしょうね。

それはさておき、政界一の迷いなきTPP推進論者の前原さんがTPP論議の時に国民に必ず言う殺し文句があります。そうあれです。

「GDP構成比1.5%の農業を守るために、残り98.5%を犠牲にしていいのか」。

いや~説得力あるなぁ。なんか郵政民営化選挙の時の小泉(チチ)の「郵政職員ウン万人のために郵政改革をできないのかぁぁぁ!」みたいな迫力ですな。

逆に言えばですが、このような「みじめな日本農業」、「保護されてばかりいる日本農業」論の根拠は、遡るとこの「わずかGDP比1.5%」という数字に行き着くのです。

わが国のGDP比を見る前に、世界に冠たるでは農業大国と自他ともに許すフランスの農業のGDP構成比を調べて見ましょうか。農水省のサイトを「○○国の農林水産業概況」でググるとバッチリ示されています。http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_gaikyo/fra.html

■答え 先進国中第1位のフランスの対GDP比は1.8%。

そんなもんなのか~、ではありませんか。気を取り直してこれこそまさに世界の穀倉の米国はと言えば、1.1%。

ヨーロッパの黒い土、深い森林のエコ大国というイメージのドイツはといえば、はい0.9%。

なにかといえば、自給率が下がった日本と、自給率ダウンを反省して農業大国になったとうわさの英国は、0.8%。

もうお分かりでしょう。日本は先進5カ国中第2位のGDP比率を誇っています。それを前原さん「たった1.5%」とはよー言うよ。あんた農業、なにも知らないね。知らないくせによく言うよ。

先進国はおしなべて工業生産、サービス業の比率が高いので低く出るのです。ですから、農業の比率が対GDP比で相対的に少なくなっていきます。これはわが国だけの話ではなく、世界一般の状況です。

国際比較をしないで、自国の数字のみ見せるという数字のトリックというやつです。

今後前原さんにはこう言ってほしいもの。「先進国中第2位のGDP比率を誇る日本農業」と言って頂きたいものですな。

さて、日本農業ほど自国民から誤解を受けている分野はないのではないでしょうか。いわく、補助金づけ、老人ばかり、世界一高い農産物、農業鎖国、それに昨今は原意発事故で危険なものをばらまくテロリストという恐ろしいイメージまで植えつけられました。

ついでにそうあの自給率40%です。6割の食料はは外国産だという典型的ミスリード。これは長くなるので別稿にしますが、デタラメです。

この誤ったイメージを修正しないで、泣き言ばかり農業団体が言っているように聞こえるので、こういうTPPのような時になると「農業のために鎖国しているのか」みたいな馬鹿な論議になってしまうのです。

冗談ではない。農業はそんなものじゃない、と正面から反論しないから、TPPのいい生贄羊にされてしまうのです。

TPPが目指すのは例外なき自由化です。これは国として誤った選択です。自由化とは相手国の弱みを狙って攻め込むもの。これが原則です。

貿易相手国が自国民の健康保護のためにBSEの全頭検査を要求すれば、それを関税外障壁としていいがかりをつけ、取り払うことを要求するのはあたりまえのことです。

相手国の商品が高ければ輸出補助をつけてでも安値攻勢をかける、これもありです。相手の弱みこそわが強み、これが自由貿易なのですから。

そのときに、外国と一緒になって自国の弱みを言い募り(しかも間違って)農業叩きに精を出す。どうかしてやしませんか。本当に日本の政治家ですか。

わが国が酪農製品に高関税をかけてなにがいけないのでしょう。自国の酪農は地域経済の要なのです。サトウキビは離島の主要産業です。守ってなにがいけない。

消費者が高いものを買わされている?なにを言っているのですか。今日本経済で最大の問題はデフレではないですか。慢性的宿痾です。更にこれをTPPでデフレ促進してなにが楽しいのか、私にはさっぱり分かりません。

守るべきものは護る。この国としてあたりまえのことができなくなるのがTPPです。私はTPPにぜったい反対です。

■写真 昨日の夕陽はまるでオーロラのようでした。

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コメント

ものすごい夕焼け雲ですね!美しい。


さて、もうずいぶん前の話ですが
「貿易不均衡」
「ニッポンはアンフェアだ」
「食糧安保など古い概念だ」
などとアメリカからの外圧で、牛肉・オレンジの輸入自由化を渋々行ったことを皆さん覚えてらっしゃるでしょうか。

そうは言いながら、アメリカはずっと手厚い自国農業の保護を行っていたのですが…それこそ政治の世界です。
TPPは全分野での関税撤廃が基本とされています。
今の日本の政治・外交力に、うまくかわすもしくは対決しても出血を最小限に抑える能力があるとはとても思えません。


あの頃私は農学生だったので「農業経営拡大による競争力強化」についてシミュレーションを行ったことがあります。
今じゃ資料も無くて記憶モードですが、拡大して効率化すれば競争力は上がる。しかし、とても広大な土地を持つ国には敵わない。
拡大をひたすら(無限大に)続けていかないと、いずれ負ける。つまり必ず破綻するという残念なデータが出ました。

