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福島市で暫定規制値を超えるコメが発見された。事前にホットスポットを見つけ出さなかった失敗だ

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福島市大波地区のコメから暫定規制値を超える630ベクレルの放射線量が検出されました。(資料2参照)

今まで、出荷前の予備検査と出荷後の本検査と複数回の検査をしたにもかかわらず基準値をうわまわったものが発見されたことになります。

大波地区は福島市東部の山間地にあり、山林に沿って小規模の田んぼが散在する地域です。

この基準値超えを出した地点は、林に囲まれた川沿いの地形です。谷津田と私たちが言っている地形だと思われます。

この地形は、500ベクレルのコメが検出された福島県二本松市の地形によく似た地形だそうです。 

二点ほど指摘しておきたいと思います。

まず第1点ですが、このような山間地の山林に接する水田の「水口」(みなくち)、つまり取水口付近は山林の放射性物質を帯びた落ち葉が流入して汚染度が高い場合があります。 

新潟大学農学部土壌研究室・野中昌法教授研究室が、9月16日、24日の稲刈り前に行った調査結果をご覧ください。(資料1参照) 

採取場所は森林から沢水が流入する水口、その下の中央部、そして水田の終末部分の水尻です。

たとえばB地点をご覧ください。

B地点の土壌放射線量
・水口・・・・4500bq/㎏
・中央・・・・1900

・水尻・・・・1200

水口付近は付近の山林から流入する放射性物質を帯びた水によって汚染度が高く、下の中央部、水が出ていく水尻では徐々に低くなっているのが分かります。

明らかに、今回の暫定規制値を超えた水田は沢水が流入する地点にあり、ホットスポットだったであろうことは間違いありません。

おそらくは土壌を計測すれば、土壌暫定規制値を超える5000ベクレル超の測定値が出るはずです。

また、土質が粘土質ではなく、水口にありがちな砂地だったそうです。粘土質の土壌と違い、砂地はセシウムを結着しないのです。

次に2点目ですが、なぜこのような明らかに危険だと思われる地点が事前にスクリーニングで発見できなかったのか、という計測方法の問題です。(資料3参照)

国の計測指導方法は誤っています。市町村単位で合併前地域ごとに数カ所採取するわけですが、この地点はおそらく重点検査地域だったと思われます。

にもかかわらずなぜ検査で引っかからなかったのでしょうか。おそらくは、ホットスポットとおぼしき地点を測定せずに、たぶん水田中央部で計測してしまったのです。

厚労省監視安全課は、「予備検査と本検査で何カ所も調べ、すべて規制値以下だったのに、なぜ今ごろ規制値を超えるコメが出るのか。消費者の信頼を得るには、いったん出荷停止とし原因を究明する必要がある」。(毎日新聞)

などととぼけたことを言っていますが、ホットスポットがいかなる地点で生じるのか、まったく無知だったとすれば、監視安全課の看板など棄ててしまいなさい。不勉強にもほどがあります。

下の写真は私たちが行っている測定の風景ですが、周囲を山林に囲まれた山際の水路がある地点をあえて選んで計測しています。

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機械的に地域をメッシュで割って計測してみてもホットスポットは見つかりません。

計測する目的は、安全宣言を出すためではなく、逆に危険な地点を探し出すことだったはずです。

出そうもない場所を選ぶ心理はわからないではありませんが、そのような気持ちが今回のように出荷が始まって安全宣言を出した後に見つかるという最悪の事態に繋がったのです。

ホットスポットは限られています。 私たちがホットスポットと考えたのはこのような地点です。

・舗装された道路や森林からの水が流れ込む水口
・ハウスの周辺部
・森林との境
・森林の風雨が当たる前衛の立ち木の根付近
・樹木の皮
・耕耘していない土地
・草地あるいは牧草地
・雨樋の出口付近

・側溝と汚泥

このような場所を重点的にスクリーニングすれば、必ずホットスポットはあぶり出せます。見つかれば、その地点を徹底的に放射能除去作業をすればいいのです。

今回のことを教訓に、「スクリーニングはホットスポットを見つけ出すためのもの」という目的を徹底しましょう。二度とこのようなことを繰り返さないために。

■写真 真夏のわが村の水田風景。 

         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

 

