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2011年11月 4日 (金)

TPPには黒船と、それを導き入れる勢力があった

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TPPは、日米関係の悪化に怯えた菅前首相の思いつきのように出てきました。しかし果たして、TPPとは単に米国への外交的配慮からだけのものなのでしょうか? 

おそらくそうではありません。わが国内部には外の黒船に呼応する考え方がしっかりと存在しています。 

「TPPの思想」とでも言うべき流れはいままでも日本国内にあり、外国勢力と結びつくことで外圧利用で国内の「改革」を遂げたいと思っています。 

たとえばここに民主党が目玉政策としている「行政刷新会議」というものがあります。なんのために作られたのでしょうか。結果的にバラ撒きの財源が出ればよし、しかし目的は別にあったはずです。 

ひとことでいえば、「規制緩和と制度改革」です。 

2010年3月、行政刷新会議のなかに、「規制・制度改革についての分科会」が設けられました。この内容は、驚くほどTPPで想定されている{黒船」の内容と酷似しています。 

たとえば、医療介護分野の「ライフ・イノベーション」と称される中には、今TPPで問題となっている公的医療制度の解体と、民間医療保険による混合診療制度への解禁が堂々とうたわれています。 

この行政刷新会議の医療改革が実現すれば、いかなる僻地でも、老人でも等しく安い価格で受けられた医療・薬価制度が崩壊してしまうことになります。

これはTPPで米国の要求してくることが確実な公的医療保険の解体と、米国などの民間医療保険会社の参入と見事に照応しています。

TPPにおいては、外国人医師、看護士や介護士の大量移民も要求に登ることでしょう。行政刷新会議とTPPが違うことは、ただ「外国」を表に出すか出さないかだけの話です。

また、農業分野でも、「農林・地域活性化」として、「新規農協設立の強化」や「農業生産法人の規制のさらなる緩和」といった項目が登場します。(欄外資料参照) 

これは現在、農地が農地法3条により農家以外に解禁されていないことを緩和し、全面的に他業種の企業にも開放して参入を促すことが目的です。(*農地法3条自体は改正されていますが、規制があります。)

これもまた、TPPで米国が要求してくるであろう、「農地の取得要件の緩和」という名の外国人資本による農地買収と、農業参入と見事に対をなしています。 

この目指すところは、まっすぐにJAの胸元に突きつけられています。「改革」を唱える新自由主義経済的流れにとって、JAは最大の障壁だからです。

かつての新自由主義の先駆であった小泉改革の郵政改革が、郵便局を「敵」にみたてたとすれば、今回のTPPの標的はJAと医師会です。

おそらくTPPによって、JAは共済制度をもぎとられて経営基盤が揺らいだところに、コメや酪農の無関税化による離農で組合員数を大きく減らし、更にとどめのように新規外国資本参入を食らって壊滅的な状態になるでしょう。

さて、民主党中枢は、2011年10月1日に横浜APECで菅直人氏がTPP参加を言い出すまで、その内容を知らなかったはずがありません。知らなかったのは私たち国民だけです。

山田正彦前農水大臣は、このTPPという文字を「2010年夏に閣僚懇談会で見た」と証言しています。(インターネット誌「ザ・ジャール」による)となると、もう既に去年の夏の時点で、民主党内部ではTPPが何者か、なにを目指しているのかについて情報があったことになります。

時計を遡ると2009年11月14日に、訪日したオバマ大統領は、「米国はTPPに参加する」と演説しました。

そしてまさにその同日、USTR(米国通商代表部)のロナルド・カーン代表は、「米国はTPPをAPECなみの広域自由貿易協定にするつもりで、これはFTAではできなかった諸懸案を解決することだ」と述べています。

そして翌月、カーク代表は、「TPPは工業、農業のみならず、金融サービスまで含む」と書簡の中で述べています。

またオリジナル・メンバーによるTPPは、2004年に締結し、2006年に発効していますが、その中にもしっかりと「農業、工業、金融、医療、政府調達、法務サービスの自由化」が書き込まれています。

では、時系列に沿って整理しましょう。

・2004年。締結のTPP原型締結時の内容が「工業、農業、金融、法務、政府調達」に及ぶ大きな範囲を覆っていること。

・2009年11月。オバマ大統領訪日演説で、「米国はTPPに参加する」との発言。

・同日,及び翌月のUSTRカーク代表の「TPPは工業、農業、金融にまたがる広域自由易圏である」という発言。

・2010年3月。行政刷新会議の「ライフ・イノベーショ」(混合医療制度)と、「農業の規制緩和」。

・20010年夏。山田前大臣証言。「TPPは閣僚講で資料が配られていた」。

・2010年10月。菅直人首相のAPEC席上のTPP参加発言。

このような流れで見れば、TPPが突然現れたものではないことがわかるはずです。そして、前原前外務大臣が言うような「農業の対GDP比率は1.5%。98.5%は農業の犠牲になるのか」という発言が、いかに虚偽に満ちたものかお分かりになるでしょう。