ブログ主様のおっしゃる通り、GDP比率比較や工業製品やサービス業より農業生産額がはるかに小さいことなど当たり前で、正に数字のトリックです。
その国内農業を守ることがいかにもデメリットのように宣伝する輩の気が知れません。

投稿: 山形 | 2011年10月20日 (木) 08時03分

スイスは、自国農産物の方が、同じ農産物であっても、高い値段であれ、新鮮で安全な、国内品を購入する慣例が、国民に存在します。

国民は、旬の農作物を、朝採りして、その日に食べることが、安い輸入農産物より、健康に良くて、値段に関係なく大事なんだと理解してます。国民全体が、国内の経済が、うまく回ることが、GDPなどの数字に踊らされることなく、重要だと認識しています。(農家さんが自力で、経営できなければ、いずれ補助金行政などで、税金を投入されるなら、税金を払うか、国産新鮮農作物を、多少高くても買うかの判断が出来ているのです)
だから、EUの考え方とは、ぜんぜん違いますよね。

日本は、農家が思っている国産農産物の価値を無視して、安く大量に売ることが、流通業界の目標のように、動いています。

昔のやおやさんは、対面販売ですから、お客様の顔を見て、ちゃんと、安いものを勧める顧客、高くても満足してもらえる顧客など、ちゃんと見ていて、勧めてくれたのですが、スーパー全盛の今、同じ野菜が、なぜ、価格差があるのか、消費者が、知るすべがありません。

もちろん、昔は、予約仕入れも出来ました。やおやさんに、こういう野菜がほしいと言えば、翌朝、市場で、仕入れてくれたのです。

まだ、このころは、間接的に農家さんと消費者との接点がありましたが、今は、農家さんとの接点が都会の消費者には、ありません。せいぜい、道の駅で、農家さんが、補充陳列しているときに、声を聞くくらいです。

本来、もっと、農家さんと消費者は、コミュニケーションを採る環境にあるべきと、思いますが。

ヨーロッパ全体が、EU加盟国ではないですから。
スイス人は、お金にかかわらないメリットを含め、食糧を購入しているようです。

投稿: りぼん。 | 2011年10月20日 (木) 12時15分

りぼん。様。

別に攻撃的意図はありませんが、スイスと比較するのはどうかと思います。
今やユーロ圏(これが大きく揺らいでますが)に囲まれた、北海道よりも小さな国土で山岳地帯で孤立した緩衝帯の国です。
スイスといえば直接民主制の永世中立国とされていますが、現在国の在り方が大きく揺らいでいます。

ちなみに、スイスは私にとっても子供時代からの憧れの国でもあります。

投稿: 山形 | 2011年10月20日 (木) 13時05分

連投失礼。
りぼん。さんの意見に悪意は感じませんが、山岳に囲まれながら各家庭にマシンガンが備えてあり、原発全廃と言いながら周辺諸国から電力を買える状態なのがスイスです。
もし、どこかの周辺諸国が侵略意図を持ったら国際的に袋叩きに合うのが目に見えてる環境を100年レベルで守ってきてるのがスイスです。
近隣のドイツやフランスやイタリアとも巧みな外交で『スイスに攻め込むのは極悪非道』という構図を確立してます。
グローバル化の国際的圧力の中で鉄壁だったスイス銀行が情報公開になりましたが、歴史的に事実上の保護国のリヒテンシュタイン(マネーロンダリング国家)もあります。

我が国の置かれた状況と比較するのは、ちょっと無理があると思うんですが…。
スイスも財政は厳しく、近年になって「自転車部隊」や「伝書鳩部隊」はついに廃止されました。

だからといって、自国産農作物を買おうとは、日本ではならないでしょう。

昨夜のニュースでは、福島や茨城から遥かに離れた鳥取県の名産の梨が売れないという事態が発生してます。

東日本は終わったと盛んに主張していた方々は、どんな言い訳するんでしょうか?

投稿: 山形 | 2011年10月20日 (木) 13時45分

お久しぶりです

個人的にはTPPに参加してもアメリカの思い通りになるだけでデメリットばかりでメリットは少ないでしょう
逆に日本が参加しなければ事実上名ばかりの自由貿易協定になるでしょう

ただ自由貿易協定自体は製品輸出国が主力の日本では必要ですので2国間で取り決めできる小回りのきく自由貿易協定(Free Trade
Agreement)FTAがよいと私個人では思います

ただ農業を守るためだけに自由貿易協定のすべてに反対と盲目的に発言するのは違うのでないかとおもいます。

私は安い外国産の農作物が入ってきてもできるだけ国内産を消費したいと考えております

ただ現状 私どもの近隣では被災地域の野菜しか置かれなくなったため、どうすればいいのか戸惑っている次第でありますが、本当に安全なのかどうかだけ不安ですが自由貿易強敵が発効される頃には土壌の放射線の影響も下がってるのである程度安心して関東圏の野菜も消費できるようになると感じていますが、米の1㌔当たり500ベクレルという国の基準には驚くのを通り越して笑っちゃいますけどね、毎日食べるものなのに500ベクレルって・・

