福島県伊達市で暫定規制値を超えた米が検出された。この山系付近で徹底したスクリーニングを実施しろ!
なんということ・・・!また福島県伊達市で暫定規制値超えの米が出てしまいました。しかも今回は規制値の倍です。
既に、二本松で検出されたのを皮切りにして、近隣の大波地区で立て続けに6軒の米から基準値を超えた玄米がでていました。
この地域は計画的避難地域のわずか北西にあり、濃厚な被曝を受けた可能性がある地域です。
そして、今回の伊達市は、尾根ひとつを超えた地域です。元々はひとつの小国村だったのが、西部は大波地区として福島市に編入され、東部は伊達市に編入されたという歴史があります。つまり、元々はひとつの小国村だったわけです。
このような場合、ホットスポットのありかは共通しています。だいたいこのような場所です。
・周囲を山林に囲まれた谷津田
・近接する山林からの沢水が流入する水口付近
・土質が粘土分の少ない砂質
放射能は開かれた平坦な平野部では、フォールアウトした放射性物質は速やかに農業用水や河川によって流されていきます。もちろんその後は、海辺の河口付近や湖沼の湖岸に沈着していくのですが、とりあえず水田の汚染度は低く抑えられます。
水系の汚染は大変に大きな問題で、まだ調査自体が部分的にしか進んでいない状況です。わが茨城県においては霞ヶ浦の湖岸の自然護岸の沈着が心配です。
そこは在来魚の営巣場所であり、食物連鎖による汚染拡大と濃縮化が心配されます。
さて、話を戻します。今回の伊達市の検出が、いままでの二本松、大波地区と異なるのは、それまでは保管状態での検出だったのが、今回は既に一部が市場に出回ってしまっていることです。
既に福島県は同地区に対して全戸検査と出荷自粛をしていますが、それでは収まらないでしょう。
福島県の努力と苦悩は察して余りありますが、いったん福島県産の米は全量をスクリーニングにかけることでしか市場の信頼を回復できないと思われます。
まず、この大波地区と旧小国村、旧月館村が位置する山系沿いのすべての地区の米を出荷自粛にすべきです。
そして次に、危険地域の蓋然性がある場所をリストアップします。
おそらく、山林からの沢水が流入する水口の水田はかなりの数に登るはずですが、リストアップすることはそんなに大変なことではないはずです。地元の農水課、農業委員会やJA自治会には情報があります。
そしてこの山林周辺の水口付近のすべての水田の土壌線量と、そこから出来た米を例外なく全部スクリーニングします。ひとつの例外も許されません。
わずかひとつの穴から堤防が決壊するのです。既に堤防は決壊を開始しており、一刻の猶予もありません。
いちいちゲルマニウム測定器にかける暇はありません。シンチエーション・サーベイメータで充分です。おおよその危険地点の洗い出しができればいいのですから。
シンチエーション・サーベイメータは測定器としては安いので、福島県は何百台も持っているでしょう。これを一点投入します。人員も集中します。
ともかく今、この地域から福島農業は沈没しかかっているのだ、という厳しい自覚を持って下さい。船底に大穴が開いて海水が流入しているのだと思って下さい。
今は平時ではないのです。戦争なのです。放射能という人類の敵との。
おそらくはかなりの数のホットスポットがあり、そこで一定数の規制値前後の米が発見されるでしょう。もし、発見されないとすれば、もう一回やって下さい。
絶対にあります。ないはずがない。そしてこのような奮闘している姿を全国放送で紹介させて下さい。地を這い、泥水をなめてるようにして闘っている福島県の姿を全国に伝えて下さい。
今の県の当該地区の全戸検査、出荷自粛では微温的にすぎます。都市の消費者には「福島県産の米はこわい」という空気が刷り込まれています。これを払拭するには微温的対応ではだめなのです。
そしてこの冬の農閑期を利用して、徹底した福島県全域の土壌スクリーニングを実施してください。それぞれの地域が置かれた地形と、3・11以降の放射性物質飛散図を照らしあわせれば、検査すべき地点はおのずと限られてくるはずです。
雪をかきわけての作業となると思います。ほんとうに頭が下がります。頑張って下さい。福島県民にはなんの罪科もありません。しかし、やらねばならないのです。ここで踏ん張らないと、福島農業全体が押し流されてしまいます。
そして来年の春こそ、温かく心安らぐ春としましょう!
