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田んぼはコメ生産を行いつつ、水利事業を行う多目的な存在なのです

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シンガポールという「理想の国」が突如舞い込んできました。ちょっとシンガポールを農業の目で考えてみましょう。

人口が埼玉県とほぼ同じ300万人ていどで、広さは東京23区と一緒くらいでしょうか。 

歴史的にはマレーシアから追放されて、めでたく分離独立した都市国家です。都市国家という存在でわかるでしょうが、食料はほぼ90%外国に依存しています。農業人口は1%に満ちません。 

農業は見事キレイサッパリ「存在しない」といっていいでしょう。食料はかつての仇敵であり、いまでも政治的にはかならずしもしっくりといっていない旧「宗主国」マレーシアなどから輸入しています。 

シンガポール国内の貯水池は至って貯水量が貧弱で、隣国マレーシアからジョホール海峡を渡る2本のパイプラインで原水を購入しています。残りの1本のパイプラインでマレーシアに水道水として返しているそうでからあっぱれと言ってやるべきでしょう。 

シンガポールは、かつては極端な貿易立国ドクトリンでした。東西貿易の要衝にいるという自信から、国内に農業なんて不採算部門などなくても結構という考え方です。 

その考えに基づいて国内の農地はバサバサ切って加工業の工場を立てて、安いマレーシア人の労働力を使って輸出攻勢をかけていたわけです。 

なんか日本のTPPで外国人労働者を大量導入して、不採算な農業なんぞ企業農業だけにしてしまえ、という人たちのご意見にあまりにそっくりで、笑えますねぇ。

まぁ、日本では「既得権にしがみつく守旧派勢力」がたくさんいますからなかなかそうは問屋がおろさないですが、シンガポールという「開かれた豊かな国」の支配権はリー・クアンユーさん一人に握られていましたからそんなことができたんですね。

ところが、この極端な国際分業論モデルは破綻しました。輸出が登り坂の時はいいですよ。しかし、いったんリーマンショックなどで最大の市場であった米国の消費市場が陰り始めると、もういかん。食料を買う余裕がなくなる可能性がでてきたのです。

そして国際環境がいったん緊張局面を迎えると、シンガポールなど捻るにゃわけはない、と思う外国勢力もなきにしもあらずなようです。まぁ、ジョホール海峡のパイプラインのコックひとつ締めれば瞬時に干上がる国ですからね、シンガポールは。

となると、シンガポールは焦り始めました。今までの警察に毛が生えたていどの軍事力をいきなり、米国から新鋭兵器を買い込んで増強したり、米国に基地を提供するオファーをしたりと大変なことです。

その中のひとつとして出てきたのが、シンガポールの農業テコ入れ政策の「アグリ・テクノロジー・パーク」(ATP)構想でした。シンガポールの北西部に6ツの農業基地を作り、集約型の農業をしようという構想です。

このような集約型農業団地は、想像できるようにカネになるものの順位が高い品目が選ばれます。鶏卵、牛乳、養殖魚、熱帯鳥類などです。あのハデチキリンな熱帯鳥の繁殖を農業団地でするとは、これまたさすが痩せても枯れても貿易立国シンガポールらしい(笑)。

というのは、主食のコメから野菜、食用油など何から何まで旧宗主国マレーシアに依存していますし、野菜などは安価なマレーシア産との競合になるので、マレーシアがあまりやらない品目の熱帯鳥類でも増やして売ってみるか、ということになるようです。

あとは、これもよく日本商社が手広くやっていることで新味はありませんが、開発輸入です。シンガポール企業が外国でショウガ、バナナなどを作って自国に輸入しています。

とまぁ、こんな新農業政策で農場を500に、雇用を6千人に増やすことに成功したそうです。すまんがショボイですな。埼玉県に農場がいくつあります。あ、いかん国家モデルが違うんだった。 

TPP推進派からは、「食料を外国から輸入しても餓死する人はでないし、水も輸入できる」というありがたいご託宣がありましたが、シンガポール自身でさえ無理っぽいと思っているようです。 