それと以前大阪の私どもは関東の野菜なんか回ってこないだろうからあまり悲観的な発言を控えるようにといわれたよういわれたような気がするのですが当家の利用するスーパーでは近畿圏や西日本の野菜は多くが関東方面に高値で競り落とされ近畿方面の業者にはあまり入荷できないとの談でした たまねぎまで淡路産が手に入りにくくなってしまった事には驚きが隠せません・・・・

投稿: 大坂在住 | 2011年10月20日 (木) 15時16分

追記 米は確保してるので当家には関係ないといえば乱暴なのですが

米の放射性セシウムよりも骨に取り込まれ毒性が高いといわれるストロンチウムが気になって気になってしょうがないのですが、そこらへんは国は何もいってはくれませんよね

ストロンチウムを測定できる測定器さえ日本にもほとんどない現状じゃ子供に骨肉腫などの不安を抱えさせて食べさせないといけないのでしょうかね?

どうしたらいいのでしょう、不安で子供が癌になる夢をよく見て目が覚めます

投稿: 大阪在住 | 2011年10月20日 (木) 15時38分

山形さまに、日本もスイスのように成れとPRしたいとは、私は、単純に思ってません。

かつて、FTAをたくさん、締結したいと言っていた日本なのですが、シンガポールのように、多くの国とFTAをむすんでしまった。と言う状態になく、日本はFTA後進国ですよね。その日本が、突然、準備もなく、米国の要求書(毎年、政府あて送られてきてます)どおりに、短時間で、総理が、APECでTPP参加を決めたり、安住大臣のように、中身を伴わず、消費税アップを国際宣言すると言う今の政府は、本末転倒と思ってます。韓国と米国のFTAですら、米国の主張の一部は、認めるが、自国の保護貿易参品は、しっかり保護するスタンスで、締結しているとのこと。米国だって、突然、ダンピング課税だとかで、日本を苦しめてきたり、今後もそういうことは、あるでしょう。つまり、関税以外の保護貿易手段を持っているのです。

ただ、TPPについては、あまりにも、広範囲にわたる条約なので、未だ、私には、詳しいことが、理解できてません。マスコミは、絶えず、外国産の農産物が、無関税で輸入されてば、農業は壊滅すると言う理屈しか、言いませんけど、現実は、野菜農家さん、米農家さん、畜産農家さんと、受け止め方は、かなり違うように思えます。

それらについて、農業を知らない、都会人に、詳しい説明がないのですよね。現時点では。。選挙に参加するのは、農業者より、他業種のサラリーマン国民の方が多い訳ですので、全国民が、理解しやすい報道が、必要だと思いますが、未だ、詳しく説明されていません。
APECで、総理が発言する前に、全国民が、TPPの本質が理解できれば、賛成にしろ、反対にしろ、国民の納得が、得られやすと思いますが、情報がない中で、賛成とか、反対とか、言えない自分が存在するのは、事実なんです。

スイスを引き合いに出したのは、スイス人は、輸入食品より、値段が高い国産農産物を優先して購入する国であること。兵隊がいるのに、交戦を嫌い、永世中立国と言う、看板で、ヨーロッパでの、EUに適当な距離間を維持している小国です。

ギリシャとは、随分違うスタンスながら、苦しいなりにも、国家を維持しているのは、やはり、外交上手なんだと思います。日本は、毎年、米国議会が送ってくる要望書を国民に開示せず、米国の言うなりになってきてます。

そこら辺の違いを、言いたかっただけですから。。

国内で、日本として、FTAにしろTPPにしろ、全容を詳しく説明する状況が起こっていないのが、とても、残念です。

投稿: りぼん。 | 2011年10月20日 (木) 18時05分

りぼん様。
まあ、なんかいろいろ思いがありまして、あまりここでやりあいたくなかったので今頃のお返事ですいません。

そうなんですよ。
残念なのは我が国の外交の拙さと、国民への議論を提起しない政府。

先ほど、NHKニュース深読みでもやってましたが、賛成派・反対派が侃々諤々。
アメリカと中国という2大国の間で板挟みの日本。だからこそ巧みな外交政策こそが必要なのですが…。
各国との個別FTA締結に関しても議論されてましたが、ここ3年ほど加速させると言いながらあまり有効な成果は上がっていません。残念です。
そこに嵐のような米国主導のTPPと、中国がイニシアチブを取ろうとしているASEAN+3です。

もう、いったいどうするのやら。

田舎じゃ「TPP?なにそれ?」な農家が、未だに沢山います。
自分の谷津田や畑と荒れた山をなんとか維持して食ってるなんてのが普通なんです。

投稿: 山形 | 2011年10月22日 (土) 10時20分

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