自動車輸出の対GDP比率は1.23%、家電・電子機器輸出わずか0.036%! こんなていどのためにTPPで国内をめちゃくちゃにするのか!
私たち首都に近い農業者は、今週いっぱいをかけて、最後の抵抗をします。蟷螂の斧ですが、30年ぶりでデモにも行くことにします。私がやると、発声しながらの健康ウォーキングみたいですが(笑)。
鹿野農水大臣は既に10月段階で野田首相に受諾を合意していたことが発覚しました。この節操がない男は、内閣決定に渋々という言い訳をしながら消極的賛成をしてしまうことでしょう。山形選挙区の農業者の皆さん、この男は必ず落として下さい。
*追記 この鹿野大臣密談・容認報道はフジテレビの捏造報道でした。鹿野大臣は強く否定しました。私はそれを信用して、お詫びして訂正します。
残る薄い壁は、前農水大臣の山田氏と前副大臣の篠原氏たちです。宮崎口蹄疫の時、私がさんざん批判し、しかし今にして思えば、あの悪党づらが頼もしかった山田氏の最後のふんばりに期待します。
南の島さんが仰せのような、TPPを軸とする政界再編があれば素晴らしいと思います。しかし、残念ながら、マスコミが黙殺を決め込み、国民に問題の論点が見えない今の状況では、そこまで彼らが踏み切ることは難しいでしょう。
もし出来たのならば、私にとってもひさしぶりの支持政党が生まれることとなります。
さて、TPPについて推進派は私たちのことを「おばけ」扱いにしながら、具体的な数字を出してきません。出てくるのは、「平成の開国だ!」、「世界の無関税ネットに乗り遅れるな」、「閉塞をTPPで吹き飛ばせ!」と言った景気がいいようで、よく考えると意味不明な情緒論ばかりです。
このタイコを叩いているのが、自動車業界と家電業界なのはご承知のとおりです。彼らは確かに焦っています。世界最大の需要国・米国市場で、韓国に首の差まで追い上げられてきているからです。
2010年にサムスン電子は大型フラットテレビの分野で、実に40%のシェアを獲得しました。ヒョンダイ自動車も、毎年売り上げ新記録を達成してきています。前年比率24%という驚異的伸びをしています。
理由は実に分かりやすい。これまた驚異的ウォン安だからです。08年からウォンは手のつけようもなく売りまくられて通貨危機一歩手前の水準にまでなっています。
・1980年のウォン対米ドルレート・・・・700ウォン
・2007年 ・・・・900
2008年(リーマンショック) ・・・・1600
・2010年 ・・・・1200
・2011年 ・・・・1100
また対日本円レートでも同様に過激な下落を続けています。
・2007年のウォンの対円レート ・・・7.5ウワン
・2010年 ・・・・13ウォン
つまり、韓国製品は米国市場で、「常に半額ダンピングをしている」に等しいのです。これで日系企業の苦戦は、米国のたかだか自動車関税2%、家電・電子製品関税5%などなんの関係もないことが分かります。
韓国の猛追と驚異的伸びは、自国通貨危機を逆手にとった彼らの唯一の延命策でしかないのです。こんなヤバイ方法を日本がまねできるはずもありません。
北朝鮮が破滅カードを使った瀬戸際外交ならば、韓国のそれは自国の破産カードを使った瀬戸際輸出でしかありません。これをしてエコノミストは、「韓国に学べ」、「サムスンに学べ」、というつもりでしょうか。
この流れの上に、更に自国の国内経済を壊滅に陥れるリスクを覚悟の上で締結したのが米韓FTAです。結果。数年後には、サムスンとヒョンダイのみが栄えて、韓国の国内経済は焼け野原になることが約束されています。
TPP推進論者たちは、世界最大の米国市場でのシェア確保のために関税の自由化を叫んでいます。しかし、それが特効薬なのかどうか、はなはだ怪しいものです。
まず、自動車業界は日米自動車摩擦以降、米国現地生産分を6割にまで増やしています。たかだか4割に満たない日本輸出の製品の、それもわずか2%ていどの関税が大きな寄与するとは思えません。