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伊達市でも規制値超=コメのセシウム検査で―福島
時事通信 11月29日(火)0時5分配信
県農林水産部の鈴木義仁部長は「(県産米の)安全性については調査を進め、改めて判断する必要がある」と述べ、県が先月出した「安全宣言」を見直す可能性を示唆した。
福島県では、先に福島市大波地区(旧小国村)で暫定規制値を超えるセシウムが検出されている。政府は同地区のコメの出荷停止を県に指示しており、旧小国村と旧月舘町に対しても同様の措置を取る見通し。3地域はいずれも近接している。
毎日新聞 11月25日(金)21時0分配信
県は22日から同地区の稲作農家全154戸を対象に、今年産米計4752袋(142.6トン)の全袋調査を開始。16日に規制値を超える630ベクレルを検出した農家も含め、24日までに34戸864袋の調査が終わり、計6戸131袋(3.9トン)で規制値を上回った。新たに規制値を超えた5戸は16日に判明した農家から1~2.5キロ離れている。県は、地理的条件や土壌など、高い値が出た原因を調べている。
同地区のコメはすべてJAの倉庫や米穀店などに保管されており、市場には流通していない。県は同地区に隣接する伊達市など環境放射線量が高い別の4市12地区でも全戸検査を進めており、結果が出るまで出荷しないよう呼びかけている。
大波地区のコメ農家の男性(63)は「今回の検査でセシウムが検出されなければ、出荷停止の解除も期待していたのに。来年はコメそのものを作れるかどうかも分からなくなった。今後どうやって生計を立てればいいのか」と肩を落とした。
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コメント
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大変残念なことに、今回は一部が既に販売・流通してしまいました。痛恨事です。
そう。県の「安全宣言」があまりにも拙速だったのです。
一度失ってしまった信頼を回復するのは容易ではありません。極めて厳しい道のりが待っています。
「福島の農産物は、やっぱり危険かも。心配だし米だけじゃないかも…」と敬遠する傾向が広まるのは残念ながら避けられないでしょう。
だからこそ、地道で緻密な検査と対策を迅速に進めて、情報公開をしっかりやることと、基準を越えた商品は絶対に流通できない体制作りが急務です。
作付許可が出た地域で栽培した農家さんには罪は無い!
以前のコメントで、「農家は自分たちだけ安全なのを食って、ヤバそうなのは出荷するつもりだろう!」などという愚にもつかない中傷がありましたが、今回検出された米の多くが自家用米なのですよ。
また、ブログ主さんのおっしゃる通りに平野部と谷津田の違いや水系と土壌の詳細なデータ蓄積とフィードバックが必要です。
年による変化に対する臨機応変さも求められます。
まもなく雪の季節ですが、負けるな福島!
投稿: 山形 | 2011年11月29日 (火) 07時56分
コツコツと地道に実行するしか無いようです。
報道を見て、アリャリャ!!と思いましたが、早期公表と対応が信頼確保(回復)には重要だと思っています。これまでの地元JAや行政の細かな対応は承知していませんが、一部でも出回ってしまったのは、残念です。
テレビの空撮映像を見る限り、両方に山がある地形の様ですから、濱田様が仰る通り沢水の通り道など所々にスポットがあるのでしょう。
測定が第一歩ですね。
投稿: 北海道 | 2011年11月29日 (火) 12時58分
米問た題の前に、早く東北から逃げたほうが
体のためです。速逃げろ。
投稿: | 2011年11月29日 (火) 19時56分
最近あまり来なくなったとおもったら来ましたね。「東北からにげろ」ですか。
あなたどこに住んでいます?まぁ東北じゃないですよね。その地域にどどっと一千万人規模が避難しますか(爆笑)。
東北はハイテク基地ですよ。これがなくなったら日本は製品が作れなくなります。震災の時を思い出しなさい。
東北の人が避難したければ止めませんが、他地域の人に面白半分で言われることじゃないと思いますがね。いいかげんやめませんか。このような流言蜚語は。
投稿: 管理人 | 2011年11月30日 (水) 04時45分