前原氏はTPPをがいかなるものかのすべての情報を持ちながら(でなければ外相などやめてしまえ)、あえて農業のみを叩いたのです。

それは農業が分かりやすい「悪役」だったからです。農業ほど反論せずに耐え忍んでしまう部門が他にありますか。だから、彼は農業を標的にしたのです。あたかも98.5%の国民が農業によって迷惑しているような比喩を用いて。

民主党政権は、TPPが農業のみならず、医療、金融、法務、政府調達まで含むことをそうとう前から知りながら、農業を生贄とするTPPによる黒船型日本改造をもくろんでいます。

そのためにTPPの全容から国民の目からそらし、単なる農業問題に過ぎないという誤った情報を国民に印象操作したいのでしょう。

私はこの間、あえて農業ブログなのにもかかわらず、TPPを農業分野としてだけ語ってこないようにしました。

それは、農業問題は確かに大きいが、農業者がそれのみで主張していくならば、相手の攻撃の幅と大きさを見誤るからだと思ったからです。

TPPを止める闘いは、「規制緩和、制度改革」を錦の御旗にした新自由主義的日本改造が底流にあり、それを米国流の黒船でなし遂げようとする勢力との「国の形」をめぐるものになります。

それがわかっているからこそ推進派はわずか1か月で、なにもかも国民に秘匿したまま突き進もうとしているのです。

■写真 夕焼けの空。まるで緋色のカーテンのよう。

 

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コメント

分かり易い内容で纏めて頂き感謝申し上げます。
昨年の菅首相が表明した直後に、TPPについて色々情報収集していたら、それ以前に民主党では議論されていた内容だったことが分かりました。
一般国民に納得させる為に一番分かり易い、農業をテーブルに載せる事だったのでしょう。
医療や保険、金融・サービスまでも一緒となれば、多くの企業や国民は反発すると考えての事だと思います。
我々が物を買うとき「定価」があり、物によって「定価」通りや、定価から○○%値引き・・・なんて表示されているのを見て購入します。テレビや冷蔵庫、車だって販売者の言い値です。
(若干の交渉の余地はありますが)

農林水産物は、産直や契約生産を除き、全て「市場評価」で価格が決まります。
つまり購買者(中卸し等の流通業者)の言い値です。
現首相は消費税10%を国際公約し、次にはTPP参加を宣言するのでしょう。
構造改革(規制緩和)なんて言っていますが、イロハのイで手をつけなければならないのは、霞が関改革であって、それなくして国民に犠牲と負担を強いる事自体、国民の為の国会や議員の体を為していないと感じています。
今、TPPの話題になっていますが、原発や電気事業ひとつとっても、無駄なものが沢山有る様に思います。
「入るをもって出を制す」の言葉をもう一度思い出して欲しいと思います。

青空です。

ここに来て各種の内部リークが目立つようになってきました。
濱田様が指摘する通り、政府内部でも意見が大きく分かれていることが伺えます。
しかし、国民本位の内部リークというよりは政争のネタにリークされているような気がします。
どこまでも国民を馬鹿にした政府と政治家だと感じます。

交渉参加してもルール査定に参加できないのであれば参加するメリットがありません。
TPP参加国家もどこもかしこも不平不満が噴出している有様です。
アメリカの国益を追求するこの形態に違和感と危機感を持つ国はほぼ全てだと考えるのが妥当でしょう。

TPP参加国のネガティブな反応を見て米国がどう動くかが注目すべき点でしょう。

おそらく外交を動かし、内紛リスクやテロ、領土問題などが不必要なタイミングでクローズアップされるはずです。
今、アメリカの最大の武器は文字通り「腕力」です。
危機にあればアメリカが必要で、そのつながりは必要だという世論を形成するために、なんらかのアクションが起こされると考えます。

参加国を全て関係させ、紛争レベルで終始させる場所で米国の圧倒的な軍事力ををアピールする場所はおそらく南沙諸島辺りでしょう。

杞憂だと願いたいですが、それぐらいの準備はしているのがアメリカの戦略です。やりかねません。

かつての海千山千の憎らしき官僚たちなら、この荒波を口笛吹いてわたり、結果日本がダメージを受けないような形を水面下で作るぐらいの気概を持っていたのでしょうが。
今は期待薄ですね。

ここ最近になりTPP推進論者がネット上で極めて大人しいのが気になります。
なにかよからぬ動きがあるのかとかんぐってしまいますが、まったく気が休まりません。

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