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飯館村の奇跡。耕し、堆肥を入れ、種を蒔き、収穫するという営みの中で、放射能は急激に減少していた!

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昨日は生協の組合員さんに、私たちの放射能に対する取り組みをお話してきました。

このような組合員が参加できる放射能問題での取り組みは、まだこの生協連合ではされておらず、初めての試みだったとか。

意外ですが、そのようです。多くの産直組織は未だ組合員参加型の取り組みに至っていません。

というのは、流通対応がようやく整ってきたという段階だからです。流通での商品の放射能測定も、外注からようやく内部の品質管理室に移行したばかりのようです。

産直流通間の情報交換も一度はなされたようですが、暫定規制値に対する考え方の違いや、対策の立て方の違いが浮き彫りになって今は行われていないそうです。

もっとも遅れているのは、やはり組合員が自分の食べ物が生産される農地や自然環境を自分の目で見て、考えていくという取り組みがないことです。

これがされていないために、情報の電報ごっこのようになってしまっています。週刊誌や、テレビで面白おかしく流される情報が、どんどんと肥大して歪曲されて伝わっていってしまっています。

たとえば、昨日の消費者のお話でも、5ベクレルの煮干しに対する心配が話されていました。私はいかなる心配もない線量だと思いますが、生協は慮って供給を若いお母さん向け媒体では自粛してしまいました。

お母さんに怖いと言われると、無理に出しても恐怖心を煽るようなものだ、という生協側の気持ちもわかるのですが、ほんとうにそれで解決に近づいていっているのだろうかという気分にさせられました。

消費者は、これなら安全ですと言い切って欲しいのでしょうが、それを言い切れない供給側の苦しさが分かりました。

さて、昨日は茨大農学部の中島紀一先生がおだやかな口調でじっくりと、「農業が放射能を除去する最前線にいるのですよ」、というお話をなされました。

先生は福島の二本松を中心として調査支援活動を続けておられます。

先生が話された飯館村のお年寄りの話は心に残りました。

飯館村は今、元の薄の野原に戻りつつあるそうです。ほとんどすべての畑が耕作できない状況になったからです。

若い人や子供を持つ夫婦は避難してしまいました。残ったのは、もう誰がなんと言おうと、動かない。「死ぬのは生まれた村だ」と心に定めたこ老人ばかりです。

そのこ老人は、畑を耕します。あたりまえに日課として、土をいじり、種を蒔き、枝を選定し、土を寄せ、追肥を与え、収穫していき、食膳に乗せるのです。

そのようなわずかに残った老人夫婦の農地だけが、ポツン、ポツンと飯館村には残っています。まるで大海に浮かぶ孤島のようです。

この孤島にも子供や孫が休日に心配して見舞いに来ます。すると、ジジィやババァのほうが日焼けして元気一杯です。

そして土産に沢山採れた野菜を持たせました。しかし、その大部分が高速道路の休憩所で棄てられてしまったそうです。

子供たちに悪気はありません。ただそれを子供にはだ食べさせられないという一心です。こ老人はそれを知っても、また笑って土産にします。

「ほら、今年の枝豆は丸々としてうまいぞ。孫に食わせろ」。

そんなことが続いたある日、この土産の老人の作った野菜を放射能測定してみたのだそうですす。すると、ND!検出せずです!

驚いて、ご老人の畑や田んぼも計ってみました。もちろん放射能は検出されましたが、想像するような数万、数千ベクレルではなく、はるかに低い線量だったのです。

耕し、また耕し、堆肥を入れ、種を蒔き、収穫するという営みの中で、放射能を急激に減少させていたのです!