あるとすれば、5%関税をかけられて、まだ米国内生産分が少ない家電・電子製品でしょう。これが無関税化によって一息つけることはありえます。しかし、また韓国ウォンが安値を更新すれば、たかだか2%の関税幅など一瞬にして吹っ飛んでしまうことでしょう。
ではそもそも、彼ら自動車、家電・電子製品の輸出の伸びが、わが国のGDPの躍進に貢献すること自体があるのでしょうか。
ありません。それでは「たかだか1.5%にすぎない」と前原政調会長に馬鹿にされたわが農業と比べてみればすぐにわかることです。下図をご覧ください。
自動車輸出の対GDP比率は1.23%、家電・電子機器輸出に至っては0.036%です。もはやお笑いではないですか。
自動車輸出ですらわが農業の対GDP比率1.5%より少なく、家電・電子機器に至っては2ケタ違いの少なさです。
こんなていどでよくもまぁ、「農業の1.5%のために、残り98.5%が犠牲になるのか」、などと前原氏が言えるものです。
あ、彼とドジョウ総理はパナソニック政経塾出身でしたっけ。パナソニックが作った最悪の商品、とはあなた方のことでしたよね(笑)。
こんなていどのために、わが国が「開国」し、国内経済の基幹産業たる農業を壊滅に追い込み、さらに法律、保険、金融サービスなどを米国流にしなければならない理由などなにひとつありません。
■写真 北浦の夜明けです。わが地域は、東に北浦、西に霞ヶ浦をもつというゼイタクさで「弐湖の国」と自称しております。
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コメント
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昨日のエントリーで、勝手ながら信号弾を打ち上げましたが、
答えて下さった皆様の意見は大変に参考になりました。ありがとうございます!
さて、鹿野道彦…どうしてくれようか…
実際地元ではかつてのような存在感はありません。
選挙制度のカラクリで比例復活して当選をつづけているのが現状。
民主に合流してから見切りをつけて、私は常に自民に投票してきましたが、いかんせん対立候補も力も迫力も無いジレンマです…。
投稿: 山形 | 2011年11月 1日 (火) 08時01分
有能な??政治家を輩出したパナソンニックも、薄型テレビ生産から撤退、日立もソニーも・・・と言う現状です。
ま、ソニーは時限爆弾がありますから、売れていた事自体不思議でしたので、この程度の技術力では遅すぎたかも知れません。
(ちなみに以前の我が家のテレビは、ソニー製で大した時間見てもいないのに、5年半でこけました)
横道に逸れてしまいましたが、推進派と言っても濱田様が仰る様に、参加したと言って何がどのくらい、どの様に・・という事が分かりません。入らないと情報が入手できないから、入ってから考えれば良い・・などと呑気な事しか聞こえてきません。
昨日の「TVタックル」で、江田さんは、反対している農業も医療もすでに崩壊している・・・等とわめいていましたが、実態を知らないのにも程があります。
「解禁すれば米だって2割も3割も安くなる」とも言っています。本当にそうでしょうか?国民が主食とする米は国産米で、加工品は輸入米でと言う事に使い分けられるようになると思います。
企業は、安全・安心を担保できたら、利益の上がる選択する事は必然です。中には信念をもった企業もあるでしょうが、賢い選択を消費者がする事を願っています。
青空様が言うように「虎穴に入らずんば虎児を得ず」(チョット違うか)で行くのも一つの手ではありますが、我が国の官僚や政治家がそれだけの交渉力を持っているのか?ある意味「狡猾」さを持っているか?と考えたら、期待できないのではないでしょうか?
そうそう、良く考えたら「ハトポッポ」も北海道が選挙区でした。私の住む十勝ではありませんが。
なんで東京のお金持ちが北海道の田舎から出馬するのか不思議!!
