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農の営みが最大の「放射能との闘い」ではないのか


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昨日、ひさしぶりに乱暴なコメントが来ました。
 

内容的には支離滅裂でなにを言いたいのか分からないようなものなのですが、ひとつの特徴があります。 

それは「消費者は被害者だ」、とでも言いたげな口調です。 

「消費者は安全なものを食べる権利がある。しかし農家や行政は裏切っている」、ということのようです。そして被害者意識むき出しで怒鳴り込んできます。 

少しでも放射能を減らす努力を一緒にしよう、というのではなく、ただただ私たちを叩くことでストレスを発散させているようで、実に不毛です。

このような人たちは、誰が放射能との闘いの最前線で闘っているのかわかっていないのです。 

最前線にいるのは私たち農業者です。そのことを少しお話します。 

今年の3月の原発事故が起きた時、私は暗澹たる気分になったことを思い出します。数十年続くであろうトンネルの中に入ってしまった、という気分でした。 

大地には放射能が降り積もっており、一木一草まで汚染されているのだろうな・・・、と考えると、今まで見ていた田畑や村の風景までもが別の異様なものに見えてきました。 

ともかく無条件に怖い。福島第1原発がある北から風が吹けば怯え、土埃を吸うことさえ恐ろしいのです。 

事実、これは後に知ることになるのですが、放射能の「見えない雲」は3月21日午前6時頃に私たちの頭上を通過していたのです。 

友人が冗談半分に、「オレたち村ぐるみで第5福竜丸に乗っちゃったのかな」、と言いました。 

毎朝、起きて県のモニタリング数値に目を通すことが日課になり、それすらもどかしく、自分でもガイガーカウンターを買い込みました。放射能関連の本も手に入る限り買い込みました。 

まっさきに計ったのは田畑でした。村の中をガイガーカウンターを持って走り回ったような気がします。そしてわずかの数値の上下に心臓が縮む思いがしました。 

今になると、大昔からやり続けてきたことのようです。わずか8か月前の話なのが不思議なくらいです。

春真っ盛りに花を楽しむ余裕もない私に襲ったのが、前代未聞の不買でした。壊滅的と言っていいような何も売れない状況が続きました。 

学者や県は耕すな、と警告しましたが、春に耕さないような農家は農家ではありません。 

水がぬるみ、地温が上がり、大地はこんな年でも私たちを呼んでいました。 

「こんな時だからこそ、種を播こう」、というのが私たちのグループの合い言葉になりました。 

「とんでもない、汚染された野菜を食べさせるつもりか」、という声も沢山聞きました。というより、そのような声ばかりでした。 

震災直後にあった温かい支援の声はかき消され、耳を覆いたいような声ばかりが私たちを取り囲みました。 

罵声、罵り、蔑み。そして有名なある学者は、私たちを「テロリスト」、「詐欺師」とまで決めつけ、「絶対に食べるな」と言いました。 

やがて、「東日本はもうお終いだ」、という声すら聞こえ始めました。 

衝撃でした。農家が農地を耕し、作物を作ることがテロリズムだとは。計って安全を確認して出荷したものまで、東京の市場で危険なゴミのように箱も開けられずに棄てられるとは。 

金銭の問題ではなく、私たちが心の中でいちばん大事にしているものが踏みつけになっていきました。 

しかし、変わったのは私たち人間だけで、自然はなんの変化もしていませんでした。田んぼにはいつものように蜘蛛が朝露を光らせながら網を張っています。メダカは例年と変わらず、温水の中で泳ぎ回っています。 

麦の穂は風に気持ちよさそうに首を振り、野草は土を持ちあげて若芽を出しました。ツバメは今年も納屋に巣を作りにやってきました。 

なんの変わりもない。なんの違いもない例年どおりの春が、そこにあったのです。 

彼らは私たちに言っていました。「なにも変わらないよ。変わったのはあんたらの心の方だ」。 

そしてあれから250日。土の放射線量は着実に低下しています。もはや100ベクレルを超える田畑のほうが少ないくらいです。

そして作物はことごとく、検出限界以下です。 私たちが春に想定した何百分の1以下の線量でした。

こんなことが3月に予測できたでしょうか。私たちは、セシウムの半減期が来る30年の間、苦しみ続けるのだと覚悟していたのですから!

これは奇跡だと思いました。

ただ、私たち人間が起こしたのではなく、土地の粘土や腐植物質がセシウムをはがい締めにし、ゼオライトが分子の隙間の牢獄に幽閉し、地虫や微生物が食ってくれたのです。

私たちがしたことは、ただ最初の一歩である「耕す」ということをしただけです。大地とそこに住む生物は、耕されることで空気が入り、活性化し、混ざり合い、溶け合い、放射性物質をという外敵と立ち向かってくれたのでしょう。

