韓国陥落! 米韓FTA締結される
とうとう韓国が陥落してしまいましたね。いえなに、米韓FTAのことです。
来年1月からいよいよ日本財界憧れの米韓FTAの始まってしまうわけです。これで韓国がどのようなことになるのか、少なくともこれで私たち日本人は半年間の観察期間ができたわけです。
記事には、締結批准が紛争化した最大の理由をこう書いています。(産経新聞11月22日 欄外資料1)
「処理が停滞した最大の理由は条項に盛りこまれた「国家・投資家間における訴訟制度(ISD)」に対する警戒感が大きかったためだ。」(同上)
なんだわかっているんじゃないですか。農業が既得権益を叫んで暴れたからではなく、ISD条項が最大の係争案件だったということです。
韓国はこれを結局拒否できませんでした。今まで韓国がさんざん結んできたFTA・EPAのすべてにISD条項(Investor-state Dispute Settlement)が入っているからです。これでは米国にのみノーと言えないわけです。
これで、韓国はサムスンやヒュンダイといった巨大企業数社のために韓国国内経済を焼け野原にしてしまったことになります。
韓国は輸出が対GDP比率で5割に達するという超輸出依存国ですが、これでいっそうそのガリバー型寡占はひどくなる一方となるでしょう。
ちょうどわが国が上場企業5%に満たない大企業のみが恩恵にあずかるTPPの未来図と一緒です。
このような大企業は、本社が日本にあるだけで、実態は多国籍企業です。彼らはとうに生産拠点を海外に移しており、超円高とTPPでこのハードルは一層低くなっていきます。
日本人の雇用が危機にさらされているデフレ経済時に、安い外国製品の輸入を増大させ、大企業が海外移転していくならば、日本の国内消費市場は今以上に冷え込むことは間違いありません。
結果、税収が減少していき、その穴を埋めようと増税し、更に消費市場が冷え込み、財政失陥が大きくなり、、また増税し、というまさにデフレ蟻地獄です。
それにしても震災復興がまったく進まない中でのTPPと増税・・・、野田首相の頭の中はどうなっているのでしょうか。開けて見てみたいものです。正気の沙汰ではない。
今、政府としてしなければならないことは、内需を成長させることです。農産物にしても、個人消費が伸びないために低迷が続いているのです。
輸出という外需に依存する一握りの大企業の利益保護のために、内需を切り捨てようというのがTPPです。
はっきり言って、経団連首脳の大企業を除いて、TPPで得をする者はいないのではないのでしょうか。もはや彼らの利益は今や「国益」ではなくなりました。
さて、このISD条項(国家・投資家間における訴訟制度)という、わが国が経済的な主権を手放し、外国によって国内法を超越できる根拠となる条項を拒否できるでしょうか?
不可能です。わが国もまた既に25カ国以上の国や地域と投資協定を締結して、フィリピンを除くすべてでISD条項を入れさせていますから、TPPがその例外になるはずがありません。
今までわが国がISD条項にこだわったのは、特許や、ソフト製品、製造技術などの知的所有権が発展途上国でしばしば盗まれたからです。それらに対する法整備が遅れた諸国に進出する場合、ISD条項はセーフティネットだったわけです。
ですから未だ推進派からは、TPPのISD条項について、ドンマイ、怖くないよ、という声が絶えません。
「外資が不利益を被った場合、国際仲裁機関に日本政府を相手取って訴えを起こせる制度も、慎重派が持ち出す懸念材料である。
だが、日本政府が、すでに投資協定を結ぶ20カ国余の企業から提訴された例は、一件もない。逆に、この制度は、日本企業が新興国などへの投資に際して不当差別を受けないために重要である。」(産経新聞11月25日主張)
この社説を読むと、従来の投資協定一般と、TPPという日米過激FTAであるTPPとを意識的に混同しています。
ISD条項は、先進国と法的整備が遅れた発展途上国が締結する場合に有効なのです。GDP世界第1と3位の国家間である日米で入れるべき条項ではないはずです。
ほぼ同等の知的所有権法制と特許制度を持つ国家間において、ISD条項は米国のイチャモンつけと主権侵害のための凶器に転化します。これでカナダがさんざんにやられました。
日米FTAならば、ISD条項は拒否することが可能でした。しかし、発展途上国を多く含むTPPでは日本は自国利益を守る意味でも、拒否することは不可能です。
それにしても、あれだけの口蹄疫禍から未だ立ち直ったとはいえない韓国の牛肉・豚肉生産者が哀れです。もはや韓国畜産は完全に壊滅コースの軌道に入りました。
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■資料1 韓国議会、米韓FTA法案を可決 催涙弾や怒声で議場は大混乱
産経新聞11月22日
韓国の与党ハンナラ党は22日、採決をめぐり与野党間で激しい攻防が続いていた米国との自由貿易協定(FTA)の批准同意案を、緊急招集された国会本会議で強行採決し可決、成立させた。米国側は批准手続きを10月に終えており、米韓FTAは李明博大統領が目指していた来年1月にも発効する。
強行採決に最大野党・民主党が今後の全国会日程のボイコットを宣言するなど政権との対決姿勢を一層強めており、政権は厳しい国政運営を迫られそうだ。
野党側はFTA発効で「社会の二極化が進む」などと反発していたが、処理が停滞した最大の理由は条項に盛りこまれた「国家・投資家間における訴訟制度(ISD)」に対する警戒感が大きかったためだ。
ISDは投資家が不利益を被ったと認識した場合、投資先国の裁判所ではなく国際仲裁機関に提訴できる制度。企業の海外投資が多い韓国側に有利な側面もあるが、反対派は「政府や地方自治体が訴訟対象となる可能性があり、敗訴すれば国民にツケが回る」として削除を要求していた。
事態の収拾のため、李明博大統領は国会を訪問。与野党に協力を要請し、発効3カ月以内の再交渉という妥協案も示すなど異例の対応に出たが、野党側は同意しなかった。22日の本会議には与野党議員170人が出席。怒号の中、採決直前に野党議員が催涙弾を投げるなど一時混乱したが、賛成151票で可決された。
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コメント
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議会に催涙弾なんてどうやって入手して持ち込んだんだか…。
しかも当の議員は「安重根のような思いでやった」とか(後に謝罪)。
どうみても伊藤博文暗殺は朝鮮王朝に計り知れないマイナスだったんですが…英雄として(近年になって)讃え出した、かの国がわかりません。
と、話が脱線してすいません。
投稿: 山形 | 2011年11月26日 (土) 07時15分