投稿: 北海道 | 2011年11月 1日 (火) 08時16分
経済学に詳しい、数字を明記された記事でわかりやすいです。
全くもってTPP参加なんてますます馬鹿馬鹿しく思えてきました。
パナソニックの巨額赤字も大変ですし、より身近なすぐ北の秋田県にかほ市などはTDKの城下町。大リストラです。
しかも、米作農家をやりながらTDKで社員やパートで働いてらっしゃる方もたくさんおられるのです。まさに生活を脅かすダブルパンチですよ。複雑です。
北海道さんはSONY爆弾派ですか…ウチは私が産まれた時にじいちゃんに送られたカラートリニトロン(当時は高価だったでしょう)が90年代まで現役でした。70年代のラジカセもテレビも他大手メーカーよりかなり長持ち。
今も90年製造10インチブラックトリニトロンに安物チューナー付けて、寝室用で現役。
去年買ったブラビア(パネル自体ははSAMSUNG(涙))はまだピカピカ。付属のチャチな止めバンドを設置していたので転倒せずに無事でした。
SONY爆弾説はバブル期のCDラジカセやカーオーディオで「保証期限が切れた途端に壊れる」という「SONY爆弾伝説」「SONY病」が残念ながら広まってしまいました。自信のトリニトロンに拘り過ぎて薄型テレビで遅れをとった。パイオニア同様にプラズマディスプレイに拘って失敗。松下にシェア食われた。
が、そこにシャープ台頭と国際的な価格下落…
今でも私はSONY好きですが、トリニトロンなど70年代の急成長を知るファンは私位の世代までです。
ただ無策でもなくて、新型ウォークマンは日本の若者にはiPodを越えて圧倒的シェアを取りつつあります。
なんだかテレビなどの変な話になってしましたが…ここにきてタイの大洪水。
日本の電機産業には今までに無い厳しい年になりました。
だか、一番の元凶はやはり異常な円高でしょう。昨日安住財務大臣が介入に打ってでましたが、いつになれば「納得」するやら。
ユーロの混乱とアメリカの減速と赤字。
中長期でどれ程の高価があるやら。世界の通貨が値下げ合戦ですから。
投稿: 山形 | 2011年11月 1日 (火) 11時02分
私もソニー商品は結構あるのですが、テレビは前述の通り、ICレコーダーもほとんど使っていなかったのに、2年で液晶が消えてしまいました。
私と相性が悪いみたいですね。ていうか当り外れがあるかもです!!
ちなみにデジカメは、ソニーのサイバーショット2台目ですが、これは4年経って現役です。
濱田様横道に逸れました。申し訳ありません。
さて、山形様も仰る通り、電機業界の再編(改革)も
史上最高値の「円高」に加え、景気の悪さによる内需の冷え込みが大きな要因です。
円の対ドルの異常な高値は、TPPに誘い込む為に米国が仕掛けた罠の様な気がします。(かなり穿った見方ですが)
ウオン安は韓国にとって追い風ですが、気が付いた時には後戻りできない状況になる気がしてなりません。
青空様の言うとおり、「日本州」になると覚悟を決めれば、気が楽なのかも知れません。
その先どうなるかは全く分かりませんが・・・
投稿: 北海道 | 2011年11月 1日 (火) 16時35分
連投ご容赦!!
日本州にならないように反対運動しています。
私の力なんて僅かですから、あの手この手で働きかけています。結果はわかりませんが、座して死ぬわけにはいきません。
濱田様もデモ行進参加のようですが、気を付けて参加してください。
しかし、政治家・政党って何で信用できないのでしょうか?
大金をもらいながら何をしているのかわかりません。
投稿: 北海道 | 2011年11月 1日 (火) 17時59分
確かに日本のGDPに占める自動車輸出や家電・電子機器輸出の比率は小さい。
しかし、輸出に依存する国内企業の裾野は広い。
例えばトヨタ関連の下請けは、2次、3次どころか4次まである。
小さい比率の外需に、多数の国内産業が依存している。
従って(負の)乗数効果は大きく、外需のマイナスが相対的に大きなショックを国内に与える。
国内の関連下請けも試算に入れれば、GDPに占める輸出の比率は非常に大きいものになる。
投稿: | 2011年11月23日 (水) 11時11分
久しぶりに書き込みいたします。
名無し様
尤もな部分もある御意見ですがその論法ならば、農業関連も同様です。農業は一次の部分の裾野が広いですが、関連する産業もまた相当なものです。
今円高で、TPPも関係しない部分での企業の海外流出が続いています。
それは、当然失業につながっていますし、TPP協定が批准されればもっと酷くなるのはそれこそ一般人の私に出すら目に見える様な事では有りませんか
輸出に頼りたければ、もう少し国内に企業が残るような策も必要でしょう。
TPPに賛成であればTPPのプラス部分での建設的な意見や、反対派を説得できるだけのちゃんとした材料でもあるのですか?
それと、意見を述べられるならちゃんとせめてハンドルぐらいは名乗りましょう。
投稿: 種子 | 2011年11月24日 (木) 12時42分