さてシンガポールが100%外国依存している水ですが、さすがわが国が水を輸入することはないでしょう。なにせ水資源枯渇の中国人企業が水源買い占めに乗り出しているくらいですから。 

わが国においての「水」問題は、水の質と、治水です。今でも台風が来るとすぐに大水がおきるでしょう。

というのは、日本の河川は外国人学者をして「滝のようだ」と言わしめた水源の山系から急速度で海へとほとばしる河川だからです。

日本の河川は源流から河口までヨーロッパとは比較にならない短さが故に、豊富な水量と同時にそれをコントロールすることが至難の業でした。

では、日本人は長い「暴れ川」とつきあってきた歴史の中でどうやってきたかというと、いくら護岸工事で固めても、弱い部分から決壊してしまうという水流エネルギーのコントロールでした。 

日本人は独自の方法をこう立てました。それが、暴れ川の水に逆らわず、徐々に河川周辺の田んぼに逃がしてやる方法です。武田信玄の霞堤などが典型ですね。 

ダーッと来る大水の時の奔流を、両脇の堤防に少し隙間を開けていくつもの水路から田んぼに流してエネルギーを減殺するというシステムです。 

いや、これは長年水利で苦労し続けた日本人の独創的水利事業です。ここでスゴイのは、河川を堤防の力でだけ食い止めようと思わずに、その後ろの田んぼまで含めて受け止めるというハイブリッドな柔構造です。 

田んぼは、川の水の量とバランスをうまくとりながら、水を溜めたり、放出したり出来ます。多い時には田んぼの堰を切り、少なくなればまた堰を作るということが簡単に出来ます。 

そして田んぼにはかならず付属の溜め池がありますから、田んぼでオーバーフローした水はそこで溜めることも可能です。このような田んぼの自在な水の貯水と放出機能により、川の水の量を一定に保つことが可能です。 

今日の写真を見ていただければわかるのですが、ほぼ田んぼの畦は30㎝で、そこに水を溜めたり、放出したりすることができます。 

下手なダムより水が張られた田んぼの貯水量のほうが多く、全国でおよそ81億トンだと言われています。この貯水量は治水用ダム貯水量の実に、3.4倍にも登ると言われています。

もしこれを、社会インフラの整備事業単体でとらえれば、数千億円の投資が必要となるでしょう。しかも、今日本で新たなダムを作ることは事実上不可能です。田んぼはコメ生産を行いつつ、水利事業を行う多目的な存在なのです。

農業が果たしている働きをカロリー生産と生産額だけに絞ってしまう考えの先には、「食料なんか安いものを外国から輸入すればいいじゃん。100円牛丼食べたい~!」という考えが生まれます。いや実に古くさい前世紀型思考です。

シンガポールという国も徐々にそんな偏った考えに修正をかけているようです。それなのに、未だわか国の一部には歴史と自然からなにも学ばない考えの持ち主も多いのは残念です。

自然環境の能力を取り出して、それとどのように共存しながら生きていくのかを模索せねばならないはずの21世紀に、今でもそんな考えがあること自体が不思議なくらいです。

■写真 水を張った田んぼです。まるで湖のようです。

■蛇足 今日は忙しくて校正しないでアップしてたらミスタイプの山(汗)。すいませ~ん!

 

 

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コメント

昔はGNP(国民総生産)でしたが、今はGDPという指標で言いますよね。国内総生産と訳します。
これって外国人が入っていないという事知っていました?
シンガポールの一人当たりGDPが日本より高いのに、一人当たり所得が低いので調べてみたら、シンガポールでは大量の外国人が働いていて、その人達が生産した富は分母にくるのに、分子にはその人達は入っていないそうです。
こういうのUAEなんかも、もろ強く出ます。
こんな指標如何様ですね。

韓国はシンガポールの後を追っているのです。3~4年前に大宇がマダガスカルの全農地を買ったとの情報があった時、私は確信しました。
韓国は半島での農業を棄てたのだと。