私たちは大地とそこに小さい生物に助けられたのです。彼らの浄化力に救いだされたのです。

答えは、高価な除染資材にあったのではなく、私たちの足元にあったのです。私たちのこの気持ちは、今や確信に変わりつつあります。

飯館村で、今もっとも有効な「除染」をしている人々は、避難区域に残ることを選んだジィちゃん、バァちゃんたちでした。

彼らの作る畑がもっとも確実に放射線量を下げていく働きをしています。

農業は耕すこと。種を蒔くこと。堆肥を入れて豊かに保つこと。・・・このなんでもない農の営みが最大の「放射能との闘い」ではないのか、と私は思っています。

その意味で、私たち農家は放射能の闘いの最前線にいます。肩の力を抜いて、日々淡々と土と生きることを通して。

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原子力事故」カテゴリの記事

コメント

証拠隠滅しといてよく言いますね~(笑)
今後ともよろしくお願いします。

投稿: めぐ | 2011年11月19日 (土) 10時52分

めぐとやら。記事と無関係な汚らしいコメントありがとうございます。

放射能と言ったのは、100msvが閾値なし線型モデル仮説の目安なので、 「90smvががまん限界だ」という意味ですよ。閾値なし仮説くらい知ってますよね。
あなたが放射能だなんて言ってませんよ。ばからしい。

しかし、今日のような内容にどうしてこいうことを書けるのか、正気を疑います。あなたほんとうにまともな人間なのですか?

削除するよりさらしてあげます。自分の醜悪な顔をもう一度鏡で見て見なさい。恥を知らない人間というのはあなたのことです。

投稿: 管理人 | 2011年11月19日 (土) 11時16分

めぐ様のブログも覗き、コメントもさせて頂きましたが、私の様な凡人には何を言いたいのか、何故言葉尻に拘って、自論を展開するのかよく分かりません。
理屈に屁理屈を上乗せしている感じにしか受け止められませんでした。
めぐ様について居住地も性別も年齢も不明ですが、どこからあのような発想をするのか、住んでいる世界が違うような気がします。
確かにイラつくコメントではありますが、相手にすればするほど、時間とエネルギーの無駄ですから、放っておく事が一番の対処方法かも知れません。

さて、自然の営みが半減期の短期化に繋がる可能性が出てきた事は嬉しい事です。
今後に期待ですね。

投稿: 北海道 | 2011年11月19日 (土) 12時10分

証拠隠滅しといてよく言いますね~(笑)
今後ともよろしくお願いします
山形クン、サンクス!
あんくりんクンが自分で書いた90mSvまで削除して証拠隠滅しちゃったんだけど、山形クンが認めてくれたので明白になりました。
んで、放射能呼ばわりでなければ何と言えばいいん?
さらにあんくりんクンの証拠隠滅ってひどくね? 覚えがないと言ったんだから。

投稿: めぐ | 2011年11月19日 (土) 12時11分

めぐ。もうやめなさい。

証拠隠滅?
放射能呼ばわり?
すべてお前さんの妄想癖だよ。
ちゃんと説明されているではないか。

昨日も今日も関係ない話で喚き散らしてみっともない。
人格破綻者と判断しました。

別に感謝の言葉などいらんから。昨日もコピー取ってるっていうから確認して、管理人ではなくキミの相変わらずの馬鹿さ加減を笑ってただけだから。

ここからは親切だ。
自分のブログから外に出てきちゃダメだよ。ネット世界でもそれじゃどこでも通用しない。実社会ならなおのこと。

アッパー系のクスリでもやってます?
ちゃんとカウンセリング受けなさい。

投稿: 山形 | 2011年11月19日 (土) 14時08分

北海道様。ありがとうございます。
つまらないトラブルに巻き込んだようで申し訳ありません。
今日は素直に書いたつもりです。数値がどうのというより、私なりに土に感謝したい気持ちを書きました。
そのうちこの「土」と土壌内微生物、腐植物質の放射能取り込みについて、科学的に分析をするつもりでおります。

しかし、正直なところ、よもやこんな地味な農業テーマに墨汁をかけてくる者がいたとは驚きましたが。

そちらももうすっかり雪でしょうか。厳しい季節が始まりますが、お身体にご自愛ください。

投稿: 管理人 | 2011年11月19日 (土) 14時12分

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111117ddm012040068000c.html

>学者や県は耕すな、と警告しましたが、春に耕さないような農家は農家ではありません。

数日前、新聞に、、地表2cmまでにセシウムのほとんどがある、という記事がありました。2cmならば、土を削ることができて、それで、8割除去できたら、畑を効率的に除染できたのではないでしょうか?15cm削ったら畑の重要な土を消失してしまいそうですが。

でも、深く耕してしまったあとでは、耕した深さで、土を除去しなければ、畑からは、セシウムが除去できない、、、、。

粘土質の畑の土にセシウムが吸着され、作物に移行しないから作物は安全、、というのは、わかるのですが、では、その畑で作業する方々の健康が心配です。
畑の土壌にセシウムがあるかぎり、作物に移行して都会にセシウムが出荷されないとしても、外部被曝によって作業する方々は被曝するでしょう。さらに土埃を吸い込むことで内部被曝が避けられない、、、、。

ちょっと心配になりました。

TPPは、工業製品だけでなく、農作物を作るのすら、日本人ではなくなることなんだと思います。

そこに、いままでの日本人の心は残るのでしょうか?

投稿: 杏ママ | 2011年11月20日 (日) 12時07分

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