中島先生の科学的解説では、このようなプロセスがあったと思われます。

➊地中の粘土質がセシウムを電気的に吸着した。

➋堆肥の腐植物質が吸着した。

➌土中の微生物や地虫が取り込んだ。いったん微生物が吸収した放射性物質は根から吸収されにくくなる。

これにゼオライトなどの物理的吸着をつけ加えれば、もっと効果的でしょう。

このような地中の営みによって、植物の根からの放射性物質の吸収は大きく妨げられたのです。

この飯館のご老人の話は、私たちの経験と重なります。3月から4月中旬までは空間線量が高かったために野菜は外部被曝をして、それなりに高い線量でした。

しかし、私たちもまたこの春、種を蒔きました。種を蒔かない、稲を植えない春は考えられなかったからです。

そして土壌線量も計っていきました。3月期に500ベクレルを超える数値を出した農地も、この秋に改めて測定してみると100ベクレルを切る数値にまで減少しています。

農業をすることで確実に土壌放射線量は落ちるのです。

そして今、新たな爆発がないならば、土壌線量は空間線量を規定しますから、環境放射線量自体も下がっていきます。

こんなコロンブスの卵を、日本の学者は教えてくれませんでした。

いったん被曝したら、もうダメだ。土を剥げ、一カ所にまとめて覆いをしろ、フィルターをつけて燃やせ、そしてもっと高い線量地域では逃げろ、耕すなどもってのほかだ、と言いました。

それはやはり誤っていたのではないでしょうか。除去して、逃げるだけでは解決できません。

削り、棄てる、隔離するというだけではなく、まっとうな人の営み、土の営み、虫の営みに委ねてみてはどうなのでしょうか。

そんなことを改めて考えさせられた昨日の会合でした。

■写真 当地もそろそろ紅葉です。わが家には裏の山から移殖した自生のもみじがいつのまにか増えてもみじ林もどきとなっています。

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コメント

んー、コロンブスの卵というか目からウロコ。

チェルノブイリでも強制避難地域で「絶対に出て行かない」老人達がいて「わがままな人々」と呼ばれていましたね。

先日の二本松市の谷津田の例のときにどなたかがコメントなさってましたが、沢水が流れ込む一番上1枚を犠牲にしてゼオライトを大量投入するとか、やりようはあるんだと思います。
昨日ニュースに出た福島市大波地区も、飯舘に隣接する(尾根一つ)谷あいです。

まずは、今年の稲のデータなども参考にしながらホットスポットを細かく特定しなければなりません。


また、昨日は南相馬市のワサビからもセシウムが出ましたが…ヤフーのコメント(あれは馬鹿馬鹿しいのが多いですが)で「補償金目当ての作付するな。福島の農家は何も作るな」に対して「そう思う」が圧倒的。
作付許可が出てて出荷停止にならないと補償金なんて出ないってことを、知らない人がずいぶん多くて相変わらずヒステリック。
福島県では川俣町(飯舘の西)意外、未だに東電への請求出てないんですが…実態把握すらできてないから。
無責任に生産者を叩くバカが多くて、少しは勉強しようよ!と。

投稿: 山形 | 2011年11月17日 (木) 07時53分

人工的に作り出したものでも、自然は修正して行くんですね。
「全てが変わると言う事、その事だけは変わらない」と言う言葉がありますが、世の中の全てのものは、時と共に変わって行きます。
物質により時間は違えど、必ず変わります。それが、通常の農作業の効果が絶大だとすれば、購買行動の如何に係らず朗報だと思います。今はほんの少しの灯りかも知れませんが、大きな動きの第一歩になってくれたらうれしいですね。

投稿: 北海道 | 2011年11月17日 (木) 11時16分

なるほど、そうなんですね・・・

一つ教えて下さい。
微生物が放射性物質を吸収してくれるという話を聞きますが、EM菌も効果があるのでしょうか?

投稿: Sato | 2011年11月17日 (木) 14時47分

Sato様。そうですね。もちろんいいと思います。逆に言えば、特にEMでなければならないという理由はないような気がします。

要するに微生物が取り込んでしまって、植物に利用させない、ということが大事なわけです。

微生物や土中生物は、別にセシウムを食べているつもりではなくて、土と一緒に食べてしまっているわけです。当然排出しますが、大部分は体内に残ります。

また排泄された糞はより小さい土中生物が食べてしまいます。このような土壌中の循環が、放射能の対策にもなっていたのですね!
すごいことです。

投稿: 管理人 | 2011年11月17日 (木) 17時52分

自分のコメントで1つ訂正を。

飯舘に隣接ではなく、伊達市の個別指定避難区域の近くでした。
飯舘ともすぐ近くですが、川俣町を挟んでます。

投稿: 山形 | 2011年11月18日 (金) 06時08分

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