投稿: 八目山人 | 2011年12月18日 (日) 10時17分

ノルウエーで、若者が、大量虐殺事件を起こしたことは、まだ、記憶に新しいと思います。
昔から、日本の教科書や政治家が、北欧は、福祉国家で、非常に豊かな国として、モデルにしてきましたし、今もしています。では、なぜ、先の若者が、銃を乱射してしまったかですが、イギリス同様に、北欧も、イスラム系移民の増大と、社会コミニケーションの崩壊、そして、経済的には、貧しい移民を助けるために、自国民が、より多くの納税を強いられること、また、サーブやボルボと言う北欧の有名自動車メーカーでさえ、安泰でなくなったということです。日本は、多宗教、多言語、多移民に、社会構造が、なかなかついていけないでしょうから、第1次産業のすべてを、輸入に頼るような構造になるTPPには、向かない国だと思います。(個人的意見ですが)
物の輸出入だけでなく、アイデンティティや文化、人種、言語など、あらゆるものについて、完全自由化が良いのか、例えば、良いと過程して、その速度は、どれくらいが、適切かを、政治は、考えないと駄目だと思います。

かつて、韓国、台湾に、日本語や日本的街作りを、強要して、今、それら相手国が、どう思っているのか、考えれば、同じことを繰り返す愚かなことは、辞めたほうが良いと思えます。やはり、アイデンティティや文化、人種、宗教などは、教科書やネットには、出てきにくいものですから、実際に、現地で、生活してみて、わかることですよ。

チベット人は、基本、1年に1回しか、沐浴しない理由とか、手を洗う習慣を、教えるのが、なかなか通じないとか、そういうことは、現地へ行けば、よく解ります。氷があっても、水がない国、酸素がない国で、生きていくには。。と、その国なりに、歴史的に、良い方法を構築してきたので、頭から否定したら、アイデンティティをつぶされますでしょ。

ブータンが、幸福だと言われるのは、結局、バランスなんですよ。物が少ないから、泥棒も少ない。だけど、今のブータンは、外国資本が、流入してきて、物は豊富になってきたけど、多分、幸福感は、今後、減少するんだと思います。前国王も、来日した現国王も、そのことが、解っているから、議会に、政治を任せることにしたのでしょうね。

ブータンもチベットも良い国だと思いますが、実際、空気が薄いので、空気の濃い地域で育った自分は、坂道も多いし、暮らせないと思ってます。

農業用ダム、多いですね。ただ、これら農林水産省事業は、地元農民の意見で、事業が行われていないのが、不幸の始まりです。農水ダムも本来、連携して、過去の水利権争いについても、きちんと、話し合って、事業を進めれば、適度なダムや堤防と、適度な海への土砂流出で、砂浜も残りながら、高潮にも、大丈夫な、国土形成ができるかもしれませんね。

まあ、2時間で、1級河川が、7m以上、水位が上がる現状だと、平野部で、適当に、洪水氾濫を、わざと、許容しないと、無理なのかもしれませんね。自然には、所詮、勝てませんから。

投稿: りぼん。 | 2011年12月18日 (日) 11時04分

先月11月21日シンガポールの通産省は2011年の経済成長率の予測値を発表してます。従来の5.0%-6%を下方修正し5%前後としました。世界不況をものともしない逞しさ。先進国では最高。日本は差を広げられるばかり。

その秘密の一旦がAgrotechnology Parkに於ける最先端の農業技術の開発にみられます。シンガポール政府のホームページAgri-Food & Veterinaryを参照してください。管理人が言うよう慌てて最近始めた事業ではありません。1986年に開始された極めて野心的事業です。全部で6箇所のパークがあり総面積は1465ヘクタール。分子生物学を利用した最先端の品種改良などの研究だけでなく、商業ベースで農産物、畜産物の生産販売をやっており、外国企業にも参入が可能となってます。

6箇所の中の一つ「エアログリーンテクノロジー」を検索すれば「アジア最初の空中栽培」農場が日本語で説明されてます。

日本でも野菜工場に企業が参入しているものの、土地代が高い、農協の圧力で農業用としての固定資産税を認めない等、お先真っ暗の日本農業。衆愚政治のなせるわざといえます。シンガポールの背中がどんどん遠くなる。