■資料1 新潟大学農学部土壌研究室・野中昌法教授研究室 
9月16日、24日の稲刈り前に行った調査結果
 

■A地点
➊土壌表面(1㎝)の空間線量(マイクロシーベルト)
・水口・・・・・・1.3
・中央・・・・・・0.83
水尻・・・・・・・0.73
 

➋地表下20㎝・乾土の土壌線量ベクレル /㎏・セシウム134・137の合計)
・水口・・・・・3000
・中央・・・・・2600
・水尻・・・・・2600
 

■B地点
➊同上の空間線量
・水口・・・・0.83
・中央・・・・0.6
・水尻・・・・0.52
 

➋同上の土壌線量
・水口・・・・4500
・中央・・・・1900
・水尻・・・・1200
 

■C地点
➊同上の空間線量
・水口・・・・0.58
・中央・・・・0.51
・水尻・・・・0.63
 

➋同上の土壌線量
・水口・・・・2600
・中央・・・・2200
・水尻・・・・2600
 

■D地点
➊同上の空間線量
・水口・・・・1.58
・中央・・・・0.48
・水尻・・・・0.56
 

➋同上の土壌線量
・水口・・・・2850
・中央・・・・1800
・水尻・・・・1900
 

■E地点
➊同上の空間線量
・水口・・・・1.52
・中央・・・・1.05
・水尻・・・・1.05
 

➋同上土壌線量
・水口・・・・6200
・中央・・・・3900
・水尻・・・・2600
 

以上の調査でわかったことは、沢水が流入する水口付近は空間、土壌線量共に高く、それが中央部に行くにしたがって下がり、出口の水尻付近では更に下がるという結果でした。 

■資料2 放射性セシウム:福島市のコメから規制値超630ベクレル 

毎日新聞 2011年11月16日

◇政府が出荷停止検討
 

 福島県は16日、福島市大波地区産のコシヒカリ(玄米)から国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウム630ベクレルを検出したと発表した。コメの暫定規制値超過は全国で初めて。政府は同地区のコメを出荷停止にする検討を始めた。【清水勝、佐々木洋】 

 県は同日、大波地区の稲作農家154戸に出荷自粛を要請。厚生労働省は県に対し、同地区や周辺で収穫したコメのサンプル検査の強化と、既に流通したコメの追跡調査を要請した。 

 県や市によると、今月14日、地区内の一農家が自宅で消費するために保管していたコメの安全性を確かめようとJAに持ち込み、簡易測定器で測定。高い数値が出たためJAが福島市に連絡し、県で詳しく検査した結果、玄米で630ベクレル、白米で300ベクレルを検出した。農家はこのコメの出荷も予定していたが、まだ市場には出回っていないという。 

 大波地区は東京電力福島第1原発から約60キロ離れた中山間地で、154戸の稲作農家がある。原発事故による放射線量が比較的高く、福島市は10月18日から地区の全世帯を対象に、本格的な除染作業を進めている。この農家の水田はくぼ地にあり、沢水を使っているといい、周囲の放射性物質が蓄積された可能性があるとみられる。コメは収穫後に天日干ししていたが、市は「セシウムの濃度が高かったこととは関係がない」としている。 

 原発事故を受け、政府は17都県を対象に収獲前の予備検査と収獲期の本検査を実施。大波地区では9~10月に予備検査を1地点、本検査を2地点で行い、検出値は28~136ベクレルだった。県内すべての検査が終了し、佐藤雄平知事は10月12日、県産米の「安全宣言」をしていた。 

 厚労省監視安全課は「予備検査と本検査で何カ所も調べ、すべて規制値以下だったのに、なぜ今ごろ規制値を超えるコメが出るのか。消費者の信頼を得るには、いったん出荷停止とし原因を究明する必要がある」と話している。