投稿: keiko | 2011年12月18日 (日) 15時02分

田圃の保水力につての大いなる疑問。

私の家の近所に1.0ヘクタール程度の池があります。(東京都大田区上池台 小池google mapで検索して下さい)この池は三方を丘に囲まれてるので常に地下水が流れ込み南側の低地へ一箇所の堰を通って流出してます。堰の幅は約30CM位です。池は大田区の公園となっており、底部は防水工事が施されてます。大雨が降っても水位はせいぜい2CMしか上昇しないのです。洪水防止の観点から見ると降水量20MMの保水力ということです。

田圃の保水力も洪水防止という観点から考えると同じで最初の水位上昇までが保水力でそれ以降は全て田より流出する訳だから田があっても無くても同じでしょう。普通の野原と違って田の土は水で飽和し、地下へ浸透する事もないので、野原の方がかえってましにも思えます。

この疑問に答えたのが「田んぼダム」というサイトです。www.e-tochinet.org/tyoryu/top.htm

分かりやすく動画入りで説明してます。大雨の際、田圃の水位が畦の上限まで高くなるよう工夫されてます。

私は小学生の時から疑問に思ったことは徹底して調査し、納得いくまで先生に問い詰めていたので嫌われ者でした。今もその癖が直りません。決して管理人が嫌いな訳ではないのです。りぼんさんどう思われますか?

投稿: keiko | 2011年12月18日 (日) 16時43分

http://www.gesui.metro.tokyo.jp/kanko/kankou/gyoumu/usuishintou.pdf

http://www.water.go.jp/chubu/aityosui/b(jyouhou-main)/01(aitiyousui)/03(sisetu)/03(aitiike)/b-01-03-03.html

基本的に、田んぼダムと同じような考えで、名古屋市もそうですが、多くの都市は、今まで、水漏れのしない排水菅やU字溝を多用してきましたが、基本は、国土交通省などの時間当たり50mmまでの降雨に対応できる能力しかありませんから、最近の集中豪雨の時間あたり80mmから100mmには、とても、対応できません。
また、排水菅をすべて太くすることも、膨大な予算を食うので、現実性がありませんから、現状は、すべての雨水排水機能に、浸透性を持たせることになりました。
つまり、歩道のアスファルト、道路のアスファルト、側溝の壁面、排水マスなど、あらゆる雨水排水設備に、浸透排水機能を持たせることで、時間当たり50mm以上の排水能力を持たせるようになりました。
また、農業用水として、余っていても、大雨の雨水を、一時的に調整するために、ため池なども、一時は、どんどん埋め立てて、宅地開発してましたが、それを、辞める傾向にはあります。
また、名古屋市は、道路の幅が、100mと言う道も多いのですが、その地下は、巨大な貯水槽になっています。

また、望んでは居ませんでしたが、名古屋市での豪雨のときに、地下鉄が、水没することで、結果的に住宅浸水を免れたことも、事実です。

つまり、普通の田んぼは、底部のみ粘土層で、地下浸透は少なく、あぜは、決壊しやすく、面積の割りには、保水総量が、少ない状況でしたが、最近は、ほじょう整備事業で、ある程度のブロックに分けて、雨水排水を計算するようになりましたし、調整池を、作らないと、中山間部の開発が出来なくなりましたので、昔より、都市型集中豪雨に、対応できるように、考えるようにはなりました。ただし、未だに、時間雨量100mmには、とても、耐えられませんが、下水も合流式は許可されず、分流式になりましたので、雨水だけ、下水と別に、管理されるようには、なってきましたが。。私の土地の地下にも、愛知用水のオーバーフロー時の分流菅が、入ってますから、その上部には、家が建てられないと言う不便は、ありますけど。。

田んぼに限らず、山間部、田んぼ、都市部と、雨は、どこにでも降りますし、濃尾平野は、1級河川も多いので、あらゆる治水対策と砂防対策を採らないと、人口が多い分、災害は、ひどくなります。

伊勢湾台風後、随分、雨水対策はしたようですが、東日本大震災を、みると、まったく、現状の対応では、太刀打ちできないので、新たな対策を、行政も考えているようですが。。まずは、当面、東日本の復興応援が優先されるでしょうね。