■資料3    米の放射性物質検査の実施方法

●空間放射線量が0.1マイクロシーベルトを超える市長村を予備調査

●本調査
➊一般地域・・・予備調査を行っていない市町村
              ・・・・予備調査の結果、一定の水準(200Bq/kg)以下であった市町村
              ・・・・・検体数400予定
 

➋重点調査地域・・・予備調査の結果、200Bq/kgを超えた市町村
                                      ・・・ 一般地域のアの市町村で、本調査を行ったところ、200bq/kgを          超えた市町村   ・・・15hで1点の検体
 

●出荷及び出荷制限 

 ・暫定規制値(500Bq/kg) 以下の場合、出荷

 ・500Bq/kgを超過した場合、旧市町村単位に出荷制限

 ・市町村全域で本調査が終了し、安全性が確認された時点で出荷可能。
   (早場米区域など市町村内で出荷時期に著しい差異のある場合は別途検討)

■資料4

Photo

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コメント

コメント欄をお借りしてお礼を短めに・・
いつもお心遣い賜り恐縮しております。濱田様のお心をしっかり受領させて頂きました。本当にありがとうございます。相方様によろしくお伝えください。
北海道も日本海側や道北で初雪が大雪になった地域もありますが、道東「十勝」は日高山脈の麓で初雪が見られたものの、平野部や海岸部ではまだ初雪はありません。タイヤは冬用に交換して、備えている所です。

さて、濱田様が当初から仰っていた、測定の重要性がここへきてやっと認識される結果となりましたね。
一言で言えば、行政の「事なかれ主義」が、稲作農家に苦しみを与え、更なる風評に結びつく事になりました。(測定の現場を見ている訳で無いので、確証はありませんが)
風評の連鎖を断つために、ポイントを絞った測定と情報公開が必要ですね。


投稿: 北海道 | 2011年11月18日 (金) 09時56分

昨夜のラジオ情報では、福島県の検査は国の指導の2倍の密度で実施したとのことでしたが、
あくまでメッシュを細かくしただけで、ポイントを絞ってはいなかったものと考えられます。

投稿: 山形 | 2011年11月18日 (金) 11時15分

それこそ田んぼ一筆一筆や一枚の田んぼの中でも
異なる条件なのに旧市町村単位で予備調査、本調査3ヶ所程度の
測定で地域の出荷を決めるのは農水省は甘いのでは、
すり抜けるものがあるのではないかと危惧していたのですが・・・。
後から最悪の形で出てしまい残念です。
(個人的には、他の県より定量下限値を下げ、今回もきちんと
発表した福島県の姿勢はまだ良心を感じるのですが。)

ただ現実的に行政だけに頼るのは限度があると思うので、
私が考える方策としては
・線量の高い地域では、収穫時にゲルマニウム半導体の検査だけでなく、
 シンチレーション式の検査を併用する。
 (ゲルマニウム半導体は機器が圧倒的に足りない上に、
 現在の食品検査の測定数のうち半分が牛の全頭検査に使われている。)
 シンチレーション式の機器は最低限カリウム40との核種が分別できるもの
 ニュースで見た映像ではJAの簡易検査に使用したものはベラルーシ製の
 ATMIX社のもののようでした。
 (参考ですが、ATMIX社のAT1320Aだと他の方で140万で購入できたそうです。)
 http://www.adfutec.com/image/pdf/Catalog_110722-1_AT1320A.pdf

・農閑期に地域の人たちで水田の土壌や地域の汚染具合を徹底的に測定して、
 ホットスポットに対しては除染もしくは、作付けしない。
 これなら、ガイガーカウンターの測定だけでも可能ではないでしょうか。
 (濱田さん達の活動を、もっと詳しく教えていただけたら参考になると思います。)
 獨協医科大学の木村真三先生が、いわき市の志田名、萩地区で住民と共同で
 行った汚染マップづくりでは、放射能雲が通った時の雪が降った地区と雨が降った
 地区では汚染度合いが異なったことが地域の人たちの考察でわかったそうです。
 (福島原発震災情報連絡センター設立総会での講演のネット中継で視聴しました)

濱田さん達が実践していらっしゃるように、汚染されたことに向き合って
きちんと測定して対策をとらないと同じことを繰り返すのではと思います。

投稿: ろこ | 2011年11月18日 (金) 11時40分

こんなニュースの記事でも、消費者のことは管理人様は無視なんですね。全く恐れ入ります。

投稿: めぐ | 2011年11月18日 (金) 12時42分

めぐ様
管理人に何を求めているのか、きちんと伝える事が必要ではありませんか?

消費者を無視するなら、このような記事も書かないのではないでしょうか?
消費者の立場だと言う事で、生産者を卑下するような言葉はいただけません。
生産者消費者が共に安心できる事を目指しているのですから・・・

投稿: 北海道 | 2011年11月18日 (金) 13時13分

北海道様
今回のニュースでは検査方法もさることながら、福島の農産物の信用が地に落ちたこと、知事の安全宣言、消費者の今後の選択などを論じている方々がほとんどです。
本当に管理人様には驚きました。
よってこの記事を紹介し、且つ私がかつて放射性物質に喩えられたことも紹介することとしました。
この記事も私を放射性物質に喩えた記事も全文コピーしてございますので、ご心配はご無用です。

投稿: めぐ | 2011年11月18日 (金) 13時31分

めぐさん、復活ですか。

あなたは他人のブログで勝手に相手像を作って「期待外れだ」と失望して、自分自身の考えではなく周りの意見だと逃げる。
少しは立場の違う他人の考えも聞きなさいな。
いくらそんなことを言っても農家と消費者の心の離反を煽るだけです。
過去記事くらい少しは読んでいれば、そんな考えには至らないはずですが。
過去にアク禁食らったのは、自分自身の書き込みが原因でしょう。

また、ブログ主は昨日も消費者との講演会もやり大学との共同で研究をなさっています。最近はTPPで振り回されながらも毎日ブログを書き続けているのが驚異的です。

日々のブログにはテーマがあり、それについての考察です。
なによりも、食品の安全のために田畑に入り続け測定を続けている有機農家なのですよ。

消費者に触れて欲しかったなら、取り上げてもらうように普通に頼めばよろしいだけのこと。

なにやら犯行予告のようなことを言い捨ててますが、くれぐれも他所で迷惑かけないようにしてください。恥をかくのはあなたです。


JA新福島は、新たに出荷前測定を県に申し出ています。

投稿: 山形 | 2011年11月18日 (金) 14時28分

めぐとやら。私が消費者に謝罪すればいいとでも。そんなことで解決できるのならしていますよ。
今後、どうしたらこのようなことが起きないのかを考えるのが、私たち生産者サイドの責任です。
私があなたを放射能にたとえた?なんの話ですか。まったく覚えがありませんね。

投稿: 管理人 | 2011年11月18日 (金) 14時45分

めぐさん。

8月9日のコメント欄でのことですね。
ようやく見つけました。みなさんとっくに忘れてますよ。

コピー貼りつけるのなら、その前のやりとりも当然全部貼るのでしょうね。

あなたは他人様、それも消費者に良い物を届けるために試行錯誤しながら闘っている農家さんのブログに『散々意味不明な書き込みをしてアクセス禁止になった』んです。そこ分かってますか?
さらにブログ主を怒らせておいていつまでも続けたからですよ。

放射能呼ばわりされた…はは、なんという被害妄想。惨めな人すね。

投稿: 山形 | 2011年11月18日 (金) 17時09分

山形クン、サンクス!
あんくりんクンが自分で書いた90mSvまで削除して証拠隠滅しちゃったんだけど、山形クンが認めてくれたので明白になりました。
んで、放射能呼ばわりでなければ何と言えばいいん?
さらにあんくりんクンの証拠隠滅ってひどくね? 覚えがないと言ったんだから。

投稿: めぐ | 2011年11月19日 (土) 10時56分

濱田様のブログでも、原因究明の記述がかなりされていますが、下記のブログでも上手くまとめて説明しています。

http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-484.html#more

今後の対策の参考になりそうです。

投稿: 南の島 | 2011年11月20日 (日) 12時35分

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