言いたいことは、学校の校庭も含め、浸透できる部分は、浸透させること、田んぼで、一時保水した水を、使わなくなったため池や、人工的に作った、地下貯水槽へ、貯水して、オーバーフロー分だけ、河川経由で、海に流すことや、高潮時は、海面の方が高いので、そういう場合は、各地区のポンプ所で、高い河川(天井川)へ、排水するということが、行われては、居ます。
もちろん、福島原発ではありませんが、ポンプ所が、浸水して、機能しなくて、周りの住民が、市を相手に裁判したりとか、多々の問題点を抱えながら、ポンプ施設を高台に移したり、燃料タンクを増やしたりとか、だんだん改善しては居ますが、やはり、都市部の降雨による河川増水速度は、ものすごく速くて、河川監視カメラと、増水計は、ネットで、ライブで見えますけど、まだまだ、怖いですよね。

投稿: りぼん。 | 2011年12月18日 (日) 20時56分

>経済成長?
そういう数字がうさんくさいです。おっと、うさんくさいのは、私のHNでしたね(ずっとしつこく続けるつもりはないので、このままでいきます)。

日本の経済成長率は1960年代には10%越えていました、1970年代には5%ぐらい。ここ数年は低迷していましたが、2010年は3%でした。
今成長率が高い新興国は、過去の日本のような状況にいるだけ(たぶんシンガポールはこれには入らないと思いますが)。逆に今の日本が、同じことをしても(というよりも、同じことはできない。新興国との貨幣価値の差を考えてみれば十分)経済成長率は伸びない。
 2008年のリーマンショックの影響を最も受けた国は、日本やドイツのような国でした。それは日本やドイツのような国の独自の産業構造によるもので、シンガポールが影響を受けなかったからといって、シンガポールが優れていることにはなりません(下にも書きましたが、経済規模が違いますし、たぶん産業構造が違う、つまり、貿易に占める製造業・サービス業(輸出入に関係してくるのは金融・保険)などの割合が違います)。

シンガポールをモデルにするのは、もう止めてもいいんじゃないですか。シンガポールは小国で、外資を引き寄せたいために、外国人の富裕層を優遇する政策をしているようです(外国人投資家が多いらしい)。いっぽう国内の産業には、サービス業を中心に低賃金で働く人(移民が多い)がたくさんいる。それだから、国内総生産が高い割りに(おそらく、農業・工業などの実体経済を伴わない金融の割合が多いんじゃないでしょうか?)、物価が上がらず富裕層には住みやすい社会かもしれないが、それもこういう格差があってこそ(前回のコメントでもふれました)。

それに、経済規模がまったく違いますからね(GDPで日本の20分の1以下)。小さい経済規模で成功したモデルが、大きい経済規模で成功するとは限らない。
「合成の誤謬」というやつです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E6%88%90%E3%81%AE%E8%AA%A4%E8%AC%AC

たとえば、中国にサクランボを輸出して成功した農家がいるとする。それでは、ということで大量の農家が同じことをしたら、もう成功しません。需要よりも供給が上回り、値崩れを起こして利益が上がらなくなるからです。

最近、農業の生産性とか利益率ということを持ち出して、日本の農業を批判する人は、農業に工業のモデルを当てはめて考えているようです(私は農業に関しては素人なので、えらそうなことは言えませんが。経済に関しても素人ですが)。だから、大規模化すれば生産性が上がるとか・・・

生産性の効率(スピード)を上げやすい産業(代表は工業製品)と、生産性の効率(スピード)を上げにくい産業(代表はサービス業)があります。サービス業では、生産性のスピードを上げることが、質の低下につながることも多いです。例えば、子供に小学校6年間で教える内容を、どこかの収容所にかんずめにし、1年間で終わらせたら・・・ たぶんひどい結果になるでしょう。
 農業も生産性のスピード、あるいは効率(労働力1人当たりの生産性)を上げれば上げるほど良い、という産業ではないはずです。
 まず自然のリズム(時間)があります(季節、植物の自然な成長の速度)。これを越えて生産性を上げることはできません。土地の制約(まさに水資源の問題など)。土地などの自然が「再生する速度」(農薬で汚染された場合、土地や水資源がどのくらいの時間で再生されるか)。
 アメリカに代表される大規模農業では、労働力当たりの生産性を上げるために大量の農薬を、遺伝子組み換えの場合は除草剤を投与します。結局土地が疲弊してしまえば、農産物の生育には向かなくなります(生産性ゼロです)。
 畜産でも生産性を上げるために狭い場所で、家畜をぎゅうぎゅうづめにして(伝染病を防ぐために抗生物質を投与して)飼育しています。大量の排泄物は川に流すか(水質汚染)、処理施設を作ればコストがかかります。本当は、家畜の排泄物をたい肥として再利用すれば効率良く利用することになりますが、そのためには、生産をもっと「小規模にして」回していたほうが効率が良くなります。
 生産されが農産物が安いと生産性が高いと勘違いしますが、実は広い視点から見れば、そのぶん社会(や自然)にコストをかけているわけです。

工業製品のように大規模化すればいいというわけではありません。こういうことは管理人さんの専門ですので、わたしがコメントすることではありませんが(まちがったこと言っているかもしれません)。


投稿: 偽ルクセンブルク人 | 2011年12月18日 (日) 21時40分

私の住んでいる島は、時々信じられない程の豪雨があります。

災害を引き起こすような豪雨の場合は、地下への浸透などは無視すべきほどの水が流れこんでくると考えるべきです。ですから、オーバーフローするまでが治水能力と考えるべきですね。

ですから、市街地の後ろにどれだけの面積の遊水地となる田んぼ(あなたの言うように原野でもいいですよ、でも狭い国土に原野はないでしょう!)があるかによって、どれだけの水害に耐えられるかが決まるのではないでしょうか。

投稿: 南の島 | 2011年12月19日 (月) 00時09分

山形さん。keiko さんは無礼な言辞はしそうでいてしないので、許容の範囲です(笑)。
私とは大いに意見が違うし、無茶苦茶な立論だとは思いますが、まぁTPP賛成派のご意見も聞けていいじゃないですか。

少なくともまともな議論を逃げ回っている日本一の不誠実男・野田首相よりはるかに誠実です。
keiko さん、ご存じだと思いますが、このコメント欄で暴言を吐くと一発レッドですのでよろしく。
それと、知らないが故でしょうが「日本農業は〇〇である」という思い込みの強い決めつけは止めたほうがいいと思います。
なにも知らない人の中ではそのテの決めつけをしてもバレないでしょうが、ここに来る人たちの半数は農業関係者ですから自爆の原因になります。
あと、ひとつずつ論点を押えてほしいですね。それでないと無駄ですよ。
お互いに論破するのが目的ではないはずで、建設的にいきましょう。

投稿: 管理人 | 2011年12月19日 (月) 05時47分

りぼんさん、ご丁寧な説明、有難うございます。
文面から深い教養と誠実なお人柄がよく伝わってきます。今から出かけますので、とりあえず御礼まで。

投稿: keiko | 2011年12月19日 (月) 08時02分

管理人さん了解です。

keikoさん、
あまりに最初のコメントが強烈だったのと、農協敵視や「すき家」の牛丼100円になるとか無茶苦茶言いよるなぁ…と。
不快に思われたことでしょう。すいません。
ちなみに私もすき家のヘビーユーザーです。


偽ルクセンブルク人さん、
HNが面白くて…でも、あなたの考察には強く共感していますよ。

投稿: 山形 | 2011年12月19日 (月) 08時15分

keikoさん。自分の態度にも謙虚に反省した山形さんや、私があなたに向けて書いたひとことは無視ですか。
気に入った回答にはへりくだり、大部分の人には決めつけを連発してろくに読まないような態度だから山形さんから退場を勧告されるのです。
あなたは礼儀を知らなさ過ぎます。
ここは私のブログであって、掲示板ではありません。あなたが記事とまったく関係ないことを書き散らして迷惑をしました。退場しろとはいいませんが、いいかげん大人になりなさい。

投稿: 管理人 | 2011年12月19日 (月) 09時14分

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